JP7387236B2 - 熱硬化性マレイミド樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性マレイミド樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、熱硬化性マレイミド樹脂組成物に関する。
近年、5Gという次世代の移動通信システムが流行しており、高速、大容量、低遅延通信を実現しようとしている。これらを実現するためには、高周波帯用の材料が必要であり、ノイズ対策として伝送損失の低減が必須となるために、誘電特性の優れた絶縁材料の開発が求められている。
その中でも基板用途で、このような誘電特性の優れた絶縁材料が求められている。一般にフレキシブルプリント配線板(FPC)と呼ばれる基板はスマートフォンや液晶テレビを始めとして様々な電子機器に使用されている。このFPCのベース材料としてはポリイミドが多く使用されてきたが、近年高周波用途として、液晶ポリマー(LCP)や特性を改良した変性ポリイミド(MPI)と呼ばれる製品が使用されるようになってきている。
すでにLCPに関しては、LCPのさらなる高性能化や、LCPを使用したFPCのベースフィルムやカバーレイフィルムなど、多くの発明が開示されている(例えば特許文献1及び2)が、LCPは需要に見合った量産が困難であるために使用は限定的であったり、熱可塑性樹脂特有の問題点である300℃以上の高温での成形が必須であったり、銅張積層板を接着させるために低誘電特性を有する接着剤を必要とするなど改善すべき点が多く残されている。
そこで、周波数帯によってはMPIの使用が検討されており、MPIに関しても多くの発明が開示されている(例えば特許文献3~6)。これらのMPIは現行のポリイミドと比べて誘電特性が改善されているものの、LCPと同様に熱可塑性樹脂であるため、LCPと同じような課題を抱えている上に、ポリイミド固有の吸湿性に起因して、誘電特性が非常に悪くなることがわかっている。これらを解消するためにダイマージアミン骨格を有するMPIも開示されている(特許文献7)が、従来のMPIと比べてガラス転移温度(Tg)が著しく低く、寸法安定性にも欠ける。また、MPIを製造する際には、非プロトン性極性溶媒、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)の大量使用が必須であるが、非プロトン性極性溶媒の使用は、環境保全の観点からも好ましくない。
これに対して、実質的にダイマージアミン骨格を有するマレイミド化合物をFPC用材料として使用した組成物及びその硬化物が開示されている(特許文献8)が、非常に誘電特性には優れるものの、低Tg、高熱膨張係数(CTE)であり、依然として寸法安定性に欠けている。加えて、長鎖アルキル基を有するビスマレイミド樹脂と、硬質の低分子の芳香族系マレイミド樹脂との混合物であるため相溶性が悪く、該組成物及びその硬化物の特性や硬化にムラが発生しやすい。
基材(特に、フレキシブルプリント配線基板)の構造が複雑になると、例えばLCPなどの接着剤、接着フィルム用途では、CTEが大きく、成形物の伸びが大きくなることで作業時に基材が伸びることで銅箔がちぎれるなどの弊害が生じる。特許文献8に記載の材料では、この弊害に対応しつつ、フィルム性を担保しようとすると背反事項になり、そのバランスをとるのが難しい。
国際公開第2013/65453号 特開2013-74129号公報 特開2017-78102号公報 特開2018-165346号公報 特開2019-14062号公報 特開2019-104818号公報 特開2020-56011号公報 国際公開第2016/114287号
従って、本発明は、非プロトン性極性溶媒(例えば、N-メチルピロリドン(NMP))を用いずに、未硬化時のフィルム性や硬化物の誘電特性を維持しつつ、TgやCTEを改善できる熱硬化性マレイミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記熱硬化性マレイミド樹脂組成物が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
[1]
下記(A)成分及び(B)成分を含む熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
(A)1分子中に1つ以上のダイマー酸骨格を有する、数平均分子量2,000以上の下記式(1)で表される高分子マレイミド化合物
Figure 0007387236000001
(式(1)中、Aは独立して芳香族環又は脂肪族環を有する4価の有機基を示す。Bはヘテロ原子を含んでもよい2価の脂肪族環を有する、炭素数6から18のアルキレン基である。Qは独立して炭素数6以上の直鎖アルキレン基を示す。Rは独立して炭素数6以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。mは0~10の数、nは1~10の数を表し、ただし、m+nが3以上である。)

(B)1分子中に1つ以上の脂環式構造を有する、数平均分子量1,000以下の低分子マレイミド化合物

[2]
さらに(C)成分として反応促進剤を含む[1]に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。

[3]
式(1)のAが下記構造で表されるもののいずれかである[1]又は[2]に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
Figure 0007387236000002

[4]
(B)成分の低分子マレイミド化合物が下記群から選ばれる1つ以上を含む[1]~[3]のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
Figure 0007387236000003

[5]
マレイミド樹脂用硬化剤を含まない[1]~[4]のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。

[6]
[1]に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物からなる未硬化樹脂シート又はフィルム。

[7]
[1]に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂シート又はフィルム。

[8]
[1]に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物からなる接着剤。

[9]
[1]に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含むプリプレグ。

[10]
[1]に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物からなるボンディングフィルム。

[11]
[7]に記載のシート又はフィルムを備える半導体装置。
本発明は、未硬化時のフィルム性や硬化物の誘電特性を維持しつつ、TgやCTEを改善できる。従って、本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、FPC用に好適に用いることができ、具体的にはFPC用のボンディングフィルムなどして使用できる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
(A)高分子マレイミド化合物
本発明で用いられる(A)成分は、数平均分子量2,000以上の高分子マレイミド化合物であって、1分子中に1つ以上のダイマー酸骨格を有する、下記式(1)で表されるものである。
Figure 0007387236000004
式(1)中、Aは独立して芳香族環又は脂肪族環を有する4価の有機基を示す。Bはヘテロ原子を含んでもよい2価の脂肪族環を有する、炭素数6から18のアルキレン基である。Qは独立して炭素数6以上の直鎖アルキレン基を示す。Rは独立して炭素数6以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。mは0~10の数、nは1~10の数を表し、ただし、m+nが3以上である。
(A)成分の高分子マレイミド化合物は、直鎖アルキレン基を有することで、このマレイミド化合物を含む組成物の未硬化物及び硬化物を低弾性化することができ、かつ可とう性を付与することができる。一般的に可とう性を有する化合物は耐熱性に乏しいという問題があるものの、(A)成分は耐熱性に優れるマレイミド骨格を有することから、この問題の解決にも効果的である。
ここで言うダイマー酸とは、植物系油脂などの天然物を原料とする炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化によって生成された、炭素数36のジカルボン酸を主成分とする液状の脂肪酸であり、ダイマー酸骨格とは前記ダイマー酸からカルボキシ基を除いた構造を指す。そのため、ダイマー酸骨格は単一の骨格ではなく、複数の構造を有する。ダイマー酸骨格としては下記の構造を例示することができる。
Figure 0007387236000005
式(1)中のQは直鎖アルキレン基であり、これらの炭素数は6以上であるが、好ましくは6以上20以下であり、より好ましくは7以上15以下である。
また、式(1)中のRはアルキル基であり、直鎖のアルキル基でも分岐のアルキル基でもよく、これらの炭素数は6以上であるが、好ましくは6以上12以下である。
式(1)中のAは芳香族環又は脂肪族環を有する4価の有機基を示し、特に、下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
Figure 0007387236000006
また、式(1)中のBはヘテロ原子を含んでもよい2価の脂肪族環を有する、炭素数6から18のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は好ましくは炭素数8以上15以下である。式(1)中のBは下記構造式で示される脂肪族環を有するアルキレン基のいずれかであることが好ましい。
Figure 0007387236000007
式(1)中のnは1~10の数であり、好ましくは2~7の数である。式(1)中のmは0~10の数であり、好ましくは0~7の数である。ただし、m+nが3以上である。
(A)成分の高分子マレイミド化合物は室温での性状は特に制限はないが、数平均分子量(Mn)は、下記測定条件を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン標準で換算した数平均分子量が2,000以上であり、2,500~50,000であることがより好ましく、特に好ましくは3,000~40,000である。該分子量が2,000以上であれば、得られる組成物はフィルム化しやすく、ハンドリング性が良好である。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム: TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ3000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ2000(4.6mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
(A)成分の高分子マレイミド化合物としては、市販品を用いても、合成してもよいが、市販品としては、BMI-1500、BMI-2500、BMI-3000J、BMI-5000(以上、Designer Molecules Inc.製)や、SLK-1500、SLK-2600、SLK-3000(以上、信越化学工業製)等を用いることができる。また、高分子マレイミド化合物は1種単独で使用しても複数種のものを併用しても構わない。
(B)低分子マレイミド化合物
本発明で用いられる(B)成分は、数平均分子量1,000以下の低分子マレイミド化合物であって、1分子中に1つ以上の脂環式構造を有するものである。また、該低分子マレイミド化合物は、アリール基を有しないことが好ましい。なお、前記(B)成分が単一化合物である場合は、その構造から算出される分子量を前記数平均分子量に替えるものとする。前記(B)成分が種々の化合物を含む場合は、上記の測定方法で測定した値を数平均分子量とする。
(A)成分である高分子マレイミド化合物は低弾性かつ可とう性に優れるが、Tgが低く、CTEが大きいために寸法安定性などに課題を抱えている。そこに(B)成分を併用することで、未硬化物及び硬化物の低弾性や可とう性、ハンドリング性を維持しつつ、硬化物のTgを向上させ、CTEを低下させることができる。
(B)成分の低分子マレイミド化合物としては、下記で表されるビスマレイミド化合物が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0007387236000008
(B)成分の低分子マレイミド化合物は、1分子中に1つ以上の脂環式構造を有することで(A)成分との相溶性を向上させることができ、(A)成分及び(B)成分を含む組成物及びその硬化物の特性の偏りをなくすことができる。
(B)成分の低分子マレイミド化合物の量は、(A)成分と(B)成分の総和のうち、5~80質量%、好ましくは5~60質量%である。この範囲にあると組成物及びその硬化物の低弾性かつ可とう性を維持しつつ、該硬化物の高Tg、低CTEを達成することができる。組成物中における(B)成分の量がこの範囲より多いと、硬化物が脆くなるだけでなく、溶けずに析出するなどの問題を生じる場合がある。
また、一般的にマレイミド樹脂組成物には硬化剤(例えば、ジビニルベンゼンなどのビニル基含有化合物や、ジアリルビスフェノールAやトリアリルイソシアヌレートのようなアリル基含有化合物等)を添加することが公知の事実として知られているが、本発明の組成物は良好な誘電特性を維持することを目的として、該硬化剤を使用しないことが好ましい。
(C)反応促進剤
本発明で用いられる(C)成分の反応促進剤は、(A)成分及び(B)成分のマレイミド化合物の架橋反応やその他の添加剤との反応を促進するために添加するものである。
(C)成分としては架橋反応を促進するものであれば特に制限されるものではなく、イミダゾール類、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩類、三弗化ホウ素アミン錯体、オルガノホスフィン類、オルガノホスホニウム塩等のイオン触媒、及びジアリルパーオキシド、ジアルキルパーオキシド、パーオキシドカーボネート、ヒドロパーオキシド等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤などが挙げられるが、これらのなかでも、主にマレイミドの反応を促進するために有機過酸化物、ラジカル重合開始剤が好ましい。
反応促進剤の使用量は、(A)成分及び(B)成分などの熱硬化性樹脂成分の総和100質量部に対して0.05~10質量部、特に0.1~5質量部の範囲内で配合することが好ましい。上記範囲を外れると、マレイミド樹脂組成物の成形時に硬化が非常に遅くなったり速くなったりするおそれがあるため好ましくない。
<その他の添加剤>
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。その他の添加剤を以下に例示する。
マレイミド基と反応しうる反応基を有する熱硬化性樹脂
本発明ではさらに、マレイミド基と反応しうる反応基を有する(A)成分及び(B)成分以外の熱硬化性樹脂を添加してもよい。
熱硬化性樹脂としてはその種類を限定するものではなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、環状イミド樹脂、ユリア樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、エポキシ・シリコーンハイブリッド樹脂などが挙げられる。また、マレイミド基と反応しうる反応基としては、エポキシ基、マレイミド基、水酸基、酸無水物基、アリル基やビニル基のようなアルケニル基、(メタ)アクリル基、チオール基などが挙げられる。
(A)成分及び(B)成分以外の熱硬化性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
反応性の観点から、熱硬化性樹脂の反応基は、エポキシ基、マレイミド基、水酸基、酸無水物基及びアルケニル基の中から選ばれるものであることが好ましく、さらに誘電特性の観点からはアルケニル基又は(メタ)アクリル基がより好ましい。
無機充填材
本発明ではさらに、無機充填材を添加してもよい。本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物の強度や剛性を高めたり、熱膨張係数や硬化物の寸法安定性を調整したりする目的で配合することができる。無機充填材としては、通常エポキシ樹脂組成物やシリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、球状シリカ、溶融シリカ及び結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラス繊維及びガラス粒子等が挙げられる。さらに誘電特性改善のために含フッ素樹脂、コーティングフィラー、及び/又は中空粒子を用いてもよく、導電性の付与などを目的として金属粒子、金属被覆無機粒子、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの導電性充填材を添加してもよい。
無機充填材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機充填材の平均粒径及び形状は特に限定されないが、フィルムや基板を成形する場合は特に平均粒径が0.5~5μmの球状シリカが好適に用いられる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
さらに無機充填材は特性を向上させるために、マレイミド基と反応しうる有機基を有するシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。このようなシランカップリング剤としては、エポキシ基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、及びアルケニル基含有アルコキシシラン等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、(メタ)アクリル基及び/又はアミノ基含有アルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
その他
上記以外に、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン、無官能シリコーンオイル、有機合成ゴム、光増感剤、光安定剤、重合禁止剤、難燃剤、顔料、染料、接着助剤等を配合してもよいし、電気特性を改善するためにイオントラップ剤等を配合してもよい。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、有機溶剤に溶解してワニスとして扱うこともできる。該組成物をワニス化することによってフィルム化しやすくなり、また、Eガラスや低誘電ガラス、石英ガラスなどでできたガラスクロスへも塗布・含浸しやすくなる。有機溶剤に関しては(A)成分及び(B)成分の熱硬化性マレイミド樹脂分が溶解するものであれば制限なく使用することができる。
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、イソプロパノール(IPA)、キシレン、トルエン、アニソール等の一般的な有機溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述の(A)成分及び(B)成分の溶解性の観点からアニソール、キシレン、トルエン等の有機溶剤が使用されることが好ましい。一方、高沸点であることや毒性を有するといった観点からジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びN-メチルピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒は使用しないことが好ましい。
この熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、前述のワニスを基材に塗工し、有機溶剤を揮発させることで未硬化樹脂シート又は未硬化樹脂フィルムにしたり、さらにそれを硬化させることで硬化樹脂シート又は硬化樹脂フィルムとしたりすることができる。以下にシート及びフィルムの製造方法を例示するが、これに限定されるものではない。
例えば、有機溶剤に溶解した熱硬化性マレイミド樹脂組成物(ワニス)を基材に塗布した後、通常80℃以上、好ましくは100℃以上の温度で0.5~5時間加熱することによって有機溶剤を除去し、さらに150℃以上、好ましくは175℃以上の温度で0.5~10時間加熱することで、表面が平坦で強固なマレイミド樹脂硬化皮膜を形成することができる。
有機溶剤を除去するための乾燥工程、及びその後の加熱硬化工程での温度は、それぞれ一定であってもよいが、段階的に温度を上げていくことが好ましい。これにより、有機溶剤を効率的に組成物外に除去するとともに、樹脂の硬化反応を効率よく進めることができる。
ワニスの塗布方法として、スピンコーター、スリットコーター、スプレー、ディップコーター、バーコーター等が挙げられるが特に制限はない。
基材としては、一般的に用いられるのを用いることができ、例えばポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂などのポリエステル樹脂、などが挙げられる。該基材の表面を離形処理していてもかまわない。
また、塗工層の厚さも特に限定されないが、溶剤留去後の厚さは1~100μm、好ましくは3~80μmの範囲である。さらに塗工層の上にカバーフィルムを使用してもかまわない。
他にも、各成分をあらかじめプレ混合し、溶融混練機を用いてシート状又はフィルム状に押し出してそのまま使用することもできる。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化により得られる硬化被膜は、耐熱性、機械的特性、電気的特性、基材に対する接着性及び耐溶剤性に優れている上、低誘電率を有している。そのため、例えば半導体装置、具体的には半導体素子表面のパッシベーション膜や保護膜、ダイオード、トランジスタ等の接合部のジャンクション保護膜、VLSIのα線遮蔽膜、層間絶縁膜、イオン注入マスク等のほか、プリントサーキットボードのコンフォーマルコート、液晶表面素子の配向膜、ガラスファイバーの保護膜、太陽電池の表面保護膜に応用することができる。更に、前記熱硬化性マレイミド樹脂組成物に無機フィラーを配合した印刷用ペースト組成物、導電性充填材を配合した導電性ペースト組成物といったペースト組成物など幅広い範囲に応用することができる。中でも接着剤用途が好ましい。
また、未硬化の状態でフィルム状又はシート状にでき、ハンドリング性も良好で、自己接着性があり、誘電特性にも優れることから特にフレキシブルプリント配線板(FPC)用などのボンディングフィルムに好適に用いることができる。また、硬化樹脂フィルムはカバーレイフィルムとして使用することもできる。
他にも、ワニス化した熱硬化性マレイミド樹脂組成物をEガラスや低誘電ガラス、石英ガラスなどでできたガラスクロスなどへ含浸し、有機溶剤を除去し、半硬化状態にすることでプリプレグとして使用することもできる。また、そのプリプレグや銅箔などを積層させることでリジット基板を作製することができる。
[製造方法]
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の製造方法としては、(A)成分、(B)成分並びに必要に応じて加えられる(C)成分及びその他の添加剤を、例えば、プラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)や、攪拌機THINKY CONDITIONING MIXER(シンキー(株)製)を使用して混合する方法が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。
(A)高分子マレイミド化合物
(A-1):下記式で示される直鎖アルキレン基含有ビスマレイミド化合物(BMI-3000J、Designer Molecules Inc.製、数平均分子量5,000)
Figure 0007387236000009

(A-2)下記式で示される直鎖アルキレン基含有ビスマレイミド化合物(BMI-1500、Designer Molecules Inc.製、数平均分子量2,200)
Figure 0007387236000010
(B)低分子ビスマレイミド化合物
(B-1):下記式で示されるビスマレイミド化合物(IPBM、川口化学工業製、分子量330)
Figure 0007387236000011

(B-2)下記式で示されるビスマレイミド化合物(MBCM、川口化学工業製、分子量370)
Figure 0007387236000012

(B-3)ビスフェノール-A-ジフェニルエーテルビスマレイミド(BMI-4000、大和化成工業製、分子量571、比較例用)

(B-4)4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI-1000、大和化成工業製、分子量358、比較例用)
(C)反応促進剤
(C-1)ジクミルパーオキシド(パークミルD、日油社製)
<フィルムの作製>
表1及び2に示す配合で、不揮発分50質量%のアニソールワニスを調製し、このワニス状の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を、厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚さが50μmになるようにローラーコーターで塗布し、100℃で20分間乾燥させて未硬化樹脂フィルムを得た。さらに、前記未硬化樹脂フィルムを、厚さ100μmのテトラフルオロエチレン-エチレン共重合樹脂フィルム(AGC株式会社製、製品名:アフレックス)上に、未硬化樹脂フィルムの樹脂層がテトラフルオロエチレン-エチレン共重合樹脂フィルムに接するように載せ、180℃で1時間硬化させることで硬化樹脂フィルムを得た。
なお、下記評価試験では、PETフィルムを剥がした未硬化樹脂フィルム、PETフィルム及びテトラフルオロエチレン-エチレン共重合樹脂フィルムを剥がした硬化樹脂フィルムを各評価試験に供した。その結果を表1及び表2に示す。
<フィルムのハンドリング性>
前記未硬化樹脂フィルム及び硬化樹脂フィルムを180°に5回折り曲げ、フィルムに割れなどの欠陥がでないものを○、フィルムに割れなどの欠陥があるものを×とした。
<比誘電率、誘電正接>
前記硬化樹脂フィルムを用いて、ネットワークアナライザ(キーサイト社製 E5063-2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続し、上記硬化樹脂フィルムの周波数10GHzにおける比誘電率と誘電正接を測定した。
<ガラス転移温度、CTE>
前記硬化樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)及び熱膨張係数(CTE)をTAインスツルメント製DMA-800により測定した。熱膨張係数は0~40℃の範囲の値を使用した。
Figure 0007387236000013
Figure 0007387236000014
以上の結果から、(A)成分と(B)成分を併用することで、本発明の組成物の硬化物のハンドリング性を維持しつつ、Tgを向上させ、CTEを低下させることが明らかとなった。また、本発明の組成物の未硬化物のハンドリング性も維持することができることが明らかとなった。

Claims (10)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分を含む熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
    (A)1分子中に1つ以上のダイマー酸骨格を有する、数平均分子量2,000以上の下記式(1)で表される高分子マレイミド化合物
    Figure 0007387236000015
    (式(1)中、Aは独立して芳香族環又は脂肪族環を有する4価の有機基を示す。Bはヘテロ原子を含んでもよい2価の脂肪族環を有する、炭素数6から18のアルキレン基である。Qは独立して炭素数6以上の直鎖アルキレン基を示す。Rは独立して炭素数6以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。mは0~10の数、nは1~10の数を表し、ただし、m+nが3以上である。)

    (B)1分子中に1つ以上の脂環式構造を有する、数平均分子量1,000以下の低分子マレイミド化合物であって、下記群から選ばれる1つ以上を含む低分子マレイミド化合物
    Figure 0007387236000016
  2. さらに(C)成分として反応促進剤を含む請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
  3. 式(1)のAが下記構造で表されるもののいずれかである請求項1又は2に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
    Figure 0007387236000017
  4. マレイミド樹脂用硬化剤を含まない請求項1~のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
  5. 請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物からなる未硬化樹脂シート又はフィルム。
  6. 請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂シート又はフィルム。
  7. 請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物からなる接着剤。
  8. 請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含むプリプレグ。
  9. 請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物からなるボンディングフィルム。
  10. 請求項に記載のシート又はフィルムを備える半導体装置。
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