JP7379998B2 - 誘導炉 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導炉に関する。さらに詳しくは、誘導加熱体を有する誘導炉に関する。
炉の外部に設けたコイルに通電して炉内に電磁誘導を生じさせて炉内装入物を発熱させる誘導加熱炉(以下、「誘導炉」と称することがある)を用いた加熱方法が一般に知られている。この誘導炉を用いた加熱方法は、炉内を完全に密閉下に維持することが可能で雰囲気を厳密に制御できる利点がある。この点において、誘導炉を用いた加熱方法は、重油またはLNG(液化天然ガス)を燃料とするバーナーを用いる内熱式の加熱炉より優れている。さらに誘導炉は、同じ電気を用いた炉である、外熱式の抵抗加熱電気炉および内熱式のアーク炉と比較しても、設備の大きさの面、および得られる有価金属の純度の面でも優れている。
上記の誘導炉を、リチウムイオン電池からの有価金属の回収に使用することが検討されている。リチウムイオン電池は、軽量で大出力であるため、ラップトップPC、スマートフォンなどに用いられるだけでなく、ハイブリッド自動車または電気自動車にも用いられており、今後、使用済みのリチウムイオン電池(以下、「廃リチウムイオン電池」と称することがある。なお「廃リチウムイオン電池」には、リチウムイオン電池の製造中に生じた不良品などを含む)が大量に生じる。この廃リチウムイオン電池には、ニッケル、コバルト、銅などの、回収して再利用すべき対象となる有価金属が多く含まれている。
誘導炉の処理量は数トンクラスの大型のものもあり、誘導炉の商業的利用には問題はない。しかしながら廃リチウムイオン電池の処理の場合、廃リチウムイオン電池には、メタルだけでなく非金属等の絶縁体成分も多く含まれており、廃リチウムイオン電池をそのまま誘導炉で加熱することはできない。このため特許文献1に示すように、誘導炉内に、誘導加熱体と称する外部からの電磁誘導に対して発熱する物体が用いられ、間接的に加熱する方法が採用される。
特開2002-139280号公報
非金属の絶縁体成分が多く含まれている被処理物を、例えば1400℃以上という高温で加熱することが要求される場合、幾つかの方法がある。第1の方法として、誘導加熱体の材料として、黒鉛または炭化ケイ素を用いる方法がある。しかし、黒鉛または炭化ケイ素を材料として用いた場合、被処理物が黒鉛等に直接接し、還元剤として働くため、誘導炉の中の酸化還元雰囲気の制御が難しくなり、リンまたはマンガンなどの酸化物までも還元され、有価金属とともに合金化し、有価金属の品質が低下する。
第2の方法として、誘導加熱体として酸化物系の材料を用い、かつ銅など誘導加熱体となりうる金属をあらかじめ投入する方法がある。しかし誘導加熱体となりうる金属をあらかじめ投入することは、その分の仕掛が増加し、その結果として生産性が低下する。加えて、使用電力が増加し、その結果炉体寿命が低下する。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、誘導加熱体を用いた誘導炉により、廃リチウムイオン電池を熔融する場合のように、1400℃以上の高温下で、酸化還元雰囲気を自由に制御することができるとともに、有価金属中の不純物を効率よく除去し、金属を回収することができる誘導炉を提供することを目的とする。
第1発明の誘導炉は、被処理物を内部に保持する、有底筒体の形状を有する炉本体と、該炉本体の外周面に設けられた誘導コイルと、前記炉本体の内部に設けられた誘導加熱体と、を有し、該誘導加熱体と前記被処理物との直接の接触、および空気を介しての間接の接触を妨げるよう、前記誘導加熱体の内側および上側に隔離層が設けられていることを特徴とする。
第2発明の誘導炉は、第1発明において、前記隔離層の気孔率が20%未満であることを特徴とする。
発明の誘導炉は、第1発明または第2発明において、前記誘導加熱体が、黒鉛または炭化ケイ素の少なくとも一方を成分に含むことを特徴とする。
発明の誘導炉は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記誘導加熱体が、前記炉本体の底面に設けられていることを特徴とする。
発明の誘導炉は、第1発明から第発明のいずれかにおいて、前記誘導加熱体が、鉛直方向に2つ以上積み重ねられていることを特徴とする。
発明の誘導炉は、第1発明から第発明のいずれかにおいて、前記隔離層は酸化マグネシウムを含んで構成されていることを特徴とする。
第1発明によれば、誘導炉であることにより、炉内の酸化還元雰囲気の制御が容易になる。また誘導加熱体を有することにより、非金属等の絶縁体成分も多く含まれている被処理物を処理することができる。さらに、誘導加熱体と被処理物との接触を妨げる隔離層が設けられていることにより、誘導加熱体が被処理物と化学反応を起こす材料であっても、誘導加熱体の成分が被処理物に影響を与えることがない。すなわち、炉内の酸化還元雰囲気の制御が容易になる誘導炉において、隔離層があることで、被処理物から回収される有価金属等に影響を与えることがないという利点が得られる。
発明によれば、誘導加熱体が、黒鉛または炭化ケイ素の少なくとも一方を成分に含むことにより、炉内が高温度になっても、十分な耐久性有することができる。また成形加工が容易に行われる。
発明によれば、誘導加熱体が炉本体の底面に設けられていることにより、側面だけでなく、底面からの炉内を昇温できる。
発明によれば、誘導加熱体が鉛直方向に2つ以上積み重ねられていることにより、それぞれの誘導加熱体の高さを必要以上に高くすることを抑制でき、誘導加熱体の製造コストを抑えることができる。
発明によれば、隔離層が酸化マグネシウムを含んで構成されていることにより、主材料の酸化物生成自由エネルギーが、酸化アルミニウムの酸化物生成自由エネルギー以下となり、銅、ニッケル、コバルト、鉄などの酸化物を還元処理するとともに、熔融することができる。
本発明の第1実施形態に係る誘導炉の正面方向からの断面図である。 本発明の第2実施形態に係る誘導炉の正面方向からの断面図である。 本発明の第3実施形態に係る誘導炉の正面方向からの断面図である。 従来の誘導炉であって、比較例1で使用されたものの正面方向からの断面図である。 従来の誘導炉であって、比較例2で使用されたものの正面方向からの断面図である。 従来の誘導炉であって、比較例3で使用されたものの正面方向からの断面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための誘導炉を例示するものであって、本発明は誘導炉を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
(第1実施形態の誘導炉10)
図1には、本発明の第1実施形態に係る誘導炉10の正面方向からの断面図を示す。本明細書では図1の紙面において、上下となる方向を上下と記載する。本実施形態に係る誘導炉10は、被処理物20を内部に保持する、有底筒体の形状を有する炉本体と、この炉本体の外周面に設けられた誘導コイル13と、炉本体の内部に設けられた誘導加熱体14と、を有する。そして、誘導加熱体14と、被処理物20の接触を妨げる隔離層15が設けられている。
炉本体は、絶縁耐火性の材料から構成されている筒体11と、この筒体11の下部に設けられており、同じく絶縁耐火性の材料から構成されている台座部12と、を含んで構成されている。すなわち炉本体は、筒体11と台座部12とにより、有底筒体の形状し、有底筒体の形状部を含んで構成されている。筒体11は単一の材料で構成される場合、または二以上の材料で構成される場合がある。筒体11の材料は、公知の材料であり、具体的にコイルセメント、ノンアスベスト、耐火セメントなどを採用することができる。材料は台座部12も同じである。本実施形態では、筒体11の形状は、円筒形状であるが、この形状に限定されることはない。この炉本体の内部に被処理物20が投入され、この炉本体は、この被処理物20を保持することができる。
図1に示すように炉本体の外周面には、誘導コイル13が設けられている。本実施形態では、誘導コイル13は、筒体11の外周の周りに巻きまわされている。すなわち本実施形態において誘導コイル13は、筒型の形状である。ただし、この形状に限定されることはない。誘導コイル13の材質は、公知の材質であり、具体的には銅を採用することができる。なお本明細書では、炉本体の被処理物20が存在する側を炉本体の内側、炉本体の誘導コイル13が設けられている側を炉本体の外側と記載する。
本実施形態の誘導炉10では、炉本体の内部に誘導加熱体14が設けられている。誘導加熱体14は、誘導炉10に投入される被処理物20に、非金属等の絶縁体成分が多く含まれている際に設けられる。非金属等の絶縁体成分には電磁誘導が生じないからである。誘導加熱体14の材料は、電磁誘導により発熱する導電体である。誘導加熱体14の材質は、具体的には、鉄、銅、真鍮、チタン、黒鉛、炭化ケイ素などが一般的に採用される。本実施形態の誘導炉10の材質は、炭化ケイ素を成分に含んでいる。なお、誘導加熱体14は、カーボンボンドとすることも可能である。黒鉛での成形品と比較して安価に入手できる。
誘導加熱体14が、黒鉛または炭化ケイ素の少なくとも一方を成分に含むことにより、炉内が高温度になっても、十分な耐久性有することができる。また成形加工を容易に行うことができる。
誘導加熱体14は、筒体11の筒形状の内部に挿入することが可能な形状である。本実施形態では筒体11は円筒形状であるので、誘導加熱体14も円筒形状である。本実施形態の誘導加熱体14は、被処理物20を取り囲むように一体となる形状である。このため、誘導加熱体14に付加される電流の周波数が低い場合でも電磁誘導を効率的に生じさせることができる。本実施形態では、誘導加熱体14の外径は、筒体11に遊嵌する大きさとなっている。
本実施形態では、誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げる隔離層15が設けられている。ここで「接触」とは、誘導加熱体14と被処理物20とが直接、接触する場合のほか、空気を介して間接的に接触する場合を含む。また「妨げる」とは、誘導加熱体14と被処理物20とが完全に接触させないようにすることだけでなく、被処理物20に影響を及ぼさない程度に誘導加熱体14の材料が、被処理物20と接触する場合を含む。例えば、後述するように隔離層15は、気孔を有しているため、この気孔を介して誘導加熱体15の材料が、被処理物20と接触する場合が含まれる。
隔離層15の材質は被処理物20の性質によって選択される。すなわち、隔離層15の材質は、被処理物20から回収される有価金属の純度を高めることができるものが選択される。本実施形態では、被処理物20が廃リチウムイオン電池であることを考慮して、隔離層15は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムまたは希土類元素の酸化物の少なくともいずれかを含んで構成されている。この中でもコストを考慮すると、隔離層15の主材料は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウムの少なくともいずれかであることが好ましい。被処理物20が酸化物である場合に隔離層15が還元剤で構成されていると、被処理物20との間で酸化還元反応を引き起こすためである。
なお、上記、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カリウム、酸化カルシウムまたは希土類元素の酸化物は、酸化物生成自由エネルギーが酸化アルミニウムの酸化物生成自由エネルギー以下となる。この中でも酸化マグネシウムが隔離層15の主材料となることが好ましい。塩基性スラグによる溶損(熔損)を抑制できるからである。
誘導炉10であることにより、炉内の酸化還元雰囲気の制御が容易になる。また誘導加熱体14を有することにより、非金属等の絶縁体成分も多く含まれている被処理物20を処理することができる。さらに、誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げる隔離層15が設けられていることにより、誘導加熱体14が被処理物20と化学反応を起こす材料であっても、誘導加熱体14の成分が被処理物20に影響を与えることがない。よって被処理物20から回収される有価金属等に影響を与えることがない。
隔離層15を構成する材料の酸化物生成自由エネルギーが、酸化アルミニウムの酸化物生成自由エネルギー以下であることにより、銅、ニッケル、コバルト、鉄などの酸化物を還元処理の制御が容易になるとともに、熔融することができる。
本実施形態では、隔離層15の気孔率が、所定の気孔率よりも小さい、具体的には20%未満であることが好ましい。気孔率が20%未満であることにより、熔融した被処理物20が隔離層15を通過することを抑制することができる。
また本実施形態では隔離層15は、もっぱら誘導加熱体14の内側に設けられているが、この形式に限定されることはない。例えば、誘導加熱体14全体を隔離層15で覆い、その誘導加熱体14を炉本体内部に設けることも可能である。
(第1実施形態の誘導炉10の使用方法)
被処理物20は、本実施形態の誘導炉10の中で熔融され、熔融した有価金属と、熔融した酸化物スラグとに分離される。有価金属は回収され、酸化物スラグは廃棄される。
被処理物20は、例えば廃リチウムイオン電池が該当する。廃リチウムイオン電池では、銅、ニッケル、コバルトが有価金属として回収され、他の金属は酸化物スラグとして廃棄される。この場合、有価金属の中に、特にリンの含有率が低いことが求められる。そして、本実施形態の誘導炉10では、酸化還元雰囲気を制御することが容易であるので、リンの含有率を抑制することができる。
被処理物20が廃リチウムイオン電池であっても、誘導加熱体14があることにより、誘導炉10にて被処理物20の処理を行うことができる。また誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げる隔離層15があるので、回収金属の純度を高めることができる。
被処理物20がリンを含む酸化物であっても、誘導加熱体14を有する誘導炉10は酸化還元雰囲気を制御するのが容易であり、かつ隔離層15が誘導加熱体14と被処理物20の接触を妨げるので、誘導加熱体14の材料によりリンが回収金属に含まれることを防止でき、リンを回収金属から容易に除去できる。
さらに被処理物20を熔融する場合、還元剤が用いられることがある。この還元剤は炭素を含んでいることが好ましい。そして、本実施形態にかかる誘導炉10では、隔離層15が、誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げているので、誘導加熱体14が還元剤から製造されていたとしても、誘導炉10内に供給される還元剤の量を容易に制御できる。
被処理物20の還元剤が、炭素を含んでおり、隔離層15が誘導加熱体14と被処理物20との接触を妨げていることにより、被処理物20に対する還元剤の量の調整が容易になり、誘導炉10内の酸化還元雰囲気の制御が容易になり、回収される有価金属に含まれる不純物の量を減らすことができる。
なお、被処理物20が廃リチウムイオン電池の場合、還元剤としての炭素は、酸化物生成自由エネルギーを考慮すると、酸素分圧などを所定の条件とすることで、一度の熔融で、銅、ニッケル、コバルトを有価金属とし、他のアルミニウム、リチウム、マンガン、リンなどを、上記の有価金属よりも比較的比重の軽い酸化物スラグとに分離することができる。
さらに被処理物20に、高融点のアルミニウム酸化物が多く含まれる場合は、融点を低下させるため、カルシウム酸化物などのフラックスを添加することが好ましい。このフラックスと酸化アルミニウムとの共晶反応により、スラグの融点を降下させることができ、これにより誘導炉10の中で酸化物スラグと有価金属との二層を形成させることができ、スラグを分離除去が容易になるからである。
被処理物20に高融点のアルミニウム酸化物が多く含まれる場合であっても、酸化アルミニウムとの共晶反応により融点を低下させるカルシウム酸化物などのフラックスを添加することで、スラグの融点を降下させ、隔離層15の中で酸化物スラグと熔融金属の二層を形成して比重分離させ、スラグを分離除去しやすくする方法を用いることができる。
(第2実施形態の誘導炉10)
図2には、本発明の第2実施形態に係る誘導炉10の正面方向からの断面図を示す。本実施形態に係る誘導炉10と第1実施形態にかかる誘導炉10との相違点は、誘導加熱体14が、炉本体の底面に設けられている点であり、他の点は共通する。すなわち、台座部12の上には、誘導加熱体14が存在し、その上に隔離層15が設けられている。
誘導加熱体14が炉本体の底面に設けられていることにより、側面だけでなく、底面からの誘導炉10内を昇温できる。
また、万一隔離層15が損傷し、ひび割れが発生しても、誘導加熱体14が、底面が閉じた深皿状の形状となっているため、熔融した高温の被処理物20が誘導炉10の外側へ漏れ出す事態を回避できる。
なお、誘導加熱体14として、図2には、底部と側部とが一体化した構造を示したが、誘導加熱体14の形状はこれに限定されない。例えば底部と側部とが別々の部材であっても問題ない。
(第3実施形態の誘導炉10)
図3には、本発明の第3実施形態に係る誘導炉10の正面方向からの断面図を示す。本実施形態に係る誘導炉10と第2実施形態にかかる誘導炉10との相違点は、誘導加熱体14が、鉛直方向、すなわち上下方向に2つ積み重ねられている点であり、他の点は共通する。すなわち、誘導加熱体14は、上下方向の中央付近で輪切りにされた形状であり、それらが積み重ねられている。
誘導加熱体14が鉛直方向に2つ以上積み重ねられていることにより、それぞれの誘導加熱体14の高さを必要以上に高くすることを抑制でき、誘導加熱体14の製造コストを抑えることができる。
また、誘導加熱体14が2以上積み重ねられている場合、誘導加熱体14の材質の密度、厚さ等を変更することができ、これにより発熱量を上下方向で細かく調整することができる。
以下、本発明に係る誘導炉10の具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
炉本体としては、市販の発信周波数400Hz、定格出力100kVAの鋳鉄熔解用坩堝炉が使用された。
炉本体の構造は、図2で示すものと同じである。内周面直径が420mmの誘導コイル13の内側に、炉本体の筒体11が設けられた。図2には示されていないが、実施例1の筒体11は、最外部には厚さ20mmのコイルセメント部、その内側に厚さ10mmのノンアスベスト板層、さらにその内側に厚さ75mmの耐火セメント層を有していた。
誘導加熱体14として、耐火セメント層の内側に肉厚30mmの黒鉛坩堝が設けられた。また、誘導加熱体14が備えられている状態で、誘導加熱体14の内側および上側の縁部に肉厚30mmの隔離層15が設けられた。この隔離層15は、アルミナキャスターであり、気孔率は20%を下回り19%であった。誘導加熱体14として用いられた黒鉛坩堝には、黒鉛でできた管が備えられていた。黒鉛坩堝および黒鉛性の管には室温比抵抗約1000μΩcmの高純度カーボンが用いられていた。
被処理物20として、廃リチウムイオン電池が用いられた。まず廃リチウムイオン電池に残留する電荷を放電することにより、廃リチウムイオン電池が無害化された。そして廃リチウムイオン電池の外装缶が除去され、外装缶除去後の廃リチウムイオン電池がグッドカッター(商標:株式会社氏家製作所)にて破砕された。破砕後、廃リチウムイオン電池の破砕物は、800℃の温度で酸化焙焼され、炭素品位が1重量%未満になるように炭素が除去された。次いで、焙焼後の固形物は破砕され、酸化物粉粒体とされた。この酸化物粉粒体の分析値を表1に示す。
Figure 0007379998000001
上記酸化物粉粒体が、実施例1の被処理物20である。この被処理物20が3kg誘導炉10に装入されるとともに、還元剤として黒鉛紛、フラックスとして酸化カルシウムが合わせて装入された。熔融は炉内が1400℃になるようにし、1時間かけて行われた。熔融後、有価金属と、酸化物スラグとに分離し、それぞれについて分析を行った。その値を表2に示す。
Figure 0007379998000002
表2では、表の上下の値を加算すると100%となる。表2で示すように、銅、ニッケルは99%以上、コバルトは95%以上が有価金属に含まれ、有価金属としての回収率が非常に高いことが分かった。加えて、有価金属中のリンは0.2%であり、これから計算すると、有価金属全体の重量に占めるリンの割合は、ICP分析の定量下限未満、すなわち表3で示すように0.001質量%未満であり、良好な結果が得られた。
Figure 0007379998000003
(比較例1)
図4には、従来用いられていた誘導炉50の正面方向からの断面図を示す。実施例1の誘導炉10との相違点は、隔離層15が存在しない点であり、他の点は共通する。この誘導炉50により、実施例1と同じ被処理物20を処理して、有価金属全体の重量に占めるリンの割合を算出した。その結果を表3に示す。有価金属全体の重量に占めるリンの割合は0.15質量%であり、良好な結果が得られなかった。
(比較例2)
図5には、従来用いられていた誘導炉50の正面方向からの断面図を示す。実施例1の誘導炉10との相違点は、誘導加熱体14が存在しない点、および誘導加熱体14の代わりに酸化物であるアルミナ坩堝16が炉本体の中に設けられている点、隔離層15が設けられていない点であり、他の点は共通する。この誘導炉50により、実施例1と同じ被処理物20を処理しようとした。しかし、誘導加熱体14が存在しないため、被処理物20があらかじめ定められた温度に到達することができず、熔融することができなかった。
(比較例3)
図6には、従来用いられていた誘導炉50の正面方向からの断面図を示す。実施例1の誘導炉10との相違点は、隔離層15が設けられているものの、この隔離層15は、筒体11の上部近傍において、誘導加熱体14と被処理物20との接触が空気を通じてある点、および誘導加熱体14と隔離層15との間に隙間が空いている点であり、他の点は共通する。この誘導炉50により、実施例1と同じ被処理物20を処理して、有価金属全体の重量に占めるリンの割合を算出した。その結果を表3に示す。有価金属全体の重量に占めるリンの割合は0.03質量%であり、良好な結果が得られなかった。これは、加熱によって黒鉛からCOガスのような還元性ガスが発生し、これによりリンが還元され、有価金属に残存したためと考えられる。
10 誘導炉
11 筒体(炉本体)
12 台座部(炉本体)
13 誘導コイル
14 誘導加熱体
15 隔離層
20 被処理物

Claims (6)

  1. 被処理物を内部に保持する、有底筒体の形状を有する炉本体と、
    該炉本体の外周面に設けられた誘導コイルと、
    前記炉本体の内部に設けられた誘導加熱体と、を有し、
    該誘導加熱体と前記被処理物との直接の接触、および空気を介しての間接の接触を妨げるよう、前記誘導加熱体の内側および上側に隔離層が設けられている、
    ことを特徴とする誘導炉。
  2. 前記隔離層の気孔率が20%未満である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘導炉。
  3. 前記誘導加熱体が、
    黒鉛または炭化ケイ素の少なくとも一方を成分に含む、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の誘導炉。
  4. 前記誘導加熱体が、前記炉本体の底面に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の誘導炉。
  5. 前記誘導加熱体が、鉛直方向に2つ以上積み重ねられている、
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の誘導炉。
  6. 前記隔離層は酸化マグネシウムを含んで構成されている、
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の誘導炉。
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