以下、本発明の同期信号生成回路に関する幾つかの好ましい実施の形態について、詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図4から図9に、第1の実施の形態を示す。
第1の実施の形態は、FLL回路を用いた同期信号生成回路の基本的な構成例を示している。図4は同期信号生成回路の基本的な構成例の全体を示しており、図5はDDSによる信号発生部の構成例を示しており、図6は入力信号処理部や出力信号処理部の構成例を示している。図7は波形の立ち上がり及び立ち下がりの検出例を示しており、図8は入力波形と周期の関係を示しており、図9はしきい値交差点の算出例を示している。第1の実施の形態では、従来技術に係る図1と同一又は同種の構成要素には同じ符号を付している。
図4に示す同期信号生成回路4の基本的な構成例では、入力信号処理部401、入出力信号比較部101、ループフィルタ102、信号発生部103により構成される同期信号生成回路4を示しており、FLL回路を前提として説明する。
信号発生部103は、図5に示すDDS5により構成することができる。図4や図5において、太い実線矢印は、デジタル信号(デジタル数値データを含む)であることを示す。(以下同様。)DDSクロックは1本のデジタル信号であるが、他のデジタル信号は複数本(複数ビット)のデジタル信号である。1本であっても複数本であっても、デジタル信号は同様に太い実線矢印で示す。(以下同様。)矩形波をアナログ信号として扱う場合は図中では前述のように実線矢印で表し、デジタル信号として扱う場合は図中では太い実線矢印で表す。(以下同様。)
DDS5の心臓部はアキュムレータ501であり、加算器とレジスタで構成されている。
加算器の一方の入力には、ループフィルタ102から信号の周波数を表すデジタル数値データが与えられる。(ループフィルタ102がアナログ回路の場合は、その出力をAD変換して加算器の一方の入力に与える。)加算器の他方の入力には、レジスタの出力がフィードバックされている。加算器の出力はレジスタに与えられており、レジスタはDDSクロックごとに加算器の出力値を取り込む。
信号の周波数を示す数値データがfS、アキュムレータ501中の加算器やレジスタが2進数Dビット、DDSクロックの周波数がfDのとき、アキュムレータ501の出力には式(1-1)の周波数の鋸歯状波のデータfDDSが現れる。
位相加算器502は任意構成要素であり、従来技術の信号発生部103としてDDS5を用いるときは不要であるが、本発明の実施の形態中で使用するときがある。Dビットのアキュムレータ501の出力データは、0から2D-1の値をとることができ、例えば位相0deg時に0、位相180deg時に2(D-1)、位相360degの直前で2D-1となる。
位相加算器502はこの位相をずらすために用いられるものである。例えば位相設定が90degに相当する2(D-2)であり、位相加算器502も2進数Dビットのとき、一例としてアキュムレータ501の出力位相が90deg時に、位相加算器502の出力は90deg位相が進んだ180degに相当する2(D-1)になる。即ちこの例では、アキュムレータ501の出力位相を90degずらしたデータが、位相加算器502の出力に現れる。位相加算器502を備えるときは位相加算器502の出力が位相出力、位相加算器502を備えないときはアキュムレータ501の出力が位相出力となる。
位相出力は、ルックアップテーブル503に与えられる。ルックアップテーブル503は、位相出力の鋸歯状波の数値データを任意の波形データに変換するものであり、デジタルメモリ(ROMやRAM)で構成される。図5では、鋸歯状波状のデータをデジタルメモリのアドレスに与え、正弦波の波形データをルックアップテーブル503から出力する例を示している。
ルックアップテーブル503の出力はDA変換器504のデジタル入力に接続されると共に、波形データ出力となる。図5では波形データレジスタ付きのDA変換器504を例示しており、DDSクロックごとに波形データをDA変換している。DA変換器504の出力には階段波のような波形が現れるが、この波形をローパスフィルタ505によってなめらかな波形(例えば正弦波)として、アナログ信号の出力信号とする。デジタルの数値データを出力信号とするときは、波形データ出力を出力信号とし、アナログ信号の出力信号が不要のときはDA変換器504やローパスフィルタ505は不要である。もしくは、位相出力のデジタルの数値データを出力信号とすることもでき、アナログ信号の出力信号が不要のときはさらにルックアップテーブル503も不要である。
図6は、入力信号処理部401の構成例であり、AD変換部601と信号処理部6で構成されており、信号処理部6は、しきい値交差点検出部602、カウンタ部603、周期算出部604で構成されている。
本発明における同期信号生成回路4への入力信号がアナログ信号の場合は、振幅が、図6のAD変換部601の入力可能範囲内にある周期信号である。同期信号生成回路4への入力信号が図6中において太い実線矢印で示されているデジタル信号の場合は、一例としてAD変換部601のデジタル出力、DDS5の位相出力や波形データ出力のような、周期信号に対応するデジタル数値データであり、AD変換部601は不要である。
通常、入力信号は、アナログ信号又はデジタル信号のいずれかであるが、必要に応じてアナログ信号とデジタル信号を切り替えることができるように構成してもよい。ここでいう周期信号は、周期や周波数が常に一定の信号ではなくてもよく、過渡的に変動することがあってもよく、ある時間範囲で周期や周波数がほぼ一定に落ち着いている部分があらわれるような、広い意味での周期信号である。
入力信号処理部401への入力信号がアナログ信号の場合は、まずAD変換部601に入力され、入力信号に応じたデジタルの数値データ出力が、しきい値交差点検出部602に与えられる。入力信号がデジタル信号の場合は、入力信号に応じたデジタルの数値データ出力がそのまま、しきい値交差点検出部602に与えられる。しきい値交差点検出部602は、入力信号がしきい値を交差した時刻を検出し、その時刻情報が数値データとして周期算出部604に与えられる。
カウンタ部603は、しきい値を交差した時間間隔をクロック周期単位で毎回計数しており、その時間間隔情報が数値データとして周期算出部604に与えられる。周期算出部604は、しきい値を交差した時刻情報と時間間隔情報に基づいて、入力信号の周期を算出し、周期又は周期を周波数に換算した数値データを、入出力信号比較部101に出力している。
AD変換部601は、周期TSのクロック信号CLにより動作している。しきい値交差点検出部602、カウンタ部603や周期算出部604は、同じクロック信号CLを用いてもよいし、必要があれば異なるクロック信号で動作してもよい。しきい値交差点検出部602や周期算出部604における1回の処理や演算に複数のクロックを要するときは、一例として、クロック信号CLの整数倍周波数のクロック信号で動作させてもよい。なお以下の説明は、カウンタ部603がAD変換部601と同じクロック信号CLで動作しているときの例を示している。
アナログ信号の入力信号が入力信号処理部401に入力されると、まずAD変換部601によって、AD変換のサンプリング周期TSごとに、サンプリング時点での入力信号の振幅が数値データに変換される。AD変換を行う回路は、一例として、市販のAD変換用ICを用いることで容易に構成可能である。入力信号がデジタル数値データのときは、サンプリング周期TSごとの数値データを使用する。
図7を参照する。ある時点の数値データをVD(1)とする。
しきい値交差点検出部602は、サンプリング周期TSと同期して、数値データVD(1)と、しきい値交差点検出部602に設定されているしきい値VTHとの大小関係を比較する。この判定結果をJ(1)として、例えばVD(1)≧VTHならばJ(1)=1、VD(1)<VTHならばJ(1)=0、のように判定を行う。ここで0と1を大小関係のどちらに割り振るか、及び数値データVD(1)とVTHが等しい場合に大小関係の判定のどちらに割り振るかは、あらかじめ決めておきさえすれば、いずれでもよい。
入力信号の次のサンプリングが行われる際、VD(2)に前のサンプリングで取得したVD(1)の値を、J(2)にJ(1)の値をそれぞれ上書きし、新たにサンプリングされた数値データをVD(1)に、また、しきい値VTHとの大小関係を比較して得られた新たな比較結果をJ(1)に更新する。(図7は、このときの状態を示している。)
これらの一連の動作を、サンプリングごとに繰り返す。
判定結果J(1)、J(2)を用いて、2点のサンプリング間で、しきい値交差点検出部602への入力信号が、しきい値VTHを交差したかどうか、またその交差の向きが信号の立ち上がり方向か立ち下がり方向かの検出を行う。
図7において、信号の交差の状態と、判定結果J(1)、J(2)との関係が、式(1-2)、(1-3)、(1-4)、(1-5)のような関係であることを用いれば、例えばJ(1)とJ(2)の排他的論理和をとることにより、しきい値VTHに対して入力信号が交差したことを検出でき、検出時の交差の向きは、J(1)又はJ(2)いずれかの値を用いることにより判定できる。
図8は、(A)正弦波、(B)三角波、(C)台形波や(D)矩形波の入力波形を例示している。
横方向の実線は基準電位の例であり、正弦波、三角波と台形波は、正負対称の波形を例示している。一方、矩形波は、ロジック信号のように、ハイレベルと、基準電位に近いローレベルとが切り替わる波形を例示している。
横方向の破線はしきい値の例であり、周期信号の周期TPは、例えば、立ち上がる方向にあるしきい値を交差してから、次に立ち上がる方向に同じしきい値を交差するまでの時間として測定可能である。図8中のTPで示されている時間は、それぞれの周期信号における1周期の時間となる部分を表している。立ち下がり方向同士でも同様である。
以下では原則として、立ち上がりから次の立ち上がり、又は立ち下がりから次の立ち下がりを測定する場合について説明するが、必要があれば、立ち上がる方向にしきい値を交差してから立ち下がる方向にしきい値を交差するまでの時間と、その次に立ち上がる方向にしきい値を交差するまでの時間のいずれか、あるいは両方を検出することも、可能である。
入力信号波形のレベルが変化する場合であっても、正負対称波形であることが保たれるのであれば、しきい値は基準電位と同じ電位を選択することが一般的であるが、これに限定するものではない。
一方、図8(D)の矩形波の例のように、ローレベルは基準電位に近くほとんど変化しないが、ハイレベルが変化するような場合は、最小のハイレベルとほぼ一定のローレベルの間の適切な電位を、しきい値として選択する。もしくは、交流結合によって直流成分を除去し、基準電位やその付近の電位をしきい値としてもよい。
図9は、しきい値交差点の時刻や、信号の周期を知る原理を示している。
図6に示すカウンタ部603は、立ち上がり方向の交差から立ち上がり方向の交差まで、又は立ち下がり方向の交差から立ち下がり方向の交差までの時間を計測するカウンタである。(前述のように、立ち上がり方向の交差から立ち下がり方向の交差までや、立ち下がり方向の交差から立ち上がり方向の交差までの時間を計測してもよいが、ここでは同方向の交差について説明している。)
クロック信号CLに同期して、しきい値VTHの交差を検出してから、次の同方向の交差を検出するまでのサンプリング点数をカウントする。交差検出を開始点として、0から次の同方向交差検出までのカウント数をNSとすると、図9に示すように、交差検出から次の同方向交差検出までの時間TPXは、式(1-6)で与えられる。
このようにして得られた、周期信号の周期の仮の測定値TPXは、その測定方法や式(1-6)からわかるように、サンプリング周期TSの正の整数倍である。
さらに、サンプリング周期未満の時間分解能を得るため、以下のように補正数値データを生成する部分が、周期算出部604である。
入力信号がしきい値VTHを立ち上がり方向に交差したとき、数値データVD(1)、VD(2)は、一方がしきい値VTHより小さく、もう一方はしきい値VTHより大きい。(ただし、しきい値VTHと等しい場合は、あらかじめどちらかに割り当てるように取り決めておく。)
この2つの数値データVD(1)、VD(2)に基づいて、入力信号がしきい値VTHに交差した時刻から交差直後のサンプリングの時刻までの時間差を、2つの数値データVD(1)、VD(2)とサンプリング周期TSを用いて、式(1-7)にて、補正数値データΔTP(1)として求める。
なお、信号発生部103としてDDS5を用いる場合、周波数を設定する数値データの値はVD(1)-VD(2)に等しい。このため、VD(1)とVD(2)のいずれか一方と周波数を設定する数値データに基づいて、ΔTP(1)を求めることも可能である。
次に同方向の交差が検出されたときには、ΔTP(1)の値をΔTP(2)に上書きし、新たに式(1-7)により得られた補正数値データをΔTP(1)とする。
これら一連の動作を繰り返す。
そして、これら2つの補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)、及び周期信号のカウンタ部603による測定値TPXの関係は、図9で示したとおりであるから、入力信号の周期TPは、式(1-8)により得ることができる。
このようにして得られた入力信号の周期TPは、周期算出部604から入出力信号比較部101の入力に与えられる。
ここで入力信号の立ち上がり時間や立ち下がり時間は、しきい値が正負のピーク電圧の中央(平均値)の場合、AD変換を行う周期TSの2倍以上であることが必要である。しきい値が正負のピーク電圧の中央でない場合は、入力信号の立ち上がり時間や立ち下がり時間はさらに大きい必要がある。以下、しきい値が正負のピーク電圧の中央の場合について説明する。再び図8を参照する。
図8(A)の正弦波や図8(B)の三角波では、立ち上がり時間や立ち下がり時間(0-100%)は入力信号の周期TPの半分なので、入力信号の周期TPはAD変換を行う周期TSの4倍以上であることが必要である。図8(C)の台形波では上記の通り、入力信号の立ち上がり時間や立ち下がり時間がAD変換を行う周期TSの2倍以上であることが必要である。即ち第1の実施の形態では、入力信号の周期TPの下限には制約がある。
なお正弦波の場合は、図8(A)のように、時間と瞬時電圧が直線的な関係ではない。この場合は、正弦波の正負のピーク電圧を別途知って、VD(1)とVD(2)に対して逆正弦関数で補正を行うことによって、点線で示す三角波のように時間に対して直線的な関係を知ることもできる。より正確なΔTP(1)やΔTP(2)を算出するためには、こうして得た直線的な関係に基づいて算出することが好ましい。
また、正弦波のように時間と瞬時電圧が直線的な関係ではない場合は、しきい値交差点の前後の各々1点以上、合計3点以上のVDを用いて、曲線補間(一例としてスプライン補間)を行い、より正確なΔTP(1)やΔTP(2)を算出することもできる。
図8(D)の方形波において、入力信号の立ち上がり時間や立ち下がり時間がAD変換を行う周期TSの2倍未満の場合は、AD変換を行う周期TSの分解能よりも詳細に入力信号の周期TPを得る前述の方法は適用できず、基本的にはAD変換を行うサンプリング周期TSの分解能に制約される。
一方、入力信号の周期TPは、長くなればなるほどVD(1)とVD(2)の差が小さくなる。また入力信号の振幅が小さくなればなるほどVD(1)とVD(2)の差が小さくなる。VD(1)とVD(2)の差が小さくなるとAD変換結果の数値データ分解能が劣化するので、ΔTP(1)やΔTP(2)の分解能もまた劣化する。すなわち入力信号の周期TPは必要な分解能が得られる程度に短く、入力信号の振幅は必要な分解能が得られる程度以上に大きい必要がある。入力信号の瞬時電圧はAD変換部601の入力電圧範囲を超えてはいけないので、これも考慮する必要がある。即ち第1の実施の形態では、入力信号の周期TPの上限にも制約がある。
第1の実施の形態では、入力信号の周期TPには下限も上限も制約があるので、この間の周期範囲(周波数範囲)で適用可能である。
再び図4を参照する。入出力信号比較部101の一方の入力には、入力信号の周期TP又は周波数に換算した値が、数値データとして与えられる。他方の入力には、出力信号の周期又は周波数に換算した値が数値データとして与えられる。
出力信号の周期または周波数に換算した値は、図6に示す出力信号処理部402によって得ることができる。出力信号処理部402の構成や動作は入力信号処理部401と同様である。しかし、出力信号処理部402と入力信号処理部401は完全に同一の構成である必要はなく、異なる変形等を用いることが可能である。また、入力信号処理部401と出力信号処理部402では、サンプリング周期TSの異なるサンプリングクロックを用いることも可能である。
信号発生部103としてDDS5を用いるときは、DDS5の位相出力又は波形データ出力を出力信号処理部402の入力(信号処理部6の入力=しきい値交差点検出部602の入力)に与えられる。DDS5のアナログの出力信号を、出力信号処理部402の入力(AD変換部601の入力)に与えることもできる。
さらに信号発生部103としてDDS5を用いるときは、DDS5への周波数設定値を数値データとしてそのまま、入出力信号比較部101の他方の入力に与えることも可能であり、この場合は出力信号処理部402が不要となる。(後述の第9の実施の形態を参照。)またこの場合は、入出力信号比較部101も信号発生部103もデジタル回路で構成されるので、ループフィルタ102もデジタルフィルタとすることが好ましいが、これに限定するものではない。
信号発生部103としてDDS5を用いる場合は、入力信号周波数と出力信号周波数の差が一定以上であることを検出したときには、特許文献1のように、特性が異なる複数の入出力信号比較部101の中から、周波数差の大小によって精度の高い方の入出力信号比較部101を選択できるように内部接続を切り替えたり、特許文献2のようにループフィルタ102の時定数を短くしたりした上で、DDS5に対して入力信号と同じ周波数を設定することもできる。このような方法によれば、より高速に入力信号の周波数変化に追従することが可能となる。
一方、信号発生部103としてVCOを用いるときは、VCOの周波数制御電圧をAD変換し、必要があれば出力信号周期に換算して、これを数値データとして入出力信号比較部101の他方の入力に与えることができる。しかしVCOの周波数制御電圧と出力周波数の関係は、周囲温度の影響等による誤差が大きい場合もある。
信号発生部103としてVCOを用いるときに、より正確に出力信号の周期を得るためには、図4で括弧付きで示しているように、入力信号処理部401と同様の構成の、図6のような出力信号処理部402を用いることができる。出力信号処理部402の入力には、出力信号そのもの、もしくは出力信号に同期した信号を与える。出力信号処理部402の出力の数値データは、入出力信号比較部101の他方の入力に与えることができる。なお出力信号処理部402を使用しない場合は、直結する。
信号発生部103としてVCOを用いるとき、入出力信号比較部101の出力がデジタル数値データのときは、DA変換してアナログ回路によるループフィルタ102を用いることができる。ループフィルタ102としてデジタルフィルタを用いる場合は、ループフィルタ102の出力をDA変換してVCOの周波数制御電圧とすることもできる。
図4において、信号発生部103として図5のようなDDS5を用いる場合も、出力信号の位相をより詳細に知るために出力信号処理部402を用いることができる。この場合、DDS5の波形データ出力や位相出力の数値データを出力信号処理部402のしきい値交差点検出部602に直接入力することによって、出力信号処理部402のAD変換部601を省略することが可能である。
信号発生部103として図5のようなDDS5を用いる場合、位相出力を出力信号処理部402の入力に接続し、かつしきい値VTHが位相0degに相当するときは、しきい値交差点検出部602でVD(2)を求めることを省略することも可能である。
前述のように位相出力は鋸歯状波の数値データであり、位相0degに到達する直前の数値データはフルスケールに近く、位相0degを超えた直後の数値データは0に近い。位相0degを超えたことは、位相出力のMSB(最上位ビット)が反転したことによって知ることができる。
しきい値VTHは位相0deg、すなわち数値データ0なので、位相0degを超えた直後の数値データは、式(1-7)における[VD(1)-VTH]部に相当する。また、DDSクロック毎にアキュムレータ501の出力が、信号の周波数を設定する数値データfSだけ増加する。すなわち周波数の数値データfSは、式(1-7)における[VD(1)-VD(2)]部に相当する。
これらを式(1-7)に当てはめれば、式(1-7)によって補正数値データΔTP(1)を求めることができ、しきい値交差点検出部602でVD(2)を求めることを省略することができる。
信号発生部103として図5のようなDDS5を用いる場合の、さらに別の省略方法として、入力信号処理部401のAD変換部601のサンプリング周期TSよりも十分に短い周期(十分に高い周波数)のクロックをDDS5で使用して、周期算出部604を省略する構成もある。このクロックは、信号発生部103としてのDDS5と出力信号処理部402に与えられる。十分に短い周期のクロックを使用するので、式(1-6)の方法によって、十分な分解能で出力信号のしきい値交差点や周期を求めることができる。このため、式(1-8)の方法を用いることなく出力信号のしきい値交差点の詳細な時刻を得ることができるので、出力信号処理部402の周期算出部604を、省略可能である。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態では、PLL回路を用いた同期信号生成回路を示す。
以下、第1の実施の形態と同じ図4から図9に基づいて、第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明する。第1の実施の形態と共通する部分については、説明を省略する。
PLL回路とFLL回路は、前述のように、入出力信号比較部101で直接比較する物理量が異なっている。即ちFLL回路では、入出力信号比較部101において、入力信号と出力信号の周波数(又は周期)を比較している。これに対してPLL回路では、入力信号と出力信号の位相(立ち上がり時刻又は立ち下がり時刻の時間差)を比較することによって、位相が一致するように動作する。入出力信号比較部101として位相周波数比較回路とチャージポンプ回路を使用して、位相と周波数の両方を一致させることも可能である。位相周波数比較回路とチャージポンプ回路として、デジタル回路で同様の機能を実現することも可能である。
図9を参照して、入力信号処理部401では、入力信号がしきい値VTHと交差する時刻(しきい値交差点)を知ることができる。また、図4において出力信号処理部402を備えるとき、出力信号処理部402では出力信号がしきい値VTHと交差する時刻を知ることができる。
第1の実施の形態に係る入出力信号比較部101は、2つの入力の周波数(又は周期)の差を出力していた。これに対して第2の実施の形態に係る入出力信号比較部101は、2つの入力のしきい値交差点における時刻の差(すなわち位相差)を出力する。
図9を参照して、入力信号処理部401では、入力信号のしきい値交差点と次のしきい値交差点の時刻差、すなわち入力信号の周期TP(=1/周波数)を知ることもできる。また、出力信号処理部402でも同様に、出力信号の周期TP(=1/周波数)も知ることができる。この場合、入出力信号比較部101として位相周波数比較回路とチャージポンプ回路(これらに相当するデジタル回路を含む)を使用すれば、位相差と周波数差の両方を示す出力を得ることができ、位相と周波数の両方を一致させることが可能となる。
信号発生部103としてDDS5を用いる場合、入力信号と出力信号の位相や周期(周波数)の差が一定以上であることを検出したときには、特許文献1のように、特性が異なる複数の入出力信号比較部101の中から、位相や周期の差の大小によって精度の高い方の入出力信号比較部101を選択できるように内部接続を切り替えたり、特許文献2のようにループフィルタ102の時定数を短くしたりした上で、出力信号が入力信号と同じ位相や周期になるようにDDS5に位相や周期を設定することもできる。このような方法によれば、より高速に入力信号の位相変化や周期変化に追従することが可能となる。
ただし、DDS5で位相設定を変更すると、出力波形には不連続が生じるので、これによって問題が生じないような用途に適用できる。また、入力信号と出力信号の周波数に無視できない差がある場合、交差点を検出した時点とDDS5に位相設定を行う時点の時間差によって位相差が変化するときがある。このような場合は、入力信号と同じ周波数をDDS5に設定した後に再度交差点の時間差を検出し、改めてDDS5に位相設定を行う方法を採ることもできる。
〔第3の実施の形態〕
図10から図13に、第3の実施の形態を示す。
図10は、波形整形部1001と積分部1002を追加した入力信号処理部401(出力信号処理部402)を示している。図11は波形整形部1001の一例を示している。図12は積分部1002の一例を示しており、図13は積分部1002の立ち上がり時の出力の例を示している。第3の実施の形態では、第1の実施の形態に係る図5や図6と同一又は同種の構成要素には同じ符号を付している。
第3の実施の形態は、第1の実施の形態や第2の実施の形態における入力信号処理部401内の、AD変換部601の前段に波形整形部1001及び積分部1002が配置された構成である。出力信号処理部402についても同様なので、ここでは入力信号処理部401について説明する。
波形整形部1001は、入力信号を矩形波に変換する部分であり、例えば図11のように、コンパレータを使用した回路による比較部1101によって構成される。比較部1101の出力レベルを所望の出力レベルに変換するレベル変換部1102を備えてもよく、レベル変換部1102を備えない場合は比較部1101の出力が波形整形部1001の出力となる。
比較部1101は、入力される信号と基準電圧VREFとの大小関係に応じて、デジタル信号化されたハイレベルかローレベルに出力が振れ、出力には矩形波が現れる。基準電圧VREFを省略して基準電位に接続すれば、基準電位との大小関係に応じてハイレベルかローレベルの出力が得られる。
入力信号である周期信号を比較部1101に与えると、入力信号と同じ周期を持つ矩形波が出力される。
こうして矩形波化された信号のハイレベルの電圧をVHi、ローレベルの電圧をVLoとする。一例として、VHi=5〔V〕、VLo=0〔V〕のようなロジックレベルの電圧値である。
ただしこれらの値は例示であり、それぞれの論理値に対する具体的な電圧は、市販のロジックレベル変換用のICや、一例としてレベル変換部1102に示したような、オフセットと利得を持たせた増幅回路を比較部1101の出力に追加することにより、VHi及びVLOそれぞれを所望の電圧値に変換可能である。具体的な一例として、レベル変換部1102においてVV=5〔V〕、2つの抵抗素子1103、1104が同じ抵抗値RVであるとき、レベル変換部1102の入力が5〔V〕時に出力も5〔V〕、入力が0〔V〕時に出力が-5〔V〕の正負対称の電圧値に変換できる。
波形整形部1001の出力の矩形波信号は、積分部1002の入力に接続される。第3の実施の形態における積分部1002は、図12に示したような、抵抗値RCの抵抗素子1201と容量値CCの容量素子1202による時定数CC・RCの積分回路を例示している。時間応答を考えると、入力信号の立ち上がり部分を時刻0、時刻をtとして、t<0でVLo、0<=tでVHiとなるステップ信号の入力に対し、積分部1002の出力は、図13で示すような式(3-1)で表される過渡応答を示す。
第3の実施の形態では、この積分部1002を通った信号を第1の実施の形態における入力信号とした場合と、同様の動作をすることになる。なお、積分部1002を通った信号は、アナログ信号と考える。
第1の実施の形態で説明したように、正弦波、三角波など(図8(A)、図8(B)を参照)の入力信号の場合、波形整形部1001や積分部1002を備えないときは、信号周期が長ければ長いほど立ち上がり時間や立ち下がり時間も長くなる。このため、しきい値前後のAD変換結果の差が小さくなり、AD変換部601において分解能が損なわれる。例えば信号周期が2倍になると、立ち上がり時間や立ち下がり時間も2倍になるため、しきい値前後のAD変換結果の差は半分になり、AD変換結果の分解能が1ビット損なわれる。これに対して第3の実施の形態では、信号周期が長くても一定時間の立ち上がりや立ち下がりを示すので、AD変換部601の分解能を活かすことができるという効果を有する。
ただし第3の実施の形態では、信号周期がさらに長くなると、入力信号が波形整形部1001のしきい値をゆっくりと横切ることになるため、雑音等の影響によってしきい値を何回も横切って波形整形部1001の出力がバタつく可能性がある。(実際、波形整形部1001として例示したコンパレータにおいては、入力スルーレート即ち入力電圧の変化速度の下限が、仕様で制限されているものもある。)
信号周期が長いときに生じるこのような問題を避けるためには、下記のような方法がある。
方法1:波形整形部1001の入出力特性にヒステリシス特性を持たせる。
方法2:信号周期が遅いときには波形整形部1001を使用しないように入力信号の経路を切り替えて、直接AD変換部601に与えるようにする。(積分部1002は、使用しないようにしてもよいし、雑音等の抑制のために使用してもよい。)
方法3:補正数値データΔTPを用いる式(1-8)の方法ではなく、サンプリング点数をカウントする式(1-6)の方法によって入力信号の周期TPを求める。信号周期が遅いためサンプリング点数が多くなるので、式(1-6)の方法によって測定値TPXが得られれば、そこからさらに補正数値データΔTPを算出しなくても、十分な時間分解能で入力信号の周期TPを知ることができる。(方法2と併用するのも、好ましい。)
方法4:AD変換部601で出力データの移動平均を取って、しきい値交差点検出部602に出力する。(方法1では、ヒステリシス幅を超えるような雑音等の影響を受ける場合に、有効である。方法2や方法3においても、入力信号がしきい値をゆっくり横切るときに、雑音等の影響でしきい値を何回も横切ることを防止するために有効である。)
一方、入力信号が台形波や矩形波のとき(図8(C)、図8(D)を参照)、特に立ち上がり時間や立ち下がり時間がサンプリング周期TSの2倍未満のときは、補正数値データΔTPを用いる式(1-8)の方法を用いることができない。この場合でも、第3の実施の形態の波形整形部1001や積分部1002を用いれば、立ち上がり時間や立ち下がり時間をサンプリング周期TSの2倍以上に変換できる。このため、補正数値データΔTPを用いる式(1-8)の方法を用いることができ、サンプリング周期TSよりも高い時間分解能で入力信号の周期TPを知ることが可能になる。
なお入力信号が矩形波のときは、一般的に、信号周期によらず立ち上がり時間や立ち下がり時間はほぼ一定なので、信号周期が長くても入力信号が波形整形部1001のしきい値をゆっくりと横切ることはない。
積分部1002の時定数CC・RCを、サンプリング周期TSに対して、例えば10倍以上のように大きい値にとれば、しきい値を交差する前後2点のサンプリング点の間における積分回路の出力は、時間に対してほぼ直線的に変化するので、式(1-7)をそのまま適用できる。ただし、時定数を大きくするとその分、しきい値を交差する前後2点のサンプリング点間の電圧差が小さくなるため、AD変換部601の分解能を損ねたりノイズの影響を受けやすくなったりするので、適切な時定数を選択する必要がある。
入力信号の立ち上がりを示す図13を見ると、ハイレベルとローレベルの中間よりもローレベルに近い部分では比較的良好な直線性が得られ、ハイレベルに近い部分では直線性が劣っていることがわかる。従って、ハイレベルとローレベルの中間よりもローレベルに近いしきい値を用いれば、より直線性が向上するので、より小さい時定数を採用することも可能である。入力信号の立ち下がりを用いる場合は、ハイレベルとローレベルの中間よりもハイレベルに近いしきい値を用いればよい。
第3の実施の形態によれば、入力信号や出力信号の周波数(周期)によらず一定の立ち上がり/立ち下がりが得られるので、十分な分解能で交差点の時刻を知ることができる。図12では抵抗素子1201と容量素子1302による積分回路、即ち一次のCRローパスフィルタを例示しているが、より高次のCRローパスフィルタ、インダクタ素子と抵抗素子によるRLローパスフィルタ、インダクタ素子と容量素子によるLCローパスフィルタや、各種のアクティブフィルタを適用することも可能である。
積分部1002の出力が時間に対して直線的でないことを補う別の方法として、しきい値交差点の前後において各1点以上、合計3点以上のサンプリング点を用いて、曲線補間によってより正確なしきい値交差点の時刻を知る方法を用いることも可能である。
積分部1002の出力が時間に対して直線的でないことを補うためのさらに別の方法として、式(3-1)で示される非直線の過渡応答を、直線に近似変換することも可能である。これによって、時間に対して直線的な関係を知ることができ、より正確なしきい値交差点の時刻を知る方法を用いることが可能になる。例えば図13における斜めの点線は、式(3-2)で示す直線であり、式(3-1)を式(3-2)に近似変換することによって、時間に対して直線的な関係を知ることができる。
なお式(3-2)による直線は一例であり、他の直線でもよい。例えば、式(3-2)の基準電位等における接線を用いることも可能である。
〔第4の実施の形態〕
図14から図16に、第4の実施の形態を示す。
図14には積分部1002の別の例を示しており、図15と図16は図14と同様の回路である。図15は積分部1002の入力がハイレベルに変化したときの動作を示し、図16は積分部1002の入力がローレベルに変化したときの動作を示している。図17は、信号周期の長短による積分部1002の出力波形例を示している。第4の実施の形態では、第1の実施の形態に係る図6と同一又は同種の構成要素には同じ符号を付しており、第3の実施の形態に係る図10と同一又は同種の構成要素には同じ符号を付している。
入力信号処理部401や出力信号処理部402に含まれる積分部1002は、第3の実施の形態では抵抗素子1201と容量素子1202により構成される不完全積分回路であった。この場合は、積分部1002への矩形波入力の立ち上がり部分や立ち下がり部分に対して、出力信号は、式(3-1)のような指数関数で表される時間依存性を持つ応答となる。そのため、第3の実施の形態のような積分部1002の積分回路では、周期算出のための補正数値データは、直線近似では、ずれが生じる。
この点を改良したのが、第4の実施の形態であり、積分部1002を完全積分回路とすることによって、時間経過に対する電圧変化が一定の動作、すなわち直線性のよい動作をする。
完全積分回路の一例として、図14で示すような、定電流源、ダイオードブリッジと容量素子による完全積分回路の構成について説明する。
図14の積分部1002は、以下のような構成である。
・概同特性のダイオード4つを図14のように接続した、ダイオードブリッジ1403を含む。
・ダイオードブリッジ1403のアノード同士が接続されている点には、高電位側の定電流源1401が、ダイオードブリッジ1403内に電流が流れ込む方向に接続されている。
・ダイオードブリッジ1403のカソード同士が接続されている点には、低電位側の定電流源1402が、ダイオードブリッジ1403内から電流が流れ出す方向に接続されている。
・+Vはハイレベルよりも高い電圧であり、-Vはローレベルよりも低い電圧である。入力電圧がハイレベルからローレベルの間のとき、高電位側の定電流源1401も低電位側の定電流源1402も、共に正常に定電流源として動作する。
・高電位側の定電流源1401及び低電位側の定電流源1402は、同じ大きさの電流ICを流すように構成される。
積分部1002の入力電圧をVA、容量素子1404の基準電位側ではない方の端子電圧をVB、ダイオードブリッジ1403の各部に流れる電流を図14に示すようにIA1、IA2、IB1、IB2とし、容量素子1404に流れ込む電流をICCとする。
さらに、出力端子に接続される回路のインピーダンスによる時定数への影響を避ける目的で、容量素子1404と積分部1002の出力との間にバッファアンプ1405を設けてもよい。バッファアンプ1405を設けない場合は、端子電圧VBが積分部1002の出力になる。必要があれば、前述のレベル変換部1102の代わりとして、バッファアンプ1405にレベル変換機能を持たせることもできる。
図14の下の図では、入力電圧VAが正負対称の矩形波のときの、入力電圧VAと端子電圧VBを例示しているが、入力電圧VAは正負対称に限定されない。
これらを前提として、図14の構成による積分部1002の動作を説明する。
(1)VA=VLoでの定常状態での動作
まず初めに、入力電圧VAがVLo一定で、積分部1002全体が定常状態である場合を考える。このような状態では、容量CCの容量素子1404に流れる電流ICCは0であり、VBは、ここまでの情報だけでは具体的な値は未知ではあるが、ある一定の電圧で安定した状態となっている。
このとき、ダイオードブリッジ1403のVB側のノードに流れる電流の関係と、ICC=0であることから、次の式(4-1)が成り立つ。
また、高電位側の電流源1401及び低電位側の電流源1402の電流がともにICであることから、次の式(4-2)が成り立つ。
式(4-1)及び式(4-2)より、次の式(4-3)が成り立つ。
すなわち、VAを出力している信号源への電流の流入や流出はない、ということがわかる。
ダイオードブリッジ1403の4つのダイオードは、概同特性であり、IA1、IB1でともにダイオードに対して順方向電流が流れることから、ダイオードの順方向電圧も概同電圧となる。以下では、ここで使用するダイオードの順方向電圧は、順方向電流が流れていれば電流値によらず一定であると近似し、この順方向電圧をVFとして考察する。
VAの側から見た容量Ccの容量素子1404の端子電圧VBは、次の式(4-4)と表せる。
また、高電位側の定電流源1401とダイオードブリッジ1403との接続点の電圧をVD+、低電位側の定電流源1402とダイオードブリッジ1403との接続点の電圧をVD-とすれば、それぞれ以下のようになる。
これらのことから、定電流源1401、1402の電圧が変化する範囲は、入力電圧VA、VBよりもVFの分、余計に必要なので、定電流源1401、1402の動作上、ダイオードブリッジ1403に用いるダイオードは、一例としてショットキーバリアダイオードのような、順方向電圧が小さいダイオードである方が有利であることがわかる。
(2)VAがVLoからVHiに急変してから定常状態に近づくまでの動作
図15を参照して、VAがVLoからVHiに急変してから定常状態に近づくまでの動作を説明する。
波形整形部1001の出力は電圧出力なので、VAは無負荷時のVHiと等しくなる。一方、VBは、容量素子1404の端子電圧であり、電圧が変化するには電流が流れる必要があるため、急変はできない。
そのため、VAの急変直後、順方向電流IB1が流れていてダイオードの持ち電圧がVFであることにより、VD+はVB+VFから急変することができず、IA1が流れるダイオードには逆方向電圧が印加されることとなり、IA1は0となる。
一方、IA2が流れるダイオードは、VAがVHiに急変しても印加される電圧の向きが変わらず、IA2は流れ続けられるため、VD-はVAの急変に追随し、VD-=VA-VFとなる。
そして、VD-がVAの変化に追随することで、IB2が流れるダイオードは逆方向電圧がかかり、IB2には電流が流れなくなる。
このようなことが起こる中で、高電位側の電流源1401及び低電位側の電流源1402が流す電流ICは、それぞれ一定であることから、高電位側の電流源1401の電流ICはそのまま容量素子1404に流れ、低電位側の電流源1402が吸い込む電流ICは入力側から供給されることとなる。
このように、容量素子1404に一定の電流ICが流れることで、VBは、VAが急変時を時刻0とすると、式(4-7)のように表わせる。
式(4-7)より、VBは、傾きがIC/CCとなる一定の時間依存性を示すことがわかる。
(3)VA=VHiで定常状態での動作
(2)で述べた変化は、VAがVBと等しくなると、高電位側の電流源1401の電流がダイオードブリッジ1403を通って低電位側の電流源1402に流れることができるようになるため、(1)と同様、VA=VB=VHiで定常状態に落ち着く。
なお、VAがVBと等しくなる直前の、VBがVA-VF近辺から、それまで逆方向電圧が印加されてオフになっていたダイオードに対して、徐々に順方向電圧がかかり始めるため、ダイオードの動作が理想状態からずれてくる。
このずれの影響を極力避けるには、ダイオードブリッジ1403に用いるダイオードは、一例として、ショットキーバリアダイオードのような順方向電圧が小さいダイオードが、より適している。またショットキーバリアダイオードは、逆回復時間が短く高速スイッチング動作に適しているため、より高速の信号に対応できる積分部1002が得られる、という効果も有している。
(4)VAがVHiからVLoに急変してから次に定常状態に近づくまでの動作
図16を参照して、VAがVHiからVLoに急変してから定常状態に近づくまでの動作を説明する。
(2)と同様に考察することで、図16に示すように、逆方向電圧が印加されるダイオードと順方向電流が流れるダイオードが(2)のときと入れ替わり、容量素子1404の持つ電荷が、低電位側の電流源1402からICで吸い込まれる動作となり、VBの変化の傾きが-IC/CCとなることがわかる。
(5)その他
(1)から(4)の動作によって、矩形波入力に対して、入力が急変したときに時間に対して一定の電圧変化をし、入力電圧と同じ電圧で定常状態となる積分部1002を構成可能である。この結果、積分部1002の立ち上がり時間(0%から100%)や立ち下がり時間(100%から0%)をTUとすると、式(4-8)のようになる。
積分部1002が、この例に挙げたような完全積分器であれば、AD変換部601に入力される信号の傾きが一定となるため、周期測定の補正数値データを高精度に得ることが可能となる。なおこのような積分部1002の出力信号も、アナログ信号と考える。
また、この傾きがIC/CCという設計事項に基づく(設計時点で既知の)値であることから、交差検出後の数値データVD(1)があれば、VD(2)との直線補間をすることなく、VD(1)から、以下の式(4-9)で補正数値データΔTP(1)を求めることもできる。
なお、VD(1)-VTHに絶対値がついているのは、立ち上がり検出か立ち下がり検出かによる、結果に現れる符号の違いを吸収するためである。
また、逆にしきい値交差直前の数値データVD(2)から補正数値データΔTP(1)を求めることも可能であり、式(4-10)により求めることができる。
図17は、デューティ比率が50%時における、信号周期の長短による積分部1002の出力波形例を示している。入力信号の周期TPがTUの2倍より大きいときは、図17(A)のように積分部1002の出力に平坦部が発生する。ちょうど2倍のときは、図17(B)のように積分部1002の出力の平坦部がなくなる限界状態となる。2倍未満のときは、図17(C)のように積分部1002の出力振幅が小さくなってしまう。
なおデューティ比率が50%以外の場合は、入力信号の周期TPがTUの2倍よりも小さい比率で、上下いずれかの出力の平坦部がなくなったり、積分部1002の出力振幅が小さくなったりする。
一般的には図17(A)の領域で使用することが好ましいが、平坦部がなかったり出力振幅が小さくなったりすることを考慮した上で、図17(B)や図17(C)の領域を使用することもできる。図17(B)や図17(C)の領域では問題が生じうる場合には、入力信号の周期TPがTUの2倍以下(デューティ比率50%時)のときに入力信号の許容周波数範囲外と判定して、例えばLED表示等で警告表示してもよい。
サンプリング周期TSを基準とした補正数値データΔTP(1)の分解能は、数値データVD(1)やVD(2)の数値の差によって決まる。これらの関係は、補正数値データΔTP(1)の分解能をRes、AD変換部601の1LSB(最小分解能)に相当する電圧をVLSB、m=IC/CCとすると、式(4-11)のようになる。(左辺、右辺共に、1サンプリング周期の間の数値データVD(1)の変化量である。)
サンプリング周期TSと、積分部1002の出力信号の傾きは、設計時にあらかじめ決められる量であるから、しきい値交差前後の2点のうち少なくとも一方で、積分部1002の出力が定常状態に落ち着く前の傾斜がある部分でサンプリングされる必要がある。
サンプリング周期TSの間に、VLoからVHiに変化しきってしまう場合や、その逆の場合、完全積分器の傾きに基づく補正数値データの算出や、2点のデータによる直線補間による高精度な補正数値データの算出を行うことはできない。
しきい値VTHがVHiとVLoの平均電圧のとき、式(1-7)によって補正数値データΔTP(1)を得るためには、立ち上がりや立ち下がり中に2点以上サンプリングを行う、即ちサンプリング周期Tsが立ち上がり/立ち下がり時間TUの半分以下であることが必要である。
補正数値データΔTP(1)の分解能を高くするためには、サンプリング周期TsがTUの半分に近く、かつ外乱の影響等を回避するために半分より若干小さく(一例として、半分よりもさらに1割程度小さく)なるように設計することが好ましい。
サンプリング周期TsがTUの半分より大きくTU以下のとき、前述の図17(A)の領域では、しきい値交差前後の2点のうち1点は、定常状態部分をサンプリングすることになる。この場合は、積分部1002が積分動作をしている部分でサンプリングした方の数値データを選択して補正数値データを生成する仕組みを用い、式(4-9)や式(4-10)を適用することによって、補正数値データを得ることもできる。これは、第4の実施の形態において、AD変換部601に入力される信号の傾きが一定のためである。
第4の実施の形態によれば、入力信号や出力信号の周波数(周期)によらず一定の立ち上がり/立ち下がりが得られるので、十分な分解能で交差点の時刻を知ることができる。
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態では、前述の第3の実施の形態や第4の実施の形態において、信号発生部103としてDDS5を用いた同期信号生成回路4の例を示す。この場合、DDS5のアナログ信号による出力信号を出力信号処理部402のAD変換部601にフィードバックすることで、第3の実施の形態や第4の実施の形態と同様に、入力信号や出力信号の周波数(周期)によらず一定の立ち上がり/立ち下がりが得られ、十分な分解能で交差点の時刻を知ることができる。
しかし、出力信号処理部402からAD変換部601を省略し、DDS5の波形データ出力をフィードバックする場合、出力信号の周波数が低いとき(周期が長いとき)にはしきい値前後の波形データの差が小さくなるため、十分な分解能で交差点の時刻を知ることができない。
出力信号処理部402からAD変換部601を省略しながら、十分な分解能で交差点の時刻を知るためには、DDS5のアキュムレータ501と位相加算器502を十分な長さのビット長として、十分な高分解能の位相出力をフィードバックする方法を採ることができる。
図5において、DA変換器504のビット長は、せいぜい24ビットまでが一般的である。一例として、より一般的な16ビットのDA変換器504を用いる場合、ルックアップテーブル503の出力データも同じ16ビットにするのが効率的である。この場合、ルックアップテーブル503を構成するメモリのワード長は、一例として218ワード(256キロワード)程度に選択するのが好ましく、位相加算器502のビット長も18ビットで足りる。
しかしアキュムレータ501と位相加算器502をより大きなビット長の構成(一例として64ビット)にして、MSB側から必要なビット長だけをルックアップテーブル503に与えることもできる。大きなビット長のアキュムレータ501と位相加算器502を用いれば、位相出力の分解能が大きくなるため、その分、出力信号の周波数が低い場合にも十分な分解能で交差点の時刻を知ることができるようになる。
ルックアップテーブル503として大容量のメモリを用いたり、高分解能のDA変換器504を用いたりすると、大きなコストアップになる。これに対してアキュムレータ501や位相加算器502のビット長を大きくすることは、比較的小さなコストアップに留めることができる。なお前述のように、位相加算器502は任意構成要素であり、位相加算器502を省略してコストダウンを図ることも可能である。
なお、DDS5の位相出力データは一例として、出力信号の位相が0degのときは最小値のゼロ、180degのときにフルスケールの半分、360degの直前ではほぼフルスケールの値を取る。この場合、一例としてしきい値を0degに取ると、しきい値交差点の前のデータはフルスケールに近く、後のデータはゼロを少し超えた値になり、時間に対するデータの大小が逆転する。このようなときは、例えばしきい値交差点の前のデータからフルスケール値を差し引くことによって、しきい値交差点の時刻を求めることができる。
〔第6の実施の形態〕
第6の実施の形態は、第3の実施の形態から第5の実施の形態において、波形整形部1001中に分周部を追加する例を示す。
図18は、波形整形部1001中の比較部1101の後に、分周部1801を追加した構成例を示している。さらにレベル変換部1102を備える場合は、比較部1101とレベル変換部1102の間に分周部1801を追加し、レベル変換部1102を備えない場合は分周部1801の出力がそのまま波形整形部1001の出力となる。レベル変換部1102の後に分周部1801を追加し、分周部1801の出力を波形整形部1001の出力とすることも可能である。
第6の実施の形態では、第3の実施の形態に係る図10や図11と同一又は同種の構成要素には同じ符号を付している。
入力信号処理部401に分周部1801を追加すると、従来技術における入力分周部104と同様の分周動作となる。出力信号処理部402に分周部1801を追加すると、従来技術における出力分周部105と同様の分周動作となる。
即ち、入力信号処理部401中の分周部1801がn分周動作をする場合、出力信号の周波数は入力信号の1/n倍となり、出力信号処理部402中の分周部1801がm分周動作をする場合、出力信号の周波数は入力信号のm倍となる。入力信号処理部401と出力信号処理部402の両方に分周部1801を追加すると、出力信号の周波数はm/n倍(周期は入力信号のn/m倍)になる。(n及びmは、正の整数である。)
また、分周部1801を追加する場合は、積分部1002に与えられる矩形波の周期が分周比倍だけ長くなる。
例えば、比較部1101において出力される矩形波が一般的なロジックレベルになるように構成すれば、分周部1801は一般的なロジック回路を用いることができる。代表的な一例として、2分周はTフリップフロップ(Dフリップフロップの反転出力をD入力に接続しても同様)を用いることができ、2N分周はTフリップフロップをN個縦続接続すれば得られる。正の整数の任意の分周比を持つロジック回路、より細かい分周比が得られるフラクショナル分周器や、これらにおいて分周比を任意に選択可能な回路を用いることもできるが、いずれも当業者にとっては慣用されている回路なので、これ以上の説明を省略する。
分周部1801の回路の種類によっては、入力のデューティ比率が50%でなくても、分周部1801の出力デューティ比率が50%になる回路を選択可能であり、図17において平坦部を確保しやすくなるので、より望ましい結果が得られる。この一例として、2分周回路や2N分周回路に加えて、正の整数の分周比を任意に選択可能な回路の出力側に2分周回路を追加すれば、出力のデューティ比率を50%にすることができる。
第3の実施の形態から第5の実施の形態に係る図17において、しきい値VTHがVHiとVLoの平均電圧のときは、立ち上がり交差点から次の立ち下がり交差点までの時間と、立ち下がり交差点から次の立ち上がり交差点までの時間が等しくなる。(図17のTP’とTP”を参照。)この結果、これらの時間TP’やTP”は、立ち上がり交差点から次の立ち上がり交差点までの時間TPの半分、又は立ち下がり交差点から次の立ち下がり交差点までの時間TPの半分となる。(図17のTPを参照。)
このため、分周部1801で2分周してしきい値交差点検出部602でTP’やTP”を測定した場合の周期算出部604の出力と、分周せずにしきい値交差点検出部602でTPを測定した場合の周期算出部604の出力は、等しくなる。この場合は、分周せずに図17(C)のようになる入力信号周期のときでも、分周部1801によって図17(B)や図17(A)のようにできうるという利点がある。
〔第7の実施の形態〕
第7の実施の形態は、DDS5にデジタルの乗算器を追加する方法による、分周部の例を示す。
図19は、DDS5に乗算器1901と乗算器1902の両方を追加する例を示しているが、いずれか一方の乗算器だけを備えることも可能である。
信号発生部103としてDDS5を用い、出力信号処理部402を介して第2の位相出力を入出力信号比較部101にフィードバックする場合を考える。
この場合、図19に示すように、乗算器1901や乗算器1902を追加することができる。乗算器1901はm倍のデジタル乗算器(mは正の整数)であり、乗算器1902はn倍のデジタル乗算器(nは正の整数)とする。
乗算器1901だけを備えるときを考える。位相加算器502を備えるときは位相加算器の出力が、備えないときは位相アキュムレータ501の出力が、第2の位相出力となる。第2の位相出力は、出力信号処理部402を介して入出力信号比較部101にフィードバックしている。乗算器1901の出力(図19における第1の位相出力)の周波数は、位相アキュムレータ501の周波数のm倍になる。位相アキュムレータ501は、同期信号生成回路4の入力信号の周波数と同じ周波数になるように動作している。このため、DDS5の波形データ出力や出力信号の周波数は、同期信号生成回路4の入力信号の周波数のm倍になる。これは、従来技術における出力分周部105と同様の動作である。
乗算器1902だけを備えるときは、乗算器1902の出力(図19における第2の位相出力)の周波数は、位相アキュムレータ501の周波数のn倍になる。乗算器1902の出力は、同期信号生成回路4の入力信号の周波数と同じ周波数になるように動作する。このため、DDS5の位相アキュムレータ501、波形データ出力や出力信号の周波数は、同期信号生成回路4の入力信号の周波数の1/n倍になる。これは、従来技術における入力分周部104と同様の動作である。
乗算器1901と乗算器1902の両方を備えるときは、同期信号生成回路4の出力信号周波数は入力信号周波数のm/n倍になり、これは、従来技術において入力分周部104と出力分周部105の両方を備えるときと同様である。
よって本発明では、このようなデジタル乗算器は分周部又は分周器の一種と考えるものとする。このデジタル乗算器は、入力信号処理部に含まれ入力分周部104に相当する分周部1801や、出力信号処理部に含まれ出力分周部105に相当する分周部1801と、併用可能である。
なお乗算器1901や乗算器1902の乗算定数が2Nの場合は、MSB方向にNビットシフトするだけなので、特に簡単に実現できる。
入力信号処理部に含まれる入力分周部104に相当する分周部1801を用いると、同期信号生成回路4の入力信号の周波数が下がったときと同様、同期動作が遅くなることがある。しかしDDS5に乗算器1902を付加した場合は、このような問題は生じない。
〔第8の実施の形態〕
第8の実施の形態では、前出の図9を参照して、複数のしきい値交差点を利用する分周方法を示す。
第6の実施の形態では、入力信号処理部401や出力信号処理部402の中に分周部1801を追加する例を示した。また第7の実施の形態では、DDS5にデジタルの乗算器を追加する方法による、分周部の例を示した。第8の実施の形態では、しきい値交差点検出部602やカウンタ部603によって分周を行う例を示す。
図9では、立ち上がり方向のしきい値交差点の検出時刻から、次の立ち上がり方向のしきい値交差点の検出時刻までの時間TPXを式(1-6)で求め、さらに補正数値データΔTP(1)とΔTP(2)を用いて信号の周期TPを式(1-8)で得て、入力信号処理部401や出力信号処理部402の出力としていた。
例えば、ある立ち上がり方向のしきい値交差点の検出時刻から、2つ先の立ち上がり方向のしきい値交差点の検出時刻までの時間TPXを式(1-6)で求め、補正数値データΔTP(1)とΔTP(2)を用いて信号の周期TPを式(1-8)で得るようにすれば、2周期分の周期TPが得られ、2分周したことになる。3つ先の立ち上がり方向のしきい値交差点によれば3分周、N個先のしきい値交差点によればN分周(Nは正の整数)を実現できる。
この分周数Nは、一例として、図不示の別のカウンタや、ソフトウェアによる計数でも実現することができる。
別の方法として、連続して得られた信号の周期TPのN個分の加算値を用いてN分周を実現することもできる。
この方法によってN分周を行う場合、しきい値交差点N個毎に入力信号処理部401や出力信号処理部402に信号の周期TPを出力してもよいが、しきい値交差点毎に入力信号処理部401や出力信号処理部402に信号の周期TPを出力することも可能である。連続して得られた信号の周期TPを、TP1、TP2…TPn(nは正の整数)とすると、一例として2分周(N=2)のとき、最初はTP1+TP2を、次はTP2+TP3を…のように出力することによって、しきい値交差点毎に信号の周期TPを出力できる。
立ち上がり方向のしきい値交差点から立ち下がり方向のしきい値交差点までの時間と、立ち下がり方向のしきい値交差点から立ち上がり方向のしきい値交差点までの時間が等しい場合(デューティ比率が50%の場合)を考える。この場合はさらに、立ち上がり方向のしきい値交差点の検出時刻から、次の立ち下がり方向のしきい値交差点の検出時刻までの時間TPXを式(1-6)で求め、補正数値データΔTP(1)とΔTP(2)を用いて信号の周期TPを式(1-8)で得るようにすれば、0.5周期分の周期TPが得られ、0.5分周したことになる。立ち上がり方向のしきい値交差点の検出時刻から、次の立ち上がり方向のしきい値交差点のさらに次の立ち下がり方向のしきい値交差点の検出時刻までの時間TPXを式(1-6)で求め、補正数値データΔTP(1)とΔTP(2)を用いて信号の周期TPを式(1-8)で得るようにすれば、1.5周期分の周期TPが得られ、1.5分周したことになる。即ち、立ち上がり方向のしきい値交差点と立ち下がり方向のしきい値交差点を併用すれば、元の周期TPの半分の周期を基準とした0.5周期単位の分周が可能になる。
立ち上がり方向のしきい値交差点から立ち下がり方向のしきい値交差点までの時間と、立ち下がり方向のしきい値交差点から立ち上がり方向のしきい値交差点までの時間が等しくない場合は、連続する偶数個の周期TPの平均や移動平均を取ればよい。
入力信号処理部401がn分周動作をする場合、出力信号の周波数は入力信号の周波数の1/n倍となり、出力信号処理部402がm分周動作をする場合、出力信号の周波数は入力信号の周波数のm倍となる。入力信号処理部401と出力信号処理部402で分周動作すれば、出力信号の周波数は入力信号の周波数のm/n倍になる。立ち上がり方向のしきい値交差点と立ち下がり方向のしきい値交差点を併用して0.5周期単位の分周を行う場合は、n及びmは0.5の正の整数倍である。同一方向のしきい値交差点を用いて分周を行う場合は、n及びmは正の整数である。
第6の実施の形態の分周部1801は、分周比の分、より高い周波数の信号(より短い周期の信号)に適用できるという特徴を有しているが、第8の実施の形態はこのような特徴は有しない。
一方、しきい値交差点検出部602やカウンタ部603をFPGAの内部やソフトウェアで実現する場合は、第8の実施の形態による分周動作は、第6の実施の形態の分周部1801や第7の実施の形態の乗算器1901、1902による分周部よりも低コストで実現できる可能性があるという特徴を有する。必要があれば、第6の実施の形態の分周部1801や第7の実施の形態の乗算器1901、1902による分周部と、第8の実施の形態による分周動作を併用することも可能である。
〔第9の実施の形態〕
第9の実施の形態では、出力信号処理部402を備えないFLLによる同期信号生成回路4の例を示す。図4を参照する。
従来技術に係るデジタル信号処理によるFLLの例で示したように、信号発生部103として数値データで出力信号周期や周波数を設定する場合(一例として、DDS)、その設定数値データを出力信号周期や周波数としてそのまま入出力信号比較部101にフィードバックすることができる。
本発明に係る図4でも同様に、この方法を適用することが可能である。この場合は、出力信号処理部402によって出力信号の周波数を求めることは不要であり、出力信号処理部402を省略できる。(ただし入力信号処理部401は必要であり、前述の各実施の形態と同様である。)
しかしこの方法では、出力信号のしきい値交差点の時刻情報を得ることはできないので、PLL(位相比較器、位相周波数比較器共)を構成することはできず、周波数を同期させるFLLにのみ適用可能である。
第9の実施の形態のFLLの信号発生部103では、入出力信号比較部101にフィードバックする出力信号の周波数設定(ループフィルタ102から信号発生部103に与えられる設定)と、実際の信号発生部103の出力信号周波数を異ならせることができるように構成することも可能である。
一例として、入力信号周波数が1kHzのとき、入出力信号比較部101にフィードバックする出力信号周波数のデジタル数値データも1kHzになるようにFLL動作する。この場合の一例として、入出力信号比較部101にフィードバックする出力信号の周波数設定に対して、実際にDDS5への周波数設定値を2倍にすると、出力信号の周波数は2kHzになる。この動作は一例として、第6の実施の形態や第8の実施の形態において、出力信号処理部402中で2分周を行ったときと同様である。
第6の実施の形態から第8の実施の形態による出力信号処理部402の分周は原則として整数分周だけであるが、入出力信号比較部101にフィードバックする出力信号周期設定と実際にDDS5に設定する周波数設定値の比率は簡単な整数比に限定されず、0よりも大きい比率であればよい。このため、2分周よりも小さい分周比(一例として、1.37分周や、0.12分周)に相当する比率も可能である。
この比率の分解能は、比率演算を行う部分の分解能と、信号発生部103の周期(周波数)設定分解能によって決まる。即ち、第9の実施の形態では、入力信号の変動に同期しながら、入力信号と簡単な整数比ではないような周波数の出力信号を得ることができる。
また、信号発生部103としてDDS5を用いる場合は、入力信号周期TPと出力信号周期の差が一定以上であることを検出したときには、特許文献1のように、特性が異なる複数の入出力信号比較部101の中から、周波数差の大小によって精度の高い方の入出力信号比較部101を選択できるように内部接続を切り替えたり、特許文献2のようにループフィルタ102の時定数を短くしたりした上で、DDS5に対して入力信号周期TPと同じ周期を設定することもできる。このような方法によれば、より高速に入力信号の周期変化(周波数変化)に追従することが可能となる。
〔まとめ〕
以上の各実施の形態の概要を、表1から表3にまとめる。これらの表中では、符号の記載を省略している。
表1は、同期信号生成回路4の基本的な回路構成と、入出力信号比較部101の構成や入力の対応を示している。PLLは、入出力信号比較部101が位相比較器相当と位相周波数比較器+チャージポンプ回路相当に分かれている。
表2は、入力信号の種別(アナログ/デジタル)と入力信号処理部401の構成の、対応や可能な組み合わせ等を示している。表2において、○:備えることが必要、△:備えることが可能、×:備えることができない、を示している。(表3も同様。)
入力信号がアナログ信号の場合、入力信号処理部401に波形整形部1001と積分部1002を備える構成のときは、第6の実施の形態の分周部1801を備えることが可能だが、波形整形部1001と積分部1002がない場合は、分周部1801を備えることができない。
入力信号がデジタルの数値データの場合、入力信号処理部401には、波形整形部1001、積分部1002やAD変換部601を備えることができない。
表3は、信号発生部103の制御や回路の種別(アナログ/デジタル)、入出力信号比較部101にフィードバックされる信号の内容と、出力信号処理部402の構成の、対応や可能な組み合わせ等を示している。
信号発生部103のアナログ信号を、出力信号処理部402を介して入出力信号比較部101にフィードバックをかける場合、出力信号処理部402にはAD変換部601は必須である。さらに出力信号処理部402に波形整形部1001と積分部1002を備える構成のときは、第6の実施の形態の分周部1801を備えることが可能だが、波形整形部1001と積分部1002がない場合は、分周部1801を備えることができない。
信号発生部103のデジタル信号(一例として、図5のDDSの波形データ出力や位相出力)を、出力信号処理部402を介して入出力信号比較部101にフィードバックをかける場合、出力信号処理部402には、波形整形部1001、積分部1002やAD変換部601を備えることができない。
さらに、第7の実施の形態の乗算器1901や乗算器1902を備えることができるのは、図19のDDSの第2の位相出力を、出力信号処理部402を介して入出力信号比較部101にフィードバックをかける場合だけである。(表3では、図5の位相出力と図19の第2の位相出力を総称して、位相出力と記載している。)
信号発生部103の周波数設定数値データや周期設定数値データを、直接入出力信号比較部101にフィードバックをかける場合は、出力信号処理部402は不要である。(第9の実施の形態を参照。)
本発明の第1の実施の形態では、入力信号と出力信号の周波数差を検出する入出力信号比較部101と、入出力信号比較部101からの検出信号を濾波するループフィルタ102と、ループフィルタ102からの濾波信号を受けて、入力信号に同期した周波数の出力信号を得る信号発生部103と、を備えたFLL回路を用いた同期信号生成回路4に、デジタル数値データによる入力信号を受けて、入出力信号比較部101にその入力信号の処理データを出力する入力信号処理手段としての信号処理部6を含んだ入力信号処理部401と、デジタル数値データによる信号発生部103からのフィードバック信号を受けて、入出力信号比較部101にそのフィードバック信号の処理データを出力する出力信号処理手段としての信号処理部6を含んだ出力信号処理部402と、をさらに備えている。ここでいう「デジタル数値による」入力信号やフィードバック信号とは、図6において、AD変換部601でAD変換されたデジタル信号のみならず、AD変換を必要としないデジタル信号を含む。
そして、入力信号処理手段としての信号処理部6は、入力信号の数値データが第1のしきい値VTHを交差する第1のしきい値交差点を検出し、第1のしきい値交差点の前後で第1のサンプリングクロックによりサンプリングされた入力信号の数値データVD(1)、VD(2)と、第1のしきい値VTHと、第1のサンプリングクロックによる入力信号のサンプリング周期TSから、式(1-7)で得られる補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)を用いて、第1のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第1のしきい値交差点の時刻を算出し、第1のしきい値交差点間の第1のサンプリングクロックによるサンプリング数に相当するカウント数NSと第1のサンプリングクロックのサンプリング周期TSの積である交差検出から次の交差検出までの時間TPX、及び第1のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第1のしきい値交差点の時刻から、式(1-8)を用いて入力信号における第1のしきい値交差点の時間間隔となる周期TPを算出して、この算出結果を入力信号の処理データとして入出力信号比較部102に出力する構成を有する。
また、出力信号処理手段としての信号処理部6は、フィードバック信号の数値データが第2のしきい値VTHを交差する第2のしきい値交差点を検出し、第2のしきい値交差点の前後で第2のサンプリングクロックによりサンプリングされたフィードバック信号の数値データVD(1)、VD(2)と、第2のしきい値VTHと、第2のサンプリングクロックによるフィードバック信号のサンプリング周期TSから、式(1-7)で得られる補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)を用いて、第2のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第2のしきい値交差点の時刻を算出し、第2のしきい値交差点間の第2のサンプリングクロックによるサンプリング数に相当するカウント数NSと、第2のサンプリングクロックのサンプリング周期TSの積である交差検出から次の交差検出までの時間TPX、及び第2のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第2のしきい値交差点の時刻となる補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)から、式(1-8)を用いてフィードバック信号における第2のしきい値交差点の時間間隔となる周期TPを算出して、この算出結果をフィードバック信号の処理データとして入出力信号比較部102に出力する構成を有する。ここでいう第1のサンプリングクロックと第2のサンプリングクロックは、同一周波数のクロック信号を生成する構成としてもよいし、異なる周波数のクロック信号を生成する構成としてもよい。
そのため、入力信号処理手段としての信号処理部6は、デジタル数値データによる入力信号に対して、第1のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第1のしきい値交差点の時刻を算出し、そこからさらに入力信号における第1のしきい値交差点の時間間隔となる周期TPを算出する。また出力信号処理手段としての信号処理部6は、デジタル数値データによるフィードバック信号に対して、第2のサンプリングクロックによるサンプリング周期内における第2のしきい値交差点の時刻を算出し、そこからさらにフィードバック信号における第2のしきい値交差点の時間間隔となる周期TPを算出する。これにより入出力信号比較部102は、入力信号の周期TPと、フィードバック信号の周期TPとの差を、入力信号とフィードバック信号の周波数差として、入力信号やフィードバック信号のサンプリング周期TSよりも高い時間分解能で検出できる。
したがって、デジタル数値データによる入力信号やフィードバック信号のサンプリング周期TSよりも高い時間分解能で、入力信号やフィードバック信号の周波数を得ることが可能な同期信号生成回路4を実現できる。このため、高いクロック周波数を使用する必要がなく、コストダウンできる。また、複数周期分の周期情報を平均化する処理も必要ないので、入力信号やフィードバック信号の周波数変化に速やかに追従可能な同期信号生成回路4を実現でき、デジタル信号処理におけるクロック周期による制約を超える周期精度の同期信号生成回路4を提供できる。
本発明の第2の実施の形態では、入力信号と出力信号の位相差を検出する入出力信号比較部101と、入出力信号比較部101からの検出信号を濾波するループフィルタ102と、ループフィルタ102からの濾波信号を受けて、入力信号に同期した位相の出力信号を得る信号発生部103と、を備えたPLL回路を用いた同期信号生成回路4に、デジタル数値データによる入力信号を受けて、入出力信号比較部101にその入力信号の処理データを出力する入力信号処理手段としての信号処理部6を含んだ入力信号処理部401と、デジタル数値データによる信号発生部103からのフィードバック信号を受けて、入出力信号比較部101にそのフィードバック信号の処理データを出力する出力信号処理手段としての信号処理部6を含んだ出力信号処理部402と、をさらに備えている。ここでの入出力信号比較部101は、入力信号とフィードバック信号の位相を比較する位相比較器のみならず、入力信号とフィードバック信号の位相及び周波数を比較する位相周波数比較器とチャージポンプ回路の組み合わせも含む。また、「デジタル数値による」入力信号やフィードバック信号とは、図6において、AD変換部601でAD変換されたデジタル信号のみならず、AD変換を必要としないデジタル信号を含む。
そして、入力信号処理手段としての信号処理部6は、入力信号の数値データが第1のしきい値VTHを交差する第1のしきい値交差点を検出し、第1のしきい値交差点の前後で第1のサンプリングクロックによりサンプリングされた入力信号の数値データVD(1)、VD(2)と、第1のしきい値VTHと、入力信号における第1のサンプリングクロックのサンプリング周期TSから、式(1-7)で得られる補正数値データΔTP(1)を用いて、第1のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第1のしきい値交差点の時刻を算出して、この算出結果を入力信号の処理データとして入出力信号比較部102に出力する構成を有する。
また、出力信号処理手段としての信号処理部6は、フィードバック信号の数値データが第2のしきい値VTHを交差する第2のしきい値交差点を検出し、第2のしきい値交差点の前後で第2のサンプリングクロックによりサンプリングされたフィードバック信号の数値データVD(1)、VD(2)と、第2のしきい値VTHと、フィードバック信号における第2のサンプリングクロックのサンプリング周期TSから、式(1-7)で得られる補正数値データΔTP(1)を用いて、第2のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第2のしきい値交差点の時刻を算出して、この算出結果をフィードバック信号の処理データとして入出力信号比較部102に出力する構成を有する。
そのため、入力信号処理手段としての信号処理部6は、デジタル数値データによる入力信号に対して、補正数値データΔTP(1)を用いてサンプリング期間内のしきい値交差点の時刻を算出し、また出力信号処理手段としての信号処理部6は、デジタル数値データによるフィードバック信号に対して、補正数値データΔTP(1)を用いてサンプリング周期内のしきい値交差点の時刻を算出する。これにより入出力信号比較部102は、入力信号のしきい値交差点の時刻と、フィードバック信号のしきい値交差点の時刻との差を、入力信号とフィードバック信号の位相差として、入力信号やフィードバック信号のサンプリング周期TSよりも高い時間分解能で検出できる。
したがって、デジタル数値データによる入力信号やフィードバック信号のサンプリング周期TSよりも高い時間分解能で、入力信号やフィードバック信号の位相を得ることが可能な同期信号生成回路4を実現できる。このため、高いクロック周波数を使用する必要がなく、コストダウンできる。また、複数周期分の周期情報を平均化する処理も必要ないので、入力信号やフィードバック信号の位相変化に速やかに追従可能な同期信号生成回路4を実現でき、デジタル信号処理におけるクロック周期による制約を超える周期精度の同期信号生成回路4を提供できる。
本発明の第9の実施の形態で説明したように、FLL回路を用いた同期信号生成回路4では、信号発生部103がフィードバック信号の周波数をデジタル数値データの設定値として設定する構成(例えば、DDS5)を有する場合に、この設定値を入出力信号比較部101にフィードバックして、出力信号処理部402を省略することもできる。
つまり、信号発生部103がデジタル数値データでフィードバック信号の周波数を設定する場合には、そのデジタル数値データの設定値を入出力信号比較部101に直接フィードバックすれば、出力信号処理手段でフィードバック信号の周波数を改めて算出する必要はなくなる。そのため、出力信号処理部402を省略して、同期信号生成回路4の構成を簡素化できる。
本発明の第1の実施の形態で説明したように、FLL回路を用いた同期信号生成回路4では、信号発生部103がフィードバック信号の周波数をデジタル数値データの設定値として設定する構成を有する場合に、入力信号の周波数とフィードバック信号の周波数との差が一定以上であるときに、フィードバック信号が入力信号と同じ周波数となるように、信号発生部103に周波数を直接設定する構成とすることもできる。
この場合、入力信号の周波数が変化してフィードバック信号の周波数との差が一定以上になったのを、例えば入出力信号比較部101が比較検出したら、その検出結果を受けて入力信号の周波数と同じ周波数となるように、例えばDDS5による信号発生部103が、アキュムレータ501によりフィードバック信号の周波数を設定変更するので、より高速に入力信号の周波数変化に追従することができる。
本発明の第2の実施の形態で説明したように、PLL回路を用いた同期信号生成回路4では、信号発生部103がフィードバック信号の位相をデジタル数値データの設定値として設定する構成を有する場合に、入力信号の位相とフィードバック信号の位相との差が一定以上であるときに、フィードバック信号が入力信号と同じ位相となるように、信号発生部103に位相を直接設定する構成とすることもできる。
この場合、入力信号の位相が変化してフィードバック信号の位相との差が一定以上になったのを、例えば入出力信号比較部101が比較検出したら、その検出結果を受けて入力信号の位相と同じ位相となるように、例えばDDS5による信号発生部103が、位相加算器502によりフィードバック信号の位相を設定変更するので、より高速に入力信号の位相変化に追従することができる。
本発明の第2の実施の形態で説明したように、PLL回路を用いた同期信号生成回路4では、入力信号の周波数とフィードバック信号の周波数との間に無視できない差がある場合に、DDS5で位相設定を変更する前に、周波数設定を行うのが好ましい。この場合、入力信号処理手段となる信号処理部6は、補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)で得られた第1のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第1のしきい値交差点の時刻に加えて、第1のしきい値交差点間における第1のサンプリングクロックによるサンプリング数に相当するカウント数NSと第1のサンプリングクロックのサンプリング周期TSの積である交差検出から次の交差検出までの時間TPX、及び第1のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第1のしきい値交差点の時刻から、式(1-8)を用いて入力信号における第1のしきい値交差点の時間間隔となる周期TPを算出する構成とし、同様に出力信号処理手段となる信号処理部6も、補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)で得られた第2のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第2のしきい値交差点の時刻に加えて、しきい値交差点間における第2のサンプリングクロックによるサンプリング数に相当するカウント数NSと第2のサンプリングクロックのサンプリング周期TSの積である交差検出から次の交差検出までの時間TPX、及び第2のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第2のしきい値交差点の時刻から、式(1-8)を用いてフィードバック信号における第2のしきい値交差点の時間間隔となる周期TPを算出する構成とする。
また信号発生部103は、フィードバック信号の位相と周波数をデジタル数値データの設定値として設定する構成を有する例えばDDS5とし、入力信号の周波数とフィードバック信号の周波数との差が一定以上であるときに、フィードバック信号が入力信号と同じ周波数となるように、信号発生部103に周波数を設定し、その後に入力信号におけるサンプリング期間内のしきい値交差点の時刻と、フィードバック信号におけるサンプリング期間内のしきい値交差点の時刻との差が検出されたら、信号発生部103に位相を設定する構成にすることができる。
つまり、入力信号の周波数が変化してフィードバック信号の周波数との差が一定以上になったのを、例えば入出力信号比較部101が比較検出したら、その検出結果を受けて先ず入力信号の周波数と同じ周波数となるように、例えばDDS5による信号発生部がフィードバック信号の周波数を設定変更する。その後に例えば入出力信号比較部101が、入力信号におけるサンプリング期間内のしきい値交差点の時刻と、フィードバック信号におけるサンプリング期間内のしきい値交差点の時刻との差を検出し、その検出結果に応じて改めて信号発生部103がフィードバック信号の位相を設定変更する。これにより、より高速に入力信号の位相変化や周波数変化に追従することができる。
本発明の第1の実施の形態で説明したように、FLL回路やPLL回路を用いた同期信号生成回路4では、入力信号処理部401が、アナログの入力信号とデジタルの入力信号の何れかに切り替えて、入力信号処理手段となる信号処理部6にデジタル数値データ化された入力信号を送出する構成にすることができる。
この場合、切り替え手段として、例えばアナログの入力信号を受ける一方の入力端子と、デジタルの入力信号を受ける他方の入力端子の何れかを、入力信号処理部401内の信号処理部6の入力側端子に接続するセレクタなどを設けることができる(不図示)。一方の入力端子と信号処理部6の入力側端子が接続すると、アナログの入力信号が入力信号処理部401のAD変換部601によりデジタル数値データ化されて、信号処理部6に送出され、他方の入力端子と信号処理部6の入力側端子が接続すると、デジタルの入力信号がAD変換部601を介すことなく、そのままデジタル数値データ化された入力信号として、信号処理部601に送出される。したがって、アナログの入力信号とデジタルの入力信号が入力信号処理部401に与えられるときに、その何れかの入力信号を選択的に入力信号処理部401に取り込んで、信号処理部6にデジタル数値データ化された入力信号を送出することが可能になる。
本発明の第1の実施の形態で説明したように、FLL回路やPLL回路を用いた同期信号生成回路4では、出力信号処理部402が、アナログのフィードバック信号とデジタルのフィードバック信号の何れかに切り替えて、出力信号処理手段となる信号処理部6にデジタル数値データ化されたフィードバック信号を送出する構成にすることができる。
この場合、切り替え手段として、例えばアナログのフィードバック信号を受ける一方の入力端子と、デジタルのフィードバック信号を受ける他方の入力端子の何れかを、出力信号処理部402内の信号処理部6の入力側端子に接続するセレクタなどを設けることができる(不図示)。一方の入力端子と信号処理部6の入力側端子が接続すると、アナログのフィードバック信号が出力信号処理部402のAD変換部601によりデジタル数値データ化されて、信号処理部6に送出され、他方の入力端子と信号処理部6の入力側端子が接続すると、デジタルのフィードバック信号がAD変換部601を介すことなく、そのままデジタル数値データ化されたフィードバック信号として、信号処理部6に送出される。したがって、アナログのフィードバック信号とデジタルのフィードバック信号が出力信号処理部402に与えられるときに、その何れかのフィードバック信号を選択的に出力信号処理部402に取り込んで、信号処理部6にデジタル数値データ化されたフィードバック信号を送出することが可能になる。
本発明の第1の実施の形態や第3の実施の形態で説明したように、FLL回路やPLL回路を用いた同期信号生成回路4では、第1のしきい値交差点の前後各1点の第1のサンプリングクロックによりサンプリングされた入力信号の数値データVD(1)、VD(2)から、直線補間によって第1のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第1のしきい値交差点の時刻を算出し、又は第1のしきい値交差点の前後で合計2点よりも多く第1のサンプリングクロックによりサンプリングされた入力信号の数値データVD(1)、VD(2)、VD(3)…から、曲線補間によって第1のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第1のしきい値交差点の時刻を算出するように、入力信号処理部401の信号処理部6を構成することができる。
こうした構成に加えて、又はこうした構成に代えて、第2のしきい値交差点の前後各1点の第2のサンプリングブロックによりサンプリングされたフィードバック信号の数値データVD(1)、VD(2)から、直線補間によって第2のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第2のしきい値交差点の時刻を算出し、又は第2のしきい値交差点の前後で合計2点よりも多く第2のサンプリングクロックによりサンプリングされたフィードバック信号の数値データVD(1)、VD(2)、VD(3)…から、曲線補間によって第2のサンプリングクロックによるサンプリング期間内における第2のしきい値交差点の時刻を算出するように、出力信号処理部402の信号処理部6を構成することができる。
つまり、入力信号やフィードバック信号の瞬時電圧が時間に対して直線的な関係である場合は、しきい値交差点の前後各1点の少ないサンプリングデータで、入力信号やフィードバック信号におけるサンプリング期間内のしきい値交差点の時刻を、直線補間により正しく算出できる。また、入力信号やフィードバック信号の瞬時電圧が時間に対して直線的な関係でない場合でも、しきい値交差点の前後で合計2点よりも多いサンプリングデータを利用することで、入力信号やフィードバック信号におけるサンプリング期間内のしきい値交差点の時刻を、曲線補間により正しく算出できる。
本発明の第3の実施の形態や第4の実施の形態で説明したように、FLL回路やPLL回路を用いた同期信号生成回路4では、入力信号処理部401が第1のAD変換部601を備えるとき、入力信号を受ける第1の入力端子と第1のAD変換部601の間に、さらに第1の波形整形部1001と第1の積分部1002を設け、第1の波形整形部1001は、入力信号と第3のしきい値を比較して矩形波を出力し、第1の積分部1002は、第1の波形整形部1001から出力される矩形波の立ち上がりや立ち下がり速度を制限する構成を有することができる。
こうした構成に加えて、又はこうした構成に代えて、出力信号処理部402が第2のAD変換部601を備えるとき、フィードバック信号を受ける第2の入力端子と第2のAD変換部601の間に、さらに第2の波形整形部1001と第2の積分部1002を設け、第2の波形整形部1001は、フィードバック信号と第4のしきい値を比較して矩形波を出力し、第2の積分部1002は、第2の波形整形部1001から出力される矩形波の立ち上がりや立ち下がり速度を制限する構成を有している。
この場合、第1の積分部1002から出力される信号は、元の入力信号の立ち上がりや立ち下がりの時間に拘わらず、元の入力信号と同じ周期で、矩形波から立ち上がりや立ち下がりの速度を一定の値以下に制限した波形に整形される。同様に、第2の積分部1002から出力されるフィードバック信号は、元のフィードバック信号の立ち上がりや立ち下がりの時間に拘わらず、元のフィードバック信号と同じ周期で、矩形波から立ち上がりや立ち下がりの速度を一定に制限した波形に整形される。これにより、アナログの入力信号やフィードバック信号をAD変換する際に、AD変換の分解能を損なうことなく、デジタル数値データ化された入力信号やフィードバック信号を生成することができ、そこから入力信号におけるサンプリング周期内のしきい値交差点の時刻や、フィードバック信号におけるサンプリング周期内におけるしきい値交差点の時刻を、十分な分解能で算出することが可能となる。
本発明の第3の実施の形態で説明したように、入力信号処理部401に組み込まれる記第1の積分部1002、及び/又は出力信号処理部402に組み込まれる第2の積分部1002は、抵抗素子1201と容量素子1202とによる不完全積分特性を有するCRローパスフィルタによって構成してもよい。
この場合、抵抗素子1201と容量素子1202とによる簡単な構成で、立ち上がりや立ち下がりの速度を一定の値以下に制限した波形の入力信号やフィードバック信号を得ることが可能になる。
本発明の第4の実施の形態で説明したように、入力信号処理部401に組み込まれる第1の積分部1002、及び/又は出力信号処理部402に組み込まれる第2の積分部1002は、定電流回路となる定電流源1401、1402と、ダイオードブリッジ1403と、容量素子1404とによる完全積分特性を有する回路によって構成してもよく、この場合は、入力信号及び/又はフィードバック信号がローレベルからハイレベルの電圧に変化するときに、高電位側の定電流源1401からの電流がダイオードブリッジ1403を通して容量素子1404に流れ込み、入力信号及び/又はフィードバック信号がハイレベルからローレベルの電圧に変化するときに、それまで容量素子1404に蓄えられていた電荷が低電位側の定電流源1402からの電流により、ダイオードブリッジ1403を通して吸い込まれ、容量素子1404の端子間に立ち上がりや立ち下がりの速度を制限した入力信号及び/又はフィードバック信号を生成する構成としてもよい。
そのため、第1の積分部1002から出力される入力信号や、第2の積分部1002から出力されるフィードバック信号の立ち上がりや立ち下がりの電圧は、時間に対して直線性の良い一定の動作で変化する。したがって、入力信号における補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)や、フィードバック信号における補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)を、ずれなく正確に算出できる。
本発明の第4の実施の形態で説明したように、ダイオードブリッジ1403を構成するダイオード素子として、ショットキーバリアダイオードを用いるのが好ましい。
この場合、順方向電圧が小さいショットキーバリアダイオードを用いることで、定電流源1401、1402を余裕を持たせた電圧変化で動作させることができ、またオフ状態のダイオードに順方向の電圧が印加され始める際にも、ダイオード素子の動作を理想状態に近づけることができる。さらにショットキーバリアダイオードは逆回復時間が短く、高速スイッチングにも適しているので、入力信号処理部401や出力信号処理部402の積分部1002は、より高速の信号に対応できる。
本発明の第4の実施の形態で説明したように、上述の完全積分特性を有する積分部1002では、入力信号処理部401に組み込まれる第1の積分部1002、及び/又は出力信号処理部402に組み込まれる第2の積分部1002に与えられる矩形波のハイレベル電圧VHi及びローレベル電圧VLoと、定電流源1401、1402の電流Icと、容量素子1404の容量CCによって決まる積分特性から、式(4-8)を用いて矩形波の立ち上がりと立ち下がりの時間TUを算出し、矩形波の周期TPとなるしきい値交差点の時間間隔が、矩形波の立ち上がりと立ち下がりの時間TUの2倍以下のときに、周波数範囲外と判定する構成とするのが好ましい。
こうすれば、入力信号処理部401や出力信号処理部402で、積分部1002からの出力振幅が小さくなると問題が生じうる場合に、これを判定する構成を同期信号生成回路4に判定部として設けることで、必要に応じて警告表示を行なうなどの機能を付加することができる。
本発明の第4の実施の形態で説明したように、入力信号処理部401に組み込まれる第1のAD変換部601は、そのAD変換結果の移動平均を取って、第1のAD変換部601の出力とし、1以上の整数の移動平均数を設定可能とする構成とし、及び/又は出力信号処理部402に組み込まれる前記第2のAD変換部601は、そのAD変換結果の移動平均を取って、第2のAD変換部601の出力とし、1以上の整数の移動平均数を設定可能とする構成とすることもできる。
つまり、入力信号の周期が長くなると、入力信号が第3のしきい値をゆっくりと横切って、第1の波形整形部1001の出力がバタつく可能性があるが、こうした問題を第1のAD変換部601により避けることができる。同様に、フィードバック信号の周期が長くなると、フィードバック信号が第4のしきい値をゆっくりと横切って、第2の波形整形部1001の出力がバタつく可能性があるが、こうした問題を第2のAD変換部601により避けることができる。
本発明の第5の実施の形態で説明したように、FLL回路やPLL回路を用いた同期信号生成回路4では、ループフィルタ102からの濾波信号を受けて、設定された周波数で鋸歯状波の数値データを生成するアキュムレータ501と、アキュムレータ501からの鋸歯状波の数値データを、任意の波形データに変換して出力するルックアップテーブル503と、を備えたDDS5で信号発生部103を構成することができ、その場合にアキュムレータ501は、ルックアップテーブル503よりも大きなビット長の構成とするのが好ましい。
この場合、DDS5からのデジタル数値データ化されたフィードバック信号を、出力信号処理部402の信号処理部6に直接フィードバックする構成で、そのフィードバック信号の周波数が低い場合でも、フィードバック信号におけるサンプリング期間内のしきい値交差点の時刻となる補正数値データΔTP(1)、ΔTP(2)を、十分な分解能で算出することが可能になる。
本発明の第6の実施の形態で説明したように、入力信号処理部401に組み込まれる第1の波形整形部1001の出力側に第1の分周部1801を備え、及び/又は出力信号処理部402に組み込まれる第2の波形整形部1001の出力側に第2の分周部1801を備える構成としてもよい。
この場合、第1の分周部1801がn分周動作をし、第2の分周部1801がm分周動作をすると、出力信号の周波数をm/n倍(n及びmは正の整数)にすることができる。また、入力信号処理部401や出力信号処理部402に分周部1801を付加することで、入力信号処理部401や出力信号処理部402の積分部1002からの出力振幅が小さくならないように、矩形状に波形整形された入力信号やフィードバック信号を適切に分周できる。
本発明の第7の実施の形態で説明したように、信号発生部103は、少なくともループフィルタ102からの濾波信号を受けて、設定された周波数で鋸歯状波の数値データを生成するアキュムレータ501を備えたDDS5で構成することができる。DDS5は、アキュムレータ501からの出力周波数を第1の整数倍に乗算して、DDS5からの出力信号となる第1の位相出力を生成する第1の乗算器1901、及び/又はアキュムレータ501からの出力周波数を第2の整数倍となるn倍(nは正の整数)に乗算して、DDS5からのフィードバック信号となる第2の位相出力を生成する第2の乗算器1902をさらに備えてもよい。ここでいう「出力信号となる第1の位相出力を生成する」とは、図19に示すように、第1の乗算器1901からの第1の位相出力をルックアップテーブル503が受けて波形データ出力を出力信号としたり、さらにDA変換器504等を経由して最終的にアナログの出力信号を送出するだけでなく、ルックアップテーブル503を設けずに、第1の位相出力をそのまま出力信号とすることも含む。また、「フィードバック信号となる第2の位相出力を生成する」は、第2の位相出力を出力信号処理部402が受けて最終的にフィードバック信号を送出することを含む。
この場合、第1の乗算器1901がアキュムレータ501からの出力周波数を第1の整数倍となるm倍に乗算し、第2の乗算器1902がアキュムレータ501からの出力周波数を第2の整数倍となるn倍に乗算すると、出力信号の周波数をm/n倍(n及びmは正の整数)にすることができる。また、DDS5に乗算器1901、1902を付加することで、入力信号やフィードバック信号を適切に分周でき、DDS5に乗算器1902を付加した場合は、入力信号の周波数が下がっても同期動作の遅れを回避できる。
本発明の第8の実施の形態で説明したように、前述の入力信号処理部401と出力信号処理部402を備えた同期信号生成回路4では、入力信号処理部401の信号処理部6に与えられる入力信号の数値データが第1のしきい値を交差した検出時刻から、第1の整数個先に第1のしきい値を再び交差した検出時刻までの時間TPXを式(1-6)で求めて、入力信号における第1のしきい値交差点の時間間隔を算出することにより、入力信号を分周する第3の分周部を備えてもよい。第3の分周部に加えて、又は第3の分周部の代わりに、出力信号処理部402の信号処理部6に与えられるフィードバック信号の数値データが前記第2のしきい値を交差した検出時刻から、第2の整数個先に第2のしきい値を交差した検出時刻までの時間TPXを式(1-6)で求めて、フィードバック信号における第2のしきい値交差点の時間間隔を算出することにより、フィードバック信号を分周する第4の分周部を備えてもよい。第3の分周部は、例えば入力信号処理部401の信号処理部6にソフトウェア機能として組み込まれ、第4の分周部は、例えば出力信号処理部402の信号処理部6にソフトウェア機能として組み込まれる。
この場合、第3の分周部が第1の整数個に相当するn分周動作をし、第4の分周部が第2の整数個に相当するm分周動作をすると、出力信号の周波数をm/n倍(n及びmは正の整数)にすることができる。また、第3の分周部や第4の分周部を付加することで、入力信号やフィードバック信号を、特にソフトウェアの機能で適切に分周できる。
また特に、入力信号処理部401の信号処理部6において、立ち上がり方向に第1のしきい値を交差した検出時刻と、立ち下がり方向に第1のしきい値を交差した検出時刻の両方を用いて、入力信号における第1のしきい値交差点の時間間隔を算出することにより、元の周期の半分を基準とした0.5周期単位で入力信号を分周するように、第3の分周部を構成してもよい。こうした第3の分周部に加えて、又はこうした第3の分周部の代わりに、出力信号処理部402の信号処理部6において、立ち上がり方向に第2のしきい値を交差した検出時刻と、立ち下がり方向に第2のしきい値を交差した検出時刻の両方を用いて、フィードバック信号における第2のしきい値交差点の時間間隔を算出することにより、元の周期の半分を基準とした0.5周期単位でフィードバック信号を分周するように、第4の分周部を構成してもよい。
このように、立ち上がり方向に第1のしきい値や第2のしきい値を交差した検出時刻と、立ち下がり方向に第1のしきい値や第2のしきい値を交差した検出時刻の両方を用いることで、元の周期の半分を基準とした0.5周期単位で、入力信号やフィードバック信号を分周することが可能になり、出力信号の周波数をm/n倍(n及びmは0.5の正の整数倍)にすることができる。
本発明の第9の実施の形態で説明したように、出力信号処理部502を備えていないFLL回路を用いた同期信号生成回路4において、ループフィルタ102から信号発生部103への周波数の設定値を入出力信号比較部101へのフィードバック信号としながら、周波数の設定値に所望の係数を乗算して、実際の信号発生部103の周波数を設定する構成としてもよい。
この場合、信号発生部103の周波数の設定値、すなわちフィードバック信号の周波数は入力信号と同期するが、実際の信号発生部103の出力周波数は所定の係数を乗算したものとなり、入力信号の変動に同期しながら、入力信号と簡単な整数比ではないような周波数の出力信号を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、明細書や特許請求の範囲の中に記載される「周波数」と「周期」は、周知のように逆数の関係にあるので、どちらに置き換えて表現しても構わない。また、必要に応じて「部」と「手段」に記載を分けているが、同一の機能を発揮するものであれば、どちらの呼称を用いても構わない。その他、各実施の形態に記載される同期信号生成回路4の特徴を組み合わせた構成としてもよい。