第一フロアの給排気を行う第一換気装置と、前記第一フロアとは異なる第二フロアの給排気を行う第二換気装置と、前記第一換気装置の給排気運転と前記第二換気装置の給排気運転とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第一フロアと前記第二フロアとの間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が所定の基準値を超えた場合に、前記第一換気装置と前記第二換気装置のうちいずれか一方の装置の排気量に対する給気量の割合を増加させるとともに前記第一換気装置と前記第二換気装置のうちの他方の装置の給気量に対する排気量の割合を増加させることを特徴とする。こうした構成によれば、第一換気装置(または第二換気装置)の排気量に対する給気量の割合を増加させることにより第一フロア(または第二フロア)が加圧状態となるとともに、第二換気装置(または第一換気装置)の給気量に対する排気量の割合を増加させることにより第二フロア(または第一フロア)が減圧状態となる。このため、第一フロアと第二フロアとの間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が基準値を超えた場合には、加圧状態の第一フロア(または第二フロア)から減圧状態の第二フロア(または第一フロア)への空気の流れを生じさせることができる。そして、第二換気装置(または第一換気装置)では、流れ込んできた空気を含む室内の空気の温度及び湿度を反映した換気制御を行うことになる。つまり、建物の各フロアに設置された換気装置を用いて、フロア間の温度及び湿度の差を低減することが可能な換気システムとすることができる。
また、前記制御部は、前記一方の装置の排気量に対する給気量の増加の割合と、前記他方の装置の給気量に対する排気量の増加の割合が等しくなるように前記第一換気装置と前記第二換気装置の運転を制御してもよい。このようにすることで、一方の装置の換気量と他方の装置の換気量とを合わせた全換気量を一定とした状態(必要換気量を確保した状態)で、フロア間の温度および湿度の差を低減することができる。
また、前記制御部は、前記温度差及び前記湿度差が前記基準値を超えていない場合に、前記第一換気装置の前記給排気運転と前記第二換気装置の前記給排気運転とを独立して制御するようにしてもよい。このようにすることで、各換気装置によってフロアごとの換気を効率よく行うことができる。
また、前記制御部は、前記一方の装置に設けられ、前記他方の装置の前記給排気運転は、前記一方の装置からの制御信号に基づいて制御されることが好ましい。このようにすることで、第一換気装置と第二換気装置との間の連動制御を簡易な構成で行うことができる。
また、前記第一フロアと前記第二フロアとを連通する空間に設けられた送風機をさらに備え、前記制御部は、前記基準値を超えた場合に、前記第一換気装置および前記第二換気装置の給排気運転に連動させて、前記送風機の送風運転を制御するように構成してもよい。このようにすることで、第一換気装置と第二換気装置との間の連動制御によって生じる空気の流れに加えて、送風機によって第一フロアと第二フロアとの間の空気の流れをさらに生じさせることができるので、フロア間の温度及び湿度の差をさらに低減することができる。
また、前記制御部は、加圧されたフロアから減圧されたフロアに向けて送風を行うよう前記送風機を制御してもよい。このようにすることで、第一換気装置と第二換気装置との間の連動制御によって生じる空気の流れに対して、送風機が発生させる空気の流れが順方向となる。そのため、第一フロアと第二フロアとの間の空気の流れをより大きくすることができるので、フロア間の温度及び湿度の差をさらに低減することができる。
また、前記第一換気装置及び前記第二換気装置は、給気風路と排気風路との間で熱交換を行う熱交換素子を備えた構成にしてもよい。こうした構成によれば、第一換気装置及び第二換気装置は給排気において熱の回収を行うことができるので、換気による熱エネルギーの損失を低減することができる。
また、前記制御部は、温度と湿度の情報に基づき快適指標の目標値を満たす目標風速を算出する目標風速算出部を備え、前記温度差及び前記湿度差が前記基準値を超えていない場合に、前記第一フロアと前記第二フロアとの間の温度平均値と前記第一フロアと前記第二フロアとの間の湿度平均値とに基づき、前記快適指標の前記目標値を満たす前記目標風速となるように前記送風機の運転を制御してもよい。このようにすることで、居宅者が快適と感じる温度と湿度と風速の組み合わせを実現することができる。
また、風速を測定する風速測定部を少なくともひとつ備え、前記制御部は、測定した風速の平均値と前記目標風速との間の風速差が所定の基準値を超えた場合に、前記目標風速を満たすように前記送風機の運転を制御してもよい。このようにすることで、制御部は送風機の運転出力を補正し、より確実に目標風速を達成することができる。
前記制御部は、前記送風機の運転が開始されてから所定時間が経過したあとに前記室内風速の測定を行うようにしてもよい。このようにすることで、風速測定部は居宅内の気流が安定した状態の風速を測定する。このため、制御部は送風機の運転出力をより正確に補正することができる。
前記快適指標として予測平均温冷感申告(PMV)を用いてもよい。このようにすることで、居宅者が快適と感じる温度と湿度と風速の関係を明確に決定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
まず、図1~図3を参照して、本発明の実施の形態1に係る複数の熱交換形換気装置を備えた換気システム1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る換気システムを備える住宅の模式図である。図2は、換気システムを構成する熱交換形換気装置の斜視図である。図3は、換気システムを構成する熱交換形換気装置の断面図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る換気システム1では、住宅用の建物100の屋内に複数の熱交換形換気装置2が設置されている。熱交換形換気装置2は、室内の空気の排気と室外の空気の給気とを同時に行い、排気流3(室内の空気)と給気流4(室外の空気)との間で熱交換を行いながら換気を行う装置であり、新鮮な空気として排気流3と熱交換した給気流4をフロア内の各室内に供給する。具体的には、換気システム1では、1階となる第一フロア5aに熱交換形換気装置2aが設置され、2階となる第二フロア5bに熱交換形換気装置2bが設置されている。そして、熱交換形換気装置2aは、主として第一フロア5aにおいて区画された各室内を含む空間の換気を担う一方、熱交換形換気装置2bは、主として第二フロア5bにおいて区画された各室内を含む空間の換気を担うようにそれぞれ設置されている。ここで、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bとは、制御信号線8によって接続され、互いに連動した換気制御が可能となっている。なお、熱交換形換気装置2aは、請求項の「第一換気装置」に相当し、熱交換形換気装置2bは請求項の「第二換気装置」に相当するものである。
次に、熱交換形換気装置2の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、熱交換形換気装置2は、箱形の本体を有する。本体の側面には、外気吸込口9、室内空気排気口10(室内側吸込口)、及び外気給気口11(室内側吹出口)が設けられている。また、本体の下面には、室内空気吸込口12が設けられている。本体は、各フロアにおける居室の天井裏等に設置される。ここで、外気給気口11は、外気吸込口9および室内空気排気口10が設けられた面に対向して設けられている。そして、外気吸込口9、室内空気排気口10、及び外気給気口11には、それぞれダクト(図1の排気用ダクト6、給気用ダクト7を参照)が接続できる形状となっている。
外気吸込口9は、建物外の空気(外気)を熱交換形換気装置2の内部に吸い込む吸込口である。具体的には、外気吸込口9は、建物外壁面まで延在するダクト(図1の給気用ダクト7を参照)を介して外気を吸い込む室外給気口(図示せず)と連通して接続される。
室内空気排気口10は、室内の空気(内気)を熱交換形換気装置2から建物外に送風する吐出口である。具体的には、室内空気排気口10は、建物外壁面まで延在するダクト(図1の排気用ダクト6を参照)を介して内気を吹き出す室外排気口(図示せず)と連通して接続される。
外気給気口11は、外気を熱交換形換気装置2から各室内に送風する吐出口である。具体的には、外気給気口11は、建物内の各空間の天井面または壁面まで延在するダクト(図1の給気用ダクト7を参照)を介して外気を吹き出す室内給気口(図示せず)と連通して接続される。
室内空気吸込口12は、本体が設置された居室において、建物内の空気(内気)を熱交換形換気装置2の内部に吸い込む吸込口である。
次に、図3に示すように、熱交換形換気装置2の内部には、熱交換素子13、制御部20、排気送風部24、及び給気送風部25が設けられている。
給気送風部25は、給気用ファン16と、給気用モータ18とを有する。給気用ファン16は、給気用モータ18により回転する。給気用モータ18には、例えば、DCモータ等が用いられる。
排気送風部24は、排気用ファン17と、排気用モータ19とを有する。排気用ファン17は、排気用モータ19により回転する。排気用モータ19は、給気用モータ18と同じDCモータが用いられる。
そして、排気送風部24と給気送風部25とは、制御部20によって動作が制御される。具体的には、排気送風部24と給気送風部25とは、制御部20からの制御信号によって、給気用モータ18と排気用モータ19の回転数が制御される。これにより、排気送風部24による排気量(排気風量)と給気送風部25による給気量(給気風量)とがそれぞれ制御される。定常時の運転状態であれば、制御部20は、排気送風部24による排気量と給気送風部25による給気量とは同じ割合に制御するが、フロア間で温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が所定の値を超えた場合には、排気量に対する給気量の割合または給気量に対する排気量の割合を増減させるように制御する。詳細は後述する。
また、熱交換形換気装置2は、給気風路14および排気風路15を有する。
給気風路14は、給気流4(図1参照)が流通する風路である。給気風路14において、熱交換形換気装置2に取り込まれた室外の空気(外気)は、熱交換素子13を通過し排気される空気との間で熱交換が行われる。その後、室外の空気(外気)は、給気用ファン16に吸い込まれて、外気給気口11から給気用ダクト7(図1参照)を介して各室内に供給される。すなわち、給気風路14は、新鮮な室外の空気(給気空気)を外気吸込口9から吸い込み、熱交換形換気装置2の内部の熱交換素子13を通って外気給気口11から室内に供給する経路である。
排気風路15は、排気流3(図1参照)が流通する風路である。排気風路15において、排気される空気は、室内空気吸込口12から本体内部に吸い込まれ、熱交換素子13を通過し、給気される空気との間で熱交換を行い、排気用ファン17に吸い込まれる。排気用ファン17に吸い込まれた空気は、室内空気排気口10から排気用ダクト6(図1参照)を介して建物外に排出される。すなわち、排気風路15は、汚れた室内の空気(排気空気)を室内空気吸込口12から吸い込み、熱交換素子13を通って室内空気排気口10から室外に排気する経路である。
熱交換素子13は、排気される空気の熱量を給気される空気に供給する、または、給気される空気の熱量を排気される空気の熱量に供給する、熱回収の機能を有している。熱交換素子13は、給気風路14と排気風路15とが交差する位置に配設される。なお、熱交換形換気装置2は、排気される空気が熱交換素子13を通らないバイパス排気風路をさらに備え、熱交換素子13を通る排気風路(熱交排気風路)とバイパス排気風路とを切り替え可能に構成してもよい。この場合、熱交排気風路とバイパス排気風路との切り替えは、ダンパ(図示せず)により行われる。
制御部20は、排気送風部24および給気送風部25の動作を制御する。具体的には、制御部20は、排気用モータ19の回転数および給気用モータ18の回転数を制御する。これにより、制御部20は、熱交換形換気装置2の給気量および排気量をそれぞれ制御する。詳細は後述する。
また、図3に示すように、熱交換形換気装置2は、室内側給気温度センサ21と、室内側排気温度センサ22と、室内側排気湿度センサ23とを備える。室内側給気温度センサ21は、給気風路14に設けられ、熱交換形換気装置2の外気給気口11から吹き出される空気(SA:Supply Air)の温度を検知するセンサである。室内側排気温度センサ22は、排気風路15に設けられ、熱交換形換気装置2の室内空気吸込口12から吸い込まれる空気(RA:Return Air)の温度を検知するセンサである。室内側排気湿度センサ23は、排気風路15に設けられ、熱交換形換気装置2の室内空気吸込口12から吸い込まれる空気(RA)の湿度を検知するセンサである。なお、室内側排気温度センサ22と室内側排気湿度センサ23とは、別体のセンサではなく一体化した温湿度センサであってもよい。そして、室内側給気温度センサ21と、室内側排気温度センサ22と、室内側排気湿度センサ23とは、制御部20に対して取得したそれぞれの情報を出力する。
そして、熱交換形換気装置2は、各フロアにおいて、検出した温度及び湿度に関する情報に基づいて、室内の空気の排気と室外の空気の給気とを同時に行い、室内の空気(内気)と室外の空気(外気)との間で熱交換を行いながら換気を行う。
次に、図4を参照して、熱交換形換気装置2aの制御部20について説明する。図4は、熱交換形換気装置における制御部の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、第一フロア5aに設置された熱交換形換気装置2aを主とし、第二フロア5bに設置された熱交換形換気装置2bを従として説明するが、主従関係を逆にして制御してもよい。熱交換形換気装置2aの制御部20と熱交換形換気装置2bの制御部20とは、基本的に同じ構成と機能を有しており、同じ換気制御を実行する。なお、換気システム内に、熱交換形換気装置2aの制御部20と熱交換形換気装置2bの制御部20との両方を制御する統合制御部を設けて制御するようにしてもよい。
図4に示すように、熱交換形換気装置2aの制御部20は、入力部20aと、記憶部20bと、計時部20cと、処理部20dと、出力部20eとを備える。
入力部20aは、操作部26からの運転開始指示または運転停止指示に関する第一情報と、室内側給気温度センサ21からの室外空気の温度に関する第二情報と、室内側排気温度センサ22および室内側排気湿度センサ23からの室内空気の温度と湿度に関する第三情報とを受け付ける。また、入力部20aは、熱交換形換気装置2bからの情報として、第二フロア5bにおける室内外の空気の温度及び湿度に関する第四情報を受け付ける。なお、第四情報は、第一フロア5aの第二情報および第三情報に対応する情報である。入力部20aは、受け付けた第一情報~第四情報を処理部20dに出力する。
ここで、操作部26は、ユーザが熱交換形換気装置2(熱交換形換気装置2a、熱交換形換気装置2b)に関するユーザ入力情報(例えば、風量、吹き出し温度、等)を入力する端末(リモコン)であり、無線または有線により制御部20と通信可能に接続されている。なお、第一情報には、ユーザ入力情報も含まれる。
記憶部20bは、単独時(熱交換形換気装置2bとの非連動時)の換気動作における換気設定に関する第五情報と、熱交換形換気装置2bとの連動時の換気動作における換気設定に関する第六情報と、ユーザ入力情報に対応する設定情報に関する第七情報とを記憶する。記憶部20bは、記憶した第五情報~第七情報を処理部20dに出力する。
計時部20cは、現在時刻に関する第八情報を処理部20dに出力する。
処理部20dは、入力部20aからの第一情報~第四情報と、記憶部20bからの第五情報~第七情報と、計時部20cからの第八情報とを受け付ける。処理部20dは、受け付けた第一情報~第八情報を用いて、単独時の換気設定に基づく換気動作あるいは熱交換形換気装置2bとの連動時の換気設定に基づく換気動作に関する制御情報を特定する。具体的には、第一フロア5aと第二フロア5bとの間の温度差及び湿度差が所定の基準値(例えば、温度差で5℃、湿度差で10%RH)を超えていない場合には、単独時の換気設定に基づく換気動作に関する制御情報を特定する。一方、第一フロア5aと第二フロア5bとの間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方の差が所定の基準値を超えている場合には、熱交換形換気装置2bとの連動時の換気設定に基づく換気動作に関する制御情報を特定する。なお、単独時の換気設定に基づく換気動作に関する制御情報には、熱交換形換気装置2bと連動しない換気動作を行う非連動情報も含まれている。処理部20dは、特定した制御情報を出力部20eに出力する。
出力部20eは、処理部20dからの制御情報を受け付ける。出力部20eは、熱交換形換気装置2b(熱交換形換気装置2bの制御部20)と、排気送風部24と、給気送風部25と電気的に接続される。そして、出力部20eは、受け付けた制御情報に基づいて、単独時の換気動作あるいは熱交換形換気装置2bとの連動時の換気動作を制御する信号(制御信号)を出力する。具体的には、第一フロア5aと第二フロア5bとの間の温度差及び湿度差が所定の基準値を超えていない場合には、単独時の換気動作を制御する信号を出力する。一方、第一フロア5aと第二フロア5bとの間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が所定の基準値を超えている場合には、熱交換形換気装置2bとの連動時の換気動作を制御する信号を出力する。
排気送風部24および給気送風部25は、出力部20eからの信号をそれぞれ受け付け、受け付けた信号に基づいてそれぞれの制御を実行する。
また、熱交換形換気装置2bは、出力部20eからの信号を受け付け、熱交換形換気装置2bの制御部20は、受け付けた信号に基づいて熱交換形換気装置2bの排気送風部24および給気送風部25の制御を実行する。具体的には、第一フロア5aと第二フロア5bとの間の温度差及び湿度差が所定の基準値を超えていない場合には、熱交換形換気装置2bは、熱交換形換気装置2bの各センサ(室内側給気温度センサ21、室内側排気温度センサ22、室内側排気湿度センサ23)からの室内外の温度及び湿度に関する情報に基づいて、熱交換形換気装置2bの排気送風部24および給気送風部25の制御を実行する。一方、第一フロア5aと第二フロア5bとの間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が所定の基準値を超えている場合には、熱交換形換気装置2bは、熱交換形換気装置2aから受け付けた信号に基づいて、熱交換形換気装置2bの排気送風部24および給気送風部25の制御を実行する。
以上のようにして、制御部20は、単独時における換気動作の制御および熱交換形換気装置2bとの連動時の換気動作の制御をそれぞれ実行させる。
次に、熱交換形換気装置2の各換気動作(単独時、連動時)について説明する。
単独時における換気動作の場合、熱交換形換気装置2のそれぞれ(熱交換形換気装置2a、熱交換形換気装置2b)は、排気送風部24による排気風量(排気量)と給気送風部25による給気風量(給気量)とを同じ割合に制御している。つまり、換気動作時の排気風量がX[m3/h]の場合には、給気風量はX[m3/h]に設定される。そして、熱交換形換気装置2は、各フロアの室内の空気の温度及び湿度(排気流3の温度及び湿度)を反映した換気制御を行う。
一方、連動時の換気動作の場合、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの一方の装置は、排気送風部24による排気風量に対する給気送風部25による給気風量の割合の増加に対応させて、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの他方の装置は、給気送風部25による給気風量に対する排気送風部24による排気風量の割合を増加させる制御を行っている。これにより、熱交換形換気装置2a(または熱交換形換気装置2b)の排気量に対する給気量の割合を増加させることにより第一フロア5a(または第二フロア5b)が加圧状態となるとともに、熱交換形換気装置2b(または熱交換形換気装置2a)の給気量に対する排気量の割合を増加させることにより第二フロア5b(または第一フロア5a)が減圧状態となる。加圧状態の第一フロア5a(または第二フロア5b)から減圧状態の第二フロア5b(または第一フロア5a)への空気の流れを生じさせることができる。そして、熱交換形換気装置2b(または熱交換形換気装置2a)は、流れ込んできた空気を含む室内の空気の温度及び湿度(排気流3の温度及び湿度)を反映した換気制御を行う。
ここで、排気送風部24による排気風量に対する給気送風部25による給気風量の割合を増加させるには、a)給気風量をX+a[m3/h]に増加させる、b)排気風量をX-a[m3/h]に減少させる、c)給気風量の増加と排気風量の減少とを組み合わせる、等の方法がある。一方、給気送風部25による給気風量に対する排気送風部24による排気風量の割合を増加させるには、a)排気風量をX+a[m3/h]に増加させる、b)給気風量をX-a[m3/h]に減少させる、c)排気風量の増加と給気風量の減少とを組み合わせる、等の方法がある。
本実施の形態に係る換気システム1では、例えば、熱交換形換気装置2bの給気風量をX+a[m3/h]とし、熱交換形換気装置2aの給気風量をX-a[m3/h]に設定している。給気風量の増減を同じa[m3/h]とすることで、住宅建物の全給気量は増減前後で一定としている。また、熱交換形換気装置2aの排気風量と熱交換形換気装置2bの排気風量は、X[m3/h]のままである。これにより、熱交換形換気装置2bの排気風量に対する給気風量の割合を増加させるとともに、熱交換形換気装置2aの給気風量に対する排気風量の割合を増加させている。この結果、住宅建物の全換気量(熱交換形換気装置2aの換気量と熱交換形換気装置2bの換気量の合計)を一定とした状態で、第二フロア5bから第一フロア5aへの空気の流れを生じさせることができる。なお、熱交換形換気装置2bの給気風量をX+a[m3/h]とし、熱交換形換気装置2aの排気風量をX+a[m3/h]に設定する場合には、第二フロア5bから第一フロア5aへの空気の流れをさらに強く生じさせることができる。また、熱交換形換気装置2aの給気風量をX+a[m3/h]とし、熱交換形換気装置2bの給気風量をX-a[m3/h]に設定する場合には、第一フロア5aから第二フロア5bへの空気の流れを生じさせることができる。
次に、図5を参照して、換気システム1における熱交換形換気装置2の換気動作についてさらに詳細に説明する。図5は、熱交換形換気装置における換気動作手順を示すフローチャートである。
熱交換形換気装置2aの制御部20は、操作部26からの運転開始に関する制御信号が入力されると、図5に示すように、まず、制御部20は、熱交換形換気装置2aの排気送風部24および給気送風部25を単独設定で作動させ、第一フロア5aの換気を開始させる(ステップS01)。なお、熱交換形換気装置2bも単独設定で作動し、第二フロア5bの換気を実行している。そして、制御部20は、各センサからの第二情報(室外の空気の温度)および第三情報(室内の空気の温度及び湿度)と、熱交換形換気装置2bの各センサからの第四情報(第二フロア5bにおける室外の空気の温度、室内の空気の温度及び湿度)とに基づいて、フロア間(第一フロア5aと第二フロア5bとの間)の温度及び湿度の差が基準値を超えているか否かを判断する(ステップS02)。その結果、フロア間の温度及び湿度の差が基準値を超えていない場合(ステップS02のNo)には、制御部20は、引き続き、熱交換形換気装置2の運転停止に関する制御信号が入力されているか否かを判断する(ステップS03)その結果、換気動作の運転停止に関する制御信号が入力されていない場合(ステップS03のNo)には、制御部20は、熱交換形換気装置2aの排気送風部24および給気送風部25を単独設定で作動させる状態を継続させ、ステップS02に戻る。一方、換気動作の運転停止に関する制御信号が入力された場合(ステップS03のYes)には、制御部20は、熱交換形換気装置2aの排気送風部24および給気送風部25を停止させる(ステップS04)。そして、制御部20は、熱交換形換気装置2aの換気運転を終了させる。これにより、熱交換形換気装置2aは、操作部26からの運転開始指示待ちの状態となる。なお、熱交換形換気装置2bも同様の状態となる。
一方、フロア間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が基準値を超えた場合(ステップS02のYes)には、温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が基準値を超えた状態が所定時間継続したか否かの判定を行う(ステップS05)。具体的には、温度及び湿度の差を繰り返し検出し、ステップS02において最初に基準値を超えた時点を開始時間として計時される時間が所定時間(第一時間T)を経過したか否かで判定する。その結果、第一時間Tが経過していない場合(ステップS05のNo)には、制御部20は、引き続き、フロア間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が基準値を超えているか否かの判断を継続する(ステップS02に戻る)。一方、第一時間Tが経過した場合(ステップS05のYes)には、制御部20は、熱交換形換気装置2aの排気送風部24および給気送風部25を連動設定で作動させ、第一フロア5aの連動換気を開始させるとともに、熱交換形換気装置2bの排気送風部24および給気送風部25を連動設定で作動させ、第二フロア5bの連動換気を開始させる。
そして、連動換気の動作中に、制御部20は、熱交換形換気装置2の運転停止に関する制御信号が入力されているか否かを判断する(ステップS07)。その結果、換気動作の運転停止に関する制御信号が入力されていない場合(ステップS07のNo)には、制御部20は、熱交換形換気装置2(熱交換形換気装置2a、熱交換形換気装置2b)の排気送風部24および給気送風部25を連動設定で作動させた状態を継続させ、ステップS02に戻る。一方、換気動作の運転停止に関する制御信号が入力された場合(ステップS07のYes)には、制御部20は、熱交換形換気装置2aの排気送風部24および給気送風部25を停止させる(ステップS08)。そして、制御部20は、熱交換形換気装置2aの換気運転を終了させる。これにより、熱交換形換気装置2aは、操作部26からの運転開始指示待ちの状態となる。なお、熱交換形換気装置2bも同様の状態となる。
以上のようにして、換気システム1では、複数の熱交換形換気装置の単独時における換気動作の制御と、複数の熱交換形換気装置の連動時の換気動作の制御が実行される。
以上、本実施の形態1に係る換気システム1によれば、以下の効果を享受することができる。
(1)本実施の形態に係る換気システム1では、フロア間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が基準値を超えた場合に、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの一方の装置は、排気送風部24による排気風量に対する給気送風部25による給気風量の割合を増加させるとともに、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの他方の装置は、給気送風部25による給気風量に対する排気送風部24による排気風量の割合を増加させている。これにより、熱交換形換気装置2a(または熱交換形換気装置2b)の排気量に対する給気量の割合を増加させることにより第一フロア5a(または第二フロア5b)が加圧状態となるとともに、熱交換形換気装置2b(または熱交換形換気装置2a)の給気量に対する排気量の割合を増加させることにより第二フロア5b(または第一フロア5a)が減圧状態となる。加圧状態の第一フロア5a(または第二フロア5b)から減圧状態の第二フロア5b(または第一フロア5a)への空気の流れを生じさせることができる。そして、熱交換形換気装置2b(または熱交換形換気装置2a)は、流れ込んできた空気を含む室内の空気の温度及び湿度(排気流3の温度及び湿度)を反映した換気制御を行うことになる。つまり、住宅建物の各フロアに設置された熱交換形換気装置2を用いて、フロア間の温度及び湿度の差を低減することが可能な換気システム1とすることができる。
(2)本実施の形態に係る換気システム1では、制御部20は、フロア間の温度及び湿度の差が基準値を超えた場合に、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの一方の装置は、排気送風部24による排気風量に対する給気送風部25による給気風量の割合の増加に対応させて、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの他方の装置は、給気送風部25による給気風量に対する排気送風部24による排気風量の割合を増加させる制御を行っている。これにより、熱交換形換気装置2aの換気量と熱交換形換気装置2bの換気量とを合わせた全換気量を一定とした状態(必要換気量を確保した状態)で、フロア間の温度及び湿度の差を低減することができる。
(3)本実施の形態に係る換気システム1では、制御部20は、フロア間の温度及び湿度の差が基準値を超えていない場合に、熱交換形換気装置2aの換気運転と熱交換形換気装置2bの換気運転とを独立して制御している。これにより、各熱交換形換気装置によってフロアごとの換気を効率よく行うことができる。
(4)本実施の形態に係る換気システム1では、制御部20は、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの一方の装置に設けられ、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの他方の装置の換気運転は、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bの一方の装置からの制御信号に基づいて制御される構成とすることが好ましい。より詳細には、制御部20は、熱交換形換気装置2aに設けられ、熱交換形換気装置2bの換気運転は、熱交換形換気装置2aからの制御信号に基づいて制御する構成とした。これにより、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bとの間の連動制御を簡易な構成で行うことができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る換気システム1aについて図6を参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態2に係る換気システムを備える住宅の模式図である。
本発明の実施の形態2に係る換気システム1aは、第一フロア5aと第二フロア5bとを連通する空間の天井に対して天井扇27が設置されている点で実施の形態1と異なる。これ以外の換気システム1aの構成は、実施の形態1に係る換気システム1と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
図6に示すように、本発明の実施の形態2に係る換気システム1aは、第一フロア5aを喚起する熱交換形換気装置2aと、第二フロア5bを換気する熱交換形換気装置2bと、第一フロア5aと第二フロア5bとを連通する空間の天井において送風を行う天井扇27とを有している。そして、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bとは、実施の形態1と同じく、フロア間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が基準値を超えた場合に、連動動作によって換気を行うように構成されている。
天井扇27には、一般的なシーリングファンなどの送風機が採用される。天井扇27は、第一フロア5aと第二フロア5bとを連通する空間(吹き抜け空間)の天井面に設置される。そして、天井扇27は、天井面側から床面側に向かって気流を吹き降ろす第一送風モードと、床面側から天井面側に気流を吹き上げる第二送風モードとを切り替え可能に構成されている。なお、天井扇27は、熱交換形換気装置2と制御信号線8aによって接続され、熱交換形換気装置2の換気動作に連動した送風制御が可能となっている。
次に、換気システム1aにおける連動時の換気動作について説明する。
換気システム1では、熱交換形換気装置2aの制御部20は、フロア間の温度差及び湿度差のうちいずれか一方が基準値を超えた場合に、熱交換形換気装置2bの排気風量に対する給気風量の割合を増加させるとともに、熱交換形換気装置2aの給気風量に対する排気風量の割合を増加させることにより、第二フロア5bから第一フロア5aへの空気の流れを生じさせていた。これに対して、換気システム1aでは、制御部20は、こうした熱交換形換気装置2の連動換気にさらに連動させて、天井扇27を第一送風モードにて送風するように制御している。
なお、制御部20は、第一フロア5aから第二フロア5bへの空気の流れを生じさせている場合には、天井扇27を第二送風モードに切り替えて送風するように制御する。
以上、本実施の形態2に係る換気システム1aによれば、以下の効果を享受することができる。
(5)本実施の形態2に係る換気システム1aでは、第一フロア5aと第二フロア5bとを連通する空間の天井に設けられた天井扇27をさらに備え、制御部20は、フロア間の温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が基準値を超えた場合に、熱交換形換気装置2aおよび熱交換形換気装置2bの換気運転に連動させて、天井扇27の送風運転を制御するように構成にした。これにより、熱交換形換気装置2aと熱交換形換気装置2bとの間の連動制御によって生じる空気の流れに加えて、天井扇27によって第一フロア5aと第二フロア5bとの間の空気の流れをさらに生じさせることができるので、フロア間の温度及び湿度の差をさらに低減することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る換気システム1bについて図7および図8を参照して説明する。図7は、本発明の実施の形態3に係る換気システムを備える住宅の模式図であり、図8は、実施の形態3に係る制御部の構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態3に係る換気システム1bは、制御部20に温度と湿度の情報に基づき快適指標の目標値を満たす目標風速を算出する目標風速算出部20fを備えている点で実施の形態2と異なる。これ以外の換気システム1bの構成は、実施の形態2に係る換気システム1aと同様である。以下、実施の形態2で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態2と異なる点を主に説明する。
図8に示すように、熱交換形換気装置2aの制御部20は、処理部20dのなかに目標風速算出部20fを備えている。
入力部20aは室内側給気温度センサ21からの室外空気の温度に関する情報と、室内側排気温度センサ22および室内側排気湿度センサ23からの室内空気の温度と湿度に関する情報と、風速測定部としての風速センサ28からの室内風速に関する情報とを受け付ける。温度に関する情報とは摂氏温度(セルシウス温度)の値を指す。湿度に関する情報とは相対湿度の値を指す。室内風速に関する情報とは第一フロア5aおよび第二フロア5bを循環する気流速度の値を指す(以下、室内風速と称する)。
目標風速算出部20fは、入力部20aで受け付けた室内空気の温度と湿度に関する情報を基に、快適指標の目標値を満たす目標風速を算出する。本実施の形態では、快適指標として、Predicted Mean Vote(以下PMVと称する)を用いる。
PMVは、予測平均温冷感申告などと訳される。PMVは、(1)空気温度、(2)相対湿度、(3)平均放射温度、(4)気流速度、(5)活動量(人体の内部発熱量)、(6)着衣量を用いて算出される数値指標であり、次の7段階の評価数値として表される。
+3:熱い
+2:暖かい
+1:やや暖かい
0:どちらでもない、快適
-1:やや涼しい
-2:涼しい
-3:寒い
すなわち、評価数値が0に近いほど不快に感じる人の割合が少ないと予測され、符号が正であると暑いと感じると予測され、負であると寒いと感じると予測される。なお、人間が快適と感じる範囲は―0.5~+0.5とされる。本実施の形態では、PMVの目標値は0とする。
(1)空気温度、(2)相対湿度、(3)平均放射温度、(5)活動量、(6)着衣量の値が決まれば、目標とするPMVの評価数値に対応した(4)気流速度を算出することができる。
本実施の形態では、冬季、夏季、中間期などいくつかのパターンに合わせて(3)平均放射温度、(5)活動量、(6)着衣量の数値を定数として記憶部20bに予め入力しておく。そして、室内空気の温度と湿度に関する情報からPMVの目標値を満たす目標風速を算出し、その情報を受け取った出力部20eが天井扇27の運転出力を調節する。
図7に示すように風速センサ28は、天井扇27の運転により発生する室内風速を測定するために、たとえば第一フロア5aの床面や壁面に設置されている。風速センサ28は有線または無線により入力部20aに接続され、処理部20dは入力部20aで受け取った室内風速と、PMVに基づく目標風速とを比較する。そして、室内風速が目標風速より大きければ天井扇27の運転出力を小さくし、室内風速が目標風速より小さければ天井扇27の運転出力を大きくすることで、容易に目標風速を満たすように調節することが可能となる。
次に、図9を参照して、換気システム1bにおける天井扇27の動作についてさらに詳細に説明する。図9は、天井扇連動動作における動作手順を示すフローチャートである。
制御部20は、操作部26から天井扇27の運転開始の制御信号が入力されると、天井扇27を単独設定で作動を開始させる(ステップS11)。このとき、天井扇27の出力(消費電力)をW0=W1とする。
次に制御部20はフロア間の温度差及び湿度差が所定の基準値(たとえば、温度差5℃、相対湿度差10%RH)を超えていないかを判定する。温度差及び湿度差のうち少なくとも一方が所定の基準値を超えている場合には、ステップS11へ戻り天井扇27は単独設定での運転を継続する。
フロア間の温度差及び湿度差が所定の基準値を超えていない場合には、目標風速算出部20fが第一フロア5a及び第二フロア5bの温度と湿度に関する情報を基に、温度平均値と相対湿度平均値(たとえば、第一フロア5aの温度28℃、相対湿度60%RHであり、第二フロア5bの温度26℃、相対湿度56%RHであれば、温度平均値は27℃、相対湿度平均値は58%RHとなる)を導き、PMVによる快適性指標の目標値(本実施の形態では0)を満たす目標風速Vを算出する(ステップS13)。
つぎに、制御部20は天井扇27の運転が開始されてから所定時間t1(たとえば5分間)が経過したかの判定を行う。これは、第一フロア5aおよび5bを循環する天井扇27の気流が安定するのを待つことが目的である。気流が安定することで、風速センサ28は第一フロア5aおよび第二フロア5bを循環する気流風速を精度よく測定することができる。なお、天井扇27の運転出力が安定するのを待つ場合には、エージング(暖機運転)としてより長い時間(たとえば30分間)を確保してもよい。
所定時間t1を経過後、風速センサ28が室内風速を測定する。本実施の形態では、第一フロア5aの床面及び壁面の2ヶ所に風速センサ28を設けている。風速センサ28は室内風速を所定の時間間隔(たとえば、1秒間隔)で一定時間(たとえば、120秒間)測定して、その平均値を制御部20へ出力する。処理部20dは、床面及び壁面の室内風速を平均値化して風速V1を算出する(ステップS15)。
つぎに、処理部20dは目標風速Vと風速V1との差が所定値ΔV(たとえば1m/sec)を越えているかの判定を行う(ステップS16)。
所定値ΔVを越えている場合、処理部20dは目標風速Vが風速V1より大きいかを判定する(ステップS19)。
目標風速Vが風速V1よりも大きい場合、制御部20は天井扇27の出力をWn=Wn-1+bへ変更する(ステップS20)。また、目標風速Vが風速V1よりも小さい場合、制御部20は天井扇27の出力をWn=Wn-1-bへ変更する(ステップS21)。ここで、nは1以上の整数である。また、bは天井扇27の出力の増減を調整する正数である。
天井扇27の出力を変更したあと、制御部20は所定時間t2(たとえば5分間)を経過した場合、ステップS15の処理へ移動する。所定時間t2を設けた目的は、所定時間t1を設けた目的と同じである。以降、ステップS16で目標風速Vと風速V1の差が基準値を超える限り、ステップS15、S16、S19、S20(またはS21)、S22を繰り返す。ここで、初回のステップS20(またはS21)におけるnはn=1である。ステップS20(またはS21)を繰り返すたびに、n=2、3、4・・・と変更する。
ステップS16で目標風速Vと風速V1との差が基準値を超えない場合、制御部20は操作部26から天井扇27の運転停止の信号が入力されているか判定する(ステップS17)。運転停止の信号が入力されていなければ、ステップS12へ移動する。運転停止の信号が入力された場合、制御部20は天井扇27に対して運転停止を指示する(ステップS18)。
以上、本実施の形態3に係る換気システム1bによれば、以下の効果を享受することができる。
本実施の形態3に係る換気システム1bは、温度と湿度の情報に基づき快適指標PMVの目標値を満たす目標風速を算出する目標風速算出部20fを制御部20に備え、目標風速に基づき天井扇27の運転出力を制御するように構成した。これにより、フロア間の温度及び湿度の差を低減しながら、さらに快適性を向上することができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。