JP7377425B2 - バリアフィルム、積層体及び包装袋 - Google Patents

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Description

本開示は、バリアフィルム、積層体及び包装袋に関する。
バリアフィルムは主に、ボイル処理、レトルト処理等の加熱殺菌処理が行われる食品や医療医薬品などの包装材料として広く用いられている。これらの内容物を包装するにあたっては、酸素透過度を小さくすることが特に重要視されてきた。このような加熱殺菌を行う包装材料に用いられるバリアフィルムとしては、基材として耐熱性の高いポリエチレンテレフタレートフィルムを使用するのが一般的である。
しかし、近年、環境問題への意識の高まりから、包装材料にリサイクル適性を持たせるために、単一素材を使用した包装材料、いわゆるモノマテリアル包材への関心が高まっている。包装材料のシーラント層としては、一般的にポリプロピレンなどのオレフィン系フィルムが使用されているため、そのようなシーラント層を使用してモノマテリアル包材を作製するためには、バリアフィルムにもポリプロピレンを基材として使用することが求められている。例えば、下記特許文献1及び2には、ポリプロピレンを使用したモノマテリアル包材が提案されている。
ポリプロピレンフィルムは、透明性、機械的強度、耐熱性に優れるため包装材料などに広く使用されている。しかしながら、ポリプロピレンは、ポリエチレンテレフタレート等と異なり、金属蒸着性、他の樹脂との接着性、印刷性などの二次加工性が十分ではない。これらの問題点を解決するため、種々の方法が提案されている。例えば、特許文献3には、ポリプロピレンとエチレン・α-オレフィン共重合体とのブレンドから形成されるポリプロピレン系フィルムが提案されており、特許文献4には、ポリプロピレンとエチレン・α-オレフィン共重合体とのブレンドから形成される層と、ポリプロピレン系樹脂により形成される層とを有するポリプロピレン系フィルムが提案されている。
特開2020-40257号公報 特開2021-20391号公報 特開昭63-291929号公報 特開昭63-290743号公報
しかしながら、従来のバリアフィルムや積層体の構成では、加熱殺菌処理後において酸素透過度を低く抑えることができないだけでなく、加熱殺菌処理後のフィルム間(層間)の密着強度が低いため、内容物を充填したパウチとして使用する際に、パウチの破袋強度が低く、落下等の衝撃によりパウチが破壊されやすいという問題があった。
本開示は上記の事情に鑑みてなされたものであり、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間(層間)に十分な密着強度を持たせることが可能なバリアフィルム、それを用いた積層体及び包装袋を提供することを目的とする。
(第一の側面)
本開示は、ポリプロピレンを含む基材層と、無機酸化物を含む蒸着層と、ガスバリア層と、をこの順に備え、上記基材層が、少なくとも第1スキン層、コア層及び第2スキン層の3層をこの順に備える多層構造を有し、上記基材層の各層の軟化温度を局所熱分析(LTA)にて測定したときに、上記第1スキン層は120℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在し、上記コア層は190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在し、上記第2スキン層は160℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する、バリアフィルムを提供する。
上記バリアフィルムによれば、基材層が上記特定の範囲の軟化温度を有する第1スキン層、コア層及び第2スキン層を備えることにより、基材層及びバリアフィルムを構成する各層間の密着強度が高められ、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能となり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間(層間)に十分な密着強度を持たせることが可能となる。また、上記バリアフィルムをシーラント層、又は、シーラント層及び第2基材層と積層して積層体を形成した場合に、バリアフィルムとシーラント層及び/又は第2基材層との密着強度を高めることができる。そのため、上記バリアフィルムを用いることで、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間(層間)に十分な密着強度を持たせることが可能な積層体及びそれを用いた包装袋を得ることができる。
上記バリアフィルムにおいて、上記第1スキン層の軟化温度をLTAにて測定したときに、120℃以上170℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在してもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記第2スキン層の軟化温度をLTAにて測定したときに、120℃以上160℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在してもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記第1スキン層及び上記第2スキン層が、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体を含んでいてもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記基材層の各層の軟化温度をLTAにて測定したときに、上記第1スキン層及び上記第2スキン層に存在するいずれの軟化温度よりも高い軟化温度が、上記コア層に存在してもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記基材層の各層の軟化温度をLTAにて測定したときに、上記第2スキン層に存在するいずれの軟化温度よりも高い軟化温度が、上記第1スキン層に存在してもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能である。また、上記バリアフィルムをシーラント層、又は、シーラント層及び第2基材層と積層して積層体を形成した場合に、バリアフィルムとシーラント層及び/又は第2基材層との密着強度をより高めることができる。
上記バリアフィルムにおいて、上記第1スキン層及び上記第2スキン層の厚さが、いずれも2.0μm以下であってもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記蒸着層が、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記ガスバリア層が、水酸基を有する水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種とを含んでいてもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記第1スキン層の上記コア層とは反対側の面上に、上記蒸着層が形成されていてもよい。また、その場合、上記バリアフィルムは、上記第1スキン層と上記蒸着層との間にアンカーコート層を備えていてもよい。上記構成を備えるバリアフィルムは、第1スキン層と蒸着層との間の密着強度をより向上させることができる。そのため、上記バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
本開示はまた、上記本開示のバリアフィルムと、シーラント層とを備え、上記シーラント層がポリオレフィンを含む、積層体を提供する。上記積層体は、上記バリアフィルムの上記シーラント層とは反対側の面上に第2基材層を更に備え、上記第2基材層がポリオレフィンを含んでいてもよい。上記積層体は、上記本開示のバリアフィルムを用いているため、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間に十分な密着強度を持たせることが可能である。また、上記積層体は、モノマテリアル包材として有用である。
本開示はまた、上記本開示の積層体を製袋してなる包装袋を提供する。上記包装袋は、上記本開示の積層体を用いているため、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間に十分な密着強度を持たせることが可能である。また、上記包装袋は、モノマテリアル包材として有用である。
(第二の側面)
本開示は、ポリプロピレンを含む基材層と、無機酸化物を含む蒸着層と、ガスバリア層と、をこの順に備え、上記基材層が、蒸着層側から順にスキン層と、コア層との2層からなり、上記基材層の各層の軟化温度を局所熱分析(LTA)にて測定したときに、上記スキン層は115℃以上170℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在し、上記コア層は190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在する、バリアフィルムを提供する。
上記バリアフィルムによれば、上記基材層が上記特定の範囲の軟化温度を有する上記スキン層及び上記コア層を備えることにより、フィルム間の密着強度が高められ、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能となり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間に十分な密着強度を持たせることが可能となる。そのため、上記バリアフィルムを用いることで、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間に十分な密着強度を持たせることが可能な積層体及びそれを用いた包装袋を得ることができる。
上記バリアフィルムにおいて、上記スキン層が、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体を含んでいてもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記スキン層が、エチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体を含んでいてもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記スキン層の厚さが、0.2μm以上2.0μm以下であってもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記コア層の厚さに対する上記スキン層の厚さの比が、1/100~1/5であってもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記蒸着層が、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記ガスバリア層が、Si(OR及びRSi(OR(OR及びORは、それぞれ独立に加水分解性基であり、Rは有機官能基である。)から選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物又はその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子と、を含む塗布液から形成されたものであってもよい。この場合、バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
上記バリアフィルムにおいて、上記スキン層と上記蒸着層との間にアンカーコート層を備えていてもよい。上記構成を備えるバリアフィルムは、スキン層と蒸着層との間の密着強度をより向上させることができる。そのため、上記バリアフィルムは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
本開示はまた、上記本開示のバリアフィルムと、シーラント層とを備え、上記シーラント層がポリオレフィンを含む、積層体を提供する。上記積層体は、上記バリアフィルムの上記シーラント層とは反対側の面上に第2基材層を更に備え、上記第2基材層がポリオレフィンを含んでいてもよい。上記積層体は、上記本開示のバリアフィルムを用いているため、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間に十分な密着強度を持たせることが可能である。また、上記積層体は、モノマテリアル包材として有用である。
本開示はまた、上記本開示の積層体を製袋してなる包装袋を提供する。上記包装袋は、上記本開示の積層体を用いているため、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間に十分な密着強度を持たせることが可能である。また、上記包装袋は、モノマテリアル包材として有用である。
本開示によれば、加熱殺菌処理後においても酸素透過度を低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間(層間)に十分な密着強度を持たせることが可能なバリアフィルム、それを用いた積層体及び包装袋を提供することができる。
本開示の一実施形態に係るバリアフィルムを示す模式断面図である。 本開示の一実施形態に係るバリアフィルムを示す模式断面図である。 本開示の一実施形態に係る積層体を示す模式断面図である。 本開示の一実施形態に係る積層体を示す模式断面図である。 本開示の一実施形態に係る積層体を示す模式断面図である。 本開示の一実施形態に係る積層体を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示は、以下のバリアフィルム、積層体及び包装袋を提供する。
[1]ポリプロピレンを含む基材層と、無機酸化物を含む蒸着層と、ガスバリア層と、をこの順に備え、上記基材層が、少なくとも第1スキン層、コア層及び第2スキン層の3層をこの順に備える多層構造を有し、上記基材層の各層の軟化温度を局所熱分析(LTA)にて測定したときに、上記第1スキン層は120℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在し、上記コア層は190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在し、上記第2スキン層は160℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する、バリアフィルム。
[2]上記第1スキン層の軟化温度をLTAにて測定したときに、120℃以上170℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する、上記[1]に記載のバリアフィルム。
[3]上記第2スキン層の軟化温度をLTAにて測定したときに、120℃以上160℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する、上記[1]又は[2]に記載のバリアフィルム。
[4]上記第1スキン層及び上記第2スキン層が、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[5]上記基材層の各層の軟化温度をLTAにて測定したときに、上記第1スキン層及び上記第2スキン層に存在するいずれの軟化温度よりも高い軟化温度が、上記コア層に存在する、上記[1]~[3]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[6]上記基材層の各層の軟化温度をLTAにて測定したときに、上記第2スキン層に存在するいずれの軟化温度よりも高い軟化温度が、上記第1スキン層に存在する、上記[1]~[5]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[7]上記第1スキン層及び上記第2スキン層の厚さが、いずれも2.0μm以下である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[8]上記蒸着層が、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記[1]~[7]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[9]上記ガスバリア層が、水酸基を有する水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む、上記[1]~[8]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[10]上記第1スキン層の上記コア層とは反対側の面上に、上記蒸着層が形成されている、上記[1]~[9]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[11]上記第1スキン層と上記蒸着層との間にアンカーコート層を備える、上記[10]に記載のバリアフィルム。
[12]ポリプロピレンを含む基材層と、無機酸化物を含む蒸着層と、ガスバリア層と、をこの順に備え、上記基材層が、上記蒸着層側から順にスキン層と、コア層との2層からなり、上記基材層の各層の軟化温度を局所熱分析(LTA)にて測定したときに、上記スキン層は115℃以上170℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在し、上記コア層は190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在する、バリアフィルム。
[13]上記スキン層が、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体を含む、上記[12]に記載のバリアフィルム。
[14]上記スキン層が、エチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体を含む、上記[12]又は[13]に記載のバリアフィルム。
[15]上記スキン層の厚さが、0.2μm以上2.0μm以下である、上記[12]~[14]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[16]上記コア層の厚さに対する上記スキン層の厚さの比が、1/100~1/5である、上記[12]~[15]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[17]上記蒸着層が、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記[12]~[16]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[18]上記ガスバリア層が、Si(OR及びRSi(OR(OR及びORは、それぞれ独立に加水分解性基であり、Rは有機官能基である。)から選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物又はその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子と、を含む塗布液から形成されたものである、上記[12]~[17]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[19]上記スキン層と上記蒸着層との間にアンカーコート層を備える、上記[12]~[18]のいずれかに記載のバリアフィルム。
[20]上記[1]~[19]のいずれかに記載のバリアフィルムと、シーラント層とを備え、上記シーラント層がポリオレフィンを含む、積層体。
[21]上記バリアフィルムの上記シーラント層とは反対側の面上に第2基材層を更に備え、上記第2基材層がポリオレフィンを含む、上記[20]に記載の積層体。
[22]上記[20]又は[21]に記載の積層体を製袋してなる包装袋。
<第一の側面に係るバリアフィルム>
第一の側面に係るバリアフィルムは、ポリプロピレンを含む基材層と、無機酸化物を含む蒸着層と、ガスバリア層と、をこの順に備え、基材層が、少なくとも第1スキン層、コア層及び第2スキン層の3層をこの順に備える多層構造を有し、基材層の各層の軟化温度を局所熱分析(LTA)にて測定したときに、第1スキン層は120℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在し、コア層は190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在し、第2スキン層は160℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する、バリアフィルムである。
図1は、本実施形態の第一の側面に係るバリアフィルムを示す模式断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るバリアフィルム10aは、基材層1aと、蒸着層2と、ガスバリア層3と、をこの順に備える。
[基材層]
基材層1aは、支持体となるフィルム(ベースフィルム)であり、ポリプロピレンを含む。基材層1aは、少なくとも第1スキン層11a、コア層12、及び、第2スキン層13の3層を含む多層構造のフィルムである。基材層1aは、ポリプロピレンからなるフィルムであってよく、ポリプロピレンをシート化して、該シートを通常の手段により延伸し、一軸或いは二軸に配向したフィルムとしてもよい。延伸は、多層構造のフィルムに対して行ってもよい。基材層1aには、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、ステアリン酸カルシウム、脂肪酸アミド、エルカ酸アミド等の滑剤、帯電防止剤などの有機添加剤、シリカ、ゼオライト、サイロイド、ハイドロタルサイト、シリコン粒子等の粒子状滑剤などの無機添加剤が目的に応じて添加されてもよい。
基材層1aの厚さ(総厚)は、特に制限されないが、例えば、3μm以上200μm以下であってよく、6μm以上50μm以下であってよく、10μm以上30μm以下であってよい。
コア層12は、後述する局所熱分析(LTA)にてフィルム断面から軟化温度を測定したときに、190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在する層である。上記少なくとも一つの軟化温度は、195℃以上であってもよく、198℃以上220℃以下であってもよい。軟化温度は、コア層12の厚さ方向の中央部で測定された温度を使用する。上記少なくとも一つの軟化温度が190℃以上であることで、基材層1aの耐熱性を高めることができ、加熱殺菌処理時の熱に強く、加熱殺菌処理時に基材層1aが収縮して包装材料として使用できないといった問題が生じることを防ぐことができる。なお、コア層12は、一つの軟化温度を有する層であってもよく、複数の軟化温度を有する層であってもよい。コア層12が複数の軟化温度を有する場合、少なくとも一つの軟化温度が、上述した条件を満たしていればよい。
基材層1aの耐熱性を高める観点から、コア層12に用いるポリプロピレンは、結晶性ポリプロピレンであってよく、加熱殺菌処理のための耐熱性を更に向上させる観点から、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンであってもよい。ただし、本開示の効果を著しく損なわない範囲であれば、プロピレンとα-オレフィンとのランダム共重合体、或いは当該共重合体とホモポリプロピレンとの混合物等を用いてもよい。
コア層12の一方の面上には第1スキン層11aが、他方の面上には第2スキン層13が設けられる。基材層1aの両表面は、第1スキン層11a及び第2スキン層13により形成されていてもよい。コア層12と第1スキン層11aとの間には、それら以外の他の層が設けられていてもよいが、他の層を介さずにコア層12と第1スキン層11aとが接していてもよい。コア層12と第2スキン層13との間には、それら以外の他の層が設けられていてもよいが、他の層を介さずにコア層12と第2スキン層13とが接していてもよい。
第1スキン層11aは、後述する局所熱分析(LTA)にてフィルム断面から軟化温度を測定したときに、120℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在する層である。上記少なくとも一つの軟化温度は、120℃以上170℃以下であってもよく、125℃以上168℃以下であってもよい。軟化温度は、第1スキン層11aの厚さ方向の中央部で測定された温度を使用する。上記少なくとも一つの軟化温度が120℃以上であることで、第1スキン層11aの耐熱性が低くなりすぎず、加熱殺菌処理時に第1スキン層11aが軟化してしまい、密着性の低下やバリア性の劣化を引き起こすおそれが少ない。また、上記少なくとも一つの軟化温度が170℃以下であることで、第1スキン層11aの柔軟性が低下することを抑制でき、第1スキン層11aとコア層12との密着強度を高めることができる。なお、第1スキン層11aは、一つの軟化温度を有する層であってもよく、複数の軟化温度を有する層であってもよい。第1スキン層11aが複数の軟化温度を有する場合、少なくとも一つの軟化温度が、上述した条件を満たしていればよい。
第2スキン層13は、後述する局所熱分析(LTA)にてフィルム断面から軟化温度を測定したときに、160℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する層である。上記少なくとも一つの軟化温度は、120℃以上160℃以下であってもよく、122℃以上155℃以下であってもよい。軟化温度は、第2スキン層13の厚さ方向の中央部で測定された温度を使用する。上記少なくとも一つの軟化温度が160℃以下であることで、第2スキン層13の柔軟性が低下することを抑制でき、第2スキン層13とコア層12との密着強度を高めることができる。また、上記少なくとも一つの軟化温度が120℃以上であることで、第2スキン層13の耐熱性が低くなりすぎず、加熱殺菌処理時に第2スキン層13が軟化してしまい、密着性の低下やバリア性の劣化を引き起こすおそれが少ない。なお、第2スキン層13は、一つの軟化温度を有する層であってもよく、複数の軟化温度を有する層であってもよい。第2スキン層13が複数の軟化温度を有する場合、少なくとも一つの軟化温度が、上述した条件を満たしていればよい。
第1スキン層11a及び第2スキン層13に用いるポリプロピレンは、コア層12との密着性を向上させる観点から、プロピレンと他のモノマーとの共重合体を含んでいてよい。他のモノマーとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン等のα-オレフィンを使用してもよい。共重合体は、ランダム共重合体であってもよい。
ポリプロピレンフィルムを使用したモノマテリアル包材は、包装袋としての腰強度、自立性を高めるために、一般的に外層フィルム(第2基材層)/バリアフィルム/シーラント層の3層構造を有している。本実施形態のバリアフィルム10aにおける基材層1aには、隣接する層(第2基材層又はシーラント層)とのラミネート強度を高める目的で、バリア形成面(蒸着層及びガスバリア層を形成する側の面)と反対側の表面に、第2スキン層13が設けられている。第2スキン層13は、160℃以下の軟化温度を有している。第2スキン層13が160℃以下の軟化温度を有することで、第2スキン層13の柔軟性が高くなり、コア層12との良好な密着強度が得られる。
各層の軟化温度は、加熱殺菌処理における基材層1aの収縮を小さくし、また各層間の密着強度を維持するために、コア層12を最も高く設定することが好ましい。換言すると、第1スキン層11a及び第2スキン層13に存在するいずれの軟化温度よりも高い軟化温度が、コア層12に存在することが好ましい。また、第1スキン層11a及び第2スキン層13の軟化温度は、加熱殺菌処理後のバリア性と各層間の密着性とのバランスを保ちやすいことから、第1スキン層11aの軟化温度を第2スキン層13の軟化温度よりも高くすることが好ましい。換言すると、第2スキン層13に存在するいずれの軟化温度よりも高い軟化温度が、第1スキン層11aに存在することが好ましい。
コア層12の190℃以上に存在する軟化温度は、第1スキン層11aの120℃以上に存在する軟化温度よりも、10℃以上高くてもよく、20℃以上高くてもよい。この場合、加熱殺菌処理における基材層1aの収縮をより小さくでき、且つ、加熱殺菌処理後の各層間の密着強度をより十分に維持することができる。
コア層12の190℃以上に存在する軟化温度は、第2スキン層13の160℃以下に存在する軟化温度よりも、35℃以上高くてもよく、45℃以上高くてもよい。この場合、加熱殺菌処理における基材層1aの収縮をより小さくでき、且つ、加熱殺菌処理後の各層間の密着強度をより十分に維持することができる。
第1スキン層11aの120℃以上に存在する軟化温度は、第2スキン層13の160℃以下に存在する軟化温度よりも、5℃以上高くてもよく、15℃以上高くてもよい。この場合、加熱殺菌処理後のバリア性と各層間の密着性とのバランスをより十分に保ちやすい。
第1スキン層11a、コア層12及び第2スキン層13の軟化温度の調整方法は特に限定されない。各層の軟化温度の調整は、例えば、各層を構成する樹脂の種類、複数の樹脂を用いる場合にはそれらの混合比率、共重合体を用いる場合にはモノマー比率、及び、各層の作製方法等を調整することにより行うことができる。
第1スキン層11a及び第2スキン層13の厚さはいずれも、0.1μm以上であってよい。この厚さが0.1μm以上であれば、第1スキン層11a、コア層12及び第2スキン層13を均一に積層することができ、第1スキン層11a及び第2スキン層13の厚さのばらつきを抑えることができる。また、加熱殺菌処理時の蒸着層への応力を十分に緩和することができ、バリア性の劣化を抑制することができると考えられる。このような観点から、第1スキン層11a及び第2スキン層13の厚さは、好ましくは0.3μm以上である。一方、第1スキン層11a及び第2スキン層13の厚さの上限値は、特に制限はないが、基材層1a全体の耐熱性をより十分に確保する観点から、好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.8μm以下である。
コア層12の厚さは、2μm以上、10μm以上、又は15μm以上であってもよく、150μm以下、50μm以下、又は20μm以下であってもよい。
コア層12の厚さに対する第1スキン層11aの厚さの比(第1スキン層11aの厚さ/コア層12の厚さ)は、1/100~1/5であってもよく、1/70~1/10であってもよい。厚さの比が上記範囲内であると、基材層1a全体の耐熱性をより十分に確保することができると共に、バリアフィルム及び積層体における各層間の密着性をより高めることができる。
コア層12の厚さに対する第2スキン層13の厚さの比(第2スキン層13の厚さ/コア層12の厚さ)は、1/100~1/5であってもよく、1/70~1/10であってもよい。厚さの比が上記範囲内であると、基材層1a全体の耐熱性をより十分に確保することができると共に、バリアフィルム及び積層体における各層間の密着性をより高めることができる。
第1スキン層11aの厚さと第2スキン層13の厚さは、同一であっても異なっていてもよい。第1スキン層11aの厚さは、第2スキン層13の厚さ以下であってもよい。第2スキン層13の厚さに対する第1スキン層11aの厚さの比(第1スキン層11aの厚さ/第2スキン層13)は、1/5~1/0.5であってもよく、1/3~1/1であってもよい。厚さの比が上記範囲内であると、基材層1a全体の耐熱性をより十分に確保することができると共に、バリアフィルム及び積層体における各層間の密着性をより高めることができる。
基材層1aに用いられるポリプロピレン(プロピレンと他のモノマーとの共重合体を含む)には、リサイクルされた樹脂を使用してもよく、また植物などのバイオマス由来の原料を重合して得られた樹脂を使用してもよい。これらの樹脂を使用する場合、単独で使用しても、通常の化石燃料から重合された樹脂と混合して使用してもかまわない。
[軟化温度測定試料の断面加工方法]
本実施形態の基材層の軟化温度測定では、基材層断面から各層の軟化温度測定を実施する。基材層は、包埋後の包埋樹脂と基材層との剥離防止のため、基材層の表裏面に表面処理としてコロナ処理を実施してよい。なお、軟化温度測定に用いる試料は、基材層のみの状態でなくてもよく、バリアフィルム又は積層体の状態のものを用いてもよい。
基材層の表裏面を表面処理した後、短冊型、又はくさび型となるようにカミソリで基材層を裁断し、包埋する。包埋用樹脂としては光硬化樹脂を用い、包埋後に光照射にて硬化する。光硬化樹脂としては、例えば東亜合成社製のD-800(商品名)を用いることができる。次に、硬化後のサンプル包埋樹脂をAFM試料ホルダー用インサートで固定し、常温(25℃)においてガラスナイフでトリミングと基材層の断面切削を行い、その後、低温(-140℃)において鏡面になるまでダイヤモンドナイフで断面切削を実施する。ダイヤモンドナイフでの断面切削は、例えば、切削スピード1.0mm/s、切削膜厚100nm設定で実施することができる。断面出ししたサンプルは、AFM試料ホルダー用インサートで固定した状態で軟化温度測定に用いる。断面切削装置としては、例えば、ライカ社製のウルトラミクロトームEM UC7(商品名)、クライオシステムEM FC7(商品名)を用いることができる。また、切削向きは、層界面に対し平行な方向とする。
[軟化温度測定方法]
軟化温度とは、樹脂などの物質が軟化の挙動を示す温度のことである。本実施形態での軟化温度の評価には、原子間力顕微鏡を用いた局所熱分析(LTA)を用い、試料の加熱はヒーターを有するカンチレバーに電圧を印加することで行う。局所熱分析(LTA)では測定サンプルの形状測定を行ったのち、サンプルの所定箇所にカンチレバーで試料表面に一定の力(触圧)を加え、触圧を一定に保ったまま加熱を行い、加熱前後の試料表面の硬度変化によりカンチレバーの高さ位置(Z変位)に変化が生じる温度を軟化温度として算出する。カンチレバーの高さ位置の変化とは、試料表面の熱膨張によるカンチレバーの垂直方向の位置上昇と、試料表面の軟化によるカンチレバーの垂直方向の位置下降による変化をいう。このようなカンチレバーの高さ位置の変化が生じる際のカンチレバーのヒーターの印加電圧を温度に換算することで、ナノスケール領域の局所的、且つ表面近傍の軟化温度を知ることができる。
装置は、オックスフォード・インストゥルメンツ社製の原子間力顕微鏡(AFM)であるMFP-3D-SA(商品名)と、局所熱分析オプションであるZthermを用いる。形状測定ではACモード(タッピングモード)を用い、軟化温度測定にはコンタクトモードを用いる。
カンチレバーは、ばね定数:0.5~3.5N/m仕様のアナシス・インスツルメンツ社製のAN2-200(商品名)を用いる。
軟化温度の測定におけるカンチレバーの電圧印加速度(昇温速度)は0.5V/秒とする。
Zthermではカンチレバーの触圧(カンチレバーのたわみ量(Deflection)の変化量)を一定に制御して測定する。しかし、カンチレバーのたわみ量(Deflection)は、試料に接触せずとも印加電圧により変化するため、印加電圧によるカンチレバーのたわみ量(Deflection)を差し引いた上で触圧の制御を行う必要がある。Zthermでは、印加電圧に対するカンチレバーのたわみ量(Deflection)の変化を取得するDetrend補正機能があり、カンチレバーが試料表面に接触しない状態で、測定に用いる最大印加電圧をカンチレバーに印加し、Detrend補正する。本実施形態では、形状測定後、軟化温度測定前に測定に用いる最大印加電圧と電圧印加速度(昇温速度)0.5V/秒においてDetrend補正したのち、測定を行う。触圧の設定は0.2Vとする。
測定を停止するためのカンチレバーの下降変位量の設定値は30nmとする。
軟化地点は、カンチレバーの垂直方向の高さ(Z変位)が最大の地点とし、この地点の印加電圧を読み取る。
カンチレバーのヒーターの印加電圧を軟化温度に換算するため、印加電圧と融点(融解ピーク温度)の校正曲線の作成を行う。校正用サンプルとしては、示差走査熱量計(DSC)で融点(融解ピーク温度)の値を測定済であるサンプルを用い、各校正用サンプルにおいて測定位置を変えて軟化温度測定し、軟化地点の印加電圧の平均値と融点(融解ピーク温度)を最小二乗法により3次関数で近似した検量線を作成して、校正曲線とする。校正用サンプルはポリカプロラクトンのペレット(融点:60℃)、低密度ポリエチレンのペレット(融点:112℃)、ポリプロピレンのペレット(融点:166℃)、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム(融点:255℃)とし、それぞれガラス転移温度以下の環境で作製した断面試料を用いる。断面試料の作製にはウルトラミクロトームとクライオシステムを用い、ポリカプロラクトンは-80℃、低密度ポリエチレンは-140℃、ポリプロピレンは-40℃、ポリエチレンテレフタレートは室温25℃の環境下で断面切削を行う。
この印加電圧と融点(融解ピーク温度)の校正曲線を用いて、軟化地点の印加電圧を温度に換算し軟化温度とする。
[蒸着層]
蒸着層は、例えば水蒸気や酸素に対するガスバリア性向上の観点から上記基材層上に設けられるものであり、透明性を有するものであることが好ましい。蒸着層は無機酸化物を含むものであり、無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化マグネシウム或いはこれらの混合物を用いることができる。加熱殺菌耐性を考慮すると、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑える観点、及び加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせる観点から、これらの中では、特に酸化アルミニウム及び酸化ケイ素から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
蒸着層の厚さは、5~300nmであってよい。蒸着層の厚さが5nm以上であれば、均一で十分な膜厚の膜が得られやすく、ガスバリアフィルムとしての機能を十分に果たすことが可能となる。また、蒸着層の厚さが300nm以下であれば、蒸着層にフレキシビリティを付与することができ、成膜後に折り曲げや引っ張りなどの外的要因が加わっても蒸着層に亀裂を生じにくくなる。このような観点から、蒸着層の厚さは、好ましくは6nm以上、より好ましくは8nm以上であり、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下である。
蒸着層は、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。ただし生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また、蒸着層と基材層との密着性及び蒸着層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために、蒸着の際、酸素等の各種ガスなどを吹き込む反応蒸着を用いても構わない。
基材層と蒸着層との密着性を向上させるために、基材層の蒸着層側表面にプラズマ処理、コロナ処理等の表面処置を行ってもよく、また、基材層と蒸着層との間にアンカーコート層(図示せず)を設けてもかまわない。アンカーコート層を設けることで、加熱殺菌処理後の密着性やバリア性等をより向上させることができる。アンカーコート層を設けるためのコーティング剤としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらのコーティング剤の中でも、耐熱性及び層間接着強度の観点から、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
[ガスバリア層]
ガスバリア層は、蒸着層を保護し、バリア性を補完する目的で設けられる。ガスバリア層は、ケイ素化合物又はその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子と、を含む塗布液から形成されたものであってよい。また、ガスバリア層は、水酸基を有する水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含む塗布液から形成されたものであってよい。
水酸基を有する水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(PVA)をコーティング剤に用いた場合、ガスバリア性がより優れるものとなるため好ましい。
ケイ素化合物としては、例えば、Si(OR及びRSi(OR(OR及びORは、それぞれ独立に加水分解性基であり、Rは有機官能基である。)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。Si(ORとしては、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕を用いることが好ましい。テトラエトキシシランは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましく用いられる。また、RSi(OR中のRとしてはビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、イソシアネート基の中から選択されることが好ましい。
金属アルコキシドとしては、下記の一般式で表される化合物が挙げられる。
M(OR11(R12n-m …(1)
上記式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に炭素数1~8の1価の有機基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましい。MはSi、Ti、Al、Zr等のn価の金属原子を示す。mは1~nの整数である。なお、R11及びR12が複数存在する場合、R11同士又はR12同士は同一でも異なっていてもよい。
金属アルコキシドとして具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-2’-C〕などが挙げられる。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
シランカップリング剤としては、下記の一般式で表される化合物が挙げられる。
Si(OR21(R223-p23 …(2)
上記式(2)中、R21はメチル基、エチル基等のアルキル基を示し、R22はアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アクリロキシ基で置換されたアルキル基、又は、メタクリロキシ基で置換されたアルキル基等の1価の有機基を示し、R23は1価の有機官能基を示し、pは1~3の整数を示す。なお、R21又はR22が複数存在する場合、R21同士又はR22同士は同一でも異なっていてもよい。R23で示される1価の有機官能基としては、グリシジルオキシ基、エポキシ基、メルカプト基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、又は、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が挙げられる。これらのシランカップリング剤を二量体、三量体などの多量体とした化合物を使用しても構わない。
シランカップリング剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。
ガスバリア層は、水溶性高分子を水或いは水/アルコール混合溶媒で溶解させたものに、ケイ素化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤等を直接あるいは予め加水分解させるなどの処理を行ったものを混合し、この混合溶液を上記蒸着層上にコーティング後、加熱乾燥して形成することができる。この溶液中にガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤等の公知の添加剤を必要に応じて添加することも可能である。
水溶性高分子にPVAを用いた場合、混合溶液中のPVAの割合は、混合溶液の全固形分量を基準として、質量比で20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、25質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。PVAの割合が20質量%以上であると、膜の柔軟性が保持され、ガスバリア層を形成しやすくなる。一方、PVAの割合が50質量%以下であれば、バリアフィルムにより十分なガスバリア性を付与することができる。
ガスバリア層の厚さは、0.05μm以上、又は0.1μm以上であってもよく、10μm以下、又は1μm以下であってもよい。
<第二の側面に係るバリアフィルム>
第二の側面に係るバリアフィルムは、ポリプロピレンを含む基材層と、無機酸化物を含む蒸着層と、ガスバリア層と、をこの順に備え、基材層が、蒸着層側から順にスキン層と、コア層との2層からなり、基材層の各層の軟化温度を局所熱分析(LTA)にて測定したときに、スキン層は115℃以上170℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在し、コア層は190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在する、バリアフィルムである。
図2は、本実施形態の第二の側面に係るバリアフィルムを示す模式断面図である。図2に示すように、本実施形態に係るバリアフィルム10bは、基材層1bと、蒸着層2と、ガスバリア層3と、をこの順に備える。
[基材層]
基材層1bは、支持体となるフィルム(ベースフィルム)であり、ポリプロピレンを含む。基材層1bは、蒸着層側から順にスキン層11b、及びコア層12の2層からなる多層構造のフィルムである。基材層1bは、ポリプロピレンからなるフィルムであってよく、ポリプロピレンをシート化して、該シートを通常の手段により延伸し、一軸或いは二軸に配向したフィルムとしてもよい。延伸は、多層構造のフィルムに対して行ってもよい。基材層1bには、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、ステアリン酸カルシウム、脂肪酸アミド、エルカ酸アミド等の滑剤、帯電防止剤などの有機添加剤、シリカ、ゼオライト、サイロイド、ハイドロタルサイト、シリコン粒子等の粒子状滑剤などの無機添加剤が目的に応じて添加されてもよい。
基材層1bの厚さ(総厚)は、特に制限されないが、例えば、3μm以上200μm以下、6μm以上50μm以下、又は10μm以上30μm以下であってよい。
スキン層11bは、後述する局所熱分析(LTA)にてフィルム断面から軟化温度を測定したときに、115℃以上170℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する層である。上記少なくとも一つの軟化温度は、耐熱性が向上する観点から、120℃以上、125℃以上又は130℃以上であってもよく、柔軟性を付与する観点から、165℃以下又は160℃以下であってもよい。軟化温度は、スキン層11bの厚さ方向の中央部で測定された温度を使用する。上記少なくとも一つの軟化温度が115℃以上であることで、スキン層11bの耐熱性が低くなりすぎず、加熱殺菌処理時にスキン層11bが軟化してしまい、密着性の低下やバリア性の劣化を引き起こすおそれが少ない。また、上記少なくとも一つの軟化温度が170℃以下であることで、スキン層11bの柔軟性が低下することを抑制でき、スキン層11bとコア層12との密着強度を高めることができる。なお、スキン層11bは、一つの軟化温度を有する層であってもよく、複数の軟化温度を有する層であってもよい。スキン層11bが複数の軟化温度を有する場合、少なくとも一つの軟化温度が、上述した条件を満たしていればよい。
スキン層11bに用いるポリプロピレンは、コア層12との密着性を向上させる観点から、プロピレンと他のモノマーとの共重合体を含んでいてよい。他のモノマーとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン等のα-オレフィンを使用してもよい。スキン層11bは、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体を含んでいてよい。共重合体は、ランダム共重合体であってもよい。スキン層11bに用いるポリプロピレンは、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑える観点、及び加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせる観点から、プロピレンと2種以上のα-オレフィンとのランダム共重合体を含んでいてよく、エチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体を含んでいてもよい。
スキン層11bに用いるポリプロピレンにおけるエチレンの含有量は、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑える観点、及び加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせる観点から、ポリプロピレンの全量を基準として、1質量%以上、1.5質量%以上、又は2質量%以上であってもよく、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、又は3.5質量%以下であってもよい。
スキン層11bに用いるポリプロピレンにおける1-ブテンの含有量は、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑える観点から、ポリプロピレンの全量を基準として、1質量%以上、1.5質量%以上、又は2質量%以上であってもよく、5質量%以下、4質量%以下、又は3.5質量%以下であってもよい。
スキン層11bの厚さは、0.2μm以上であってよい。スキン層11bの厚さが0.2μm以上であれば、スキン層11b及びコア層12を均一に積層することができる。また、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、且つ、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることができる。このような観点から、スキン層11bの厚さは、好ましくは0.3μm以上である。一方、スキン層11bの厚さの上限値は、特に制限はないが、基材層1b全体の耐熱性をより十分に確保する観点から、好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.8μm以下である。スキン層11bの厚さは、0.2μm以上2.0μm以下又は0.3μm以上1.8μm以下であってもよい。
コア層12は、後述する局所熱分析(LTA)にてフィルム断面から軟化温度を測定したときに、190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在する層である。上記少なくとも一つの軟化温度は、195℃以上、200℃以上、205℃以上、又は210℃以上であってもよく、220℃以下、215℃以下、又は210℃以下であってもよい。軟化温度は、コア層12の厚さ方向の中央部で測定された温度を使用する。上記少なくとも一つの軟化温度が190℃以上であることで、基材層1bの耐熱性を高めることができ、加熱殺菌処理時の熱に強く、加熱殺菌処理時に基材層1bが収縮して包装材料として使用できないといった問題が生じることを防ぐことができる。なお、コア層12は、一つの軟化温度を有する層であってもよく、複数の軟化温度を有する層であってもよい。コア層12が複数の軟化温度を有する場合、少なくとも一つの軟化温度が、上述した条件を満たしていればよい。
基材層1bの耐熱性を高める観点から、コア層12に用いるポリプロピレンは、結晶性ポリプロピレンであってよく、加熱殺菌処理のための耐熱性を更に向上させる観点から、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンであってもよい。ただし、本開示の効果を著しく損なわない範囲であれば、プロピレンとα-オレフィンとのランダム共重合体、或いは当該共重合体とホモポリプロピレンとの混合物等を用いてもよい。
コア層12の190℃以上に存在する軟化温度は、スキン層11bの115℃以上170℃以下に存在する軟化温度よりも、20℃以上高くてもよく、40℃以上高くてもよく、50℃以上高くてもよい。この場合、加熱殺菌処理における基材層1bの収縮をより小さくでき、且つ、加熱殺菌処理後の各層間の密着強度をより十分に維持することができる。
コア層12の厚さは、2μm以上、10μm以上、又は15μm以上であってもよく、150μm以下、50μm以下、又は20μm以下であってもよい。
コア層12の厚さに対するスキン層11bの厚さの比(スキン層11bの厚さ/コア層12の厚さ)は、1/100~1/5、1/80~1/8、又は1/70~1/10であってもよい。厚さの比が上記範囲内であると、基材層1b全体の耐熱性をより十分に確保することができると共に、加熱殺菌処理後においても酸素透過度をより低く抑えることが可能であり、加熱殺菌処理後においてもフィルム間により十分な密着強度を持たせることが可能である。
基材層1bは、スキン層11bとコア層12の2層のみからなるものである。スキン層11bとコア層12との間は、それら以外の他の層を介さずにスキン層11bとコア層12とが接している。基材層1bの両表面は、スキン層11b及びコア層12により形成されている。
スキン層11b及びコア層12の軟化温度の調整方法は特に限定されない。各層の軟化温度の調整は、例えば、各層を構成する樹脂の種類、複数の樹脂を用いる場合にはそれらの混合比率、共重合体を用いる場合にはモノマー比率(例えば、エチレン含有量)、及び、各層の作製方法(例えば、延伸の条件)等を調整することにより行うことができる。
基材層1bに用いられるポリプロピレン(プロピレンと他のモノマーとの共重合体を含む)には、リサイクルされた樹脂を使用してもよく、また植物などのバイオマス由来の原料を重合して得られた樹脂を使用してもよい。これらの樹脂を使用する場合、単独で使用しても、通常の化石燃料から重合された樹脂と混合して使用してもかまわない。
本実施形態の基材層の軟化温度測定は、上記第一の側面において説明した軟化温度測定と同様の方法で実施する。
[蒸着層]
本実施形態の蒸着層は、上記第一の側面において説明した蒸着層と同様の構成とすることができる。
[ガスバリア層]
本実施形態のガスバリア層は、上記第一の側面において説明したガスバリア層と同様の構成とすることができる。
<積層体>
図3及び図4は、本実施形態の第一の側面に係る積層体を示す模式断面図である。図3及び図4に示すように、本実施形態に係る積層体20a,30aは、上述したバリアフィルム10aの両面に接着層24を介して第2基材層(外層フィルム)22及びシーラント層23が積層された構造を有する。図3に示す積層体20aでは、バリアフィルム10aのガスバリア層3上に第2基材層22が積層され、バリアフィルム10aの第2スキン層13上にシーラント層23が積層されている。図4に示す積層体30aでは、バリアフィルム10aの第2スキン層13上に第2基材層22が積層され、バリアフィルム10aのガスバリア層3上にシーラント層23が積層されている。
図5及び図6は、本実施形態の第二の側面に係る積層体を示す模式断面図である。図5及び図6に示すように、本実施形態に係る積層体20b,30bは、上述したバリアフィルム10bの両面に接着層24を介して第2基材層(外層フィルム)22及びシーラント層23が積層された構造を有する。図5に示す積層体20bでは、バリアフィルム10bのガスバリア層3上に第2基材層22が積層され、バリアフィルム10bのコア層12上にシーラント層23が積層されている。図6に示す積層体30bでは、バリアフィルム10bのコア層12上に第2基材層22が積層され、バリアフィルム10bのガスバリア層3上にシーラント層23が積層されている。
積層体20a,30a,20b,30bをモノマテリアル包材とするために、第2基材層22及びシーラント層23の材質としてはポリオレフィンを使用するが、バリアフィルム10a,10bの基材層1a,1bと同様に、ポリプロピレンを使用することが好ましい。第2基材層22に用いられるポリプロピレンとしては、例えば耐熱性を持たせるためにホモポリプロピレンを延伸したフィルムを使用することが出来る。シーラント層23としては、例えば、延伸又は未延伸のポリプロピレンフィルムを使用してもよい。
第2基材層22の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば15μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
シーラント層23の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば15μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
接着層24は、各フィルム同士を接着するものである。接着層24を構成する接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、二官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。各種ポリオールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。接着層24は接着促進を目的として、上述のポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などが配合されてもよい。接着層24を構成する接着剤の塗布量としては、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、0.5~10g/mであってよい。接着層24には、環境配慮の観点から高分子成分がバイオマス由来であるものや生分解性を持つものを使用してもよい。また、接着層24にはバリア性を有する接着剤を用いてもよい。
<包装袋>
包装袋は、上述した積層体を使用して作製することができる。包装袋は、1枚の包装材をシーラント層が対向するように二つ折りにした後、3方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよく、2枚の包装材をシーラント層が対向するように重ねた後、4方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよい。包装袋は、内容物として食品、医薬品等の内容物を収容することができる。また、包装袋は、スタンディングパウチ等の屈曲部(折り曲げ部)を有する形状であってもよい。本実施形態に係る包装袋は、屈曲部を有する形状であっても高いガスバリア性を維持することができる。
以下、実施例により本開示を更に詳細に説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
<実施例1-1>
第1スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂を、コア層の材料としてホモポリプロピレン樹脂を、第2スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂をそれぞれ使用し、これらの樹脂を共押出した後、二軸延伸することで、総厚20μmの基材フィルム(基材層)を作製した。第1スキン層及び第2スキン層の厚さはいずれも0.7μmとし、コア層の厚さは18.6μmとした。各層の軟化温度は表1に示す。
続いて、基材層の第1スキン層上に、アクリル系プライマー溶液をグラビアコートにより塗布し、乾燥させて、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。次に、アンカーコート層上に、減圧下の酸素雰囲気中で高周波励起イオンプレーティングによる反応性蒸着により、厚さ30nmの酸化ケイ素の薄膜を蒸着し、無機酸化物からなる蒸着層を形成した。
次に、テトラエトキシシラン(以下「TEOS」と言う)とメタノールと0.1N塩酸とを、質量比が45/15/40となるように混合し、TEOS加水分解溶液を得た。この溶液と、ポリビニルアルコール(以下「PVA」と言う)の5質量%水溶液と、1,3,5-トリス(3-メトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを水/IPA(イソプロピルアルコール)=1/1溶液で固形分5質量%(RSi(OH)換算)に希釈した溶液と、の3つの溶液を混合して塗工液を調製した。塗工液は、TEOSのSiO固形分(換算値)とイソシアヌレートシランのRSi(OH)固形分(換算値)とPVA固形分との質量比率が40/5/55になるように調液した。この塗工液を、蒸着層上にグラビアコート法により塗布した後、80℃、60秒の条件下にて乾燥し、厚さ0.3μmのガスバリア層を形成した。このようにして、ガスバリア層/蒸着層/アンカーコート層/第1スキン層/コア層/第2スキン層の積層構造を有する実施例1-1のバリアフィルムを得た。
<実施例1-2>
各層が表1に示すような軟化温度となるように、第1スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂を、コア層の材料としてホモポリプロピレン樹脂を、第2スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂をそれぞれ使用し、それ以外は実施例1-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<実施例1-3>
各層が表1に示すような軟化温度となるように、第1スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂を、コア層の材料としてホモポリプロピレン樹脂を、第2スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂をそれぞれ使用し、それ以外は実施例1-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<実施例1-4>
各層が表1に示すような軟化温度となるように、第1スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂を、コア層の材料としてホモポリプロピレン樹脂を、第2スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂をそれぞれ使用し、それ以外は実施例1-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<比較例1-1>
各層が表1に示すような軟化温度となるように、第1スキン層、コア層及び第2スキン層の材料としていずれもホモポリプロピレン樹脂を使用し、それ以外は実施例1-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<比較例1-2>
各層が表1に示すような軟化温度となるように、第1スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂を使用し、コア層及び第2スキン層の材料としていずれもホモポリプロピレン樹脂を使用し、それ以外は実施例1-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<比較例1-3>
各層が表1に示すような軟化温度となるように、第1スキン層と第2スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂を、コア層の材料としてホモポリプロピレン樹脂をそれぞれ使用し、それ以外は実施例1-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<比較例1-4>
各層が表1に示すような軟化温度となるように、第1スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂を、コア層の材料としてホモポリプロピレン樹脂を、第2スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂をそれぞれ使用し、それ以外は実施例1-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<比較例1-5>
各層が表1に示すような軟化温度となるように、第1スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂を、コア層の材料としてホモポリプロピレン樹脂を、第2スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂をそれぞれ使用し、それ以外は実施例1-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
[積層体の作製]
厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルムと、実施例1-1~1-4及び比較例1-1~1-5で作製したバリアフィルムのガスバリア層側の面とを、2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせた。その後、バリアフィルムの第2スキン層側の面と、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムとを、2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせ、3層構成の積層体を作製した。
[評価]
(軟化温度測定)
以下に示す方法で、基材層を構成する各層の軟化温度を測定した。
実施例1-1~1-4及び比較例1-1~1-5で作製したバリアフィルムで作製した積層体を測定サンプルとし、このサンプルの表裏面にそれぞれ0.20kWでコロナ処理を実施した。コロナ処理には春日電機社製のコロナ処理機(商品名:CT-0212)を用いた。
サンプルの表裏面をコロナ処理した後に、サンプルを底辺1.0mm×高さ5.0mmのくさび型(上記底辺及び高さを有する三角形の面がサンプルの表裏面であり、底面及び側面がサンプルの断面である形状)にカミソリにて裁断した。裁断したサンプルを光硬化樹脂で包埋し、ハロゲンランプ(ケンコー・トキナー社製、商品名:KTX-100R)にて硬化した。光硬化樹脂には東亜合成社製のD-800(商品名)を用いた。光硬化後のサンプル包埋樹脂をAFM試料ホルダー用インサートで固定し、常温(25℃)においてガラスナイフでサンプルの断面切削を行った後、低温(-140℃)においてダイヤモンドナイフで切削スピード1.0mm/s、切削膜厚100nm設定で最終的な断面切削を実施し、鏡面となったところで切削終了とした。断面切削装置としては、ウルトラミクロトーム(ライカ社製、商品名:EM UC7)、及び、クライオシステム(ライカ社製、商品名:EM FC7)を用いた。また、ナイフの切削方向は、層界面に対し平行とした。切削は、くさび型の形状の頂点にあたる部分から行った。断面出ししたサンプルは、AFM試料ホルダー用インサートで固定した状態で軟化温度測定に用いた。
原子間力顕微鏡(AFM)はオックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製のMFP-3D-SA(商品名)、局所熱分析オプションはZthermシステム、カンチレバーはばね定数:0.5~3.5N/mの仕様のアナシス・インスツルメンツ社製のAN2-200(商品名)を用いて、軟化温度測定と形状測定を行った。軟化温度測定は、基材層を構成する各層(第1スキン層、コア層及び第2スキン層)の厚さ方向の中央部で行った。
カンチレバーの触圧(カンチレバーのたわみ量(Deflection)の変化量)を0.2V、電圧印加速度(昇温速度)を0.5V/秒、最大印加電圧を6.0Vとして、Detrend補正後に試料表面を加熱したところ、試料表面が膨張し、カンチレバー位置が上昇した。試料表面を更に加熱すると試料表面が軟化し、カンチレバー位置が30nm下降したところで、測定終了とした。Z変位が変化点から30nm下降せずに最大印加電圧に達した場合は、Detrend補正時と測定時の最大印加電圧を0.5V昇圧して再度測定を実施した。
カンチレバーの垂直方向の高さ(Z変位)が最大の地点の印加電圧を軟化地点の印加電圧とし、電圧値を読み取った。
試料の軟化温度を算出するため、校正曲線の作成を行った。校正用サンプルとしては、ポリカプロラクトン(融点:60℃)、低密度ポリエチレン(LDPE、融点:112℃)、ポリプロピレン(PP、融点:166℃)、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点:255℃)の4種を用いた。Detrend補正時の最大印加電圧は、ポリカプロラクトンを3.5V、低密度ポリエチレンを5.5V、ポリプロピレンを6.7V、ポリエチレンテレフタレートを7.9Vとした。カンチレバーの触圧(カンチレバーのたわみ量(Deflection)の変化量)を0.2V、電圧印加速度(昇温速度)を0.5V/秒とした。校正用サンプルの測定位置を変えて20回測定し、軟化地点の印加電圧の平均値と融点を最小二乗法により3次関数で近似した検量線を作成して、校正曲線を作成した。
印加電圧と融点(融解ピーク温度)の校正曲線を用いて、基材層を構成する各層(第1スキン層、コア層及び第2スキン層)の軟化地点の印加電圧を温度に換算し、軟化温度とした。結果を表1に示す。
(レトルト処理)
実施例1-1~1-4及び比較例1-1~1-5で作製した積層体を用いて4辺をシール部とする包装袋を作製し、内容物として水を充填した。その後、130℃、30分のレトルト殺菌処理を行った。
(酸素透過度測定)
レトルト処理後の積層体に対し、酸素透過度測定を行った。測定は酸素透過度測定装置(Modern Control社製、OXTRAN 2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で行った。測定方法は、JIS K-7126、B法(等圧法)、及びASTM D3985-81に準拠し、測定値は単位[cm(STP)/m・day・atm]で表記した。結果を表1に示す。
(ラミネート強度測定)
レトルト処理後の積層体に対し、延伸ポリプロピレンフィルムとバリアフィルム間(表中、「OPP/バリア」と記載する)、バリアフィルムと未延伸ポリプロピレンフィルム間(表中、「バリア/CPP」と記載する)のラミネート強度測定を行った。測定はJIS K6854に準拠し、試験幅15mm、剥離速度300mm/min.、剥離角度T型にて行った。測定値は単位[N/15mm]で表記した。結果を表1に示す。
Figure 0007377425000001
*1:界面で剥離せずフィルムが破断
*2:第1スキン層とコア層との界面で剥離
*3:コア層と第2スキン層との界面で剥離
*4:第2スキン層の表層で剥離
*5:剥離箇所がコア層と第2スキン層との界面に移行
表1に示した結果から明らかなように、実施例1-1~1-4のバリアフィルムを用いた包装袋は、加熱殺菌処理後においても、酸素透過度を低く抑えることができると共に、各層間のラミネート強度に優れることが確認された。なお、比較例1-1及び1-3において加熱殺菌処理後の酸素透過度が高くなったのは、加熱殺菌処理時に蒸着層に割れが生じたためである。また、比較例1-4においてOPP/バリア間のラミネート強度が低くなったのは、剥離箇所がコア層と第2スキン層との界面に移行したためである。
<実施例2-1>
スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量:2.5モル%、1-ブテン含有量:3.5モル%)を、コア層の材料としてホモポリプロピレン樹脂をそれぞれ使用し、これらの樹脂を共押出した後、二軸延伸することで、厚さ0.7μmのスキン層と、厚さ19.3μmのコア層と、を有する総厚20μmの基材フィルム(基材層)を作製した。スキン層及びコア層の厚さは後述の厚さの方法により測定した。各層の軟化温度は表2に示す。
続いて、基材層のスキン層上に、アクリル系プライマー溶液をグラビアコートにより塗布し、乾燥させて、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。次に、アンカーコート層上に、減圧下の酸素雰囲気中で高周波励起イオンプレーティングによる反応性蒸着により、厚さ30nmの酸化ケイ素の薄膜を蒸着し、無機酸化物からなる蒸着層を形成した。
次に、テトラエトキシシラン(以下「TEOS」と言う)とメタノールと0.1N塩酸とを、質量比が45/15/40となるように混合し、TEOS加水分解溶液を得た。この溶液と、ポリビニルアルコール(以下「PVA」と言う)の5質量%水溶液と、1,3,5-トリス(3-メトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを水/IPA(イソプロピルアルコール)=1/1溶液で固形分5質量%(RSi(OH)換算)に希釈した溶液と、の3つの溶液を混合して塗工液を調製した。塗工液は、TEOSのSiO固形分(換算値)とイソシアヌレートシランのRSi(OH)固形分(換算値)とPVA固形分との質量比率が43/10/47になるように調液した。この塗工液を、蒸着層上にグラビアコート法により塗布した後、80℃、60秒の条件下にて乾燥し、厚さ0.3μmのガスバリア層を形成した。このようにして、ガスバリア層/蒸着層/アンカーコート層/スキン層/コア層の積層構造を有する実施例2-1のバリアフィルムを得た。
<実施例2-2>
各層が表2に示すような軟化温度となるように、スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量:2.0モル%、1-ブテン含有量:2.0モル%)を使用したこと、厚さ0.8μmのスキン層と、厚さ19.2μmのコア層と、を有する基材フィルムを作製したこと以外は実施例2-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<実施例2-3>
各層が表2に示すような軟化温度となるように、スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量:5.0モル%)を使用したこと、厚さ0.8μmのスキン層と、厚さ19.2μmのコア層と、を有する基材フィルムを作製したこと以外は実施例2-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<実施例2-4>
各層が表2に示すような軟化温度となるように、スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量:3.2モル%)を使用したこと、厚さ1.5μmのスキン層と、厚さ18.5μmのコア層と、を有する基材フィルムを作製したこと以外は実施例2-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<実施例2-5>
各層が表2に示すような軟化温度となるように、スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量:3.2モル%)を使用したこと、厚さ0.3μmのスキン層と、厚さ17.7μmのコア層と、を有する総厚18μmの基材フィルムを作製したこと以外は実施例2-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<比較例2-1>
コア層の材料のみから総厚20μmの基材フィルム(基材層)を作製したこと以外は実施例2-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<比較例2-2>
各層が表2に示すような軟化温度となるように、スキン層の材料としてエチレン-1-ブテン-プロピレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量:3.2モル%、1-ブテン含有量:5.0モル%)を使用したこと以外は実施例2-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
<比較例2-3>
各層が表2に示すような軟化温度となるように、スキン層の材料としてエチレン-プロピレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量:0.7モル%)を使用したこと、厚さ0.8μmのスキン層と、厚さ19.2μmのコア層と、を有する基材フィルムを作製したこと以外は実施例2-1と同様にしてバリアフィルムを得た。
[積層体の作製]
実施例2-1~2-5及び比較例2-1~2-3で作製したバリアフィルムのガスバリア層側の面に、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせ、2層構成の積層体を作製した。
[評価]
(スキン層及びコア層の厚さの測定)
光硬化性樹脂を用いて作製したバリアフィルムを包埋し、ブロック片を作製した後、ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ製EM UC7)のダイヤモンドナイフによりブロック片の断面出しを行った。ブロック片の断面出し部を走査電子顕微鏡(株式会社日立ハイテク製 SU8020)により観察倍率5000~20000倍で観察し、観察画像から厚さを測定した。
(軟化温度測定)
実施例2-1~2-5及び比較例2-1~2-3における基材層を構成する各層(スキン層及びコア層)の軟化温度は、実施例1-1~1-4及び比較例1-1~1-5における基材層を構成する各層の軟化温度の測定方法と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
(レトルト処理)
実施例2-1~2-5及び比較例2-1~2-3で作製した積層体を用いて4辺をシール部とする包装袋を作製し、内容物として水を充填した。その後、130℃、30分のレトルト殺菌処理を行った。
(酸素透過度測定)
レトルト処理後の積層体に対し、酸素透過度測定を行った。測定は酸素透過度測定装置(Modern Control社製、OXTRAN 2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で行った。測定方法は、JIS K-7126、B法(等圧法)、及びASTM D3985-81に準拠し、測定値は単位[cm(STP)/m・day・atm]で表記した。酸素透過率が2.0cm(STP)/m・day・atm以下であれば、積層体はレトルト処理後であっても低い酸素透過率を有すると判断した。結果を表2に示す。
(ラミネート強度測定)
レトルト処理後の積層体に対し、バリアフィルムと未延伸ポリプロピレンフィルムとの間のラミネート強度の測定を行った。測定はJIS K6854に準拠し、試験幅15mm、剥離速度300mm/min、剥離角度T型にて行った。測定値は単位[N/15mm]で表記した。結果を表2に示す。
Figure 0007377425000002
*1:バリアフィルムと未延伸ポリプロピレンフィルムとの界面で剥離せずフィルムが破断
*2:スキン層とコア層との層間で剥離
*3:基材フィルム(基材層)の表層で剥離
本開示に係るバリアフィルムを用いた包装袋は、ボイル処理、レトルト処理等の加熱殺菌処理を行ってもバリア性劣化及び密着性低下の少ない包材として使用できる。また、モノマテリアル包材として、リサイクル性に適したガスバリア性包装材料を提供することができる。
1a,1b…基材層、2…蒸着層、3…ガスバリア層、10a,10b…バリアフィルム、11a…第1スキン層、11b…スキン層、12…コア層、13…第2スキン層、20a,20b,30a,30b…積層体、22…第2基材層、23…シーラント層、24…接着層。

Claims (10)

  1. ポリプロピレンを含む基材層と、無機酸化物を含む蒸着層と、ガスバリア層と、をこの順に備え、
    前記基材層が、少なくとも第1スキン層、コア層及び第2スキン層の3層をこの順に備える多層構造を有し、
    前記第1スキン層の前記コア層とは反対側の面上に、前記蒸着層が形成されており、
    前記第1スキン層及び前記第2スキン層が、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体を含み、
    前記コア層が、ホモポリプロピレンを含み、
    前記第1スキン層及び前記第2スキン層の厚さが、いずれも0.1μm以上2.0μm以下であり、
    前記コア層の厚さが、2μm以上50μm以下であり、
    前記基材層の各層の軟化温度を局所熱分析(LTA)にて測定したときに、前記第1スキン層は120℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在し、前記コア層は190℃以上に少なくとも一つの軟化温度が存在し、前記第2スキン層は160℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在し、前記第2スキン層に存在するいずれの軟化温度よりも高い軟化温度が、前記第1スキン層に存在する、バリアフィルム。
  2. 前記第1スキン層の軟化温度をLTAにて測定したときに、120℃以上170℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する、請求項1に記載のバリアフィルム。
  3. 前記第2スキン層の軟化温度をLTAにて測定したときに、120℃以上160℃以下に少なくとも一つの軟化温度が存在する、請求項1に記載のバリアフィルム。
  4. 前記基材層の各層の軟化温度をLTAにて測定したときに、前記第1スキン層及び前記第2スキン層に存在するいずれの軟化温度よりも高い軟化温度が、前記コア層に存在する、請求項1に記載のバリアフィルム。
  5. 前記蒸着層が、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のバリアフィルム。
  6. 前記ガスバリア層が、水酸基を有する水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む、請求項1に記載のバリアフィルム。
  7. 前記第1スキン層と前記蒸着層との間にアンカーコート層を備える、請求項に記載のバリアフィルム。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載のバリアフィルムと、シーラント層とを備え、前記シーラント層がポリオレフィンを含む、積層体。
  9. 前記バリアフィルムの前記シーラント層とは反対側の面上に第2基材層を更に備え、前記第2基材層がポリオレフィンを含む、請求項に記載の積層体。
  10. 請求項に記載の積層体を製袋してなる包装袋。
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