JP2012021343A - 緊張力導入装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 油圧ポンプ12から油圧ジャッキ11にジャッキ圧を作用させた後、初期の段階のジャッキ圧が異なる複数の時点で、ジャッキ圧と当該ジャッキ圧作用時の緊張材3の伸び量とを取得し、ジャッキ圧と伸び量との関係に基づいてパソコン14が引き止め時ジャッキ圧を演算する。演算された引き止め時ジャッキ圧が送信された制御装置23は、ジャッキ圧検出装置24によって検出されたジャッキ圧がパソコン14によって演算された引き止め時ジャッキ圧に到達したときに、駆動装置22を駆動して開閉弁21を制御しジャッキ圧の上昇を停止する。
【選択図】図1
Description
プレストレスを導入するための緊張材は、コンクリート部材の大きな曲げモーメントが作用する断面で所定の緊張力が導入される必要がある。このために緊張材の端部にジャッキを装着して緊張する時に、大きな曲げモーメントが生じる設計断面を緊張管理の着目断面とし、この着目断面で所定の緊張力が導入されるようにジャッキの緊張力を管理する。
特許文献1に記載の技術は、PC鋼材の緊張管理用データをホストコンピュータで予め作成し、端末機に記憶させておく。そして、端末機を作業現場に持ち込み、PC鋼材を実際に緊張した時に得られる緊張データを逐次手入力する。そして、端末機の表示画面上に表示された緊張管理用データと手入力した実際の緊張データとを照合し、緊張の合否を判定しながら緊張作業を進めるものである。
導入する緊張力の管理において、正確に緊張力を導入するためには緊張材とシースとの間の摩擦係数を考慮して最終的に緊張材の端部で導入する緊張力を決定するのが望ましい。このために、緊張時における端部の緊張力(実際にはジャッキ内の油圧つまりジャッキ圧を測定することが多い)と緊張材の端部で測定される伸び量とを測定する。そして、従来では、これらの測定値から施工現場において図表等を用いて最終的に付与する緊張力つまり引き止め時の緊張力又はジャッキ圧を決定している。このため、作業者による測定値の読み取りや、管理者による図表への測定値の書き込み及び作図等が必要となり、施工現場で多くの作業を要している。また、図表等を用いることにより、引き止め時の緊張力の精度が低下する虞も生じる。
したがって、緊張力の導入を開始した後、ジャッキ圧を短時間で引き止め時ジャッキ圧にまで上昇させて適切な緊張力を導入することができる。また、油圧ジャッキの近辺での作業が不要となり、作業者の安全を確保することができる。
図1は、本願に係る発明の一実施形態である緊張力導入装置を示す概略構成図である。図2は、図1に示す緊張力導入装置で緊張力が導入される緊張材の配置例と、この緊張材に導入された緊張力の分布を示す概略図である。
ここで、Px は、緊張材の各位置における緊張力
Piは、緊張材の緊張端における緊張力
μは、緊張端から緊張力を算出する位置までの緊張材の角変化1ラジアンあたりの摩擦係数
αは、緊張端から緊張力を算出する位置までの緊張材の角変化(ラジアン)
λは、緊張端から緊張力を算出する位置までの緊張材の1mあたりの摩擦係数
xは、緊張端から緊張力を算出する位置までの緊張材の長さ(m)
である。そして、上記λとμとは、一定の比とすることができる。
本実施の形態では、緊張材3の両端に油圧ジャッキ11を装着して緊張力を導入する、いわゆる「両引き」とするために緊張材3の両端に装着される2台の油圧ジャッキ11が並列に接続され、これらに同じジャッキ圧が作用するものとしている。
本実施の形態では、2台の油圧ジャッキ11のそれぞれに取り付けられ、緊張材3の伸び量は双方の伸び量検出装置の検出量の和としている。
なお、伸び量を検出する装置は、油圧ジャッキ11の作動部11bと本体部11aとの間の変位量を測定するものの他、コンクリート部材と緊張材の予め定められた位置との相対的な変位量を検出するもの等であってもよい。また、変位量を検出する手段もロータリーエンコーダのほか、他の公知の装置を採用することができる。
なお、このような引き止め時ジャッキ圧の演算及び表示は、配置形状及び緊張材の種類が異なるすべての緊張材についてそれぞれ行うものであり、一つのコンクリート部材に配置された緊張材が1種類であっても、形状が異なるものごとに演算及び表示を行う。
実際に緊張力を導入する前には摩擦係数は不明であり、摩擦係数を仮定した引き止め時ジャッキ圧を予め演算する。例えば、実際の摩擦係数μは、0.3程度となることが多いため、この値の前後の値である0.4及び0.2を摩擦係数と仮定し、式(1)によって着目断面Sにおいて所定の緊張力Paが導入される端部緊張力P1及びP2を演算する。そして、これに相当するジャッキ圧を演算する。さらに緊張力の分布が図2に示すにように演算されることにより、端部緊張力P1及びP2で緊張したときの伸び量δ1及びδ2を演算することができる。伸び量δは、次のように演算することができる。
ただし、緊張材3に導入されている緊張力は緊張材3の長さ方向に変化しており、緊張材3の長さ方向を複数の部分に区分し、それぞれについて平均の緊張力を用いて演算したものの総和として算出することができる。
実際の緊張力導入時に検出されたジャッキ圧JPと伸び量δを図4上にプロットし、これらの値から最小自乗法等によって実際の摩擦係数に対応したジャッキ圧JPと伸び量δとの関係を示すと、図4中のA3線となる。緊張材3の緊張初期には緊張材3の緩みや、摩擦の作用範囲が変動することによって誤差が大きくなるので上記A3線は、原点つまりジャッキ圧JPと伸び量δが0となる点を通るように平行移動し、これをA3’線とする。このA3’線と引き止め線Bとの交点K3を演算し、この点のジャッキ圧JP3で緊張材3を緊張したときに、着目断面Sで所定の緊張力Paが導入されることになる。ただし、実際には緊張材3の弾性係数の誤差等を考慮して引き止め点K1,K2の伸び量を3%程度割り増した点K1’,K2’を結んだ線B’を引き止め線とし、B’線とA3’線との交点K3’におけるジャッキ圧を引き止め時ジャッキ圧JPsとするのが望ましい。
なお、ジャッキ圧の許容限界値JPuを設定しておき、ジャッキ圧検出装置24が許容限界値JPu以上のジャッキ圧を検出した時には、駆動装置22が直ちに開閉弁21aを閉じるように制御装置23を設定しておくのがよい。
まず、コンクリート部材内に配置されたシースに緊張材3を挿通し、端部に定着具(図示しない)を装着する。そして、油圧ジャッキ11は作動部11bを引き戻した状態で緊張材3の端部に装着し、緊張材3を把持して油圧ジャッキの本体部11aに固定する(ST1)。
緊張材3及び油圧ジャッキ11の状態が確認されると、制御装置23からの信号によりジャッキ圧が40MPaまで上昇するように開閉弁23が開放される。このようにして、ジャッキ圧が10MPaから40MPaまで上昇する間、伸び量検出装置13の検出信号からジャッキ圧が10MPa上昇する毎に緊張材3の伸び量を検出する。このようにしてほぼ同時に検出されたジャッキ圧及び伸び量の検出値を制御装置23が取得し、ジャッキ圧が40MPaに到達した時点で開閉弁21a,21bを一旦閉じてジャッキ圧の上昇を停止する(ST3)。そして、制御装置23に取得されたジャッキ圧と当該ジャッキ圧が作用したときの緊張材3の伸び量とを制御装置23からパソコン14に送信する(ST4)。
ジャッキ圧及び伸び量の検出値が正常に取得されており、引き止め時ジャッキ圧JPsが適正であると判断すると、操作者はジャッキ圧の上昇を継続する旨の信号を入力する(ST9)。これにより、開閉弁21が再度開放されジャッキ圧が上昇する(ST10)。そして、その後にジャッキ圧の検出(ST11)及び検出されるジャッキ圧と演算された引き止め時ジャッキ圧JPsとの比較(ST12)を繰り返し行い、引き止め時ジャッキ圧JPsに到達したことが検知されると、制御装置23からの信号によって駆動装置22が駆動され、開閉弁23aが閉じてジャッキ圧の上昇が停止する(ST13)。
緊張材3がくさびで定着されるものである場合は、ジャッキ圧の上昇が停止された状態でくさびを定着具に押し込み、緊張材3をコンクリート部材に定着する(ST14)。また、緊張材がナットによって定着されるものでは、ジャッキ圧の上昇が停止された状態でナットを締め込み、緊張材を定着する。
また、セット量が許容範囲内ではないと判断された場合には、定着具の状態に異常があることが考えられ、再緊張及び再定着を行う(ST19)。
さらに、本実施の形態では、ジャッキ圧が10MPaから40MPaになるまで、10MPa毎にジャッキ圧と伸び量を検出したが、引き止め時ジャッキ圧を演算するためのジャッキ圧と伸び量とを検出するジャッキ圧の範囲及び検出回数は、適宜に変更することも可能である。
11:油圧ジャッキ、 12:油圧ポンプ、 13:伸び量検出装置、 14:パソコン(演算装置)、 15a:緊張用導管、 15b:引き戻し用導管、 16:導管の接続部、
20:バルブユニット、 21:開閉弁、 21a:緊張用導管の開閉弁、 21b:引き戻し用導管の開閉弁、 22:駆動装置、 23:制御装置、 24:ジャッキ圧検出装置、 25:バルブユニットのハウジング、
S:緊張管理の着目断面
Claims (3)
- 両端が構造部材に定着される緊張材に緊張力を導入する油圧ジャッキと、
前記油圧ジャッキに油圧を作用させる油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから前記油圧ジャッキに油圧を導く導管に介挿され、前記油圧ジャッキ内に作用する油圧であるジャッキ圧を制御する開閉弁と、
この開閉弁の開閉を駆動する駆動装置と、
該駆動装置を制御する制御装置と、
前記ジャッキ圧を検出するジャッキ圧検出手段と、
前記ジャッキ圧が作用して前記緊張材に緊張力が導入されたときの該緊張材の伸び量を検出する伸び量検出手段と、
前記ジャッキ圧検出手段と前記伸び量検出手段の検出値に基づき、前記緊張材に必要な緊張力を導入するための引き止め時ジャッキ圧を演算する演算装置と、を有し、
前記演算装置は、前記油圧ポンプから前記油圧ジャッキにジャッキ圧を作用させた後、上昇するジャッキ圧が前記引き止め時ジャッキ圧に至るまでに、複数の異なるジャッキ圧作用時の前記伸び量を取得し、該ジャッキ圧と前記伸び量との関係に基づいて前記引き止め時ジャッキ圧を演算するものであり、
前記制御装置は、前記ジャッキ圧検出手段によって検出されたジャッキ圧が前記演算装置によって演算された前記引き止め時ジャッキ圧に到達したときに、前記駆動装置を駆動して前記開閉弁を閉じるように制御するものであることを特徴とする緊張力導入装置。 - 前記開閉弁と、前記駆動装置と、前記制御装置と、前記ジャッキ圧検出手段とが、同じハウジング内に収容されてバルブユニットを構成し、
油圧を導く前記導管は、前記油圧ジャッキと前記バルブユニットとの間、及び該バルブユニットと前記油圧ポンプとの間で着脱が可能となっており、
前記伸び量検出手段は、伸び量に対応した信号を前記バルブユニットの前記制御装置に入力するように接続され、
前記制御装置は、前記ジャッキ圧検出手段によって検出されたジャッキ圧を示す信号と、このジャッキ圧と同時に検出された前記伸び量を示す信号とを前記演算装置に出力するものであることを特徴とする請求項1に記載の緊張力導入装置。 - 前記制御装置は、前記引き止め時ジャッキ圧を演算するためのジャッキ圧及び伸び量の検出値が得られた後、前記ジャッキ圧が前記引き止め時ジャッキ圧に上昇するまでに、前記開閉弁を閉じて前記ジャッキ圧が上昇するのを一旦停止し、ジャッキ圧の上昇を継続する旨の信号が入力された後に、前記ジャッキ圧の上昇を継続するように開閉弁を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の緊張力導入装置。
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