JP7386700B2 - 基板処理方法 - Google Patents

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Description

本願は、基板処理方法に関する。
従来から、フッ硝酸を基板の主面に供給して、基板の主面に形成されたポリシリコン膜を除去する基板処理装置が提案されている(例えば特許文献1~4)。これらの基板処理装置は、基板保持部と、回転機構と、処理液供給部とを含んでいる。基板保持部は基板を水平に保持する。回転機構は、基板の中心部を通る鉛直な回転軸のまわりで基板保持部を回転させる。これにより、基板保持部によって保持された基板も回転軸のまわりで回転する。処理液供給部は、基板保持部によって保持された基板の主面にエッチング液を供給する。
特許文献1~4では、処理液供給部は、回転中の基板の周縁部にフッ硝酸を供給することにより、基板の周縁部のポリシリコン膜を除去する。
特開2015-211090号公報 特開2019-129162号公報 特開2017-59676号公報 特開2016-63193号公報
ポリシリコン膜などの除去対象膜が基板の主面の全面に形成されている場合があり、当該除去対象膜を全面的に除去することが要求される場合がある。この場合、基板処理装置は、除去対象膜を除去するための、フッ硝酸などのエッチング液を基板の主面の全面に供給する。具体的には、回転中の基板の主面の中央部にエッチング液を吐出する。基板の中央部に着液したエッチング液は回転に伴う遠心力を受けて基板の主面の全面に広がる。これにより、除去対象膜を除去することができる。
ところで、基板保持部が複数のチャックピンにより基板を保持する場合がある。複数のチャックピンは基板の端部に沿って等間隔に配列される。基板保持部は複数のチャックピンが基板の端部に当接することにより基板を保持し、複数のチャックピンが基板の端部から離れることで基板の保持が解除される。
このような基板処理装置において、各チャックピンと基板との接触領域では、エッチング液が作用しにくい。よって、当該接触領域には除去対象膜が残留し得る。
そこで、互いに独立して駆動される第1チャックピン群および第2チャックピン群を基板保持部に設けることが考えられる。第1チャックピン群は、基板の端部に沿って配列された複数の第1チャックピンを含み、第2チャックピン群は、基板の端部に沿って配列された複数の第2チャックピンを含む。
基板処理装置は、まず第1チャックピン群が基板を保持した状態で、回転中の基板の主面の中央部に処理液を供給する。これにより、第1チャックピン群と基板との接触領域以外の除去対象膜が除去される。次に、第2チャックピン群が基板を保持し、第1チャックピン群が基板の保持を解除する。これにより、第1チャックピン群によって覆われていた接触領域が露出する。よって、エッチング液が接触領域の除去対象膜に作用して、当該除去対象膜を除去することができる。したがって、基板の主面の全面で除去対象膜を除去することができる。
しかしながら、このような処理方法では、接触領域における除去対象膜の除去に要する時間が長く、スループットの観点では問題があった。
そこで、本願は、速やかに除去対象膜を除去できる基板処理方法を提供することを目的とする。
基板処理方法の第1の態様は、基板の端部を第1チャックピン群で保持する第1保持工程と、前記基板を前記基板の中心を通る鉛直方向の回転軸を中心に回転させる回転工程と、前記基板の端部を第2チャックピン群で保持する第2保持工程と前記第1チャックピン群で保持された前記基板の主面上の第1領域にエッチング液を供給する第1エッチング工程と、第1エッチング工程の後に、前記第2チャックピン群で保持された前記基板の主面上の前記第1領域と異なる第2領域にエッチング液を供給する第2エッチング工程とを備え、前記第2領域は、前記基板の径方向において、前記第1領域よりも前記回転軸に近い。
基板処理方法の第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理方法であって、前記基板には、シリコンまたはポリシリコン膜が形成されており、エッチング液は硝酸を含む。
基板処理方法の第3の態様は、第2の態様にかかる基板処理方法であって、前記第1エッチング工程が完了した後において、前記第2領域には、シリコンまたはポリシリコン膜が露出しており、前記第2エッチング工程において、当該シリコンまたは当該ポリシリコン膜に前記エッチング液が供給されることにより、亜硝酸が生成される。
基板処理方法の第4の態様は、第2または第3の態様にかかる基板処理方法であって、前記第1エッチング工程を開始する前において、前記第1領域には、シリコンまたはポリシリコン膜が露出しており、前記第1エッチング工程において、当該シリコンまたはポリシリコン膜に前記エッチング液が供給されることにより、亜硝酸が生成される。
基板処理方法の第5の態様は、第2から第4のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記エッチング液は、硝酸およびフッ酸を含む。
基板処理方法の第6の態様は、第2から第5のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記第領域は、前記基板の中心を含むことを特徴とする。
基板処理方法の第7の態様は、第6の態様にかかる基板処理方法であって、前記第2エッチング工程において、前記基板の中心よりもずれた着液位置にエッチング液を着液させる。
基板処理方法の第8の態様は、第1から第7のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記第1エッチング工程におけるエッチング液の供給は、停止したノズルから供給される。
基板処理方法の第9の態様は、第1から第7のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記第1エッチング工程および前記第2エッチング工程においてエッチング液はノズルから供給され、前記ノズルは、前記基板の周縁部から中心部に向けて移動し、前記第1エッチング工程において前記ノズルから供給されるエッチング液は前記第1領域に供給され、前記第2エッチング工程において前記ノズルから供給されるエッチング液は前記第2領域に供給される。
基板処理方法の第10の態様は、第1から第9のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記第2エッチング工程において、前記基板の回転速度を減少または前記基板の回転を停止させるパドル工程をさらに備える。
基板処理方法の第11の態様は、第1から第10のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記基板には、シリコンまたはポリシリコン膜が形成されており、前記エッチング液は硝酸を含み、前記第1エッチング工程および前記第2エッチング工程において、前記エッチング液が前記基板に供給されて生じる一酸化窒素の散逸を抑制するように前記基板の上方に対向部材を近接させる。
基板処理方法の第12の態様は、第11の態様にかかる基板処理方法であって、前記第1エッチング工程において、前記対向部材を、エッチング液を吐出するノズルに対して、前記第1チャックピン群に保持された前記基板とは反対側の第1位置に位置させ、前記第2エッチング工程において、前記基板の回転速度を減少または前記基板の回転を停止させるパドル工程をさらに備え、前記パドル工程において、前記ノズルを前記対向部材と前記基板との間から外側の待機位置に退避させ、前記対向部材を前記第1位置よりも前記基板に近い第2位置に位置させる。
基板処理方法の第13の態様は、第1から第12のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記基板には、シリコンまたはポリシリコン膜である除去対象膜が形成され、前記除去対象膜の下地膜として、シリコン酸化膜が形成されている。
基板処理方法の第1から第13の態様によれば、速やかに除去対象膜9aを除去することができる。
基板処理装置の全体レイアウトの一例を示す概略に示す平面図である。 基板処理装置の構成の一例を概略的に示す図である。 基板保持部の構成の一例を概略的に示す図である。 基板処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。 チャックピンおよび基板の構成の一例を概略的に示す図である。 チャックピンおよび基板の構成の一例を概略的に示す図である。 基板処理装置の動作の他の一例を示すフローチャートである。 基板処理装置の構成の他の一例を概略的に示す図である。 基板処理装置の動作の他の一例を示すフローチャートである。 基板処理装置の動作の他の一例を示すフローチャートである。 基板処理装置の構成の他の一例を概略的に示す図である。
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本開示の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
<第1の実施の形態>
<基板処理システムの概略構成>
図1は、基板洗浄装置として機能する基板処理システム100の構成の一例を概略的に示す平面図である。図1で示されるように、基板処理システム100は、例えば、基板の一例としての半導体基板(ウエハ)9の表面に付着した有機系のゴミを除去する処理に用いることができる枚葉式の装置である。有機系のゴミとしては、例えば、基板9の表面に不純物を注入するイオン注入処理等の後において基板9の表面に残っている不要になったレジスト、あるいは基板9の表面のうちの外周部の近傍に付着しているレジスト等に由来する有機系のゴミ等、が含まれる。
基板処理システム100は、収容器としての複数のキャリアCを保持する収容器保持機構としてのロードポートLPと、基板9を処理する複数(この実施の形態では、12台)の処理ユニット110とを含む。具体的には、例えば、平面的に配置されている4台の処理ユニット110でそれぞれ構成されている3組の処理ユニット110が、鉛直方向に積層するように配置されている。
基板処理システム100は、さらに、例えば、インデクサロボットIRと、センターロボットCRと、制御部6とを含む。インデクサロボットIRは、例えば、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板9を搬送することができる。センターロボットCRは、例えば、インデクサロボットIRと各処理ユニット110との間で基板9を搬送することができる。制御部6は、例えば、基板処理システム100に備えられた各部の動作およびバルブの開閉等を制御することができる。
ここでは、図1で示されるように、ロードポートLPと各処理ユニット110とは、水平方向に間隔を空けて配置されている。ロードポートLPにおいて、複数枚の基板9を収容する複数のキャリアCは、平面視したときに水平な配列方向Dに沿って配列されている。ロードポートLPは、基板9を搬入する搬入部として機能する。ここで、インデクサロボットIRは、例えば、キャリアCから基板載置部PASSに複数枚の基板9を一枚ずつ搬送することができるとともに、基板載置部PASSからキャリアCに複数枚の基板9を一枚ずつ搬送することができる。基板載置部PASSは、基板9を載置する載置台を含む。
センターロボットCRは、例えば、基板載置部PASSから各処理ユニット110に複数枚の基板9を一枚ずつ搬送することができるとともに、各処理ユニット110から基板載置部PASSに複数枚の基板9を一枚ずつ搬送することができる。また、例えば、センターロボットCRは、必要に応じて複数の処理ユニット110の間において基板9を搬送することができる。インデクサロボットIR、基板載置部PASSおよびセンターロボットCRは、基板9を搬入部(ロードポートLP)から受け取り、処理ユニット110に受け渡す基板受渡し部として機能する。
図1の例では、インデクサロボットIRは、平面視U字状のハンドHを有している。ここでは、インデクサロボットIRは2つのハンドHを有する。2つのハンドHは、互いに異なる高さに配置される。各ハンドHは基板9を水平な姿勢で支持することができる。インデクサロボットIRはハンドHを水平方向および鉛直方向に移動させることができる。さらに、インデクサロボットIRは、鉛直方向に沿った軸を中心として回転(自転)することで、ハンドHの向きを変更することができる。インデクサロボットIRは、受渡位置(図1でインデクサロボットIRが描かれている位置)を通る経路において配列方向Dに沿って移動する。受渡位置は、平面視したときにインデクサロボットIRと基板載置部PASSとが配列方向Dに直交する方向において対向する位置である。インデクサロボットIRは、任意のキャリアCおよび基板載置部PASSにそれぞれハンドHを対向させることができる。ここで、例えば、インデクサロボットIRはハンドHを移動させることにより、キャリアCに基板9を搬入する搬入動作と、キャリアCから基板9を搬出する搬出動作とを行うことができる。また、例えば、インデクサロボットIRは受渡位置においてハンドHを移動させることにより、基板載置部PASSに基板9を搬入する搬入動作と、基板載置部PASSら基板9を搬出する搬出動作とを行うことができる。
図1の例では、センターロボットCRは、インデクサロボットIRと同様に、平面視U字状のハンドHを有している。ここでは、センターロボットCRは2つのハンドHを有する。2つのハンドHは、互いに異なる高さに配置される。各ハンドHは基板9を水平な姿勢で支持することができる。センターロボットCRは各ハンドHを水平方向および鉛直方向に移動させることができる。さらに、センターロボットCRは、鉛直方向に沿った軸を中心として回転(自転)することで、ハンドHの向きを変更することができる。センターロボットCRは、平面視したときに、複数台の処理ユニット110に取り囲まれている。センターロボットCRは、任意の処理ユニット110および基板載置部PASSのいずれかにハンドHを対向させることができる。ここで、例えば、センターロボットCRはハンドHを移動させることにより、各処理ユニット110に基板9を搬入する搬入動作と、各処理ユニット110から基板9を搬出する搬出動作とを行うことができる。また、例えば、センターロボットCRはハンドHを移動させることにより、基板載置部PASSに基板9を搬入する搬入動作と、基板載置部PASSら基板9を搬出する搬出動作とを行うことができる。
未処理の基板9はキャリアCからインデクサロボットIRによって取り出され、基板載置部PASSを経由してセンターロボットCRに受け渡される。センターロボットCRはこの未処理の基板9を処理ユニット110に搬入する。処理ユニット110は基板9に対して処理を行う。処理済みの基板9はセンターロボットCRによって処理ユニット110から取り出され、必要に応じて他の処理ユニット110を経由したうえで、基板載置部PASSを介してインデクサロボットIRに受け渡される。インデクサロボットIRは処理済みの基板9をキャリアCに搬入する。以上により、基板9に対する処理が行われる。
<基板処理装置>
図2は、上記処理ユニット110の一つに相当する基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す図である。基板処理装置1は、基板9を一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板9は第1主面91と、第1主面91と反対側の第2主面92とを有している。第1主面91には、デバイスに必要な各種パターンが形成され、第2主面92には、パターンは形成されない。
第2主面92には、除去対象膜が形成されている。除去対象膜は、例えば、シリコンであり、より具体的な一例としてポリシリコン膜である。この除去対象膜は基板9の第2主面92の全面に形成されている。除去対象膜の膜厚は例えば数百nm程度であり、より具体的な一例として150nm程度である。この除去対象膜は、例えば、基板9が薄い場合に、その基板9の剛性を向上するために形成される。基板9の剛性が向上することにより、基板9に生じる反りを低減することができる。よって、基板9の第1主面91上に種々のパターンを形成する際に、基板9の反りの影響を低減して、適切にパターンを形成することができる。その一方で、基板9の第1主面91上に必要なパターンが形成されると、基板9の第2主面92における除去対象膜を除去する必要がある。基板処理装置1はこの除去対象膜を除去する。
基板処理装置1は、基板保持部2と、基板回転機構3と、処理液供給部4とを含む。基板保持部2および基板回転機構3は、箱状のチャンバ(図示省略)内に収容される。当該チャンバは、およそ密閉された内部空間を形成する。
基板保持部2は、基板9を水平姿勢で保持する。ここでいう水平姿勢とは、基板9の厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。図2の例では、基板保持部2は、第2主面92が鉛直上方を向く姿勢で基板9を保持している。図2の例では、基板保持部2は、リフト部22と、チャック部23とを含んでいる。
図3は、基板保持部2の構成の一例を概略的に示す平面図である。チャック部23は、複数(図3の例では3つ)の第1チャックピン231aと、複数(図3の例では3つ)の第2チャックピン231bとを含む。複数の第1チャックピン231aは基板9を水平姿勢で保持することができ、複数の第2チャックピン231bも基板9を水平姿勢で保持することができる。
リフト部22は、複数(図3の例では6つ)のリフトピン221を含む。リフトピン221は、チャック部23によって保持された基板9の第1主面91と鉛直方向において対向する位置に設けられる。図3の例では、リフトピン221は基板9の周縁に沿って並んで設けられている。また、リフトピン221はチャック部23に対して昇降可能に設けられる。リフトピン221が上昇することにより、リフトピン221が基板9の周縁部を支持することができる。
基板回転機構3は回転軸J1のまわりで基板保持部2を回転させる。回転軸J1は、基板保持部2によって保持された基板9の中央部を通り、鉛直方向に沿って延在する軸である。回転軸J1は理想的には基板9の中心を通る。図2の例では、基板回転機構3は、シャフト部31と、モータ32とを含んでいる。シャフト部31は、回転軸J1を中心とする円筒状の形状を有しており、その上端が基板保持部2の下面(具体的には、後述の対向板部21の下面212)の中央部に固定される。モータ32はシャフト部31を回転させることにより、基板保持部2を回転軸J1のまわりで回転させる。これにより、基板保持部2によって保持された基板9も回転軸J1のまわりで回転する。
処理液供給部4は、基板保持部2によって保持された基板9の第2主面92に処理液を供給する。図2の例では、処理液供給部4は、ノズル41と、処理液供給源42とを含んでいる。ノズル41はチャンバ内において、基板保持部2によって保持された基板9よりも上方に設けられており、ノズル移動機構43によって支持される。
ノズル移動機構43はノズル41を水平面内で移動させることができる。具体的には、ノズル移動機構43は、平面視において、基板9の中心より端部寄りの第1処理位置と、当該第1処理位置よりも基板9の中心に近い第2処理位置とに、ノズル41を移動させることができる。図2の例では、第1処理位置に位置するノズル41を破線で示し、第2処理位置に位置するノズル41を実線で示している。
図2の例では、ノズル移動機構43は、ノズルアーム431と、支持棒432と、回転機構433とを含んでいる。支持棒432は、鉛直方向に沿って延在する棒状の形状を有しており、基板保持部2よりも径方向外側に設けられている。ノズルアーム431は水平方向に沿って延在する棒状の形状を有しており、その一端が支持棒432に連結され、他端はノズル41に連結されている。回転機構433はモータを含んでおり、支持棒432をその中心軸J3のまわりで回動させる。支持棒432が回動することにより、ノズルアーム431に連結されたノズル41は、中心軸J3を中心とした周方向に沿って往復移動する。第1処理位置および第2処理位置は、中心軸J3を中心とした周方向に延在する移動経路上に位置している。また、ノズル移動機構43はノズル41を、基板9よりも径方向外側の待機位置に移動させることもできる。待機位置も当該移動経路上に位置している。
ノズル41は弁を介して処理液供給源42に接続される。処理液供給源42からノズル41に処理液が供給されることにより、ノズル41から基板9の第2主面92に向けて当該処理液が吐出される。図2の処理液供給源42は、薬液(エッチング液等)、有機溶剤または純水(脱イオン水(DIW))等の処理液を順次切り替えてノズル41に供給可能である。エッチング液は、例えば、硝酸と酸性薬液との混合液である。酸性薬液としては例えばフッ酸を採用できる。この場合、エッチング液はフッ硝酸とも呼ばれる。フッ硝酸を採用する場合には、フッ酸の濃度は例えば5%~20%程度であり、硝酸の濃度は例えば40%~65%程度である。体積比では、フッ酸に対する硝酸の比は、例えば1~10程度である。有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)が例示される。
処理液供給部4は、基板9の回転中に処理液を供給する。よって、第2主面92の上に着液した処理液は、基板9の回転に伴う遠心力を受けて径方向外側に流れ、基板9の端部から外側に飛散する。そこで、基板処理装置1には、基板9の端部から飛散した処理液を受け止めるガード(不図示)が設けられてもよい。このガードは、平面視において基板保持部2を囲む円筒形状を有している。基板9の端部から飛散した処理液はガードの内周面に当たって不図示の回収部に回収される。このガードは昇降可能に設けられてもよい。ガードが上位置に位置するときには、ガードの上端が基板9の第2主面92よりも上方に位置している。ガードが下位置に位置するときには、ガードの上端は例えば基板保持部2の対向面211よりも下方に位置する。
次に、基板保持部2の構成の詳細な一例について説明する。図2および図3の例では、基板保持部2は対向板部21を含んでいる。対向板部21は、回転軸J1を中心とする円板形状を有する。基板保持部2は対向板部21よりも上方において基板9を保持しており、対向板部21の上方を向く面は、基板9の下方を向く第1主面91に対向する対向面211である。対向面211は回転軸J1に垂直な方向に広がる。対向面211の外周縁は基板9よりも外側に位置している。言い換えれば、対向面211の径は基板9の径よりも大きい。
図2および図3の例では、チャック部23は、複数の第1チャックピン231aと、複数の第2チャックピン231bと、チャック駆動機構25とを含んでいる。複数の第1チャックピン231aは第1チャックピン群を構成し、複数の第2チャックピン231bは第2チャックピン群を構成する。なお、以下において、第1チャックピン231aおよび第2チャックピン231bを区別しない場合には、これらをチャックピン231と総称する。
複数の第1チャックピン231aおよび複数の第2チャックピン231bは、基板9の端部に沿って並んで配列される。図3の例では、第1チャックピン231aおよび第2チャックピン231bは、基板9よりも僅かに大きな径を有する基準円C1に沿って等間隔で配列されている。つまり、第1チャックピン231aおよび第2チャックピン231bは同心状に配列される。より具体的には、図3の例では、第1チャックピン群に含まれる3つの第1チャックピン231aが周方向に120度間隔で配列されており、第2チャックピン群に含まれる3つの第2チャックピン231bが周方向に120度間隔で配列されている。第1チャックピン231aおよび第2チャックピン231bは周方向に60度間隔で交互に配列されている。チャック駆動機構25は第1チャックピン群および第2チャックピン群を互いに独立して駆動する。
図3の例では、対向板部21の対向面211において、複数のリフトピン221が周方向に等間隔で配列される。複数のリフトピン221は、回転軸J1を中心とした円に沿って並んで配列される。図3の例では、リフトピン221は、チャックピン231と同様に、基準円C1に沿って並んで配列される。より具体的には、6つのリフトピン221および6つのチャックピン231が基準円C1において30度間隔で交互に配列されている。
対向面211には、複数の穴部213および複数の穴部215が設けられる。鉛直方向に垂直な穴部213および穴部215の断面形状は、円形である。複数のリフトピン221は複数の穴部215にそれぞれ挿入され、複数のチャックピン231は複数の穴部213にそれぞれ挿入される。リフトピン221の穴部215における断面形状も円形であり、チャックピン231の穴部213における断面形状も円形である。図3の例では、リフトピン221の直径はチャックピン231の直径よりも小さい。各穴部215の直径はリフトピン221に合わせた値をとり、各穴部213の直径はチャックピン231に合わせた値をとる。
各リフトピン221は穴部215において鉛直方向に移動可能に支持される。図2の対向板部21の内部には、回転軸J1を中心とする環状空間が設けられており、複数のリフトピン221を互いに連結する環状部材が当該環状空間に配置される。当該環状部材は、複数のチャックピン231を避けた形状を有しており、複数のチャックピン231と干渉することはない。
図2に示すように、リフト部22はピン昇降機構24をさらに含む。ピン昇降機構24は対向板部21よりも下方に設けられ、例えば、対向板部21が所定の回転停止位置で停止した状態において、一つの穴部215に対向した位置に配置される。ピン昇降機構24は例えばエアシリンダを有し、ピストンロッド241を上昇させて、当該一つの穴部215内に位置するリフトピン221を押し上げる。これにより、複数のリフトピン221が、上位置まで上昇する。上位置において、リフトピン221の一部は対向面211よりも上方に突出する。この状態で、複数のリフトピン221は基板9の第1主面91の周縁部を支持することができる。
ピン昇降機構24がピストンロッド241を下降させると、複数のリフトピン221が、下位置まで下降する。リフトピン221の下位置は上位置よりも下方の位置である。基板保持部2の一例では、ピストンロッド241が上昇していない状態において、リフトピン221が下位置で停止するように、リフトピン221がばね等の付勢部材により押圧されている。ピン昇降機構24は、モータ等を用いてリフトピン221を押し上げる機構(例えばボールねじ機構)であってもよい。
リフトピン221が上位置まで上昇した状態で、センターロボットCRから基板9がリフトピン221の上に載置される。そして、リフトピン221が下位置まで下降することにより、基板9が下降する。この状態で、基板9は第1チャックピン231aまたは第2チャックピン231bによって保持される。
図3に示すように、第1チャックピン231aおよび第2チャックピン231bは、対向板部21に設けられた穴部213に挿入される。穴部213にはベアリング214が設けられており、穴部213の回動軸J2を中心として、チャックピン231がベアリング214によって回動可能に支持される。以下の説明では、回動軸J2を「チャック回動軸J2」という。基板保持部2の一例では、穴部213に設けられる図示省略の係止部材により、チャックピン231が回動可能な範囲が、所定の角度範囲(後述の保持位置と開放位置とを含む角度範囲)に制限されている。
各チャックピン231は、支持体2311と、突出部230とを含んでいる。支持体2311は穴部213の内部においてベアリング214に連結される。支持体2311の上面には、上方に突出する突出部230が設けられている。図3の例では、2つの突出部230が設けられる。2つの突出部230はチャック回動軸J2から、回転軸J1についての周方向にずれた位置に配置される。
支持体2311がチャック回動軸J2のまわりで回動することにより、突出部230はチャック回動軸J2の周方向に沿って、基板9の端部に当接する保持位置と、基板9の周縁から離れた開放位置との間で往復移動する。複数のチャックピン231がそれぞれの保持位置に停止した状態で、複数のチャックピン231は基板9を保持することができる。各突出部230のうち基板9の端部に当接するチャック当接面は、回転軸J1の周方向に沿って見て、V字状の形状を有しており、基板9の端部がこのチャック当接面に嵌まる。これにより、複数のチャックピン231は基板9を保持することができる。複数のチャックピン231がそれぞれの開放位置で停止した状態では、基板9の保持が解除される。
チャック駆動機構25は、チャックピン231をチャック回動軸J2のまわりで回動させることにより、突出部230を保持位置と開放位置との間で移動させる。チャック駆動機構25が複数のチャックピン231の突出部30をそれぞれの保持位置に移動させることにより、複数のチャックピン231が基板9の端部に当接して基板9を保持する。チャック駆動機構25が複数のチャックピン231の突出部30をそれぞれの開放位置に移動させることにより、複数のチャックピン231による基板9の保持が解除される。
チャック駆動機構25はチャックピン231a,231bを互いに独立に駆動する。チャック駆動機構25の構成は特に限定されないものの、その一例について概説する。図2の例では、チャック駆動機構25は磁石の磁力を用いてチャックピン231を駆動する。図2の例では、各第1チャックピン231aの支持体2311の下端には回動磁石251aが取り付けられており、その回動磁石251aの近傍には、閉塞磁石252aが設けられている。閉塞磁石252aは対向板部21の下面212に取り付けられる。
チャック駆動機構25は磁石昇降機構254aを含んでいる。磁石昇降機構254aは例えばエアシリンダを有し、エアシリンダのピストンロッドの先端に開放磁石253aが取り付けられる。開放磁石253aは第1チャックピン231aに対応して設けられる。ここでは、3つの第1チャックピン231aが設けられているので、3つの開放磁石253aが設けられる。3つの開放磁石253aは回転軸J1のまわりで等間隔に配列される。
磁石昇降機構254aは開放磁石253aを、回動磁石251aに近い近接位置と、回動磁石251aから遠い離間位置との間で昇降させる。近接位置では、回動磁石251aと開放磁石253aとの間の磁力が回動磁石251aと閉塞磁石252aとの間の磁力よりも大きくなり、回動磁石251aは開放位置まで回転する。これにより、回動磁石251aに連結された第1チャックピン231aも開放位置まで回転する。一方で、離間位置では、回動磁石251aと開放磁石253aとの間の磁力が小さくなり、回動磁石251aは閉塞磁石252aとの間の磁力によって保持位置まで回転する。これにより、第1チャックピン231aも保持位置まで回転する。
第2チャックピン231bも同様である。つまり、各第2チャックピン231bの支持体2311の下端には回動磁石251bが取り付けられており、その回動磁石251bの近傍には、閉塞磁石252bが設けられている。閉塞磁石252bは対向板部21の下面212に取り付けられる。但し、回動磁石251bの磁極の向きは回動磁石251aの磁極の向きと反対である。
チャック駆動機構25は、開放磁石253bを昇降する磁石昇降機構254bを含んでいる。開放磁石253a,253bは回転軸J1のまわりで交互に配列される。磁石昇降機構254bは、開放磁石253bを回動磁石251bに近い近接位置と、回動磁石251bから遠い離間位置との間で昇降させる。近接位置では、回動磁石251bと開放磁石253bとの間の磁力により、第2チャックピン231bは開放位置まで回転する。一方、離間位置では、回動磁石251bと閉塞磁石252bとの間の磁力により、第2チャックピン231bは保持位置まで回転する。
磁石昇降機構254aが開放磁石253aを離間位置に停止させ、磁石昇降機構254bが開放磁石253bを近接位置に停止させることにより、第1チャックピン231aが基板9を保持する。一方で、磁石昇降機構254aが開放磁石253aを近接位置に停止させ、磁石昇降機構254bが開放磁石253bを離間位置に停止させることにより、第2チャックピン231bが基板9を保持する。
制御部6は基板処理装置1の各部の動作を制御することができる。具体的には、制御部6は、基板回転機構3のモータ32、処理液供給部4の弁、ノズル移動機構43、ピン昇降機構24、チャック駆動機構25を制御することができる。
制御部6は電子回路であって、例えばデータ処理装置および記憶媒体を有していてもよい。データ処理装置は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶媒体は非一時的な記憶媒体(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)および一時的な記憶媒体(例えばRAM(Random Access Memory))を有していてもよい。非一時的な記憶媒体には、例えば制御部6が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。処理装置がこのプログラムを実行することにより、制御部6が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部6が実行する処理の一部または全部がハードウェアによって実行されてもよい。
なお、基板処理装置1は、基板9の温度を調整するための加熱部(不図示)を有していてもよい。加熱部は例えば対向板部21に内蔵されてもよい。加熱部は熱源として例えば電気抵抗素子を有している。加熱部が基板9の温度を例えば30℃程度に昇温してもよい。
<基板処理装置の動作>
図4は、基板処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。チャック駆動機構25は、初期的には、複数の第1チャックピン231aおよび複数の第2チャックピン231bをそれぞれの開放位置で停止させており、ノズル移動機構43はノズル41を待機位置で停止させている。
まず、基板9が基板処理装置1内に搬入される(ステップS1)。具体的には、ピン昇降機構24がリフトピン221を上位置まで上昇させ、センターロボットCRは、第1主面91が下方を向き第2主面92が上方を向いた状態で基板9をハンドHの上に載置し、当該ハンドHを基板保持部2の上方に移動させる。次に、センターロボットCRはハンドHを下降させることにより、基板9がハンドHからリフトピン221の上に受け渡される。これにより、基板9はリフトピン221によって支持される。次に、ピン昇降機構24はリフトピン221を下位置まで下降させる。これにより、リフトピン221によって支持された基板9も下降する。
次に、チャック駆動機構25は複数の第1チャックピン231aをそれぞれの保持位置に移動させ、複数の第1チャックピン231aが基板9を保持する(ステップS2:第1保持工程)。図5は、チャックピン231および基板9の一例を概略的に示す図である。図5では、第1チャックピン231aおよび第2チャックピン231bが模式的に矩形のブロックで示されている。複数の第1チャックピン231aはそれぞれの保持位置に位置して基板9の端部に当接し、基板9を保持している。複数の第2チャックピン231bはそれぞれの開放位置に位置しており、基板9の端部から離れている。図5の例では、基板9の第2主面92に形成された除去対象膜9aを斜線のハッチングで示している。除去対象膜9aは基板9の第2主面92の全面に形成されており、露出している。除去対象膜9aは例えばシリコン、より具体的な一例としてポリシリコン膜である。
次に、ノズル移動機構43はノズル41を第1処理位置に移動させる(ステップS3)。第1処理位置は、基板9の中心よりも基板9の端部寄りの位置である(図1の破線で示されたノズル41参照)。
次に、基板回転機構3は基板保持部2を回転軸J1のまわりで回転させ始める(ステップS4:回転工程)。これにより、基板保持部2によって保持された基板9も回転軸J1のまわりで回転する。また、昇降可能にガードが設けられている場合には、ガードを上位置に移動させる。また、加熱部が設けられている場合には、加熱部は基板9の温度を所定の温度(例えば30℃程度)に加熱してもよい。
次に、処理液供給部4はエッチング液を基板9の第2主面92に向かって供給する(ステップS5:第1エッチング工程)。具体的には、処理液供給部4のバルブが開くことにより、ノズル41が基板9の第2主面92に向かってエッチング液を吐出する。エッチング液は例えばフッ硝酸である。図5の例では、エッチング液が基板9の第2主面92上で着液する着液位置P1が示されている。着液位置P2は、例えば、基板9の径の4分の1の径を有する仮想内円と、4分の3の径を有する仮想外円で挟まれた仮想円環領域内に位置していてもよい。具体的な一例として、着液位置P2は基板9の中心と基板9の端部とのほぼ中央に位置していてもよい。着液位置P2で着液したエッチング液は着液位置P1を中心に若干広がりつつ、基板9の回転に伴う遠心力を受けて基板9の端部に向かって流れ、基板9の端部から外側に飛散する。よって、エッチング液は基板9の第2主面92の全面に作用するのではなく、基板9の第2主面92のうち周縁領域921に作用する。周縁領域921とは、第1エッチング工程(ステップS5)においてエッチング液と接触する領域である。よって、この第1エッチング工程によって、周縁領域921の除去対象膜9aは除去される。
周縁領域921の除去対象膜9aが除去されたときに、処理液供給部4はエッチング液の供給を一旦中断してもよい。例えば、制御部6は第1エッチング工程におけるエッチング液の供給開始からの経過時間を計測し、経過時間が第1所定時間よりも長くなったときに、処理液供給部4がエッチング液の供給を中断してもよい。第1所定時間は周縁領域921の除去対象膜9aを除去するのに十分な時間であり、例えば数秒程度である。
次に、チャック駆動機構25は基板9を保持するチャックピンを第1チャックピン231aから第2チャックピン231bに切り替える(ステップS6:第2保持工程)。具体的には、チャック駆動機構25は、複数の第2チャックピン231bをそれぞれの保持位置に移動させた後に、複数の第1チャックピン231aをそれぞれの開放位置に移動させる。これにより、複数の第2チャックピン231bが基板9の端部に当接して、基板9を保持する。各第2チャックピン231bと基板9との接触領域における除去対象膜9aは、第1エッチング工程によって既に除去されている。
図6は、チャックピン231および基板9の一例を概略的に示す図である。図6は、第1エッチング工程の完了後に第2チャックピン231bが基板9を保持する様子の一例を示している。図6の例では、第2チャックピン231bが基板9の端部に当接して基板9を保持しており、第1チャックピン231aは基板9の端部から離れている。図6の例では、基板9の除去対象膜9aは周縁領域921では既に除去されている。よって、周縁領域921には、下地膜9bが露出している。下地膜9bとは、除去対象膜9aの直下に形成された膜である。言い換えれば、除去対象膜9aは下地膜9bの上に形成されている。
一方で、基板9の第2主面92のうち中央領域922および接触領域923では、除去対象膜9aが残留しており、露出している。中央領域922は周縁領域921よりも回転軸J1に近い領域であり、基板9の中心を含む。接触領域923は、第1エッチング工程における各第1チャックピン231aと基板9との接触領域である。
次に、ノズル移動機構43はノズル41を第1処理位置よりも回転軸J1側の第2処理位置に移動させる(ステップS7)。
次に、処理液供給部4が再びエッチング液を基板9の第2主面92に供給する(ステップS8:第2エッチング工程)。具体的には、処理液供給部4のバルブが開くことにより、ノズル41が基板9の第2主面92に向かってエッチング液を吐出する。図6の例では、エッチング液が基板9の第2主面92上で着液する着液位置P2が示されている。着液位置P2は着液位置P1よりも基板9の中心側(つまり回転軸J1側)に位置している。言い換えれば、着液位置P2と基板9の中心との間の距離は、着液位置P1と基板9の中心との間の距離よりも短い。
着液位置P2は基板9の中心を含んでいてもよいものの、図6の例では、基板9の中心よりも僅かにずれている。着液位置P2で着液したエッチング液は着液位置P2を中心に若干広がりつつ、基板9の回転に伴う遠心力を受けて基板9の端部に向かって流れる。着液位置P2は、エッチング液が基板9の中心にも接触する程度の範囲内において、基板9の中心からずれている。これにより、第2エッチング工程(ステップS8)において、エッチング液は基板9の第2主面92の全面に流れる。これにより、中央領域922および接触領域923の除去対象膜9aが除去される。
第2エッチング工程において中央領域922および接触領域923の除去対象膜9aを除去すると、処理液供給部4はエッチング液の供給を停止する。例えば、制御部6は第2エッチング工程におけるエッチング液の供給開始からの経過時間を計測し、経過時間が第2所定時間よりも長くなったときに、処理液供給部4がエッチング液の供給を停止してもよい。第2所定時間は中央領域922および接触領域923の除去対象膜9aを十分に除去できる時間であり、例えば数秒程度である。第2所定時間は第1所定時間と同じであってもよく、異なっていてもよい。
次に、処理液供給部4はリンス液を基板9の第2主面92上に供給する(ステップS9)。これにより、基板9の第2主面92上のエッチング液が洗い流される。言い換えれば、基板9の第2主面92上のエッチング液がリンス液に置換される。
エッチング液が十分にリンス液に置換されると、処理液供給部4はリンス液の供給を停止する。処理液供給部4はリンス液よりも揮発性の高い有機溶剤を基板9の第2主面92に供給してもよい。これにより、次の乾燥処理に要する時間を短縮できる。有機溶剤が十分に供給されると、処理液供給部4は有機溶剤の供給を停止し、ノズル移動機構43がノズル41を待機位置に移動させる。
次に、制御部6は乾燥処理を行う(ステップS10)。例えば、基板回転機構3は基板保持部2および基板9の回転速度を増加させて、乾燥に適した回転速度で基板保持部2および基板9を回転させる(いわゆるスピンドライ)。乾燥処理が終了すると、基板回転機構3は回転を終了させる。
次に、基板9が搬出される(ステップS11)。具体的には、チャック駆動機構25が複数の第2チャックピン231bをそれぞれの開放位置に回転させ、ピン昇降機構24がリフトピン221を上位置に上昇させる。次に、センターロボットCRがリフトピン221から基板9を取り出して外部に搬送する。
以上のように、第1チャックピン231aが基板9を保持する第1エッチング工程(ステップS5)では、エッチング液を基板9の着液位置P1に着液させることで、エッチング液を周縁領域921に供給する。これにより、周縁領域921の除去対象膜9aを除去する。言い換えれば、第1エッチング工程では、周縁領域921よりも回転軸J1に近い中央領域922の除去対象膜9aをあえて残している。そして、続く第2エッチング工程(ステップS8)では、エッチング液を着液位置P2に着液させることで、中央領域922にもエッチング液を供給する。具体的には、基板9の第2主面の全面にエッチング液を供給する。これにより、中央領域922および接触領域923の除去対象膜9aを除去している。
ここで、比較のために、第1エッチング工程でも第2エッチング工程でも、着液位置P2にエッチング液を着液させる場合について説明する。この場合、第1エッチング工程において、周縁領域921および中央領域922の除去対象膜9aが除去され、各第1チャックピン231aと基板9との接触領域923の除去対象膜9aが残留する。接触領域923は基板9の面積に比べて小さく、残留した除去対象膜9aの体積は小さい。
第2エッチング工程では、この体積の小さい除去対象膜9aを除去すればよい。しかしながら、実際には、第2エッチング工程において、接触領域923の除去対象膜9aを除去するのに要する時間はむしろ長くなった。例えば当該時間は数十秒程度である。
これに対して、本実施の形態にかかるエッチング方法では、第2エッチング処理に要する時間を比較例に比べて1/3程度に短縮することができた。この理由は、以下のように考察することできる。
エッチング液および除去対象膜9aが次の2つの化学反応を生じさせることにより、除去対象膜9aが除去される。
3Si+4HNO⇔3SiO+4NO+2HO ・・・(1)
SiO+6HF⇔HSiF+2HO ・・・(2)
式(1)は、除去対象膜9a(Si)と硝酸(HNO)との酸化反応を示しており、当該酸化反応によりシリコン酸化膜(SiO)が形成される。式(2)は、式(1)で生じたシリコン酸化膜(SiO)とフッ酸(HF)との溶解反応を示しており、当該溶解反応によりシリコン酸化膜が除去される。つまり、除去対象膜9aは、硝酸により酸化されて、一旦、シリコン酸化膜という中間生成膜となり、この中間生成膜がフッ酸により溶解されることで、除去される。
さらに酸化反応をより詳細に確認すると、式(1)の酸化反応と並行して以下の反応も行われている。
+NO +2NO+2HO⇔3HNO ・・・(3)
Si+4HNO⇔SiO+4NO+2HO ・・・(4)
つまり、式(1)の酸化反応によって生じた一酸化窒素(NO)と硝酸とが反応し、亜硝酸(HNO)を生成し(式(3))、当該亜硝酸が除去対象膜9a(Si)に作用して、除去対象膜9aを酸化させる(式(4))。亜硝酸は硝酸よりも酸化力が強いので、式(4)の酸化反応により、速やかに除去対象膜9aを酸化することができる。そして、フッ酸により、そのシリコン酸化膜を速やかに除去することができる。
上述の第1エッチング工程(ステップS5)では、エッチング液は基板9の着液位置P1に着液して第2主面92を基板9の端部に向かって流れる。このエッチング液は周縁領域921に接触するので、式(1)~(4)の反応を伴って周縁領域921の除去対象膜9aを除去する。特に酸化力の強い亜硝酸を利用して周縁領域921の除去対象膜9aを酸化できるので、速やかに除去対象膜9aを除去することができる。周縁領域921の除去対象膜9aの除去に必要な時間は数秒(例えば3秒)程度である。
一方で、第1エッチング工程では、エッチング液は、基板9のうち周縁領域921よりも回転軸J1側の中央領域922には接触しない。よって、第1エッチング工程においては、中央領域922の除去対象膜9aは除去されない。
上述の第2エッチング工程(ステップS8)では、エッチング液は、基板9のうち着液位置P1よりも中心側の着液位置P2に着液して、第2主面92を基板9の端部に向かって流れる。着液位置P1で着液したエッチング液は、まず中央領域922における除去対象膜9aと反応する。これにより、中央領域922において十分な亜硝酸(式(3)参照)が生じる。酸化力の強い亜硝酸は基板9の第2主面92上を端部に向かって流れるので、当該亜硝酸は接触領域923の除去対象膜9aにも作用する。よって、中央領域922のみならず接触領域923においても除去対象膜9aを速やかに酸化できる。そして、フッ酸が中央領域922および接触領域923におけるシリコン酸化膜を除去する。したがって、第2エッチング工程においても、速やかに除去対象膜9aを除去することができる。中央領域922および接触領域923の除去対象膜9aの除去に必要な時間は数秒(例えば3秒)程度である。第1エッチング工程の開始から第2エッチング工程の終了までの時間は例えば10秒程度である。
他方、比較例にかかるエッチング方法では、第1エッチング工程において、周縁領域921および中央領域922の除去対象膜9aを除去する。よって、第1エッチング工程では、体積の小さい除去対象膜9aしか残らない。よって、第2エッチング工程では、エッチング液はこの体積の小さい接触領域923の除去対象膜9aに作用する。このような体積の小さい除去対象膜9aでは、亜硝酸が十分に生成されず、除去対象膜9aの除去に時間がかかると考えられる。比較例では、接触領域923の除去対象膜9aの除去に要する時間は数十秒(例えば20秒程度)である。比較例では、第1エッチング工程の開始から第2エッチング工程の終了までの時間は例えば30秒程度である。
また、上述の例では、第2エッチング工程(ステップS8)において、着液位置P2は基板9の中心からずれている。これにより、基板9の中心の除去対象膜9aを速やかに除去することができた。これは、次の理由によると考察される。即ち、エッチング液は着液位置P2に着液する際に着液位置を中心に広がるので、基板9の中心に向かって流れるエッチング液が存在するからと考えられる。つまり、基板9の中心からずれた領域で生じた酸化力の強い亜硝酸が基板9の中心に向かって流れ、当該中心の除去対象膜9aを速やかに酸化し、ひいては、除去対象膜9aを速やかに除去することができると考えられる。また、基板9の中心に向かって流れるエッチング液もそのまま径方向外側に流れるので、着液位置P2を流れる。よって、着液位置P2の除去対象膜9aも酸化力の強い亜硝酸により酸化して速やかに除去できると考えられる。
<下地膜9b>
除去対象膜9aの直下に形成された下地膜9bは特に限定されないものの、例えばシリコン酸化膜であってもよい。この場合、エッチング液によって下地膜9bもエッチングされる。よって、第1エッチング工程(ステップS5)では、周縁領域921において除去対象膜9aが除去されつつ、下地膜9bも若干(例えば数十nm程度)除去される。下地膜9bは周縁領域921で露出するので、第2エッチング工程(ステップS8)の初期から周縁領域921においてエッチングされる。周縁領域921におけるフッ酸と下地膜9bとの反応により、フッ酸が消費されるので、接触領域923におけるエッチング液中のフッ酸の量は低減し得る。
ここで、比較のために、第1エッチング工程でも第2エッチング工程でも、着液位置P2にエッチング液を着液させる場合について考慮する。この場合、第1エッチング工程によって、周縁領域921および中央領域922において、除去対象膜9aが除去され、下地膜9bは周縁領域921および中央領域922において露出する。したがって、第2エッチング工程の初期から、エッチング液は、周縁領域921および中央領域922の両方において下地膜9bと反応する。したがって、エッチング液中のフッ酸は周縁領域921および中央領域922において下地膜9bと反応する。よって、エッチング液が接触領域923に到達するまでに消費されるフッ酸の量が多くなり、接触領域923には、より低いフッ酸濃度でエッチング液が接触すると考えられる。これにより、接触領域923における除去対象膜9aの除去速度が低下し得る。
これに対して、基板処理装置1によれば、第2エッチング工程では、中央領域922に除去対象膜9aが存在している。言い換えれば、中央領域922では、下地膜9bは露出していない。よって、中央領域922では、エッチング液は除去対象膜9aと反応する。つまり、一旦、硝酸または亜硝酸による酸化反応が行われ、その酸化反応によって生じたシリコン酸化膜をフッ酸が除去する。このように、中央領域922の除去対象膜9aの除去には、一旦酸化反応が必要となるので、中央領域922におけるフッ酸の消費速度(単位時間当たりの消費量)は、下地膜9bに比して、少ないと考えられる。よって、比較的高いフッ酸濃度でエッチング液が接触領域923の除去対象膜9aに作用していると考えられる。したがって、第2エッチング工程では、比較例に比べて、より速やかに除去対象膜9aを除去することができる。
また、この場合、第2エッチング工程において基板9の第2主面に供給するエッチング液のフッ酸の濃度を、第1エッチング工程において基板9の第2主面に供給するエッチング液のフッ酸の濃度よりも高く設定してもよい。第2エッチング工程では、周縁領域921においてフッ酸がより多く消費されるからである。例えば、処理液供給部4がフッ酸供給源と硝酸供給源と、これらを混合する混合部とを含む場合、フッ酸供給源から混合部に流入するフッ酸の流量を第1エッチング工程よりも第2エッチング工程において高くすればよい。この流量は、フッ酸供給源と混合部との間に介装されるバルブによって調整可能である。あるいは、硝酸供給源から混合部に流入する硝酸の流量を第1エッチング工程よりも第2エッチング工程において低くしてもよい。この流量は、硝酸供給源と混合部との間に介装されるバルブによって調整可能である。
<ノズル移動>
上述の例では、第1エッチング工程において着液位置P2は固定であり、第2エッチング工程において着液位置P1は固定である。つまり、第1エッチング工程においても、第2エッチング工程においても、ノズル移動機構43はノズル41を停止させている。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えば、第2エッチング工程において、着液位置P2を、中央領域922の端部側から中心側に移動させてもよい。着液位置の移動は、例えば、ノズル移動機構43によるノズル41の移動によって実現される。
また、第1エッチング工程の開始から第2エッチング工程の終了までの期間に亘って、ノズル41を基板9の端部側から中心部に向けて徐々に移動させてもよい。
<パドル工程>
上述の例では、第1エッチング工程(ステップS5)および第2エッチング工程(ステップS8)において、エッチング液は基板9の端部から外側に飛散している。しかるに、第2エッチング工程では、少なくとも所定期間(以下、パドル期間と呼ぶ)において、エッチング液が基板9の端部から飛散しないように、基板9の回転速度を調整してもよい。具体的には、第2エッチング工程において、エッチング液が基板9の第2主面92の全面に広がった後に、基板回転機構3が基板9の回転速度を第1エッチング工程における回転速度よりも低い回転速度に減少させるとともに、処理液供給部4がエッチング液の供給を停止する。これにより、基板9の第2主面92上のエッチング液は基板9の端部からほとんど飛散せずに、第2主面92上で保持される。パドル期間において、基板9の回転を停止してもよい。
図7は、当該基板処理の一例を示すフローチャートである。このフローでは、図4のフローと比較して、ステップS81のパドル工程がさらに実行される。このステップS81はステップS1からステップS8が実行された後に実行される。具体的には、第2エッチング工程(ステップS8)のエッチング液の供給により、エッチング液が基板9の第2主面92の全面に広がると、基板回転機構3は基板9の回転速度を減少させつつ、処理液供給部4がエッチング液の供給を停止する(ステップS81)。例えば制御部6が第2エッチング工程におけるエッチング液の供給開始からの経過時間を計測し、経過時間が第3所定時間よりも長くなったときに、基板回転機構3が回転速度を減少させつつ、処理液供給部4がエッチング液の供給を停止する。第3所定時間は、エッチング液が基板9の第2主面92の全面に広がるのに十分な時間である。基板9の回転速度は、エッチング液が基板9の端部から外側に飛散しない程度の回転速度に設定される。これにより、基板9の第2主面92上のエッチング液が保持される。なお、基板回転機構3は基板9の回転を停止してもよい。
第2主面92上の除去対象膜9aが除去されると、基板回転機構3は再び回転速度を増加させ、処理液供給部4がリンス液を基板9の第2主面92に供給する(ステップS9)。その後、ステップS10およびステップS11が実行される。
上述の処理によれば、パドル工程(ステップS81)が実行される。このパドル工程において、エッチング液が基板9の中央領域922の除去対象膜9aと反応することで酸化力の高い亜硝酸が生成され、当該亜硝酸がゆるやかに流動して接触領域923の除去対象膜9aに至って反応することができるので、従来に比して除去対象膜9aを速やかに除去することができる。エッチング液の流動性を高めるという点では、パドル工程においても基板回転機構3は基板9を回転させることが望ましい。
しかも、パドル工程ではエッチング液の供給を停止するので、エッチング液の消費量を低減することができる。
<第2の実施の形態>
<基板処理装置>
図8は、基板処理装置1Aの構成の一例を概略的に示す図である。基板処理装置1Aは遮断板(対向部材に相当)7の有無を除いて基板処理装置1と同様の構成を有している。遮断板7は基板保持部2よりも上方に設けられており、基板9の第2主面92と間隔を空けて対向する。遮断板7の下面は、例えば回転軸J1を中心とした円形状またはリング形状を有する。遮断板7の下面が基板9と対向する領域の面積は例えば基板9の第2主面92の面積の半値以上である。好ましくは、遮断板7の下面は、基板9の直径よりも長い直径を有する。遮断板7の下面が、基板9の直径よりも長い直径を有する円状である場合には、遮断板7の下面は基板9の全面と対向する。
遮断板7は昇降機構71に連結されている。昇降機構71は例えばボールねじ機構を有しており、遮断板7を、基板9に近い第1遮断位置と、基板9から遠い待機位置との間で昇降させる。基板処理装置1Aには、遮断板7を回転軸J1まわりで回転させる回転機構(不図示)が設けられてもよい。昇降機構71および当該回転機構は制御部6によって制御される。
ノズル41は例えば基板9と遮断板7との間の高さ位置に設けられている。つまり、ノズル41は、遮断板7の下面と、基板保持部2によって保持された基板9の第2主面92との間に設けられている。さらに言い換えれば、遮断板7はノズル41に対して基板保持部2とは反対側に設けられている。
図9は、基板処理装置1Aの動作の一例を示すフローチャートである。初期的には、遮断板7は待機位置で停止している。図9のフローでは、図4のフローと比較して、遮断板7の位置制御であるステップS91およびステップS92がさらに実行される。図9の例では、ステップS91はステップS1の次に実行される。ステップS91では、昇降機構71は遮断板7を待機位置から第1遮断位置に下降させる。これにより、基板保持部2によって保持された基板9と遮断板7との間の空間(以下、処理空間と呼ぶ)の体積を小さくすることができる。
次に、第1の実施の形態と同様に、ステップS2からステップS10が実行される。なお、ステップS91はステップS5の開始までに実行されればよい。ステップS10の次のステップS92にて、昇降機構71は遮断板7を待機位置に上昇させる。次に、基板9が搬出される(ステップS11)。
上述の処理によれば、第1エッチング工程(ステップS5)および第2エッチング工程(ステップS8)において、遮断板7は第1遮断位置で停止しているので、処理空間の体積は小さい。よって、エッチング液が基板9の除去対象膜9aと反応して一酸化窒素(NO)が生成されても、その一酸化窒素(NO)は処理空間で滞留しやすい。言い換えれば、一酸化窒素が基板9から遠ざかって散逸することを抑制できる。一酸化窒素が処理空間で滞留すれば、処理空間内の一酸化窒素が基板9の第2主面92上のエッチング液と接触して硝酸と反応しやすくなると考えられ、亜硝酸の生成量を増加することができる(式(3)参照)。
あるいは、体積の小さい処理空間内に一酸化窒素が滞留することにより、一酸化窒素が処理空間内で速やかに飽和し、一酸化窒素がエッチング液中に留まりやすくなる、とも考えられる。これによっても、一酸化窒素がエッチング液中の硝酸と反応しやすくなると考えられ、亜硝酸の生成量を増加することができる。
以上のように、第1エッチング工程および第2エッチング工程において、酸化力の強い亜硝酸の生成量を増加させることができる。よって、除去対象膜9aをより速やかに酸化でき、ひいては、除去対象膜9aをより速やかに除去することができる。言い換えれば、処理時間をさらに短縮できる。
<パドル工程>
基板処理装置1Aにおいても、第1の実施の形態と同様に、パドル工程を行ってもよい。パドル工程では、エッチングの供給が停止されるので、ノズル41は遮断板7と基板9との間の処理空間内に位置している必要はない。そこで、パドル工程では、ノズル移動機構43はノズル41を処理空間よりも外側の待機位置に退避させてもよい。この場合、ノズル41が処理空間内に位置していないので、昇降機構71は遮断板7をさらに基板9の第2主面92に近づけてもよい。
図10は、基板処理装置1Aの当該動作の一例を概略的に示すフローチャートである。図10のフローでは、図9のフローに比して、ステップS81、ステップS93およびステップS94が実行される。ステップS93はステップS1からステップS8を実行した後に実行される。具体的には、第2エッチング工程(ステップS8)のエッチングの供給により、エッチング液が基板9の第2主面92の全面に広がると、処理液供給部4はエッチング液の供給を停止するとともに、ノズル移動機構43はノズル41を待機位置に移動させる(ステップS93)。これにより、ノズル41は、遮断板7と基板9との間の処理空間の外側に退避する。
ノズル41が処理空間から退避すると、昇降機構71は遮断板7を第1遮断位置よりも基板9の第2主面92に近い第2遮断位置に下降させる(ステップS94)。これにより、遮断板7と基板9との間の処理空間の体積をさらに低減することができる。
また、基板回転機構3はエッチング液の供給の停止とともに、基板9の回転速度を減少させる(ステップS81)。具体的には、基板回転機構3は、基板9の第2主面92上のエッチング液が基板9の端部から外側にほとんど飛散しない程度の回転速度で基板9を回転させる。あるいは、基板回転機構3は基板9の回転を停止してもよい。これにより、基板9の第2主面92の上でエッチング液が保持される。
基板9の第2主面92上の除去対象膜9aが除去されると、昇降機構71は遮断板7を第1遮断位置に上昇させ(ステップS95)、ノズル移動機構43がノズル41を第2処理位置に移動させる(ステップS96)。
次に、基板回転機構3は基板9の回転速度を増加させ、また、処理液供給部4がリンス液を基板9の第2主面92に供給する(ステップS9)。次にステップS10、ステップS92およびステップS11がこの順で実行される。
上述の処理によれば、パドル工程(ステップS81)において、ノズル41は処理空間の外側の待機位置に退避し、遮断板7はより基板9の第2主面92に近い第2遮断位置で停止している。よって、パドル工程における遮断板7と基板9との間の処理空間の体積を更に低減することができる。したがって、パドル工程における亜硝酸の生成量をさらに増加することができ、除去対象膜9aをさらに速やかに除去できる。
<ガス供給>
図9は、基板処理装置1Bの構成の一例を概略的に示す図である。基板処理装置1Bは遮断板7の構成という点で基板処理装置1Aと相違する。図9の例では、遮断板7の中央部には、貫通孔72が形成されている。貫通孔72は遮断板7を鉛直方向に貫通する。よって、貫通孔72の下端は遮断板7の下面において開口する。この貫通孔72は、平面視において、基板9の中央部と向かい合う位置に形成され得る。貫通孔72は平面視において例えば円形に形成される。
この貫通孔72の上端はバルブを介してガス供給源73に接続されている。当該バルブは制御部6によって制御される。ガス供給源73は希ガス(例えばアルゴン)または窒素などの不活性ガスを貫通孔72に供給する。これにより、遮断板7の貫通孔72の下端から不活性ガスが吐出される。不活性ガスは基板9の第2主面92に向かいつつ、第2主面92に衝突して径方向外側に向かって流れる。よって、処理空間内の気体が外側に流出する。
図9の例では、チャンバ8が図示されている。チャンバ8は例えば箱状形状を有しており、基板保持部2、ピン昇降機構24、チャック駆動機構25、基板回転機構3、ノズル41、ノズル移動機構43、遮断板7および昇降機構71を収納する。チャンバ8には、排気口81が形成されている。排気口81はチャンバ8内の気体を外部の排気部(不図示)に排気する。なお、チャンバ8には、基板9の搬出入に利用されるシャッタ(不図示)が設けられている。
基板処理装置1Bは、基板9の第2主面92に対する処理の終了後に、つまり、ステップS9の終了後に、ガス供給源73から不活性ガスを供給し、チャンバ8内の気体を排気口81から外部に排気する。これにより、一酸化窒素が外気に漏れる可能性を低減することができる。一酸化窒素が排気部に十分に排気された後に、基板9が搬出される(ステップS10)。
以上のように、基板処理装置1,1A,1Bは詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この基板処理装置がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
例えば、第1エッチング工程および第2エッチング工程の間で必ずしもエッチング液の供給を中断する必要はない。ノズル41がエッチング液を吐出しながら、着液位置を着液位置P1から着液位置P2に移動させてもよい。
また、上述の例では、ノズル41を移動させて、第2チャックピン231bが基板9を保持しているときのエッチング液の着液位置P2を、第1チャックピン231aが基板9を保持しているときのエッチング液の着液位置P1よりも径方向内側に位置させている。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えば、着液位置P1にエッチング液を着液させる第1ノズルと、着液位置P2にエッチング液を着液させる第2ノズルとが設けられてもよい。この態様によれば、第1エッチング工程において、第2ノズルがエッチング液を吐出せずに、第1ノズルがエッチング液を吐出し、第2エッチング工程において、第1ノズルがエッチング液を吐出せずに、第2ノズルがエッチング液を吐出すればよい。
また、除去対象膜9aはシリコンまたはポリシリコン膜に限定されず、エッチング液も、硝酸とフッ酸との混合液に限定されない。要するに、エッチング液は第1薬液と第2薬液とを含み、除去対象膜9aと第1薬液とが反応して、除去対象膜9aを中間生成膜に変更するための化合物を生成し、第2薬液が当該中間生成膜に作用して当該中間生成膜を溶解すればよい。
1,1A 基板処理装置
231a 第1チャックピン群の第1チャックピン
231b 第2チャックピン群の第2チャックピン
41 ノズル
7 対向部材(遮断板)
9 基板
921 第1領域(周縁領域)
922 第2領域(中央領域)
J1 回転軸

Claims (13)

  1. 基板の端部を第1チャックピン群で保持する第1保持工程と、
    前記基板を前記基板の中心を通る鉛直方向の回転軸を中心に回転させる回転工程と、
    前記基板の端部を第2チャックピン群で保持する第2保持工程と
    前記第1チャックピン群で保持された前記基板の主面上の第1領域にエッチング液を供給する第1エッチング工程と、
    第1エッチング工程の後に、前記第2チャックピン群で保持された前記基板の主面上の前記第1領域と異なる第2領域にエッチング液を供給する第2エッチング工程とを備え、
    前記第2領域は、前記基板の径方向において、前記第1領域よりも前記回転軸に近い、基板処理方法。
  2. 請求項1に記載の基板処理方法であって、
    前記基板には、シリコンまたはポリシリコン膜が形成されており、
    エッチング液は硝酸を含む、基板処理方法。
  3. 請求項2に記載の基板処理方法であって、
    前記第1エッチング工程が完了した後において、前記第2領域には、シリコンまたはポリシリコン膜が露出しており、
    前記第2エッチング工程において、当該シリコンまたは当該ポリシリコン膜に前記エッチング液が供給されることにより、亜硝酸が生成される、基板処理方法。
  4. 請求項2または請求項3に記載の基板処理方法であって、
    前記第1エッチング工程を開始する前において、前記第1領域には、シリコンまたはポリシリコン膜が露出しており、
    前記第1エッチング工程において、当該シリコンまたはポリシリコン膜に前記エッチング液が供給されることにより、亜硝酸が生成される、基板処理方法。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
    前記エッチング液は、硝酸およびフッ酸を含む、基板処理方法。
  6. 請求項2から請求項5のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
    前記第領域は、前記基板の中心を含むことを特徴とする、基板処理方法。
  7. 請求項6に記載の基板処理方法であって、
    前記第2エッチング工程において、前記基板の中心よりもずれた着液位置にエッチング液を着液させる、基板処理方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
    前記第1エッチング工程におけるエッチング液の供給は、停止したノズルから供給される、基板処理方法。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
    前記第1エッチング工程および前記第2エッチング工程においてエッチング液はノズルから供給され、
    前記ノズルは、前記基板の周縁部から中心部に向けて移動し、
    前記第1エッチング工程において前記ノズルから供給されるエッチング液は前記第1領域に供給され、
    前記第2エッチング工程において前記ノズルから供給されるエッチング液は前記第2領域に供給される、基板処理方法。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
    前記第2エッチング工程において、前記基板の回転速度を減少または前記基板の回転を停止させるパドル工程をさらに備える、基板処理方法。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
    前記基板には、シリコンまたはポリシリコン膜が形成されており、
    前記エッチング液は硝酸を含み、
    前記第1エッチング工程および前記第2エッチング工程において、前記エッチング液が前記基板に供給されて生じる一酸化窒素の散逸を抑制するように前記基板の上方に対向部材を近接させる、基板処理方法。
  12. 請求項11に記載の基板処理方法であって、
    前記第1エッチング工程において、前記対向部材を、エッチング液を吐出するノズルに対して、前記第1チャックピン群に保持された前記基板とは反対側の第1位置に位置させ、
    前記第2エッチング工程において、前記基板の回転速度を減少または前記基板の回転を停止させるパドル工程をさらに備え、前記パドル工程において、前記ノズルを前記対向部材と前記基板との間から外側の待機位置に退避させ、前記対向部材を前記第1位置よりも前記基板に近い第2位置に位置させる、基板処理方法。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
    前記基板には、シリコンまたはポリシリコン膜である除去対象膜が形成され、前記除去対象膜の下地膜として、シリコン酸化膜が形成されている、基板処理方法。
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