JP7383251B1 - 男性用下着 - Google Patents

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Abstract

【課題】外見上は通常の男性用下着でありながら、陰嚢部を露出させることができ、かつ、ぽっちゃり型の男性をはじめとする成人男性にとって、或いは、皮膚が弱い成人男性の双方にとって、履き心地のよい男性用下着を提供する。【解決手段】本発明は、肌側に配置される肌側前身頃と表側に配置される表側前身頃との一対の前身頃、右側に配置される右側後身頃と左側に配置される左側後身頃との一対の後身頃、右側に配置される右側ウエスト布と左側に配置される左側ウエスト布との一対のウエスト布、及び股下布と、を互いに逢着してなる男性用下着であって、肌側前身頃と、表側前身頃とは、両下端縁部同士が縫着された縫着部を有し、肌側前身頃と、表側前身頃とが重なる重なり部を備え、かつ、縫着部と股下布とから形成される開き部を備える男性用下着である。【選択図】図1

Description

本発明は、成人男性の加齢等に伴う身体的特徴等を総合的に考慮し、これを反映させた男性用下着に関するものである。
近年における出生率の低下は、人口減少を招いており、出生率の低下の要因として、成年男子の精子の減少が挙げられることがある。精巣を包む陰嚢は、皮膚と筋肉から成る袋状の器官であり、精巣を精子の形成に適切な温度である、約34~35℃に維持する機能を備えている。係る機能により精巣は、陰嚢で冷やされる。しかしながら、下着の形状や種類によっては、精巣の温度を約2~3℃上昇させてしまい、精子形成が障害され、男性不妊をもたらす一因となると考えられている。
一方、男性は加齢に伴い、下腹部が前に出てきてしまう(いわゆるぽっこり体型、ぽっちゃり体型等と称呼される体型)者が多くなる傾向がある。そうすると、通常の腰ゴムで締めるタイプの男性用下着は、必要以上に下腹部が締め付けられ、皮膚が炎症を起こしてしまう場合がある。
そこで、特許文献1には、陰嚢が容易に延展/収縮し、精巣の放熱を促進/抑止させることを目的とした男性用下着が開示されている。
また、特許文献2には、ぽっちゃり型の男性が着用しても、股間や股下の蒸れが生じにくいこと、及びお腹が圧迫されたり、本来の着用位置からズレ下がってきたりしにくい男性用下着が開示されている。
特開2022-064165号公報 特開2021-080589号公報
特許文献1に記載の男性用下着は、下着本体に男性器が通される男性器用開口を有しているため、陰嚢及び陰茎を外部に連通させることが可能となるため有益である。しかしながら、係る男性用下着は、一般的には馴染みのない形状である。そのため、その効果は認めるものの、銭湯やサウナ等の公衆浴場等における着用は、他人からの視線を気にしてしまい、着用をためらう者がいる可能性がある。
また、特許文献2に記載の男性用下着は、前身頃に設けられる腰ゴムの設置ラインが、両側脇部から前身頃中央に向けて下向き凸の湾曲ラインに設定されているため、ぽっちゃり型の男性にとっては、有益である。しかしながら、一体となった腰ゴムを使用しているため、皮膚が弱い方にとっては、下腹部にゴム跡がついたり、かぶれたりするおそれがある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、外見上は通常の男性用下着でありながら、陰嚢部を露出させることができ、かつ、ぽっちゃり型の男性をはじめとする成人男性にとって、或いは、皮膚が弱い成人男性の双方にとって、履き心地のよい男性用下着を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、腰ゴムを使用せずに、複数の伸縮性を有する生地を用いて、これらを陰茎において、たすき掛け、下腹を支えるような構造とすることによって、係る課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、肌側に配置される肌側前身頃と表側に配置される表側前身頃との一対の前身頃、右側に配置される右側後身頃と左側に配置される左側後身頃との一対の後身頃、右側に配置される右側ウエスト布と左側に配置される左側ウエスト布との一対のウエスト布、及び股下布と、を互いに逢着してなる男性用下着であって、前記肌側前身頃と、前記表側前身頃とは、両下端縁部同士が縫着された縫着部を有し、前記右側後身頃の上端部と、前記右側ウエスト布の下端部、前記左側後身頃の上端部と、前記左側ウエスト布の下端部、及び、右側後身頃の背面部、右側ウエスト布の背面部と、左後身頃の背面部、左側ウエスト布の背面部とがそれぞれ縫着され、前記左側ウエスト布の右端部、前記肌側前身頃の左端部、前記表側前身頃の左端部及び左側後身頃の右端部と、股下布の左端部とが、前記股下布が肌側となるように縫合され、かつ、前記右側ウエスト布の左端部、前記肌側前身頃の右端部、前記表側前身頃の右端部、右側後身頃の左端部と、股下布の右端部とが、前記股下布が肌側となるように縫合されることにより、前記肌側前身頃と、前記表側前身頃とが重なる重なり部を備え、かつ、前記縫着部と前記股下布とから形成される開き部を備える男性用下着である。
本発明によれば、外見上は通常の男性用下着でありながら、陰嚢部を露出させることができ、かつ、ぽっちゃり型の男性をはじめとする成人男性にとって、或いは、皮膚が弱い成人男性の双方にとって、履き心地のよい男性用下着が提供される。
一実施形態に係る男性用下着を前面側から示す正面図と背面側から示す背面図である。 一実施形態に係る男性用下着を着用したことを示す正面図である。 男性用下着を構成する前身頃の裁断図及び股下布の裁断図である。 男性用下着を構成する後身頃の裁断図、後身頃脇の裁断図及びウエスト布の裁断図である。 男性用下着の製造方法における工程Aを示す図である。 男性用下着の製造方法における工程Bを示す図である。 男性用下着の製造方法における工程Cを示す図である。 サーモグラフィー装置を用いて撮影した実施例1に係る写真である。 サーモグラフィー装置を用いて撮影した比較例1に係る写真である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。
以下の説明のために使用する「前面」とは、着用状態において着用者の胴体の前中心線L1を中心とする左脇線L2から右脇線L3までの範囲をいい、「背面」とは、着用状態において着用者の胴体の後中心線L4(L1の背面側である)を中心とする左脇線L2から右脇線L3までの範囲をいう。
さらに、以下の説明のために使用する「左右方向」は、図1の前面側からみた左右方向として説明する。
さらに、「立体的」とは、図7に記載のxyz軸の全ての方向において、生地同士を縫い合わせることをいう。また、「縫い合わせる」とは、生地同士を縫い合わせるという意味のほか、端部を折り返して縫着したりすることにより、それぞれの端部を形成したものも含まれる。
さらに、以下の説明においては、糸を用いて縫い合わせる場合を説明するが、これに限らない。例えば、接着剤を用いて接続されても良い。なお、接着剤によって接続される部分の適所に、接着の負担を軽減するために、縫着による縫い止めが設けられても良い。
図1は、本実施形態に係る男性用下着1を前面側から示す正面図と背面側から示す背面図である。また、図2は、本実施形態に係る男性用下着を着用したことを示す正面図である。
以下、図3と4を用いて本実施形態に係る男性用下着を構成する複数の生地片について説明する。また、図5から7を用いて、本実施形態に係る男性用下着の完成図に至るまでの製造過程を説明する。
(前身頃及び股下布)
図3(a)は、男性用下着を構成する前身頃2の裁断図である。本実施形態で用いる一対の前身頃2は、肌側に配置される肌側前身頃31aと表側に配置される表側前身頃31bとからなる。なお、肌側前身頃31aは、生地表を肌側に設置して用いるため表側前身頃の形と同一のものとする。ただし、両面表地としたものを使用した場合には、肌側前身頃と表側前身頃は、対照のものとすることができることは言うまでもない。
肌側前身頃31aは、一点鎖線301aに沿って表側に折り、これを縫い付けて、図3(b)に示す肌側前身頃32aとする(なお、同図は、正面視において生地裏である)。このように縫い付けることで、肌側に縫い目が接することがないようにすることができる。一方、表側前身頃31bは、一点鎖線301bに沿って肌側に折り、これを縫い付けて、図3(b)に示す肌側前身頃32bとする。このように表側、或いは、内側に折って生地を二重構造とすることで、係る部分に強度を付与すること、係る部分の耐久性を向上させること(通常、生地端からさばけてくるため、これを防止すること)が可能となる。
前身頃2は、前記肌側前身頃の下端縁部303aと、前記表側前身頃の下端縁部303bとを、縫い合わせ一体化したものである(図3(c))。このように縫合することで、前身頃の下端部には、縫着部304が形成される。
また、肌側前身頃32aと表側前身頃32bの上端縁部同士が重なりあう重なり部34が形成される。
さらに、前身頃2は、正面視で略Yの字形状となり、また、略Yの字形状の中心線(図示せず)において線対称となる形状となる。このような形状とすることで、男性の臍部からと股部との中間付近に前記重なり部分34を配置させることができる。
図3(a)の一点鎖線(301a、301b)に沿って内側に折ることで、肌側前身頃32aの左上端部304aと、表側前身頃32bの右上端部304bとに鋭角部分が存在することになるから、前身頃2には、略逆二等辺三角形状の切り欠き部35が形成されて、前身頃上端部に交点8が形成される。そうすると、男性用下着の成人男性への装着状態において、下腹部の下側を前身頃上端の略Yの字形状縁部が覆うこととなり、係る部分が下腹を支える、又は持ち上げることで、或いは、前記切り欠き部では、下腹部が露出した状態であるため、通常の腰回り全体を覆うウエストゴムを使用した男性用下着と比較して、ウエストゴムが皮膚に組み込むこと等による負担を軽減することができる。
図3(d)は、男性用下着を構成する股下布3の裁断図である。また、部分拡大図である図3(e)に示すように、前身頃の両端部下側(305a、305b)と股下布の両端部上側(306a、306b)とを、前身頃2が表側となるように配置して、これらを縫い合わせる。また、股下布3の上端部307と前身頃の縫着部304とが重なる重なり部309の図面縦方向の長さ概ね3~8cmとなるように配置して、これらを縫い合わせる。3cmよりも短いと、陰嚢部を保持するための布地が不足するおそれがあり、また、8cmよりも長いと、陰嚢部を露出しにくくなるおそれがある。なお、これらを縫い合わせたものは、男性用下着の人体への装着状態において臍部から股間部(図示せず)に至る部分を覆うものである。
これらを縫い合わせることにより、図3(f)に示すように、縫着部304と股下布3とからなる、水平方向に直線状の開き部308が形成される。開き部308は略直線状であるから、陰嚢部を露出すると、前身頃縫着部と股下布とで陰嚢部を挟み込んで、陰嚢部を保持することが可能となる。これにより、下着による密着状態から陰嚢部が解放されて、その結果として、精巣が良好に温度調整されるようになる。なお、前身頃下端部の横方向の大きさは、陰嚢部を通過させるための幅を有することが必要となる。
本実施形態における男性用下着の着用者は、陰嚢部を露出させて保持させる際には、まず、通常の下着を着用するように男性用下着を着用する。そして、前身頃2と股下布3とからなる開き部308に、いずれか一方の手の指を差し入れて、これを皮膚側及び表側方向に拡げるように開き、そこから、陰嚢部を露出させて保持する。なお、陰嚢部を露出させた状態を示したものが図2である。
以上より、本実施形態に係る男性用下着を単に着用しただけでは、陰嚢部が露出することはない。これまで説明した形状及び構造としたことにより、本実施形態の男性用下着の使用方法の一例として、以下のように例示される。勤務中、或いは、銭湯やサウナなどを利用する場合等には、陰嚢部を露出させない、また、就寝時や休日などでは、陰嚢部を露出させて保持させる等、時間と場所に合わせて適宜陰嚢部の状態を選択することが可能となる。したがって、陰嚢部を露出しない場合において、外見上は通常の男性用下着であると認識されうる。
(後身頃及び後身頃脇)
図4は、男性用下着を構成する後身頃4及び後身頃脇5の裁断図である。本実施形態で用いる一対の後身頃4は、左側に配置される左側後身頃41aと、右側に配置される右側後身頃41bとからなる。また、着用時に鼠径部付近に相当する部分を略三日月形状に切り欠いた形状(401a,401b)とする。係る形状とする目的については、後述する。
左側後身頃における402aと403aと、及び、右側後身頃における402bと403bとを立体的に縫い合わせて、着用者の脚部を挿通可能な開口部である裾口6が形成される。これらは、男性用下着の人体への装着状態において臀部から左右の大腿部に至る部分(図示せず)を覆うものである。
図1における後身頃の股下部から大腿部用開口迄の長さ11は、陰嚢部を露出させたときに陰嚢部が太ももに直接触れないような長さとすることが好ましい。また、図示しないが、係る部分を長くすることで、男性用下着に限らず、ハーフパンツや股引等のような他の実施形態とすることも可能である。
本実施形態で用いる一対の後身頃脇5は、左側に配置される左側後身頃脇43aと右側に配置される右側後身頃脇43bとからなる。後身頃脇は、男性用下着の人体への装着状態において主に鼠径部を覆うためのものである。
本実施形態では、後身頃脇5を前記左側後身頃脇における404aと左側後身頃における405aと、及び、右側後身頃脇における404bと右側後身頃における405bとを縫い合わせて、後身頃4とする。
図6から理解されるように、後身頃脇5を配置せずに、前身頃2と後身頃4とを縫合したとすれば、鼠径部付近が生地に覆われておらず、開口部が形成された状態となる(図示せず)。後身頃脇5は、この開口部を覆うための生地として使用している。本実施形態においてこのような形状を採用する理由を以下に示す。
仮に、後身頃を鼠径部付近が覆われるような形状とし、前身頃と後身頃を縫い合わせたとすると、着用者が立位から着座状態へ、或いは、着座から立位状態へと姿勢変化する際に、鼠径部付近の動きにつられて、後身頃が外側に引っ張られたり、内側に引っ張られたりしてしまい、縫着部による陰嚢の保持が緩くなり、陰嚢がずれることが考えられる。例えば、左右何れかに移動してしまう場合や、上下方向に移動してしまうおそれがある。
そこでこの対策として、前身頃と後身頃とを相互に縫い付けないようにし、後身頃と前身頃とが相互に引っ張られないようにする。或いは、鼠径部付近に縫目を形成しないようにするため、鼠径部付近を鼠径部のラインに合わせた略三日月形状に切り欠いて後身頃の形状等とすることが考えられる。これらの対策により、着用者が姿勢変化する際に、後身頃の変動を抑えることが可能となり、結果として陰嚢部のずれを抑えることが可能となると考える。
ただ、後身頃を鼠径部付近が覆われるような形状とし、前身頃と後身頃を縫い合わせなかった場合には、係る部分は、不自然な状態となってしまう。また、後身頃の鼠径部付近を鼠径部のラインに合わせた略三日月形状に切り欠いた場合には、着用時に鼠径部付近が露出した状態となることから、このような姿は、外見上好ましくないと考える者もいるかもしれない。
そこで、本実施形態においては、鼠径部付近を鼠径部のラインに合わせた略三日月形状に切り欠いた後身頃としたうえで、後身頃脇の形状を当該切り欠き部に嵌まる形状とすることによって、鼠径部付近の露出を抑え、また、着用者が姿勢変化する際に、後身頃脇が緩衝材として機能させることを目的として、後身頃脇を配置している。なお、後身頃脇を使用せずに、男性用下着とすることも可能である。
図4(b)は、男性用下着を構成する一対のウエスト布7の裁断図である。本実施形態で用いる一対のウエスト布7は、左側に配置される左側ウエスト布44aと右側に配置される右側ウエスト布44bとからなる。ウエスト布の背面側は、背骨の中心に向かって略二等辺三角形の形状となるようにする。なお、図1の9に理解のために鋭角のものとして描いたが、鋭角である必要はないことは言うまでもない。このとき、背面側の二等辺三角形の形状の交点(或いは頂点)9と、表側の前身頃上端部の逆二等辺三角形状の切り欠き部の頂点8との間を、概ね10~15cmとするように相互間で設定するとよい。10cmよりも短いと、前に出ている下腹部と接してしまう可能性があり、また、15cmよりも長いと、男性用下着がズリ落ちてしまう可能性がある。このような形状とすることで、通常の腰ゴムを用いた場合と比較して、下腹部が圧迫されていると体感することや、下腹部付近のゴムがズレ下がってくる等ということを感じにくくなる。
一対のウエスト布の内部には、伸縮性の生地(45a、45b)をそれぞれ内包させて縫い合わせてもよい。伸縮性の生地としては、たとえばパワーネット又はサテンネット或いはポリウレタン繊維を含むパワーネットなどを例示することができる。前身頃とウエスト布との組み合わせで、男性用下着1のウエスト部分、すなわち、男性用下着1を腰付近に固定するものとして機能する。ここで、ウエスト布7には、伸縮性の生地が内包されているから、男性用下着1の背面側は、伸縮性のある生地が配置されることになる。このような構成とすることで、ウエスト布7と前身頃2とを合わせて、男性用下着1を支えることが可能となる。
(男性用下着の材質)
男性用下着を構成する前身頃、後身頃、ウエスト布及び股下布の生地はポリエステル、ポリウレタン、コットン、ナイロンなどの繊維からなる生地を使用することができる。また、内部に水分を多く含み、熱伝導率・熱拡散率が高い等の特性を有する素材を使用することもできる。具体的には、レーヨン(再生繊維)、キュプラ(銅アンモニアレーヨン)を例示することができる。さらに、前身頃、後身頃、ウエスト布及び股下布の生地を同地の生地としてもよいし、別々の生地としてもよい。さらに、それらの伸縮性の有無は限定されない。さらに、前身頃、後身頃、ウエスト布、股下布を表地と裏地の二重構造にしたものを使用してもよいし、2枚の生地の裏面同士を貼り付けたり、縫い付けたりして、両面表地としたものを使用しても良い。
(男性用下着の製造方法)
図5~7は、本実施形態に係る男性用下着1の完成図に至るまでの製造工程の一実施形態を説明する斜視図である。なお、以下の工程の一部を入れ替えて行うことも可能である。
図5は、工程Aを示したものであり、係る工程は、表側前身頃の下端縁部303bと肌側前身頃の下端縁部303aとを、縫い着けて前身頃2としたものと、股下布3とを縫い合わせる工程である。
図6は、工程Bを示したものである。まず、工程B-1として、左側ウエスト布の背面部407aと、右側ウエスト布の背面部407bとを立体的に縫い合わせて、ウエスト布7とする工程を行う。
次いで、工程B-2として、左側後身頃の切り欠き部405a及び右側後身頃の切り欠き部405bと、左側後身頃脇43a及び右側後身頃脇43bの円弧部(404a、404b)とをそれぞれ立体的に縫い合わせる工程を行う。
次いで、工程B-3として、左側後身頃の背面部408aと、右側後身頃の背面部408bとを立体的に縫い合わせて後身頃4とする工程を行う。
次いで、工程B-4として、前記ウエスト布の下端部409a,409bと、前記後身頃の上端部410a,410bとを縫い合わせる工程を行うことで、工程Bは完了する。
図7は、工程Cを示したものである。工程Cは、工程Aで得られた前身頃2と股下布3とからなる物と、工程Bで得られた後身頃4とウエスト布7とからなる物とを縫い合わせる工程である。具体的には、前身頃309a及び股下布306aと、ウエスト布407a及び後身頃411aとを、また、前身頃309b及び股下布306bと、ウエスト布407b及び後身頃411bとを、さらに、股下布310と、後身頃406a,406bとを縫い合わせる。
以上の工程Aから工程Cを行うことで、本実施形態に係る男性用下着が完成する。
なお、図5~7において、一点鎖線は、縫い目を表しており、縫い目は表面に現れるように縫い合わせることで、皮膚側に縫い目がないようにすることできる。
次に、本発明に関して、実施例を用いて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明に係る男性用下着を着用して、以下の測定条件において、陰嚢部を露出させた場合の陰嚢付近の温度分布を測定した。サーモグラフィー写真を図8に示す。また、測定結果は、32.8℃であった。
使用機器:HIKMICRO ハンディサーモグラフィーカメラ Pocket1(型番:HIK-PCT1)
測定条件:24℃の室内で、一時間着座した後、サーモグラフィーカメラを用いて撮影した。
(比較例1)
本発明に係る男性用下着を着用して、陰嚢部を露出させなかったこと以外は実施例1と同様にして、陰嚢付近の温度分布を測定した。サーモグラフィー写真を図9に示し、測定結果を以下に示す。また、測定結果は、35.8℃であった。
以上の測定結果により、本発明に係る男性用下着は、陰嚢部を露出させることによって、陰嚢付近の温度を下げる効果を有することが明らかとなった。
1 男性用下着、2:前身頃、3:股下布、4:後身頃、5:後身頃脇、6:裾口、7:ウエスト布、8:前身頃上端部の交点、9:ウエスト布の背面部上の交点、11:後身頃の股下部から大腿部用開口迄の長さ、12:陰嚢、13:臍部

Claims (4)

  1. 肌側に配置される肌側前身頃と表側に配置される表側前身頃との一対の前身頃、
    右側に配置される右側後身頃と左側に配置される左側後身頃との一対の後身頃、
    右側に配置される右側ウエスト布と左側に配置される左側ウエスト布との一対のウエスト布、及び
    股下布と、を互いに逢着してなる男性用下着であって、
    前記一対のウエスト布には伸縮性を有する生地を用い、
    前記肌側前身頃と、前記表側前身頃とは、両下端縁部同士が縫着された縫着部を有し、
    前記右側後身頃の上端部と、前記右側ウエスト布の下端部、前記左側後身頃の上端部と、前記左側ウエスト布の下端部、及び、右側後身頃の背面部、右側ウエスト布の背面部と、左側後身頃の背面部、左側ウエスト布の背面部とがそれぞれ縫着され、
    前記左側ウエスト布の右端部、前記肌側前身頃の左端部と、前記表側前身頃の左端部とが縫合され、左側後身頃の右端部と、股下布の左端部とが、前記股下布が肌側となるように縫合され、かつ、前記右側ウエスト布の左端部、前記肌側前身頃の右端部と、前記表側前身頃の右端部とが縫合され、右側後身頃の左端部と、股下布の右端部とが、前記股下布が肌側となるように縫合されることにより、
    前記肌側前身頃と、前記表側前身頃とが重なる重なり部を備え、かつ、前記縫着部と前記股下布とから形成される、陰嚢部を露出させて保持するための開き部を備える男性用下着。
  2. 肌側に配置される肌側前身頃と表側に配置される表側前身頃との一対の前身頃、
    右側に配置される右側後身頃と左側に配置される左側後身頃との一対の後身頃、
    右側に配置される右側後身頃脇と左側に配置される左側後身頃脇との一対の後身頃脇、
    右側に配置される右側ウエスト布と左側に配置される左側ウエスト布との一対のウエスト布、及び
    股下布と、を互いに逢着してなる男性用下着であって、
    前記一対のウエスト布には伸縮性を有する生地を用い、
    前記肌側前身頃と、前記表側前身頃とは、両下端縁部同士が縫着された縫着部を有し、
    前記右側後身頃の左端部と、前記右側後身頃脇の右端部、及び、前記左側後身頃の右端部と、前記左側後身頃脇の左端部とがそれぞれ縫着され、
    前記右側後身頃の上端部と、前記右側ウエスト布の下端部、前記左側後身頃の上端部と、前記左側ウエスト布の下端部、及び、右側後身頃の背面部、右側ウエスト布の背面部と、左側後身頃の背面部、左側ウエスト布の背面部とがそれぞれ縫着され、
    前記左側ウエスト布の右端部、前記肌側前身頃の左端部と、前記表側前身頃の左端部とが縫合され、左側後身頃の右端部及び左側後見頃脇の左端部と、股下布の左端部とが、前記股下布が肌側となるように縫合され、かつ、前記右側ウエスト布の左端部、前記肌側前身頃の右端部と、前記表側前身頃の右端部とが縫合され、右側後身頃の左端部及び右側後見頃脇の右端部と、股下布の右端部とが、前記股下布が肌側となるように縫合されることにより、
    前記肌側前身頃と、前記表側前身頃とが重なる重なり部を備え、かつ、前記縫着部と前記股下布から形成される、陰嚢部を露出させて保持するための開き部を備える男性用下着。
  3. 前記前身頃上端部の交点と、前記ウエスト布の背面部の交点との距離が、10~15cmである、
    請求項1又は請求項2に記載の男性用下着。
  4. 以下の工程を有する男性用下着の製造方法。
    工程A:表側前身頃の下端縁部と肌側前身頃の下端縁部とを、縫着して前身頃としたものと、股下布とを縫い合わせて、陰嚢部を露出させて保持させるための開き部を形成する工程
    工程B-1:伸縮性を有する左側ウエスト布の背面部と、伸縮性を有する右側ウエスト布の背面部とを立体的に縫い合わせて、ウエスト布を製作する工程
    工程B-2:左側後身頃の切り欠き部及び右側後身頃の切り欠き部と、左側後身頃脇及び右側後身頃脇の円弧部とをそれぞれ立体的に縫い合わせる工程
    工程B-3:左側後身頃の背面部と、右側後身頃の背面部とを立体的に縫い合わせて後身頃とする工程
    工程B-4:ウエスト布の下端部と、後身頃の上端部とを縫い合わせる工程
    工程C:工程Aで得られた前身頃と股下布とを縫い合わせた物と、工程Bで得られた後身頃とウエスト布とからなる物とを縫い合わせる工程

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