JP7379999B2 - 誘導炉 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導炉に関する。さらに詳しくは、誘導加熱体を有する誘導炉に関する。
炉の外部に設けたコイルに通電して炉内に電磁誘導を生じさせて炉内装入物を発熱させる誘導加熱炉(以下、「誘導炉」と称することがある)を用いた加熱方法が一般に知られている。この誘導炉を用いた加熱方法は、炉内を完全に密閉下に維持することが可能で雰囲気を厳密に制御できる利点がある。この点において、誘導炉を用いた加熱方法は、重油またはLNG(液化天然ガス)を燃料とするバーナーを用いる内熱式の加熱炉より優れている。さらに誘導炉は、同じ電気を用いた炉である、外熱式の抵抗加熱電気炉および内熱式のアーク炉と比較しても、設備の大きさの面、および得られる有価金属の純度の面でも優れている。
上記の誘導炉を、リチウムイオン電池からの有価金属の回収に使用することが検討されている。リチウムイオン電池は、軽量で大出力であるため、ラップトップPC、スマートフォンなどに用いられるだけでなく、ハイブリッド自動車または電気自動車にも用いられており、今後、使用済みのリチウムイオン電池(以下、「廃リチウムイオン電池」と称することがある。なお「廃リチウムイオン電池」には、リチウムイオン電池の製造中に生じた不良品などを含む)が大量に生じる。この廃リチウムイオン電池には、ニッケル、コバルト、銅などの、回収して再利用すべき対象となる有価金属が多く含まれている。
誘導炉の処理量は数トンクラスの大型のものもあり、誘導炉の商業的利用には問題はない。しかしながら廃リチウムイオン電池の処理の場合、廃リチウムイオン電池には、メタルだけでなく非金属等の絶縁体成分も多く含まれており、廃リチウムイオン電池をそのまま誘導炉で加熱することはできない。このため特許文献1に示すように、誘導炉内に、誘導加熱体と称する外部からの電磁誘導に対して発熱する物体が用いられ、間接的に加熱する方法が採用される。
特開2002-139280号公報
非金属の絶縁体成分が多く含まれている被処理物を、例えば1400℃以上という高温で加熱することが要求される場合、幾つかの方法がある。第1の方法として、誘導加熱体の材料として、黒鉛または炭化ケイ素を用いる方法がある。しかし、黒鉛または炭化ケイ素を材料として用いた場合、被処理物が黒鉛等に直接接し、還元剤として働くため、誘導炉の中の酸化還元雰囲気の制御が難しくなり、リンまたはマンガンなどの酸化物までも還元され、有価金属とともに合金化し、有価金属の品質が低下する。
第2の方法として、誘導加熱体として酸化物系の材料を用い、かつ銅など誘導加熱体となりうる金属をあらかじめ投入する方法がある。しかし誘導加熱体となりうる金属をあらかじめ投入することは、その分の仕掛が増加し、その結果として生産性が低下する。加えて、使用電力が増加し、その結果炉体寿命が低下する。
第3の方法として、大型の黒鉛坩堝の内側にアルミナ等の酸化物系の坩堝を挿入する方法がある。しかし、被処理物を処理する際の雰囲気に黒鉛が接するため、上記第1の方法と同じく誘導炉の酸化還元雰囲気の制御が難しくなる。加えて、一般に酸化物系の坩堝は多孔質であり、熔融酸化物が坩堝の多孔質部分から内部に染み込むという問題がある。仮に酸化物系の坩堝が、被処理物が多孔質部分にしみこまないように製造された場合、コストがかかるとともに、緻密な多孔質が冷却時に割れるという問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、有価金属中の不純物を効率よく除去し、金属を回収することができるとともに、耐久性が向上した誘導炉を提供することを目的とする。
第1発明の誘導炉は、被処理物を内部に保持する、有底筒体の形状を有する炉本体と、該炉本体の外周面に設けられた誘導コイルと、前記炉本体の内部に設けられた誘導加熱体と、前記炉本体の内面と前記誘導加熱体との間に設けられたバック材と、を有し、前記誘導加熱体と前記被処理物との接触を妨げる隔離層と、前記隔離層と前記炉本体との間にある部材から発生した気体を前記炉本体の外部へ排気する排気筒と、が設けられており、前記バック材は、酸化アルミニウムと酸化マグネシウムとを含んで構成される粉粒体であり、前記バック材では、前記酸化マグネシウムが5質量%よりも大きいことを特徴とする。
第2発明の誘導炉は、第1発明において、前記排気筒は、下方端面から上方へ向けて前記気体を排気し、前記排気筒の下方端面が、前記隔離層と前記誘導加熱体との境界部分に位置していることを特徴とする。
第3発明の誘導炉は、第1発明において、前記排気筒は、下方端面から上方へ向けて前記気体を排気し、前記排気筒の下方端面が、前記バック材が存在している部分に位置していることを特徴とする。
発明の誘導炉は、第1発明から第発明のいずれかにおいて、前記隔離層は酸化マグネシウムを含んで構成されていることを特徴とする。
第1発明によれば、誘導加熱体と被処理物との接触を妨げる隔離層が設けられていることにより、誘導加熱体が被処理物と化学反応を起こす材料であっても、誘導加熱体の成分が被処理物に影響を与えることがない。すなわち、被処理物から回収される有価金属等に影響を与えることがないという利点が得られる。さらに、誘導加熱体等から発生した気体を炉本体の外部へ排気する排気筒が設けられていることにより、隔離層で隔離されたバック材等からの気体により隔離層と炉本体との間の空間内の圧力が上がるのを抑制できる。これにより、隔離層または炉本体にひびが入ることを抑制できる。
また、バック材では酸化マグネシウムが5質量%よりも多いことにより、線膨張係数が比較的大きい酸化マグネシウムが、線膨張係数が比較的小さい酸化アルミニウムに対して混合されているので、バック材が膨張して、内部に位置する誘導加熱体に対して外側から応力を作用することができる。
第2発明によれば、排気筒の下方端面が、隔離層と誘導加熱体との境界部分に位置していることにより、誘導加熱体から発生した気体を効率よく排気することができる。
第3発明によれば、排気筒の下方端面が、バック材が存在している部分に位置していることにより、バック材から発生した気体を効率よく排気することができる。
発明によれば、隔離層が酸化マグネシウムを含んで構成されていることにより、主材料の酸化物生成自由エネルギーが、酸化アルミニウムの酸化物生成自由エネルギー以下となり、銅、ニッケル、コバルト、鉄などの酸化物を還元処理するとともに、熔融することができる。
本発明の第1実施形態に係る誘導炉の正面方向からの断面図である。 本発明の第2実施形態に係る誘導炉の正面方向からの断面図である。 本発明の第3実施形態に係る誘導炉の正面方向からの断面図である。 従来の誘導炉であって、比較例1で使用されたものの正面方向からの断面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための誘導炉を例示するものであって、本発明は誘導炉を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
(第1実施形態の誘導炉10)
図1には、本発明の第1実施形態に係る誘導炉10の正面方向からの断面図を示す。本明細書では図1の紙面において、上下となる方向を上下と記載する。本実施形態に係る誘導炉10は、被処理物20を内部に保持する、有底筒体の形状を有する炉本体と、この炉本体の外周面に設けられた誘導コイル13と、炉本体の内部に設けられた誘導加熱体14と、炉本体の内面と誘導加熱体14との間に設けられたバック材16と、を有する。そして、誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げる隔離層15と、隔離層15と炉本体との間にある部材から発生した気体を炉本体の外部へ排気する排気筒17と、が設けられている。
誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げる隔離層15が設けられていることにより、誘導加熱体14が被処理物20と化学反応を起こす材料であっても、誘導加熱体14の成分が被処理物20に影響を与えることがない。すなわち、被処理物20から回収される有価金属等に影響を与えることがないという利点が得られる。さらに、誘導加熱体14等から発生した気体を炉本体の外部へ排気する排気筒17が設けられていることにより、隔離層15で隔離されたバック材16等からの気体により隔離層15と炉本体との間の空間内の圧力が上がるのを抑制できる。これにより、隔離層15または炉本体にひびが入ることを抑制できる。
炉本体は、絶縁耐火性の材料から構成されている筒体11と、この筒体11の下部に設けられており、同じく絶縁耐火性の材料から構成されている台座部12と、を含んで構成されている。すなわち炉本体は、筒体11と台座部12とにより、有底筒体の形状し、有底筒体の形状部を含んで構成されている。筒体11は単一の材料で構成される場合、または二以上の材料で構成される場合がある。筒体11の材料は、公知の材料であり、具体的にコイルセメント、ノンアスベスト、耐火セメントなどを採用することができる。材料は台座部12も同じである。本実施形態では、筒体11の形状は、円筒形状であるが、この形状に限定されることはない。この炉本体の内部に被処理物20が投入され、この炉本体は、この被処理物20を保持することができる。
図1に示すように炉本体の外周面には、誘導コイル13が設けられている。本実施形態では、誘導コイル13は、筒体11の外周の周りに巻きまわされている。すなわち本実施形態において誘導コイル13は、筒型の形状である。ただし、この形状に限定されることはない。誘導コイル13の材質は、公知の材質であり、具体的には銅を採用することができる。なお本明細書では、炉本体の被処理物20が存在する側を炉本体の内側、炉本体の誘導コイル13が設けられている側を炉本体の外側と記載する。
本実施形態の誘導炉10では、炉本体の内部に誘導加熱体14が設けられている。誘導加熱体14は、誘導炉10に投入される被処理物20に、非金属等の絶縁体成分が多く含まれている際に設けられる。非金属等の絶縁体成分には電磁誘導が生じないからである。誘導加熱体14の材料は、電磁誘導により発熱する導電体である。誘導加熱体14の材質は、具体的には、鉄、銅、真鍮、チタン、黒鉛、炭化ケイ素などが一般的に採用される。本実施形態の誘導炉10の材質は、炭化ケイ素を成分に含んでいる。なお、誘導加熱体14は、カーボンボンドとすることも可能である。黒鉛での成形品と比較して安価に入手できる。
誘導加熱体14は、筒体11の筒形状の内部に挿入することが可能な形状である。本実施形態では筒体11は円筒形状であるので、誘導加熱体14も円筒形状である。本実施形態の誘導加熱体14は、被処理物20を取り囲むように一体となる形状である。このため、誘導加熱体14に付加される電流の周波数が低い場合でも電磁誘導を効率的に生じさせることができる。本実施形態では、誘導加熱体14の外径は、筒体11に遊嵌する大きさとなっている。
本実施形態の誘導炉10では、炉本体の内面と誘導加熱体14との間に設けられたバック材16が設けられている。バック材16は、誘導加熱体14の固定のため、および誘導加熱体14および隔離層15が誘導電流により加熱された際に、線膨張係数に基づき、バック材16が内側と外側に膨張するが、バック材16の内側への膨張により誘導加熱体14に対して外側から応力を作用させるために設けられる。具体的には、誘導加熱体14が誘導電流により加熱されると隔離層15もそれに応じてその温度が上昇し、隔離層15はその外側に存在する誘導加熱体14に対し、熱膨張による熱応力を発生させる。この熱応力により誘導加熱体14が外側に向けて膨らもうとする。この際、バック材16が誘導加熱体14の外側に位置し、バック材16が内側へ膨張することにより誘導加熱体14に対して外側から応力を作用させ、誘導加熱体14の膨張がバック材16により制限される。
バック材16としては、酸化アルミニウムの粉体または粒体、酸化マグネシウムの粉体または粒体、または坩堝形状をした酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムなどが用いられる。ただし、粉体または粒体が好ましく用いられる。バック材16として粉体または粒体が用いられた場合、誘導炉10の使用者は、バック材16に振動を加えたり、突き固めたりすることなどにより、誘導加熱体14と筒体11の間に充填する。本実施形態では、バック材16は、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムを含む粉粒体であり、酸化マグネシウムがバック材16全体の5質量%よりも多くなっている。
なお、バック材16の平均熱膨張率は、後述する隔離層15の平均熱膨張率よりも大きいことが好ましい。
バック材16では酸化マグネシウムが5質量%よりも多いことにより、線膨張係数が比較的大きい酸化マグネシウム(13.5×10-6×K-1)と線膨張係数が比較的小さい酸化アルミニウム(7.2×10-6×K-1)が混合され、線膨張係数が比較的小さい酸化アルミニウムに対して混合されているので、バック材16が膨張して、内部に位置する誘導加熱体14に対して外側から応力を作用することができる。
本実施形態では、誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げる隔離層15が設けられている。ここで「接触」とは、誘導加熱体14と被処理物20とが直接、接触する場合のほか、空気を介して間接的に接触する場合を含む。また「妨げる」とは、誘導加熱体14と被処理物20とが完全に接触させないようにすることだけでなく、被処理物20に影響を及ぼさない程度に誘導加熱体14の材料が、被処理物20と接触する場合を含む。例えば、後述するように隔離層15は、気孔を有しているため、この気孔を介して誘導加熱体15の材料が、被処理物20と接触する場合が含まれる。本実施形態では、隔離層15は、炉本体の台座部12の上面、誘導加熱体14の内面および上面、バック材16の上面、および炉本体の筒体11の内面のすべてを覆うように設けられている。
隔離層15の材質は被処理物20の性質によって選択される。すなわち、隔離層15の材質は、被処理物20から回収される有価金属の純度を高めることができるものが選択される。本実施形態では、被処理物20が廃リチウムイオン電池であることを考慮して、隔離層15は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムまたは希土類元素の酸化物の少なくともいずれかを含んで構成されている。この中でもコストを考慮すると、隔離層15の主材料は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウムの少なくともいずれかであることが好ましい。被処理物20が酸化物である場合に隔離層15が還元剤で構成されていると、被処理物20との間で酸化還元反応を引き起こすためである。
なお、上記、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カリウム、酸化カルシウムまたは希土類元素の酸化物は、酸化物生成自由エネルギーが酸化アルミニウムの酸化物生成自由エネルギー以下となる。この中でも酸化マグネシウムが隔離層15の主材料となることが好ましい。塩基性スラグによる溶損(熔損)を抑制できるからである。
誘導炉10であることにより、炉内の酸化還元雰囲気の制御が容易になる。また誘導加熱体14を有することにより、非金属等の絶縁体成分も多く含まれている被処理物20を処理することができる。さらに、誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げる隔離層15が設けられていることにより、誘導加熱体14が被処理物20と化学反応を起こす材料であっても、誘導加熱体14の成分が被処理物20に影響を与えることがない。よって被処理物20から回収される有価金属等に影響を与えることがない。
隔離層15を構成する材料の酸化物生成自由エネルギーが、酸化アルミニウムの酸化物生成自由エネルギー以下であることにより、銅、ニッケル、コバルト、鉄などの酸化物を還元処理の制御が容易になるとともに、熔融することができる。
本実施形態の誘導炉10は、誘導加熱体14またはバック材16の少なくとも一方から発生した気体を、炉本体の外部へ排気する排気筒17が設けられている。図1には、2本の円筒状の排気筒17が、上下に空気が通過することができるように設けられている。すなわち2本の排気筒17は、いずれも下方の端面から上方へ向けて気体を炉本体の外部へ排気することができるようになっている。
これら2本の排気筒17のうち図1の紙面において右側の排気筒17は、平面視において、その下方端面が、バック材16が存在している部分に位置している。具体的に右側の排気筒17の下方端面は、バック材16と隔離層15との境界面に位置している。ただし排気筒17の下方端面は、バック材16の内部に位置していても問題ない。
誘導炉10を長期間使用しないとき、バック材16が吸湿することがあり、この水分が誘導炉10を再度使用する際に水蒸気となる場合がある。右側の排気筒17は、このような水蒸気を排出することができる。
排気筒17の下方端面が、バック材16が存在している部分に位置していることにより、バック材16から発生した気体を効率よく排気することができる。
上記の2本の排気筒17のうち図1の紙面において左側の排気筒17は、排気筒17の下方端面が、隔離層15と誘導加熱体14との境界部分に位置している。
本実施形態の誘導炉10の製造時に、隔離層15内に水分が存在しているときがあり、この水分が誘導炉10を使用する際に水蒸気となる場合がある。左側の排気筒17は、このような水蒸気を排出することができる。なお、排気筒17の下方端面が、隔離層15と誘導加熱体14との境界部分に位置していることにより、水蒸気がこの境界部分から容易に排出される。
なお、本実施形態では、排気筒17は2本設けられたがこれに限定されない。例えば円周方向に等分に4つまたは6つ設けることも可能である。また、排気筒17は、その軸心が上下になるように設けられていたが、これに限定されない。例えば、炉本体の側面に設け、軸心が水平になるように設けることも可能である。さらに本実施形態では、排気筒17が別途部材として設けられる構成であったが、これに限定されない。例えば隔離層15に排気用の孔を設けることも可能である。この場合、排気用の孔が排気筒17となる。
本実施形態では、隔離層15の気孔率が、所定の気孔率よりも小さい、具体的には20%未満であることが好ましい。気孔率が20%未満であることにより、熔融した被処理物20が隔離層15を通過することを抑制することができる。
また本実施形態では隔離層15は、もっぱら誘導加熱体14の内側に設けられているが、この形式に限定されることはない。例えば、誘導加熱体14およびバック材16全体を隔離層15で覆い、その誘導加熱体14を炉本体内部に設けることも可能である。
(第1実施形態の誘導炉10の使用方法)
被処理物20は、本実施形態の誘導炉10の中で熔融され、熔融した有価金属と、熔融した酸化物スラグとに分離される。有価金属は回収され、酸化物スラグは廃棄される。
被処理物20は、例えば廃リチウムイオン電池が該当する。廃リチウムイオン電池では、銅、ニッケル、コバルトが有価金属として回収され、他の金属は酸化物スラグとして廃棄される。この場合、有価金属の中に、特にリンの含有率が低いことが求められる。そして、本実施形態の誘導炉10では、酸化還元雰囲気を制御することが容易であるので、リンの含有率を抑制することができる。
被処理物20が廃リチウムイオン電池であっても、誘導加熱体14があることにより、誘導炉10にて被処理物20の処理を行うことができる。また誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げる隔離層15があるので、回収金属の純度を高めることができる。
(第2実施形態の誘導炉10)
図2には、本発明の第2実施形態に係る誘導炉10の正面方向からの断面図を示す。本実施形態に係る誘導炉10と第1実施形態にかかる誘導炉10との相違点は、排気筒17に開閉バルブ18が設けられている点であり、他の点は共通する。
排気筒17に開閉バルブ18が設けられていることにより、誘導炉10内が加熱される際は、開閉バルブ18を開くことで、隔離層15と炉本体との間にある部材から発生した気体を炉本体の外部へ排気することができる。これにより隔離層15等にひびが入るのを防止できる。また誘導炉10が長期間使用されない場合は、この開閉バルブ18を閉じることで、バック材16が吸湿することを防止できる。
(第3実施形態の誘導炉10)
図3には、本発明の第2実施形態に係る誘導炉10の正面方向からの断面図を示す。本実施形態に係る誘導炉10と第1実施形態にかかる誘導炉10との相違点は、排気筒17に圧力逃し弁19が設けられている点であり、他の点は共通する。
排気筒17に圧力逃し弁19が設けられていることにより、誘導炉10内が加熱され、隔離層15と炉本体との間にある部材から気体が発生した場合でも、その気体を炉本体の外部へ排気することができる。これにより隔離層15等にひびが入るのを防止できる。また誘導炉10が長期間使用されない場合は、圧力逃し弁19は閉じているので、バック材16が吸湿することを防止できる。
以下、本発明に係る誘導炉10の具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
炉本体としては、市販の発信周波数500Hz、定格出力220kVAの鋳鉄熔解用坩堝炉が使用された。
炉本体の構造は、図1で示すものであって、誘導加熱体14が炉本体の底面にも設けられているものであった。内周面直径が700mmの誘導コイル13の内側に、炉本体の筒体11が設けられた。実施例1の筒体11は、最外部には厚さ10mmのコイルセメント層を有していた。
誘導加熱体14として、コイルセメント層の内側に直径500mmのカーボンボンド坩堝が設けられた。また、コイルセメント層と誘導加熱体14との間に、バック材16として、酸化アルミニウムを57%、酸化マグネシウムを39%含むものが用いられた。誘導加熱体14が備えられている状態で、誘導加熱体14の内側および上側の縁部、およびバック材16の上側の縁部に隔離層15が設けられた。この隔離層15は、アルミナキャスターであり、酸化アルミニウムが96%を占めていた。排気筒17として内径5mmのアルミナ管が用いられた。湯注ぎ口が形成される際に、このアルミナ管が埋め込まれた。
上記の誘導炉10により、廃リチウムイオン電池の被処理物20が処理された。その際の誘導炉10の部品の破損の有無を表1に示す。実施例1では、誘導炉10の部品の破損はなかった。
(実施例2)
実施例2における誘導炉10の、実施例1との相違点は、図2に示すように、排気筒17の上側先端近傍に開閉バルブ18が設けられている点である。他の点は実施例1における誘導炉10と同じである。この誘導炉10により廃リチウムイオン電池の被処理物20が処理された。開閉バルブ18は処理の際、開かれていた。その際の誘導炉10の部品の破損の有無を表1に示す。実施例2では、誘導炉10の部品の破損はなかった。
(実施例3)
実施例3における誘導炉10の、実施例1との相違点は、図3に示すように、排気筒17の上側先端近傍に圧力逃し弁19が設けられている点である。他の点は実施例1における誘導炉10と同じである。この誘導炉10により廃リチウムイオン電池の被処理物20が処理された。その際の誘導炉10の部品の破損の有無を表1に示す。実施例3では、誘導炉10の部品の破損はなかった。
(実施例4)
実施例4における誘導炉10の、実施例1との相違点は、バック材16の組成である。本実施例では、バック材16として、酸化アルミニウムを86%、酸化マグネシウムを10%含むものが用いられた。他の点は実施例1における誘導炉10と同じである。この誘導炉10により廃リチウムイオン電池の被処理物20が処理された。その際の誘導炉10の部品の破損の有無を表1に示す。実施例4では、誘導炉10の部品の破損はなかった。
(比較例1)
比較例1における誘導炉10の、実施例1との相違点は、図4に示すように、排気筒17が存在しない点である。他の点は実施例1における誘導炉10と同じである。この誘導炉10により廃リチウムイオン電池の被処理物20が処理された。その際の誘導炉10の部品の破損の有無を表1に示す。比較例1では、誘導炉10の中の隔離層15に割れが発生した。
(比較例2)
比較例2における誘導炉10の、実施例1との相違点は、バック材16が設けられていない点である。他の点は実施例1における誘導炉10と同じである。この誘導炉10により廃リチウムイオン電池の被処理物20が処理された。その際の誘導炉10の部品の破損の有無を表1に示す。比較例2では、誘導炉10の中の誘導加熱体14に割れが発生した。
Figure 0007379999000001
10 誘導炉
11 筒体(炉本体)
12 台座部(炉本体)
13 誘導コイル
14 誘導加熱体
15 隔離層
16 バック材
17 排気筒
20 被処理物

Claims (4)

  1. 被処理物を内部に保持する、有底筒体の形状を有する炉本体と、
    該炉本体の外周面に設けられた誘導コイルと、
    前記炉本体の内部に設けられた誘導加熱体と、
    前記炉本体の内面と前記誘導加熱体との間に設けられたバック材と、を有し、
    前記誘導加熱体と前記被処理物との接触を妨げる隔離層と、
    前記隔離層と前記炉本体との間にある部材から発生した気体を前記炉本体の外部へ排気する排気筒と、が設けられており、
    前記バック材は、酸化アルミニウムと酸化マグネシウムとを含んで構成される粉粒体であり、
    前記バック材では、前記酸化マグネシウムが5質量%よりも多い、
    ことを特徴とする誘導炉。
  2. 前記排気筒は、下方端面から上方へ向けて前記気体を排気し、
    前記排気筒の下方端面が、前記隔離層と前記誘導加熱体との境界部分に位置している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘導炉。
  3. 前記排気筒は、下方端面から上方へ向けて前記気体を排気し、
    前記排気筒の下方端面が、前記バック材が存在している部分に位置している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘導炉。
  4. 前記隔離層は酸化マグネシウムを含んで構成されている、
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の誘導炉。
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