実施するための形態について、以下に説明する。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
(1)本開示の一態様に係る変位測定装置は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位を測定する変位測定装置であって、
支持部材と、
前記緊張材の固定端の変位を測定する変位計と、を含み、
前記支持部材は、変位計支持部と、前記支持部材を、前記緊張材の前記固定端側を把持する定着具に設置する設置部と、を備え、
前記変位計は、前記変位計支持部に設置できる。
本開示の一態様に係る変位測定装置は、変位計支持部、および設置部を備えた支持部材と、変位計支持部に設置され、緊張材の固定端の変位を測定する変位計と、を含んでいる。そして、設置部は、支持部材を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する部材である。
このため、本開示の一態様に係る変位測定装置によれば、設置部によって、緊張材の固定端側を把持する定着具に、支持部材や、支持部材を含む変位測定装置を設置し、これにより、変位計を緊張材の固定端に容易に設置できる。そして、変位測定装置の設置から、緊張材の固定端の変位の測定に至るまで、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく実施できる。
また、本開示の一態様に係る変位測定装置は、主に支持部材と、変位計とを含有する程度であり、コンパクトな装置とすることができる。このため、本実施形態の変位測定装置は、設置するためのスペースの制約をほとんど受けず、緊張材の固定端121の周辺の空間の広さによらず用いることができる。
また、上述のように変位計が支持部材の変位計支持部に設置されているため、本開示の一態様に係る変位測定装置によれば、変位計により、例えば人手によって測定する場合よりも精度よく、緊張材に緊張力を導入した際の、緊張材の固定端の変位量を測定できる。
ここで、緊張材は、コンクリート構造物にプレストレス、具体的には圧縮力を加えるプレストレス導入用の緊張材であり、複数本の素線を撚り合せたPC鋼撚り線や、PC鋼棒等のPC鋼材を用いることができる。
緊張材に緊張力を導入する緊張作業を実施する際、緊張材の長手方向の一方の端部を定着具に把持し、長手方向の他方の端部をジャッキ等により牽引することができる。そして、固定端とは、緊張材の長手方向の端部のうち、緊張材に緊張力を導入して緊張作業を実施する際に、ジャッキ等により牽引せず、定着具により把持されている側の端部を意味する。また、緊張端とは、緊張材の長手方向の端部のうち、緊張材に緊張力を導入して緊張作業を実施する際に、ジャッキ等により牽引する側の端部を意味する。
(2)本開示の他の一態様に係る変位測定装置は、
コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位を測定する変位測定装置であって、
支持部材と、
前記緊張材の固定端側を把持する定着具のオスコーンの変位を測定する変位計と、を含み、
前記支持部材は、変位計支持部と、前記支持部材を、前記定着具に設置する設置部と、を備え、
前記変位計は、前記変位計支持部に設置できる。
(3)前記設置部は、貫通孔を備えており、
前記貫通孔は、前記変位計支持部側に配置された第1開口部と、前記第1開口部の反対側に配置され、前記緊張材の前記固定端を挿入する第2開口部と、を備えていても良い。
(4)前記設置部は、前記支持部材を、前記定着具に固定する固定機構をさらに備えていても良い。
(5)前記設置部は、外側面の少なくとも一部に第3開口部を備え、前記第3開口部は前記貫通孔に接続していても良い。
(6)前記設置部は、磁石を備えており、
前記磁石は、前記定着具と対向する面に溝を備えており、
前記溝は、前記変位計支持部と、前記設置部との配列方向に沿って形成されていてもよい。
(7) 前記支持部材は、前記変位計と、前記設置部との間の距離を調整する調整機構をさらに備えていてもよい。
(8)前記変位計が、レーザー変位計または差動トランス型変位計であってもよい。
(9)前記変位計が、測定した変位量を表示する表示部を有していてもよい。
(10)前記変位計が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースを有していてもよい。
(11)本開示の一態様に係る変位測定方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位を測定する変位測定方法であって、
変位測定装置を、前記緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する設置工程と、
前記緊張材の緊張端側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記固定端の変位量を、前記変位測定装置で測定する固定端変位測定工程と、を有し、
前記変位測定装置は、支持部材と、変位計と、を含み、
前記支持部材は、変位計支持部と、前記支持部材を、前記定着具に設置する設置部と、を備え、前記変位計は、前記変位計支持部に設置されており、
前記設置工程では、前記設置部により、前記変位測定装置を、前記定着具に設置し、
前記固定端変位測定工程では、前記変位計により、前記固定端の変位を測定することができる。
(12)前記設置工程の前に、前記緊張材の前記固定端を覆うキャップを、前記緊張材に設置するキャップ設置工程をさらに有していても良い。
(13)本開示の一態様に係る緊張管理図作成方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の緊張端側を牽引した際の、前記緊張材の伸び量と、前記緊張材に導入した緊張力とを用いて緊張管理図を作成する緊張管理図作成方法であって、
変位測定装置を、前記緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する設置工程と、
前記緊張材の緊張端側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記固定端の変位量を、前記変位測定装置で測定する固定端変位測定工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記緊張端の変位量を測定する緊張端変位測定工程と、
前記牽引工程で、前記緊張端側から前記緊張材を牽引する際に用いたジャッキにオイルを供給するポンプの油圧を測定し、前記緊張材に導入した緊張力を算出する緊張力算出工程と、
前記固定端変位測定工程で測定した前記固定端の変位量、および前記緊張端変位測定工程で測定した前記緊張端の変位量から算出した前記緊張材の伸び量と、前記緊張力算出工程で算出した前記緊張材に導入した緊張力と、を用いて緊張管理図を作成する作図工程とを有し、
前記変位測定装置は、支持部材と、変位計と、を含み、
前記支持部材は、変位計支持部と、前記支持部材を、前記定着具に設置する設置部と、を備え、前記変位計は、前記変位計支持部に設置されており、
前記設置工程では、前記設置部により、前記変位測定装置を、前記定着具に設置し、
前記固定端変位測定工程では、前記変位計により、前記固定端の変位を測定することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)に係る変位測定装置、変位測定方法、緊張管理図作成方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許の請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
〔変位測定装置〕
以下、本実施形態に係る変位測定装置について図1~図7に基づき説明する。
(緊張作業について)
本実施形態の変位測定装置を説明する前に、本実施形態の変位測定装置により変位を測定する緊張材の固定端や、緊張作業について、図1、図2を用いて説明する。
図1は、コンクリート構造物内に配置した緊張材にジャッキを用いて緊張力を導入する緊張作業の説明図であり、緊張材の中心軸を通る面での断面図を模式的に示している。図2は、固定端121側の定着具15の上面図になる。
図1に示すように、緊張材12は、コンクリート構造物11内部にシース13を介して配置できる。緊張材12は、コンクリート構造物11にプレストレス、具体的には圧縮力を加えるプレストレス導入用の緊張材であり、複数本の素線を撚り合せたPC鋼撚り線や、PC鋼棒等のPC鋼材を用いることができる。上記PC鋼撚り線等のPCは、プレストレスト・コンクリートを意味している。
図1中、緊張材12の長手方向の一方の端部である固定端121の側は、定着具15により把持されている。コンクリート構造物11と、定着具15との間には、支圧プレート14が配置されている。支圧プレート14は、緊張材12に導入された緊張力を支圧することができる。支圧プレート14は、中央部に緊張材12を通す穴が設けられた板状体であり、キャスティングプレートとも呼ばれる。
定着具15の構成は特に限定されないが、定着具15は、例えばメスコーン151と、オスコーン152とを有することができる。
メスコーン151の外形は特に限定されず、例えば円柱形状を有することができる。メスコーン151は、中心軸に沿って、緊張材12、およびオスコーン152を配置する貫通孔(第2貫通孔)151Aを有することができる。メスコーン151が有する上記貫通孔151Aは、図1に示すように、コンクリート構造物11側の一方の端部から、該一方の端部の反対側に位置する他方の端部に向かって径が拡がるテーパー状の面を有することができる。
オスコーン152は、図2に示すように、定着具15の中心軸に沿って見た場合に、周方向に沿って分割された、複数のオスコーン部材1521、1522、1523を有することができる。ここでは3つのオスコーン部材に分割した例を示しているが、オスコーン152は、2つ、または4つ以上のオスコーン部材を有することもできる。また、オスコーン152は分割せずに1つの部材から構成することもできる。そして、オスコーン152は、複数のオスコーン部材1521、1522、1523を組み合わせた場合に、メスコーン151のテーパー状の面を有する貫通孔151Aに対応した外形を有し、例えば円錐台形状を有することができる。オスコーン152は、その中心軸に沿って緊張材12を通すための貫通孔(第3貫通孔)152Aを有している。貫通孔152Aの内面には、緊張材12を強固に把持するために凹凸を形成することもでき、例えば雌ねじ面を形成しておくこともできる。
緊張材12を定着具15により固定する場合、図1、図2に示すように、緊張材12がメスコーン151の貫通孔151A内を貫通するようにメスコーン151を設置する。この際、コンクリート構造物11側に、貫通孔151Aのサイズが小さい方の開口部が位置するように、メスコーン151を設置する。
そして、オスコーン152の貫通孔152A内に緊張材12が位置するように、緊張材12にオスコーン152を設置する。オスコーン152は、メスコーン151の貫通孔151Aに対応した外形を有し、例えば円錐台形状を有することができる。緊張材12にオスコーン152を設置する際、メスコーン151の貫通孔151Aにあわせて、オスコーン152は、コンクリート構造物11側に、外形のサイズが小さい方の端部が位置するように配置することが好ましい。そして、オスコーン152を、メスコーン151の貫通孔151Aに挿入し、緊張材12の固定端121と反対側に位置する緊張端122を、図1中右側に牽引、すなわち引っ張り、緊張材12に緊張力を導入できる。
上述のように緊張材12の長手方向の一方の端部に、メスコーン151、およびオスコーン152を配置後、緊張材12の他方の端部である緊張端122を牽引し、緊張力を導入することで、オスコーン152が、メスコーン151のテーパー状の面を有する貫通孔151A内に圧入される。そして、オスコーン152に含まれるオスコーン部材1521、1522、1523間の距離が縮まり、オスコーン152が緊張材12を締め付け、固定できる。
緊張材12の長手方向の他方の端部である緊張端122は、緊張材12に緊張力を導入する緊張作業の際、ジャッキ16により牽引される。ジャッキ16は、ポンプ17と油圧ホース171を介して接続されている。ポンプ17から油圧ホース171を介して、ジャッキ16にオイルを供給することで、ジャッキ16を作動させ、緊張材12を引っ張ることができる。図1では模式的に示しているため、ジャッキ16と、ポンプ17との間の油圧ホースを1本の線で示しているが、ジャッキ16と、ポンプ17との間には必要に応じて複数の油圧ホースを設けることができる。
ここまで説明したように、緊張材12の長手方向の端部のうち、緊張材12に緊張力を導入して緊張作業を実施する際に、ジャッキ等により牽引せず、定着具15により把持されている側の端部を、固定端121と呼ぶ。緊張材12の長手方向の端部のうち、緊張材12に緊張力を導入して緊張作業を実施する際、ジャッキ等により牽引する側の端部を、緊張端122と呼ぶ。
ここではポストテンション方式における緊張作業の場合を例に説明したが、プレテンション方式の緊張作業においても、同様に緊張材の長手方向の一方の端部を固定端、他方の端部を緊張端と呼ぶ。具体的には、緊張材に緊張力を導入する際に、定着具により把持され、ジャッキにより牽引されない、すなわち引っ張られない側の緊張材12の端部を固定端と呼ぶ。また、ジャッキにより牽引される側の緊張材12の端部を緊張端と呼ぶ。
コンクリート構造物内に配置した緊張材をジャッキ等により牽引し、所定の緊張力を導入する緊張作業は、プレストレスト・コンクリートの性能を発揮させるうえで重要な作業の1つである。緊張作業は、緊張材に加えた緊張力と、緊張材の伸び量を段階的に測定し、その測定データを緊張管理図等に書き込んで、予め設定された管理範囲と対照しながら実施するのが一般的である。緊張作業を適切に行うため、緊張材を牽引した際の、緊張材の伸び量を正確に評価することが求められるが、既述の様に従来は、主に変位量が大きい緊張端の変位量が着目されており、緊張端と比較して、変位量が小さい固定端側については、測定精度を向上させるための検討は積極的に進められていなかった。
しかし、緊張作業の間、固定端121側の定着具15のオスコーン152が、メスコーン151に差し込まれる。このため、緊張作業の間に固定端も数mm程度変位している。
例えば、緊張材を牽引した際に、緊張材が1m当り7mm伸びるとすると、緊張材の長さが6mの場合、緊張材全体で42mm伸びることになる。このため、固定端の変位量が例えば1mmであったとしても、緊張材全体の伸び量に対する、固定端側の変位量の割合は2%~3%にもなる。従って、緊張作業をより適切に管理する観点から、固定端側の変位も正確に評価することが求められる。
そこで、本発明の発明者らは、固定端側の緊張材の変位量を測定できる変位測定装置について検討を行った。
既述の様に、緊張材の緊張端の変位量を測定する測定装置は報告されているが、図1を用いて説明したように、緊張端側はジャッキ等を配置するために、十分に広いスペースが確保されており、緊張材の緊張端の変位量を測定する測定装置はサイズが大きかった。
一方、緊張材の固定端側は、図1で説明した支圧プレート14が、大きいものでも20cm角程度であり、支圧プレート14がコンクリート構造物に形成された凹部内に配置されている場合もある。このため、緊張材の固定端の変位量を測定する変位測定装置には、小型であることが求められ、緊張材の緊張端側の変位量を測定する測定装置のような大型な装置を適用することが困難であった。
なお、緊張材の固定端の変位量を、メジャー等を用いて人の手により測定することも考えられる。しかしながら、上述のように、緊張材の固定端側の支圧プレートがコンクリート構造物に形成された凹部内に配置されている場合もあり、固定端側の空間は非常に狭くなっている。このため、固定端側の狭い空間に人が入り、メジャー等で固定端の変位量を正確に測定することは困難であった。また、人が測定を行う場合、読み間違い等を生じる恐れがあった。さらに、緊張作業時の間、緊張材には数tの荷重が加えられることから、緊張材の固定端の近傍には人が立ち入らないことが好ましい。
そこで、本発明の発明者らは、緊張材の固定端の変位量を測定できる変位測定装置について、鋭意検討を行い、本発明を完成させた。
(変位測定装置)
図3~図7を用いて、本実施形態の変位測定装置について説明する。図3は、本実施形態の変位測定装置30の斜視図であり、図4は、図3に示した本実施形態の変位測定装置30を、緊張材の固定端へ設置した状態図である。図4は、緊張材の中心軸を通る面での断面図を示している。図4中、本実施形態の変位測定装置30を設置する、緊張材12等の部材については図1を用いて既に説明したため、同じ番号を付して説明を省略する。図5、図6は、本実施形態の変位測定装置の他の構成例の斜視図となる。図7はキャップの説明図となる。
本実施形態の変位測定装置は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位を測定する変位測定装置に関する。
そして、図3に示すように、本実施形態の変位測定装置30は、支持部材31と、変位計32と、を含むことができる。
支持部材31は、変位計支持部311と、支持部材31を、緊張材12の固定端121側を把持する定着具15に設置する設置部312とを備えることができる。変位計32は、変位計支持部311に設置され、緊張材の固定端の変位を測定できる。
各部材について以下に説明する。
(1)支持部材
支持部材31は、変位測定装置30の一方の端部である第1端部31A側に配置された変位計支持部311と、第1端部31Aと反対側の端部である第2端部31B側に配置された設置部312とを備えることができる。
設置部312は、支持部材31や支持部材31を含む変位測定装置30を、緊張材12の固定端121側を把持する定着具15に設置する部材である。
そして、本実施形態の変位測定装置30は、変位計支持部311および設置部312を備えた支持部材31と、変位計支持部311に設置された変位計32とを含んでいる。
このため、本実施形態の変位測定装置30によれば、図4に示すように、設置部312によって、緊張材12の固定端121側を把持する定着具15に、支持部材31や、支持部材31を含む変位測定装置30を容易に設置し、これにより、変位計32を緊張材12の固定端121に設置できる。そして、変位測定装置30の設置から、緊張材12の固定端121の変位(変位量)の測定に至るまで、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく実施できる。
また、本実施形態の変位測定装置30は、主に支持部材31と、変位計32とを含有する程度であり、コンパクトな装置とすることができる。このため、本実施形態の変位測定装置30は、設置するためのスペースの制約をほとんど受けず、緊張材12の固定端121の周辺の空間の広さによらず用いることができる。
また、上述のように変位計32が支持部材31の変位計支持部311に設置されているため、本実施形態の変位測定装置30によれば、変位計32により、例えば人手によって測定する場合よりも精度よく、緊張材12に緊張力を導入した際の、緊張材12の固定端121の変位を測定できる。
支持部材31が有する各部材について説明する。ここではまず設置部312について説明する。
設置部312の構成は特に限定されず、支持部材31を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置できるように構成されていれば良い。
設置部312は、例えば貫通孔3121を備えることができる。貫通孔3121は、変位計支持部311側に配置された第1開口部3121Aと、第1開口部3121Aとは反対側、すなわち第2端部31B側に配置された第2開口部3121Bとを備えている。第2開口部3121Bには、緊張材12の固定端121を挿入できる。
設置部312は上述のように貫通孔3121を備えるため、筒状形状、すなわち管状形状となっている。
変位測定装置30の設置部312が上述のように貫通孔3121を有することで、設置部312が有する貫通孔3121の第2開口部3121Bから、緊張材12の固定端121を挿入するだけで容易に、定着具15に、支持部材31や、支持部材31を含む変位測定装置30を設置できる。また、これにより変位計32を、緊張材12の固定端121に設置できる。そして、変位測定装置30の設置から、緊張材12の固定端121の変位の測定に至るまで、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく実施できる。
変位測定装置30においては、貫通孔3121の第2開口部3121Bから、緊張材12の固定端121を挿入した際に、変位測定装置30の支持部材31が定着具15により支持されることが好ましい。
そこで、貫通孔3121の第2開口部3121Bから、緊張材12の固定端121を挿入する際、図4に示すように、貫通孔3121内に、定着具15の少なくとも一部が挿入できることが好ましい。特に、設置部312が支圧プレート14と接するように、貫通孔3121内に、定着具15全体が挿入されることがより好ましい。
このため、第2開口部3121Bや、貫通孔3121は、定着具15の少なくとも一部を挿入できるように、定着具15の外形に対応した形状を有することが好ましい。通常、定着具15は、外形が円柱形状であることから、設置部312の貫通孔3121もこれに対応した円柱形状であることが好ましく、第1開口部3121Aや、第2開口部3121Bは円形状を有することが好ましい。
貫通孔3121、および定着具15が円柱形状を有する場合、貫通孔3121の中心軸と垂直な面での直径D3121は、定着具15の中心軸と垂直な面での最大径D15以上であることが好ましい(図2、図4を参照)。第1開口部3121Aや、第2開口部3121Bの直径についても、同様に定着具15の中心軸と垂直な面での最大径D15以上であることが好ましい。
定着具15は、既述の様にメスコーン151と、オスコーン152とを有することができ、オスコーン152は、メスコーン151の貫通孔151A内に挿入される。このため、定着具15の最大径D15とは、外形が円柱形状となるメスコーン151の中心軸と垂直な面での最大径ということもできる。
上述のように設置部312の貫通孔3121内に、定着具15の少なくとも一部が挿入されるように構成することで、定着具15により設置部312を介して支持部材31を支持できる。このため、本実施形態の変位測定装置30により、固定端121の変位を測定する際の精度を高めることができる。
特に支持部材31は、定着具15に固定できるように構成されていることが好ましい。このため、例えば図4に示すように、設置部312は、支持部材31を、定着具15に固定する固定機構33をさらに有することが好ましい。
設置部312が、支持部材31を、定着具15に固定する固定機構33をさらに有することで、変位測定装置30を設置する際に、支持部材31や、支持部材31に設置した変位計32を、定着具15に強く固定できる。このため、緊張材12の固定端121の変位を測定する際に、変位測定装置30の位置がずれることを防止し、測定精度を特に高められる。
固定機構33の構成は特に限定されないが、例えば図4に示すように、固定機構33は、設置部312の側面に設けたねじ孔331と、ねじ332とを有することができる。固定機構33を、設置部312の側面に設けたねじ孔331から、ねじ332をねじ込めるように構成することで、定着具15の側面にねじ332を押し当て、設置部312を含む支持部材31を固定できる。
固定機構としては、磁石や、粘着テープ等を用いることもできる。定着具15は通常鉄等の金属で形成されていることから、設置部312の側面等に固定機構である磁石を配置することで、設置部312を含む支持部材31を、定着具15に磁力により固定できる。また、設置部312の内周面に固定機構である粘着テープを配置することで、定着具15の外側面に、該粘着テープにより、設置部312を含む支持部材31を固定できる。
定着具15の外側面にねじが切ってある場合、貫通孔3121の内側面に固定機構として、定着具15のねじに対応するねじを切っておくこともできる。この場合、設置部312を、定着具15にねじ込むことで、設置部312を介して支持部材31を固定できる。
固定機構としては1つの手段に限定されず、例えば上述の磁石と、粘着テープとの様に複数の手段を組み合わせた構成とすることもできる。
図1、図2を用いて説明したように、緊張材12の固定端121側では、メスコーン151のテーパー状の面を有する貫通孔内に挿入した、オスコーン部材1521、1522、1523により緊張材12を締め付け、固定している。オスコーン部材1521、1522、1523は、緊張材12の緊張端122側を牽引することで、メスコーン151の貫通孔内に深く差し込まれ、緊張材12を強く締め付けることができる。そして、緊張材12の緊張端122側を牽引する際に、複数のオスコーン部材1521、1522、1523の高さ方向の位置がほぼ同じになるようにメスコーン151の貫通孔内に挿入され、緊張材12が均等に締め付けられているかを確認することが好ましい。
しかし、変位測定装置30の場合、図4に示すように、設置部312は、定着具15の少なくとも一部を覆っており、貫通孔3121内の定着具15の状態を視認することが困難である。このため、設置部312の側面部の少なくとも一部は、第1開口部3121Aと、第2開口部3121Bとを接続する貫通孔3121を、外部から視認可能に構成されていることが好ましい。
具体的には例えば、図3に示すように、設置部312は、外側面の少なくとも一部に第3開口部34、すなわち覗き窓を有することが好ましい。第3開口部34は、貫通孔3121に接続するように設けることができる、すなわち第3開口部34は、設置部312の外部の空間と、貫通孔3121とがつながるように、設置部312の壁部を貫通する貫通孔として設けることができる。第3開口部34には、可視光を透過する材料、例えば透明樹脂や、ガラスによる窓材をはめておくこともできる。
また、設置部312の一部、または全部を、可視光を透過することができる材料、例えば透明樹脂等で形成し、外部から、貫通孔3121を見えるように構成することもできる。
緊張作業の間、オスコーン部材1521、1522、1523が均等に差し込まれていない場合、緊張材12に偏荷重がかかる恐れがある。しかし、上述のように、設置部312の側面部の少なくとも一部について、貫通孔3121内の定着具15の様子を外部から視認可能に構成することで、緊張作業中の緊張材12の固定端121側の定着具15周辺を視認できる。このため、緊張材12の緊張端122側を牽引し、緊張材に緊張力を導入した際に、固定端121側のメスコーン151の貫通孔に、オスコーン部材1521、1522、1523が均等に差し込まれていることを確認しながら、緊張作業を実施できる。
設置部312の少なくとも一部を、貫通孔3121が外部から視認可能に構成した場合、例えば貫通孔3121内部を、設置部312の側面から撮影する撮像装置を設けることもできる。撮像装置としては、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサや、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の半導体撮像素子を備えるカメラモジュールを用いることができる。撮像装置を設置することで、本実施形態の変位測定装置30から離れた場所において、緊張材12の緊張端122側を牽引した際の、固定端121側の定着具15の変化を観察できるため、好ましい。
本実施形態の変位測定装置30が有する支持部材31は、既述の様に、第1端部31A側に、変位計32を設置する変位計支持部311を有することができる。
変位計支持部311は変位計32を設置できるように構成されていればよく、例えば図3に示すように、板状の部材とすることができる。
また、後述する図5に示した本実施形態の変位測定装置50の様に、円筒形の変位計支持部511とすることもできる。変位計支持部511のように、変位計32を覆う面積を多くすることで、変位計32を保護し、故障を抑制できる。
変位計支持部311は、設置部312と接合されていても良く、変位計支持部311が、設置部312にねじ等により固定され、両部材を分離できるように構成されていても良い。また、変位計支持部311と、設置部312とは、明確に分かれた別の部材である必要はなく、一体となった1つの部材であっても良い。
変位計支持部311に変位計32を設置する際、変位計32は、緊張材の固定端の変位を測定できるように設置することができる。緊張材12の固定端121は、支持部材31の変位計支持部311と、設置部312との配列方向、すなわち第1端部31Aと、第2端部31Bとの配列方向に沿って変位する。このため、変位計32は、設置部312と、変位計支持部311との配列方向に沿った変位を測定できるように、その測定部を配置することが好ましい。
なお、測定部と、該測定部を制御する制御部とが分離できる変位計の場合、変位計支持部311には、測定部のみを設置しても良い。ここでいう測定部とは、変位計における被測定物の変位を測定するための部材を意味する。例えば、レーザー変位計の場合、測定部とは、変位を測定するために要するレーザー光の照射部と、受信部とを含む部材を意味する。
支持部材31は、ここまで説明した、変位計支持部311、および設置部312以外にさらに任意の部材を有することもできる。
支持部材31は、支持部材31における変位計32の位置を調整する調整機構をさらに有することもできる。具体的には、支持部材31は、変位計32と、設置部312との間の距離を調整する調整機構をさらに有することができる。
緊張作業を行う施工現場においては、緊張材12の固定端121側の長さが、予定よりも長くなる場合や、短くなる場合がある。このため、緊張材12の長さ、例えば定着具15から緊張材12の固定端121までの長さが、変化する場合がある。
一方、変位計には測定可能な変位量の範囲がある。このため、緊張材12の長さ、例えば定着具15から固定端121までの長さが、該変位測定装置30において予め定められた値からずれていても、ずれ幅が係る変位計の測定可能な変位量の範囲に収まっていれば、緊張材12の変位量を正確に測定できる。しかし、緊張材12の長さが、該変位測定装置30において予め定められた値から大きくずれ、ずれの程度が係る変位計の測定可能な変位量の範囲に収まらない場合、緊張材12の変位量を正確に測定できなくなる恐れがある。
そこで、緊張材12の長さに応じて、変位計32と、設置部312との間の距離を調整できるように、支持部材31は、調整機構を有することが好ましい。
調整機構の具体的な構成は特に限定されないが、例えば図3に示した変位測定装置30の場合、変位計支持部311に、調整機構35としてスリットを有することができる。変位計支持部311にスリットを設けておくことで、変位計32をスリットに沿って移動させることができ、変位計32の裏面に固定用のねじを設けておくことで、任意の位置で変位計32を固定することができる。
ここでは、調整機構35の構成例として、スリットを挙げたが、スリットに替えて、リニアレール(リニアガイド)等を用いることもできる。
本実施形態の変位測定装置30が、調整機構35を有することで、変位計32と、設置部312との間の距離を調整できる。このため、緊張材12の長さ、例えば定着具15から固定端121までの長さによらず、緊張材12の固定端121の変位を測定できる。
支持部材31の材料は特に限定されず、任意の材料を用いることができる。例えば鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属を用いることができる。また、支持部材31の材料として樹脂を用いることもできる。支持部材31の材料は、要求される性能等に応じて選択でき、コストの観点からは鉄を好適に用いることができるが、軽量性や、耐蝕性の観点からはアルミニウムを好適に用いることができる。支持部材31は、既述の様に変位計支持部311と、設置部312と、を有することができる。このため、例えば変位計支持部311と、設置部312とで異なる材料を用いることもできる。既述の様に設置部312の一部または全部を可視光を透過することができる透明な樹脂等で構成することもできる。
ここまで、本実施形態の変位測定装置が有する支持部材について、図3、図4を用いて説明したが、係る形態に限定されるものではない。例えば図5に示した変位測定装置50や、図6に示した変位測定装置60とすることもできる。
図5に示した変位測定装置50においても、支持部材51を有することができる。支持部材51は、変位測定装置50の一方の端部である第1端部51A側に配置された変位計支持部511と、第1端部51Aと反対側の端部である第2端部51B側に配置された設置部512とを有することができる。
設置部512は、図3に示した設置部312について説明したものと同様の構成とすることができる。すなわち、設置部512は、貫通孔5121を備えることができる。貫通孔5121は、変位計支持部511側に配置された第1開口部5121Aと、第1開口部5121Aとは反対側、すなわち第2端部51B側に配置された第2開口部5121Bとを有している。
設置部512は、上述のように貫通孔5121を備えるため、筒状形状、すなわち管状形状となっている。
図5に示した例では、既述の第3開口部54を第1開口部5121Aとつながるように、設置部512の側面に配置した例を示しているが、係る形態に限定されず、第3開口部54を設けない構成とすることもできる。また、図3に示した変位測定装置30の第3開口部34の様に、設置部512の側面に、第1開口部5121Aと離して設けることもできる。
図5に示した変位測定装置50では、変位計支持部511が、既述の様に、円筒形形状を有している。変位計支持部511のように、変位計32を覆う面積を多くすることで、変位計32を保護し、故障を抑制することができる。
そして、図5に示した変位測定装置50では、変位計32と、設置部512との間の距離を調整する調整機構55として、変位計支持部511の側面に第1スリット551と、設置部512の側面に第2スリット552と、を有している。このように第1スリット551、第2スリット552を、それぞれ変位計支持部511、設置部512に設けておくことで、設置部512に対する変位計支持部511の位置を相対的に変化させることができる。このため、設置部512に対する、変位計支持部511に設置されている変位計32の位置も変化させることができる。
調整機構55は、さらにねじ553を有しており、ねじ553を締めることで、設置部512に対する、変位計32の位置を固定することができる。
図5に示した変位測定装置50では、調整機構55として、変位計支持部511と、設置部512と、の両方にスリットを設けた例を示したが、係る形態に限定されず、いずれか一方の部材にのみスリットを設けても良い。また、スリットに替えて、リニアガイド等とすることもできる。
図6に示した変位測定装置60においても、支持部材61を有することができる。支持部材61は、変位測定装置60の一方の端部である第1端部61A側に配置された変位計支持部611と、第1端部61Aと反対側の端部である第2端部61B側に配置された設置部612とを有することができる。
変位測定装置60における設置部612は、磁石6121を備えておくことができる。そして、磁石6121は、定着具15と対向する面に、溝6122を備えておくことができる。この際、溝6122は、変位計支持部611と、設置部612との配列方向、すなわち、第1端部61Aと、第2端部61Bとの配列方向に沿って形成されていることが好ましい。
通常、定着具15は鉄等の金属で構成されていることから、設置部612が磁石6121を備えることで、該磁石6121により、支持部材61や、支持部材61を含む変位測定装置60を、定着具15に容易に設置できる。
既述の様に、定着具15は、例えばメスコーン151と、オスコーン152とを有し、メスコーン151の外形は、例えば円柱形状等の柱状形状を有することができる。このため、磁石6121の、定着具15と対向する面に、変位計支持部611と、設置部612との配列方向に沿って溝を形成しておくことで、変位測定装置60を、定着具15の中心軸に沿って容易に設置できる。定着具15が把持する緊張材12は、定着具15の中心軸に沿って配置されるため、定着具15の中心軸に沿って変位測定装置60を設置することで、緊張材12の変位を特に正確に測定できる。
また、磁石6121の定着具15と対向する面に溝6122を設けておくことで、磁石6121と定着具15との密着性を高め、緊張材12の固定端121の変位を測定する際に変位測定装置60の位置がずれることを特に防ぐことができる。
図6において、溝6122の長手方向と垂直な断面が三角形となっているが、係る形態に限定されない。溝6122の、長手方向と垂直な断面が、例えば四角形等の三角形以外の多角形の形状であっても良く、溝6122の長手方向と垂直な断面において、溝6122の表面の形状が円弧のような曲線であっても良い。
図6に示した変位測定装置60においても、変位計32と、設置部612との間の距離を調整する調整機構65を有することができる。調整機構65の構成は特に限定されないが、例えば図6に示したように調整機構65としてスリットを有することができる。変位計支持部611にスリットを設けておくことで、変位計32をスリットに沿って移動させることができ、変位計32の裏面に固定用のねじを設けておくことで、任意の位置で変位計32を固定することができる。
ここでは、調整機構65の構成例として、スリットを挙げたが、スリットに替えて、リニアレール(リニアガイド)等を用いることもできる。
変位測定装置60が、調整機構65を有することで、変位計32と、設置部612との間の距離を調整できる。このため、緊張材12の長さ等によらず、緊張材12の固定端121の変位を測定できる。
変位測定装置60は、設置部612が磁石6121を備えているため、磁力により容易に、定着具15に変位測定装置60を設置できる。変位測定装置60においては、変位測定装置30や、変位測定装置50のように貫通孔を設ける必要がないため、これらの変位測定装置よりも支持部材61をよりコンパクトにし、軽量化を図ることができる。また、定着具15の周辺を設置部612により完全に覆う必要がないため、緊張作業中の緊張材12の固定端121側の定着具15周辺を視認できる。このため、緊張材12の緊張端122側を牽引し、緊張材に緊張力を導入した際に、固定端121側のメスコーン151の貫通孔に、オスコーン部材1521、1522、1523が均等に差し込まれていることを確認しながら、緊張作業を実施できる。
(2)変位計
本実施形態の変位測定装置30は、変位計32を有することができる。
用いる変位計の種類は特に限定されず、例えば接触式、および非接触式のいずれの形式の変位計も用いることができる。具体的には例えば、レーザー変位計、差動トランス型変位計、渦電流式変位計、静電容量型変位計、共焦点式変位計、光ファイバー式変位計、およびワイヤー式変位計から選択された1種類以上の変位計を用いることができる。
本実施形態の変位測定装置は、工事現場等で用いることが考えられるため、粉じんや、水濡れ等にも強い変位計を用いることが好ましく、例えば、変位計がレーザー変位計または差動トランス型変位計であることが好ましい。
レーザー変位計、または差動トランス型変位計は粉じんや、水濡れ等に強く、また精度よく緊張材の固定端の変位を測定することができるからである。
本実施形態の変位測定装置に用いる変位計32は、測定した変位量を表示する表示部321を有することが好ましい。
このように表示部321を有することで、測定値を容易に把握し、緊張管理図等の作成に用いることができるからである。
表示部321としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることができる。
また、変位計32は、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース322をさらに有することが好ましい。
変位計32が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース322をさらに有することで、変位計32で測定した、緊張材12の固定端121の変位量を、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器に出力することができる。このため、出力された緊張材12の固定端121の変位量のデータを用いて、緊張材12の伸び量の算出や、緊張管理図の作成等のデータ処理を効率よく行えるため好ましい。また、変位計32の測定データを、変位測定装置30の近くまで行ってみる必要がなくなるため、作業効率を向上させることができる。
変位計32が有する測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースの種類は特に限定されず、無線LAN(Local Area Network)装置等の無線用のインターフェース、USB(Universal Serial Bus)等の有線用のインターフェースのいずれであっても良い。しかしながら、配線等を設置する必要がないため、無線用のインターフェースであることが好ましい。
変位計32が電源を要する場合、電力の供給方法は特に限定されない。このため、電源ケーブルにより電源を供給するタイプの変位計であっても良く、一次電池や、二次電池により電源を供給するタイプの変位計であっても良い。ただし、電源ケーブルにより電源を供給する必要がある場合、取扱い性が低下する恐れもあることから、一次電池や、二次電池等の蓄電デバイスにより電力を供給するタイプの変位計であることが好ましい。
本実施形態の変位測定装置は、ここまで説明した支持部材、変位計以外にも任意の部材をさらに有することもできる。
本実施形態の変位測定装置は、被測定物である、緊張材12の固定端121に被せて用いるキャップをさらに有することもできる。
キャップの形態は特に限定されないが、例えば図7に示したキャップ71の様に、円柱形状の外形を有し、一方の端部71A側に開口部を有し、緊張材12を挿入する円柱形状の凹部711を有することができる。
キャップ71の他方の端部71Bは、図7に示すように、例えば平坦面とすることができる。
緊張材12を切断する際に、緊張材12の長手方向と垂直に切断できず、緊張材12の固定端121の面が斜面となる場合がある。緊張材の固定端121の面が斜面となった場合、変位計の測定端子の接触位置等によっては、緊張材12の固定端121の変位量を正確に測定できない場合がある。このため、固定端121にキャップ71を配置し、固定端121を平坦面としてから、変位量の測定を行うことが好ましい。
キャップ71は、緊張材12の固定端121に固定するキャップ固定部材をさらに有することもできる。キャップ固定部材73は、例えば側面71Cから凹部711まで貫通した、1つ、または2つ以上のねじ穴731と、係るねじ穴731に配置する固定用ねじ732とを有することができる。
ねじ穴731から、固定用ねじ732をねじ込むことで、キャップ71を緊張材12に強く固定することができる。
また、キャップ固定部材73として、キャップ71の凹部711の内面に配置した接着剤等を用いることもできる。
キャップ71がキャップ固定部材73を有することで、緊張材12の固定端121の変位を測定している間にキャップ71が外れ、測定ができなくなることを防止できる。
[変位測定方法]
次に、本実施形態の変位測定方法について説明する。
本実施形態の変位測定方法は、既述の変位測定装置を用いて実施することができる。このため、既に説明した事項については説明を一部省略する。
本実施形態の変位測定方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位を測定する変位測定方法に関する。本実施形態の変位測定方法は、図8に示したフローチャートに従って実施することができ、以下の工程を有することができる。
変位測定装置を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する設置工程。
緊張材の緊張端側から、緊張材を牽引する牽引工程。
牽引工程による、緊張材の固定端の変位量を、変位測定装置で測定する固定端変位測定工程。
なお、本実施形態の変位測定方法では、既述の変位測定装置を用いることができる。既述の様に変位測定装置は、支持部材と、変位計と、を含むことができる。
上記支持部材は、変位計支持部と、支持部材を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する設置部と、を備え、変位計は、変位計支持部に設置しておくことができる。
そして、上記設置工程では、設置部により、変位測定装置を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置できる。
固定端変位測定工程では、変位計により、固定端の変位を測定できる。
以下、各工程について図8に示したフローチャートを参照しながら、説明する。
(設置工程)
設置工程S1では、緊張材の固定端側を把持する定着具に変位測定装置を設置できる。既述の変位測定装置は、変位計支持部および設置部を備えた支持部材と、変位計支持部に設置された変位計とを含んでいる。そして、設置部により、支持部材や支持部材を含む変位測定装置を緊張材の固定端側を把持する定着具に設置できる。
具体的には、例えば図4に示したように、既述の変位測定装置30の支持部材31が有する貫通孔3121の第2開口部3121Bから、貫通孔3121内に緊張材12の固定端121側を挿入できる。このように、変位測定装置30が備える貫通孔3121の第2開口部3121Bから、緊張材12の固定端121を挿入するだけで、緊張材12の固定端121を把持する定着具15に支持部材31や、支持部材31を含む変位測定装置30を設置し、これにより変位計32も緊張材12の固定端121に設置できる。
設置工程S1において、変位測定装置30の貫通孔3121の第2開口部3121Bから、緊張材12の固定端121を挿入した際に、支持部材31が定着具15等により支持されることが好ましい。
そこで、設置工程S1において、貫通孔3121の第2開口部3121Bから、緊張材12の固定端121を挿入する際、図4に示すように、設置部312の貫通孔3121内に、定着具15の少なくとも一部を挿入することが好ましい。特に、設置部312が支圧プレート14と接するように、設置工程では、設置部312の貫通孔3121内に、定着具15全体を挿入することがより好ましい。
設置工程S1において、設置部312の貫通孔3121内に、定着具15の少なくとも一部を挿入することで、定着具15により設置部312を介して支持部材31を支持できる。このため、後述する固定端変位測定工程S3において、固定端121の変位を測定する際の精度を高めることができる。
特に支持部材31は、定着具15に固定できるように構成されていることが好ましい。このため、例えば図4に示すように、設置部312は、支持部材31を、定着具15に固定する固定機構33をさらに有することが好ましい。設置部312が、固定機構33をさらに有する場合、設置工程S1において、固定機構33により、支持部材31を定着具15に固定することができる。
設置部312が、固定機構33をさらに有することで、設置工程S1で、第2開口部3121Bから、緊張材12の固定端121を挿入し、変位測定装置30を設置する際に、支持部材31や、支持部材に設置した変位計32を、定着具15に強く固定できる。このため、固定端変位測定工程S3で緊張材12の固定端121の変位を測定する際に、変位測定装置30の位置がずれることを防止し、測定精度を特に高められる。
また、変位測定装置30の支持部材31は、既述の様に、変位計32と、設置部312との間の距離を調整する調整機構35をさらに有することもできる。このため、設置工程S1において、緊張材12の長さ、例えば定着具15から緊張材12の固定端121までの長さに応じて、調整機構35を用いて変位計32と設置部312との間の距離を調整することもできる。
設置工程S1を実施することで、例えば図4に示したように、緊張材12の固定端121に、変位測定装置30が設置された状態となる。
設置工程S1では、牽引工程S2による、緊張材12の固定端121の変位が測定できるように、変位計32により、固定端121の基準となる位置を設定しておくこともできる。すなわち、設置工程S1において、緊張材12の固定端121の位置について、0設定を行うこともできる。
ここでは図3に示した変位測定装置30を例に説明したが、係る形態に限定されず、例えば図5に示した変位測定装置50や、図6に示した変位測定装置60を用いることもできる。
図6に示した変位測定装置60を用いた場合、設置部612が有する磁石6121を定着具15の側面に磁力で吸着させることで設置工程S1を実施できる。この際、磁石6121の表面に設けた溝6122が定着具15の側面と対向するように、吸着させることができる。変位測定装置60も調整機構65を有することから、設置工程S1において、緊張材12の長さに応じて、調整機構65を用いて変位計32と設置部612との間の距離を調整することもできる。
ここまで説明したように、本実施形態の変位測定方法で用いる変位測定装置では、変位計支持部および設置部を備えた支持部材と、変位計支持部に設置された変位計とを含んでいる。このため、本実施形態の変位測定方法では、設置部によって、緊張材の固定端側を把持する定着具に、支持部材や、支持部材を含む変位測定装置を容易に設置でき、これにより、変位計を緊張材の固定端に設置できる。
(牽引工程)
牽引工程S2では、図1を用いて説明したように、緊張材12の長手方向において、固定端121とは反対側に位置する緊張端122側をジャッキ16により引っ張り、緊張材12に緊張力を導入できる。
図1に示すように、ジャッキ16は、本体部161と、作動部162とを有し、作動部162をコンクリート構造物11に接する様に配置しておくことができる。牽引工程S2では、緊張材12を本体部161で保持し、ポンプ17から油圧ホース171を介して供給されるオイルの油圧により、作動部162を本体から押し出すことで、反力をコンクリート構造物11に作用させ、緊張材12を牽引することができる。
牽引工程S2を実施することで、ジャッキ16にポンプ17からオイルが供給され、緊張材12の緊張端122側が牽引される。緊張材12の緊張端122側が牽引されることにより、緊張材12に緊張力が導入され、緊張材12が伸びることになる。
牽引工程S2において、緊張材12の緊張端122側が牽引されることで、既述の様に定着具15のオスコーン部材1521、1522、1523がメスコーン151の貫通孔151A内に差し込まれる。このため、例えば変位測定装置30が、第3開口部34を有する場合、牽引工程S2において、第3開口部34から、オスコーン部材1521、1522、1523が均等に差し込まれているか、目視で確認することもできる。
(固定端変位測定工程)
牽引工程S2で、緊張材12を牽引し、緊張力を導入することで、緊張材12の固定端121の位置が変位する。このため、固定端変位測定工程S3では、変位測定装置30の変位計32を用いて、固定端の変位量を測定できる。
本実施形態の変位測定方法で用いる既述の変位測定装置30では、変位計32が支持部材31に設置されているため、緊張材12の固定端121の変位を、変位計32により測定できる。このため、例えば人手によって測定する場合よりも精度よく、緊張材12の固定端121の変位を測定できる。さらに、変位測定装置30では、設置部312により、緊張材12の固定端121を把持する定着具15に支持部材31や、支持部材31を含む変位測定装置30を設置し、これにより変位計32も緊張材12の固定端121に設置できる。そして、変位測定装置30の設置から、緊張材12の固定端121の変位の測定に至るまで、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく実施できる。変位測定装置30では特に、支持部材31の一方の端部である第1端部31A側に変位計32が設置され、第1端部31Aとは反対側に位置する第2端部31B側に設けた第2開口部3121Bから緊張材12の固定端121が挿入されている。このため、固定端変位測定工程S3では、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく、変位計32により、固定端の変位を測定することができる。
ここでは変位測定装置30の場合を例に効果を説明したが、既述の他の変位測定装置50、変位測定装置60を用いた場合でも同様のことがいえる。
変位計32が表示部321を有する場合には、該測定値を表示部321に表示させ、必要に応じて記録することができる。また、変位計32が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース322を有する場合には、固定端変位測定工程で測定した固定端の変位のデータを、インターフェース322から、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器へ出力させることもできる。そして、パーソナルコンピューター等の外部機器は、変位計32から出力されたデータを自動的に取り込み、場合によってはさらに表計算ソフトウエア等の各種データ処理用のソフトウエアにデータを入力するように構成することもできる。
なお、緊張材は、複数回に分けて牽引し、緊張力を導入することが一般的に行われている。このため、本実施形態の変位測定方法は、牽引工程S2と、固定端変位測定工程S3とを繰り返し実施することもできる。固定端変位測定工程S3は、牽引工程S2が完了した後に実施する必要はなく、牽引工程S2と、固定端変位測定工程S3とを並行して実施することもできる。
本実施形態の変位測定方法は、図9に示すように、上記設置工程S1の前に、緊張材12の固定端121を覆うキャップ71(図7を参照)を、緊張材12に設置するキャップ設置工程S0をさらに有することもできる。
緊張材12を切断する際に、緊張材12の長手方向と垂直に切断できず、緊張材12の固定端121の面が斜面となる場合がある。緊張材の固定端121の面が斜面となった場合、変位計の測定端子の接触位置等によっては、緊張材の固定端121の変位量を正確に測定できない場合がある。このため、キャップ設置工程S0を予め実施し、固定端121にキャップ71を配置し、固定端121を平坦面とすることで、固定端変位測定工程S3において、緊張材12の固定端121の変位量をより正確に測定することができる。
[緊張管理図作成方法]
次に、本実施形態の緊張管理図作成方法について説明する。本実施形態の緊張管理図作成方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の緊張端側を牽引した際の、緊張材の伸び量と、前記緊張材に導入した緊張力とを用いて緊張管理図を作成する緊張管理図作成方法に関する。
緊張材を牽引し、緊張力を導入する際、緊張材の伸び量と、緊張材に導入した緊張力とをグラフ化した緊張管理図を作成することが一般的に行われている。本実施形態の緊張管理図作成方法は、以下の工程を実施することで、緊張材の管理図を作成できる。具体的には図10に示したフロー図に沿って実施することができる。
変位測定装置を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する設置工程。
緊張材の緊張端側から、緊張材を牽引する牽引工程。
牽引工程による、緊張材の固定端の変位量を、変位測定装置で測定する固定端変位測定工程。
牽引工程による、緊張端の変位量を測定する緊張端変位測定工程。
牽引工程で、緊張端側から緊張材を牽引する際に用いたジャッキにオイルを供給するポンプの油圧を測定し、緊張材に導入した緊張力を算出する緊張力算出工程。
固定端変位測定工程で測定した固定端の変位量、および緊張端変位測定工程で測定した緊張端の変位量から算出した緊張材の伸び量と、緊張力算出工程で算出した緊張材に導入した緊張力と、を用いて緊張管理図を作成する作図工程。
なお、本実施形態の緊張管理図作成方法では、既述の変位測定装置を用いることができる。既述の様に変位測定装置は、支持部材と、変位計と、を含むことができる。
上記支持部材は、変位計支持部と、支持部材を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する設置部と、を備え、変位計は、変位計支持部に設置しておくことができる。
そして、上記設置工程では、設置部により、変位測定装置を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置できる。
固定端変位測定工程では、変位計により、固定端の変位を測定することができる。なお、既述の様に、変位計32が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース322を有する場合には、固定端変位測定工程で測定した固定端の変位のデータを、インターフェース322から、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器へ出力させることもできる。そして、パーソナルコンピューター等の外部機器は、変位計32から出力されたデータを自動的に取り込み、場合によってはさらに表計算ソフトウエア等の各種データ処理用のソフトウエアにデータを入力するように構成することもできる。
上記工程のうち、変位測定方法で既に説明した設置工程S1~固定端変位測定工程S3までは、変位測定方法の場合と同様に実施できるため、ここでは説明を省略する。また、本実施形態の緊張管理図の作成方法においても、必要に応じて設置工程S1の前にキャップ設置工程S0を実施することもできるが、係る工程についても既述の変位測定方法の場合と同様にして実施できるため、ここでは説明を省略する。
以下、緊張端変位測定工程、緊張力算出工程、作図工程、緊張力判定工程の各工程について説明する。
(緊張端変位測定工程)
緊張端変位測定工程S4では、牽引工程S2による、緊張端の変位量を測定できる。
緊張端変位測定工程S4において、緊張端の変位量を測定する具体的な方法は特に限定されない。
既述のように、牽引工程S2では、例えば緊張材12を本体部161で保持し、ポンプ17から供給されるオイルの油圧により、作動部162を本体から押し出すことで、反力をコンクリート構造物11に作用させ、緊張材12を牽引できる。このため、緊張端変位測定工程S4では、例えば変位計により、本体部161と、作動部162との間の距離の変位を測定しておくことで、緊張端の変位量を測定することができる。
(緊張力算出工程)
緊張力算出工程S5では、牽引工程S2で、緊張端側から緊張材を牽引する際に用いたジャッキにオイルを供給するポンプの油圧を測定することができる。そして、測定したポンプの油圧から、緊張材に導入した緊張力を算出できる。
緊張材12の緊張端122側をジャッキ16により牽引する場合、ジャッキ16に油圧ホース171を介してオイルを供給したポンプ17の油圧を、緊張材12に加えた緊張力とすることができる。このため、緊張力算出工程S5では、ジャッキにオイルを供給したポンプの油圧を測定し、緊張材12に加えた緊張力とすることができる。
油圧ホース171の接続部等において圧力損失等が生じる場合には、測定したポンプの油圧を補正し、緊張材に導入した緊張力とすることもできる。
なお、固定端変位測定工程S3と、緊張端変位測定工程S4と、緊張力算出工程S5とは、牽引工程S2が完了した後に実施する必要はなく、牽引工程S2と、固定端変位測定工程S3と、緊張端変位測定工程S4と、緊張力算出工程S5とを並行して実施することもできる。
固定端変位測定工程S3において、パーソナルコンピューター等の外部機器へ、変位計の測定値を出力している場合には、緊張端変位測定工程S4や、緊張力算出工程S5で測定、算出した緊張端の変位や、緊張材に加えた緊張力の情報も、係る外部機器へ出力可能に構成することが好ましい。外部機器へ緊張端の変位や、緊張材に加えた緊張力の情報を出力し、外部機器がこれらの情報を取り込めるように構成することで、例えば以下の作図工程をこれらの外部機器により自動的に実施させることも可能になる。
(作図工程)
作図工程S6では、緊張管理図を作図することができる。
図11に緊張管理図の構成例を示す。図11中、L1は用いる緊張材の構成等から算出される上限線を、L2は用いる緊張材の構成等から算出される下限線を表している。
固定端変位測定工程S3および緊張端変位測定工程S4で測定した緊張材の固定端、緊張端の変位量から、牽引工程S2による、緊張材の伸び量を算出する。そして、緊張材の伸び量と、緊張力算出工程S5で算出した緊張材に導入した緊張力との関係を示すプロットP1を、図11の緊張管理図にプロットすることで、緊張管理図を作成することができる。
作図工程S6の後、さらに任意の工程を有することもできる。
牽引工程S2と、固定端変位測定工程S3と、緊張端変位測定工程S4と、緊張力算出工程S5とは、緊張材に導入する緊張力が目標値に達するまでは繰り返し実施することもできる。このため、作図工程S6の後、さらに緊張力判定工程S7を実施し、導入した緊張力が目標値に達したかを判定することができる。
そして、緊張力判定工程S7で緊張材に導入した緊張力が目標値に達していないと判定した場合には、牽引工程S2に戻り、牽引工程S2~作図工程S6を実施し、緊張管理図にプロットを追加していくことができる。
また、緊張力判定工程S7において緊張材に導入した緊張力が目標値に達したと判定した場合には、ジャッキによる緊張材に対する緊張力の導入を終了し、緊張端を固定し、プレストレスト・コンクリート構造物の製造を完了することができる。
本実施形態の緊張管理図の作成方法によれば、固定端変位測定工程S3において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の固定端の変位を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、作図工程S6で算出する緊張材の伸び量をより正確に評価することができ、正確な緊張管理図を得ることが可能なる。その結果、プレストレスト・コンクリート構造物に加える緊張力を適切に管理することができる。
また、本実施形態は、変位計32により、緊張材12の固定端121の端面を測定する場合に限らず、図12に示されるように、緊張材12の固定端121側を把持する定着具15のオスコーン152の位置を測定するものであってもよい。オスコーン152の変位を、緊張材12の固定端121の変位として近似しても、本発明の効果を得ることができるからである。