JP2023018240A - 熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】相溶性が高く誘電特性に優れ、高いガラス転移温度を有する硬化物を与える樹脂組成物及びそれを用いた未硬化フィルム、硬化フィルム、接着剤、半導体封止材プリプレグ、基板等の提供。【解決手段】下記(A)から(D)を含む熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。(A)窒素原子に結合する芳香族基を有するシトラコンイミド化合物(B)窒素原子に結合する脂肪族基を有する環状イミド化合物(C)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(D)反応促進剤【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物及びそれを用いた未硬化フィルム、硬化フィルム、接着剤、半導体封止材、及び基板やその構成材料に関する。
硬化性樹脂、特に熱硬化性樹脂は、接着、注型、コーティング、含浸、積層、成形用の材料などに広く利用される。しかしながら、近年その用途は多岐にわたり、使用環境や使用条件よっては、従来の硬化性樹脂では満足できない場合がある。例えば、各種電気機器に用いるプリント配線板用の積層板には、電子機器の進歩に伴い、信号伝達速度の向上を図るため、低誘電特性を有する材料が要求されている。また、電子機器用部品として、半導体素子を樹脂で封止した半導体パッケージがあるが、半導体素子がSiからより高温動作性に優れるSiCへ移行し、半導体封止材も耐熱性が求められるようになってきた。
このような背景から、熱硬化樹脂で一般的に使用されるエポキシ樹脂よりも誘電特性に優れ、かつ高いガラス転移温度(Tg)を有するマレイミド化合物の研究や、使用が盛んになってきており、昔から知られている4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミドなどの低分子のビスマレイミド化合物を用いた半導体封止材(特許文献1、2)や基板材料(特許文献3,4)などについてはすでに多くの報告がなされている。
一方で、最近では新規のマレイミド化合物及びそれを用いた樹脂組成物の報告も増えてきている。例えば、高耐熱性を有するビフェニルアラルキル骨格を有するマレイミド化合物(特許文献5)やアルケニル基を導入することでマレイミド樹脂の融点を下げながらも高Tgを維持した化合物(特許文献6)、特殊な脂肪族骨格を有するマレイミド樹脂(特許文献7、8)が挙げられる。
中でも、特殊な脂肪族骨格を有するマレイミド樹脂はその骨格の影響から低弾性で、誘電特性に優れるなどの特徴を有することがわかり、接着剤や半導体封止材、基板材料など、このマレイミド樹脂を使用した多くの組成物が報告されるようになってきた(特許文献9~12)。
特許文献9では、特殊な脂肪族骨格を有するビスマレイミド樹脂及び硬化剤を含有する樹脂組成物からなる樹脂フィルムが誘電特性に優れていることが報告されている。該樹脂組成物では、硬化剤として低分子の芳香族ビスマレイミドが使用されているが、組成物への芳香族ビスマレイミド樹脂の添加量を増やすと、その組成物の硬化物の誘電正接が悪化する傾向がある。また、該樹脂組成物は、ビスマレイミド樹脂同士の相溶性が悪いため特性や硬化にムラが発生しやすく、基板用途で求められる100℃以上の高いガラス転移温度(Tg)を達成するのは非常に困難である。
特開2006-299246号公報 特開2008-111111号公報 特開2012-41386号公報 特開2012-166515号公報 特開2009-1783号公報 特開2019-64926号公報 特表2006-526014号公報 特開2012-117070号公報 国際公開第2016/114286号 国際公開第2016/114287号 特開2018-70668号公報 特開2019-203122号公報
このような背景から、シトラコンイミド化合物を含む組成物について種々研究したところ、芳香族基を特定の部位に有するシトラコンイミド化合物が、脂肪族イミド化合物との相溶性が高く、またこのシトラコンイミド化合物を含む樹脂組成物が誘電特性かつ耐熱性に優れることを見出した。
従って、本研究の目的は、相溶性が高く誘電特性に優れ、高いガラス転移温度を有する硬化物を与える樹脂組成物及びそれを用いた未硬化フィルム、硬化フィルム、接着剤、半導体封止材、プリプレグ、基板等を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
<1>
下記(A)から(D)を含む熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
(A)窒素原子に結合する芳香族基を有するシトラコンイミド化合物
(B)窒素原子に結合する脂肪族基を有する環状イミド化合物
(C)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂
(D)反応促進剤

<2>
(A)成分のシトラコンイミド化合物が下記式(1)で表されるビスシトラコンイミド化合物である<1>に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
Figure 2023018240000001
(式(1)中、Aは2価の有機基であり、置換または非置換の芳香族基である。)

<3>
式(1)中のAが下記構造から選ばれるものである<2>に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
Figure 2023018240000002
(*はシトラコンイミド基中の窒素原子との結合を意味する。)

<4>
(B)成分が下記式(2)で表されるものである<1>~<3>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
Figure 2023018240000003
(式(2)中、Bは炭素数6から100の2価の脂肪族炭化水素基であり、R1~R4は水素原子またはメチル基を表す。)

<5>
(B)成分が下記式(3)で表されるものである<1>~<3>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
Figure 2023018240000004
(式(3)中、Xは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Zは独立して炭素数
6~100の2価の脂肪族炭化水素基であり、mは0~10である。ただし、mで括られた繰り返し単位の構造は、同じであっても異なっていてもよく、Zの1つ以上はダイマー酸骨格由来の構造を有する。また、R1~R4は水素原子またはメチル基を表す。)

<6>
式(3)中のXが下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである<5>に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
Figure 2023018240000005
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、一般式(3)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)

<7>
(D)成分の反応促進剤が、窒素原子又は/及びリン原子含むアニオン重合開始触媒である<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。

<8>
(A)成分を100質量部としたときの(B)成分の質量部数が5~9900質量部であり、(C)成分が0.5~100質量部であり、(D)成分が0.05~100質量部である<1>~<7>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。

<9>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物からなる未硬化樹脂フィルム。

<10>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂フィルム。

<11>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物と繊維基材とを有するプリプレグ。

<12>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物を含む基板。

<13>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物からなる接着剤。

<14>
<1>~<8>のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物からなる半導体封止材。
本発明の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物は、相溶性が高く誘電特性に優れ、高いガラス転移温度を有する硬化物を与えることができる樹脂組成物である。従って、本発明の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物は未硬化フィルム、硬化フィルム、接着剤、半導体封止材として有用であり、プリプレグ、基板等の材料としても有用である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
(A)窒素原子に結合する芳香族基を有するシトラコンイミド化合物
本発明で用いる(A)成分は、置換又は非置換の芳香族基を有するシトラコンイミド化合物である。シトラコンイミド基はマレイミド基中の一つの水素原子がメチル基に置換しているものである。このメチル基の効果により、同骨格のマレイミド化合物と比較して、低誘電率、低誘電正接を示すだけでなく、低融点であり他の成分との相溶性も改善する。また、芳香族構造を有することで、該シトラコンイミド化合物を含む硬化物のガラス転移温度が向上する。
(A)成分のシトラコンイミド化合物は原料となるアミン化合物の調達のしやすさやシトラコンイミド化合物の溶剤への溶解性、合成のしやすさの観点から、下記式(1)で表される、1分子中に2個のシトラコンイミド基を持つビスシトラコンイミド化合物であることが好ましい。
Figure 2023018240000006
(式(1)中、Aは2価の有機基であり、置換または非置換の芳香族基である。)
(A)成分のシトラコンイミド化合物は、硬化後のガラス転移温度を向上させるために、シトラコンイミド化合物中の2価の有機基が置換または非置換の芳香族基であり、前記2価の有機基としては、下記構造の芳香族炭化水素基から選ばれるものが挙げられる。
Figure 2023018240000007
(*はシトラコンイミド基中の窒素原子との結合を意味する。)
(A)成分のシトラコンイミド化合物は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(A)成分のシトラコンイミド化合物は、誘電特性及び硬化物の柔軟性の観点から芳香環を3個以上有する構造を含むものが好ましく、前記構造のうち1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等のジアミンから誘導される構造が特に好ましい。
(A)成分のシトラコンイミド化合物は室温での性状や数平均分子量(Mn)は特に制限はないが、該数平均分子量200~1000が好ましく、400~1000がより好ましい。
(B)窒素原子に結合する脂肪族基を有する環状イミド化合物
本発明で用いる(B)成分は、2価の脂肪族炭化水素基を有する環状イミド化合物であり、化合物中に4価の炭化水素基を含む場合、4価の炭化水素基は芳香族構造又は脂肪族構造を有している。(B)成分が2価の脂肪族炭化水素基を有することで、(A)成分と混合した場合に誘電特性の改善につながる。
(B)成分の環状イミド化合物は、原料となるアミン化合物の調達のしやすさや環状イミド化合物の溶剤への溶解性、合成のしやすさの観点から、下記式(2)で表される2個の環状イミド基を持つビス環状イミド化合物であることが好ましい。
Figure 2023018240000008
(式(2)中、Bは炭素数6から100の2価の脂肪族炭化水素基であり、R1~R4は水素原子またはメチル基を表す。)
(B)成分の環状イミド化合物は、2価の脂肪族炭化水素基として、下記構造の飽和脂肪族炭化水素基及びダイマー酸骨格由来の炭化水素基から選ばれるものがより好ましい。
Figure 2023018240000009
(*は環状イミド基中の窒素原子との結合を意味する。nは6~20である。)
ダイマー酸とは、植物系油脂などの天然物を原料とする炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化によって生成された、炭素数36のジカルボン酸を主成分とする液状の二塩基酸である。ダイマー酸骨格は単一の骨格ではなく、複数の構造を有し、何種類かの異性体が存在する。ダイマー酸の代表的なものは直鎖型(a)、単環型(b)、芳香族環型(c)、多環型(d)という名称で分類される。
本明細書において、ダイマー酸骨格とは、このようなダイマー酸のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミンから誘導される基をいう。
すなわち、ダイマー酸骨格由来の炭化水素基として、下記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がメチレン基で置換された分岐状2価炭化水素基が好ましい。
Figure 2023018240000010
前記(B)成分が2価の脂肪族炭化水素基として、ダイマー酸骨格を有するものである場合は、下記式(3)で表される脂肪族環状イミド化合物であることが好ましい。
Figure 2023018240000011
(式(3)中、Xは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Zは独立して炭素数6~100の2価炭化水素基であり、mは0~10である。ただし、mで括られた繰り返し単位の構造は、同じであっても異なっていてもよく、Zの1つ以上はダイマー酸骨格由来の構造を有する。R1~R4は水素原子又はメチル基を表す。)
式(3)中、Xは独立して環状構造を有する4価の有機基を示し、中でも下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
Figure 2023018240000012
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、一般式(3)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
式(3)中、Zは独立して炭素数6~100、好ましくは炭素数6~50の2価炭化水素基を示し、そのうちの1つ以上はダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基であり、Zの具体例としては、以下のような構造式で表される2価の炭化水素基が挙げられる。
Figure 2023018240000013
(nは6~20である。)
上記式(3)中、R1~R4は水素原子又はメチル基を表す。硬化物のガラス転移温度の観点からR1~R4は水素原子であることが好ましい。
上記式(3)中、mは0~10であり、好ましくは0~8である。mで括られた繰り返し単位の構造は、同じであっても異なっていてもよく、異なる場合は、2種以上、好ましくは2~3種の繰り返し単位を有する。
また、それぞれの繰り返し単位の並び順は製造方法に依存し、並び順は交互でもブロックでもランダムでもよいが、ブロックであることが好ましい。
(B)成分の環状イミド化合物の配合量は、(A)成分を100質量部に対して5~9900質量部であることが好ましく、10~2000質量部であることがより好ましい。この範囲を満たすと低誘電特性を維持しながら高いガラス転移温度を有する硬化物を得ることができる。
(B)成分の環状イミド化合物は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(B)成分の環状イミド化合物は室温での性状や数平均分子量(Mn)は特に制限はないが、該数平均分子量は200~20000が好ましく、300~15000がより好ましい。
本明細書において、数平均分子量は、下記測定条件を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン標準で換算した数平均分子量である。
[GPC測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ3000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ2000(4.6mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
(C)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂
本発明で用いる(C)成分は、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂としては1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するものであれば、特に制限なく使用することができるが、ハンドリング性の観点から室温(25℃)で固体であることが好ましく、より好ましくは融点が40℃以上150℃以下又は軟化点が50℃以上160℃以下の固体のものである。
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂及び4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂等のビフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、フェノールビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂、トリアジン誘導体エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
これらエポキシ樹脂は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また必要に応じて、上記以外のエポキシ樹脂を目的に応じて一定量併用することができる。
(C)成分のエポキシ樹脂の配合量は、(A)成分を100質量部に対して0.5~100質量部であることが好ましく、1~50質量部であることがより好ましい。この範囲にあると、低誘電特性を有する硬化物を得ることができる。
(D)反応促進剤
(D)成分である反応促進剤は、(A)成分であるシトラコンイミド化合物と、(B)成分である環状イミド化合物及び(C)成分であるエポキシ樹脂との重合反応を開始、促進するために添加するものである。
(D)成分としては重合反応を促進するものであれば特に制限されるものではなく、イミダゾール類、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩類、三フッ化ホウ素アミン錯体、オルガノホスフィン類、オルガノホスホニウム塩等のイオン触媒、ジアリルパーオキシド、ジアルキルパーオキシド、パーオキシドカーボネート及びヒドロパーオキシド等の有機過酸化物並びにアゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤などが挙げられる。
(D)成分は、シトラコンイミド化合物の反応機構の観点から窒素原子及びリン原子のうちの1種以上を含むアニオン重合開始触媒を使用することが好ましい。
(D)成分である反応促進剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(D)成分の反応促進剤は、(A)成分100質量部に対して0.05~100質量部、特に0.1~20質量部の範囲内で配合することが好ましい。
0.05質量部未満では、熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物の成形時に硬化が非常に遅くなり、得られた硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなるおそれがあるため好ましくない。100質量部を超えると、熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物の成形時に硬化が非常に速くなるおそれがあるため好ましくない。
その他の添加剤
本発明の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。その他の添加剤を以下に例示する。
無機充填材
無機充填材は、本発明の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物の硬化物の強度や剛性を高めたり、熱膨張係数や硬化物の寸法安定性を調整したりする目的で配合する。無機充填材としては、通常エポキシ樹脂組成物やシリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、球状シリカ、溶融シリカ及び結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラス繊維及びガラス粒子等が挙げられる。さらに誘電特性改善のために含フッ素樹脂、コーティングフィラー、及び/又は中空粒子を用いてもよく、導電性の付与などを目的として金属粒子、金属被覆無機粒子、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの導電性充填材を添加してもよい。無機充填材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機充填材の一次粒径としては特に制限はないが、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されたメジアン径として0.05~500μmが好ましく、0.1~300μmがより好ましく、1~100μmが更に好ましい。この範囲内であれば、樹脂組成物中に前記無機粒子を均一に分散させることが容易であり、経時で該無機粒子が沈降、分離、偏在してしまうこともないため好ましい。
前記無機充填材の配合量としては特に制限はないが、本発明の組成物中の(A)成分100質量部に対して5~50000質量部であることが好ましく、10~40000質量部であることがより好ましく、50~30000質量部であることが更に好ましい。この範囲であれば樹脂組成物の強度を保持したまま、無機粒子の機能を十分に発揮することができる。
さらに無機充填材は特性を向上させるために、シトラコンイミド基と反応しうる有機基を有するシランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。このようなシランカップリング剤としては、エポキシ基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、及びアルケニル基含有アルコキシシラン等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、(メタ)アクリル基及び/又はアミノ基含有アルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シトラコンイミド基と反応しうる反応性基を有する熱硬化性樹脂
本発明ではさらに、前記(B)成分及び(C)成分以外にも、シトラコンイミド基と反応しうる反応性基を有する熱硬化性樹脂を添加してもよい。
シトラコンイミド基と反応しうる反応性基としては、水酸基、アミノ基、アリル基やビニル基のようなアルケニル基、(メタ)アクリル基、チオール基などが挙げられる。
また、前記反応性基を有する熱硬化性樹脂としては、その種類を限定するものではなく、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、多官能チオールなど、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分以外の各種樹脂が挙げられる。
その他
上記以外に、無官能シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光増感剤、光安定剤、重合禁止剤、難燃剤、顔料、染料、接着助剤等を配合してもよいし、電気特性を改善するためにイオントラップ剤等を配合してもよい。
これらの配合量(無機充填材を除く)としては、特に制限はないが、本発明の組成物中の(A)成分100質量部に対して0.1~100質量部であることが好ましく、0.5~50質量部であることがより好ましい。
[製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法は、(A)~(D)成分並びに必要に応じてその他の添加剤を添加し、例えば、プラネタリーミキサーや、攪拌機を使用して混合する方法が挙げられる。
本発明の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物は、主に、プリプレグ、接着剤及び半導体封止材として好適に用いることができ、用途に応じてフィルム状又はシート状に加工してもよく、また、有機溶剤に溶解してワニスとして扱うこともできる。該組成物をワニス化することによってフィルム化しやすくなり、また、Eガラスや低誘電ガラス、石英ガラスなどでできたガラスクロスへも塗布・含浸しやすくなる。有機溶剤に関しては(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の熱硬化性樹脂が溶解するものであれば制限なく使用することができる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等を好適に用いることができる。上記の有機溶剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物は、上記ワニスを基材に塗工し、有機溶剤を除去して未硬化樹脂シートまたは未硬化樹脂フィルムにしたり、さらにそれを硬化させることで硬化樹脂シートまたは硬化樹脂フィルムとしたりすることができる。
以下にシート、フィルムの製造方法を例示するが、これに限定されるものではない。
例えば、有機溶剤に溶解した熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物を基材に塗布した後、通常80℃以上、好ましくは100℃以上の温度で0.5~5時間加熱すると有機溶剤が除去され、さらに130℃以上、好ましくは150℃以上の温度で0.5~10時間加熱すると、表面が平坦で強固なシトラコンイミド樹脂硬化皮膜を形成することができる。
有機溶剤を除去するための乾燥工程、及びその後の加熱硬化工程での温度は、それぞれ一定であってもよいが、段階的に温度を上げていくことが好ましい。これにより、有機溶剤を効率的に組成物外へ除去するとともに、樹脂の硬化反応を効率よく進めることができる。
ワニスの塗布方法として、スピンコーター、スリットコーター、スプレー、ディップコーター、バーコーター等が挙げられるが特に制限はない。
前記基材としては、一般的に用いられるのを用いてよく、例えばポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂などのポリエステル樹脂などが挙げられる。この基材の表面を離形処理していてもかまわない。また、塗工層の厚さも特に限定されないが、溶剤留去後の厚さが1~100μm、好ましくは3~80μmの範囲である。さらに塗工層の上にカバーフィルムを使用してもかまわない。
他にも、各成分をあらかじめ予備混合し、溶融混練機を用いてシート状又はフィルム状に押し出してそのまま使用することもできる。
半導体封止材として製造する場合は、(A)~(D)成分及び必要に応じてその他の成分を所定の組成比で配合し、ミキサー等によって十分に均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合し、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕すればよい。得られた樹脂組成物は封止材料として使用できる。
また、接着剤としては、(A)~(D)成分及び必要に応じてその他の成分を所定の組成比で配合し、プラネタリーミキサー等の混合機を用いて混合後、必要に応じて分散性を高めるために3本ロールミルを使用し混練し、混合する。得られた樹脂組成物を接着剤として使用できる。
半導体封止材を用いた一般的な成形方法としては、トランスファー成形法や圧縮成形法が挙げられる。トランスファー成形法では、トランスファー成形機を用い、成形圧力5~20N/mm2、成形温度120~190℃で成形時間30~500秒、好ましくは成形温度150~185℃で成形時間30~180秒で行う。また、圧縮成形法では、コンプレッション成形機を用い、成形温度は120~190℃で成形時間30~600秒、好ましくは成形温度130~160℃で成形時間120~300秒で行う。更に、いずれの成形法においても、後硬化を150~225℃で0.5~20時間行ってもよい。
接着剤としての使用態様は従来公知の方法や装置を用いて行えばよい。典型的な硬化条件は、100℃~200℃、好ましくは120~180℃の範囲にある温度で、1時間~8時間、好ましくは1.5~3時間の範囲にある時間である。
他にも、ワニス化した樹脂組成物をEガラスや低誘電ガラス、石英ガラスなどでできたガラスクロスなどへ含浸し、有機溶剤を除去し半硬化状態にすることでプリプレグとして使用することもできる。
本発明のプリプレグは、従来方法を用いて、本発明の組成物を所定の組成比で有機溶剤に溶解し、繊維基材に含侵させ、加熱乾燥させることで製造することができる。
[基板]
前記プリプレグと銅箔を重ねてプレスして加熱硬化させ、基板として使用してもよい。
基板の製造方法としては、特に制限はないが、例えば前記プリプレグを1~20枚、好ましくは2~10枚用い、その片面又は両面に銅箔を配置してプレスして加熱硬化することにより製造することができる。
銅箔の厚みとしては特に制限はないが、3~70μmが好ましく、10~50μmがより好ましく、15~40μmが更に好ましい。この範囲であれば、高信頼性を保持した、多層の基板を成形することができる。
基板の成形条件は、特に制限はないが、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100~400℃、圧力1~100MPa、加熱時間0.1~4時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグ、銅箔、内層用配線板を組合せて成形し、基板を成形することもできる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。なお、以下において数平均分子量(Mn)はポリスチレンを基準として、下記測定条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されたものである。
[GPC測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ3000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ2000(4.6mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
(A)窒素原子に結合する芳香族基を有するシトラコンイミド化合物
合成例1(シトラコンイミド化合物の製造、式(4))
攪拌機、ディーンスターク管、冷却コンデンサー及び温度計を備えた2Lのガラス製4つ口フラスコに、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)184.7g(0.45モル)、無水シトラコン酸111.0g(0.99モル)及びトルエン150gを加えて反応液を調製し、80℃で3時間撹拌することでアミック酸を合成した。その後、反応液にメタンスルホン酸40gを加えたのち、110℃に昇温し、副生した水分を留去しながら16時間撹拌した後、反応液を200gのイオン交換水を用いて5回水洗した。その後、水洗した反応液をヘプタンに投入し、沈殿物を濾過することにより回収し、黄色粉末状の目的物(式(4)、(A-1)、Mn600)を257.1g(収率95%)得た。
Figure 2023018240000014
合成例2(シトラコンイミド化合物の製造、式(5))
攪拌機、ディーンスターク管、冷却コンデンサー及び温度計を備えた2Lのガラス製4つ口フラスコに、ビスアニリンM155.0g(0.45モル)、無水シトラコン酸111.0g(0.99モル)及びトルエン150gを加えて反応液を調製し、80℃で3時間撹拌することでアミック酸を合成した。その後、反応液にメタンスルホン酸40gを加えたのち、110℃に昇温し、副生した水分を留去しながら16時間撹拌した後、反応液を200gのイオン交換水を用いて5回水洗した。その後、水洗した反応液をヘプタンに投入し、沈殿物を濾過することにより回収し、黄色粉末状の目的物(式(5)、(A-2)、Mn530)を229.7g(収率96%)得た。
Figure 2023018240000015
(B)窒素原子に結合する脂肪族基を有する環状イミド化合物
(B-1):下記式(6)で表されるビスマレイミド化合物(商品名:BMI-689、Designer Molecules Inc.製)
Figure 2023018240000016
(式中のC3672はダイマー酸骨格を意味する。)

(B-2):下記式(7)で表されるビスマレイミド化合物(BMI-3000、Designer Molecules Inc.製)
Figure 2023018240000017
(式中のC3672はダイマー酸骨格を意味する。)

(B-3):下記式(8)で表されるビスマレイミド化合物(BMI-1500、Designer Molecules Inc.製)
Figure 2023018240000018
(式中のC3672はダイマー酸骨格を意味する。)

(B-4):下記式(9)で表されるビスマレイミド化合物(SLK-2600、信越化学工業(株)製)
Figure 2023018240000019
(式中のC3672はダイマー酸骨格由来の構造を示し、n≒5、m≒1である。)

(B-5):下記式(10)で示されるマレイミド化合物(BMI-TMH、大和化成工業(株)製)
Figure 2023018240000020

(B-6):下記式(11)で示されるシトラコンイミド化合物(BCI-737、Designer Molecules Inc.製)
Figure 2023018240000021
(式中のC3672はダイマー酸骨格を意味する。)
(C)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂
(C-1):ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000:日本化薬(株)製、軟化点56℃)
(D)反応促進剤
(D-1):2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ:四国化成(株)製)
(D-2):トリフェニルホスフィン(TPP:北興化学(株)製)
(E)比較例用マレイミド化合物
(E-1):下記式(12)で表されるビスマレイミド化合物(商品名:BMI-4000、大和化成(株)製)
Figure 2023018240000022

(E-2):下記式(13)で表されるビスマレイミド化合物(商品名:BMI-2300、大和化成(株)製)
Figure 2023018240000023
(n≒1(平均値))
評価試験
<組成物の調製>
表1の配合比で双腕式ニーダー(TK0.5、(株)トーシン製)を用いて混合し、組成物を調製した。配合する成分の融点が高く、混合が難しいものは80℃で混合し、組成物を調製した。
<成形性>
直径200mm、200μm厚の枠を用意し、上記で調製した組成物を厚さ50μmの離型処理されたPETフィルム(E7006、東洋紡製)で挟み込んで、真空プレス機(ニッコーマテリアルズ製)を用いて180℃5分の条件で成形し、硬化物を得た。PETフィルムから硬化物を取り出した際に、フィルム状のサンプルとして得られた場合を〇、ひび割れや泣き別れが生じたものを×とした。
<外観>
上記で作製したフィルム状サンプルを180℃で3時間の条件でポストキュアを行い、硬化樹脂フィルムを作製し、外観を目視で確認した。分離や硬化ムラがなく、フィルム全体の色が均一である場合を〇とし、分離や硬化ムラがあり、フィルムの色が局所的に違う場合は×とした。
<誘電正接>
上記で作製した硬化樹脂フィルムを用いて、ネットワークアナライザ(キーサイト社製 E5063-2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続し、硬化樹脂フィルムの周波数10GHzにおける誘電正接を測定した。結果を表1に記載した。
<耐熱性>
上記で作製した硬化樹脂フィルムを、180℃の恒温槽にて24時間インキュベーションした後、該硬化樹脂フィルムを用いて、ネットワークアナライザ(キーサイト社製 E5063-2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続し、硬化樹脂フィルムの周波数10GHzにおける誘電正接を測定した。結果を表1に記載した。
<ガラス転移温度>
上記で作製した硬化樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率(MPa)をTAインスツルメント製DMA-800により、-20℃~300℃の範囲で測定し、得られた貯蔵弾性率と損失弾性率の値から導き出されるTanδの値をプロットしたグラフから得られるピークトップの温度をガラス転移温度(Tg)とした。測定条件は、20mm×5mm×200μm厚の試験サンプル(硬化樹脂フィルム)、昇温速度5℃/分、マルチ周波数モード、引っ張りモード、振幅15μmであった。結果を表1に記載した。
Figure 2023018240000024
表1において、実施例1~13の組成物は樹脂の溶解性が良好で成形性にも優れており、分離や硬化ムラのない均一な硬化物となった。その硬化物(硬化樹脂フィルム)は、低誘電特性を維持しながら高いガラス転移温度(150℃以上)を有しており、耐熱性も良好であった。
一方で、比較例1、2の(A)成分を含まない組成物は、低誘電特性を示すものの、その硬化物のガラス転移温度は低い値となり、180℃での24時間インキュベーション後の誘電特性が悪化した。比較例3、4に示した芳香族基を有するマレイミド化合物を含む組成物は(B)成分の脂肪族基を有する環状イミド化合物との相溶性が悪く、分離及び硬化ムラが生じ、良好な誘電特性を得ることができなかった。比較例5の、芳香族基を有するシトラコンイミド化合物((A)成分)の代わりに脂肪族基を有するシトラコンイミド化合物((B-6)成分)を含む組成物は、脂肪族イミド化合物との相溶性は高いものの、その硬化物のガラス転移温度は低かった。比較例6の組成物は、(C)成分を含まないため、シトラコンイミド化合物が完全に硬化せず、ガラス転移温度は低かった。

Claims (14)

  1. 下記(A)から(D)を含む熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
    (A)窒素原子に結合する芳香族基を有するシトラコンイミド化合物
    (B)窒素原子に結合する脂肪族基を有する環状イミド化合物
    (C)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂
    (D)反応促進剤
  2. (A)成分のシトラコンイミド化合物が下記式(1)で表されるビスシトラコンイミド化合物である請求項1に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
    Figure 2023018240000025
    (式(1)中、Aは2価の有機基であり、置換または非置換の芳香族基である。)
  3. 式(1)中のAが下記構造から選ばれるものである請求項2に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
    Figure 2023018240000026
    (*はシトラコンイミド基中の窒素原子との結合を意味する。)
  4. (B)成分が下記式(2)で表されるものである請求項1~3のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
    Figure 2023018240000027
    (式(2)中、Bは炭素数6から100の2価の脂肪族炭化水素基であり、R1~R4は水素原子またはメチル基を表す。)
  5. (B)成分が下記式(3)で表されるものである請求項1~3のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
    Figure 2023018240000028
    (式(3)中、Xは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Zは独立して炭素数6~100の2価の脂肪族炭化水素基であり、mは0~10である。ただし、mで括られた繰り返し単位の構造は、同じであっても異なっていてもよく、Zの1つ以上はダイマー酸骨格由来の構造を有する。また、R1~R4は水素原子またはメチル基を表す。)
  6. 式(3)中のXが下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである請求項5に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
    Figure 2023018240000029
    (上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、一般式(3)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
  7. (D)成分の反応促進剤が、窒素原子又は/及びリン原子含むアニオン重合開始触媒である請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
  8. (A)成分を100質量部としたときの(B)成分の質量部数が5~9900質量部であり、(C)成分が0.5~100質量部であり、(D)成分が0.05~100質量部である請求項1~7のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物からなる未硬化樹脂フィルム。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂フィルム。
  11. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物と繊維基材とを有するプリプレグ。
  12. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物を含む基板。
  13. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物からなる接着剤。
  14. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱硬化性シトラコンイミド樹脂組成物からなる半導体封止材。
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