以下、図面とともに本発明に係る緊張管理システム及び緊張管理方法の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る緊張管理システム10を用いるPC部材製造システム100の構成を示す図である。PC部材製造システム100は、ポストテンション方式により、コンクリート部材2に圧縮応力であるプレストレスを導入し、PC部材を製造するシステムである。ポストテンション方式とは、硬化後のコンクリート部材2にプレストレスを導入する方式である。
コンクリート部材2には、内部に筒状のシース4を介してPC鋼材3が配置されている。コンクリート部材2は、例えば、シース4を介してPC鋼材3を予め配置しておき、コンクリートを打設することによって得られる。コンクリート部材2は、例えば、橋桁部材である。PC鋼材3は、複数本ずつまとまった状態とされたPC鋼より線(ストランド)であってもよい。
図2は、図1に示されるコンクリート部材2の一例としての橋桁部材2Aの構成を示す斜視図である。橋桁部材2Aは、箱型であり、下床板41と、下床板41に平行で且つ下床板41より幅広の上床板42と、2つのウェブ43と、を備えている。ウェブ43は、下床板41の幅方向両端部から垂直に立ち上がり、上床板42を支えている。橋桁部材2Aには、上床板42の内部に、いわゆる内ケーブルとして、多数のPC鋼材3が配置されている。上床板42の厚さは、例えば、数十cmである。なお、簡単のため、シース4(図1参照)の図示を省略する。
橋桁部材2Aの幅方向に沿って配置されたPC鋼材3は、いわゆる横締めPC鋼材である。橋桁部材2Aの長さ方向に沿って配置されたPC鋼材3は、いわゆる縦締めPC鋼材である。橋桁部材2Aは、これらのPC鋼材3がそれぞれ緊張することにより、プレストレスが導入されて、引張強度が向上する。
図1に戻って説明を続ける。PC部材製造システム100は、センサユニット20A,20Bと、油圧ジャッキ5A,5Bと、油圧ホース6A,6Bと、ポンプ7A,7Bとを含んで構成されている。PC部材製造システム100は、図示しない警告ランプを含んで構成されていてもよい。PC鋼材3の一端3a側及び他端3b側には、油圧ジャッキ5A,5BがPC鋼材3の軸方向に対向し、コンクリート部材2を挟み込むようにして設けられている。
油圧ジャッキ5A,5Bは、シリンダ51A,51Bと、シリンダ51A,51B内を軸方向に沿って可動なラム52A,52Bとを有している。ラム52Aには、PC鋼材3の一端3a側が固定され、ラム52Bには、他端3b側が固定されている。ポンプ7A,7Bは、オイルの吐出口71A,71Bを有している。油圧ジャッキ5A,5Bは、油圧ホース6A,6Bによってポンプ7A,7Bの吐出口71A,71Bとそれぞれ接続されている。緊張管理システム10は、センサユニット20A,20Bと、油圧ジャッキ5A,5Bと、油圧ホース6A,6Bと、ポンプ7A,7Bとの少なくともいずれかを含んで構成されていてもよい。
図3は、図1に示される油圧ジャッキ5A,5Bの断面図である。油圧ジャッキ5A,5Bは、いずれも従来の油圧ジャッキと同様の構成を有している。図1及び図3に示されるように、油圧ジャッキ5A,5Bは、コンクリート部材2の外表面上で、コンクリート部材2から突出したPC鋼材3に取り付けられている。油圧ジャッキ5A,5Bのコンクリート部材2側には、定着具8A,8Bが設けられている。定着具8A,8Bは、コンクリート部材2の外表面に接して設けられた支圧板81A,81Bと、定着用スリーブ82A,82Bと、定着用スリーブ82A,82B内に収容された定着用グリップ83A,83Bと、を有している。定着具8A,8Bは、内部を貫通するPC鋼材3を、PC鋼材3の緊張力を維持したまま保持固定することができる。
ラム52A,52Bは、PC鋼材3を貫通させるための内周面の周方向に設けられた溝である緊張用スリーブ53A,53Bを有している。油圧ジャッキ5A,5Bは、更に緊張用スリーブ53A,53B内に収容された緊張用グリップ54A,54Bと、定着用グリップ83A,83Bに隣り合うように設けられたコッター55A,55Bと、回り止め56A,56Bと、を有している。コッター55A,55Bは油圧により軸方向に沿って可動な小さな油圧ジャッキとして機能する。
定着用グリップ83A,83B及び緊張用グリップ54A,54Bは、いずれもコンクリート部材2側でPC鋼材3の直径方向の厚さが小さくなる複数のくさび型部材からなる。これに対応して、定着用スリーブ82A,83B及び緊張用スリーブ53A,53Bは、いずれもコンクリート部材2側で内周が小さくなるように形成されている。
油圧によりラム52A,52Bが軸方向に沿ってコンクリート部材2から離れる方向に移動すると、緊張用グリップ54A,54Bが緊張用スリーブ53A,53B内をコンクリート部材2側に移動する。これにより、緊張用グリップ54A,54Bが内部を貫通するPC鋼材3を挟み付けて保持固定する。更に、ラム52A,52Bが移動を続けることにより、PC鋼材3が引っ張られて緊張する。PC鋼材3を定着する際は、油圧によりコッター55A,55Bが定着用グリップ83A,83Bを軸方向に沿ってコンクリート部材2側に押圧する。これにより定着用グリップ83A,83Bが定着用スリーブ82A,82Bに食い込み、内部を貫通するPC鋼材3を挟み付けて保持固定する。この結果、定着具8A,8BがPC鋼材3をコンクリート部材2に定着させる。
図1に戻って説明を続ける。ポンプ7A,7Bは、ハンドルレバー72A,72Bを更に有している。ポンプ7A,7Bは、ハンドルレバー72A,72Bがオペレーターに操作されることにより、加圧状態、減圧状態、及び中立状態のいずれかの状態に設定される。加圧状態とは、オイルを油圧ジャッキ5A,5Bに供給しており、オイルの圧力が上昇している状態である。減圧状態とは、オイルが油圧ジャッキ5A,5Bから供給されており、オイルの圧力が下降している状態である。中立状態とは、加圧状態でも減圧状態でもない状態であって、油圧ジャッキ5A,5Bとの間でオイルの行き来がない状態である。中立状態となった後、一定の時間が経過するとオイルの圧力が安定する。
ポンプ7A,7Bは、加圧状態のとき、油圧ホース6A,6Bを介して油圧ジャッキ5A,5Bにオイルを供給することで、油圧ジャッキ5A,5B内のオイルを加圧し、油圧ジャッキ5A,5Bを作動させる。油圧ジャッキ5A,5Bは、油圧ジャッキ5A,5B内のオイルが加圧されることにより、ラム52A,52Bをコンクリート部材2から離れる方向に移動させ、これに伴ってPC鋼材3を軸方向に緊張させる。なお、このようにPC鋼材3を軸方向の両側から牽引(両引き)してもよいし、PC鋼材3の片側から牽引(片引き)してもよい。片引きの場合、PC鋼材3の一端3a側及び他端3b側のいずれか一方は、PC鋼材3が定着具8A,8Bによりコンクリート部材2に定着される。
センサユニット20Aは、PC鋼材3の一端3a側に配置される。センサユニット20Bは、PC鋼材3の他端3b側に配置される。センサユニット20A,20Bは、圧力センサ21A,21Bと、変位センサ22A,22Bと、をそれぞれ有している。圧力センサ21A,21Bは、ポンプ7A,7Bの吐出口71A,71Bに設けられ、この部分におけるオイルの圧力を連続的に測定し、測定データを緊張管理システム10に出力する。圧力センサ21A,21Bは、液体の圧力を感圧素子で計測して電気信号に変換する圧力変換器である。
変位センサ22A,22Bは、PC鋼材3の軸方向の変位(伸び量)を連続的に測定し、測定データを緊張管理システム10に出力する。変位センサ22A,22Bには、例えば、パルス式変位センサ、巻き込み式変位センサ、デジタルノギス等が用いられる。本実施形態では、パルス式変位センサを採用している。変位センサ22A,22Bは、緊張側では、例えば、ストランドの特定位置(緊張に応じて変位する位置)と、油圧ジャッキ5A,5Bのシリンダ51A,51B上の特定位置(緊張に応じて変位しない位置)との間の距離が測定できるように固定金具によって固定されて設けられる。一方、定着具により定着される固定側では、例えば、ストランドの特定位置(緊張に応じて変位しない位置)と、定着具の支圧板(緊張に応じて変位する位置)との間の距離が測定できるように設けられる。
また、変位センサ22A,22Bは、図3に示すように、緊張側では支圧板81A,82Bの油圧ジャッキ5A,5B側の面(緊張に応じて変位しない位置)と、緊張用グリップ54A,54Bのコンクリート部材2から遠い方の端部(緊張に応じて変位する位置)との間の区間aの距離を測定してもよい。
PC部材製造システム100では、PC鋼材3に1本ずつ順番に油圧ジャッキ5A,5Bを取り付け、ポンプ7A,7Bを加圧状態としてPC鋼材3を緊張させることにより緊張作業が行われる。緊張作業が終了すると、ポンプ7A,7Bを減圧状態としてPC鋼材3を解放し、まだ緊張作業が行われていない次のPC鋼材3に油圧ジャッキ5A,5B等を移し替え(盛り替え)、再び緊張作業が行われる。このように全てのPC鋼材3についての緊張作業が終了するまで、繰り返し油圧ジャッキ5A,5Bの盛り替え及び緊張作業が行われることにより、PC部材が製造される。
従来のPC部材製造システムでは、本実施形態に係るPC部材製造システム100と同様のセンサユニット、油圧ジャッキ、油圧ホース、及びポンプを備え、上述のように、緊張の途中段階においてPC鋼材に加わる緊張力を正確に計測するため、計測作業の度にポンプを中立状態に保つ作業が行われている。これにより、PC鋼材に加わる緊張力及びPC鋼材の伸び量を計測して、横軸がPC鋼材の伸び量であって、縦軸がPC鋼材に加わる緊張力である緊張管理図を作成し、緊張管理図を用いたPC鋼材の緊張管理が行われている。
従来のPC部材製造システムの緊張作業では、具体的には、まずポンプが加圧状態とされ、油圧ジャッキによりPC鋼材に弛みがなくなる程度の緊張力が加えられる。このとき油圧ジャッキによりPC鋼材に加わる緊張力を予備緊張力という。続いて、ポンプが中立状態とされ、予備緊張力及び予備緊張力によるPC鋼材の伸び量が計測される。ここで、初期設定として、予備緊張力によるPC鋼材の伸び量を0(ゼロ)に補正する処理(第1ゼロ補正処理)が行われ、補正後の測定データが緊張管理図にプロットされる。予備緊張力は、通常、例えば、5MPa程度である。
予備緊張力及び予備緊張力によるPC鋼材の伸び量が測定された後、再びポンプが加圧状態とされ、緊張作業が続けられる。ポンプは、緊張作業の途中段階で、PC鋼材に加わる緊張力及びPC鋼材の伸び量の計測作業のために複数回にわたり中立状態とされながら、油圧ジャッキによりPC鋼材に加わる緊張力を引き上げる。PC鋼材に加わる緊張力が最終緊張力に至ると、ポンプは中立状態とされ、PC鋼材を定着具によりコンクリート部材に定着させる定着処理が行われる。つまり、最終緊張力とは、油圧ジャッキによる緊張終了時にPC鋼材に加えられる緊張力である。また、緊張終了時のPC鋼材の伸び量は、最終伸び量である。最終緊張力の設計値Dσ(図6参照)及び最終伸び量の設計値DL(図6参照)は、PC鋼材毎に異なり、設計によって予め決定される。定着処理後、ポンプが減圧状態とされて緊張作業が終了する。
本発明者らは、従来のPC部材製造システムにおいて、緊張作業中にポンプの吐出口におけるオイルの圧力とPC鋼材に加わる緊張力との間に生じる圧力差についての調査を行った。本調査では、2基の圧力センサを油圧ホースのポンプ側(即ち、ポンプの吐出口)と油圧ジャッキ側の両端に取り付け、緊張作業中に両方のオイルの圧力を連続して計測した。通常の緊張作業と同様に、緊張作業の途中段階で複数回にわたりポンプを中立状態とした。
図4は、油圧ホース6A,6B両端での緊張作業中の圧力の時間推移を示すグラフである。図4において、taで示される部分では、ポンプは加圧状態であり、tbで示される部分では、ポンプは中立状態であり、tcで示される部分では、ポンプは減圧状態である。ポンプが加圧状態のとき、ポンプ側及び油圧ジャッキ側のオイルの圧力は、時間経過に伴って共に上昇する。このとき、ポンプ側のオイルの圧力が油圧ジャッキ側のオイルの圧力よりも2MPa程度高い状態が保たれている。ジャッキ側のオイルの圧力は、ポンプを中立状態とすると、時間経過に伴って緩やかに低下し、やがて一定値に近づく。一方、ポンプ側のオイルの圧力は、ポンプを中立状態とすると、一気に低下してジャッキ側のオイルの圧力と一致する。ポンプ側のオイルの圧力は、その後、ジャッキ側のオイルの圧力と同様に時間経過に伴って緩やかに低下し、やがて一定値に近づく。このことから、ポンプが加圧状態のときは、油圧ホース内でオイルの圧力損失が生じており、ポンプが中立状態のときは、油圧ホース内でオイルの圧力損失が生じていないことがわかる。
PC鋼材に加わる緊張力を正確に計測するため、緊張の途中段階におけるオイルの圧力は、ポンプがこのような中立状態を保つことによって一定値に近づいた後に計測される。即ち、ポンプが中立状態を保つことによって一定値となったオイルの圧力は、PC鋼材に加わる緊張力として計測される。同様の計測を複数回行ったところ、計測されるPC鋼材に加わる緊張力と、ポンプが中立状態とされる直前のポンプ側のオイルの圧力との圧力差は概ね一定であり、ポンプ側のオイルの圧力が高いほどわずかに高くなることが明らかになった。また、当該圧力差は、オイルの温度変化等によっても影響を受けることが明らかになった。
ここで、ポンプが加圧状態であっても、油圧ホースのジャッキ側のオイルとPC鋼材との間には、大きな圧力差を生じさせる要因が特になく、油圧ホースのジャッキ側のオイルの圧力とPC鋼材に加わる緊張力とは、概ね等しくなると考えられる。したがって、緊張作業中における油圧ホースの両端間のオイルの圧力差が有する傾向は、油圧ホースのポンプ側のオイルの圧力とPC鋼材に加わる緊張力との間の圧力差にも反映されると考えられる。
このような知見に基づき、実施形態に係るPC部材製造システム100は、更に緊張管理システム10を備えている。緊張管理システム10は、ポンプ7A,7Bによるオイルの供給が行われているとき(ポンプが加圧状態であるとき)の、ポンプ7A,7Bの吐出口71A,71Bにおけるオイルの圧力(以下、供給中圧力と称する)から、補正量を引いた値をPC鋼材3に加わる緊張力(以下、緊張力と称する)として算出することができるように構成されている。
ポンプ7A,7Bによるオイルの供給を中断する直前の供給中圧力と、ポンプ7A,7Bによるオイルの供給を中断した状態を保つことによって一定値に近づいた後に計測される圧力(中断後圧力)との圧力差は、概ね一定であることから、緊張管理システム10は、ある供給中圧力に対して算出した当該圧力差を、全供給中圧力に対する補正量として用いてもよい。また、当該圧力差は、供給中圧力が高いほどわずかに高くなることから、緊張管理システム10は、供給中圧力と圧力差との関係を求め、当該関係式を用いて供給中圧力に応じた圧力差を当該補正量としてもよい。更に、当該圧力差は、オイルの温度変化等によっても影響を受けることから、例えば、図2に示されるような複数のPC鋼材3に対して1本ずつ順に緊張作業を行うに際して、緊張管理システム10は、PC鋼材3の1本ずつに対して、当該関係を得るようにしてもよい。これにより、補正量に対するオイルの温度変化等による影響を防ぐことができる。
緊張管理システム10は、例えば、図2に示されるような複数のPC鋼材3に対して1本ずつ順に緊張作業が行われるに際して、PC鋼材3の1本ずつに対して、供給中圧力と圧力差との関係を求め、当該関係式を用いて供給中圧力に応じた圧力差を当該補正量に決定する。当該関係は、1本前のPC鋼材3の緊張作業において、緊張力が最終緊張力のときに、ポンプ7A,7Bが加圧状態から中立状態とされることにより生じる圧力差(最終緊張圧損)と、緊張力が予備緊張力のときに、ポンプ7A,7Bが加圧状態から中立状態とされることにより生じる圧力差(予備緊張圧損)と、を用いて求める。当該関係の求め方の詳細は、後述する。
したがって、本実施形態では、図2に示されるような複数のPC鋼材3に対して1本ずつ順に緊張作業が行われるに際して、1本目のPC鋼材3に対する緊張作業は、従来のPC部材製造システムと同様に行われる。即ち、緊張作業の途中段階で複数回にわたりポンプ7A,7Bを中立状態に保ち、緊張力及び伸び量を計測しながら、緊張管理図が作成される。緊張管理システム10は、緊張力が予備緊張力及び最終緊張力のときに、予備緊張圧損及び最終緊張圧損を算出する。
2本目以降のPC鋼材3に対する緊張作業では、まずポンプ7A,7Bが加圧状態とされ、PC鋼材3に予備緊張力が加えられる。続いて、ポンプ7A,7Bが中立状態とされ、予備緊張力及び伸び量が計測される。このとき、緊張管理システム10は、予備緊張圧損を算出する。更に、緊張管理システム10は、当該予備緊張圧損と、1本前のPC鋼材3の緊張作業において算出した最終緊張圧損とを用いて、供給中圧力と圧力差との関係を求める。続いて、ポンプ7A,7Bが加圧状態とされ、緊張力が最終緊張力に至るまで引き上げられる。この間、緊張管理システム10により供給中圧力から緊張力が算出される共に、伸び量が計測され、緊張管理図が作成される。緊張力が最終緊張力に至ると、ポンプ7A,7Bが中立状態とされ、最終緊張力及び伸び量が計測される。このとき、緊張管理システム10は、最終緊張圧損を算出する。
このようにPC部材製造システム100は、緊張管理システム10を備えることにより、2本目以降のPC鋼材3に対する緊張作業では、緊張力が予備緊張力及び最終緊張力以外のときにポンプ7A,7Bを中立状態に保つ必要がない。このため、緊張作業の作業効率の向上を図ることができる。なお、緊張管理システム10は、1本目のPC鋼材3に対する緊張作業で予備緊張圧損を算出しない構成であってもよい。緊張管理システム10は、2本目以降の全てのPC鋼材3に対する緊張作業で同様に予備緊張圧損を算出する構成であるため、構成を簡単にすることができる。なお、PC部材製造システム100の動作の詳細は、図7に示されるフローチャートを参照して後述する。
以下、図1及び図5を参照して緊張管理システム10について説明する。図1に示されるように、緊張管理システム10は、PLC(Programmable Logic Controller)(PLCBOX)31A,31Bと、パソコン(パーソナルコンピュータ)40と、を備えている。
PLC31A,31Bは、入力したデータに対してデータ処理を行い、データ処理後のデータを出力することができるデータ変換ユニットを構成している。PLC31A,31Bは、図示しない内部メモリ及びCPUを有している。PLC31Aは、パソコン40と接続されている。PLC31A,31Bは、アンテナ32A,32Bを有し、互いに無線で通信を行っている。PLC31Aは、センサユニット20Aに接続されている。即ち、PLC31Aは、圧力センサ21A及び変位センサ22Aにそれぞれ接続されている。PLC31Bは、センサユニット20Bに接続されている。即ち、PLC31Bは、圧力センサ21B及び変位センサ22Bにそれぞれ接続されている。
本実施形態では、PLC31Aが主となってパソコン40からの指示の入力、並びに、センサユニット20A,20Bから出力される測定データの記憶、及び当該測定データのパソコン40への転送等の処理を行う。PLC31Bは、常にPLC31Aと無線で通信し、パソコン40からの指示の入力、及びセンサユニット20Bの測定データの転送等を行う。なお、PLC31Aの処理の一部をPLC31Bで行うようにしてもよい。また、PLC31A,31Bは、データロガー等とすることもできる。データロガーは、より多くのデータを高速で計測する。PLC31A,31Bは、制御プログラムを必要とするものの、データロガーよりも安価である。
PLC31A,31Bは、緊張作業が両引きで行われる場合は、圧力センサ21A,21Bによるオイルの圧力の測定データ、及び変位センサ22A,22Bによる変位の測定データを全てパソコン40に転送する。なお、圧力センサ21A,21Bによるオイルの圧力の測定データは、原理的には同じとなるはずである。したがって、PC鋼材3の緊張管理には、いずれかの測定データが用いられる。また、変位の測定データについては、変位センサ22A,22Bによる変位の測定データを足し合わせたものが用いられる。
一方、片引きで行われる場合は、PLC31A,31Bは、圧力センサ21A,21Bのうち緊張側の圧力センサによるオイルの圧力の測定データ、及び変位センサ22A,22Bによる変位の測定データをパソコン40に転送する。なお、片引きの場合に固定側で測定される圧力は、シース4との摩擦等によって生じる圧力損失のため、緊張側で測定される圧力以下となる。このため、PC鋼材3の緊張管理には、PC鋼材3に加わる緊張力に近いとして、緊張側の圧力の測定データを用いられる。また、変位の測定データについては、固定側でも定着具とコンクリート部材2との馴染み等により若干の変位が発生するため、緊張側及び固定側の変位の測定データがパソコン40に転送され、両者を足し合わせたものがPC鋼材3の緊張管理に用いられる。ここで、固定側の変位は、マイナス量とした上で、足し合わされる。また、固定側ではウェッジのめり込み量もマイナス量の変位として扱われる。
パソコン40は、図示しない計測開始ボタン、プロットボタン、定着ボタン、緊張管理図作成ボタン、及びディスプレイを有している。これらのボタンは、例えば、物理的な外部ボタンであってもよいし、ソフトウエアで実現されるボタンであってもよい。これらのボタンは、例えば、オペレーターによって操作される。パソコン40は、これらのボタンが操作されると、それぞれのボタンに応じた処理を行う。
図5は、図1に示される緊張管理システム10の機能構成を示す図である。緊張管理システム10は、機能的な構成要素として、中断後情報入力部11と、圧力差算出部12と、補正量決定部13と、供給中情報入力部14と、緊張力算出部15と、出力部16と、制御部17と、を備えている。中断後情報入力部11と、圧力差算出部12と、補正量決定部13と、供給中情報入力部14と、緊張力算出部15とは、PLC31A,31Bにより実現されている。出力部16と、制御部17とは、パソコン40により実現されている。
中断後情報入力部11は、ポンプ7A,7Bによるオイルの供給が行われているときの、ポンプ7A,7Bの吐出口71A,71Bにおけるオイルの圧力である供給中圧力が所定圧力となったときに、ポンプ7A,7Bによるオイルの供給が中断された後の、ポンプ7A,7Bの吐出口71A,71Bにおけるオイルの圧力である中断後圧力を示す情報を入力する。特に本実施形態では、中断後情報入力部11は、所定圧力を第1圧力及び第2圧力としたときのそれぞれについて中断後圧力を示す情報を入力する。また、中断後情報入力部11は、緊張終了時において第1圧力に対する中断後圧力を示す情報を入力すると共に、第1圧力に対する中断後圧力に係るPC鋼材とは異なるPC鋼材を緊張させる際に第2圧力に対する中断後圧力を示す情報を入力する。
具体的には、中断後情報入力部11は、1本目以降のPC鋼材3の緊張作業において、ポンプ7A,7Bが加圧状態とされることにより、PC鋼材3に最終緊張力が加わったときに、ポンプ7A,7Bが中立状態とされた後の中断後圧力の値として、圧力センサ21A,21Bから最終緊張力の値を入力する。中断後情報入力部11は、続く2本目以降の異なるPC鋼材3の緊張作業において、ポンプ7A,7Bが加圧状態とされることにより、PC鋼材3に予備緊張力が加わったときに、ポンプ7A,7Bが中立状態とされた後の中断後圧力の値として、圧力センサ21A,21Bから予備緊張力の値を入力する。中断後情報入力部11は、入力した予備緊張力の値及び最終緊張力の値を中断後圧力の値として圧力差算出部12及び補正量決定部13に出力する。
供給中圧力は、ポンプ7A,7Bが加圧状態のときに圧力センサ21A,21Bにより計測される圧力であり、図4に示されるように、供給中圧力と中断後圧力として計測される緊張力との間には、圧力差が存在する。したがって、PC鋼材3に予備緊張力が加わったときの供給中圧力である所定圧力(第2圧力)は、この予備緊張力に圧力差が加わった圧力である。また、1本前のPC鋼材3の緊張作業においてPC鋼材3に最終緊張力が加わったときの供給中圧力である所定圧力(第1圧力)は、この最終緊張力に圧力差が加わった圧力である。ポンプ7A,7Bの加圧状態とは、供給中圧力が上昇している状態であるから、当該所定圧力は、それぞれ中断後情報入力部11が予備緊張力の値及び最終緊張力の値を入力した時点までに計測された供給中圧力の中で、最も大きな圧力値であるピーク値である。
圧力差算出部12は、所定圧力と、中断後情報入力部11によって入力される情報によって示される中断後圧力との圧力差を算出する。特に本実施形態では、圧力差算出部12は、第1圧力及び第2圧力と、第1圧力及び第2圧力それぞれに対して中断後情報入力部11によって入力された情報によって示される中断後圧力との圧力差それぞれを算出する。
具体的には、圧力差算出部12は、中断後情報入力部11から、中断後圧力の値として予備緊張力の値及び最終緊張力の値を入力する。圧力差算出部12は、予備緊張力の値及び最終緊張力の値を入力すると、それぞれに対応する所定圧力の値として、中断後情報入力部11が予備緊張力の値及び最終緊張力の値を入力した時点までに計測された供給中圧力の中で、最も大きな圧力値であるピーク値を内部メモリからそれぞれ取得する。
圧力差算出部12は、予備緊張力及び最終緊張力と、それぞれ対応するピーク値の供給中圧力との圧力差、即ち、予備緊張圧損の値及び最終緊張圧損の値を算出し、補正量決定部13に出力する。当該所定圧力は、上述のように、中断後情報入力部11が予備緊張力の値及び最終緊張力の値を入力した時点までに計測された供給中圧力のピーク値である。したがって、当該圧力差は、ポンプ7A,7Bによるオイルの供給が所定時間中断される前後において、圧力センサ21A,21Bが示す測定値差に相当する。
補正量決定部13は、圧力差算出部12によって算出される圧力差に基づき、PC鋼材3に加わる緊張力を算出するための補正量を決定する。特に本実施形態では、補正量決定部13は、所定圧力と圧力差算出部12によって算出された圧力差との関係を補間により求め、供給中情報入力部14によって入力される情報によって示される供給中圧力に対する補正量を関係から得られる圧力差に決定する。
具体的には、補正量決定部13は、1本目以降のPC鋼材3に対する緊張作業において圧力差算出部12から最終緊張圧損の値が入力された後、続く2本目以降のPC鋼材3に対する緊張作業において予備緊張圧損の値が入力されると、これらの値と、中断後情報入力部11から入力した予備緊張力の値及び最終緊張力の値を用いて、ピーク値と中断後圧力との圧力差及びピーク値(所定圧力)の関係を線形補間により求める。まず、圧力差をYとし、ピーク値をXとしたときに、YはXの一次式で下記のように表せるとする。
Y=αX+β
予備緊張力をP2、予備緊張圧損をΔP2、中断後情報入力部11が予備緊張力の値を入力した時点までに計測された供給中圧力のピーク値をPK2、1本前のPC鋼材3の緊張作業における最終緊張力をP1、及び最終緊張圧損をΔP1、中断後情報入力部11が最終緊張力の値を入力した時点までに計測された供給中圧力のピーク値をPK1とすると、ΔP1,ΔP2は下記のように表すことができる。
ΔP1=PK1−P1=αP1+β
ΔP2=PK2−P2=αP2+β
緊張力が1MPa上昇するときの圧損の変化量α、及び緊張力が0MPaのときの圧損βは、それぞれ下記のように計算することができる。
α=(ΔP1−ΔP2)/(P1−P2)
β=ΔP2−αP2
したがって、線形補間により求めた圧力差Y及び供給中圧力のピーク値Xの関係は、下記のようになる。
Y=ΔP2+(X−P2)×α
補正量決定部13は、供給中情報入力部14から、供給中圧力の値を入力する。補正量決定部13は、上記で求めた関係を用い、入力した供給中圧力の値をXとして、圧力差Yを算出する。補正量決定部13は、算出した圧力差Yを、入力した供給中圧力に対する補正量として決定する。補正量決定部13は、PC鋼材3に加わる緊張力を算出するための補正量として、このように決定された補正量を緊張力算出部15に出力する。
供給中情報入力部14は、供給中圧力を示す情報を入力する。具体的には、供給中情報入力部14は、圧力センサ21A,21Bの測定値を供給中圧力の値として入力し、当該供給中圧力の値を緊張力算出部15及び補正量決定部13に出力する。
緊張力算出部15は、補正量決定部13によって決定される補正量を用い、供給中情報入力部14によって入力される情報によって示される供給中圧力から、PC鋼材3に加わる緊張力を算出する。特に本実施形態では、緊張力算出部15は、供給中圧力から補正量を引いた値をPC鋼材3に加わる緊張力として算出する。
具体的には、緊張力算出部15は、補正量決定部13から補正量を入力すると共に、供給中情報入力部14から供給中圧力の値を入力すると、供給中圧力から補正量を引くことによりPC鋼材3に加わる緊張力の値を算出し、出力部16に出力する。より具体的には、緊張力算出部15は、当該補正量を用いて緊張力に対応する供給中圧力を算出する。詳細は、後述する。
出力部16は、緊張力算出部15によって算出される緊張力を示す情報を出力する。具体的には、出力部16は、緊張力算出部15から緊張力の値が入力されると、当該緊張力の値を出力する。出力先は、例えば、制御部17、図示しないディスプレイとすることができる。
制御部17は、PC部材製造システム100を全体的に統括制御している。制御部17は、例えば、緊張管理図の作成及び緊張管理図を用いたPC鋼材3の緊張管理等を行う。制御部17のこのような動作方法は、従来のPC部材製造システムにおける方法と同様である。特に、1本目のPC鋼材3に対する緊張作業は、従来のPC部材製造システムと同様に行われる。緊張管理図の全てのプロット用データは、ポンプ7A,7Bを中立状態に保った状態で計測される。2本目以降のPC鋼材3の緊張作業では、緊張管理図のプロット用データは、緊張力が予備緊張力及び最終緊張力以外のときは、センサユニット20A,20Bによって出力される伸び量の測定データ及び出力部16によって出力される緊張力の値が用いられる。緊張力が予備緊張力及び最終緊張力のときは、ポンプ7A,7Bが中立状態でセンサユニット20A,20Bによって出力される伸び量及び緊張力(予備緊張力及び最終緊張力)の測定データが用いられる。
ここで、図6を参照して、制御部17によるPC鋼材3の緊張管理について説明する。図6は、制御部17によるPC鋼材3の緊張管理について説明するグラフである。
制御部17によるPC鋼材3の緊張管理は、例えば、(1)緊張力の現在値が絶対上限圧力以下であるか否か、(2)伸び量の現在値の第2ゼロ補正処理後の値及び緊張力の現在値のいずれか一方が管理範囲内のときに、他方が管理範囲内であるか否か、及び、(3)緊張管理図にプロットされた測定データを最小二乗法で結んだ直線S0の傾きが規定範囲内であるか否か、の各項目について判断を行うことによってなされている。第2ゼロ補正処理については、後述する。
制御部17は、これらの各項目についての判断結果を、例えば、警告ランプを用いてオペレーターに伝える。これによりオペレーターは、適切なタイミングでポンプ7A,7Bを減圧状態とし、緊張作業を終了させることができる。制御部17がこれらの判断を行うために、絶対上限圧力、及び管理範囲(引止線)が規定される。制御部17は、例えば、PLC31A,31Bからプロット用データを入力するたびに、緊張管理図にプロットを行うと共に、これらの判断を行う。各項目について以下に説明する。
(1)絶対上限圧力は、緊張力の絶対上限であり、緊張作業前に制御部17に入力される。入力作業は、例えば、オペレーターが行う。この例では、絶対上限圧力は、67MPaである。制御部17は、出力部16から緊張力の現在値を入力し、上記(1)の判断を行い、緊張力の現在値が絶対上限圧力を超えたと判断した場合、例えば、赤色の警告ランプを点灯させて、オペレーターに緊張作業に異常があることを伝える。これによりオペレーターは、適切なタイミングでポンプ7A,7Bを減圧状態とし、緊張作業を終了させることができる。緊張作業中に緊張力が絶対上限圧力を超えるということは、圧力センサ21A,21B、変位センサ22A,22B、ポンプ7A,7B及び油圧ジャッキ5A,5B等に異常があり、圧力及び変位が正確に測定されていない場合や、オイルの圧力が増しても十分な伸びが得られない場合等が考えられる。なお、制御部17は、出力部16以外(例えば、中断後情報入力部11)から入力した緊張力の現在値についても、同様の判断を行う。
(2)管理範囲は、伸び量管理範囲及び圧力管理範囲からなる。伸び量管理範囲は、緊張終了時の伸び量の範囲を定める。圧力管理範囲は、緊張終了時の緊張力、即ち最終緊張力の範囲を定める。伸び量管理範囲及び圧力管理範囲は、それぞれ緊張作業前に制御部17に入力される最終緊張力の設計値Dσ及び最終伸び量の設計値DLに基づき決定される。具体的には、圧力管理範囲は最終緊張力の設計値Dσから+10%の範囲とされ、伸び量管理範囲は最終伸び量の設計値DLから+10%の範囲とされる。例えば、最終緊張力の設計値Dσが59.8(N/mm2)の場合、圧力管理範囲は59.8〜65.8(N/mm2)とされる。また、最終伸び量の設計値DLが79.0(mm)の場合、伸び量管理範囲は79.0〜86.9(mm)とされる。
これらの設計値Dσ、DLは、配置される場所(コンクリート部材2の中央部であるか端部であるか、また、周辺の開口部等があるか否か)によってPC鋼材3毎に値が異なる。したがって、PC鋼材3毎に、PC鋼材3に合せた設計値Dσ、DLが制御部17に入力される。入力作業は、例えば、オペレーターが行う。図6に示すように、圧力が圧力管理範囲の下限値であって、伸び量が伸び量管理範囲に対応する部分には、伸び量引止線R1が設定される。また、伸び量が伸び量管理範囲の下限値であって、圧力が圧力管理範囲に対応する部分には、圧力引止線R2が設定される。
ここで、最終緊張力の設計値Dσ、最終伸び量の設計値DL、及び第2ゼロ補正処理について詳しく説明する。これらの設計値Dσ、DLは、緊張力と伸び量との関係が原点(緊張力及び伸び量が共に0となる点)を通る直線で表されることを想定して決定された値である。しかしながら、図6に示すように、プロットされた測定データを最小二乗法で結んだ直線S0は原点を始点としない場合がある。
本実施形態では、プロットされた測定データの伸び量は、上述の従来技術と同様の第1ゼロ補正処理が行われた値である。第1ゼロ補正処理によれば、予備緊張力に対する伸び量が0とされるため、直線S0は通常は原点を通らない。そこで、制御部17は、項目(2)について判断するために、直線S0を緊張管理図の横軸方向に+ΔLだけ平行移動させ、直線S3とする必要がある。第2ゼロ補正処理は、制御部17による補正処理であり、この平行移動のために行われる。制御部17は、直線S0のy切片の値(緊張力が0のときの伸び量の値)から補正量+ΔLを算出する。なお、第1ゼロ補正処理を行わない場合等、第2ゼロ補正処理の補正量が−ΔLとなる場合もある。なお、本実施形態では、第1ゼロ補正処理は、PLC31A,31Bにより行われるが、変位センサ22A,22Bにゼロ点を調整する機能があれば、当該機能により行われてもよいし、制御部17により行われてもよい。
制御部17は、伸び量の現在値及び出力部16から入力した緊張力の現在値からなるプロット用データを用いて、上記(2)の判断を行い、伸び量の現在値の第2ゼロ補正処理後の値及び緊張力の現在値が共に管理範囲内であると判断した場合、例えば、緑色の警告ランプを点灯させて、緊張作業が正常に進んだことをオペレーターに伝える。これによりオペレーターは、適切なタイミングでポンプ7A,7Bを減圧状態とし、緊張作業を終了させることができる。この場合、最終緊張力及び最終伸び量とからなる最終緊張値を示す点Fは、例えば、図6に示されるような位置となる。
一方、制御部17は、伸び量の現在値の第2ゼロ補正処理後の値及び緊張力の現在値のいずれか一方が管理範囲内であるにもかかわらず、他方が管理範囲外であると判断した場合、例えば、赤色の警告ランプを点灯させてオペレーターに異常を伝える。これによりオペレーターは、適切なタイミングでポンプ7A,7Bを減圧状態とし、緊張作業を終了させることができる。具体的には、伸び量の現在値の第2ゼロ補正処理後の値が伸び量管理範囲内であるにもかかわらず、緊張力の現在値が圧力管理範囲外である場合、又は、緊張力の現在値が圧力管理範囲内であるにもかかわらず、伸び量の現在値の第2ゼロ補正処理後の値が伸び量管理範囲内である場合、制御部17は、このような処理を行う。
(3)直線S0の傾きの取り得る範囲は、伸び量引止線R1の伸び量が上限値である点と原点とを結ぶ直線S2の傾きと、圧力引止線R2の圧力が上限値である点と原点とを結ぶ直線S1の傾きとの間の範囲に規定される。制御部17は、直線S0の傾きを求め、当該傾きが規定範囲内であるか否かについて判断を行う。制御部17は、直線S0の傾きが、規定された範囲外となった場合、赤色の警告ランプを点灯させて、オペレーターに緊張作業に異常があることを伝える。これによりオペレーターは、適切なタイミングでポンプ7A,7Bを減圧状態とし、緊張作業を終了させることができる。
具体的には、直線S0の傾きが、直線S1の傾きよりも大きい場合又は直線S2の傾きよりも小さい場合、制御部17は、赤色の警告ランプを点灯させてオペレーターに異常を伝える。これによりオペレーターは、適切なタイミングでポンプ7A,7Bを減圧状態とし、緊張作業を終了させることができる。即ち、緊張力の現在値が最終緊張力の設計値Dσよりも低い場合に、直線S0と傾きが同じで原点を通る直線S3が、直線S1、直線S2、伸び量引止線R1及び圧力引止線R2で囲まれる領域外に存在すると、制御部17は、赤色の警告ランプを点灯させる。
図6に示されるように、直線S0の傾きが規定範囲内であれば、最終緊張力の設計値Dσ及び最終伸び量の予測値ELとからなる最終緊張値の予測値を示す点Eは、伸び量引止線R1上に位置する。一方、直線S0の傾きが規定範囲外であれば、点Eは、伸び量引止線R1上ではない。即ち、緊張力が最終緊張力の設計値Dσに達した際、伸び量が伸び量管理範囲に入らないことが予測される。このため、制御部17は、緊張作業の途中段階における直線S0の傾きを管理している。
続いて、図7のフローチャートを用いて、緊張管理システム10の動作(緊張管理方法)を含むPC部材製造システム100の動作を説明する。ここでは、上述のように、PC部材製造システム100により、図2に示されるような複数のPC鋼材3に対して1本ずつ順に緊張作業を行う例について説明する。1本目のPC鋼材3に対する緊張作業では、全てのプロット用データは、パソコン40のプロットボタンを手動で操作することによって取得される(全手動プロット)。2本目以降のPC鋼材3に対する緊張作業では、予備緊張圧損及び最終緊張圧損の取得時以外は、ポンプ7A,7Bを加圧状態としたまま、中立状態とすることなく、ノンストップで自動的にプロット用データが取得される(中間自動プロット)。
まず、オペレーターは、これから緊張作業を行う1本目のPC鋼材3に対して、油圧ジャッキ5A,5B等を配置する。また、オペレーターは、パソコン40に絶対上限圧力、管理範囲を入力する。緊張作業を開始する準備が整うと、オペレーターは、パソコン40の計測開始ボタンを操作する。これにより、パソコン40からPLC31A,31Bに計測開始指示が出力される(S01)。これと同時に、オペレーターは、ハンドルレバー72A,72Bを操作してポンプ7A,7Bを加圧状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bは加圧状態とされる(S02)。
PLC31A,31Bは、パソコン40から計測開始指示を入力すると、センサユニット20A,20Bから測定データをリアルタイムに収集し、収集した測定データを内部メモリに記憶すると共に、収集した測定データをパソコン40に転送する(S03)。パソコン40は、PLC31A,31Bから転送された測定データをディスプレイに表示する(S04)。オペレーターは、ディスプレイに表示される測定データを見ながら、供給中圧力が予備緊張力に対応する圧力となったことを確認すると、ハンドルレバー72A,72Bを操作する。これにより、ポンプ7A,7Bは中立状態とされる(S05)。なお、予備緊張力、及び予備緊張力に対応する圧力は、オペレーターにより予め決定される。供給中圧力と緊張力との間には圧力差が存在するため、緊張力が予備緊張力となるときの供給中圧力を正確に決定することはできない。しかし、予備緊張力に対応する圧力の正確さは、PC鋼材3の緊張管理に実質的に影響しない。したがって、予備緊張力に対応する圧力は、オペレーターが自らの経験によって、緊張力が予備緊張力となるときの供給中圧力の予想値として大まかに決定してもよい。
続いて、オペレーターは、ポンプ7A,7Bが中立状態となってから、所定時間経過後にパソコン40のプロットボタンを操作する。これにより、パソコン40は、PLC31A,31Bにプロット指示を出力する(S06)。所定時間は、圧力センサ21A,21Bによる測定値が、ポンプ7A,7Bが中立状態とされたことに伴って低下し、一定値に近づくまでの時間である。所定時間は、例えば、10秒間である。PLC31A,31Bは、パソコン40からのプロット指示を入力すると、当該指示を入力したときの測定データをプロット用データとして内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する。このとき、PLC31Aは、変位の測定データについて第1ゼロ補正処理を行い、変位を0(ゼロ)としてパソコン40に転送する。
第1ゼロ補正処理は、PLC31Aが計測開始指示を入力後、初めてプロット指示を入力したときの変位の測定データの値を0(ゼロ)として扱う処理である。具体的には、PLC31Aは、計測開始指示を入力後、初めてプロット指示を入力した場合、変位の測定データの値を第1ゼロ補正処理の補正量に決定し、内部メモリに記憶する。PLC31Aは、プロット用データの変位を0(ゼロ)としてPLC31Aの内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する。PLC31Aは、計測開始指示を入力後、2回目以降のプロット指示を入力した場合、変位の測定データの値から内部メモリに記憶した補正量を引いた値をプロット用データの変位としてPLC31Aの内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する。第1ゼロ補正処理の補正量は、緊張作業を1回行う毎に決定される。第1ゼロ補正処理後の変位は、PC鋼材3の伸び量である。
更に、PLC31A,31Bは、当該プロット指示が、計測開始指示の入力後初めて入力したプロット指示であることをトリガとして、計測開始指示の入力後に計測された圧力のピーク値PP1(所定圧力)を内部メモリから読み出して取得する処理と、プロット指示を入力した時点の圧力を圧力の現在値PPreとして取得する処理と、を行う。(S07)。
圧力のピーク値PP1を取得する処理は、圧力差算出部12が行う。一方、圧力の現在値PPreを取得する処理は、中断後情報入力部11が行う。即ち、中断後情報入力部11は、ポンプ7A,7Bが中立状態とされた後の中断後圧力の値として、圧力センサ21A,21Bから圧力の現在値PPre(中断後圧力を示す情報。ここでは、予備緊張力)を入力する(中断後情報入力ステップ)。中断後情報入力部11は、入力した圧力の現在値PPreを圧力差算出部12及び補正量決定部13に出力する。
PLC31A,31Bは、取得した圧力のピーク値PP1と圧力の現在値PPreとの差を、1本目のPC鋼材3における予備緊張圧損(圧力差)として算出し、算出した当該予備緊張圧損の値を内部メモリに記憶する(S07)。この予備緊張圧損を算出する処理は、圧力差算出部12が行う。即ち、圧力差算出部12は、中断後情報入力部11から、圧力の現在値PPreを入力すると、内部メモリから圧力のピーク値PP1を取得し、圧力のピーク値PP1と圧力の現在値PPreとの差を予備緊張圧損として算出する(圧力差算出ステップ)。圧力差算出部12は、算出した予備緊張圧損を補正量決定部13に出力する。なお、圧力差算出部12が圧力差を算出する度に、内部メモリの圧力のピーク値がリセット(初期化)される。
パソコン40は、PLC31A,31Bからプロット用データが出力されると、当該プロット用データを用いて、ディスプレイ上の緊張管理図にプロットする(予備緊張データのプロット)(S08)。具体的には、変位を横軸、圧力を縦軸とする緊張管理図に対して、変位及び圧力の組からなるデータである当該プロット用データの該当する位置にプロットを行って、ディスプレイに表示する。ここで、制御部17によるPC鋼材3の緊張管理が行われる。具体的には、上述のように、制御部17は、当該プロット用データの緊張力が絶対上限圧力以下であるか否か等について判断し、判断結果に応じて警告ランプを点灯させる。これにより、オペレーター、適切なタイミングでポンプ7A,7Bを減圧状態とし、緊張作業を終了させることができる。制御部17は、プロット用データを入力し、緊張管理図にプロット用データをプロットする度に、このような判断を行う。
オペレーターは、ハンドルレバー72A,72Bを操作し、ポンプ7A,7Bを再び加圧状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bは、再び加圧状態とされる(S09)。PLC31A,31Bは、センサユニット20A,20Bから測定データをリアルタイムに収集し、収集した測定データを内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する処理を続ける(S10)。パソコン40は、PLC31A,31Bから転送された測定データをディスプレイに表示する処理を続ける(S11)。
オペレーターは、ディスプレイに表示される測定データを見ながら、供給中圧力が中間緊張力に対応する圧力となったことを確認すると、ハンドルレバー72A,72Bを操作してポンプ7A,7Bを中立状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bは、中立状態とされる(S12)。中間緊張力は、予備緊張力と最終緊張力との間の緊張力である。中間緊張力は、例えば、5MPa〜10MPa毎に複数設定されている。なお、予備緊張力、及び予備緊張力に対応する圧力と同様に、中間緊張力、及び中間緊張力に対応する圧力は、オペレーターにより予め決定される。また、予備緊張力に対応する圧力と同様に、中間緊張力に対応する圧力の決定には正確さが要求されないため、オペレーターが自らの経験によって、緊張力が中間緊張力となるときの供給中圧力の予想値として大まかに決定してもよい。
続いて、オペレーターは、ポンプ7A,7Bが中立状態となってから、所定時間経過後にパソコン40のプロットボタンを操作する。これにより、パソコン40は、PLC31A,31Bにプロット指示を出力する(S13)。PLC31A,31Bは、パソコン40からのプロット指示を入力すると、当該指示を入力したときの測定データをプロット用データとして内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する(S14)。このとき、変位の測定データについては、第1ゼロ補正処理後にパソコン40に転送する。パソコン40は、PLC31A,31Bからプロット用データを入力すると、当該プロット用データを用いて、ディスプレイ上の緊張管理図にプロットする(S15)。ここで、上述のように、制御部17によるPC鋼材3の緊張管理が行われる。
その後、オペレーターは、ポンプ7A,7Bを再び加圧状態とし、次の中間緊張力でポンプ7A,7Bを中立状態とし、所定時間経過後にパソコン40のプロットボタンを操作するという一連の作業を、供給中圧力が最終緊張力に対応する圧力になるまで繰り返す。PLC31A,31Bは、パソコン40からのプロット指示を入力すると、当該指示を入力したときの測定データをプロット用データとして内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する処理を繰り返す。パソコン40は、PLC31A,31Bにプロット指示を出力し、PLC31A,31Bからプロット用データを入力すると、緊張管理図にプロットする処理を繰り返す。これらの繰り返し処理については、フロー図で省略して示す。
オペレーターは、ポンプ7A,7Bを再び加圧状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bは、再び加圧状態となる(S16)。PLC31A,31Bは、センサユニット20A,20Bから測定データをリアルタイムに収集し、収集した測定データを内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する処理を続ける(S17)。パソコン40は、PLC31A,31Bから転送された測定データをディスプレイに表示する処理を続ける(S18)。
オペレーターは、ディスプレイに表示される測定データを見ながら、供給中圧力が最終緊張力に対応する圧力となったことを確認すると、ハンドルレバー72A,72Bを操作してポンプ7A,7Bを中立状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bは中立状態となる(S19)。なお、ポンプ7A,7Bを中立状態とすると、ポンプ7A,7Bの圧力が圧力管理範囲を下回ることがある。この場合は、再度ポンプ7A,7Bを加圧状態とする処理を繰り返す。なお、最終緊張力は、圧力管理範囲内の圧力であればよい。予備緊張力、及び予備緊張力に対応する圧力と同様に、最終緊張力、及び最終緊張力に対応する圧力は、オペレーターにより予め決定される。また、予備緊張力に対応する圧力と同様に、最終緊張力に対応する圧力の決定には正確さが要求されないため、オペレーターが自らの経験によって、緊張力が最終緊張力となるときの供給中圧力の予想値として大まかに決定してもよい。
続いて、オペレーターは、ポンプ7A,7Bが中立状態となってから、所定時間経過後にパソコン40のプロットボタンを操作する。これにより、パソコン40は、PLC31A,31Bにプロット指示を出力する(S20)。PLC31A,31Bは、パソコン40からのプロット指示を入力すると、当該指示を入力したときの測定データをプロット用データとして内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する(S21)。パソコン40は、PLC31A,31Bからプロット用データが出力されると、当該プロット用データを用いて、ディスプレイ上の緊張管理図にプロットする(S22)。ここで、上述のように、制御部17によるPC鋼材3の緊張管理が行われる。
続いて、オペレーターは、定着ボタンを操作する。これにより、パソコン40は、PLC31A,31Bに定着指示を出力する(S22)。PLC31A,31Bは、パソコン40からの定着指示を入力したことをトリガとして、計測開始指示の入力後に計測された圧力のピーク値Pm1(所定圧力)を内部メモリから読み出して取得する処理と、定着指示を入力した時点の圧力を圧力の現在値PFin(中断後圧力を示す情報)として取得する処理と、を行う(S21)。
圧力のピーク値Pm1を取得する処理は、圧力差算出部12が行う。一方、圧力の現在値PFinを取得する処理は、中断後情報入力部11が行う。即ち、中断後情報入力部11は、ポンプ7A,7Bが中立状態とされた後の中断後圧力の値として、圧力センサ21A,21Bから圧力の現在値PFin(中断後圧力を示す情報。ここでは、最終緊張力)を入力する(中断後情報入力ステップ)。中断後情報入力部11は、入力した圧力の現在値PFinを圧力差算出部12及び補正量決定部13に出力する。
PLC31A,31Bは、取得した圧力のピーク値Pm1と圧力の現在値PFinとの差を、1本目のPC鋼材3における最終緊張圧損(圧力差)として算出し、算出した当該最終緊張圧損の値を内部メモリに記憶する(S21)。この最終緊張圧損を算出する処理は、圧力差算出部12が行う。即ち、圧力差算出部12は、中断後情報入力部11から、圧力の現在値PFinを入力すると、内部メモリから圧力のピーク値Pm1を取得し、圧力のピーク値Pm1と圧力の現在値PFinとの差を最終緊張圧損として算出する(圧力差算出ステップ)。圧力差算出部12は、算出した最終緊張圧損を補正量決定部13に出力する。
続いて、オペレーターは、緊張作業を終えたPC鋼材3を定着具8A,8Bによりコンクリート部材2に定着させる定着処理を行う。具体的には、図3に示すように、コッター55A,55Bにより定着用グリップ83A,83Bを定着用スリーブ82A,82Bに食い込ませ、PC鋼材3を保持固定する。オペレーターは、PC鋼材3を定着させた後、ハンドルレバー72A,72Bを操作してポンプ7A,7Bを減圧状態とする。これによりポンプ7A,7Bは、減圧状態となる(圧抜き)(S23)。
PLC31A,31Bは、パソコン40から定着指示を入力した後、戻り量の収集を行い、収集した戻り量をパソコン40に転送する(S24)。パソコン40は、定着ボタン操作後に戻り量をPLC31A,31Bから入力すると、戻り量をディスプレイに表示する(S25)。オペレーターは、戻り量を確認しながら、圧力が、例えば5MPaになった後、緊張管理図作成ボタンを操作する。パソコン40は、緊張管理図作成指示を入力すると、ディスプレイ上に緊張管理図を作成して表示する(S25)。
ここで、戻り量の収集は、従来技術と同様に行われる。図3に示すように、区間aの距離に基づきPC鋼材3の伸び量を計測する場合、上記S23でポンプ7A,7Bを減圧状態とすることにより、計測される伸び量が減少する。この減少量が戻り量である。戻り量が発生する1つ目の理由は、定着用グリップ83A,83Bと緊張用グリップ54A,54Bとの間の区間bにおけるPC鋼材3の伸びが、ポンプ7A,7Bを減圧状態とすることにより元に戻るためである。区間bの伸びが元に戻ることで、区間bを含む区間aの伸び量がその分減少する。
2つ目の理由は、緊張用グリップ54A,54Bの緊張用スリーブ53A,53Bに対する食い込みが、ポンプ7A,7Bを減圧状態とすることにより、元に戻る(緊張用グリップ54A,54Bが緊張用スリーブ53A,53Bに対してコンクリート部材2から遠ざかる方に移動する)ためである。区間aの伸び量は、緊張用グリップ54A,54Bの食い込みが戻る分、増加する。3つ目の理由は、定着用グリップ83A,83Bはコッター55A,55Bにより既に定着用スリーブ82A,82B側に押し込まれているものの、ポンプ7A,7Bを減圧状態とすることにより、PC鋼材3を保持固定したまま更に定着用スリーブ82A,82Bに食い込むためである。定着用グリップ83A,83Bの食い込みに伴い、PC鋼材3がコンクリート部材2側に戻る分、区間aの伸び量が減少する。
戻り量をL1、1つ目の理由による変位量をL2、2つ目の理由による変化量をL3、及び3つめの理由による変化量をL4とすると、L1=L2−L3+L4の関係となる。圧抜き後のPC鋼材3の伸び量(補正全伸び)を計算するためには、定着用グリップ83A,83Bの食い込み量であるL3(セット量)を算出し、当該L3の値を最終伸び量から差し引く必要がある。L2,L4は、実測することができないため、ディビダーク工法マニュアル等によりPC鋼材3の径と緊張力に応じて予め計算された数値を用いる。
以上のように、全補正伸びを計算するために戻り量の収集が行われる。また、戻り量が急激に増える等の異常が生じた場合、オペレーターはディスプレイに表示によってその異常を把握することができる。
続いて、以上のようにして緊張管理が終了したPC鋼材3を油圧ジャッキ5A,5Bから解放し、油圧ジャッキ等を2本目のPC鋼材3に移し替える(盛り替える)。2本目のPC鋼材3について緊張管理を開始する準備が整うと、オペレーターは、パソコン40は、計測開始ボタンを操作する。これによりパソコン40は、PLC31A,31Bに計測開始指示を出力する(S26)これと同時に、オペレーターは、ハンドルレバー72A,72Bを操作してポンプ7A,7Bを加圧状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bは、加圧状態となる(S27)。パソコン40は、計測開始ボタンが操作されることにより、その時点までに作成した緊張管理図を含む測定データを保存し、ディスプレイ上には測定データをプロットする前の緊張管理図が表示された状態に戻す処理を行う。例えば、表計算ソフトを使用して緊張管理を行う場合は、計測開始指示を入力するたびに新たなシートを立ち上げる。
PLC31A,31Bは、パソコン40から計測開始指示を入力すると、センサユニット20A,20Bから測定データをリアルタイムに収集し、収集した測定データを内部メモリに記憶すると共に、収集した測定データをパソコン40に転送する(S28)。PLC31A,31Bは、計測開始指示により、内部メモリに記憶したデータを、少なくとも最終緊張圧損の値を残してリセット又は削除する。パソコン40は、PLC31A,31Bから転送された測定データをディスプレイに表示する(S29)。オペレーターは、ディスプレイに表示される測定データを見ながら、供給中圧力が予め設定された予備緊張力(所定圧力)となったことを確認すると、ハンドルレバー72A,72Bを操作する。これにより、ポンプ7A,7Bは中立状態とされる(S30)。
続いて、オペレーターは、ポンプ7A,7Bが中立状態となってから、所定時間経過後にパソコン40のプロットボタンを操作する。これにより、パソコン40は、PLC31A,31Bにプロット指示を出力する(S31)。PLC31A,31Bは、パソコン40からのプロット指示を入力すると、当該指示を入力したときの測定データをプロット用データとして内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する。このとき、変位の測定データについて第1ゼロ補正処理を行い、変位を0(ゼロ)としてパソコン40に転送する。
更に、PLC31A,31Bは、当該プロット指示が、計測開始指示の入力後初めて入力したプロット指示であることをトリガとして、計測開始指示の入力後に計測された圧力のピーク値PP2(所定圧力)を内部メモリから読み出して取得する処理と、プロット指示を入力した時点の圧力を圧力の現在値PPreとして取得する処理と、を行う(S32)。
圧力のピーク値PP2を取得する処理は、圧力差算出部12が行う。一方、圧力の現在値PPreを取得する処理は、中断後情報入力部11が行う。即ち、中断後情報入力部11は、ポンプ7A,7Bが中立状態とされた後の中断後圧力の値として、圧力センサ21A,21Bから圧力の現在値PPre(中断後圧力を示す情報。ここでは、予備緊張力)を入力する(中断後情報入力ステップ)。中断後情報入力部11は、入力した圧力の現在値PPreを圧力差算出部12及び補正量決定部13に出力する。
PLC31A,31Bは、取得した圧力のピーク値PP2と圧力の現在値PPreとの差を、2本目のPC鋼材3における予備緊張圧損(圧力差)として算出し、算出した当該予備緊張圧損の値を内部メモリに記憶する(S32)。この予備緊張圧損を算出する処理は、圧力差算出部12が行う。即ち、圧力差算出部12は、中断後情報入力部11から、圧力の現在値PPreを入力すると、内部メモリから圧力のピーク値PP2を取得し、圧力のピーク値PP2と圧力の現在値PPreとの差を予備緊張圧損として算出する(圧力差算出ステップ)。圧力差算出部12は、算出した予備緊張圧損を補正量決定部13に出力する。
パソコン40は、PLC31A,31Bからプロット用データが出力されると、当該プロット用データを用いて、ディスプレイ上の緊張管理図にプロットする(S33)。ここで、上述のように、制御部17によるPC鋼材3の緊張管理が行われる。
オペレーターは、ハンドルレバー72A,72Bを操作し、ポンプ7A,7Bを再び加圧状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bは、再び加圧状態とされる(S34)。PLC31A,31Bは、センサユニット20A,20Bから測定データをリアルタイムに収集し、収集した測定データを内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する処理を続ける(S35)。パソコン40は、PLC31A,31Bから転送された測定データをディスプレイに表示する処理を続ける(S36)。
続いて、PLC31A、31Bは、中間自動プロットを行う。PLC31A,31Bは、1本前のPC鋼材3に対する最終緊張圧損の値が内部メモリに記憶されている状態で新たに予備緊張圧損の値を内部メモリに記憶した場合、中間自動プロットを行う。PLC31A,31Bは、中間緊張力のデータ取得タイミングを算出し、算出した取得タイミングで中間緊張力及びその中間緊張力に対応した伸び量の取得を行い、緊張力及び伸び量の測定データをパソコン40に転送する(S37)。
パソコン40は、PLC31A,31Bからプロット用データが出力されると、当該プロット用データを用いて、ディスプレイ上の緊張管理図にプロットする(S38)。ここで、上述のように、制御部17によるPC鋼材3の緊張管理が行われる。
中間自動プロット処理では、オペレーターがプロットボタンを操作しなくても、自動でプロット用データが取得され、取得されたプロット用データがパソコン40に転送される。中間自動プロット処理は、補正量決定部13、供給中情報入力部14、緊張力算出部15、出力部16、及び制御部17によって行われる。
まず、補正量決定部13は、中断後情報入力部11から最終緊張力の値及び予備緊張力の値を入力し、圧力差算出部12から最終緊張圧損の値及び予備緊張圧損の値を入力する。補正量決定部13は、1本前のPC鋼材3に対する最終緊張圧損の値が入力されている状態で新たに予備緊張圧損の値が入力されると、上述のように、これら最終緊張圧損の値及び予備緊張圧損の値と、中断後情報入力部11から入力された最終緊張力の値及び予備緊張力の値と、を用いて、供給中圧力のピーク値と中断後圧力との圧力差及び供給中圧力のピーク値(所定圧力)の関係を線形補間により求める。
供給中情報入力部14は、圧力センサ21A,21Bの測定値を供給中圧力の値として入力し(供給中情報入力ステップ)、当該供給中圧力の値を緊張力算出部15に出力する。補正量決定部13は、供給中情報入力部14から入力した供給中圧力の値が、線形補間により求めた関係の供給中圧力のピーク値であるとして得られる圧力差を、当該供給中圧力に対する補正量として決定する(補正量決定ステップ)。補正量決定部13は、決定した補正量をPC鋼材3に加わる緊張力を算出するための補正量として緊張力算出部15に出力する。
緊張力算出部15は、補正量決定部13から補正量が入力されると、補正量決定部13から補正量が入力されたときに供給中情報入力部14から入力された供給中圧力の値から、当該補正量を引くことにより、緊張力の値を算出し、出力部16に出力する(緊張力算出ステップ)。出力部16は、当該緊張力の値を制御部17及びディスプレイに出力する(出力ステップ)。
ここで、PLC31A,31Bが中間緊張力のデータ取得タイミングを算出する方法について説明する。本来は、中間緊張力がT1,T2,T3・・・(例えば、10MPa、15MPa、20MPa・・・)となるときに、圧力及び変位の測定データを中間緊張データとして取得し、緊張管理図の緊張力がT1,T2,T3・・・である位置に測定データをプロットする。しかし、供給中圧力と緊張力との間には圧力差が存在する。そこで、補正を行い、供給中圧力がTk1,Tk2,Tk3・・・となるときに、中間緊張データを取得する。
補正量決定部13により求められた関係を用いると、圧損を考慮した中間緊張力の取得タイミングは、供給中圧力が以下のようになるときである。
Tk1=T1+(ΔP2+(T1−P2)×α)
Tk2=T2+(ΔP2+(T2−P2)×α)
Tk3=T3+(ΔP2+(T3−P2)×α)
制御部17は、供給中圧力の値を圧力センサ21A,21Bから入力し、当該供給中圧力がTk1、Tk2、Tk3・・・となったときに、パソコン40からプロット指示が入力されたときと同じ処理をPLC31A,31Bに行わせる。これにより測定データを取得し、緊張管理図の緊張力がT1,T2,T3・・・である位置に測定データをプロットする。このように中間緊張データを取得する供給中圧力Tk1、Tk2、Tk3・・・を求め、取得した中間緊張データを、緊張力がT1,T2,T3・・・となるときの測定データとすることも、実質的に補正量を用いて供給中圧力から緊張力を算出していることになる。
オペレーターは、ディスプレイに表示される測定データを見ながら、供給中圧力が最終緊張力に対応する圧力となったことを確認すると、ハンドルレバー72A,72Bを操作してポンプ7A,7Bを中立状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bが中立状態となる(S39)。なお、ポンプ7A,7Bを中立状態とすると、ポンプ7A,7Bの圧力が圧力管理範囲を下回ることがある。この場合は、再度ポンプ7A,7Bを加圧状態とする処理を繰り返す。
続いて、オペレーターは、ポンプ7A,7Bが中立状態となってから、所定時間経過後にパソコン40のプロットボタンを操作する。これにより、パソコン40は、PLC31A,31Bにプロット指示を出力する(S40)。PLC31A,31Bは、パソコン40からのプロット指示を入力すると、当該指示を入力したときの測定データをプロット用データとして内部メモリに記憶すると共に、パソコン40に転送する(S41)。パソコン40は、PLC31A,31Bからプロット用データが出力されると、当該プロット用データを用いて、ディスプレイ上の緊張管理図にプロットする(S42)。ここで、上述のように、制御部17によるPC鋼材3の緊張管理が行われる。
続いて、オペレーターは、定着ボタンを操作する。これにより、パソコン40は、PLC31A,31Bに定着指示を出力する(S42)。PLC31A,31Bは、パソコン40からの定着指示を入力すると、計測開始指示の入力後に計測された圧力のピーク値Pm2(所定圧力)を内部メモリから読み出して取得する処理と、定着指示を入力した時点の圧力を圧力の現在値PFin(中断後圧力を示す情報)として取得する処理と、を行う(S41)。
圧力のピーク値Pm2を取得する処理は、圧力差算出部12が行う。一方、圧力の現在値PFinを取得する処理は、中断後情報入力部11が行う。即ち、中断後情報入力部11は、ポンプ7A,7Bが中立状態とされた後の中断後圧力の値として、圧力センサ21A,21Bから圧力の現在値PFin(中断後圧力を示す情報。ここでは、最終緊張力)を入力する(中断後情報入力ステップ)。中断後情報入力部11は、入力した圧力の現在値PFinを圧力差算出部12及び補正量決定部13に出力する。
PLC31A,31Bは、取得した圧力のピーク値Pm2と圧力の現在値PFinとの差を、2本目のPC鋼材3における最終緊張圧損(圧力差)として算出し、算出した当該最終緊張圧損の値を内部メモリに記憶する(S41)。この最終緊張圧損を算出する処理は、圧力差算出部12が行う。即ち、圧力差算出部12は、中断後情報入力部11から、圧力の現在値PFinを入力すると、内部メモリから圧力のピーク値Pm2を取得し、圧力のピーク値Pm2と圧力の現在値PFinとの差を最終緊張圧損として算出する(圧力差算出ステップ)。圧力差算出部12は、算出した最終緊張圧損を補正量決定部13に出力する。
続いて、オペレーターは、緊張作業を終えたPC鋼材3を定着具によりコンクリート部材2に定着させる定着処理を行った後、ハンドルレバー72A,72Bを操作してポンプ7A,7Bを減圧状態とする。これにより、ポンプ7A,7Bは、減圧状態となる(圧抜き)(S43)。
PLC31A,31Bは、パソコン40から定着指示を入力した後、圧力が、例えば、5MPaまで降下したときの変位を戻り量として取得し、パソコン40に転送する(S44)。パソコン40は、定着ボタン操作後に戻り量をPLC31A,31Bから入力すると、戻り量をディスプレイに表示する(S45)。オペレーターは、戻り量がディスプレイに表示された後、緊張管理図作成ボタンを操作する。パソコン40は、緊張管理図作成指示を入力すると、ディスプレイ上に緊張管理図を作成して表示する(S45)。
以上、同様にして3本目以降のPC鋼材3についても順次緊張作業を行うことにより、PC部材が製造される。
横締めPC鋼材であるPC鋼材3の1本あたりの緊張作業時間について従来技術と比較して表1に示す。本実施形態に係る緊張管理システム10を用いるPC部材製造システム100(ノンストップシステム)は、緊張管理図を手書きで作成する従来のシステムと比較して、全体の作業時間が1本あたり330秒短縮された。また、本実施形態に係るノンストップシステムは、緊張の途中段階において計測作業のたびに中立状態を保つ必要がある従来のシステムと比較して、緊張作業時間が1本あたり180秒短縮された。横締めPC鋼材は縦締めPC鋼材にくらべて、一般に1本あたりの緊張作業時間が短いものの、数が多い。このため、横締めPC鋼材に対して、本実施形態に係るノンストップシステムを適用すると、緊張作業時間を大幅に短縮することができる。
以上説明したように、緊張管理システム10及び緊張管理方法によれば、緊張作業中のポンプ7A,7Bの加圧状態と中立状態との圧力差が供給中圧力によらずほぼ一定であるとの知見に基づき、当該圧力差による緊張力補正を行うことにより、緊張の途中段階においてもポンプ7A,7Bを中立状態とする(停止する)ことなく正確な緊張力を得ることができる。このため、緊張力を得るために、油圧ジャッキ5A,5Bへのオイルの供給を頻繁に中断する必要がなく、緊張力が予備緊張力及び最終緊張力のときだけ中断すればよい。したがって、緊張作業にかかる時間を短縮し、作業効率の向上を図ることができる。
中断後情報入力部11は、PC鋼材3に予備緊張力及び最終緊張力が加わったときに、ポンプ7A,7Bが中立状態とされた後の中断後圧力の値として、圧力センサ21A,21Bから予備緊張力及び最終緊張力の値を入力する。圧力差算出部12は、予備緊張力に対して予備緊張圧損を算出し、最終緊張力に対して最終緊張圧損を算出する。補正量決定部13は、予備緊張力、最終緊張力、予備緊張圧損、及び最終緊張圧損に基づき、供給中圧力のピーク値と圧力差との関係を線形補間により求め、供給中情報入力部14によって入力される供給中圧力の値に対する補正量を当該関係から得られる圧力差に決定する。緊張力算出部15は、供給中圧力から補正量を引いた値をPC鋼材に加わる緊張力として算出する。この場合、圧力差として予備緊張圧損及び最終緊張圧損の2つを算出し、供給中圧力のピーク値と圧力差との関係を線形補間により求める。この関係を用いて、供給中圧力毎の補正量を決定するので、緊張力の算出精度をより高めることができる。
最終緊張力は、測定値に基づき予め算定された最終緊張圧損を見込んだ上で、緊張終了時に取得される。したがって、最終緊張圧損を算出するために、緊張作業の途中段階でポンプ7A,7Bを中立状態とする必要がない。これにより、本実施形態では、二度算出する圧力差のうち予備緊張圧損のときのみ、緊張作業の途中段階でポンプ7A,7Bを中立状態とすればよい。この結果、緊張力の算出精度をより高めながら、作業効率を更に向上することができる。また、予備緊張力は、緊張開始当初で取得される。したがって、緊張開始当初から緊張終了時までの幅広い圧力範囲にわたって、ポンプ7A,7Bを加圧状態としたまま、中立状態とすることなく、ノンストップで自動的に緊張管理図のプロット用データを取得することができる。
緊張管理システム10は、PLC31A,31Bが圧力センサ21、及び変位センサ22の測定値を収集する。このため、オペレーターがマノメータにより圧力を目視で読み取り、且つ、伸び量をスケールにより目視で読み取る場合にくらべて、人為的誤差が排除できる。また、測定分解能が向上し、緊張管理の精度を10倍に向上させることができる。更に、オペレーターが計測のために油圧ジャッキ5A,5Bに近づく必要がないので、安全性の向上を図ることができる。緊張管理図が自動作成されるため、オペレーターが緊張管理図を作成する手間が省ける。
緊張管理システム10は、PC鋼材3が1本ずつ緊張管理される場合であっても、複数本ずつのグループで緊張管理される場合であっても使用することができる。また、緊張管理システム10により得られる緊張管理図は、いずれの場合であっても、従来と同じ形式で表示される。
圧力及び伸び量の測定値がリアルタイムにディスプレイで確認できるため、異常が確認されたら、直ちに緊張作業を中止にすることができる。これにより、安全性が確保される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、補正量決定部13が、所定圧力と圧力差との関係を用いず、予備緊張圧損又は1本前に緊張作業が行われたPC鋼材3の最終緊張圧損を補正量として決定してもよい。緊張作業中のポンプ7A,7Bの加圧状態と中立状態との圧力差に基づいて得られる補正量が供給中圧力によって大きくは変わらないので、比較的簡単な方法で緊張力を算出することができる有効な手法である。
また、例えば、緊張管理システム10では、補正量決定部13が、PC鋼材3の1本毎に所定圧力と圧力差との関係を求めるが、補正量決定部13が、あるPC鋼材3に対して求めた関係を他のPC鋼材3に対しても使用して補正量を決定してもよい。特に、油圧ジャッキ5A,5Bのオイルの温度変化が少ない状況では、温度変化によって所定圧力と中断後圧力との間に圧力差が生じ難いため、同じ関係を使用しても、算出される緊張力に誤差が生じ難い。これにより、補正量を決定するための作業を省略することができるので、作業時間を短縮化することができる。例えば、橋桁部材2Aの横締めPC鋼材のように、本数が多いPC鋼材3の緊張作業に対して同じ補正量を用いた場合、作業時間短縮化の効果が大きくなる。
また、例えば、補正量決定部13が、所定圧力と圧力差との関係を用いず、圧力に対して一定値である補正量を用いる場合において、更に、補正量決定部13が、あるPC鋼材3に対して求めた当該補正量を、他のPC鋼材3に対する補正量として決定してもよい。これにより、補正量を決定するための作業を一層省略することができる。
また、例えば、補正量決定部13が、最終緊張圧損及び予備緊張圧損以外の圧力差に基づいて補正量を決定してもよい。圧力差を異なる所定圧力について3回以上計測し、これらのデータから所定圧力と圧力差との関係を求めてもよい。この場合、当該関係の精度が向上する結果、補正量の精度が向上し、算出される緊張力に誤差が生じ難い。
ポンプ7A,7Bは、ハンドルレバー72A,72Bがオペレーターに操作されることにより、加圧状態、中立状態、及び減圧状態のいずれかの状態に設定されるが、制御信号が入力されることにより、各状態が設定されてもよい。制御信号は、例えば、制御部17から出力されてもよい。また、例えば、制御部17に上述した実施形態においてオペレーターがパソコン40のプロットボタン及びポンプ7A,7Bのハンドルレバー72A,72Bを操作していたタイミングを予め設定し、制御部17が自動的にプロット指示をPLC31A,31Bに出力したり、ポンプ7A,7Bの各状態を設定したりしてもよい。