JP2024060140A - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】昇華性物質を含む処理液を用いて基板の表面を乾燥させる際に、当該基板の周縁部での残渣の発生を抑制する。【解決手段】この発明は、パターンが形成された表面を上方に向けた水平姿勢の基板を保持しながら、溶媒に対して昇華性物質が溶けた処理液を基板の表面に供給して処理液の液膜を基板の表面に形成する液膜形成工程と、基板の表面上の処理液から溶媒を除去して昇華性物質の固化膜を形成する固化膜形成工程と、固化膜を昇華させて基板の表面から除去する昇華工程と、固化膜の昇華開始後でかつ固化膜の昇華完了前に基板の裏面の周縁部を経由して基板の表面の周縁部に残渣防止液を回り込ませることで、残渣防止液により基板の表面の周縁部での残渣発生を防止する残渣防止工程と、を備えている。【選択図】図8

Description

この発明は、昇華性物質の昇華現象を利用して基板に付着した液体を除去する基板処理方法および基板処理装置に関するものである。基板には、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板、等(以下、単に「基板」という)が含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造工程においては、基板の表面に成膜やエッチングなどの処理を繰り返し施してパターンを形成する工程が含まれる。また、このパターン形成後において、薬液による洗浄処理、リンス液によるリンス処理および乾燥処理などがこの順序で行われるが、パターンの微細化に伴い乾燥処理の重要性が特に高まっている。つまり、乾燥処理においてパターン倒壊の発生を抑制または防止する技術が重要となっている。そこで、ショウノウやシクロヘキサノンオキシムなどの昇華性物質をIPA(イソプロピルアルコール:isopropyl alcohol)等の溶媒に溶解させた処理液(「乾燥補助液」と称されることもある)を用いて基板を昇華乾燥させる基板処理技術が提案されている(特許文献1等)。
特開2021-9988号公報
上記従来技術では、基板の表面(つまりパターン形成面)に昇華性物質の固化膜を形成した後で、基板の表面の中央部に向けて除湿された窒素ガスが吐出される。これにより、固化膜が昇華される。このとき、昇華性物質に由来する有機物が基板の周縁部に残ってしまうことがあった。このような残渣物の存在は基板処理の品質低下を招く主要因のひとつになる。
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、昇華性物質を含む処理液を用いて基板の表面を乾燥させる際に、当該基板の周縁部での残渣の発生を抑制することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様は、基板処理方法であって、パターンが形成された表面を上方に向けた水平姿勢の基板を保持しながら、溶媒に対して昇華性物質が溶けた処理液を基板の表面に供給して処理液の液膜を基板の表面に形成する液膜形成工程と、基板の表面上の処理液から溶媒を除去して昇華性物質の固化膜を形成する固化膜形成工程と、固化膜を昇華させて基板の表面から除去する昇華工程と、固化膜の昇華開始後でかつ固化膜の昇華完了前に基板の裏面の周縁部を経由して基板の表面の周縁部に残渣防止液を回り込ませることで、残渣防止液により基板の表面の周縁部での残渣発生を防止する残渣防止工程と、を備えることを特徴としている。
また、本発明の他の態様は、基板処理装置であって、パターンが形成された表面を上方に向けた水平姿勢の基板を保持する基板保持部と、基板保持部に保持された基板の表面に、溶媒に対して昇華性物質が溶けた処理液を供給する処理液供給部と、基板の表面上の処理液から溶媒を除去して昇華性物質の固化膜を形成する固化膜形成部と、固化膜を昇華させて基板の表面から除去する昇華部と、基板保持部に保持された基板の裏面に対し、基板の表面の周縁部での残渣発生を防止するための残渣防止液を供給する残渣防止液供給部と、昇華部および残渣防止液供給部を制御する制御部と、を備え、制御部は、昇華部による固化膜の昇華開始後でかつ固化膜の昇華完了前に、基板の裏面の周縁部を経由して基板の表面の周縁部に残渣防止液が回り込むように残渣防止液供給部を制御することを特徴としている。
基板の表面に形成された昇華性物質の固化膜が昇華される際に、昇華性物質に由来する有機物の残渣が基板の表面の周縁部に付着する懸念がある。しかしながら、上記のように構成された発明では、基板の裏面の周縁部を経由して基板の表面の周縁部に残渣防止液が供給され、これによって基板の表面の周縁部での残渣の発生が防止される。
この発明によれば、昇華性物質を含む処理液を用いて基板の表面を乾燥させる際に、当該基板の周縁部での残渣の発生を効果的に抑制することができる。
本発明に係る基板処理装置の第1実施形態を装備する基板処理システムの概略構成を示す平面図である。 図1に示す基板処理システムの側面図である。 本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の構成を示す部分断面図である。 図3に示す基板処理装置を制御する制御部の電気的構成を示すブロック図である。 スピンチャックおよびこれに関連する構成の平面図である。 図3の基板処理装置に装備された雰囲気遮断機構の要部を示す図である。 処理液供給部の構成を示す図である。 図3の基板処理装置で実行される基板処理の内容を示す図である。 IPA置換以降における装置各部の動作を示すタイミングチャートである。 本発明に係る基板処理装置の第2実施形態の構成を示す部分断面図である。 第2実施形態におけるIPA置換以降における装置各部の動作を示すタイミングチャートである。
図1は本発明に係る基板処理装置の第1実施形態を装備する基板処理システムの概略構成を示す平面図である。また、図2は図1に示す基板処理システムの側面図である。これらの図面は基板処理システム100の外観を示すものではなく、基板処理システム100の外壁パネルやその他の一部構成を除外することでその内部構造をわかりやすく示した模式図である。この基板処理システム100は、例えばクリーンルーム内に設置され、一方主面のみに回路パターン等(以下「パターン」と称する)が形成された基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。そして、基板処理システム100に装備される基板処理装置1において本発明に係る基板処理方法が実行される。本明細書では、基板の両主面のうちパターンが形成されているパターン形成面(一方主面)を「表面」と称し、その反対側のパターンが形成されていない他方主面を「裏面」と称する。
ここで、本実施形態における「基板」としては、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として半導体ウエハの処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも同様に適用可能である。
図1に示すように、基板処理システム100は、基板Wに対して処理を施す基板処理部110と、この基板処理部110に結合されたインデクサ部120とを備えている。インデクサ部120は、基板Wを収容するための容器C(複数の基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、OC(Open Cassette)など)を複数個保持することができる容器保持部121と、この容器保持部121に保持された容器Cにアクセスして、未処理の基板Wを容器Cから取り出したり、処理済みの基板Wを容器Cに収納したりするためのインデクサロボット122を備えている。各容器Cには、複数枚の基板Wがほぼ水平な姿勢で収容されている。
インデクサロボット122は、装置筐体に固定されたベース部122aと、ベース部122aに対し鉛直軸まわりに回動可能に設けられた多関節アーム122bと、多関節アーム122bの先端に取り付けられたハンド122cとを備える。ハンド122cはその上面に基板Wを載置して保持することができる構造となっている。このような多関節アームおよび基板保持用のハンドを有するインデクサロボットは公知であるので詳しい説明を省略する。
基板処理部110は、平面視においてほぼ中央に配置された基板搬送ロボット111と、この基板搬送ロボット111を取り囲むように配置された複数の基板処理装置1とを備えている。具体的には、基板搬送ロボット111が配置された空間に面して複数の(この例では8つの)基板処理装置1が配置されている。これらの基板処理装置1に対して基板搬送ロボット111はランダムにアクセスして基板Wを受け渡す。一方、各基板処理装置1は基板Wに対して所定の処理を実行する。本実施形態では、これらの基板処理装置1は同一の機能を有している。このため、複数基板Wの並列処理が可能となっている。
図3は本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の構成を示す部分断面図である。また、図4は図3に示す基板処理装置を制御する制御部の電気的構成を示すブロック図である。なお、以下の説明便宜のために、各図には、鉛直方向Zと、基板処理部110およびインデクサ部120の配列方向Yとに直交する方向を「X方向」とするXYZ直交座標軸が示されている。また、本実施形態では、各基板処理装置1に対して制御部4を設けているが、1台の制御部により複数の基板処理装置1を制御するように構成してもよい。また、基板処理システム100全体を制御する制御ユニット(図示省略)により基板処理装置1を制御するように構成してもよい。
基板処理装置1は、内部空間21を有するチャンバ2と、チャンバ2の内部空間21に収容されて基板Wを保持するスピンチャック3とを備えている。図1および図3に示すように、チャンバ2の側面にシャッター23が設けられている。シャッター23にはシャッター開閉機構22(図4)が接続されており、制御部4からの開閉指令に応じてシャッター23を開閉させる。より具体的には、基板処理装置1では、未処理の基板Wをチャンバ2に搬入する際にシャッター開閉機構22はシャッター23を開き、基板搬送ロボット111のハンドによって未処理の基板Wがフェースアップ姿勢でスピンチャック3に搬入される。つまり、基板Wは表面Wfを上方に向けた状態でスピンチャック3上に載置される。そして、当該基板搬入後に基板搬送ロボット111のハンドがチャンバ2から退避すると、シャッター開閉機構22はシャッター23を閉じる。そして、チャンバ2の内部空間21内で後述のように薬液、DIW、IPA、昇華乾燥用の処理液(乾燥補助液)および窒素ガスが基板Wの表面Wfに供給されて所望の基板処理が常温環境下で実行される。また、基板処理の終了後においては、シャッター開閉機構22がシャッター23を再び開き、基板搬送ロボット111のハンドが処理済の基板Wをスピンチャック3から搬出する。このように、本実施形態では、チャンバ2の内部空間21が常温環境に保ちつつ基板処理を行う処理空間として機能する。なお、本明細書において「常温」とは、5℃~35℃の温度範囲にあることを意味し、室温と同義である。
図5はスピンチャックおよびこれに関連する構成の平面図である。同図中のハッチングは以下に説明するように基板Wの裏面Wbの周縁部(以下「裏面周縁部」という)に支持ピン32の上部が当接していることを示し、ハッチングが付されていない支持ピン32は上部が基板Wの裏面周縁部から鉛直下方に退避していることを示している。スピンチャック3は、図3および図5に示すように、鉛直方向Zに延びる回転軸線C1まわりに回転自在に設けられた円板状のスピンベース31と、スピンベース31の上面の周縁部に配置された複数の支持ピン32とを備えている。複数の支持ピン32は、上記回転軸線C1を中心とする円周上に等角度間隔で配置されている。各支持ピン32を基板Wの裏面の周縁部に当接させることにより、スピンベース31の上方で基板Wが水平姿勢で載置される。そして、遮断板51から吹き付けられる不活性ガス(本実施形態では、窒素ガス)によって複数の支持ピン32に押し付けられる。各支持ピン32の上部と基板Wの裏面との間に生じる摩擦力によって、基板Wは支持ピン32に支持されながらスピンチャック3に保持される。
また、本実施形態では、スピンチャック3は、図5の(a)欄に示すように、複数の支持ピン32の全部を用いて基板Wを保持する状態(以下「チャックポジションCP0」という)のみらず、次に説明するように、保持状態を切替え可能に構成されている。これは、後で詳述するように昇華工程を行っている間に残渣防止工程を実行することに対応したものである。各支持ピン32は、上部を鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。また、複数の支持ピン32は2つの支持ピン群32a、32bに分けられている。第1支持ピン群32aを構成する支持ピン32は、その上部を基板Wの裏面位置まで上昇させ、基板Wの裏面周縁部の一部である第1基板支持部位に当接することで基板Wを支持しながら保持する(図5の(b)欄参照:チャックポジションCP1)。このチャックポジションCP1では、第2支持ピン群32bを構成する支持ピン32は、その上部を基板Wの裏面周縁部から下方に退避される。一方、チャックポジションCP2では、第1支持ピン群32aを構成する支持ピン32は、その上部を基板Wの裏面周縁部から下方に退避される。逆に、第2支持ピン群32bを構成する支持ピン32がその上部を基板Wの裏面位置まで上昇され、第1基板支持部位と異なる第2基板支持部位に当接することで基板Wを支持しながら保持する(図5の(c)欄参照)。なお、各支持ピン32において、上部を鉛直方向Zに昇降させるピン昇降機構については、例えば特開2011-211094号公報などに詳述されているため、ここでは、ピン昇降機構の構成については、説明を省略する。また、本実施形態では、いわゆる押付チャック方式を採用しているが、基板Wの端面と係合して保持する、いわゆるメカチャック方式を採用してもよいことが言うまでもない。
スピンチャック3では、中心軸33が鉛直方向Zに延設されている。この中心軸33は回転軸線C1まわりに回転自在にスピンベース31の下面中央部に接続されている。この中心軸33の下端部に対し、基板回転駆動機構34が接続されている。このため、スピンチャック3に載置された基板Wを支持ピン32により支持した状態で制御部4からの回転指令に応じて基板回転駆動機構34のモータが作動すると、基板Wは回転軸線C1まわりに回転する。
また、中心軸33の中央には、本発明の「残渣防止液」の一例に相当するDIWを送り込むための配管と、窒素ガスを送り込むための配管とが設けられている。このため、このように基板Wを回転させた状態で、制御部4からの供給指令に応じて、中心軸33に設けられた配管を介してDIW(残渣防止液)および窒素ガスが順次基板Wの裏面Wbに供給される。また、基板Wの表面Wfに対し、次に説明するように構成された雰囲気遮断機構5から薬液、IPA、DIW、処理液および窒素ガスが供給される。
図6は図3の基板処理装置に装備された雰囲気遮断機構の要部を示す図である。雰囲気遮断機構5は、図3に示すように、遮断板51と、遮断板51に一体回転可能に設けられた上スピン軸52と、遮断板51の中央部を上下方向に貫通する内挿軸53とを有している。遮断板51は基板Wとほぼ同じ径またはそれ以上の径を有する円板形状に仕上げられている。遮断板51はスピンチャック3の支持ピン32に支持された基板Wの表面Wfから上方に間隔を空けて対向配置されている。このため、遮断板51の裏面が基板Wの表面Wf全域に対向する円形の基板対向面51aとして機能する。
上スピン軸52は遮断板51の中心を通り鉛直に延びる回転軸線(基板Wの回転軸線C1と一致する軸線)まわりに回転可能に設けられている。上スピン軸52は円筒形状を有している。上スピン軸52の内周面は、上記回転軸線C1を中心とする円筒面に形成されている。上スピン軸52の内部空間は、遮断板51の貫通孔51bに連通している。上スピン軸52は、遮断板51の上方で水平に延びる支持アーム54に相対回転可能に支持されている。
図6に示すように、上スピン軸52の中空部には、内挿軸53が内挿されている。内挿軸53には、5本の流体供給路が鉛直方向Zに延びるように形成されている。すなわち、4本の液体供給路53a~53dおよび低露点窒素ガスの通路となる中央気体供給路53eが内挿軸53に形成されている。液体供給路53a~53dおよび中央気体供給路53eはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene)からなる内挿軸53にそれぞれ、PFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製のチューブを回転軸線C1と平行な方向に挿入することによって形成されている。そして、液体供給路53a~53dおよび中央気体供給路53eの下端がそれぞれ、第1液体吐出口~第4液体吐出口および中央気体吐出口となってスピンチャック3に支持された基板Wの表面Wfと対向している。
また、図6に示すように、上スピン軸52の内壁面と内挿軸53の外壁面との間に形成される空間部分が環状気体供給路53fを構成している。この環状気体供給路53fの下端が環状の気体吐出口となっている。つまり、雰囲気遮断機構5には、基板表面Wfの中央部に向けて低露点窒素ガスを吐出する中央気体吐出口のほかに環状気体吐出口が、第1液体吐出口~第4液体吐出口および中央気体吐出口に対して径方向外側に、しかも第1液体吐出口~第4液体吐出口および中央気体吐出口を取り囲むようにして設けられている。このように、2種類の気体吐出口が雰囲気遮断機構5に設けられることで、互いに流量が異なる低露点窒素ガスを各気体吐出口から吐出させることが可能となっている。
このように構成された内挿軸53は、支持アーム54に対して回転不能な状態で支持アーム54によって支持されている。また、内挿軸53は、遮断板51、上スピン軸52、および支持アーム54と一体的に昇降可能となっている。
遮断板51には、電動モータ等を含む構成の遮断板回転駆動機構55(図4)が結合されている。遮断板回転駆動機構55は制御部4からの回転指令に応じて遮断板51および上スピン軸52を支持アーム54に対して回転軸線C1まわりに回転させる。また、支持アーム54には遮断板昇降駆動機構56が結合されている。遮断板昇降駆動機構56は制御部4からの昇降指令に応じて遮断板51、上スピン軸52および内挿軸53を支持アーム54と一体的に鉛直方向Zに昇降する。より具体的には、遮断板昇降駆動機構56は、基板対向面51aがスピンチャック3に保持されている基板Wの表面Wfに近接して表面Wfの上方空間を周辺雰囲気から実質的に遮断する遮断位置(図3に示す位置)と、遮断位置よりも大きく上方に退避した退避位置の間で昇降させる。
内挿軸53の上端部には、薬液供給ユニット61、リンス液供給ユニット62、有機溶剤供給ユニット63、処理液供給ユニット64、中央気体供給ユニット65および環状気体供給ユニット66が接続されている。また、スピンチャック3の中心軸33には、裏面気体供給ユニット67および残渣防止液供給ユニット68が接続されている。
薬液供給ユニット61は、内挿軸53に設けられた第1液体供給路53aに接続された薬液配管611と、薬液配管611に介装されたバルブ612とを有している。薬液配管611は薬液の供給源と接続されている。本実施形態では、薬液は基板Wの表面Wfを洗浄する機能を有しておればよく、例えば酸性薬液として例えばフッ酸(HF)、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸のうちの少なくとも1つを含む薬液を用いることができる。また、アルカリ薬液としては、例えばアンモニアおよび水酸基のうちの少なくとも1つを含む薬液を用いることができる。なお、本実施形態では、薬液としてフッ酸を用いている。このように、第1液体供給路53aの下端、つまり第1液体吐出口が薬液吐出口として機能する。このため、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ612が開かれると、フッ酸薬液が内挿軸53に供給され、第1液体供給路53aの薬液吐出口から基板Wの表面中央部に向けて吐出される。
リンス液供給ユニット62は、内挿軸53に設けられた第2液体供給路53bに接続されたリンス液配管621と、リンス液配管621に介装されたバルブ622とを有している。リンス液配管621はリンス液の供給源と接続されている。このように、第2液体供給路53bの下端、つまり第2液体吐出口がリンス液吐出口として機能する。本実施形態では、リンス液としてDIWを用いており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ622が開かれると、DIWが内挿軸53に供給され、第2液体供給路53bのリンス液吐出口から基板Wの表面中央部に向けて吐出される。なお、リンス液としては、DIW以外に、例えば炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水および希釈濃度(たとえば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかを用いてもよい。
有機溶剤供給ユニット63は、窒素ガスよりも比重が大きくかつ水よりも低い表面張力を有する低表面張力液体としての有機溶剤を供給するためのユニットである。有機溶剤供給ユニット63は、内挿軸53に設けられた液体供給路53bに接続された有機溶剤配管631と、有機溶剤配管631に介装されたバルブ632とを有している。有機溶剤配管631は有機溶剤の供給源と接続されている。このように、第3液体供給路53cの下端、つまり第3液体吐出口が低表面張力液体吐出口として機能する。本実施形態では、有機溶剤としてIPAが用いられており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ632が開かれると、IPAが内挿軸53に供給され、第3液体供給路53cの低表面張力液体吐出口から基板Wの表面中央部に向けて吐出される。なお、有機溶剤としては、IPA以外に、例えばメタノール、エタノール、アセトン、EG(エチレングリコール)およびHFE(ハイドロフルオロエーテル)を用いることができる。また、有機溶剤としては、単体成分のみからなる場合だけでなく、他の成分と混合した液体であってもよい。例えばIPAとアセトンの混合液であってもよいし、IPAとメタノールの混合液であってもよい。
処理液供給ユニット64は、スピンチャック3に保持されている基板Wを乾燥させる際の乾燥補助液として機能する昇華乾燥用の処理液を基板Wの表面Wfに供給するユニットである。処理液供給ユニット64は、内挿軸53に設けられた液体供給路53aに接続された処理液配管641と、処理液配管641に介装されたバルブ642とを有している。処理液配管641は上記した昇華乾燥用の処理液の供給源として機能する処理液供給部と接続されている。このように、第4液体供給路53dの下端、つまり第4液体吐出口が処理液吐出口として機能する。
図7は処理液供給部の構成を示す図である。同図中の符号FB、CCはそれぞれ「流体ボックス」および「キャビネット」を示している。また、本実施形態では、処理液配管641が処理液供給部400の流体ボックスFB内に延設されるとともに、流体ボックスFB内でバルブ642が処理液配管641に取り付けられ、処理液の供給/供給停止を切り替え可能となっている。
処理液供給部400は、処理液の原液としてシクロヘキサノンオキシム溶液を貯留する原液タンク401と、原液に含まれる溶媒と同一名称の溶媒(本実施形態ではIPA)を希釈液として貯留する希釈液タンク405とを有している。原液タンク401は、第1個別配管402によって、ミキシングバルブ409の第1個別流路412に接続されている。一方、希釈液タンク405は、第2個別配管406によって、ミキシングバルブ409の第2個別流路413に接続されている。
原液タンク401内の原液は、第1個別配管402に介装された第1ポンプ403によってミキシングバルブ409に送られる。原液タンク401からミキシングバルブ409に送られる原液の流量は、第1個別配管402の内部を開閉する第1電動バルブ404によって変更可能となっている。また同様に、希釈液タンク405内の希釈液は、第2個別配管406に介装された第2ポンプ407によってミキシングバルブ409に送られる。希釈液タンク405からミキシングバルブ409に送られる希釈液の流量は、第2個別配管406の内部を開閉する第2電動バルブ408によって変更可能となっている。
本実施形態では、第1電動バルブ404および第2電動バルブ408はいずれも電動ニードルバルブである。ここで、第1電動バルブ404および第2電動バルブ408の少なくとも一方は、電動ニードルバルブ以外の電動バルブであってもよい。なお、電動ニードルバルブの構成は周知であるため詳しい説明を省略するが、電動バルブ404、408の開閉および開度は制御部4により制御される。
ミキシングバルブ409は、図7に示すように、第1個別流路412および第2個別流路413に加えて、第1個別流路412での液体の逆流を防止する第1チェックバルブ410と、第2個別流路413での液体の逆流を防止する第2チェックバルブ411と、第1個別流路412および第2個別流路413の下流端に接続された集合流路414とを有している。このため、制御部4により第1電動バルブ404および第2電動バルブ408の両方が開かれると、原液および希釈液は、ミキシングバルブ409の集合流路414内を下流に流れながら互いに混ざり合う(流動混合工程)。これにより、原液(シクロヘキサノンオキシム溶液)が希釈液(IPA)で希釈され、所望濃度の処理液が作成される。
ミキシングバルブ409の集合流路414は処理液配管641に接続されている。また、処理液配管641では、図7に示すように、処理液を撹拌するインラインミキサー415がバルブ642の上流側に介装されている。インラインミキサー415は処理液配管641に介装されたパイプ415pを有している。また、パイプ415p内には撹拌フィン415fが配置されている。撹拌フィン415fは液体の流通方向に延びる軸線まわりに捩れた構造を有している。このため、インラインミキサー415はスタティックミキサーとして機能する。つまり、処理液供給部400では、原液タンク401および希釈液タンク405から供給された原液および希釈液はミキシングバルブ409で混合され、その後、インラインミキサー415でさらに混合される。これにより、昇華性物質および溶媒が均一に混ざり合う。
処理液供給部400は、処理液配管641から分岐した分岐配管416を含む。分岐配管416の上流端は、処理液配管641に接続されている。処理液配管641内の一部の処理液は、分岐配管416の上流端を通過し、内挿軸53に供給される。一方、処理液配管641内の残りの処理液は、分岐配管416の上流端から分岐配管416内に流入する。分岐配管416の下流端は、補充タンク420に接続されている。分岐配管416の下流端は、他の基板処理装置1に設けられた処理液配管641に接続されていてもよいし、排液装置(図示省略)に接続されていてもよい。
処理液供給部400は、処理液配管641から分岐配管416に流れる処理液の流量を変更する流量調整バルブ418を備えていてもよい。流量調整バルブ418は制御部4により開度調整可能となっている。このため、処理液配管641から分岐配管416に流れる処理液の流量は、流量調整バルブ418の開度に応じて変更される。処理液供給部400は、流量調整バルブ418に代えて、直径が分岐配管416の内径よりも小さい孔が形成されたオリフィス板を備えていてもよい。この場合、処理液は、オリフィス板の孔の面積に応じた流量で、処理液配管641から分岐配管416に流れる。
処理液供給部400は、処理液における昇華性物質の濃度を測定する溶液濃度計417を備えている。図7では、溶液濃度計417は分岐配管416に介装されている。ただし、溶液濃度計417の配設位置はこれに限定されるものではなく、ミキシングバルブ409の下流であれば、任意である。例えば溶液濃度計417をインラインミキサー415の上流または下流に配置してもよいし、内挿軸53に配置してもよい。もしくは、内挿軸53から吐出された処理液の濃度を、溶液濃度計417に測定させてもよい。
溶液濃度計417は、光学濃度計である。溶液濃度計417は、光学濃度計以外の濃度計であってもよい。制御部4は溶液濃度計417の検出値に基づいて原液および希釈液の混合比、つまり、原液に対する希釈液の割合を変更する。具体的には、制御部4は、溶液濃度計417の検出値に基づいて第1電動バルブ404および第2電動バルブ408の少なくとも一方の開度を変更する。これにより、処理液に含まれる昇華性物質の割合が増加または減少し、処理液中における昇華性物質(シクロヘキサノンオキシム)の濃度が設定濃度範囲内の値に調整される。なお、濃度範囲については後で詳述する。
処理液供給部400は、原液タンク401内に供給される補充液を貯留する補充タンク420を備えていてもよい。補充タンク420は、補充配管421によって原液タンク401に接続されている。補充タンク420内の補充液は、補充配管421に介装された補充ポンプ422によって原液タンク401に送られる。補充液はシクロヘキサノンオキシム溶液である。補充液における昇華性物質の濃度は、原液における昇華性物質の濃度よりも低い。
処理液供給部400は、補充タンク420内に溶媒(IPA)を供給する溶媒配管423と、溶媒配管423の内部を開閉する溶媒バルブ424とを備えている。処理液供給部400は、さらに、補充タンク420内の補充液を循環させる循環配管425と、補充タンク420内の補充液を循環配管425に送る循環ポンプ426と、循環配管425内の補充液における昇華性物質の濃度を測定する循環濃度計427とを備えている。循環配管425の上流端および下流端は、補充タンク420に接続されている。
処理液配管641から分岐した分岐配管416の下流端は、補充タンク420に接続されている。処理液配管641内を流れる処理液は、分岐配管416を介して補充タンク420に供給され、補充タンク420内の補充液と混ざる。処理液の濃度は、原液における昇華性物質の濃度よりも低い。補充タンク420内の補充液における昇華性物質は、循環濃度計427によって検出される。補充液における昇華性物質の濃度が基準濃度より高い場合、制御部4は、溶媒バルブ424を開き、溶媒(IPA)を補充タンク420内に供給する。これにより、補充液における昇華性物質の濃度が低下し、基準濃度に調整される。
原液タンク401内の原液には、昇華性物質と溶媒とが含まれる。溶媒が原液から蒸発すると、原液における昇華性物質の濃度が上昇し、昇華性物質が析出するかもしれない。この場合、第1個別配管402の上流端が昇華性物質の固体で詰まり、原液が第1個別配管402を流れないもしくは殆ど流れなくなる可能性がある。補充タンク420内の補充液を原液タンク401に供給すれば、原液における昇華性物質の濃度を飽和濃度未満に維持することができ、昇華性物質の析出を防止できる。
補充タンク420から原液タンク401への補充液の供給は、定期的に行われてもよいし、原液タンク401内の原液が第1個別配管402に送られた回数に応じて行われてもよい。もしくは、原液タンク401内の原液における昇華性物質の濃度を濃度計で測定し、濃度計の検出値に応じて補充タンク420から原液タンク401に補充液を供給してもよい。いずれの場合も、原液タンク401内の原液が補充液で薄まるので、第1個別配管402の上流端が昇華性物質の固体で詰まることを防止できる。
図3に戻って説明を続ける。上記のようにして処理液が内挿軸53に向けて送液されると、第4液体供給路53dの処理液吐出口から基板Wの表面中央部に向けて吐出される。
中央気体供給ユニット65は、内挿軸53に設けられた中央気体供給路53eに接続された気体供給配管651と、気体供給配管651を開閉するバルブ652とを有している。気体供給配管651は気体の供給源と接続されている。本実施形態では、気体として除湿された窒素ガスが用いられており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ652が開かれると、窒素ガスが内挿軸53に供給され、中央気体供給路53eの下端、つまり中央気体吐出口から基板Wの表面中央部に向けて吹き付けられる。なお、気体としては、窒素ガス以外に、除湿されたアルゴンガスなどの不活性ガスを用いてもよい。この点については、環状気体供給ユニット66および裏面気体供給ユニット67においても同様である。
環状気体供給ユニット66は、内挿軸53に設けられた環状気体供給路53fに接続された気体供給配管661と、気体供給配管661を開閉するバルブ662とを有している。気体供給配管661は、中央気体供給ユニット65と同様に、気体の供給源と接続されており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ662が開かれると、窒素ガスが内挿軸53に供給され、環状気体供給路53fの下端、つまり環状気体吐出口から基板Wの表面に向けて吹き付けられる。
裏面気体供給ユニット67は、スピンチャック3の中心軸33に接続された気体供給配管671と、気体供給配管671を開閉するバルブ672とを有している。気体供給配管671は、中央気体供給ユニット65と同様に、気体の供給源と接続されており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ672が開かれると、窒素ガスが中心軸33に供給され、中心軸33に挿通された配管の上端部、つまり気体吐出口から基板Wの裏面Wbの中央部に向けて吹き付けられる。
残渣防止液供給ユニット68は、スピンチャック3の中心軸33に接続された残渣防止液配管681と、残渣防止液配管681に介装されたバルブ682とを有している。残渣防止液配管681は残渣防止液の供給源と接続されている。本実施形態では、残渣防止液としてDIWを用いており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ682が開かれると、DIWが中心軸33に供給され、中心軸33に挿通された配管の上端部、つまり液体吐出口から基板Wの裏面Wbの中央部に向けて供給される。このDIWは基板Wの裏面Wbを伝って裏面周縁部に流動し、裏面周縁部を経由して基板Wの表面Wfの周縁部(以下「表面周縁部」という)に残渣防止液として回り込む。ここで、残渣防止液の回り込み位置は基板Wの回転数と密接に関連している。つまり、基板Wの回転数が低いと、残渣防止液が基板Wの表面周縁部を超えて基板Wの表面Wfの中央側に到達することがある。逆に、基板Wの回転数が高いと、残渣防止液の回り込みが発生せず、基板Wの表面周縁部に残渣防止液が供給されないことがある。そこで、本実施形態では、基板Wの裏面Wbの中央部に向けて供給されるDIWの単位時間当たりの流量に応じて基板Wの回転数が制御される。この点については、後で詳述する。なお、本実施形態では、残渣防止液としては、DIW以外に、希釈した水酸化アンモニウム(dNH4OH)やSC1液を用いてもよい。
基板処理装置1では、スピンチャック3を取り囲むように、排気桶80が設けられている。また、スピンチャック3と排気桶80との間に配置された複数のカップ81,82(第1カップ81および第2カップ82)と、基板Wの周囲に飛散した処理液を受け止める複数のガード84~86(第1ガード84~第3ガード86)とが設けられている。また、ガード84~86に対してガード昇降駆動機構87~89(第1~第3ガード昇降駆動機構87~89)がそれぞれ連結されている。ガード昇降駆動機構87~89はそれぞれ制御部4からの昇降指令に応じてガード84~86を独立して昇降する。なお、第1ガード昇降駆動機構87の図3への図示は省略されている。また、3つのガードのうち第2ガード85が処理液のスピンコート時(後で説明する液膜形成工程)に基板Wの周端面に対向する。したがって、基板Wから振り切られた処理液が第2ガード85で捕集され、第2カップ82で回収される。
制御部4は、CPU等の演算ユニット、固定メモリデバイス、ハードディスクドライブ等の記憶ユニット、および入出力ユニットを有している。記憶ユニットには、演算ユニットが実行するプログラムが記憶されている。そして、制御部4は上記プログラムにしたがって装置各部を制御することで、溶媒(IPA)に対して昇華性物質(シクロヘキサノンオキシム)が溶けた処理液を用いて図8に示す基板処理を実行する。
図8は図3の基板処理装置で実行される基板処理の内容を示す図である。同図では、左側に一の基板処理装置1で実行される基板処理のフローチャートが示されている。また、右側上段、右側中段および右側下段にそれぞれ昇華開始時、昇華途中の残渣除去時および昇華完了時における動作が模式的に図示されるとともに、基板Wの表面周縁部Wfeの一部を拡大して図示している。ただし、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数などを誇張または簡略化して描いている。
基板処理システム100における処理対象は、例えばシリコンウエハであり、パターン形成面である表面Wfに凹凸状のパターンPTが形成されている。また、パターンPTは、微細なトレンチにより形成されたライン状のパターンが繰り返し並ぶものであってもよい。また、パターンPTは、薄膜に、複数の微細穴(ボイド(void)またはポア(pore))を設けることにより形成されていてもよい。パターンPTは、たとえば絶縁膜を含む。また、パターンPTは導体膜を含んでいてもよい。より具体的には、パターンPTは、複数の膜を積層した積層膜により形成されており、さらには、絶縁膜と導体膜とを含んでいてもよい。パターンPTは単層膜で構成されるパターンであってもよい。絶縁膜はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜であってもよい。また、導体膜は、低抵抗化のための不純物を導入したアモルファスシリコン膜であってもよいし、金属膜(例えばTiN膜)であってもよい。また、パターンPTは、フロントエンドで形成されたものであってもよいし、バックエンドで形成されたものであってもよい。さらに、パターンPTは、疎水性膜であってもよいし、親水性膜であってもよい。親水性膜として例えばTEOS膜(シリコン酸化膜の一種)が含まれる。
図8に示す各工程は、特に明示しないかぎり、大気圧環境下で処理される。ここで、大気圧環境とは標準大気圧(1気圧、1013hPa)を中心に、0.7気圧以上1.3気圧以下の環境のことを指す。特に、基板処理システム100が陽圧となるクリーンルーム内に配置される場合には、基板Wの表面Wfの環境は、1気圧よりも高くなる。
未処理の基板Wが基板処理装置1に搬入される前においては、制御部4が装置各部に指令を与えて基板処理装置1は初期状態にセットされる。すなわち、シャッター開閉機構22によりシャッター23(図1)は閉じられている。基板回転駆動機構34によりスピンチャック3は基板Wのローディングに適した位置に位置決め停止されるとともに、全支持ピン32は上昇し、スピンチャック3はチャックポジションCP0(図5の(a)欄参照)となっている。遮断板51は遮断板昇降駆動機構56により退避位置に位置決めされるとともに、遮断板回転駆動機構55による遮断板51の回転は停止されている。ガード84~86はいずれも下方に移動して位置決めされている。さらに、バルブ612、622、632、642、652、662、672、682はいずれも閉じられている。
未処理の基板Wが基板搬送ロボット111により搬送されてくると、シャッター23が開く。シャッター23の開成に合わせて基板Wは基板搬送ロボット111によりチャンバ2の内部空間21に搬入され、表面Wfを上方に向けた状態でスピンチャック3に受け渡される(ステップS1:基板の搬入)。
基板Wの搬入に続いて、基板搬送ロボット111がチャンバ2の外に退避し、さらにシャッター23が再び閉じた後、制御部4はバルブ652、662を開く。これにより、窒素ガスが基板Wの表面Wfの中央部に供給され、複数の支持ピン32に押し付けられる。こうして、基板Wは支持ピン32に支持されながらスピンチャック3に保持される。また、制御部4はバルブ672を開く。これにより、窒素ガスが基板Wの裏面Wbの中央部に供給される。
こうして基板Wが保持されると、制御部4は基板回転駆動機構34のモータを制御してスピンチャック3の回転速度(回転数)を、所定の処理速度(約10~3000rpmの範囲内で、例えば800~1200rpm)まで上昇させ、その処理速度に維持させる。また、制御部4は、遮断板昇降駆動機構56を制御して、遮断板51を退避位置から下降させて遮断位置に配置する(ステップS2)。また、制御部4は、ガード昇降駆動機構87~89を制御して第1ガード84~第3ガード86を上位置に上昇させることにより、第1ガード84を基板Wの周端面に対向させる。
基板Wが予め設定した回転数に達すると、次いで、制御部4はバルブ612を開く。これにより、内挿軸53の薬液吐出口から薬液(本実施形態ではHF)が吐出され、基板Wの表面Wfに供給される。基板Wの表面Wf上では、HFが基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板Wの表面Wfの全体がHFによる薬液洗浄を受ける(ステップS3)。このとき、基板Wの周縁部に達したHFは基板Wの周縁部から基板Wの側方に排出され、第1ガード84の内壁に受け止められ、図示を省略する排液経路に沿って機外の廃液処理設備に送られる。このHF供給による薬液洗浄は予め定められた洗浄時間だけ継続され、それを経過すると、制御部4はバルブ612を閉じて、内挿軸53からのHFの吐出を停止する。
薬液洗浄に続いて、リンス液(DIW)によるリンス処理が実行される(ステップS4)。このDIWリンスでは、制御部4は第1ガード84~第3ガード86の位置を維持しながら、バルブ622を開く。これにより、薬液洗浄処理を受けた基板Wの表面Wfの中央部に対して内挿軸53のリンス液吐出口からDIWがリンス液として供給される。すると、DIWが基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板W上に付着しているHFがDIWによって洗い流される。このとき、基板Wの周縁部から排出されたDIWは、基板Wの周縁部から基板Wの側方に排出され、HFと同様にして機外の廃液処理設備に送られる。このDIWリンスは予め定められたリンス時間だけ継続され、それを経過すると、制御部4はバルブ622を閉じて、内挿軸53からのDIWの吐出を停止する。
DIWリンスの完了後、IPA置換工程(ステップS5)、液膜形成工程(ステップS6)、固化膜形成工程(ステップS7)、昇華工程(ステップS8)および残渣防止工程(ステップS9)が実行される。これらの工程を実行するため、本実施形態では、制御部4は図9に示すように装置各部を制御する。以下、図8および図9を参照しつつ、上記ステップS5~S9について、詳述する。
図9はIPA置換以降における装置各部の動作を示すタイミングチャートである。同図において、「表面側中央N2」、「裏面側N2」および「表面側環状N2」は、窒素ガスの供給流量に関するものである。つまり、
表面側中央N2は、雰囲気遮断機構5の中央気体吐出口から基板Wの表面中央部に向けて供給される窒素ガスの流量を示し、
裏面側N2は、スピンチャック3の気体吐出口から基板Wの裏面Wbの中央部に向けて供給される窒素ガスの流量を示し、
表面側環状N2は、雰囲気遮断機構5の環状気体吐出口から基板Wの表面中央部に向けて供給される窒素ガスの流量を示している。
IPA置換工程は、DIWよりも表面張力の低い有機溶剤(本実施形態ではIPA)を用いて行われる。IPA置換の開始時点(タイミングT1)では、制御部4は、ガード昇降駆動機構87、88を制御して第1ガード84および第2ガード85を下位置に下降させることにより、第3ガード86を基板Wの周端面に対向させる。また、制御部4は、気体供給ユニット65~67を制御して雰囲気遮断機構5の中央気体吐出口、スピンチャック3の気体吐出口および雰囲気遮断機構5の環状気体吐出口から、それぞれ流量F11、F21、F31の窒素ガスを基板Wに供給し続ける。また、制御部4は、処理液および残渣防止液の供給を停止させる。また、制御部4は、遮断板昇降駆動機構56を制御して、遮断板51を退避位置に配置させる。これらの設定はIPA置換を実行する間、維持される。特に、スピンチャック3の気体吐出口から基板Wの裏面Wbへの窒素ガスの供給は、昇華完了まで継続される。
制御部4は、IPA置換を実行するために、基板回転駆動機構34および遮断板回転駆動機構55を制御して静止状態の基板Wおよび遮断板51を同期して回転数R2で回転させる。制御部4はバルブ632を開く。これに応じて、雰囲気遮断機構5の低表面張力液体吐出口からIPAが低表面張力液として基板Wの表面Wfの中央部に供給される。基板Wの表面Wfに供給されたIPAは、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの表面Wfの全域に広がる。これにより、基板Wの表面Wfの全域において、当該表面Wfに付着しているDIW(リンス液)がIPAによって置換される。なお、基板Wの表面Wfを移動するIPAは、基板Wの周縁部から基板Wの側方に排出され、第3ガード86の内壁に受け止められ、図示を省略する回収経路に沿って回収設備に送られる。このIPA置換は予め定められた置換時間だけ継続され、それを経過すると、制御部4はバルブ632を閉じて、低表面張力液体吐出口からのIPAの吐出を停止する(タイミングT2)。
このタイミングT2で、処理液の液膜を形成する液膜形成工程(ステップS6)が開始される。制御部4は、第2ガード昇降駆動機構88を制御して第2ガード85を上位置に上昇させることにより、第2ガード85を基板Wの周端面に対向させる。また、制御部4は、バルブ652を閉じる。これにより、中央気体吐出口から基板Wの表面中央部への窒素ガスの供給が停止される。一方、環状気体吐出口から基板Wの表面中央部への窒素ガスの供給は継続される。こうして基板Wの表面Wfへの窒素ガスの供給量が減少された状態で、制御部4は、所定時間(=T3-T2)だけバルブ642を開く。これにより、IPAが付着している基板Wの表面Wfの中央部に向けて雰囲気遮断機構5の処理液吐出口から処理液が乾燥補助液として吐出され、基板Wの表面Wfに供給される。基板Wの表面Wf上の処理液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの表面Wfの全域に広がる。これにより、基板Wの表面Wfの全域において、当該表面Wfに付着しているIPAが処理液によって置換され、表面Wfに処理液の液膜が形成される。なお、基板Wから振り切られた処理液は第2ガード85で捕集され、第2カップ82で回収される。
このタイミングT3で、制御部4は、バルブ662を閉じる。これにより、環状気体吐出口から基板Wの表面中央部への窒素ガスの供給も停止される。そして、制御部4は、基板回転駆動機構34および遮断板回転駆動機構55を制御して基板Wおよび遮断板51の回転数を回転数R2から回転数R3に増速させ、余分な処理液を飛散させて液膜の厚みをコントロールする(スピンオフ処理)。タイミングT4でスピンオフ処理が完了すると、制御部4は、基板回転駆動機構34および遮断板回転駆動機構55を制御して基板Wおよび遮断板51の回転数を回転数R3から回転数R1(<R2)に減速する。そして、制御部4は、一定時間(=T6-T4)だけ減速状態を維持される。これにより、基板Wの表面Wfに形成されたパターンPTのうち隣接する2個の凸部PT1の間、つまりパターンPTの内部に処理液が充填される(処理液の充填)。この充填処理中のタイミングT5で、制御部4は、遮断板昇降駆動機構56を制御して、遮断板51を退避位置から遮断位置(図3に示す位置)に下降させる。
こうして、次の固化膜形成工程の準備が完了すると、制御部4はバルブ662を開く。これにより、除湿された窒素ガスが雰囲気遮断機構5の環状気体吐出口から流量F12(>F11)で基板Wの表面Wfの中央部に供給される。その結果、パターンPTの内部にシクロヘキサノンオキシムの固化膜SFが形成される(ステップS7)。
次いで、制御部4は昇華工程を実行する(ステップS8)。より具体的には、制御部4は、昇華工程の開始(タイミングT7)で、第2ガード昇降駆動機構88を制御して第2ガード85を下位置に下降させることにより、第3ガード86を基板Wの周端面に対向させる。また、制御部4は基板Wおよび遮断板51の回転数を固化膜形成工程(ステップS7)の回転数R3よりも高い回転数R4に増速させる。基板Wの回転に伴って、固化膜SFと、その周囲の雰囲気との接触速度が増大する。これにより、固化膜SFの昇華を促進させることができ、短期間のうちに固化膜SFを昇華させることができる。ただし、遮断板51の回転は昇華工程の必須構成ではなく、任意構成である。
また、昇華の開始時点においては、制御部4は固化膜SFの形成から継続してバルブ652、662、672をそれぞれ閉状態、開状態および開状態に維持し、図8の右上段に示すように、回転状態の基板Wの表面Wfの中央部に向けて環状気体吐出口から除湿された窒素ガスが吐出されるとともに、基板Wの裏面Wbの中央部に向けて窒素ガスが吐出される。これにより、基板Wの表面Wfと遮断板51の基板対向面51aとに挟まれた遮断空間を低湿度状態に保ちながら、昇華工程が開始される(ステップS8-1)。この昇華工程では、固化膜SFの昇華に伴って昇華熱が奪われ、固化膜SFがシクロヘキサノンオキシムの凝固点(融点)以下に維持される。そのため、固化膜SFを構成する昇華性物質、つまりシクロヘキサノンオキシムが融解することを効果的に防止できる。これにより、基板Wの表面WfのパターンPTの間に液相が存在しないので、パターンPTの倒壊の問題を緩和しながら、基板Wを乾燥させることができる。
こうした昇華工程は、基板Wの種類に応じて予め設定されたレシピにしたがって所定時間(=T10-T7)だけ継続される。つまり、タイミングT10に達するまで昇華工程を継続した後、制御部4は装置各部を制御して固化膜SFの昇華を完了する(ステップS8-2)。この固化膜SFの昇華中に、既述のように昇華性物質に由来する有機物が基板Wの表面周縁部Wfeに残ってしまうことがある。
そこで、本実施形態では、昇華工程を実行している途中で、残渣防止工程(ステップS9)が実行される。制御部4は、特に昇華工程の後半のタイミングT8において、基板回転駆動機構34および遮断板回転駆動機構55を制御して基板Wおよび遮断板51の回転数を回転数R4から回転数R3に減速する。そして、制御部4は、残渣除去期間(=T9-T8)の間、減速状態を維持するとともにバルブ682を開く。これによって、DIWが中心軸33に供給され、液体吐出口から基板Wの裏面Wbの中央部に向けて供給される。しかも、基板Wの回転数が回転数R3に調整されることで、上記DIWは基板Wの裏面Wbを伝って裏面周縁部に流動し、さらに裏面周縁部を経由して基板Wの表面周縁部Wfeに残渣防止液として回り込む。なお、この残渣防止液の回込を円滑に行うために、本実施形態ではIPA置換工程(ステップS5)まで基板Wは親水性であるのが望ましい。
ここで、基板Wの回転数を回転数R3に減速した理由は、昇華工程に適した回転数R4に維持すると、DIW(残渣防止液)の回り込みが発生せず、基板Wの表面周縁部に供給されないからである。また、基板Wの回転数を液膜形成時の回転数R1、R2まで減速すると、DIWが基板Wの表面周縁部Wfeを超えて基板Wの表面Wfの中央側に到達しまう。そこで、本実施形態では、これらを考慮して回転数R3に設定している。
また、残渣除去期間中に、制御部4は、スピンチャック3のピン昇降機構(図示省略)を制御することで、チャックポジションを順次切り替える。このポジション切替を行う理由は、残渣除去期間中のいずれかで支持ピン32を必ず1回、基板Wの裏面Wbから離間させ、当該支持ピン32と基板Wの裏面Wbとの間を介してDIWを表面周縁部Wfeに回り込ませるためである。本実施形態では、チャックポジションCP0-チャックポジションCP1-チャックポジションCP2-チャックポジションCP0の順序で、ポジション切替が実行される。これによって、基板Wの全周にわたって、図8の右中段に示すように、DIWが、パターンPTに到達することなく、表面周縁部Wfeに残渣防止液として供給される。そして、DIWがタイミングT8時点で表面周縁部Wfeに存在する残渣を除去し、また残渣除去期間中に、昇華性物質に由来する有機物が表面周縁部Wfeに残留するのを防止する。
また、本実施形態では、残渣除去期間中において、制御部4はバルブ652を開く。これによって、基板Wの表面Wfの中央部には、環状気体吐出口以外に中央気体吐出口からも除湿された窒素ガスが吐出される。こうして、残渣除去期間中に基板Wの表面Wfに供給される窒素ガスの流量が増大する。これにより、基板Wの表面Wfと遮断板51の基板対向面51aとに挟まれた遮断空間が陽圧状態に保たれ、これによって、残渣防止液(DIW)の過剰な回込を抑えることが可能となる。この残渣除去期間が経過したタイミングT9で、制御部4は元の昇華工程に戻す。そして、タイミングT10で昇華工程を完了し、次のステップS10に移行する。
ステップS10において、制御部4は基板回転駆動機構34のモータを制御してスピンチャック3の回転を停止させる。また、制御部4は、遮断板回転駆動機構55を制御して遮断板51の回転を停止させるとともに、遮断板昇降駆動機構56を制御して遮断板51を遮断位置から上昇させて退避位置に位置決めする。さらに、制御部4は、第3ガード昇降駆動機構89を制御して、第3ガード86に下降させて、全てのガード86~88を基板Wの周端面から下方に退避させる。
その後、制御部4がシャッター開閉機構22を制御してシャッター23(図1)を開いた後で、基板搬送ロボット111がチャンバ2の内部空間に進入して、支持ピン32による保持が解除された処理済みの基板Wをチャンバ2外へと搬出する(ステップS11)。なお、基板Wの搬出が完了して基板搬送ロボット111が基板処理装置1から離れると、制御部4はシャッター開閉機構22を制御してシャッター23を閉じる。
以上のように、本実施形態によれば、基板Wの裏面周縁部を経由して基板Wの表面周縁部WfeにDIWを残渣防止液として供給することで、基板Wの表面周縁部Wfeでの残渣発生を防止することができる。その結果、基板Wの表面周縁部Wfeでの残渣の発生を効果的に抑制しながら基板Wを良好に乾燥させることができる。
このように、第1実施形態では、スピンチャック3が本発明の「基板保持部」の一例に相当している。また、気体供給ユニット66が本発明の「固化膜形成部」および「昇華部」として機能している。また、回転数R3、R4がそれぞれ本発明の「第1回転数」および「第2回転数」の一例に相当している。回転数(第1回転数)R3を700rpm以下に設定することで残渣防止液(DIW)の回込が可能となるが、洗浄効率を考慮すると、500rpmに設定するのが望ましい。逆に、100rpmよりも低くなると、過剰な回込が発生する。したがって、回転数(第1回転数)R3としては、100rpm以上かつ700rpm以下に設定するのが望ましい。
また、残渣防止液供給ユニット68が本発明の「残渣防止液供給部」の一例に相当している。そして、昇華工程のうち、タイミングT8からタイミングT9までの間に残渣防止工程を並行して実行しており、その期間(=T9-T8)は10秒以上に設定するのが望ましい。一方、タイミングT7からタイミングT8までの期間と、タイミングT9からタイミングT10までの期間とが昇華のみを行う期間であり、本発明の「残渣防止工程が実行されない間」の一例に相当している。
また、チャックポジションCP1、CP2がそれぞれ本発明の「第1支持状態」および「第2支持状態」の一例に相当し、チャックポジションCP1に対応する支持ピン32が本発明の「第1支持部材」の一例に相当し、チャックポジションCP2に対応する支持ピン32が本発明の「第2支持部材」の一例に相当している。そして、残渣防止工程(ステップS9)で実行されるチャックポジションの切替えが本発明の「支持切替工程」の一例に相当している。なお、本実施形態では、チャックポジションCP1、CP2に対応する支持ピン32の本数はともに6本であるが、3本以上であれば任意である。
ところで、上記第1実施形態では、基板Wの裏面周縁部を経由して基板Wの表面周縁部Wfeに回り込ませる残渣防止液として室温と同じ温度のDIWを用いている。この主たる理由は、基板Wの裏面WbへのDIW供給によって、基板Wの温度が低下するのを防止して昇華工程を安定的に行うためである。ここで、昇華工程に要する時間を短縮するという観点から検討すると、残渣防止液の温度を室温よりも高い温度に調整するのが望ましい(第2実施形態)。
図10は本発明に係る基板処理装置の第2実施形態の構成を示す部分断面図である。また、図11は第2実施形態におけるIPA置換以降における装置各部の動作を示すタイミングチャートである。第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、残渣防止液供給ユニット68に加熱部683が追加されている点であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。以下、相違点を中心に説明し、同一構成および動作については同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、加熱部683がDIWを加熱する。そして、残渣防止液供給ユニット68は常温より高い温度、例えば50℃以上のDIWを残渣防止液として基板Wの裏面Wbの中央部に向けて供給する。より具体的には、図11に示すように、制御部4は、バルブ682を開く。これによって、高温DIWが中心軸33に供給され、液体吐出口から基板Wの裏面Wbの中央部に向けて供給される。残渣防止工程前(=T7~T8)においては、基板Wの回転数は回り込みに適した回転数R3よりも高い回転数R4であるため、高温DIWは基板Wを温めながら基板Wの裏面Wbを周縁部に伝わり、基板Wから径方向に振り切られる。したがって、残渣防止工程(ステップS9)を開始するタイミングT8以前においては、基板Wの表面周縁部Wfe(図8参照)へのDIWの回り込みを規制しながら、基板Wの温度は常温よりも高くなる。その結果、タイミングT7からタイミングT8までに固化膜SFの昇華が効率的に行われる。本実施形態では、これが本発明の「加熱工程」の一例に相当している。
そして、残渣除去期間(=タイミングT8~T9)において、第1実施形態と同様に、制御部4は、バルブ652の開成と、ポジション切替えと、基板Wおよび遮断板51の回転数R3への減速とを実行する。これによって、高温DIWがタイミングT8時点で表面周縁部Wfeに存在する残渣を除去し、また残渣除去期間中に、昇華性物質に由来する有機物が表面周縁部Wfeに残留するのを防止する。しかも、残渣防止液として機能するDIWの温度が常温よりも高いため、高温DIWは第1実施形態より優れた除去・防止機能を果たす。
以上のように構成された第2実施形態によれば、固化膜SFの昇華促進により昇華工程に要する時間、ひいてはトータルの基板処理時間を第1実施形態よりも短縮することができる。その結果、基板処理装置1の電力消費量を削減することができる。また、常温よりも高い温度を有する残渣防止液(DIW)を用いているため、基板Wの表面周縁部Wfeでの残渣発生をより確実に抑制することができる。したがって、残渣防止液の使用量を削減することができる。このような消費削減によって、昇華性物質を溶媒に溶解させた処理液(乾燥補助液)を用いた基板の昇華乾燥技術において、環境負荷の低減を図ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、固化膜形成工程(ステップS7)が完了した後で昇華工程を開始しているが、両者を一部重複させてもよい。
また、上記実施形態では、固化膜形成工程(ステップS7)において基板Wの裏面Wbに対して温度調整されたDIWなどの媒体を供給して固化を促進させるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、遮断板51を用いて昇華処理を実行しているが、遮断板51を用いることなく昇華処理を行う基板処理装置に対しても、本発明を適用することができる。
この発明は、昇華性物質の昇華現象を利用して基板に付着した液体を除去する基板処理技術全般に適用することができる。
1…基板処理装置
3…スピンチャック(基板保持部)
4…制御部
5…雰囲気遮断機構
31…スピンベース
32…支持ピン(第1支持部材、第2支持部材)
32a…第1支持ピン群
32b…第2支持ピン群
51…遮断板
66…第2気体供給ユニット(固化膜形成部、昇華部)
68…残渣防止液供給ユニット(残渣防止液供給部)
400…処理液供給部
683…加熱部

Claims (9)

  1. パターンが形成された表面を上方に向けた水平姿勢の基板を保持しながら、溶媒に対して昇華性物質が溶けた処理液を前記基板の表面に供給して前記処理液の液膜を前記基板の表面に形成する液膜形成工程と、
    前記基板の表面上の前記処理液から前記溶媒を除去して前記昇華性物質の固化膜を形成する固化膜形成工程と、
    前記固化膜を昇華させて前記基板の表面から除去する昇華工程と、
    前記固化膜の昇華開始後でかつ前記固化膜の昇華完了前に前記基板の裏面の周縁部を経由して前記基板の表面の周縁部に残渣防止液を回り込ませることで、前記残渣防止液により前記基板の表面の周縁部での残渣発生を防止する残渣防止工程と、
    を備えることを特徴とする基板処理方法。
  2. 請求項1に記載の基板処理方法であって、
    前記残渣防止工程は、前記残渣防止液が前記基板の表面の周縁部に回り込むのを許容しつつ前記基板の表面の周縁部を超えて前記基板の中央側に流入するのを規制するように、前記基板を第1回転数で回転させる工程を含む、基板処理方法。
  3. 請求項2に記載の基板処理方法であって、
    前記昇華工程は、前記残渣防止工程が実行されない間、前記基板を前記第1回転数よりも高い第2回転数で回転させる工程を含む、基板処理方法。
  4. 請求項1に記載の基板処理方法であって、
    前記残渣防止工程は、前記基板の裏面の周縁部のうち第1基板支持部位に第1支持部材を当接させて前記基板を支持する第1支持状態と、前記基板の裏面の周縁部のうち前記第1基板支持部位と異なる第2基板支持部位に第2支持部材を当接させて前記基板を支持する第2支持状態と、を切り替える支持切替工程を含む、基板処理方法。
  5. 請求項4に記載の基板処理方法であって、
    前記昇華工程は、前記残渣防止工程が実行されない間、前記基板を前記第1支持部材および前記第2支持部材で支持する工程を含む、基板処理方法。
  6. 請求項1に記載の基板処理方法であって、
    前記残渣防止工程は、前記基板の裏面の周縁部を経由して前記基板の表面の周縁部に前記残渣防止液を回り込ませる前に、前記残渣防止液を加熱する加熱工程を含む、基板処理方法。
  7. 請求項1に記載の基板処理方法であって、
    前記残渣防止工程は、室温と同じ温度の前記残渣防止液を前記基板の裏面の周縁部を経由して前記基板の表面の周縁部に回り込ませる工程である、基板処理方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の基板処理方法であって、
    前記昇華性物質はシクロヘキサノンオキシムであり、前記溶媒はイソプロピルアルコールである、基板処理方法。
  9. パターンが形成された表面を上方に向けた水平姿勢の基板を保持する基板保持部と、
    前記基板保持部に保持された前記基板の表面に、溶媒に対して昇華性物質が溶けた処理液を供給する処理液供給部と、
    前記基板の表面上の前記処理液から前記溶媒を除去して前記昇華性物質の固化膜を形成する固化膜形成部と、
    前記固化膜を昇華させて前記基板の表面から除去する昇華部と、
    前記基板保持部に保持された前記基板の裏面に対し、前記基板の表面の周縁部での残渣発生を防止するための残渣防止液を供給する残渣防止液供給部と、
    前記昇華部および前記残渣防止液供給部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記昇華部による前記固化膜の昇華開始後でかつ前記固化膜の昇華完了前に、前記基板の裏面の周縁部を経由して前記基板の表面の周縁部に前記残渣防止液が回り込むように前記残渣防止液供給部を制御する、
    ことを特徴とする基板処理装置。
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