JP7380000B2 - レンズ鏡筒及びレンズ鏡筒の調芯方法 - Google Patents

レンズ鏡筒及びレンズ鏡筒の調芯方法 Download PDF

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Description

本発明は、レンズ鏡筒及びレンズ鏡筒の調芯方法に関する。
レンズ鏡筒内の特定のレンズを用いて、調芯が行われている(例えば、特許文献を参照)。このような調芯は、レンズ鏡筒を組み立てる時に行われている。
実用新案第2575116号公報
第1の態様のレンズ鏡筒は、レンズを保持するレンズ保持枠と、光軸方向において、前記レンズ保持枠と対向に配置される第1枠と、前記第1枠に設けられ、動力部と移動部を有し、前記移動部が前記動力部によって前記光軸方向に前記第1枠から離れる方向へ前記レンズ保持枠を押すことで前記第1枠に対する前記レンズ保持枠の傾きを変更する駆動部と、を備え、前記移動部は、前記動力部と前記レンズ保持枠との間に配置される構成とした。
第2の態様のレンズ鏡筒は、レンズを保持するレンズ保持枠と、光軸方向において、前記レンズ保持枠と対向に配置される第1枠と、前記第1枠に設けられ、動力部と移動部を有し、前記移動部が前記動力部によって前記光軸方向に前記第1枠から離れる方向へ前記レンズ保持枠を押すことで前記第1枠に対する前記レンズ保持枠の傾きを変更する駆動部と、光軸を中心とした周方向の3か所に配置されたコイルばねと、を備え、前記レンズ保持枠と前記第1枠との間に配置される弾性部材を備える構成とした。
カメラボディに着脱可能な交換式のレンズ鏡筒の広角端における概略断面図である。 広角端でのレンズ鏡筒を図1と異なる角度から見た概略断面図である。 図2の角度でのレンズ鏡筒の望遠端における概略断面図である。 第1実施形態における、調芯レンズ保持部を光軸OA方向マウント側から見た図である。 第1実施形態における、図4で示した調芯レンズ保持部のX1-X1概略断面図である。 図2で示す広角端の場合における、レンズ鏡筒の点線で囲んだ部分の拡大図である。 図2で示す望遠端の場合における、レンズ鏡筒の点線で囲んだ部分の拡大図である。 第1実施形態における、駆動部及び駆動部を対向枠へ取り付けるための駆動部取付フレームの斜視図である。 レンズ鏡筒の調芯制御に関する部分のブロック図である。 レンズ鏡筒の制御部の動作を示すフローチャートである。 第1実施形態において、第1調芯ピンを、光軸を中心とした円の接線方向に変位させたときの、調芯レンズの中心の移動量を説明する図である。 第1実施形態であり、(a)は調芯レンズの回転中心を説明する図、(b)は調芯レンズの中心の移動方向及び移動量を示す図である。 第2実施形態であり、調芯ピンを移動した場合の調芯レンズの中心の軌跡を説明する図であり、(a)は調芯レンズの回転中心を説明する図、(b)は調芯レンズの中心の移動方向及び移動量を示す図である。 第3実施形態であり、(a)は調芯レンズの回転中心を説明する図、(b)は調芯レンズの中心の移動方向及び移動量を示す図である。 第4実施形態の調芯レンズ保持部の概略断面図である。 第4実施形態の図15のX2-X2断面図である。 第5実施形態の調芯レンズ保持部の概略断面図である。 第5実施形態の図17のX3-X3断面図である。 第6実施形態の調芯レンズ保持部の概略断面図である。 第6実施形態の図19のX4-X4断面図である。 第7実施形態の調芯レンズ保持部の概略断面図である。 第7実施形態の図21のD-D断面図である。 第7実施形態のシフト調整ナットの拡大断面図である。 第7実施形態の図22(c)の部分拡大断面図である。 第7実施形態のリードスクリューとシフト調整ナットの係合部の部分拡大断面図である。 第8実施形態のシフト調整ナットの形状を示す図で、(a)は上面図、(b)は断面図である。 第8実施形態の駆動部のリードスクリューにシフト調整ナットを螺合させた部分拡大断面図である。 第9実施形態の調芯レンズ保持部の概略断面図である。 第9実施形態の図28のE-E断面図である。 第9実施形態のシフト調整ナットの拡大断面図である。 第9実施形態の図29(c)部の拡大断面図である。 第10実施形態の調芯レンズ保持部の概略断面図である。 第10実施形態の図32のF-F断面図である。 第10実施形態の変形例であり、調芯レンズ移動筒の後端面に球体部を設けた例である。 第11実施形態の調芯レンズ保持部の概略断面図である。 第11実施形態の図35のG-G断面図である。 第11実施形態の変形例である。 第12実施形態の調芯レンズ保持部の概略断面図である。 第12実施形態の図38のH-H断面図である。 第12実施形態の円環板ばねの正面図である。
以下、図面等を参照して、実施形態のレンズ鏡筒2について説明する。図1は、カメラボディ1に着脱可能な交換式のレンズ鏡筒2の広角端における概略断面図である。図2は、広角端でのレンズ鏡筒2を図1と異なる角度から見た概略断面図である。図3は、図2の角度でのレンズ鏡筒2の望遠端における概略断面図である。
レンズ鏡筒2は、撮影光学系(レンズL1~L4)の相対位置を変化させることで焦点距離を可変調整可能ないわゆるズームレンズである。レンズ鏡筒2は、光軸OA方向被写体側から、1群レンズL1、2群レンズL2、3群レンズL3、4群レンズ(調芯レンズL4)を有する4群レンズ構成の撮影光学系を備える。1群レンズL1はフォーカスレンズであり、2群レンズL2はブレ補正レンズである。なお、レンズ構成は上記に限定されず、例えば調芯レンズは他のレンズ(L1~L3)でもよい。また、調芯レンズが複数あってもよい。
調芯レンズL4は、光軸OAに対して、シフト方向またはチルト方向に位置調整することで像面非対称(片ぼけ)や収差の発生を防止するレンズである。片ぼけとは、像面が光軸と直交(交差)する面に対して倒れていると、画面の上下や左右で片方のピントが合い、他方がぼけるという現象である。片ぼけは、像面非対称や不対称ともいう。
また、レンズ鏡筒2は、固定筒3、カム筒5、直進群9、電磁駆動絞り110を備える。固定筒3は、レンズ鏡筒2の光軸OA方向ボディ側に配置されている。固定筒3のカメラボディ1側端部には、カメラ側マウント部と結合するレンズ側マウント部4が設けられている。カメラ側マウント部とレンズ側マウント部4との結合によってレンズ鏡筒2がカメラボディ1に装着されると、固定筒3はカメラボディ1に装着される。また、固定筒3は、外側固定筒31と、その外側固定筒31より内径に配置される内側固定筒32とを備える。
カム筒5は、外側固定筒31より内径側に配置され、光軸OA方向被写体側に延びている。カム筒5の外径側にはズームリング6が取り付けられており、ズームリング6を回転操作することにより、カム筒5を固定筒3に対して回転させることができる。カム筒5の内面には、1群カム溝51、3群カム溝53、4群カム溝54がそれぞれ3本ずつ設けられている。
カム筒5と内側固定筒32との間に直進群9が配置されている。直進群9は、1群移動筒(第1直進筒)11と、フォーカスリング(回転筒)12と、フォーカス移動筒(第2直進筒)13とを備える。
1群移動筒11は、直進群9における最も内径側に配置されている。被写体側先端の外周に直進溝112が設けられている。1群移動筒11は、内側固定筒32に設けられた直進溝(図示せず)にも係合している。
フォーカスリング12は、1群移動筒11の外径側に配置され、1群移動筒11に対して回転可能且つ1群移動筒11とともに直進する。すなわち、フォーカスリング12は1群移動筒11に対して、光軸OA方向への相対移動はしないが回転移動はする。フォーカスリング12の内面には、ヘリコイド溝121が設けられている。
フォーカス移動筒13は、1群移動筒11とフォーカスリング12との間に配置され、外面にヘリコイドねじ131が設けられている。また、内径側には、1群移動筒11の直進溝112に沿って直進移動する突部132が設けられている。
フォーカスリング12を回転させることにより、ヘリコイド溝121に沿ってヘリコイドねじ131が移動し、フォーカスリング12及び1群移動筒11に対してフォーカス移動筒13が直進する。
レンズ鏡筒2は、フォーカスエンコーダ17が設けられている。フォーカスエンコーダ17は、FPC(フレキシブルプリント基板)14と、ブラシ15とを備える。
FPC14は、1群移動筒11の外径側に貼着されており、エンコーダパターン(図示せず)が形成されている。FPC14は、内側固定筒32に取り付けられたレンズ基板120に設けられた制御部120aに接続されている(接続経路は図示せず)。
ブラシ15はフォーカスリング12に取り付けられている。フォーカスリング12が1群移動筒11に対して回転すると、ブラシ15はFPC14上を移動する。FPC14には、ブラシ15のエンコーダパターン上の位置に対応した電気的な信号が生成されて制御部120aへ送信され、制御部120aにおいてフォーカスリング12の回転量が検知される。そして、制御部120aは、このフォーカスリング12の回転量に基づいて、フォーカス移動筒13が直進移動した量を求める。これにより、1群レンズL1の位置を検出することができる。
3群カム溝53には、3群レンズL3を保持する3群レンズ保持部73に取り付けられた第3カムフォロア83が係合している。
第3カムフォロア83も、内側固定筒32に設けられた直進溝33に係合し、3群レンズL3は、カム筒5の回転によって、光軸OAに沿って直進移動する。
2群レンズL2は、2群レンズ保持部72に保持される。2群レンズ保持部72は、調芯レンズ保持部74に取り付けられている。このため、2群レンズL2及び調芯レンズL4は一体となって直進移動する。
3群レンズ保持部73の光軸OA方向被写体側には電磁駆動絞り110が設けられている。3群レンズ保持部73には、固定筒3(32)に取り付けられたレンズ基板120より電磁駆動絞り110へ駆動信号及び駆動電力を供給するためのFPC111が接続されている(図2、3参照)。
4群カム溝54には、調芯レンズL4を保持する調芯レンズ保持部74に取り付けられた第4カムフォロア84が係合する(図1参照)。調芯レンズ保持部74については後述する。
第4カムフォロア84は、内側固定筒32に設けられた直進溝33にも係合し、2群レンズL2と調芯レンズL4は、カム筒5の回転によって、光軸OAに沿って直進移動する。
撮影者がズームリング6(カム筒5)を回転させると、カム筒5の内面に設けられた3群カム溝53及び4群カム溝54に沿ってカムフォロア83、84が移動する。
この際、カムフォロア83、84は直進溝33に沿ってスライドするので、撮影光学系の2群レンズL2、3群レンズL3、調芯レンズL4は光軸OA方向に移動する。
また、1群カム溝51に沿ってカムフォロア82も移動し、直進群9も光軸OAに沿って移動する。
そして、撮影光学系全体の焦点距離が連続的に変化(ズーミング)する。撮影光学系(レンズL1~L4)の位置関係は、図1または2に示す望遠端と、図3に示す広角端との間で変化する。
ズームエンコーダ90(後述の図9に示す)は、例えば、カム筒5と固定筒3との間に配置され、ズームリング6の固定筒3に対する回転、すなわちカム筒5の固定筒3に対する回転量を検出する。
撮影者が、ズームリング6を回すと、制御部120aは、ズームエンコーダ90で検出されたズームリング6の回転量を基に、レンズ鏡筒2の現在の焦点距離を求める。
(第1実施形態)
(調芯レンズ保持部74)
次に、第1実施形態のレンズ鏡筒2について説明する。第1実施形態から後述の第2、第3実施形態のレンズ鏡筒2は、調芯レンズL4を主にシフト駆動させる形態である。
図4は、第1実施形態における調芯レンズ保持部74を光軸OA方向マウント側から見た図である。図5は、第1実施形態における、調芯レンズ保持部74の概略断面図で、上部は図4に示す光軸OAから調芯ピン161b方向に延びる直線X1Aに沿った概略断面図、下部は図4で示す光軸OAから左下のボール163方向に延びる直線X1Bに沿った概略断面図である。
調芯レンズ保持部74は、調芯レンズ移動筒101と、調芯レンズ保持枠102と、を備える。調芯レンズ保持枠102は、光軸OA方向と交差する方向(例えば、垂直な方向)に移動可能な調芯レンズL4を保持している。また、調芯レンズ移動筒101と調芯レンズ保持枠102とは対向配置されており、一体で光軸OA方向に移動する。
(調芯レンズ保持枠102)
調芯レンズ保持枠102は、調芯レンズL4の外周を保持する径方向に一定の幅を有する円環部材である。
(係合長穴115)
調芯レンズ保持枠102には、3つの係合長穴115(第1係合長穴115a、第2係合長穴115b、第3係合長穴115c)が設けられている。3つの係合長穴115の大きさは互いに略同じである。第1係合長穴115aの長径は、調芯レンズL4の中心Oから径方向に延びる直線m1に沿って延びている。言い換えると、第1係合長穴115aの長径は、後述する第1調芯ピン161aの移動方向と直交(交差)する方向に延びている。第2係合長穴115bの長径は、調芯レンズL4の中心Oから径方向に延びる直線m2に沿って延びている。言い換えると、第2係合長穴115bの長径は、後述する第2調芯ピン161bの移動方向と直交(交差)する方向に延びている。第3係合長穴115cの長径は、調芯レンズL4の中心Oから径方向に延びる直線m3に沿って延びている。
直線m1と、直線m2との互いの間の角度は略90度である。直線m3は、直線m1、m2の間の鈍角を略2等分し、それぞれに対して略135度の方向に延びている。なお、上述した角度は必ずしもぴったりでなくてもよく、数度ずれていてもよい。3つの係合長穴115(第1係合長穴115a、第2係合長穴115b、第3係合長穴115c)の、調芯レンズL4の中心Oからの径方向距離は略等しく、同一円周上に配置されている。
後述の調芯ピン161の径は、係合長穴115の長径より短く、短径と略同じ長さである。
(調芯レンズ移動筒101)
調芯レンズ移動筒101は、中央が開口した円筒部材で、調芯レンズ保持枠102側(光軸OA方向マウント側)に設けられた対向枠101aと、対向枠101aから光軸OA方向被写体側に延びて図1に示すように2群レンズ保持部72と連結しているカムフォロア連結筒101bとを備える。
(コイルばね108)
対向枠101aと調芯レンズ保持枠102との間には、対向枠101aと調芯レンズ保持枠102とを互いに近づく方向に付勢するコイルばね108が、光軸OAを中心とした所定径の円周に沿って略均等となる3カ所に取り付けられている。
(ワッシャ162、ボール163)
対向枠101aにおける調芯レンズ保持枠102側の面には、光軸OAを中心とした所定径の円周に沿って略均等となる3か所に、凹部164が設けられている。それぞれの凹部164には、ワッシャ162が配置され、ワッシャ162の調芯レンズ保持枠102側にはボール163が配置され、ボール163は調芯レンズ保持枠102と当接している。
本実施形態によると、光軸OAの周方向の略均等となる3か所に設けられた凹部164内のワッシャ162の枚数を調節することにより、対向枠101aと調芯レンズ保持枠102との間の光軸OA方向の距離の微調整が可能である。このように、調芯レンズL4の光軸OA方向の位置を調整することで、収差(例えば、球面収差や像面湾曲等)の調整をすることができる。
なお、3か所の凹部164内のワッシャ162の枚数を異ならせることで、調芯レンズL4のチルトも補正することができる。
さらに、対向枠101aと調芯レンズ保持枠102とがボール163を挟んで、互いに近づく方向にコイルばね108によって付勢されている。したがって、対向枠101aと調芯レンズ保持枠102とは、光軸OAに対して直交(交差)する方向に、互いに対して相対的且つ滑らかに移動可能となる。
(移動制限ピン165)
調芯レンズ保持枠102と対向枠101aとには、互いを貫通して一定距離以上開かないように保持する移動制限ピン165が2つ設けられている。
調芯レンズ保持枠102と対向枠101aとは、通常の状態ではコイルばね108によって互いに近づく方向に付勢され、且つ互いの間の距離はワッシャ162とボール163とによって規定されている。
このため、移動制限ピン165は、調芯レンズ保持枠102と対向枠101aとの間の距離を、通常の状態では拘束していない。
しかし、例えば落下等によって衝撃が加わり、コイルばね108の力に抗して対向枠101aに対して調芯レンズ保持枠102に、距離が広がる方向に慣性力が加わる場合が考えられる。この場合に、移動制限ピン165によって、調芯レンズ保持枠102と対向枠101aとの間の距離が所定距離以上離れないようになっている。
(位置検出部150)
対向枠101aの調芯レンズ保持枠102側の2箇所には、ホール素子107が取り付けられている。一方、調芯レンズ保持枠102の対向枠101a側の、ホール素子107に対向する位置には、マグネット109が取り付けられている。このホール素子107とマグネット109とで位置検出部150を構成している。
本実施形態で光軸OA(調芯レンズL4の中心O)から2つの位置検出部150のそれぞれへ延びる線の互いの間の角度は90度である。
(FPC112)
図4に示すように対向枠101aに取り付けられた駆動部103(後述する)への電力供給及びホール素子107からの信号の授受のためのFPC106が、図2,3に示すように対向枠101aの光軸OA方向被写体側面101cにおいてFPC112に接続されている。
FPC112は、3群レンズ保持部73に取り付けられて電磁駆動絞り110に電力及び信号を送るFPC111に接続される。上述したように、FPC111は、固定筒3(32)に取り付けられたレンズ基板120に接続されている。
これにより、レンズ基板120と、駆動部103及びホール素子107とが電気的に接続される。すなわち、レンズ基板120から駆動部103への駆動電源供給が可能となる。また、位置検出部150からレンズ基板120への信号送信が可能となるので、調芯レンズ保持枠102、即ち調芯レンズL4の対向枠101aに対する光軸OAに対して直交する方向の位置検出が可能となる。
図6は、図2で示す広角端の場合における、レンズ鏡筒2の点線で囲んだ部分Pの拡大図である。図7は図3で示す望遠端の場合における、レンズ鏡筒2の点線で囲んだ部分Pの拡大図である。
図7に示すように、レンズ鏡筒2の焦点距離が望遠端の場合、図6に示す広角端の場合よりも、調芯レンズ移動筒101と3群レンズ保持部73との間の距離が狭くなり、FPC112の折れ曲がり角度が小さくなる。
FPC112の折れ曲がり角度が変化するだけなので、FPC112が絡まったりしにくく、耐久性が向上するとともに、配線スペースも少なくてすむ。
仮に、調芯レンズ保持部74のFPC106をレンズ基板120へ直接配線する構造とすると、FPC111のような長いFPCが必要となる。
しかし、本実施形態の場合、調芯レンズ保持部74から、この調芯レンズ保持部74に対する光軸OA方向の相対移動量の小さい3群レンズ保持部73へとFPC112を延ばす。そして、この3群レンズ保持部73からは、レンズ基板120へと延びるFPC111を共用する。
本実施形態によると、FPC106をレンズ基板120へ直接接続するような長いFPCが不要であり、コストダウンやレンズ鏡筒の小型化が可能となる。また相対移動が少ないレンズ間を接続するので、FPC配線が複雑にならない。
(駆動部103)
図4に戻り、対向枠101aの調芯レンズ保持枠102側には、2つの駆動部103(103a、103b)が取り付けられている。光軸OAから2つの駆動部103a、103bへ延びる線の互いの間の角度は略90度である。
図8は、第1実施形態における、駆動部103a及び駆動部103bを対向枠101aへ取り付けるための駆動部取付フレーム105の斜視図である。本実施形態で駆動部103はステッピングモータであり、駆動部103からは、駆動部103の駆動により回転するリードスクリュー104が延びている。なお、駆動部103とリードスクリュー104と後述する移動コマ160とを合わせて駆動部と考えてもよい。
(駆動部取付フレーム105)
駆動部取付フレーム105は、リードスクリュー104の基端側と先端側とを貫通して保持するフレーム基端板105aとフレーム先端板105bと、それらを接続するフレーム側端板105cとを有する。
フレーム側端板105cはリードスクリュー104と平行に延び、側面からリードスクリュー104と反対側に折れ曲がったフレーム固定板105dが設けられている。図5に示すように、フレーム固定板105dは、対向枠101aにねじ105eで固定されている。
(移動コマ160)
リードスクリュー104には、移動コマ160が螺合している。移動コマ160は、U字型の部材で、内部にリードスクリュー104に螺合する溝が設けられている。その溝が形成された部分でリードスクリュー104を挟み、横方向に延びるU字型の両端部は互いにねじ止めされている。
(調芯ピン161)
移動コマ160の外面から調芯レンズ保持枠102側に調芯ピン161が延びている。2つの駆動部103(103a、103b)の調芯ピン161(161a、161b)は、調芯レンズ保持枠102に設けられた第1係合長穴115aと第2係合長穴115bとにそれぞれ挿入されている。
(固定ピン161c)
また、対向枠101aにおける第3係合長穴115cに対応する位置には、調芯レンズ保持枠102側に固定ピン161cが延び、第3係合長穴115cに挿入されている。
次に、レンズ鏡筒2の調芯制御について説明する。図9はレンズ鏡筒2の調芯制御に関する部分のブロック図である。図10は、レンズ鏡筒2の制御部120aの動作を示すフローチャートである。
レンズ鏡筒2は、上述の構成に加え、さらにズームリング6の回転を検出するズームエンコーダ90と、レンズ基板120に設けられている制御部120aと、調芯量記憶部120bと、調芯用の調芯レンズL4を駆動する上述のステッピングモータである駆動部103と、上述の位置検出部150と、上述の調芯レンズL4とを備える。
調芯量記憶部120bには、広角端から望遠端に亘る各焦点距離での、調芯レンズL4の最適な位置情報(第1実施形態ではシフト位置情報)が、製造時において予め記憶されている。
撮影者がズームリング6を回すと、制御部120aは、ズームエンコーダ90で検出されたズームリング6の回転量を基に、レンズ鏡筒2の現在の焦点距離を求める(ステップS1)。
制御部120aは、その焦点距離においてレンズ鏡筒2の光学性能をよくする(収差を小さくする、片ボケを小さくする)調芯レンズL4の調芯位置情報(シフト位置情報)を、調芯量記憶部120bから読み込む(ステップS2)。
制御部120aは、位置検出部150により、現在の、調芯レンズ保持枠102(調芯レンズL4)の対向枠101aに対する位置を検出する。
そして、位置検出部150によって検出された調芯レンズ保持枠102(調芯レンズL4)の検出位置と、調芯量記憶部120bに記憶されている調芯レンズL4の調芯位置とを比較する(ステップS3)。
制御部120aは、位置検出部150によって検出された調芯レンズL4の検出位置と調芯量記憶部120bに記憶されている調芯位置との位置差が閾値以下の場合(ステップS4、YES)、レンズ鏡筒2の調芯制御を終了する
位置差が閾値より大きい場合(ステップS4、NO)、調芯レンズL4の駆動量を演算する(ステップS5)。
制御部120aは、演算された駆動量に基づき、駆動部103を駆動し、リードスクリュー104を回転させる(ステップS6)。そうすると、移動コマ160、即ち調芯ピン161がリードスクリュー104に沿って進退する。すなわち、調芯ピン161は光軸OAを中心とした円周の接線方向に移動する。調芯ピン161の移動によって調芯レンズ保持枠102の係合長穴115部分も移動する。また、移動コマ160が移動すると、係合長穴115と移動コマ160とが係合している位置が変化する。つまり、係合長穴115に対して移動コマ160が係合している位置が変化する。
図11は、第1実施形態において、第1調芯ピン161aを、光軸OAを中心とした円の接線方向にδa駆動したときの、調芯レンズL4の中心Oの移動量を説明する図である。
ここで、
第1調芯ピン161aの位置:A
第2調芯ピン161bの位置:B
固定ピン161cの位置:C
第1調芯ピン161a、第2調芯ピン161b、固定ピン161cの中心Oからの距離:R
第1調芯ピン161aの駆動量:δa
位置AでのOを中心とした円の接線(第1係合長穴115aの長径と直交する線):n1
位置BでのOを中心とした円の接線(第2係合長穴115bの長径と直交する線):n2
・位置CでのOを中心とした円の接線(第3係合長穴115cの長径と直交する線):n0
接線n1と接線n2との交点:P
とする。

位置Aの第1調芯ピン161aを、光軸OAを中心とした円の接線方向にδa駆動すると、調芯レンズL4は、図示する点Dを中心として回転移動する。点Dは、接線n0と接線n2との交点である。
調芯レンズL4の、点Dを中心とした回転角Δθは、
Δθ=δa/DP
である。
ここで、
∠BDE=45°
であるので、
OE=√2R
となる。
よって、
BE=R+√2R=(1+√2)R
となる。
三角形BDEは二等辺三角形だから
BD=BE
BP=R
したがって、
DP=BD+BP
= (1+√2)R+R
=(2+√2)R
よって
Δθ=δa/((2+√2)R)=δa/(√2(1+√2)R)
調芯レンズL4が、点Dを中心に微小回転するとき、調芯レンズL4の中心Oのx方向の移動量はB点のx方向の移動量と等しい。また、調芯レンズL4の中心Oのy方向の移動量はQ点のy方向の移動量と等しい。よって

x=BD×Δθ=(1+√2)R×δa/(√2(1+√2)R)
=δa/√2

y=DQ×Δθ=R×δa/(√2(1+√2)R)
=δa/(√2(1+√2))
となる。
点Bの駆動部103bについても同様である。よって、調芯レンズL4の補正量を(δx、δy)とすると、駆動部103a、103b(第1調芯ピン161aと第2調芯ピン161b)の駆動量(δa、δb)は、以下の式で求めることができる。
Figure 0007380000000001
図12は、第1実施形態において、調芯ピン161を、光軸OAを中心とした円の接線方向に移動させた場合の調芯レンズL4の中心Oの軌跡を説明する図であり、
(a)は、調芯レンズL4の中心Oの回転中心D1、D2を説明する図であり、
(b)は、調芯ピン161を±1mm移動させたときの、調芯レンズL4の中心Oの移動方向及び移動量を示す図である。
ラインδ1は、第1調芯ピン161a(A)を駆動したとき、即ち、調芯レンズL4の回転中心が点D1の場合の、調芯レンズL4の中心Oの軌跡である。
ラインδ2は、第2調芯ピン161b(B)を駆動したとき、即ち、調芯レンズL4の回転中心が点D2の場合の、調芯レンズL4の中心Oの軌跡である。
このように、第1調芯ピン161a及び/又は第2調芯ピン161bを駆動して、調芯レンズL4を光軸OAと直交(交差)する方向に駆動する(ステップS6)。
図12(b)に示すように、第1調芯ピン161a(A)をδa=±1mm駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ1はδ1≒±0.8mmとなる。第2調芯ピン161bを±1mm駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ2はδ2≒±0.84mmとなる。
すなわち、第1調芯ピン161aまたは第2調芯ピン161bを駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量は、第1調芯ピン161aまたは第2調芯ピン161bの移動量よりも小さくなる。
ゆえに、駆動部103の分解能よりも小さな分解能で調芯レンズL4の中心Oを移動させることが可能であるので、調芯レンズL4の中心Oを、より微小に移動することができる。
このように、調芯レンズL4の中心Oを、光軸OAと直交する方向に、収差が小さくなるように移動した後、ステップ3に戻る。
なお、焦点距離に基づいて調芯レンズL4を駆動することを例に上述したが、それに限らない。例えば、撮影距離(被写体距離)に基づいて調芯レンズL4を駆動してもよい。具体的には、調芯量記憶部120bは、各撮影距離(被写体距離)での調芯レンズL4の最適な位置情報をあらかじめ記憶している。ステップS1で、制御部120aは、撮影者がフォーカスリング12を回したときにフォーカスエンコーダ17で検出されたフォーカスリング12の回転量を基に、レンズ鏡筒2の現在の撮影距離(被写体距離)を求める。ステップS2で、その撮影距離(被写体距離)における調芯レンズL4の最適な位置情報を調芯量記憶部120bから読み込む。ステップS3~ステップS6は同様である。
また、調芯レンズL4の光軸方向における位置に基づいて調芯レンズL4を駆動してもよい。その場合は、調芯レンズL4の光軸方向における位置を検出する検出部を設ける。調芯量記憶部120bは、調芯レンズL4の光軸方向における各位置での調芯レンズL4の最適な位置情報(調芯量)を記憶していればよい。また、調芯レンズL4以外のレンズでもよい。焦点距離、撮影距離、レンズの光軸方向における位置のいずれか1つに基づいて駆動部は調芯レンズL4を駆動すれば良いし、任意の組み合わせで駆動してもよい。
なお、駆動部103は対向枠101aに取り付けられている例で説明したが、調芯レンズ保持枠102に取り付けられていてもよい。この場合、第1係合長穴115a、第2係合長穴115b、第3係合長穴115cは、対向枠101aに設けられればよい。
(実施形態の効果)
以上、本実施形態によると、実際の撮影時におけるレンズ鏡筒2の状態(焦点距離や撮影距離)に応じて、光学性能がよくなるように調芯レンズL4のシフト位置を変更(調整)することができる。つまり、ユーザが使用しているときに、焦点距離や撮影距離などに応じて、調芯をすることができる。
したがって、広角端から望遠端に亘る各焦点距離や、無限遠端から至近端に亘る各撮影距離で、いずれも良好に収差や片ぼけ等を補正し、良好な光学性能を達成することができる。
第1調芯ピン161a、第2調芯ピン161b、固定ピン161cの位置関係によって、駆動部103の分解能よりも小さな分解能で調芯レンズL4の中心Oを移動させることができる。よって、調芯レンズL4の中心Oを、より微小に移動することができる。
また、光軸OAの周方向の略均等となる3か所に設けられた凹部164内のワッシャ162の枚数を調節することにより、対向枠101aと調芯レンズ保持枠102との間の光軸OA方向の距離が調整可能である。これにより、調芯レンズL4の光軸OA方向の位置を調整可能で、収差(例えば、球面収差や像面湾曲等)の調整をすることができる。
なお、3か所の凹部164内のワッシャ162の枚数を異ならせることで、調芯レンズL4のチルトも補正することができる。
さらに、対向枠101aと調芯レンズ保持枠102とがボール163を挟んで、互いに近づく方向にコイルばね108によって付勢されている。したがって、対向枠101aと調芯レンズ保持枠102とは、光軸OAに対して直交する方向に、互いに対して相対的且つ滑らかに移動可能となる。
さらに、FPC112を設けることで、レンズ鏡筒2の焦点距離が広角端と望遠端との間で変化するときに、FPC112の折れ曲がり角度が変化するだけなので、FPC112が絡まったりしにくく、耐久性が向上するとともに、配線スペースも少なくてすむ。
FPC106をレンズ基板120へ直接接続するような長いFPCが不要であり、コストダウンやレンズ鏡筒の小型化が可能となる。また相対移動が少ないレンズ間を接続するので、FPC配線が複雑にならない。
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態において、調芯ピン161を、光軸OAを中心とした円の接線方向に移動させた場合の調芯レンズL4の中心Oの軌跡を説明する図であり、(a)は、中心Oの回転中心D2を説明する図、(b)は調芯ピン161を±1mm移動させたときの、中心Oの移動方向及び移動量を示す図である。
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、固定ピン161c、第3係合長穴115cの位置である。その他の構成については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。また、第2実施形態と第1実施形態は同様の符号を用いる。
第2実施形態において固定ピン161c(第3係合長穴115c)は、第1調芯ピン161a(第1係合長穴115a)と光軸OAを中心として略90度の位置で、第2調芯ピン161b(第2係合長穴115b)に対して光軸OAを中心として対称の位置(略180°の位置)に配置されている。
第2実施形態において、第1調芯ピン161a(A)の駆動量δaと、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ1との関係は、
δa:δ1=1:1
である。すなわち、第1調芯ピン161a(A)をδa=±1mm駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ1はδ1=±1mmとなる。
第2実施形態において、第2調芯ピン161b(B)の駆動量δbと、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ2との関係は、
δb:δ2=1:1/√2
である。すなわち、第2調芯ピン161b(B)を±1mm駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ2はδ2≒±0.71mmとなる。
以上、第2実施形態においては、第1調芯ピン161aを駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量と第1調芯ピン161aの移動量とを同じにすることができる。そのため、制御がしやすい。また、第2調芯ピン161bを駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量は、第2調芯ピン161bの移動量よりも小さくすることができる。よって、調芯レンズL4を微細に制御できる。なお、第2実施形態における、その他の効果は、第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態において、調芯ピン161を光軸OAを中心とした円の接線方向に移動させた場合の調芯レンズL4の中心Oの軌跡を説明する図であり、(a)は、調芯レンズL4の中心Oの回転中心D1、D2を説明する図、(b)は調芯ピン161を±1mm移動させたときの、調芯レンズL4の中心Oの移動方向及び移動量を示す図である。
第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、第1調芯ピン161a(第1係合長穴115a)と固定ピン161c(第3係合長穴115c)の位置である。その他の構成については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。また、第3実施形態と第1実施形態は同様の符号を用いる。
第3実施形態において第1調芯ピン161a(第1係合長穴115a)は第2調芯ピン161b(第2係合長穴115b)に対して光軸OAを中心として対称の位置(180°の位置)に配置されている。
固定ピン161c(第3係合長穴115c)は、第1調芯ピン161aと第2調芯ピン161bとの間、即ち、第1調芯ピン161aと第2調芯ピン161bとに対して光軸OAを中心として90度の位置に配置されている。
第3実施形態において、第1調芯ピン161a(A)の駆動量δaと、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ1との関係は、
δa:δ1=1:1/√2
である。すなわち、第1調芯ピン161a(A)をδa=±1mm駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ1はδ1≒±0.71mmとなる。
第3実施形態において、第2調芯ピン161b(B)の駆動量δaと、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ2との関係は、
δb:δ2=1:1/√2
である。すなわち、第2調芯ピン161b(B)を±1mm駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量δ2はδ2≒±0.71mmとなる。
以上、第3実施形態においては、第1調芯ピン161aまたは第2調芯ピン161bを駆動した場合、調芯レンズL4の中心Oの移動量は、第1調芯ピン161aまたは第2調芯ピン161bの移動量よりも小さくすることができる。また、図14(b)に示すようにδ1とδ2の軌跡が略直交するため、制御の計算がシンプルになり、制御がしやすい。なお、第3実施形態における、その他の効果は、第1実施形態と同様である。
以上、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態に示したように、第1調芯ピン161a(第1係合長穴115a)、第2調芯ピン161b(第2係合長穴115b)、第3調芯ピン161c(第3係合長穴115c)の位置関係を変えることにより、調芯レンズL4の中心Oの移動のストロークと分解能を変えることができるので、用途に応じて使い分けが可能である。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態のレンズ鏡筒について説明する。図15は、調芯レンズ保持部474の概略断面図である。図16は、図15のX2-X2断面図である。
第4実施形態のレンズ鏡筒が第1実施形態のレンズ鏡筒と異なる点は、駆動部403により調芯レンズ保持枠402を光軸OAに対しチルトさせる点である。つまり、駆動部403により調芯レンズL4の光軸OAに対する傾きを変更させる。以下、相違点について説明し、同様な部分の説明は省略する。
対向枠401aと、調芯レンズ保持枠402は、チルトさせるのに必要な隙間を有して嵌合している。
対向枠401aにおける、調芯レンズ保持枠402と逆側(光軸OA方向被写体側)の面401cには、周方向の略均等な3か所に、調芯レンズ保持枠402の方向に延びる有底の駆動部保持用凹部401dが設けられている。駆動部保持用凹部401dの底面には、調芯レンズ保持枠402側まで貫通した貫通孔401eが設けられている。
図16に示すように、貫通孔401eの先端の、光軸OAとの直交方向断面は略矩形であるが、光軸OAから略径方向に延びる2辺401e1は互いに平行で、光軸OAに対する径方向内側と外側となる対向する1組の辺401e2は外側に凸状に湾曲している。
(位置検出部)
対向枠401aの、調芯レンズ保持枠402側(光軸OA方向マウント側)の面401gにおける、貫通孔401eの外径側には、調芯レンズ保持枠402側に突出した突出部401fが設けられている。
また、調芯レンズ保持枠402には、対向枠401a側に突出した突出部402aが設けられている。突出部401fは、突出部402aの内径側に位置している。
調芯レンズ移動筒401の光軸OA方向マウント側の外周を囲むようにFPC(フレキシブルプリント基板)106が配置されている。突出部401fの外径側を延びるFPC106の外径側にはホール素子407が取り付けられている。
一方、突出部402aの内径側には、マグネット409が取り付けられている。ホール素子407とマグネット409とで位置検出部450を構成している。位置検出部450は、対向枠401aと調芯レンズ保持枠402との位置関係を検出する。
FPC106は、第1実施形態と同様に、対向枠401aの光軸OA方向被写体側面401cにおいてFPC112に接続されている。
FPC112は3群レンズ保持部73に取り付けられて電磁駆動絞り110に電力及び信号を送るFPC111に接続され、FPC111は、固定筒3(32)に取り付けられたレンズ基板120に接続されている。
(駆動部403)
対向枠401aの3つの駆動部保持用凹部401dのそれぞれの内部には、駆動部403が配置されて固定されている。なお、3つの駆動部403(すなわち駆動部保持用凹部401d)は、光軸OAを中心とした周方向に略均等に互いの間の角度が約120°の関係で配置されている。
本実施形態で駆動部403はステッピングモータで、駆動部403から貫通孔401eを通って調芯レンズ保持枠402側にリードスクリュー404が延びている。駆動部403の駆動によりリードスクリュー404は回転する。なお、駆動部403とリードスクリュー404と後述するチルト調整ナット405とを合わせて駆動部と考えてもよい。
(チルト調整ナット405)
それぞれのリードスクリュー404には、チルト調整ナット405が螺合されている。チルト調整ナット405は、駆動部403と調芯レンズ保持枠402との間に配されている。チルト調整ナット405は、内面がねじ切りされ、リードスクリュー404に対して相対回転可能に螺合されている。チルト調整ナット405の先端側には丸く加工された当接部405aが設けられている。
チルト調整ナット405の側面は、貫通孔401eの先端の断面形状と略同様の形状で、略矩形で光軸OAから略径方向に延びる2辺が互いに平行で、径方向内側と外側となる対向する1組の辺が外側に凸状に湾曲している。
貫通孔401eの光軸OAから略径方向に延びる互いに平行な2辺401e1と、チルト調整ナット405の側面の互いに平行な2辺とによって、回転止め構造が形成されている。
チルト調整ナット405はリードスクリュー404が回転したときに、この回転止め構造により直進案内されて回転せずに光軸OA方向に進退移動する。
そして、3つのチルト調整ナット405の先端に設けられた当接部405aの光軸OA方向の位置により、調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の光軸OAに対する傾きが調整可能である。つまり、チルト調整ナット405が光軸方向に移動すると、当接部405aが調芯レンズ保持枠402の一部分を押すので、調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の光軸OAに対する傾きを調整することができる。チルト調整ナット405は、調芯レンズ保持枠402を対向枠401aに対して駆動して、調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の光軸OAに対する傾きを変更する。
このとき、位置検出部450である、対向枠401aにおける周方向の3か所に取り付けられたホール素子407と、調芯レンズ保持枠402の周方向の3か所に取り付けられたマグネット409とにより、調芯レンズ保持枠402の対向枠401aに対する位置、傾きが検出可能である。
(コイルばね408)
図15に示すように、対向枠401aと調芯レンズ保持枠402との間には、対向枠401aと調芯レンズ保持枠402とを互いに近づく方向に付勢するコイルばね408が、光軸OAを中心とした所定径の円周に沿って略均等となる3カ所に取り付けられている。これにより、対向枠401aと調芯レンズ保持枠402とのガタを少なくできる。また、コイルばね408が対向枠401aと調芯レンズ保持枠402とを互いに近づく方向に付勢しているので、調芯レンズ保持枠402をチルト調整ナット405の当接部405aに当接させることができる。
第4実施形態において、図9に示す調芯量記憶部120bには、広角端から望遠端に亘る各焦点距離での、調芯レンズL4の最適な調芯位置情報(チルト位置情報)が、製造時において予め記憶されている。
そして、第1実施形態の図10と同様のフローに従い、レンズ鏡筒のチルト方向の調芯制御が行われる。
すなわち、撮影者がズームリング6を回すと、制御部120aは、ズームエンコーダ90で検出されたズームリング6の回転量を基に、レンズ鏡筒2の現在の焦点距離を求める。(ステップS1)
制御部120aは、その焦点距離においてレンズ鏡筒2の光学性能をよくする(収差を小さくする、片ボケを小さくする)調芯レンズL4の調芯位置情報(チルト位置情報)を、調芯量記憶部120bから読み込む。(ステップS2)
制御部120aは、位置検出部450により、現在の、調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の対向枠401aに対する位置を検出する。
そして、位置検出部450によって検出された調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の検出位置と、調芯量記憶部120bに記憶されている調芯レンズL4の調芯位置とを比較する。(ステップS3)
制御部120aは、位置検出部450によって検出された調芯レンズL4の検出位置と調芯量記憶部120bに記憶されている調芯位置との位置差が閾値以下の場合(ステップS4、YES)、レンズ鏡筒2の調芯制御を終了する
位置差が閾値より大きい場合(ステップS4、NO)、調芯レンズL4の駆動量を演算する。(ステップS5)
制御部120aは、演算された駆動量に基づき、3つの駆動部403のうち少なくとも1つを駆動し、リードスクリュー404を回転させる(ステップS6)。そうすると、チルト調整ナット405がリードスクリュー404に沿って進退する。3つの駆動部403を駆動してもよい。
これにより、レンズ鏡筒のチルト方向の調芯制御が行われる。このように、調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の傾きを変更した後にステップS3へ戻る。
なお、焦点距離に基づいて調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の傾きを変更することを例に説明したが、これに限らない。例えば、撮影距離(被写体距離)に基づいて調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の傾きを変更してもよい。具体的には、調芯量記憶部120bは、各撮影距離(被写体距離)での保持枠402(調芯レンズL4)の最適なチルト位置情報をあらかじめ記憶している。ステップS1で、制御部120aは、撮影者がフォーカスリング12を回したときにフォーカスエンコーダ17で検出されたフォーカスリング12の回転量を基に、レンズ鏡筒2の現在の撮影距離(被写体距離)を求める。ステップS2で、その撮影距離(被写体距離)における調芯レンズL4の最適なチルト位置情報を調芯量記憶部120bから読み込む。ステップS3~ステップS6は同様である。
また、調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の光軸方向における位置に基づいて調芯レンズ保持枠402(調芯レンズL4)の傾きを変更してもよい。その場合は、調芯レンズL4の光軸方向における位置を検出する検出部を設ける。調芯量記憶部120bは、調芯レンズL4の光軸方向における各位置での調芯レンズL4の最適なチルト位置情報(調芯量)を記憶していればよい。また、調芯レンズL4以外のレンズでもよい。焦点距離、撮影距離、レンズの光軸方向における位置のいずれか1つに基づいて駆動部は調芯レンズL4を駆動すれば良いし、任意の組み合わせで駆動してもよい。
なお、駆動部403は対向枠401aに取り付けられている例で説明したが、調芯レンズ保持枠402に取り付けられていてもよい。この場合、当接部405aが対向枠401aを押して、調芯レンズ保持枠402の光軸OAに対する傾きを調整することができる。
以上、本実施形態によると、実際の撮影時におけるレンズ鏡筒の焦点距離や撮影距離に応じて、光学性能がよくなるように調芯レンズL4の光軸OAに対するチルト位置(傾き)を変更することができる。言い換えると、調芯レンズL4の位置や、調芯レンズL4と他のレンズとの位置関係に応じて、調芯レンズL4を光軸OAに対してチルトさせ、光学性能がよくなるように調芯することができる。
したがって、無限遠端から至近端に亘る各撮影距離や、広角端から望遠端に亘る各焦点距離でいずれも良好に収差や片ぼけ等を補正し、良好な光学性能を達成することができる。
第4実施形態では、駆動部403を光軸OAを中心とした3か所に設けた。この駆動部403を駆動して3か所のチルト調整ナット405の当接部405aを同量移動すれば、調芯レンズL4の光軸OA方向の位置を調整可能である。光軸OA方向の位置を調整して光学性能が良くなるように調芯動作を行っても良い。
また、チルト調整のみ行うのであれば、駆動部403を2か所とし、残り1か所は駆動部を廃止して固定の球状の突出部を設け、調芯レンズ保持枠402を受けるようにしてもよい。これによりコストダウンが可能となる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態のレンズ鏡筒について説明する。図17は、調芯レンズ保持部574の概略断面図である。図18は、図17のX3-X3断面図である。
第5実施形態のレンズ鏡筒が第4実施形態のレンズ鏡筒と異なる点は、駆動部503がステッピングモータでなく、直動型モータ(リニアアクチュエータ)である点である。以下、相違点について説明し、同様な部分の説明は省略する。
(駆動部503)
駆動部503は、軸方向に伸縮する電気機械変換素子である圧電素子503bと、その光軸OA方向被写体側に取り付けられた固定部503aとを備える。
固定部503aは対向枠501aに固定されている。このため圧電素子503bの伸縮による変位は、圧電素子503bの光軸OA方向マウント側に延びる駆動軸504に発生する。なお、圧電素子503bと固定部503aと駆動軸504と後述するチルト調整筒505とで駆動部と考えてもよい。
(チルト調整筒505)
この駆動軸504にはチルト調整筒505が嵌合している。
チルト調整筒505は、円筒部と、円筒部の先端に設けられた半球面状の当接部505aとを備える。円筒部は、駆動軸504と嵌合し、摩擦力によって係合されている。
駆動部503が通電されて圧電素子503bが軸方向に振動すると、この振動によって駆動軸504が光軸OA方向に往復移動する。
このとき、駆動軸504の振動速度が低速の場合、駆動軸504に摩擦係合されているチルト調整筒505も振動に追従して移動する。
また、駆動軸504の振動速度が高速になると、チルト調整筒505は駆動軸504に追従せずに光軸OA方向へ移動しなくなる。
駆動軸504を、このように低速と高速との異なる速度で光軸OA方向に振動を繰返し行うことで、チルト調整筒505を駆動軸504の光軸OA方向に移動させることが可能となる。なお、駆動軸504への通電を停止すると、チルト調整筒505はその位置で静止する。これにより、チルト調整筒505が調芯レンズ保持枠502の一部を押して、調芯レンズL4の傾きを変更することができる。
第5実施形態では駆動軸504及びチルト調整筒505は回転しないので、第4実施形態のような回転止め構造を設けて直進ガイドをしなくてもよい。したがって、貫通孔501eとチルト調整筒505の断面形状は、円形にすることができる。
貫通孔501eの内径とチルト調整筒505の外径との間には、若干の隙間が設けられている。このため、チルト調整筒505の光軸OA方向の移動がチルト調整筒505との摩擦によって妨げられることはない。
第5実施形態においても、第4実施形態と同様に、図9に示す調芯量記憶部120bには、広角端から望遠端に亘る各焦点距離や各被写体距離(撮影距離)、又は調芯レンズL4の光軸方向における位置での、調芯レンズL4の最適な調芯位置情報(チルト位置情報)が、製造時において予め記憶されている。
そして、第1実施形態から第4実施形態のように、図10と同様のフローに従い、レンズ鏡筒のチルト方向の調芯制御が行われる。なお、駆動部503は対向枠501aに設けられる例を説明したが、調芯レンズ保持枠502に設けられてもよい。この場合、チルト調整筒505は、対向枠501aの一部を押して、調芯レンズL4の傾きを変更することができる。
以上、本実施形態によると、実際の撮影時におけるレンズ鏡筒2の焦点距離や撮影距離(被写体距離)に応じて、光学性能が良くなるように調芯レンズL4のチルト位置(傾き)を変更することができる。
したがって、無限遠端から至近端に亘る各撮影距離や、広角端から望遠端に亘る各焦点距離でいずれも良好に収差や片ぼけ等を補正し、良好な光学性能を達成することができる。
また、本実施形態においても、また、チルト調整筒505を3箇所同量移動調整すれば、調芯レンズL4の光軸OA方向の位置を調整することができる。3群レンズL3との群間隔が調整できるので、それにより球面収差や像面湾曲等の各種収差の調整が可能となる。
なお、チルト調整のみ行うのであれば、駆動部503を2か所とし、残り1か所は駆動部を廃止して固定の球状の突出部を設け、調芯レンズ保持枠502を受けるようにしてもよい。これによりコストダウンが可能となる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態のレンズ鏡筒について説明する。図19は、調芯レンズ保持部674の概略断面図である。図20は、図19のX4-X4断面図である。
第6実施形態は、第4実施形態に設けられたチルト調整用の駆動部603に第1実施形態のシフト駆動用の駆動部653(653a、653b)を加えたものである。
すなわち、第4実施形態と同様に、調芯レンズ保持部674の対向枠601aにおける、調芯レンズ保持枠602と逆側(光軸OA方向被写体側)の面601cには、周方向の略均等な3か所に、調芯レンズ保持枠602の方向に延びる有底の駆動部保持用凹部601dが設けられている。駆動部保持用凹部601dの底面には、調芯レンズ保持枠602側まで貫通した貫通孔601eが設けられている。
図20に示すように、貫通孔601eの先端の、光軸OAとの直交方向断面は略矩形であるが、光軸OAから略径方向に延びる2辺601e1は互いに平行で、光軸OAに対する径方向内側と外側となる対向する1組の辺601e2は外側に凸状に湾曲している。
(駆動部603)
対向枠601aの3つの駆動部保持用凹部601dのそれぞれの内部には、駆動部603が配置されて固定されている。
本実施形態で駆動部603はステッピングモータで、駆動部603から貫通孔601eを通って調芯レンズ保持枠602側にリードスクリュー604が延びている。駆動部603の駆動によりリードスクリュー604は回転する。
(チルト調整ナット605)
それぞれのリードスクリュー604には、チルト調整ナット605が螺合されている。
ただし、調芯レンズ保持部674に配置されたチルト調整ナット605の先端部605aは、第4実施形態と異なり平坦であり、調芯レンズ保持枠602に直接当接していない。
調芯レンズ保持枠602とチルト調整ナット605の先端部605aとの間には、ボール608が配置されている。ボール608を介して、チルト調整ナット605の先端部605aは調芯レンズ保持枠602を光軸OA方向に押圧する。
チルト調整ナット605の側面は、貫通孔601eの先端の断面形状と略同様の形状で、略矩形で光軸OAから略径方向に延びる2辺が互いに平行で、径方向内側と外側となる対向する1組の辺が外側に凸状に湾曲している。
貫通孔601eの光軸OAから略径方向に延びる互いに平行な2辺601e1と、チルト調整ナット605の側面の互いに平行な2辺とによって、回転止め構造が形成されている。
チルト調整ナット605はリードスクリュー604が回転したときに、光軸OA方向に進退移動する。そうすると、3つのチルト調整ナット605の先端に配置されたボール608も光軸OA方向に進退移動する。そして、ボール608の光軸OA方向の位置により、調芯レンズ保持枠602の光軸OAに対する傾きが調整可能である。
また、第1実施形態と同様に、調芯レンズ保持枠602には、3つの係合長穴(第1係合長穴615a、第2係合長穴615b、第3係合長穴615c)が設けられている。
(位置検出部150)
対向枠601aの調芯レンズ保持枠602側の2箇所には、ホール素子607が取り付けられている。一方、調芯レンズ保持枠602の対向枠601a側の、ホール素子607に対向する位置には、マグネット659が取り付けられている。
(駆動部603)
対向枠601aの調芯レンズ保持枠602側には、2つの駆動部653(653a、653b)が取り付けられている。
駆動部653はステッピングモータであり、駆動部653からは、駆動部653の駆動により回転するリードスクリュー654(654a、654b)が延びている。
(移動コマ660)
リードスクリュー654には、移動コマ660(660a、660b)が取り付けられている。移動コマ660の外面から調芯レンズ保持枠602側に調芯ピン661(661a、661b)が延びている。調芯ピン661a、661bはそれぞれ、上述の第1係合長穴615a、第2係合長穴615bに挿入されている。
(固定ピン661c)
また、対向枠601aにおける上述の第3係合長穴615cに対応する位置には、調芯レンズ保持枠602側に固定ピン661cが延び、第3係合長穴615cに挿入されている。
第6実施形態においては、図9に示す調芯量記憶部120bには、広角端から望遠端に亘る各焦点距離での、調芯レンズL4の最適なシフト位置情報及びチルト位置情報が、製造時において予め記憶されている。
そして、第1実施形態の図10と同様のフローに従い、レンズ鏡筒のシフト方向及びチルト方向の調芯制御が行われる。
以上、第6実施形態においても、第1実施形態等と同様に、実際の撮影時におけるレンズ鏡筒2の焦点距離及び撮影距離に応じて、光学性能がよくなるように調芯レンズL4のシフト位置を変更することができる。
また、第4実施形態等と同様に、実際の撮影時におけるレンズ鏡筒2の焦点距離及び撮影距離に応じて、光学性能がよくなるように調芯レンズL4のシフト及びチルト位置を変更することができる。
したがって、無限遠端から至近端に亘る各撮影距離や、広角端から望遠端に亘る各焦点距離でいずれも良好に収差や片ぼけを補正し、良好な光学性能を達成することができる。
また、本実施形態においても、また、チルト調整ナット605を3箇所同量移動調整すれば、調芯レンズL4の光軸OA方向の位置を調整することができる。これにより、3群レンズL3との群間隔が調整できるので、球面収差や像面湾曲等の収差の調整が可能となる。
なお、チルト調整のみ行うのであれば、駆動部603を2か所とし、残り1か所は駆動部を廃止して固定のボール受け部を設け、調芯レンズ保持枠602を受けるようにすれば良く、これによりコストダウンが可能となる。
本実施形態で調芯レンズ保持枠602は、コイルばね609により付勢された状態で、ボール608を介して対向枠601aに当接しているので、シフト及びチルト調整をがたつくことなくスムーズに行うことができる。
(変形形態)
上述の実施形態で調芯量記憶部は、調芯レンズL4の各焦点距離での最適な位置情報を記憶するものであるが、本発明はこれに限らない。各焦点距離での最適な位置情報に加えて、あるいはその代わりに、無限遠端から至近端に亘る各撮影距離での、調芯レンズL4の最適な位置情報を記憶しているものであってもよい。
上述の実施形態で光軸OA方向の最もカメラボディ側のレンズが調芯レンズであるが、これに限らず、どの位置のレンズであってもよい。
第4,5,6実施形態では駆動部を3か所に設けたが、これに限らず、2箇所であってもよい。また、第1,2,3実施形態では駆動部を2箇所にしたが、これに限らず、固定点Cにも駆動部を配置して3か所としても良い。
上述の実施形態においては、駆動部を調芯レンズ移動筒側に設けたが、これに限らず、駆動部を調芯レンズ保持枠側に設けてもよい。
また、ホール素子を調芯レンズ移動筒側に、マグネットを調芯レンズ保持枠側に設けたが、これに限らず、ホール素子を調芯レンズ保持枠側に、マグネットを調芯レンズ移動枠側に設けても良い。
第1~第3実施形態、第6実施形態において駆動部としてステッピングモータを用いたが、これに限定されず超音波モータやリニアモータでもよい。なお、ステッピングモータを用いた場合は、通電していない場合においても、リードスクリュー104の位置を保持することができる。なお、駆動部の軸部が回転しない場合は、回転止め構造を省略することができる。
上述の実施形態においてはカメラボディとレンズ鏡筒とが着脱可能な形態について説明するが、これに限定されず、カメラボディとレンズ鏡筒とは一体型であってもよい。
上述の実施形態においては、駆動部に接続するFPCを、電磁駆動絞りが接続された3群レンズ保持部に接続した。しかし、レンズ構成によっては、ブレ調芯レンズ等の他の部材が取り付けられたレンズ保持部に接続してもよい。
調芯レンズとして手ブレ補正レンズを用いることも可能である。ただし、一般的に手ブレ補正レンズは、収差に対する影響が小さい場合が多いので、手ブレ補正レンズ以外の収差に対する影響が比較的大きなレンズを用いて調芯を行うことが考えられる。
上述した角度は必ずしもぴったりでなくてもよい。例えば90度と記載されていても、多少の誤差を含んでいてよい。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態のレンズ鏡筒について説明する。図21は、第7実施形態の調芯レンズ保持部774の概略断面図である。図22は、図21のD-D断面図である。
なお、図21は、図22においてa1から始まってコイルばね712、長V溝710及びマグネット715、光軸OA、円錐穴708及びマグネット715を通りa2までの関係が分かるように記載した概略断面図である。
図22の(b)は(a)のb1から始まってホール素子714、コイルばね712を通ってb2までの関係が分かるように記載した概略断面図、(c)は(a)のc線に沿った概略断面図である。
図23は、シフト調整ナット705の拡大断面図である。図24は、図22(c)の部分拡大断面図である。図25は、リードスクリュー704とシフト調整ナット705の係合部を示す図24に対する部分拡大断面図である。なお、以下の説明において、光軸OA方向被写体側を前、光軸OA方向カメラボディ側を後として説明する。
調芯レンズ移動筒701の後端面には、例えばステッピングモータである駆動部703が2ヶ所に固定されている。
駆動部703からは、図22に示すように、光軸OAを中心とした円の接線方向にリードスクリュー704が延びている。駆動部703のリードスクリュー704には、図25に示すように部分的にねじ部706が設けられたシフト調整ナット705が螺合している。
駆動部取付フレーム703aは、図22に示すようにリードスクリュー704の基端側を貫通して保持するフレーム基端板703aaと、先端側とを貫通して保持するフレーム先端板703abと、それらを接続するとともにリードスクリュー704と平行に延びるフレーム側端板703acとを有する。
図23に示すように、シフト調整ナット705には開口部707が設けられ、開口部707の底部(図23における上部)には、ねじ部706が図25に示すように部分的に設けられている。
シフト調整ナット705は、リードスクリュー704に対して後側から取り付け、ねじ部706をリードスクリュー704のねじ部と螺合させる。
シフト調整ナット705における開口部707が設けられている側と反対側の後端面(図23における上側の面)には、円錐穴708が設けられている。図21に示すように、円錐穴708に配置されたボール709は、円錐穴708の内面と、調芯レンズ保持枠702の前端面に設けられた長V溝710の内面と当接している。
なお、図22に二点鎖線で示すように長V溝710は、調芯レンズ保持枠702の前端面の3ヶ所に設けられている。ボール709も同様に3か所に配置されている。ボール709のうちの2ヶ所(図中下と右)はシフト調整ナット705の円錐穴708にはめ込まれ、他の1ヶ所(図中左上)は調芯レンズ移動筒701の後端面に設けられた円錐穴711にはめ込まれている。
調芯レンズ移動筒701の後端面と調芯レンズ保持枠702の前端面との間には、円周方向の3ヶ所に、コイルばね712が取り付けられている。コイルばね712によって、調芯レンズ保持枠702は調芯レンズ移動筒701に対して、光軸OA方向前方にボール709、シフト調整ナット705及びリードスクリュー704、又はボール709のみを介して付勢されている。
図22の(a),(b)に示すように、調芯レンズ移動筒701の後端部にはFPC713が延び、FPC713上の図中上側と左側の2箇所には、ホール素子714が取り付けられている。
調芯レンズ保持枠702の前端面の2ヶ所における、調芯レンズ移動筒701のホール素子714と対向する部分には、マグネット715が取り付けられており、調芯レンズ移動筒701に対する調芯レンズ保持枠702の光軸OAと直交する面の互いに交差する2方向のシフト移動量を検出している。
図24は、図22(c)の拡大図で、リードスクリュー704と部分的に螺合するシフト調整ナット705の円錐穴708にはめ込まれたボール709と、調芯レンズ保持枠702の長V溝710との係合部を示す。
図25に示すように、シフト調整ナット705のねじ部706は、リードスクリュー704の長さ方向の全体にわたって設けられていない。間にねじ部706が形成されていない領域(隙間S)を挟んで、長さ方向の一方と他方に形成されている。一方のねじ部706a内でのピッチ、他方のねじ部706b内でのピッチ、及びリードスクリュー704のピッチはそれぞれPである。
しかし、一方のねじ部706aと他方のねじ部706bとの間の隙間Sの長さは、Pの整数倍ではない。なお、隙間Sとは、一方のねじ部側の最後の山の頂点と、他方のねじ部側の最後の山の頂点との間である。
図示するように隙間Sにはリードスクリューの山が4つ入り、リードスクリューの山4つの長さは4Pである。しかし、隙間Sの長さは4Pよりも2×ΔPだけ長い。
したがって、本実施形態によると、コイルばね712によって図25中矢印の方向にシフト調整ナット705がリードスクリュー704に対し付勢されたときに、シフト調整ナット705のねじ部706aの図中右側の面はリードスクリュー704のねじ部の図中左側の面と接している。そして、シフト調整ナット705のねじ部706bの図中左側の面はリードスクリュー704のねじ部の図中右側の面と接している。
すなわち、ガタが生じないので、リードスクリュー704が回転してシフト調整ナット705を右側に移動させるときも、左側に移動させるときも、空回りは生じない。
以上、本実施形態によると、調芯レンズ移動筒701に対して調芯レンズ保持枠702をシフト調整する際、構成部材間の各係合部のガタが生じていないので、高精度なシフト調整が可能となり、光学性能を向上させることができる。
また、上述の実施形態度と同様に、シフト調整ナット705のそれぞれのシフト移動により調芯レンズ移動筒701に対する調芯レンズ保持枠702すなわち調芯レンズL4のシフトを調整することができるので、収差などの光学性能不良を改善することができる。
また、シフト調整時はボール709が長V溝710に対して転動するので摩擦抵抗が小さくなり、駆動部703の駆動負荷が低減され、消費電力が少なくて済む。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。第8実施形態は、第7実施形態とシフト調整ナットの形状が異なる。その他の構成は同様であるので同様な部分の説明は省略する。図26は第8実施形態のシフト調整ナット816の形状を示す図で、(a)は上面図、(b)は断面図である。図27は、駆動部(図示せず)のリードスクリュー804にシフト調整ナット816を螺合させた部分拡大断面図である。
リードスクリュー804には、部分的にねじ部817が設けられたシフト調整ナット816が螺合している。シフト調整ナット816には、開口部818が設けられている。
また、シフト調整ナット816における開口部818が設けられている側と反対側の後端面(図26における上側の面)には円錐穴819及びスリット820が設けられている。なお、シフト調整ナット816の材質は、適度な弾性を有すると共に摩擦係数が小さく、成形加工が容易なPOMなどが好適である。
スリット820は、図26(a)に示すように、光軸OAと直交する方向に延びている。すなわち、図26(b)に示すように、シフト調整ナット816における、スリット820が設けられている部分はシフト調整ナット816の厚さが他の部分と比べて薄い厚さtとなっている。
従って、シフト調整ナット816は図26(b)の矢印で示すようにスリット820の上部の間隔が開き、シフト調整ナット816の下の両端が下方に移動するように変形しやすい。
図27に示すように、円錐穴819に配置されたボール809は、円錐穴819の内面と、調芯レンズ保持枠802の前端面に設けられた長V溝810の内面と当接している。
ここで、リードスクリュー804にシフト調整ナット816を螺合させた場合、構成部品の加工精度誤差の累積により、図27の左側断面のように駆動部の駆動部取付フレームのフレーム側端板803acの上面とシフト調整ナット816の下面との間に隙間dが発生することがある。
駆動部が駆動されてリードスクリュー804が回転すると、駆動部の駆動部取付フレームのフレーム側端板803acの上面とシフト調整ナット816の下面との間に隙間dがない場合、同時にシフト調整ナット816はリードスクリュー804の回転と同時に軸方向に移動する。
しかし、隙間dが生じていると、シフト調整ナット816は隙間dの分だけ回転する。そして、シフト調整ナット816の下面の一部がフレーム側端板803acの上面と当接して回転が止まってから、シフト調整ナット816は軸方向に移動を開始する。
従って、リードスクリュー804の回転開始からシフト調整ナット816の軸方向への移動開始の間に遅れが発生する。このため、駆動部の駆動による調芯レンズ保持枠802の駆動、すなわち調芯レンズL4のシフト調整を行う際の調整誤差となる。
本実施形態では、調芯レンズ保持枠802に対するコイルばねの付勢力により、図27の右側断面のようにボール809が矢印A1の方向に付勢されると、シフト調整ナット816の円錐穴819の内面が押圧される。
そうすると、シフト調整ナット816における、スリット820の部分の厚さが薄い厚さtであるので、シフト調整ナット816はスリット820の上部の間隔が開き、シフト調整ナット816の下の両端が下方に移動するように変形しやすい。
したがって、図中A2で示すように、シフト調整ナット816が弾性変形してスリット820の上部の間隔が開き、シフト調整ナット816の下部の両端が下方に移動するように変形する。
そして、調芯レンズ保持枠802の下部の角部Pが駆動部のフレーム側端板803acと当接し、隙間dがなくなる。
ゆえに、駆動部が駆動されてリードスクリュー804が回転したとき、駆動部の駆動部取付フレームのフレーム側端板803acの上面とシフト調整ナット816の下面との間に隙間dがないので、リードスクリュー804の回転と同時にシフト調整ナット816はリードスクリュー804の回転と同時に軸方向に移動する。
したがって、本実施形態によると、駆動部の駆動により調芯レンズ保持枠802すなわち調芯レンズL4のシフト調整を行う際、高精度なシフト調整が可能となり、光学性能が向上する。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態のレンズ鏡筒について説明する。
図28は、第9実施形態の調芯レンズ保持部974の概略断面図である。
図29は、第9実施形態の図28のE-E断面図である。
なお、図28は図29において、a1から始まって、コイルばね912、左長V溝910及び球体部908、光軸OA、球体部909を通りa2までの位置関係が分かるように記載した概略断面図である。
図29の(b)は(a)のb1から始まってホール素子914、コイルばね912を通りb2までの位置関係が分かるように記載した概略断面図、(c)は(a)のc線に沿った断面図である。
図30は、シフト調整ナット905の拡大断面図である。図31は、図29(c)部の拡大断面図である。
調芯レンズ移動筒901の後端面には、例えばステッピングモータである駆動部903が2ヶ所に固定されている。
駆動部903からは光軸OAを中心とした円の接線方向にリードスクリュー904が延びている。リードスクリュー904の先端は、駆動部903の駆動部取付フレーム903aに取り付けられている。また、駆動部903のリードスクリュー904には、部分的にねじ部906が設けられたシフト調整ナット905が螺合している。
シフト調整ナット905には開口部907が設けられ、開口部907の底部(図30における上部)には、ねじ部906が部分的に設けられている。
シフト調整ナット905は、リードスクリュー904に対して後方から取付け、ねじ部906をリードスクリュー904のねじと螺合させる。
シフト調整ナット905における開口部907が設けられている側と反対側の後端面(図30における上側)には球体部909が設けられている。球体部909は、調芯レンズ保持枠902の前端面に設けられた3ヶ所の長V溝910のうちの2ヶ所(図29の下と右)と当接している。
一方、長V溝910のうちの他の1ヶ所(図29の左上)は、調芯レンズ移動筒901の後端面に設けられた球体部908に当接している。
調芯レンズ移動筒901の後端面と調芯レンズ保持枠902の前端面との間には、円周方向の3か所に、コイルばね912が取り付けられている。コイルばね912によって、調芯レンズ保持枠902は調芯レンズ移動筒901に対して光軸OA方向前方に、1ヶ所は球体部908、他の2ヶ所はシフト調整ナット905の球体部909及び駆動部903を介して付勢されている。
図29の(a),(b)に示すように、調芯レンズ移動筒901の後端部にはFPC913が延び、FPC913上の図中上側と左側の2ヶ所には、ホール素子914が取り付けられている。
調芯レンズ保持枠902の前端面の2ヶ所における、調芯レンズ移動筒901のホール素子914と対向する部分には、マグネット915が取り付けられており、調芯レンズ移動筒901に対する調芯レンズ保持枠902の光軸OAと直交する面の互に交差する2方向のシフト移動量を検出している。
図31は、図29(c)の拡大図で、リードスクリュー904と部分的に螺合するシフト調整ナット905の球体部909と、調芯レンズ保持枠902の長V溝910との係合部を示す。
本実施形態によると、シフト調整ナット905は球体部909が一体となっているので、部品点数が削減できると共に組立工数も削減できるので、コストダウンが可能となる。
また、本実施形態においても、第7実施形態の図25と同様に、シフト調整ナット905のねじ部906は、間にねじが形成されていない領域を挟んで、長さ方向の一方と他方に形成されている。一方のねじ部と他方のねじとの間の隙間は、Pの整数倍ではなく、一方のねじ部と他方のねじ部とは、ΔPだけリードスクリュー904のねじ部に対してずれるように設定されている。
したがって、第7実施形態と同様に、コイルばね912によって図25中矢印の方向(光軸OA方向)にシフト調整ナット905がリードスクリュー904に対し付勢されたときに、ガタが生じないので、リードスクリュー904が回転してシフト調整ナット905を移動させようとしたときに空回りが生じないという効果を有する。
また、上述の実施形態と同様に、シフト調整ナット905のそれぞれのシフト移動により調芯レンズ移動筒901に対する調芯レンズ保持枠902すなわち調芯レンズL4のシフトを調整することができるので、像面不対称(片ぼけ)などの光学性能不良を改善することができる。
さらに、調芯レンズ移動筒901に対して調芯レンズ保持枠902をシフト調整する際、構成部材間の各係合部のがたがすべてキャンセルされているので、高精度なシフト調整が可能となり、光学性能を向上させることができる。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態のレンズ鏡筒について説明する。図32は、第10実施形態の調芯レンズ保持部1074の概略断面図である。図33は、第10実施形態の図32のF-F断面図である。なお、図32は図33のa1-a2方向の断面図である。図33の(b)は(a)のb線に沿った断面図である。図33の(c)は(a)のc線に沿った断面図である。
なお、図32は、図33においてa1から始まって図33の上部のマグネット1015、ホール素子1014、球体部1008、光軸OA、左下の球体部1008、コイルばね1012を通りa2までの関係が分かるように記載した概略断面図である。
調芯レンズ移動筒1001には、直動型モータ(リニアアクチュエータ)である駆動部1003の固定部1004が円周に沿って互いに等間隔である3ヶ所に固定されている。
固定部1004には圧電素子1005が取り付けられ、圧電素子1005からは後方に駆動軸1006が延び、駆動軸1006にはチルト調整筒1007が嵌合している。
チルト調整筒1007は駆動軸1006の振動により光軸OA方向(前後)に移動する。チルト調整筒1007の後端面には球体部1008が設けられている。
調芯レンズ保持枠1002の前端面における3か所の球体部1008と対向する3カ所には、円錐穴1009(図33上)、長V溝1010(図33左下)及び円筒穴1011(図33右下)がそれぞれ設けられている。
ここで、図33に示すように長V溝1010は、長V溝1010の長さ方向に延長した直線が、円錐穴1009の中心を通るように形成されている。また、円筒穴1011の径は、円錐穴1009の最大径よりも大きい。
調芯レンズ移動筒1001の後端面と調芯レンズ保持枠1002の前端面との間には、円周方向の3ヶ所にコイルばね1012が取り付けられている。コイルばね1012によって、調芯レンズ保持枠1002は調芯レンズ移動筒1001に対して、光軸OA方向に、チルト調整筒1007の球体部1008、駆動部1003等を介して付勢されている。
これにより、調芯レンズ保持枠1002の光軸OAと直交する面におけるシフト方向の位置が決定される。
調芯レンズ移動筒1001の後部の外周からはFPC1013が延び、FPC1013における、駆動部1003と同角度である3ヶ所に、ホール素子1014が配置されている。
調芯レンズ保持枠1002の外周内側には、調芯レンズ移動筒1001のホール素子1014と対向する3ヶ所にマグネット1015が取り付けられており、調芯レンズ移動筒1001に対する調芯レンズ保持枠1002の光軸OA方向の移動量を検出する。これにより、調芯レンズ保持枠1002、すなわち調芯レンズL4のチルト量が算出される。
以上のように構成されているため、チルト調整筒1007の光軸OA方向のそれぞれの前後移動により、調芯レンズ移動筒1001に対する調芯レンズ保持枠1002すなわち調芯レンズL4のチルトを調整することができる。これによって、像面不対称(片ぼけ)などの光学性能不良を改善することができる。
さらに、調芯レンズ移動筒1001に対して調芯レンズ保持枠1002をチルト調整する際、ばね付勢により構成部材間の各係合部のがたがすべてキャンセルされているので、シフトやチルトのがたが発生することなく、高精度なチルト調整が可能となり、光学性能を向上させることができる。
また、3ヶ所の駆動部1003を同じ量だけ駆動すれば、調芯レンズL4の光軸OA方向の位置を調整することが可能となり、第3レンズ群L3との群間隔が調整できるので、球面収差や像面湾曲等の調整が可能となる。
なお、チルト調整のみを目的とする場合は、3ヶ所の駆動部1003及びチルト調整筒1007の内の1ヶ所を、図34に示すように調芯レンズ移動筒1001の後端面に球体部1016を設けるように変更してもよい。この場合、調芯レンズ保持枠1002の光軸OA方向の位置を固定とし、他の2ヶ所を調整すれば達成することができる。
また、図33において、3か所の駆動部1003による駆動量を異ならせて調芯レンズ保持枠1002を傾けてチルト調整する場合、球体部1008と調芯レンズ保持枠1002との接点の位置は変化する。
このとき、図中上部の球体部1008は、接触している部分が円錐穴1009であるので、接触位置が固定される。左下の球体部1008は、接触している部分が長V溝1010であり、円錐穴1009側に延びているので、接触位置は長V溝1010に沿って移動可能である。右下の球体部1008は、接触している部分が円筒穴1011であるので、接触位置は円筒穴1011内で移動可能である。
したがって、3か所の駆動部1003による駆動量を異ならせて調芯レンズ保持枠1002を傾けてチルト調整する場合、調芯レンズ保持枠1002が球体部1008により過剰拘束されることがない。
なお、調芯レンズ保持枠1002が傾くと、マグネット1015もホール素子1014に対して僅かに傾く。この傾きに起因するホール素子1014に対するマグネット1015の間隔の変化は、ホール素子1014によるマグネット1015すなわち調芯レンズ保持枠1002の移動量の測定に影響を与える。このため、球体部1008に対するホール素子1014の初期設定位置は、光軸OA方向における球体部1008の球心に一致させることが好ましい。
また、調芯レンズ保持枠1002が傾くと、調芯レンズL4も傾いて光軸が僅かに傾くので、チルトと同時にシフトが発生する。従って、調芯レンズL4のシフトを極力小さくしたい場合は、調芯レンズL4の中点あるいは光学設計上シフトを抑えたいポイントの初期設定位置も、光軸OA方向において球体部1008の球心に一致させておくことが好ましい。
(第11実施形態)
次に、第11実施形態のレンズ鏡筒について説明する。図35は、第11実施形態の調芯レンズ保持部1174の概略断面図である。図36は、第11実施形態の図35のG-G断面図である。なお、図35は図36のa1-a2方向の断面図である。図36の(b)は(a)のb線に沿った断面図である。
なお、図35は、図36においてa1から始まって図33の上部のマグネット1115、ホール素子1114、球体部1108、光軸OA、左下の球体部1108、コイルばね1110を通りa2までの関係が分かるように記載した概略断面図である。
調芯レンズ移動筒1101には、直動型モータ(リニアアクチュエータ)である駆動部1103が円周に沿って互いに等間隔である3ヶ所に固定されている。
駆動部1103の固定部1104には圧電素子1105が取り付けられ、圧電素子1105からは後方に駆動軸1106が延び、駆動軸1106にはチルト調整筒1107が嵌合している。
チルト調整筒1107は駆動軸1106の振動により光軸OA方向(前後)に移動する。チルト調整筒1107の後端面には球体部1108が設けられている。調芯レンズ保持枠1102の前端面には長V溝1109が円周方向3ヶ所に設けられている。
長V溝1109は光軸OAに向かう方向に延びている。調芯レンズ移動筒1101の後端面と調芯レンズ保持枠1102前端面との間には、円周方向の3ヶ所にコイルばね1110が設けられている。コイルばね1110によって、調芯レンズ保持枠1102は調芯レンズ移動筒1101に対して、光軸OA方向前方に長V溝1109、チルト調整筒1107の球体部1108、駆動部1103等を介して付勢されている。
これにより、調芯レンズ保持枠1102の光軸OAと直交する面におけるシフト方向位置が決定される。
調芯レンズ移動筒1101の後部の外周からはFPC1111が延び、FPC1111における、駆動部1103と同角度の3ヶ所に、ホール素子1114が配置されている。
調芯レンズ保持枠1102の外周内側には、調芯レンズ移動筒1101のホール素子1114と対向する3ヶ所にマグネット1115が設けられており、調芯レンズ移動筒1101に対する調芯レンズ保持枠1102の光軸OA方向の移動量を検出する。これにより、調芯レンズ保持枠1102、すなわち調芯レンズL4のチルト量が算出される。
本実施形態においても、チルト調整筒1107の光軸OA方向のそれぞれの前後移動により、調芯レンズ移動筒1101に対する調芯レンズ保持枠1102すなわち調芯レンズL4のチルトを調整することができる。これによって、像面不対称(片ぼけ)などの光学性能不良を改善することができる。
さらに、調芯レンズ移動筒1101に対して調芯レンズ保持枠1102をチルト調整する際、ばね付勢により構成部材間の各係合部のがたがすべてキャンセルされているので、シフトやチルトのがたが発生することなく、高精度なチルト調整が可能となり、光学性能を向上させることができる。
また、3ヶ所を同量移動調整すれば、調芯レンズL4の光軸OA方向の位置を調整することが可能となり、第3レンズ群L3との群間隔が調整できるので、球面収差や像面湾曲等の調整が可能となる。
図37は、第11実施形態の変形例である。チルト調整のみを目的とする場合は、3ヶ所の駆動部1103及びチルト調整筒1107の内1ヶ所を廃止し、図37に示すように調芯レンズ移動筒1101の後端面に球体部1108´を設けて調芯レンズ保持枠1102の光軸OA方向の位置を固定とし、他の2ヶ所を調整すれば達成することができる。
本実施形態によれば、調芯レンズ移動筒1101に設けられた駆動部1103のチルト調整筒1107と、調芯レンズ保持枠1102に設けられた長V溝1109の円周方向の角度位置をそれぞれ120°等分とすれば、調芯レンズ移動筒1101に対する調芯レンズ保持枠1102の角度方向位置合わせが120°毎に自由に設定できる。これにより組立時の角度方向の位置合わせが不要となり、組立ミスを発生することがない。
また、調芯レンズ移動筒1101に設けられた3ヶ所の駆動部1103の位置と、調芯レンズ保持枠1102に設けられた3ヶ所の長V溝1109のそれぞれの角度方向及び径方向位置は、加工精度によりばらつくことが考えられる。
この結果、調芯レンズ移動筒1101に対する調芯レンズ保持枠1102すなわち調芯レンズL4の光軸OAと直交する面のシフト精度がばらつく。
しかし、これにより、組み合わせの三つの選択肢からもっともシフト精度のよい組み合わせ位置で組み立てたり、前側の第1~3レンズ群との光学的なバランスを見て、もっともよい光学性能が得られる組合せ位置で組み立てたりすることが可能となる。
さらに、調芯レンズ保持枠1102の前端面の形状は長V溝のみ3ヶ所となるので、部品加工工数の低減が可能となる。
図37において、真上の駆動部1103が駆動されてチルト調整筒1107が光軸方向に移動すると、調芯レンズ保持枠1102がチルトするが、この時、調芯レンズ保持枠1102は下側2ヶ所のチルト調整筒1107の球体部1108の球心を中心として回転する。
調芯レンズ保持枠1102が回転すると、真上のマグネット1115がホール素子1114に対して回転するので、マグネット1115はホール素子1114に対して僅かに傾く。
この傾きに起因するホール素子1114に対するマグネット1115の間隔の変化は、ホール素子1114によるマグネット1115すなわち調芯レンズ保持枠1102の移動量の測定に影響を与えるので、球体部1108に対するホール素子1114の初期設定位置は、光軸OA方向において球体部1108の球心に一致させることが好ましい。
また、同時に調芯レンズL4も回転により光軸が僅かに傾くので、チルトと同時にシフトが発生する。
従って、調芯レンズL4のシフトを極力小さくしたい場合は、調芯レンズL4の中点あるいは光学設計上シフトを抑えたいポイントの初期設定位置も、光軸OA方向において球体部1108の球心に一致させることが好ましい。
(第12実施形態)
次に、第12実施形態のレンズ鏡筒について説明する。図38は、第12実施形態の調芯レンズ保持部1274の概略断面図である。図39は、第12実施形態の図38のH-H断面図である。図40は、円環板ばね1208の正面図である。
調芯レンズ移動筒1201には、例えばリニアアクチュエータである駆動部1203の固定部1204が円周に沿って互いに等間隔である3ヶ所に固定されている。固定部1204には圧電素子1205が取り付けられ、圧電素子1205からは光軸OA方向ボディ側に駆動軸1206が延びている。
調芯レンズ保持枠1202の前端面には円環板ばね1208が、円周方向3ヶ所にチルト調整筒1207により取り付けられている。
この部組品を調芯レンズ移動筒1201に対し図38の右方より取付けるが、この時、チルト調整筒1207を駆動部1203の駆動軸1206に3ヶ所同時に嵌合させた後、ねじ部1215にて固定する。
これにより、調芯レンズ移動筒1201に対して、調芯レンズ保持枠1202すなわち調芯レンズL4の光軸OAと直交する面におけるシフト方向位置が決定される。
また、チルト調整筒1207が駆動軸1206の振動により光軸OA方向に移動すると、円環板ばね1208が撓み、調芯レンズ保持枠1202すなわち調芯レンズL4が光軸OAに対してチルトする。
調芯レンズ移動筒1201の後部外周にはFPC1209が配置され、FPC1209における、駆動部1203と同角度である3ヶ所に、ホール素子1210が配置されている。
調芯レンズ保持枠1202の外周内側には、調芯レンズ移動筒1201のホール素子1210と対向する3ヶ所にマグネット1211が取り付けられており、調芯レンズ移動筒1201に対する調芯レンズ保持枠1202の光軸OA方向の移動量を検出する。これにより、調芯レンズ保持枠1202、すなわち調芯レンズL4のチルト量が算出される。
以上のように構成されているため、チルト調整筒1207の光軸OA方向のそれぞれの前後移動により、調芯レンズ移動筒1201に対する調芯レンズ保持枠1202すなわち調芯レンズL4のチルトを調整することができる。これによって、像面不対称(片ぼけ)などの光学性能不良を改善することができる。
さらに、調芯レンズ移動筒1201に対して調芯レンズ保持枠1202をチルト調整する際、光軸OAと直交する方向にシフトすることがないと共に、構成部材間の各係合部のがたがないので、シフトやチルトのがたが発生することなく、高精度なチルト調整が可能となり、光学性能を向上させることができる。
本実施形態においては、調芯レンズ移動筒1201に駆動部1203の固定部1204、圧電素子1205及び駆動軸1206を設け、そこに調芯レンズ保持枠1202にチルト調整筒1207により円環板ばね1208を取り付けた部組品を取付けるように構成した。
しかしこれに限らず、駆動部1203も、部組品側のチルト調整筒1207に駆動軸1206を挿入しておき、その部組状態で調芯レンズ移動筒1201にねじ部にて取付け後、調芯レンズ移動筒1201に駆動部1203を適宜な方法により固定するようにしてもよい。
図39において、上部の駆動部1203が駆動されてチルト調整筒1207が光軸方向に移動し、調芯レンズ保持枠1202がチルトすると、マグネット1211がホール素子1210に対して僅かに傾く。この傾きに起因するホール素子1210に対するマグネット1211の間隔の変化は、ホール素子1210によるマグネット1211、すなわち調芯レンズ保持枠1202の移動量の測定に影響を与える。このため、円環板ばね1208の光軸OA方向の板厚中心に対するホール素子1210の初期設定位置は、光軸OA方向において、円環板ばね1208の板厚中心に一致させることが好ましい。
また、同時に調芯レンズL4の中点あるいは光学設計上チルトの回転中心としたいポイントの初期設定位置も、光軸OA方向において、円環板ばね1208の板厚中心に一致させることが好ましい。
円環板ばね1208は必ずしも円環形状でなくてもよく、図40の円環板ばね1208’のように、調芯レンズ移動筒1201の取り付け部から調芯レンズ保持枠1202への取り付け部に向かって幅を徐々に変化させてもよい。
このようにすると、チルト調整筒1207が駆動軸1206の振動により光軸OA方向に移動して円環板ばね1208’を撓ませる際、駆動部1203の駆動負荷を軽減することができ、消費電流を低減することが可能となる。
なお、上述した実施形態又は変形例に限らず、任意の組み合わせで構成してもよい。
L4:調芯レンズ、2:レンズ鏡筒、101:調芯レンズ移動筒、101a:対向枠、101b:カムフォロア連結筒、101c:被写体側面、102:調芯レンズ保持枠、103、103a、103b:駆動部、104:リードスクリュー、105:駆動部取付フレーム、106,111,112:FPC、107:ホール素子、108:コイルばね、109:マグネット、110:電磁駆動絞り、115:係合長穴(係合部)、120:レンズ基板、120a:制御部、120b:調芯量記憶部、132:突部、150:位置検出部、160:移動コマ、161:調芯ピン(調芯部材)、161c:固定ピン、162:ワッシャ、163:ボール、164:凹部、165:移動制限ピン、

401:調芯レンズ移動筒、401a:対向枠、401d:駆動部保持用凹部、401e:貫通孔、402:調芯レンズ保持枠、402a:突出部、403:駆動部、404:リードスクリュー、405:チルト調整ナット(調芯部材)、405a:当接部、407:ホール素子、409:マグネット、450:位置検出部、474:調芯レンズ保持部、

501e:貫通孔、503:駆動部、503a:固定部、503b:圧電素子、504:駆動軸、505:チルト調整筒(調芯部材)、574:調芯レンズ保持部、601a:対向枠、601d:駆動部保持用凹部、

601a:対向枠、601e:貫通孔、602:調芯レンズ保持枠、603:駆動部、604:リードスクリュー、605:チルト調整ナット(調芯部材)、605a:先端部、607:ホール素子、608:ボール(調芯部材)、609:コイルばね、615:係合長穴、653:駆動部、654:リードスクリュー、659:マグネット、660:移動コマ、661a,661b:調芯ピン、661c:固定ピン、674:調芯レンズ保持部、

701:調芯レンズ移動筒、702:調芯レンズ保持枠、703:駆動部、703a:駆動部取付フレーム、704:リードスクリュー、705:シフト調整ナット、706:ねじ部、707:開口部、708:円錐穴、709:ボール、710:長V溝、711:円錐穴、774:調芯レンズ保持部、

802:調芯レンズ保持枠、803ac:フレーム側端板、804:リードスクリュー、809:ボール、810:長V溝、816:シフト調整ナット、817:ねじ部、818:開口部、819:円錐穴、820:スリット、

901:調芯レンズ移動筒、902:調芯レンズ保持枠、903:駆動部、903a:駆動部取付フレーム、904:リードスクリュー、905:シフト調整ナット、906:ねじ部、907:開口部、908,909:球体部、910:溝、912:コイルばね、914:ホール素子、915:マグネット、974:調芯レンズ保持部、

1001:調芯レンズ移動筒、1002:調芯レンズ保持枠、1003:駆動部、1004:固定部、1005:圧電素子、1006:駆動軸、1007:チルト調整筒、1108:球体部、1009:円錐穴、1010:溝、1011:円筒穴、1012:コイルばね、1014:ホール素子、1015:マグネット、1016:球体部、1074:調芯レンズ保持部、

1101:調芯レンズ移動筒、1102:調芯レンズ保持枠、1103:駆動部、1104:固定部、1105:圧電素子、1106:駆動軸、1107:チルト調整筒、1108:球体部、1109:長V溝、1110:コイルばね、1115:ホール素子、1115:マグネット、1174:調芯レンズ保持部、

1201:調芯レンズ移動筒、1202:調芯レンズ保持枠、1203:駆動部、1204:固定部、1205:圧電素子、1206:駆動軸、1207:チルト調整筒、1208:円環板ばね、1210:ホール素子、1211:マグネット、1274:調芯レンズ保持部

Claims (9)

  1. レンズを保持するレンズ保持枠と、
    光軸方向において、前記レンズ保持枠と対向に配置される第1枠と、
    前記第1枠に設けられ、動力部と移動部を有し、前記移動部が前記動力部によって前記光軸方向に前記第1枠から離れる方向へ前記レンズ保持枠を押すことで前記第1枠に対する前記レンズ保持枠の傾きを変更する駆動部と、を備え、
    前記移動部は、前記動力部と前記レンズ保持枠との間に配置される
    るレンズ鏡筒。
  2. レンズを保持するレンズ保持枠と、
    光軸方向において、前記レンズ保持枠と対向に配置される第1枠と、
    前記第1枠に設けられ、動力部と移動部を有し、前記移動部が前記動力部によって前記光軸方向に前記第1枠から離れる方向へ前記レンズ保持枠を押すことで前記第1枠に対する前記レンズ保持枠の傾きを変更する駆動部と、
    光軸を中心とした周方向の3か所に配置されたコイルばねと、
    を備え、
    前記レンズ保持枠と前記第1枠との間に配置される弾性部材を備える
    るレンズ鏡筒。
  3. 前記移動部は、前記動力部と前記レンズ保持枠との間に配置される
    請求項に記載のレンズ鏡筒。
  4. 前記レンズ保持枠と前記第1枠との間に配置される弾性部材を備える
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
  5. 前記弾性部材は、前記レンズ保持枠と前記第1枠とが近づく方向に力を発生する
    請求項に記載のレンズ鏡筒。
  6. 前記レンズ保持枠と前記第1枠との位置関係を検出する検出部を備え、
    前記駆動部は前記検出部が検出した情報を元に駆動する
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
  7. 前記駆動部は、少なくとも2つ備えられる
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
  8. 前記駆動部は、前記レンズの光軸方向における位置と焦点距離と撮影距離との少なくとも1つに基づいて駆動する
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
  9. 前記レンズの光軸方向における位置、焦点距離又は撮影距離に関する情報と、前記駆動部の駆動量に関する情報と、を関連付けて記憶する記憶部を備える
    請求項に記載のレンズ鏡筒。
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