JP3794522B2 - 像振れ補正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラ等の撮影光学系に用いられ、撮影光学系の一部の光学系を駆動することにより、手振れ等に起因する像振れを光学的に補正するための像振れ補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カメラは感光フィルム、CCDセンサ等の記録媒体を収容したカメラ本体と、被写体を記録媒体に結像する撮影レンズ系とから成り、撮影レンズ系はレンズ鏡筒に各種のレンズ、絞り、これらの駆動機構等を保持している。このようなカメラを手に持って撮影する際には、カメラが手振れにより揺動することが多く、撮影レンズ系を通って記録媒体に形成された像に位置ずれつまり像振れが発生し易い。
【0003】
従来、カメラにはこの種の像振れを補正するための像振れ補正装置が設けられている。この像振れ補正装置は撮影レンズ系に設けられており、撮影レンズ系の一部を構成する補正レンズを撮影レンズ系の光軸に直交する方向に駆動することにより、結像位置のずれを補正するようになっている。この際に、像振れ補正装置では振れ検出手段が撮影レンズ系の振れを検出し、この検出信号に基づいて駆動手段が補正レンズを振れを補正する方向に駆動するようになっている。
【0004】
ところが、このような像振れ補正装置は多数の部品から構成されているため、部品の製造誤差の累積により補正レンズを所定位置に保持することが不可能になり、撮影レンズ系の光学性能を低下させる。また、撮影レンズ系の小型化や倍率の向上を実現しようとすると、補正レンズ自体の加工精度や位置精度を向上させる必要が生ずる。従って、これらの加工精度や位置精度を僅かでも維持できない場合にも、撮影レンズ系の光学性能を低下させる。
【0005】
近年、このような光学性能の低下を防止するため、補正レンズの光軸の倒れを調整する振れ補正機構が多用されている。この振れ補正機構は、補正レンズを保持したレンズ保持枠と、レンズ保持枠を移動自在に保持した固定枠と、レンズ保持枠を駆動する駆動手段と、レンズ保持枠の位置を検出する位置検出手段とを一体に備え、振れ補正ユニットとされている。この振れ補正ユニットでは、レンズ保持枠の同心ピンが固定枠の長溝に嵌め込まれ、レンズ保持枠は光軸に直交する方向に案内されるようになっている。また、振れ補正ユニットはレンズ鏡筒に偏心ピンを介して係合されている。そして、偏心ピンの回動により振れ補正ユニット全体の傾きが調整され、撮影レンズ系の光軸に対する補正レンズの光軸の傾きが調整されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の像振れ補正装置では、振れ補正ユニットがレンズ鏡筒に偏心ピンを介して係合されているので、それらの間にがたが発生し、補正レンズの位置精度が悪化し、像振れを確実に防止することが不可能になるという問題点がある。また、補正ユニットの光軸の傾きを補正するために余分の部品を必要とするため、製造コストや設置スペースが嵩むという問題点がある。
【0007】
そして、レンズ保持枠の同心ピンが固定枠の長溝に嵌め込まれることにより、レンズ保持枠が光軸に直交する方向に案内されるので、同心ピンを偏心ピンに代えて補正レンズの光軸の倒れを調整する場合には、偏心ピンに加わる力によって補正レンズが光軸中心からずれることがある。このため、調整の際に補正レンズを光軸中心にロックするための機械的なロック機構が必要になるという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、上途した問題点に鑑み、補正レンズを簡素な構造で精度良く調整し得る像振れ補正装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る像振れ補正装置は、像振れを補正するための補正レンズを保持したレンズ保持枠を固定枠に対し移動自在とした像振れ補正装置において、前記固定枠は、第1、第2の偏心ピンを取り付けるための第1、第2の取付孔と、基準ピンを撮影光学系の光軸と垂直な方向に移動自在とする長孔とを有し、前記レンズ保持枠は、前記第1、第2の偏心ピンを挿入し撮影光学系の光軸に対し垂直方向に移動可能とするための第1、第2の長溝と、前記基準ピンを固定するためのピン孔とを有し、前記第1、第2の偏心ピンを回転して前記レンズ保持枠を駆動し前記補正レンズの光軸の傾きを調整すると共に、前記レンズ保持枠を前記第1、第2の偏芯ピンと前記基準ピンにより案内して前記補正レンズを撮影光学系に対して略垂直方向に駆動し像振れ補正を行うことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1はビデオカメラのズームレンズ系1の断面図、図2は分解斜視図であり、ズームレンズ系1の光軸上には、第1レンズ群2、3、第2レンズ群であるズーム用レンズ4、絞り羽根5、6、第3レンズ群である補正レンズ群7、8、第4レンズ群であるフォーカス用レンズ9、そしてローパスフィルタ10が順次に配置され、ローパスフィルタ10の後方には図示しないカメラ本体のCCDセンサが配置されている。
【0011】
第1レンズ群2、3と絞り羽根5、6は固定鏡筒11に保持され、ズーム用レンズ4は固定鏡筒11の内部に配置されたズーム鏡筒12に保持されている。補正レンズ群7、8は補正ユニット13に光軸に直交する方向に移動自在に保持されている。補正ユニット13は固定鏡筒11とこの後部に取り付けられた後部鏡筒14との間に配置され、図示しないねじ等により固定されている。フォーカス用レンズ9は後部鏡筒14の内部に配置されたフォーカス鏡筒15に保持されており、そしてローパスフィルタ10は後部鏡筒14に保持されている。
【0012】
ズーム鏡筒12とフォーカス鏡筒15は、固定鏡筒11と後部鏡筒14の間に架設された2本のガイドレール16、17に光軸方向に移動自在に支持されている。これらのガイドレール16、17は光軸を挟むように設けられ、ズーム鏡筒12とフォーカス鏡筒15の光軸周りの回転を防止するようになっている。
【0013】
固定鏡筒11の外周面には、ズーム鏡筒12を駆動するためのズームモータ21が図示しないねじ等により固定されている。ズームモータ21は例えばステッピングモータとされ、コ字状の板金に駆動部と出力ねじ部が一体に保持されている。ズーム鏡筒12には孔部12aが光軸方向に向けて設けられ、この孔部12aにはラック22の軸部22aが嵌合されている。そして、ラック22にはズームモータ21の出力ねじ部が噛合され、ズームモータ21の出力ねじ部の回転がラック22を介してズーム鏡筒12に伝達され、ズーム鏡筒12が光軸方向に駆動されるようになっている。この際に、ラック22はばね23によって噛合方向と光軸方向に付勢され、噛合がたとスラストがたが防止されている。
【0014】
固定鏡筒11の外周面には、絞り羽根5、6を駆動するための電磁アクチュエータから成るIGメータ24が設けられている。このIGメータ24は固定鏡筒11と補正ユニット13によって挟持されている。
【0015】
後部鏡筒14の外周面には、フォーカスモータ25が図示しないねじ等により固定されている。フォーカスモータ25もズームモータ21と同様なステッピングモータとされ、コ字状の板金に駆動部と出力ねじ部が一体に保持されている。フォーカス鏡筒15にも孔部15aが光軸方向に向けて設けられ、この孔部15aにはラック26の軸部26aが嵌合されている。そして、ラック26にはフォーカスモータ25の出力ねじ部が噛合され、フォーカスモータ25の出力ねじ部の回転がラック26を介してフォーカス鏡筒15に伝達され、フォーカス鏡筒15が光軸方向に駆動されるようになっている。このラック26もばね27によって噛合方向と光軸方向に付勢され、噛合がたとスラストがたが防止されている。
【0016】
なお、ラック22、26の軸部22a、26aがズーム鏡筒12とフォーカス鏡筒15の孔部12a、15aに嵌合され、ラック22、26はズーム鏡筒12とフォーカス鏡筒15に対して揺動可能とされているので、ズーム鏡筒12とフォーカス鏡筒15はガイドレール16、17の平行度が低下した場合でも円滑に移動される。また、ラック22、26はばね23、27により揺動方向に付勢され、ラック22、26のそれぞれの噛合部はズームモータ21とフォーカスモータ25の出力ねじ部に圧接されているので、ズームモータ21とフォーカスモータ25の出力ねじ部とラック22、26は確実に噛合される。
【0017】
一方、固定鏡筒11にはインタラプタ28が、基板29に端子が半田付けされた後に、図示しないねじ等により固定されている。インタラプタ28の投光部と受光部の間には、ズーム鏡筒12に一体的に形成された遮光壁部12bが配置されている。インタラプタ28はズーム鏡筒12の基準位置を基板29により検出し、ズームモータ21に入力するパルス数によってズーム鏡筒12を所定位置にステップ駆動するようになっている。
【0018】
同様に、後部鏡筒14にもインタラプタ30が、基板31に端子が半田付けされた後に、図示しないねじ等により固定されている。インタラプタ30の投光部と受光部の間には、フォーカス鏡筒15に一体的に形成された遮光壁部15bが配置されている。インタラプタ30はフォーカス鏡筒15の基準位置を基板31により検出し、フォーカスモータ25に入力するパルス数によってフォーカス鏡筒15を所定位置にステップ駆動するようなっている。なお、後部鏡筒14には後述する偏心ピンを外部から回転させるための複数の切欠部14aが設けられている。
【0019】
図3は補正ユニット13の分解斜視図であり、図2とは反対向きとされている。補正ユニット13では固定枠41にロール防止板42、可動枠43、上ヨーク44及びセンサホルダ45がねじ46により順次に保持されている。固定枠41には、固定鏡筒11に対する2個の位置決めボス41aと、後部鏡筒14に対する2個の位置決めボス41bとが設けられている。また、固定枠41には2個の偏心ピン47をそれぞれ取り付けるための2個の取付孔41cが設けられている。
【0020】
偏心ピン47には、外部から回転調節される頭部47aと、この頭部47aよりも若干小径でその軸心と同じ軸心を有する同心軸部47bと、この同心軸部47bの軸心から若干偏った軸心に中心を有する偏心球部47cとが順次に設けられている。偏心ピン47の同心軸部47bは取付孔41cに圧入され、偏心球部47cは可動枠43に設けられた長溝43aにがたつかないように挿入されている。
【0021】
固定枠41の孔41d、41eにはマグネット48、49がそれぞれ圧入固定され、マグネット48、49には鉄等から成る下ヨーク50、51がそれぞれ磁着されている。固定枠41には可動枠43に固定された基準ピン52を挿通させる長孔41fが形成されている。更に、固定枠41には2個のボス41g、41h(ボス41hは図示せず)と2個の支柱41i、41jが設けられ、支柱41i、41jにはねじ46が螺合されるようになっている。
【0022】
ロール防止板42は可動枠43が光軸の周りに回転することを防止するものとされ、ロール防止板42には固定枠41のボス41g、41hが挿通される孔部42a、42bと、可動枠43に設けられた図示しないボスが挿通される孔部42c、42dと、固定枠41の支柱41i、41jが挿通される孔部42e、42fとが設けられている。ロール防止板42が最大に移動した場合に支柱41i、41jが孔部42e、42fの周壁に干渉しないように、孔部42e、42fの大きさが決定されている。
【0023】
可動枠43には上述の補正レンズ群7、8が保持されており、固定枠41に取り付けられた偏心ピン47の偏心球部47cが挿入される2個の長溝43aと、基準ピン52を固定するためのピン孔43bが設けられている。基準ピン52は補正レンズ群7、8の位置を精度良く決めるための基準とされ、固定枠41の長孔41fにがたつかないように挿通されている。偏心ピン47の偏心球部47cが長溝43a内を滑らかに摺動し、基準ピン52が長溝41f内を円滑に摺動することにより、可動枠43は可固定枠41に対して所定の範囲で光軸と直交する方向に移動自在とされている。そして、可動枠43には一方のコイル53が水平方向つまりX方向に向けて設けられると共に、他方のコイル54が垂直方向つまりY方向に向けて設けられている。
【0024】
双方の偏心ピン47、双方の長溝43a、基準ピン52及び長孔41fは同一平面内に配置され、双方の偏心ピン47と双方の長溝43aは、基準ピン52と長孔41fから120度それぞれ離されている。このため、偏心ピン47が長溝43aを摺動し、基準ピン52が長孔41fを摺動する際には摺動摩擦が発生するが、可動枠43は摺動摩擦によって光軸周りに回転することがないように、固定枠41にバランス良く保持されている。
【0025】
また、ロール防止板42は固定枠41に対して上下方向だけに移動可能とされ、可動枠43はロール防止板42に対して左右方向だけに移動可能とされている。これにより、可動枠43は固定枠41に対して光軸の周りに回転することなく、上下及び左右方向に移動自在とされている。
【0026】
上ヨーク44は下ヨーク50、51と同様な材料から形成され、センサホルダ45と共に固定枠41の支柱41i、41jにねじ46により固定される形状とされている。そして、上ヨーク44、マグネット48及び下ヨーク50により磁気回路が構成され、上ヨーク44とマグネット48の間にコイル53が配置されることにより、可動枠43をX方向に駆動するためのムービングコイル型の電磁アクチュエータが構成されている。同様に、上ヨーク44、マグネット49及び下ヨーク51により磁気回路が構成され、上ヨーク44とマグネット49の間にコイル54が配置されることにより、可動枠43をY方向に駆動するためのムービングコイル型の電磁アクチュエータが構成されている。
【0027】
そして、センサホルダ45には赤外光を出射するIRED等の投光素子55、56と、PSD等の受光素子57、58が接着等により固定されている。投光素子55と受光素子57間には、可動枠43に一体的に設けられた一方のスリット43cが配置され、可動枠43のX方向の位置を検出する手段が構成されている。また、投光素子56と受光素子58の間には可動枠43に一体に設けられた他方のスリット43dが配置され、可動枠43のY方向の位置を検出する手段が構成されている。
【0028】
なお、コイル53、54、投光素子55、56及び受光素子57、58は、分割して示したフレキシブルプリント基板59に接続され、このフレキシブルプリント基板59はカメラ本体側に設けられた図示しない制御回路に接続されている。
【0029】
次に、可動枠43の調整方法を図4に基づいて説明する。図4は図1のA−A線に沿って切断した断面図であり、可動枠43に取り付けられた基準ピン52が、固定枠41に設けられた長孔41f内を摺動し、固定枠41に取り付けられた偏心ピン47が、可動枠43に設けられた長溝43a内を摺動することにより、可動枠43は固定枠41に対して他方向に移動しないよう案内される。即ち、基準ピン52は可動枠43を光軸の方向には移動させず、光軸に直交する方向の面内の全ての方向に移動させる。
【0030】
また、偏心ピン47の偏心球部47cは、同心軸部47bに対して若干偏心しているので、偏心ピン47の頭部47aを外部から回転させると、偏心球部47cが光軸方向に移動し、可動枠43を傾斜させる。このため、双方の偏心ピン47をそれぞれ適量回転させることにより、可動枠43を基準ピン52を中心として全ての方向に傾斜させる。
【0031】
この際に、偏心ピン47の偏心球部47cの先端は球形状となっていると共に、長孔41fも周方向の長細形状となっているので、偏心球部47cと長溝43aの周壁との接触面積や、基準ピン52と長孔41fの周壁との接触面積が少なく、可動枠43が傾斜してもその動きが悪化することはない。
【0032】
また、基準ピン52は駆動手段を構成するコイル53、54同士の間に配置すると共に、位置検出手段を構成する投受素子55、56、受光素子57、58及びスリット43c、43dの間に配置し、駆動手段と位置検出手段は光軸方向に向かって重なるように配置している。このため、可動枠43の傾きを調整してもコイル53、54とマグネット48、49の間の距離の変化は僅少であり、駆動手段の推力の変化は極めて少ない。また、可動枠43の傾きを調整してもスリット43c、43dに対する投光素子55、56と受光素子57、58の間の距離の変化は僅少であり、位置検出精度の低下は極めて少ない。
【0033】
更に、可動枠43の傾きを調整する際に基準ピン52に外力が加わることがないので、基準ピン52を可動枠43に取り付けることができる。そして、長孔41fは固定枠41に設けたので、コイル53、54を設けるためのスペースが少なくなることを防止し、駆動手段は大型化することなく十分な推力を与える。
【0034】
最後に、補正ユニット13の調整方法を説明する。補正レンズ群7、8はズームレンズ系1の光軸中心に保持しない場合でも振れを補正することが可能であり、光軸中心から離して保持するほど光学性能は低下するので、振れのない状態又は振れを補正しない状態にして光軸中心に保持する必要がある。また、補正レンズ群7、8の移動範囲は限られているため、同じ振れ補正範囲を全ての方向に確保するためには、補正レンズ群7、8を移動範囲の中心に保持し、そこから振れの補正を開始する必要がある。この際に、機械部品の誤差の累積や電気部品の特性のばらつきがあるため、補正レンズ群7、8を光軸中心に保持するためには電気的又は機械的な調整が必要となる。
【0035】
従って、本実施例では補正ユニット13に基準信号を入力したときに、補正レンズ群7、8が光軸中心にくるように電気的に調整する。具体的には、ダミー光学系を取り付けた図示しない調整工具に補正ユニット13を取り付け、光軸中心にレーザー光等の平行光を入射する。次に、補正ユニット13に基準信号を入力したときの屈折状況を二次元PSD等の図示しないセンサで監視しながら、平行光が光軸中心に至るように可変抵抗器の抵抗値を変え、センサの出力をオフセットさせる。そして、この調整をX方向とY方向にそれぞれ行う。
【0036】
なお、補正レンズ群7、8を固定した図示しない基準ユニットを調整工具に取り付け、補正ユニット13と基準ユニットを付け替えたときに、平行光が同じ位置にくるように調整しても良い。
【0037】
その後に、補正ユニット13を固定鏡筒11と後部鏡筒14の間に挟持し、ズームレンズ系1全体でチャートを投影し、対角方向の4隅が同様に解像するように補正レンズ群7、8の傾きを調整する。つまり、補正ユニット13に基準信号を入力し、補正レンズ群7、8を光軸中心に電気的に保持した状態で、後部鏡筒14の切欠部14aから偏心ピン47をドライバ等で回転させる。
【0038】
なお、偏心ピン47を回転させる際に偏心ピン47に加わる力は、偏心ピン47の頭部47aの底面が固定枠41の壁部41jの表面に当接することにより受け止められるため、可動枠43を平行偏心させ正確な光学調整を妨げることはない。また、ズームレンズ系1を組み立てた後に可動枠43の傾きを調整するので、ズーム鏡筒12と補正ユニット13の倒れや、平行偏心による光学性能の低下を補正することができる。
【0039】
このように、実施例では補正レンズ群7、8の傾きを調整するために、偏心ピン47以外の部品を必要としないため、構造を簡素化でき、製造コストの削減が可能となる。また、偏心ピン47の同心軸部47bが固定枠41の取付孔41cに嵌合され、偏心球部47cが可動枠43の長溝43aに挿入されているので、偏心ピン47を調整する際に外力が可動枠43に伝わることを防止でき、補正レンズ群7、8を光軸中心に保持したままそれらの傾きを精度良く調整できる。
【0040】
そして、可動枠43は外部に露出していないので、偏心ピン47と長溝43aの隙間から塵埃や不要光が侵入することを防止できる。また、後部鏡筒14の切欠部14aを塞ぐ必要がないので、調整作業の手間を省くことができる。更に、マグネット48、49とコイル53、54の間隔の変化が少ないため、駆動性能の変化を抑えることができ、補正レンズ群7、8を精度良く調整できる。また、投光素子55、56と受光素子57、58に対するスリット43c、43dの間隔の変化も少ないので、補正レンズ群7、8の位置を精度良く検出でき、それらを精度良く調整できる。
【0041】
なお、実施例では補正レンズ群7、8をムービングコイル型の電磁アクチュエータで駆動するようにしたが、モータ、電歪素子、その他の型の電磁アクチュエータ等で駆動することもできる。また、可動枠43の位置を投光素子55、56と受光素子57、58で検出するようにしたが、検出対象物との距離変化によって出力特性が変化する磁気センサ等で検出することもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る像振れ補正装置では、偏心ピンが撮影光学系の光軸に対する補正レンズの光軸の傾きを調整するので、補正レンズの傾きを調整するために偏心ピン以外の部品を必要とせず、簡素かつ安価な構造で補正レンズの光軸の傾きを確実に調整できる。
【0043】
また、偏心ピンを固定枠に保持すれば、レンズ保持枠に外力が伝わることを防止でき、補正レンズを精度良く調整できる。更に、レンズ保持枠を第1の方向に駆動するための第1の駆動手段と、レンズ保持枠を前記第1の方向とは異なる第2の方向に駆動するための第2の駆動手段との間に基準ピンを配置すれば、駆動手段の性能の変動を抑えることができ、補正レンズを精度良く調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ズームレンズ系の実施例の断面図である。
【図2】ズームレンズ系の分解斜視図である。
【図3】補正ユニットの分解斜視図である。
【図4】図1のA−A線に沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
1 ズームレンズ系
7、8 補正レンズ群
41 固定枠
41c 取付孔
41f 長孔
43 可動枠
43a 長溝
43c、43d スリット
44 上ヨーク
45 センサホルダ
47 偏心ピン
47b 同心軸部
47c 偏心球部
48、49 マグネット
50、51 下ヨーク
52 基準ピン
53、54 コイル
55、56 投光素子
57、58 受光素子
Claims (4)
- 像振れを補正するための補正レンズを保持したレンズ保持枠を固定枠に対し移動自在とした像振れ補正装置において、前記固定枠は、第1、第2の偏心ピンを取り付けるための第1、第2の取付孔と、基準ピンを撮影光学系の光軸と垂直な方向に移動自在とする長孔とを有し、前記レンズ保持枠は、前記第1、第2の偏心ピンを挿入し撮影光学系の光軸に対し垂直方向に移動可能とするための第1、第2の長溝と、前記基準ピンを固定するためのピン孔とを有し、前記第1、第2の偏心ピンを回転して前記レンズ保持枠を駆動し前記補正レンズの光軸の傾きを調整すると共に、前記レンズ保持枠を前記第1、第2の偏芯ピンと前記基準ピンにより案内して前記補正レンズを撮影光学系に対して略垂直方向に駆動し像振れ補正を行うことを特徴とする像振れ補正装置。
- 前記偏心ピンは前記固定枠に保持される円柱状の被保持部と、該被保持部の軸心から偏った軸心を有し前記レンズ保持枠に形成した前記長溝内を摺動する球状の偏心摺動部とを有する請求項1に記載の像振れ補正装置。
- 前記基準ピンは、前記レンズ保持枠を第1の方向に駆動するための第1の駆動手段と、前記レンズ保持枠を前記第1の方向とは異なる第2の方向に駆動するための第2の駆動手段との間に位置する請求項1に記載の像振れ補正装置。
- 前記請求項1〜3の像触れ補正装置を有するレンズ鏡筒。
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