JP7376846B2 - 真空冷却装置 - Google Patents

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本発明は、処理槽内を減圧して食品を冷却する真空冷却装置に関するものである。
従来、処理槽内を減圧する手段として、蒸気凝縮用の熱交換器と水封式の真空ポンプの他、所望によりさらに蒸気エゼクタを備えた真空冷却装置が知られている。この種の真空冷却装置では、真空ポンプへの給水量、真空ポンプの回転数(インバータ制御されるモータの駆動周波数)、および蒸気エゼクタへの給蒸量は、所定に維持されている。すなわち、所定の能力を満たす規定値として、真空ポンプへの給水量、真空ポンプの回転数、および蒸気エゼクタへの給蒸量が設定されており、常にその規定値で真空ポンプを運転したり、蒸気エゼクタを作動させたりしている。但し、下記特許文献1には、蒸気エゼクタへの給蒸量について、処理槽内の温度または圧力に基づき変更することが開示されている。
特開平9-296975号公報(特許請求の範囲、段落0008、図2)
真空ポンプや蒸気エゼクタを作動させる際、常に前記規定値で作動させるのでは、無駄に水、蒸気または電力を消費するおそれがある。すなわち、最初から真空ポンプへの給水量をフル(前記規定値)で運転したのでは、水の消費を抑えることができない。また、蒸気エゼクタの作動時、蒸気エゼクタへの給蒸量が常にフルでは、蒸気の消費を抑えることができない。同様に、最初から真空ポンプの回転数をフルで運転したのでは、電力の消費を抑えることができない。
前記特許文献1に記載の発明のように、たとえば蒸気エゼクタへの給蒸量を変更するにしても、単に処理槽内の温度または圧力に基づき切り替えるだけでは、切替タイミングに改善の余地がある。
具体的には、食品に応じて冷却の難易(冷えにくさ・冷えやすさ)が異なるので、減圧能力を抑えた状態(真空ポンプへの給水量、蒸気エゼクタへの給蒸量、または真空ポンプの回転数を抑えた状態)で運転を開始しても、冷えにくい食品であれば、比較的早期に減圧能力を高める必要がある。また、減圧能力を抑えた状態で運転中、それ以上の減圧(ひいては食品の冷却)ができなくなれば、到達限界(到達可能な真空度の限界)として減圧能力を高める必要がある。
発明者らは、鋭意研究に努めた結果、冷却の難易や到達限界を、品温(処理槽内の食品温度)と槽内圧力換算温度(処理槽内圧力における飽和温度)との関係から把握可能とした。すなわち、真空冷却装置により食品を真空冷却する場合、処理槽内の圧力を低下させるに従って、品温は槽内圧力換算温度に追従する形で下がっていくが、冷えにくい食品では品温の追従が悪くなるので、品温と槽内圧力換算温度との温度差から、冷却の難易を知ることができる。また、処理槽内圧力(ひいては槽内圧力換算温度)をどの程度まで低下させることができるかは減圧能力に左右され、その減圧能力での到達限界に近づくと品温との差が小さくなるので、品温と槽内圧力換算温度との関係から、到達限界を知ることもできる。
本発明が解決しようとする課題は、水、蒸気および電力の内、いずれか一以上の消費を削減することができる真空冷却装置を提供することにある。また、品温と槽内圧力換算温度との関係から、冷却の難易や到達限界を判定し、適切なタイミングで減圧能力を制御して食品を冷却できる真空冷却装置を提供することを課題とする。
なお、品温と槽内圧力換算温度との関係から、冷却の難易や到達限界を判定して、省エネルギと冷却確保の両立を図るにしても、品温や槽内圧力のそれぞれについて、センサによる計測値が実際の値からズレを生じるおそれがある。万一ズレを生じた場合には、冷却が遅くなったり、冷却がされなくなったりするおそれがある。そこで、万一ズレが生じても、適切なタイミングで減圧能力を制御して、冷却の遅れを防止すると共に、確実な冷却を実現できると好適である。
また、水や蒸気等を削減した省エネ運転をするにしても、冷却負荷(たとえば食品の温度や量の違い)や冷却方式(たとえば蒸気エゼクタの有無の違い)によっては、省エネ運転中に真空ポンプ内の封水温度が過度に上昇したり、真空ポンプ内封水温度相当の飽和圧力と処理槽内圧力との差が小さくなって減圧速度が低下したりするおそれがある。そこで、真空ポンプの保護を図ると共に、封水温度の上昇による減圧速度の低下を抑制できれば好適である。
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、食品が収容される処理槽と、この処理槽内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段と、減圧された前記処理槽内へ外気を導入する復圧手段と、前記処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、前記処理槽内に収容された食品の温度を検出する品温センサと、前記各手段を制御する制御手段とを備え、前記減圧手段として、前記処理槽内からの排気路に、蒸気凝縮用の熱交換器と水封式の真空ポンプとを備え、限界能力判定制御として、前記品温センサの検出温度と前記圧力センサの検出圧力における飽和温度との温度差を監視し、この温度差が限界能力判定値を下回ると、前記真空ポンプへの給水量を増加させるか、および/または、前記真空ポンプの回転数を増加させる真空冷却装置であって、前記品温センサの検出温度と前記圧力センサの検出圧力における飽和温度との温度差が設定温度差になるように、前記処理槽内の圧力を調整しつつ前記処理槽内を減圧する温度差一定制御を実行可能とされ、この温度差一定制御において、限界能力判定制御として、前記設定温度差を確保できず、温度差が限界能力判定値を下回ると、前記真空ポンプの回転数を増加させ、それでも限界能力判定値を下回ると、前記真空ポンプへの給水量を増加させることを特徴とする真空冷却装置である。
請求項1に記載の発明によれば、真空冷却装置は、温度差一定制御を実行可能とされる。温度差一定制御では、品温と槽内圧力換算温度との温度差を設定温度差に抑えることで、食品からの水分蒸発を所定の速度に制御し、突沸を抑制しつつ食品の冷却を図ることができる。そして、この温度差一定制御において、前記設定温度差を確保できず、温度差が限界能力判定値を下回ると、到達限界に達した(あるいは近づいた)として、真空ポンプの回転数を増加させ、それでも限界能力判定値を下回ると、真空ポンプへの給水量を増加させる。品温と槽内圧力換算温度との温度差が限界能力判定値を下回るまでは、真空ポンプへの給水量や回転数を抑えることで、水や電力の消費を削減することができる。しかも、真空ポンプの給水量や回転数を増加させるにしても、段階的に行うことで、水や電力の消費の削減を有効に図ることができる。
請求項2に記載の発明は、前記減圧手段として、蒸気エゼクタをさらに備え、前記温度差が限界能力判定値を下回ると、(a)前記真空ポンプへの給水量の増加、(b)前記蒸気エゼクタへの給蒸量の増加、および(c)前記真空ポンプの回転数の増加の内、少なくとも「(c)前記真空ポンプの回転数の増加」を実行することを特徴とする請求項1に記載の真空冷却装置である。
請求項2に記載の発明によれば、品温と槽内圧力換算温度との温度差から、現状の真空ポンプの給水量や回転数および蒸気エゼクタの給蒸量での冷却能力の過不足を監視することができる。そして、その温度差が限界能力判定値を下回ると、到達限界に達した(あるいは近づいた)として、(a)真空ポンプへの給水量の増加、(b)蒸気エゼクタへの給蒸量の増加、および(c)真空ポンプの回転数の増加の内、少なくとも「(c)前記真空ポンプの回転数の増加」を実行して、処理槽内の減圧をさらに進めることができる。品温と槽内圧力換算温度との温度差が限界能力判定値を下回るまでは、真空ポンプの給水量、蒸気エゼクタの給蒸量、および真空ポンプの回転数の内、少なくとも真空ポンプの回転数を抑えることで、少なくとも電力の消費を削減することができる。
請求項3に記載の発明は、前記温度差一定制御では、食品判定制御として、前記品温センサの検出温度の設定時間内の温度下降幅が設定値未満になると、前記設定温度差を増加させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空冷却装置である。
請求項3に記載の発明によれば、温度差一定制御では、品温の低下具合を監視しつつ、それに応じて前記設定温度差を変化させるので、食品に応じた真空冷却を図ることができる。
さらに、請求項4に記載の発明は、食品が収容される処理槽と、この処理槽内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段と、減圧された前記処理槽内へ外気を導入する復圧手段と、前記処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、前記処理槽内に収容された食品の温度を検出する品温センサと、前記各手段を制御する制御手段とを備え、前記減圧手段として、前記処理槽内からの排気路に、蒸気凝縮用の熱交換器と水封式の真空ポンプとを備え、限界能力判定制御として、前記品温センサの検出温度と前記圧力センサの検出圧力における飽和温度との温度差を監視し、この温度差が限界能力判定値を下回ると、前記真空ポンプへの給水量を増加させるか、および/または、前記真空ポンプの回転数を増加させる真空冷却装置であって、第一冷却工程および第二冷却工程を順次に実行した後、前記限界能力判定制御を実行可能とされ、前記第一冷却工程では、通水開始条件を満たすまで、前記熱交換器の通水を停止した状態で、前記真空ポンプに常温水を供給しつつ、前記真空ポンプにより前記処理槽内を減圧し、前記第二冷却工程では、前記熱交換器の通水を開始すると共に、前記熱交換器および前記真空ポンプへの給水を冷水に切り替え、前記各冷却工程において、前記真空ポンプ内の封水温度または前記真空ポンプからの排水温度を監視し、この温度が上限値以上になると前記真空ポンプへの給水量を第一設定水量から第二設定水量に増加させ、その後、下限値以下を所定時間継続すると、前記真空ポンプへの給水量を第一設定水量に戻すことを特徴とする真空冷却装置である。
請求項4に記載の発明によれば、品温と槽内圧力換算温度との温度差から、現状の真空ポンプの給水量や回転数での冷却能力の過不足を監視することができる。そして、その温度差が限界能力判定値を下回ると、到達限界に達した(あるいは近づいた)として、真空ポンプへの給水量を増加させるか、および/または、真空ポンプの回転数を増加させて、処理槽内の減圧をさらに進めることができる。品温と槽内圧力換算温度との温度差が限界能力判定値を下回るまでは、真空ポンプへの給水量および/または回転数を抑えることで、水および/または電力の消費を削減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、真空ポンプ内の封水温度または真空ポンプからの排水温度に基づき、真空ポンプへの給水量を増減させることで、真空ポンプの保護を図ると共に、封水温度の上昇による減圧速度の低下を抑制することができる。また、第一冷却工程と第二冷却工程とにより熱交換器の通水の有無を切り替えると共に、真空ポンプ内の封水温度等に基づき真空ポンプへの給水量を増減させることで、熱交換器や真空ポンプに用いる水の使用量の削減を図ることができる。
本発明の真空冷却装置によれば、水、蒸気および電力の内、いずれか一以上の消費を削減することができる。また、品温と槽内圧力換算温度との関係から、冷却の難易や到達限界を判定し、適切なタイミングで減圧能力を制御して食品を冷却することができる。
そして、好ましい実施形態によれば、品温や槽内圧力について、センサによる計測値が実際の値から万一ズレを生じても、適切なタイミングで減圧能力を制御して、冷却の遅れを防止できると共に、確実な冷却を実現することができる。また、冷却負荷等が異なっても、真空ポンプの保護を図ると共に、封水温度の上昇による減圧速度の低下を抑制することができる。
本発明の実施例1の真空冷却装置を示す概略図であり、一部を断面にして示している。 図1の真空冷却装置の運転方法の一例を示すフローチャートである。 図2中の食品判定制御の一例を示すフローチャートである。 図2中の限界能力判定制御の一例を示すフローチャートである。 図1の真空冷却装置の運転方法の変形例1に用いるテーブルの一例であり、処理槽内の圧力とその圧力に至るまでの最長到達時間との関係を示している。 図1の真空冷却装置の運転方法の変形例2に用いるテーブルの一例であり、処理槽内の圧力域とその圧力域での最低減圧速度との関係を示している。 図1の真空冷却装置の運転方法の変形例3を示す図であり、真空ポンプ内の封水温度に基づき真空ポンプへの給水量を増減させる処理を示すフローチャートである。 本発明の実施例2の真空冷却装置の運転方法の一例を示すグラフであり、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの変化を示しており、縦軸は温度T、横軸は運転開始からの経過時間tを示している。 図1の封水給水路の変形例を示す図である。
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1の真空冷却装置1を示す概略図であり、一部を断面にして示している。
本実施例の真空冷却装置1は、食品Fが収容される処理槽2と、この処理槽2内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段3と、減圧された処理槽2内へ外気を導入する復圧手段4と、これら各手段3,4を制御して処理槽2内の食品Fを冷却する制御手段(図示省略)とを備える。
処理槽2は、内部空間の減圧に耐える中空容器であり、ドア(図示省略)で開閉可能とされる。処理槽2は、典型的には略矩形の箱状に形成され、正面の開口部がドアで開閉可能とされる。ドアを開けることで、処理槽2に食品Fを出し入れすることができ、ドアを閉じることで、処理槽2の開口部を気密に閉じることができる。ドアは、処理槽2の正面および背面の双方に設けられてもよい。なお、図示例では、食品Fは、ホテルパンや番重のような食品容器に入れられて、処理槽2内に収容されている。
減圧手段3は、処理槽2内の気体(空気や蒸気)を外部へ吸引排出して、処理槽2内を減圧する手段である。本実施例では、減圧手段3は、処理槽2内からの排気路5に、蒸気エゼクタ6、蒸気凝縮用の熱交換器7、逆止弁8、および水封式の真空ポンプ9を順に備える。
蒸気エゼクタ6は、吸引口6aが処理槽2に接続されて設けられ、入口6bから出口6cへ向けて、エゼクタ給蒸路10(10a~10d)からの蒸気がノズルで噴出可能とされる。入口6bから出口6cへ向けて蒸気を噴出させることで、処理槽2内の気体も吸引口6aを介して出口6cへ吸引排出される。
蒸気エゼクタ6への給蒸量は、変更可能とされる。本実施例では、次のように構成されている。すなわち、まず、エゼクタ給蒸路10は、第一給蒸路10aと第二給蒸路10bとの並列部を備える。具体的には、蒸気供給源からの上流側給蒸路10cは、第一給蒸路10aと第二給蒸路10bとに分岐した後、再び合流して下流側給蒸路10dとして、蒸気エゼクタ6に接続される。そして、第一給蒸路10aには、減圧弁11および第一給蒸弁12が設けられる一方、第二給蒸路10bには、第二給蒸弁13が設けられる。各給蒸弁12,13は、電磁弁から構成されている。なお、減圧弁11に代えて、オリフィスのような圧損要素を設けてもよい。
第一給蒸路10aにのみ減圧弁11を設けているので、第一給蒸路10aを介した蒸気エゼクタ6への蒸気は、第二給蒸路10bを介した蒸気エゼクタ6への蒸気よりも低圧となる。そのため、第一給蒸路10aを介した蒸気エゼクタ6への蒸気の供給流量は、第二給蒸路10bを介した蒸気エゼクタ6への蒸気の供給流量よりも少なくなる。
第二給蒸弁13を閉じた状態で第一給蒸弁12を開けると、第一給蒸路10aを介して、比較的小流量(第一設定蒸気量)で、蒸気エゼクタ6に蒸気を供給することができる。さらに第二給蒸弁13も開けると、第一給蒸路10aおよび第二給蒸路10bを介して、比較的大流量(前記第一設定蒸気量よりも大きな第二設定蒸気量)で、蒸気エゼクタ6に蒸気を供給することができる。両給蒸弁12,13を開けると、第二給蒸路10bにより減圧弁11を介さない蒸気が蒸気エゼクタ6に供給され、上流側給蒸路10cの蒸気元圧と同等の圧力の蒸気を、蒸気エゼクタ6に供給することができる。
熱交換器7は、排気路5内の流体と冷却水とを混ぜることなく熱交換する間接熱交換器である。熱交換器7により、排気路5内の蒸気を、冷却水により冷却し凝縮させることができる。
真空ポンプ9は、本実施例では水封式であり、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されつつ運転される。そのために、真空ポンプ9の給水口9aには、封水給水路14(14a~14d)を介して水が供給される。封水給水路14から給水しつつ真空ポンプ9を作動させると、真空ポンプ9は、吸気口9bから気体を吸入し、排気口9cへ排気および排水する。真空ポンプ9は、オンオフ制御されてもよいし、出力を調整可能とされてもよい。たとえば、真空ポンプ9は、インバータを用いて、モータの駆動周波数ひいては回転数を変更可能とされる。
真空ポンプ9への給水量は、変更可能とされる。本実施例では、次のように構成されている。すなわち、まず、封水給水路14は、第一封水路14aと第二封水路14bとの並列部を備える。具体的には、給水源からの上流側封水路14cは、第一封水路14aと第二封水路14bとに分岐した後、再び合流して下流側封水路14dとして、真空ポンプ9に接続される。そして、上流側封水路14c(または第一封水路14a)には、第一封水弁15が設けられる一方、第二封水路14bには、第二封水弁16が設けられる。また、第一封水路14aには、第一定流量弁17が設けられる一方、第二封水路14bには、第二定流量弁18が設けられる。各定流量弁17,18は、周知のとおり、一定の流量で通水可能に構成される。各定流量弁17,18の設定流量は、互いに同一でも異なってもよいが、本実施例では、第一定流量弁17は、第二定流量弁18よりも小流量に設定されている。なお、各封水弁15,16は、電磁弁から構成されている。
第二封水弁16を閉じた状態で第一封水弁15を開けると、第一封水路14aを介して、比較的小流量(第一設定水量)で、真空ポンプ9に封水を供給することができる。さらに第二封水弁16も開けると、第一封水路14aおよび第二封水路14bを介して、比較的大流量(前記第一設定水量よりも大きな第二設定水量)で、真空ポンプ9に封水を供給することができる。つまり、両封水弁15,16を開けると、各定流量弁17,18の設定流量の合算値で、真空ポンプ9に封水が供給される。なお、第一設定水量は、第二封水弁16を開けるまで、所期の減圧速度を維持できる最低流量に設定しておくのが好ましい。
熱交換器7および真空ポンプ9への給水系統について、さらに説明すると、本実施例では、熱交換器7および真空ポンプ9には、常温水と冷水とを切り替えて供給可能とされる。冷水とは、チラー(図示省略)により所定温度に冷却を図られた水であり、常温水とは、そのような冷却を図られない水である。
図示例の場合、常温水と冷水の切り替えは、常温水給水路19に設けられた常温水給水弁20と、冷水給水路21に設けられた冷水給水弁22で行われる。常温水給水弁20より下流の常温水給水路19と、冷水給水弁22より下流の冷水給水路21とは、合流して共通給水路23とされている。そして、この共通給水路23は、熱交換器7への熱交給水路24と、真空ポンプ9への封水給水路14(上流側封水路14c)とに分岐されている。常温水給水弁20または冷水給水弁22を開けることで、熱交換器7に給水され、さらに第一封水弁15(所望によりさらに第二封水弁16)を開けると、真空ポンプ9に給水される。
熱交換器7は、熱交給水路24を介して水が供給され、熱交排水路25を介して水が排出される。熱交排水路25は、冷水タンク(チラーの給水源)への冷水戻し路26と、外部への排水出口路27とに分岐されており、冷水戻し路26には冷水戻し弁28が設けられ、排水出口路27には排水出口弁29が設けられている。冷水戻し弁28および排水出口弁29により、熱交換器7を通過後の水を、冷水タンクへ戻すか、排水出口路27から排出するか、あるいはいずれも行わずに熱交換器7の通水を阻止するか(つまり熱交換器7の冷却水出口側を閉じるか)を切り替えることができる。
熱交換器7に冷水を供給する場合、排水出口弁29を閉じると共に冷水戻し弁28を開けることで、熱交換器7を通過後の冷水は冷水タンクへ戻される。冷水タンク内の貯留水は、チラーで冷却されて再び冷水給水路21へ供給可能とされる。一方、熱交換器7に常温水を供給する場合、冷水戻し弁28を閉じると共に排水出口弁29を開けることで、熱交換器7を通過後の常温水は排水出口路27から排出される。その他、冷水戻し弁28および排水出口弁29を閉じることで、熱交換器7の通水を停止することができる。
復圧手段4は、減圧された処理槽2内へ外気を導入して、処理槽2内を復圧する手段である。本実施例では、復圧手段4は、処理槽2内への給気路30に、エアフィルタ31および給気弁32を順に備える。処理槽2内が減圧された状態で、給気弁32を開けると、外気がエアフィルタ31を介して処理槽2内へ導入され、処理槽2内を復圧することができる。給気弁32は、好ましくは開度調整可能な弁から構成される。
処理槽2には、さらに、処理槽2内の圧力を検出する圧力センサ33と、処理槽2内に収容された食品Fの温度(品温)を検出する品温センサ34とが設けられる。
制御手段は、前記各センサ33,34の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段3,4を制御する制御器(図示省略)である。具体的には、真空ポンプ9、第一給蒸弁12、第二給蒸弁13、第一封水弁15、第二封水弁16、常温水給水弁20、冷水給水弁22、冷水戻し弁28、排水出口弁29、給気弁32の他、圧力センサ33および品温センサ34などは、制御器に接続されている。そして、制御器は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、処理槽2内の食品Fの真空冷却を図る。
以下、本実施例の真空冷却装置1の運転方法の具体例について説明する。
図2は、本実施例1の真空冷却装置1の運転方法の一例を示すフローチャートである。
運転開始前、給気弁32は開けられた状態にある一方、その他の前記各弁は閉じられた状態にあり、真空ポンプ9は停止している。その状態で、処理槽2内に食品Fが収容され、処理槽2のドアは気密に閉じられる。そして、スタートボタンが押されるなど運転開始が指示されると、制御器は、給気弁32を閉じると共に、減圧手段3により処理槽2内の減圧を開始する。
減圧の開始時、まずは、第一冷却工程として、熱交換器7の通水を停止した状態で、真空ポンプ9に常温水を供給しつつ、真空ポンプ9により処理槽2内を減圧する(ステップS1)。この際、第二封水弁16を閉じた状態で、第一封水弁15を開けて、真空ポンプ9には小流量で給水される。また、各給蒸弁12,13は閉じられており、蒸気エゼクタ6は作動していない。
その後、通水開始条件として、たとえば品温センサ34の検出温度が通水開始温度(たとえば60℃)以下になると、第二冷却工程へ移行し、熱交換器7の通水を開始する(S2,S3)。この際、熱交換器7および真空ポンプ9への給水は、冷水に切り替えられる。
その後、エゼクタ作動条件として、たとえば品温センサ34の検出温度がエゼクタ作動温度(たとえば30℃)以下になると、第三冷却工程へ移行し、蒸気エゼクタ6を作動させる(S4,S5)。この際、第二給蒸弁13を閉じた状態で、第一給蒸弁12を開けて、蒸気エゼクタ6には小流量で給蒸される。
その後(第三冷却工程中)、品温TF(処理槽2内の食品温度)と槽内圧力換算温度TS(処理槽2内圧力における飽和温度)との温度差ΔTを監視して、所定の制御を実行する(S6)。ここでは、食品判定制御(図3のS6a)の他、所望により限界能力判定制御(図4のS6b)を実行する。なお、制御器は、予め登録された所定の演算式(またはテーブル)に基づき、圧力センサ33の検出圧力から飽和温度としての槽内圧力換算温度TSを求めることができる。
図3は、食品判定制御S6aの一例を示すフローチャートである。
食品判定制御S6aでは、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTから、食品Fの冷却の難易を判定し、冷えにくい食品Fの場合には、減圧能力を高める。真空冷却装置1により食品Fを真空冷却する場合、処理槽2内の圧力を低下させるに従って、品温TFは槽内圧力換算温度TSに追従する形で下がっていくが、冷えにくい食品Fでは品温TFの追従が悪くなり、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTが大きくなるので、温度差ΔTから冷却の難易を判定することができる。そして、冷えにくい食品Fの場合には、減圧能力を高めることで、食品Fの冷却を迅速に進めることができる。本実施例では、蒸気エゼクタ6の作動で減圧能力が高まり槽内圧力が段階的に低下するときの品温変化に注目し、蒸気エゼクタ6の作動直後に、前記温度差ΔTが所定よりも大きくなれば、冷えにくい食品Fと判定して、減圧能力を高める。
具体的には、図3に示すように、蒸気エゼクタ6の作動後(第一給蒸弁12の開放後)、食品判定時間(たとえば30秒)内に前記温度差ΔTが食品判定値(たとえば5℃)を上回る、好ましくは設定時間(たとえば5秒)上回ると、冷えにくい食品Fと判定して、真空ポンプ9への給水量を増加させるか、および/または、蒸気エゼクタ6への給蒸量を増加させる(S61,S62)。たとえば、第二封水弁16を開けることで、真空ポンプ9への給水量を大流量にすると共に、第二給蒸弁13を開けることで、蒸気エゼクタ6への給蒸量を大流量にする。これにより、減圧能力を高めて、食品Fの冷却を迅速に進めることができる。
一方、食品判定時間内に前記温度差ΔTが食品判定値を上回らない場合、限界能力判定制御S6bへ移行する(S63)。
図4は、限界能力判定制御S6bの一例を示すフローチャートである。
限界能力判定制御S6bでは、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTから、現在の減圧能力(真空ポンプ9への給水量、蒸気エゼクタ6への給蒸量)での到達限界に達した(あるいは近づいた(以下同様))ことを判定し、到達限界に達した場合には、減圧能力を高める。真空度の到達限界に達すると、槽内圧力換算温度TSをそれ以上下げることができず、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTが小さくなるので、温度差ΔTから到達限界か否かを判定することができる。そして、到達限界に達した場合には、減圧能力を高めることで、処理槽2内の減圧をさらに進めることができる。本実施例では、食品判定制御S6aを優先して適用し、食品判定制御S6aで冷えにくい食品Fを判定されなかった場合、限界能力判定制御S6bを実施する。
具体的には、図4に示すように、前記温度差ΔTが限界能力判定値(たとえば3℃)を下回る、好ましくは設定時間(たとえば3秒)下回ると、到達限界に達したと判定して、真空ポンプ9への給水量を増加させるか、および/または、蒸気エゼクタ6への給蒸量を増加させる(S64,S65)。たとえば、第二封水弁16を開けることで、真空ポンプ9への給水量を大流量にすると共に、第二給蒸弁13を開けることで、蒸気エゼクタ6への給蒸量を大流量にする。これにより、減圧能力を高めて、処理槽2内の減圧をさらに進めることができる。なお、限界能力判定制御S6bは、処理槽2内の圧力が、判定開始圧力(たとえば30hPa)以下になってから開始するのが好ましい。
ところで、食品判定制御S6aにて、ステップS62を実行(つまり給水量や給蒸量を増加)したならば、所定の冷却終了条件を満たすまで、その状態(つまり大流量)を維持すると共に、限界能力判定制御S6bを実行しない。一方、食品判定制御S6aにて、ステップS62を実行しない場合、限界能力判定制御S6bに移行し、ステップS65を実行(つまり給水量や給蒸量を増加)しない限り、所定の冷却終了条件を満たすまで、限界能力判定制御S6bにより到達限界か否かを監視しつつ、処理槽2内の減圧を進めることになる。そして、到達限界に達して、ステップS65を実行(つまり給水量や給蒸量を増加)したならば、以後は単に、所定の冷却終了条件を満たすまで、その状態(つまり大流量)を維持すればよい。
このようにして、第三冷却工程では、食品判定制御S6aおよび限界能力判定制御S6bを実行しながら、処理槽2内の減圧を進めて、食品Fの冷却を図る。そして、冷却終了条件として、たとえば品温センサ34の検出温度が冷却目標温度TZ(たとえば10℃)になると、処理槽2内の減圧を停止する(S7,S8)。具体的には、各給蒸弁12,13、各封水弁15,16および冷水給水弁22などを閉じて、蒸気エゼクタ6および真空ポンプ9を停止すると共に、熱交換器7の通水を停止する。その後、給気弁32を開けて、処理槽2内を大気圧まで復圧すればよい。
本実施例の真空冷却装置1によれば、食品判定制御S6aまたは限界能力判定制御S6bにより、真空ポンプ9への給水量や蒸気エゼクタ6への給蒸量を増加させるまでは、真空ポンプ9の給水量を抑えたり、蒸気エゼクタ6の給蒸量を抑えたりすることができる。これにより、水や蒸気の使用量を削減して、低コストに運転することができる。
ところで、本実施例では、減圧手段3の作動中(上記一連の制御中)、給気弁32を閉じておくことで、処理槽2内の圧力を迅速に低下させて食品Fを急冷することができる(急冷制御)。但し、場合により、給気弁32の開度ひいては処理槽2内の圧力を調整しつつ食品Fを徐冷してもよい(徐冷制御)。たとえば、前述したステップS2において、通水開始条件を満たした後、後述する温度差一定制御S12(図8)を行ってもよい。
また、前記実施例では、食品判定制御S6aおよび限界能力判定制御S6bにおいて、所定の場合に、真空ポンプ9への給水量を増加させたり、蒸気エゼクタ6への給蒸量を増加させたりしたが、これに代えてまたは加えて、真空ポンプ9の回転数を増加(第一設定周波数から第二設定周波数に増加)させてもよい。つまり、前記実施例では、基本的には真空ポンプ9のインバータ周波数を一定としたが、場合により、変更可能としてもよい。その場合、食品判定制御S6aおよび限界能力判定制御S6bでは、所定の場合に、(a)真空ポンプ9への給水量の増加、(b)蒸気エゼクタ6への給蒸量の増加、および(c)真空ポンプ9の回転数の増加の内、いずれか一以上を実行すればよい。その際、これら(a)~(c)の内、いずれか二以上を所定の順序で実行して、冷却能力を段階的に高めてもよい。実行順序としては、(c)→(a)→(b)の順が望ましい。
さらに、後述するように、蒸気エゼクタ6の設置を省略する場合には、食品判定制御S6aは行われず、限界能力判定制御S6bが行われる。そして、限界能力判定制御S6bでは、所定の場合に、真空ポンプ9の給水量と回転数との内、一方または双方を増加させればよい。
次に、本実施例1の真空冷却装置1の運転方法の変形例について説明する。各変形例も、基本的には前記実施例1と同様であるから、以下では両者の異なる点を中心に説明し、同様の箇所については説明を省略する。
≪変形例1≫
変形例1の真空冷却装置1では、前記各判定制御(食品判定制御S6a、限界能力判定制御S6b)と並行して、第一バックアップ制御が実行可能とされる。ここでは、上記一連の冷却運転中(第一冷却工程~第三冷却工程)、第一バックアップ制御により所望の減圧(ひいては冷却)が図られているかを監視し、万一冷却遅れや冷却不足が懸念される場合には、減圧能力(冷却能力)を上げる操作を行う。
具体的には、まず前提として、制御器には、処理槽2内の圧力とその圧力に至るまでの最長到達時間との関係が予め設定されている。たとえば、図5に示すように、処理槽2内の圧力と、その圧力に至るまでの最長到達時間(減圧開始からの最長到達時間)との関係が、制御器の情報記憶部にテーブルとして登録されている。
図示例では、処理槽2内の圧力が25hPaになるまでの最長到達時間がt1分であり、以下同様に、20hPaまではt2分、15hPaまではt3分、10hPaまではt4分、8hPaまではt5分と登録されている。時間t1~t5は、冷却運転開始(減圧開始)からの経過時間のため、減圧が進むほど(つまり処理槽2内の圧力が低くなるほど)、大きな値に設定される(t1<t2<t3<t4<t5)。処理槽2内の圧力は、圧力センサ33で検出することができ、冷却運転開始からの経過時間は、制御器のタイマで把握することができる。制御器は、処理槽2内を減圧中、冷却運転開始からの経過時間と処理槽2内の圧力とを監視して、第一バックアップ制御を実行する。
図5のテーブルは、最大負荷(100%負荷)を想定して設定しておくのが好ましい。つまり、想定される最高温度で定格量(許容最大量)の食品(または水)が処理槽2内に収容された場合でも本来はクリア(最長到達時間内に減圧)できる数値として設定される。
第一バックアップ制御では、最長到達時間内に所定圧力(その最長到達時間に対応して設定された圧力)に到達しない場合、言い換えれば、図5のテーブルに示した各圧力に、その圧力と対応した最長到達時間内に到達しない場合、(a)真空ポンプ9への給水量の増加、(b)蒸気エゼクタ6への給蒸量の増加、および(c)真空ポンプ9の回転数の増加の内、いずれか一以上を実行する。たとえば、(a)および(b)を実行する。もちろん、もし真空冷却装置1が蒸気エゼクタ6を備えない場合には、(a)真空ポンプ9への給水量の増加と、(c)真空ポンプ9の回転数の増加との内、一方または双方を実行すればよい。一旦増加させた後は、増加させたままでよい。そのため、食品判定制御S6a、限界能力判定制御S6bおよび第一バックアップ制御の内、いずれかにより(a)~(c)が実行された後は、残りの制御は実行する必要はない。但し、まずは給水量の増加の後、給蒸量を増加させるなど、各制御により段階的に増加させてもよい。
前記実施例では、真空ポンプ9の給水量、蒸気エゼクタ6の給蒸量、および真空ポンプ9の回転数の内、いずれか一以上を抑えることで、水、蒸気および電力の内、いずれか一以上の消費を削減した省エネ運転をすることができる。そして、本変形例では、このような省エネ運転中、第一バックアップ制御により、処理槽2内の減圧に想定以上の遅れがないかを監視して、万一遅れがある場合には、省エネ運転の全部または一部を解除して、処理槽2内の減圧を進めることができる。そのため、前記各判定制御S6a,S6bにおいて、品温や槽内圧力について、センサ33,34による計測値が実際の値から万一ズレを生じても(それにより所望の冷却ができない状況になっても)、第一バックアップ制御により、適切なタイミングで減圧能力を制御することができる。これにより、冷却の遅れを防止できると共に、確実な冷却を実現することができる。
なお、ここでは5段階(槽内圧力5点)で最長到達時間内かを確認したが、何段階で確認するかは適宜に変更可能である。また、各段階の圧力(つまりどの圧力で最長到達時間内であるかを確認するか)も変更可能である。そのため、たとえば、30hPaと15hPaとの二箇所でのみ、最長到達時間内での減圧か否かを確認して、そうでない場合には、前記(a)~(c)の内のいずれか一以上を実行するようにしてもよい。その他、最長到達時間は、冷却運転開始から起算する以外に、たとえば第三冷却工程の開始から起算してもよい。
≪変形例2≫
変形例2の真空冷却装置1では、前記各判定制御(食品判定制御S6a、限界能力判定制御S6b)と並行して、第二バックアップ制御が実行可能とされる。ここでは、上記一連の冷却運転中(第一冷却工程~第三冷却工程)、第二バックアップ制御により所望の減圧(ひいては冷却)が図られているかを監視し、万一冷却遅れや冷却不足が懸念される場合には、減圧能力(冷却能力)を上げる操作を行う。
具体的には、まず前提として、制御器には、処理槽2内の圧力域とその圧力域での最低減圧速度との関係が予め設定されている。たとえば、図6に示すように、処理槽2内の圧力が所定圧力(たとえば30hPa)以下となる領域について、この領域を複数の圧力域に分け、各圧力域について最低減圧速度を割り当てている。図示例では、処理槽2内の圧力域と、その圧力域での最低減圧速度との関係が、制御器の情報記憶部にテーブルとして登録されている。
具体的には、処理槽2内の圧力が30~25hPa(25hPaを超え30hPa以下)の圧力域での最低減圧速度がV1(hPa/分)であり、以下同様に、25~20hPa(20hPaを超え25hPa以下)の圧力域での最低減圧速度がV2(hPa/分)、20~15hPa(15hPaを超え20hPa以下)の圧力域での最低減圧速度がV3(hPa/分)、15hPa以下の圧力域での最低減圧速度がV4(hPa/分)と登録されている。減圧が進むほど(つまり処理槽2内の圧力が低くなるほど)減圧が難しくなるため、減圧速度V1~V4は、処理槽2内の圧力域が低いほど、小さな値に設定される(V1>V2>V3>V4)。処理槽2内の圧力は、圧力センサ33で検出することができ、また、圧力センサ33の検出圧力と経過時間との関係から、減圧速度を把握することができる。制御器は、処理槽2内を減圧中、処理槽2内の圧力が前記各圧力域にある間、減圧速度(単位時間内の圧力低下具合)を監視して、第二バックアップ制御を実行する。変形例1と同様に、変形例2でも、図6のテーブルは、最大負荷(100%負荷)を想定して設定しておくのが好ましい。
第二バックアップ制御では、処理槽2内を減圧中、処理槽2内の圧力に応じた最低減圧速度を下回った場合、(a)真空ポンプ9への給水量の増加、(b)蒸気エゼクタ6への給蒸量の増加、および(c)真空ポンプ9の回転数の増加の内、いずれか一以上を実行する。たとえば、(a)および(b)を実行する。もちろん、もし真空冷却装置1が蒸気エゼクタ6を備えない場合には、(a)真空ポンプ9への給水量の増加と、(c)真空ポンプ9の回転数の増加との内、一方または双方を実行すればよい。一旦増加させた後の処理は、前記変形例1と同様である。
第二バックアップ制御でも、前述した第一バックアップ制御と同様の作用効果を奏することができる。また、ここでは30hPa以下の領域を4つの圧力域に分けて制御したが、30hPaでなくてもよいし、圧力域の数や分け方も適宜に変更可能である。
≪変形例3≫
本変形例3の真空冷却装置1も、前記実施例と同様に、第一冷却工程および第二冷却工程を順次に実行した後、第三冷却工程を実行可能とされる。
第一冷却工程では、前記実施例と同様に、通水開始条件を満たすまで、熱交換器7の通水を停止した状態で、真空ポンプ9に常温水を供給(比較的小流量の第一設定水量で供給)しつつ、真空ポンプ9により処理槽2内を減圧する。その後、所定の通水開始条件を満たすと、第二冷却工程へ移行する。第二冷却工程では、熱交換器7の通水を実施すると共に、熱交換器7および真空ポンプ9への給水を冷水に切り替える。その後、所定のエゼクタ作動条件を満たすと、第三冷却工程へ移行して、蒸気エゼクタ6を作動(比較的小流量の第一設定蒸気量で作動)させる。第三冷却工程では、前述したとおり、食品判定制御S6aと限界能力判定制御S6bとが実行可能とされ、その結果に応じて、(a)真空ポンプ9への給水量の増加、(b)蒸気エゼクタ6への給蒸量の増加、および(c)真空ポンプ9の回転数の増加の内、いずれか一以上を実行する。
本変形例3では、真空ポンプ9に温度センサ35を設けて、真空ポンプ9内の封水温度を検出可能とする。そして、第一冷却工程および第二冷却工程において、真空ポンプ9内の封水温度を監視し、この温度が上限値以上になると真空ポンプ9への給水量を第一設定水量(小流量)から第二設定水量(大流量)に増加させ、その後、下限値以下を所定時間継続すると、真空ポンプ9への給水量を第一設定水量に戻す制御を行う。
具体的には、第二封水弁16を閉じると共に第一封水弁15を開けた状態で処理槽2内を減圧中、図7に示すように、温度センサ35の検出温度が上限値(たとえば63℃)以上になると、第二封水弁16も開けて真空ポンプ9への給水量を増加させる(S11,S12)。その後、温度センサ35の検出温度が下限値(たとえば60℃)以下を所定時間(たとえば10秒)継続すると、第二封水弁16を閉じて再び真空ポンプ9への給水量を削減する(S13,S14)。その後も同様に、温度センサ35の検出温度に基づき、第二封水弁16の開閉を制御すればよい。
このような制御は、基本的には第一冷却工程で行われ、第二冷却工程への移行に伴い冷水に切り替えられると、第二封水弁16が開いていても閉じられる。つまり、仮に第一冷却工程において第二封水弁16が開けられても(そしてそのまま第二冷却工程へ移行しても)、第二冷却工程において真空ポンプ9への給水が冷水に切り替えられることで、真空ポンプ9内の封水温度が前記下限値よりも下がり、第二封水弁16は閉じられることになる(S13,S14)。逆にいえば、そのような動作を実現するように、前記上限値および下限値が設定される。第一冷却工程において第二封水弁16が閉じられた状態で第二冷却工程へ移行した場合にも、第二冷却工程において真空ポンプ9への給水が冷水に切り替えられることで、真空ポンプ9内の封水温度が下がり、第二封水弁16は閉じられたままとなる。いずれにしても、第二封水弁16は、前述したとおり、その後の食品判定制御S6aまたは限界能力判定制御S6bで、必要に応じて開けられることになる。
このような制御により、熱交換器7や真空ポンプ9に用いる水の使用量の削減を図ることができる。しかも、真空ポンプ9内の封水温度に基づき、真空ポンプ9への給水量を増減させることで、真空ポンプ9の保護を図ると共に、封水温度の上昇による減圧速度の低下を抑制することができる。
なお、ここでは、真空ポンプ9に温度センサ35を設けて、真空ポンプ9内の封水温度を監視して制御したが、真空ポンプ9からの排出路に温度センサ35を設けて、真空ポンプ9からの排水温度を監視して、同様に制御することもできる。また、第一冷却工程および第二冷却工程における第二封水弁16の開閉制御(真空ポンプ9内の封水温度などに基づく開閉制御)は、後述する実施例2にも同様に適用可能である。
次に、本発明の実施例2の真空冷却装置1について説明する。
本実施例2の真空冷却装置1も、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、同様の箇所については説明を省略する。また、前記実施例1と対応する箇所には、同一の符号を付して説明する。本実施例2の真空冷却装置1は、構成については前記実施例1(図1)と同一であり、運転方法が異なる。
図8は、本実施例2の真空冷却装置1の運転方法の一例を示すグラフであり、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの変化を示しており、縦軸は温度T、横軸は運転開始からの経過時間tを示している。
本実施例2の真空冷却装置1は、初期減圧制御S11、温度差一定制御S12、および最終減圧制御S13を順次に実行する。そして、詳細は後述するが、温度差一定制御S12において、図示しないが、食品判定制御と限界能力判定制御とが並行して実施される。
初期減圧制御S11では、給気弁32を閉じた状態で、減圧手段3により処理槽2内を減圧する。所定の移行条件として、たとえば品温TFが移行温度TA(たとえば60℃)以下になると、温度差一定制御S12に移行する。
温度差一定制御S12では、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTが設定温度差(たとえば2℃)になるように、処理槽2内の圧力を調整しつつ処理槽2内を減圧する。つまり、品温センサ34の検出温度TFと圧力センサ33の検出圧力における飽和温度TSとの温度差ΔTが設定温度差になるように、処理槽2内の圧力を調整しつつ処理槽2内を減圧する。
処理槽2内の圧力の調整は、減圧手段3を作動させた状態で、復圧手段4による給気量を調整すればよい。具体的には、減圧手段3(少なくとも真空ポンプ9)を作動させた状態で、給気弁32の開度を調整すればよい。
温度差一定制御S12において、槽内圧力換算温度TSが品温TFよりも設定温度低くなるように、処理槽2内の圧力を調整すると、品温TFが低下してくるので、その品温TFの低下に合わせて、槽内圧力(槽内圧力換算温度TS)を低下させていけばよい。品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTを設定温度差に抑えることで、食品Fからの水分蒸発を所定の速度に制御し、突沸を抑制しつつ食品Fの冷却を図ることができる。つまり、仮に前記温度差ΔTを考慮せずに減圧した場合、品温TFが槽内圧力換算温度TSに追従できず、温度差ΔT(圧力差)が大きくなると、突然一気に沸騰する突沸を生じさせるおそれがあるが、温度差ΔTを設定温度差に抑えることで、突沸の発生を抑えることができる。
初期減圧制御S11と温度差一定制御S12とを含む一連の冷却運転において、熱交換器7および真空ポンプ9への給水や、蒸気エゼクタ6の作動は、基本的には前記実施例1と同様に制御される。すなわち、冷却運転の開始時には、熱交換器7の通水を停止した状態で、真空ポンプ9に常温水を供給しつつ、真空ポンプ9により処理槽2内を減圧する(第一冷却工程)。この際、まずは第一封水弁15のみを開けて、真空ポンプ9には小流量で給水される。その後、通水開始条件を満たすと、熱交換器7の通水を開始するが、その際、熱交換器7および真空ポンプ9には、冷水が供給される(第二冷却工程)。その後、エゼクタ作動条件を満たすと、エゼクタ給蒸弁(ここでは次に述べるように第二給蒸弁)13を開けて蒸気エゼクタ6を作動させる(第三冷却工程)。第一冷却工程および第二冷却工程では、前記実施例1の変形例3と同様の制御を実行してもよい。
なお、蒸気エゼクタ6への給蒸量は、本実施例2では必ずしも切替可能である必要はない。具体的には、図1において、第一給蒸路10a、減圧弁11および第一給蒸弁12の設置は省略可能であり、第二給蒸弁13の開閉により蒸気エゼクタ6の作動の有無を切り替えればよい。これに伴い、本実施例2では、第二給蒸弁13を単にエゼクタ給蒸弁13ということができる。
また、初期減圧制御S11から温度差一定制御S12へ移行する際、真空ポンプ9の回転数を下げてもよい。たとえば、初期減圧制御S11では、真空ポンプ9の駆動周波数を第一周波数(たとえば60Hz)とするが、温度差一定制御S12への移行に伴い、第一周波数よりも低い第二周波数(たとえば50Hz)とする。但し、温度差一定制御S12中、後述する限界能力判定制御により、減圧能力が足りないと判定された場合、第一周波数に戻される(つまり回転数を上げる)。その場合、以後、最終減圧制御S13へ移行しても、第一周波数のままとされる。一方、第二周波数のまま最終減圧制御S13へ移行する場合は、その移行時に、第一周波数に戻される。
温度差一定制御S12中、食品判定制御として、品温センサ34の検出温度TFを監視し、この検出温度の設定時間Δt内の品温TFの温度下降幅が設定値未満になると、前記設定温度差を所定温度(たとえば0.5~1℃)増加させる。これにより、冷えにくい食品Fでも、設定温度差を増加させつつ食品Fの冷却を図ることができ、冷却が完了しなかったり、冷却時間が長くなり過ぎたりするのを防止できる。
たとえば、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTが第一温度差ΔT1(たとえば2℃)となるように圧力制御中、品温TFの低下速度が遅くなり、設定時間Δt(たとえば1分)内の品温TFの温度下降幅が設定値(たとえば1℃)未満になると、前記温度差ΔTを第一温度差ΔT1よりも大きな第二温度差ΔT2(たとえば3℃)となるように圧力制御することで、品温TFの低下を促すことができる。その後、再び、品温TFの低下速度が遅くなり、設定時間Δt内の品温TFの温度下降幅が設定値未満になると、前記温度差ΔTを第二温度差ΔT2よりも大きな第三温度差ΔT3(たとえば4℃)となるように圧力制御して、品温TFの低下を促すということを繰り返せばよい。
温度差一定制御S12中、限界能力判定制御として、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTから、現在の減圧能力(真空ポンプ9の給水量および回転数)での到達限界に達した(あるいは近づいた(以下同様))ことを判定し、到達限界に達した場合には、減圧能力を高める。
具体的には、前記設定温度差を確保できず、温度差ΔTが限界能力判定値を下回る、好ましくは設定時間(たとえば3秒)下回ると、到達限界に達したと判定して、真空ポンプ9の回転数を増加させる。たとえば、前述したとおり、温度差一定制御の開始時、真空ポンプ9の駆動周波数は第二周波数(たとえば50Hz)とされているが、到達限界に達したと判定した場合、第二周波数よりも高い第一周波数(たとえば60Hz)とされる。
真空ポンプ9の回転数を増加させた後も、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差を監視し、この温度差が再び限界能力判定値を下回る、好ましくは設定時間下回ると、到達限界に達したと判定して、真空ポンプ9への給水量を増加させる。つまり、第二封水弁16を開けることで、真空ポンプ9への給水量を大流量にする。これにより、減圧能力を高めて、処理槽2内の減圧をさらに進めることができる。なお、一旦、真空ポンプ9の回転数や給水量を増加させた後は、その状態のまま減圧を進める。真空ポンプ9の回転数や給水量を増加させることなく最終減圧制御S13へ移行する場合、その移行時に、真空ポンプ9の回転数や給水量を増加させるのが好ましい。
温度差一定制御S12にて、所定の移行条件として、たとえば品温TFが移行温度TB(たとえば25℃)以下になると、最終減圧制御S13に移行する。
最終減圧制御S13では、給気弁32を閉じた状態で、減圧手段3により処理槽2内を減圧する。そして、品温センサ34の検出温度TFが冷却目標温度TZ(たとえば10℃)になると、処理槽2内の減圧を停止する。具体的には、エゼクタ給蒸弁(本実施例では前述したとおり第二給蒸弁13のみが存在)、各封水弁15,16および冷水給水弁22などを閉じて、蒸気エゼクタ6および真空ポンプ9を停止すると共に、熱交換器7の通水を停止する。その後、給気弁32を開けて、処理槽2内を大気圧まで復圧すればよい。
本発明の真空冷却装置1は、前記各実施例の構成(制御を含む)に限らず適宜変更可能である。特に、減圧手段3として、処理槽2内からの排気路5に、蒸気凝縮用の熱交換器7と水封式の真空ポンプ9とを備え、限界能力判定制御として、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTを監視し、この温度差ΔTが限界能力判定値を下回ると、真空ポンプ9への給水量を増加させるか、および/または、真空ポンプ9の回転数を増加させるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
たとえば、限界能力判定制御として、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTが限界能力判定値を下回ると、(a)真空ポンプ9への給水量の増加、(b)(蒸気エゼクタ6を備える場合)蒸気エゼクタ6への給蒸量の増加、および(c)真空ポンプ9の回転数の増加の内、いずれか一以上を実行するが、これらの内の複数を実行する場合には、段階的に実行してもよい。食品判定制御についても同様である。
また、前記各実施例では、減圧手段3として蒸気エゼクタ6を備えたが、場合により蒸気エゼクタ6の設置を省略してもよい。その場合、図2において、ステップS4,S5を省略すると共に、図3の食品判定制御S6aを省略すればよい。蒸気エゼクタ6を備えない装置は、本来的に冷えにくい食品Fの冷却を想定しておらず、食品判定制御S6aは不要である。また、ステップS65では、第二封水弁16を開放すればよい。
また、前記各実施例において、真空ポンプ9への給水流量は、第一封水弁15と第二封水弁16との内、第一封水弁15のみを開けるか、第二封水弁16も開けるかにより、二段階で流量を切り替えたが、流量変更方法は適宜に変更可能である。たとえば、第一封水弁15を上流側封水路14cではなく第一封水路14aに設けておき、第一定流量弁17と第二定流量弁18とが異なる流量のものであるならば、第一封水弁15と第二封水弁16とを択一的に開くことで、流量を切り替えてもよい。
また、図9は、図1の封水給水路14(14a~14d)の変形例を示す図であるが、この図に示すように構成してもよい。すなわち、第二封水路14bには、第二定流量弁18を設置しない代わりに、第二封水弁16を開閉切替する電磁弁ではなく、開度調整可能な電動弁から構成してもよい。その場合も、前記各実施例と同様に制御することができる。第二封水弁16を開ける際、所定開度(たとえば全開)まで開放すればよい。
同様に、前記各実施例において、蒸気エゼクタ6への給蒸量は、第一給蒸弁12と第二給蒸弁13との内、第一給蒸弁12のみを開けるか、第二給蒸弁13も開けるかにより、二段階で流量を切り替えたが、流量変更方法は適宜に変更可能である。たとえば、第一給蒸弁12と第二給蒸弁13とを択一的に開くことで、流量を切り替えてもよい。あるいは、場合により、一方または双方の給蒸弁12,13を、電動弁から構成して、開度調整してもよい。
その他、真空ポンプ9への給水流量、蒸気エゼクタ6への給蒸量、または真空ポンプ9の回転数は、それぞれ、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTに基づき、多段階あるいは無段階で変更してもよい。
また、食品判定制御では、食品Fの冷却の難易に基づき減圧能力を変更したが、食品Fの量にも対応可能である。すなわち、食品Fの量が多く冷却能力が不足した場合にも、品温TFと槽内圧力換算温度TSとの温度差ΔTを監視し、食品判定制御により、真空ポンプ9への給水量を増加させたり、真空ポンプ9の回転数を増加させたりして、適切なタイミングで減圧能力を制御して効果的に冷却することができる。
さらに、前記実施例では、真空冷却装置1は、冷却専用機として説明したが、真空冷却機能を有するのであれば、適宜に変更可能である。たとえば、蒸気による加熱手段を備えることで、蒸煮冷却装置や飽和蒸気調理装置のように構成されてもよい。あるいは、冷凍機やファンを用いた冷風冷却手段を備えることで、冷風真空複合冷却装置のように構成されてもよい。
1 真空冷却装置
2 処理槽
3 減圧手段
4 復圧手段
5 排気路
6 蒸気エゼクタ(6a:吸引口、6b:入口、6c:出口)
7 熱交換器
8 逆止弁
9 真空ポンプ(9a:給水口、9b:吸気口、9c:排気口)
10 エゼクタ給蒸路(10a:第一給蒸路、10b:第二給蒸路、10c:上流側給蒸路、10d:下流側給蒸路)
11 減圧弁
12 第一給蒸弁
13 第二給蒸弁
14 封水給水路(14a:第一封水路、14b:第二封水路、14c:上流側封水路、14d:下流側封水路)
15 第一封水弁
16 第二封水弁
17 第一定流量弁
18 第二定流量弁
19 常温水給水路
20 常温水給水弁
21 冷水給水路
22 冷水給水弁
23 共通給水路
24 熱交給水路
25 熱交排水路
26 冷水戻し路
27 排水出口路
28 冷水戻し弁
29 排水出口弁
30 給気路
31 エアフィルタ
32 給気弁
33 圧力センサ
34 品温センサ
35 温度センサ
S6a 食品判定制御
S6b 限界能力判定制御
S11 初期減圧制御
S12 温度差一定制御
S13 最終減圧制御
TF 品温
TS 槽内圧力換算温度
TZ 冷却目標温度

Claims (4)

  1. 食品が収容される処理槽と、この処理槽内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段と、減圧された前記処理槽内へ外気を導入する復圧手段と、前記処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、前記処理槽内に収容された食品の温度を検出する品温センサと、前記各手段を制御する制御手段とを備え、
    前記減圧手段として、前記処理槽内からの排気路に、蒸気凝縮用の熱交換器と水封式の真空ポンプとを備え、
    限界能力判定制御として、前記品温センサの検出温度と前記圧力センサの検出圧力における飽和温度との温度差を監視し、この温度差が限界能力判定値を下回ると、前記真空ポンプへの給水量を増加させるか、および/または、前記真空ポンプの回転数を増加させる真空冷却装置であって、
    前記品温センサの検出温度と前記圧力センサの検出圧力における飽和温度との温度差が設定温度差になるように、前記処理槽内の圧力を調整しつつ前記処理槽内を減圧する温度差一定制御を実行可能とされ、
    この温度差一定制御において、限界能力判定制御として、前記設定温度差を確保できず、温度差が限界能力判定値を下回ると、前記真空ポンプの回転数を増加させ、それでも限界能力判定値を下回ると、前記真空ポンプへの給水量を増加させる
    ことを特徴とする真空冷却装置。
  2. 前記減圧手段として、蒸気エゼクタをさらに備え、
    前記温度差が限界能力判定値を下回ると、(a)前記真空ポンプへの給水量の増加、(b)前記蒸気エゼクタへの給蒸量の増加、および(c)前記真空ポンプの回転数の増加の内、少なくとも「(c)前記真空ポンプの回転数の増加」を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空冷却装置。
  3. 前記温度差一定制御では、食品判定制御として、前記品温センサの検出温度の設定時間内の温度下降幅が設定値未満になると、前記設定温度差を増加させる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空冷却装置。
  4. 食品が収容される処理槽と、この処理槽内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段と、減圧された前記処理槽内へ外気を導入する復圧手段と、前記処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、前記処理槽内に収容された食品の温度を検出する品温センサと、前記各手段を制御する制御手段とを備え、
    前記減圧手段として、前記処理槽内からの排気路に、蒸気凝縮用の熱交換器と水封式の真空ポンプとを備え、
    限界能力判定制御として、前記品温センサの検出温度と前記圧力センサの検出圧力における飽和温度との温度差を監視し、この温度差が限界能力判定値を下回ると、前記真空ポンプへの給水量を増加させるか、および/または、前記真空ポンプの回転数を増加させる真空冷却装置であって、
    第一冷却工程および第二冷却工程を順次に実行した後、前記限界能力判定制御を実行可能とされ、
    前記第一冷却工程では、通水開始条件を満たすまで、前記熱交換器の通水を停止した状態で、前記真空ポンプに常温水を供給しつつ、前記真空ポンプにより前記処理槽内を減圧し、
    前記第二冷却工程では、前記熱交換器の通水を開始すると共に、前記熱交換器および前記真空ポンプへの給水を冷水に切り替え、
    前記各冷却工程において、前記真空ポンプ内の封水温度または前記真空ポンプからの排水温度を監視し、この温度が上限値以上になると前記真空ポンプへの給水量を第一設定水量から第二設定水量に増加させ、その後、下限値以下を所定時間継続すると、前記真空ポンプへの給水量を第一設定水量に戻す
    ことを特徴とする真空冷却装置。
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