JP7374555B2 - 変速ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される変速ユニットに関する。
従来、CVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)などの変速機では、外殻をなすケースの底部に、各部へのオイルの供給を制御するためのバルブボディが配置され、ケースには、オイルパンがバルブボディの下側からボルトで固定されている。バルブボディとオイルパンとの間には、オイルパンに貯留されているオイルを吸い上げてバルブボディに供給するためのストレーナが配置される。
変速機が搭載された車両の旋回や発進、停止によるオイルの挙動、つまりオイルパンに貯留されているオイルの油面位置の変化を考慮して、オイルパンの中央部からストレーナにオイルを吸い上げる必要がある。そのため、ストレーナは、バルブボディの下側に配置され、ストレーナにオイルを吸い込む吸込口は、オイルパンの中央部に対向する位置に形成される。
特開2017-180711号公報
ところが、その構成では、変速機の上下方向のサイズが大きくなるため、小型車への変速機の搭載が困難となる。
本発明の目的は、小型化を図ることができる、変速ユニットを提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る変速ユニットは、トルクコンバータと、互いに平行に延びるプライマリ軸およびセカンダリ軸を有し、プライマリ軸に支持されるプライマリプーリとセカンダリ軸に支持されるセカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられ、トルクコンバータからプライマリ軸に入力される動力をプライマリプーリとセカンダリプーリとのプーリ比で変速してセカンダリ軸に伝達する無段変速機構と、リニアソレノイドバルブを備え、無段変速機構へのオイルの供給を制御するバルブボディと、濾過材が収容される濾過部および吸込口から吸い込まれるオイルを濾過部に導く管部を有するストレーナと、バルブボディおよびストレーナを下側から一括して被覆し、吸込口から吸い込まれるオイルが溜まるオイルパンと、を含み、プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、トルクコンバータに対してプライマリ軸の軸線方向に間隔を空けて配置され、バルブボディは、トルクコンバータとプライマリプーリとの間に配置され、ストレーナの濾過部は、プライマリプーリの下側に配置され、ストレーナの管部は、濾過部から延出してバルブボディの下側を延び、吸込口がオイルパンの中央部と対向するように形成され、リニアソレノイドバルブは、オイルが通過するポートを有するバルブ部がバルブボディ内に配置され、コイルおよびプランジャを収容するコイル部がバルブボディからトルクコンバータ側に突出し、トルクコンバータの下側でトルクコンバータと軸線方向にオーバラップして配置される。
この構成によれば、ストレーナは、濾過材が収容される濾過部と、吸込口から吸い込まれるオイルを濾過部に導く管部とを有している。管部には、濾過材が収容されないので、管部は、濾過部よりも薄く形成することができる。したがって、管部が濾過部から延出してバルブボディの下側を延びる構成により、ストレーナ全体がバルブボディの下側に配置される構成と比較して、変速ユニットの上下方向のサイズの縮小を図ることができる。そして、吸込口がオイルパンの中央部と対向する位置に形成されているので、変速ユニットが搭載される車両の旋回や発進、停止によるオイルの挙動にかかわらず、オイルパンに溜まったオイルを吸込口からストレーナ内(管部内)に良好に吸い込むことができる。
また、バルブボディには、リニアソレノイドバルブが備えられている。リニアソレノイドバルブのバルブ部は、バルブボディ内に配置され、コイル部は、バルブボディ外に配置されている。比較的体格の大きいコイル部がバルブボディ外に配置されることにより、バルブボディの小型化を図ることができる。
そして、リニアソレノイドバルブのコイル部は、トルクコンバータの下側に潜り込み、トルクコンバータと軸線方向にオーバラップして配置されている。トルクコンバータの下側のスペースをリニアソレノイドバルブのコイル部の配置に有効に利用することにより、変速ユニットの上下方向の小型化を図ることができながら、そのコイル部とトルクコンバータとの軸線方向のオーバラップにより、変速ユニットの軸線方向の小型化を図ることができる。
よって、変速ユニットの小型化を図ることができる。
本発明によれば、変速ユニットの小型化を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る変速ユニットの構成を示す断面図である。 CVTの構成を図解的に示すスケルトン図である。 変速ユニットの第2トランスミッションケース内を下側から見た図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<変速ユニット>
図1は、本発明の一実施形態に係る変速ユニット1の構成を示す断面図である。なお、図1以降の断面図では、断面を表すハッチングの付与が省略されている。
変速ユニット1は、車両に搭載されて、走行用の駆動源としてのエンジン2(E/G)2が発生する動力を変速するユニットである。車両は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)レイアウトを採用している。
エンジン2は、たとえば、3気筒4ストロークエンジンであり、クランクシャフトが車体の前後方向に対して縦向きになる縦置きで搭載される。エンジン2の気筒数は、3気筒に限らず、4気筒以上であってもよいし、2気筒以下であってもよい。また、エンジン2のストローク数は、4ストロークに限らず、2ストロークであってもよい。
変速ユニット1は、外殻をなすユニットケース3内に、トルクコンバータ4およびCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)5を備えている。
<ユニットケース>
ユニットケース3は、第1トランスミッションケース11、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13の3分割で構成されている。第1トランスミッションケース11、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13は、たとえば、アルミ合金製であり、ダイカスト法によって鋳造される。
第1トランスミッションケース11、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13は、前側(エンジン2側)からこの順に並べられている。第1トランスミッションケース11と第2トランスミッションケース12とがボルト16で締結され、第2トランスミッションケース12と第3トランスミッションケース13とがボルト17で締結されることにより、第1トランスミッションケース11、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13は、一体化されている。
<トルクコンバータ>
トルクコンバータ4は、第1トランスミッションケース11内に収容されている。トルクコンバータ4は、フロントカバー21、ポンプインペラ22、タービンハブ23、タービンランナ24、ロックアップ機構25およびステータ26を備えている。
フロントカバー21は、車両(車体)の前後方向に延びる回転軸線を中心に略円板状に延び、その外周端部がエンジン2側と反対側(後述する無段変速機構42側)である後側に屈曲した形状をなしている。フロントカバー21の中心部は、前側に膨出している。この膨出した部分には、エンジン2のクランクシャフトが相対回転不能に結合される。
ポンプインペラ22は、フロントカバー21の後側に配置されている。ポンプインペラ22の外周端部は、フロントカバー21の外周端部に接続され、回転軸線を中心にフロントカバー21と一体回転可能に設けられている。ポンプインペラ22の内面には、複数のブレード27が放射状に並べて配置されている。
タービンハブ23は、フロントカバー21とポンプインペラ22との間に配置されている。
タービンランナ24は、タービンハブ23に固定されている。タービンランナ24のポンプインペラ22との対向面には、複数のブレード28が放射状に並べて配置されている。
ロックアップ機構25は、ロックアップピストン31およびダンパ機構32を備えている。
ロックアップピストン31は、略円環板状をなし、その内周端部がタービンハブ23に外嵌されて、フロントカバー21とタービンランナ24との間に位置している。ロックアップピストン31に対してタービンランナ24側の係合側油室33の油圧がフロントカバー21側の解放側油室34の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン31がフロントカバー21側に移動する。そして、ロックアップピストン31がフロントカバー21に押し付けられると、ポンプインペラ22とタービンランナ24とが直結(ロックアップオン)される。逆に、解放側油室34の油圧が係合側油室33の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン31がタービンランナ24側に移動する。ロックアップピストン31がフロントカバー21から離間した状態では、ポンプインペラ22とタービンランナ24との直結が解除(ロックアップオフ)される。
ダンパ機構32は、ポンプインペラ22とタービンランナ24との直結時にエンジン2からの振動を減衰するための機構である。
ステータ26は、ポンプインペラ22とタービンランナ24との間に配置されている。
ロックアップオフの状態において、エンジントルクによりポンプインペラ22が回転すると、ポンプインペラ22からタービンランナ24に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ24のブレード28で受けられて、タービンランナ24が回転する。このとき、トルクコンバータ4の増幅作用が生じ、タービンランナ24には、エンジントルクよりも大きなトルクが発生する。
<CVT>
CVT5は、第2トランスミッションケース12および第3トランスミッションケース13内に収容されている。CVT5は、入力軸41、無段変速機構42、出力軸43およびリバース伝達機構44を備えている。変速ユニット1は、エンジン2の後側に、CVT5の入力軸41が車両の前後方向に延びる縦向きとなる縦置きで配置されている。
入力軸41は、中空軸に形成されて、トルクコンバータ4の回転軸線上を延びている。入力軸41の前端部は、トルクコンバータ4内に挿入されて、タービンハブ23とスプライン嵌合している。
なお、以下の説明において、入力軸41の軸線が延びる方向を「軸線方向」という。また、軸線方向と直交する方向、つまり入力軸41の径方向を「軸径方向」という。
入力軸41の後端部は、第2トランスミッションケース12内に配置された機械式のオイルポンプ45に回転可能に支持されている。具体的には、オイルポンプ45は、ポンプケース46と、ポンプケース46に後側から接合されるポンプカバー47と、ポンプケース46内のスペースに配置されるポンプギヤ48と、ポンプギヤ48に相対回転不能に結合されるポンプ軸49とを備えている。ポンプカバー47は、第2トランスミッションケース12に固定され、ポンプケース46内のスペースを後側から閉鎖している。ポンプケース46の前端部には、後側に略円柱状に凹んだ凹部51が形成されている。入力軸41の後端部は、凹部51内に挿入されて、入力軸41の周面と凹部51の内周面との間に介在されるラジアルベアリング52を介してポンプケース46に回転可能に支持されている。
また、入力軸41の後側の端面と凹部51の底面との間には、スラストベアリング53が介在されている。これにより、入力軸41の回転時におけるメカニカルロスが低減される。
ポンプ軸49は、ポンプケース46およびポンプカバー47を貫通して設けられている。ポンプ軸49は、ポンプケース46から前側に延び、入力軸41にその内周面との間に隙間を空けて挿通されている。ポンプ軸49の前端部は、トルクコンバータ4のフロントカバー21に達し、そのフロントカバー21の中心部に相対回転不能に接続されている。これにより、エンジン2の動力によりフロントカバー21が回転すると、フロントカバー21と一体にポンプ軸49およびポンプギヤ48が回転し、オイルポンプ45から油圧が発生する。
無段変速機構42は、プライマリ軸54、セカンダリ軸55、プライマリプーリ56、セカンダリプーリ57およびベルト58を備えている。
プライマリ軸54は、第1トランスミッションケース11と第2トランスミッションケース12との間において、入力軸41に対して車両の後側から見て右下方に離間した位置で、入力軸41と平行に延び、その軸心まわりに回転可能に設けられている。
セカンダリ軸55は、第1トランスミッションケース11と第2トランスミッションケース12との間において、入力軸41の軸心に対して車両の後側から見て左上方に離間した位置で入力軸41と平行に延び、その軸心まわりに回転可能に設けられている。
プライマリプーリ56は、プライマリ軸54に固定されたプライマリ固定シーブ61と、プライマリ固定シーブ61にベルト58を挟んで対向配置され、プライマリ軸54に軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されたプライマリ可動シーブ62とを備えている。プライマリ可動シーブ62は、プライマリ固定シーブ61に対して前側に配置されている。プライマリ可動シーブ62に対してプライマリ固定シーブ61側と反対側、つまり前側には、シリンダ63が設けられ、プライマリ可動シーブ62とシリンダ63との間には、油圧室(ピストン室)64が形成されている。
セカンダリプーリ57は、セカンダリ軸55に固定されたセカンダリ固定シーブ65と、セカンダリ固定シーブ65にベルト58を挟んで対向配置され、セカンダリ軸55に軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されたセカンダリ可動シーブ66とを備えている。セカンダリ可動シーブ66は、セカンダリ固定シーブ65に対して後側に配置されている。セカンダリ可動シーブ66に対してセカンダリ固定シーブ65と反対側、つまり後側には、ピストン67が設けられ、セカンダリ可動シーブ66とピストン67との間には、油圧室68が形成されている。
ベルト58は、無端状に形成され、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間に挟まれた状態でプライマリプーリ56に巻き掛けられるとともに、セカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間に挟まれた状態でセカンダリプーリ57に巻き掛けられている。
無段変速機構42では、プライマリプーリ56およびセカンダリプーリ57の各油圧室64,68に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ56およびセカンダリプーリ57の各溝幅が変更されることにより、ベルト変速比(プライマリプーリ56とセカンダリプーリ57とのプーリ比)が一定の変速比範囲内で連続的に無段階で変更される。
具体的には、ベルト変速比が小さくされるときには、プライマリプーリ56の油圧室64に供給される油圧が上げられる。これにより、プライマリプーリ56のプライマリ可動シーブ62がプライマリ固定シーブ61側に移動し、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ56に対するベルト58の巻き掛け径が大きくなり、セカンダリプーリ57のセカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、ベルト変速比が小さくなる。
ベルト変速比が大きくされるときには、プライマリプーリ56の油圧室64に供給される油圧が下げられる。これにより、ベルト58に対するセカンダリプーリ57の推力がベルト58に対するプライマリプーリ56の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ57のセカンダリ固定シーブ65とセカンダリ可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、プライマリ固定シーブ61とプライマリ可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、ベルト変速比が大きくなる。
セカンダリプーリ57の油圧室68には、バイアススプリング69が設けられている。バイアススプリング69は、一端がセカンダリ可動シーブ66に弾性的に当接し、他端がピストン67に弾性的に当接している。バイアススプリング69の弾性力により、セカンダリ可動シーブ66およびピストン67が互いに離間する方向に付勢されている。セカンダリ可動シーブ66には、油圧室68内の油圧およびバイアススプリング69による付勢力が付与され、ベルト58には、それに応じた挟圧が付与される。
また、入力軸41には、軸線方向の中央部に、入力軸ギヤ81が一体に形成されている。これに対応して、プライマリ軸54には、入力軸ギヤ81と噛合するプライマリ入力ギヤ82が相対回転可能に支持されている。これらの互いに噛合する入力軸ギヤ81およびプライマリ入力ギヤ82とオイルポンプ45との間のスペースを利用して、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転を許容/禁止する前進クラッチ83が設けられている。前進クラッチ83の一部は、オイルポンプ45と軸径方向に重なっている(軸線方向に見て重なっている)。
前進クラッチ83は、クラッチドラム84、クラッチハブ85およびクラッチピストン86を備えている。クラッチドラム84は、内周端がプライマリ軸54に固定され、プライマリ軸54から軸径方向に延び、外周端部がプライマリ入力ギヤ82側、つまり前側に屈曲して延びている。クラッチハブ85は、プライマリ入力ギヤ82と一体に形成され、プライマリ入力ギヤ82から後側に延出する円筒状をなし、クラッチドラム84の外周端部に対して軸径方向の内側から間隔を空けて対向している。クラッチピストン86は、クラッチドラム84とクラッチハブ85との間に、軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン86は、クラッチドラム84に液密的に当接しており、クラッチドラム84とクラッチピストン86との間には、クラッチピストン86に作用する油圧が供給される油圧室87が形成されている。また、クラッチピストン86は、リターンスプリング88により、後側に弾性的に付勢されている。
クラッチドラム84の外周端部とクラッチハブ85とに軸径方向に挟まれる空間において、クラッチドラム84に保持されるクラッチプレートとクラッチハブ85に保持されるクラッチディスクとが軸線方向に交互に並んでいる。油圧室87に供給される油圧により、クラッチピストン86が前側に移動してクラッチプレートを後側から押圧すると、クラッチプレートとクラッチディスクとが圧接し、前進クラッチ83が係合する。前進クラッチ83の係合により、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転が禁止され、プライマリ入力ギヤ82が回転すると、プライマリ軸54がプライマリ入力ギヤ82と一体に回転する。前進クラッチ83の係合状態から油圧が開放されると、リターンスプリング88の付勢力により、クラッチピストン86が後側に移動し、クラッチディスクとクラッチプレートとの圧接が解除されて、前進クラッチ83が解放される。前進クラッチ83の解放により、プライマリ軸54に対するプライマリ入力ギヤ82の回転が許容され、プライマリ入力ギヤ82が回転しても、その回転がプライマリ軸54に伝達されない。
セカンダリ軸55には、セカンダリ入力ギヤ91が相対回転可能に支持されている。セカンダリ入力ギヤ91は、軸線方向において、入力軸ギヤ81とオイルポンプ45との間に配置されている。また、セカンダリ入力ギヤ91とオイルポンプ45との間のスペースを利用して、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転を許容/禁止する後進クラッチ92が設けられている。後進クラッチ92の一部は、オイルポンプ45と軸径方向に重なっている(軸線方向に見て重なっている)。
後進クラッチ92は、クラッチドラム93、クラッチハブ94およびクラッチピストン95を備えている。クラッチドラム93は、内周端がセカンダリ軸55に固定され、セカンダリ軸55から軸径方向に延び、外周端部がセカンダリ入力ギヤ91側、つまり前側に屈曲して延びている。クラッチハブ94は、セカンダリ入力ギヤ91と一体に形成され、セカンダリ入力ギヤ91から後側に延出する円筒状をなし、クラッチドラム93の外周端部に対して軸径方向内側から間隔を空けて対向している。クラッチピストン95は、クラッチドラム93とクラッチハブ94との間に、軸線方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン95は、クラッチドラム93に液密的に当接しており、クラッチドラム93とクラッチピストン95との間には、クラッチピストン95に作用する油圧が供給される油圧室96が形成されている。また、クラッチピストン95は、リターンスプリング97により、後側に弾性的に付勢されている。
クラッチドラム93の外周端部とクラッチハブ94とに軸径方向に挟まれる空間において、クラッチドラム93に保持されるクラッチプレートとクラッチハブ94に保持されるクラッチディスクとが軸線方向に交互に並んでいる。油圧室96に供給される油圧により、クラッチピストン95が前側に移動してクラッチプレートを後側から押圧すると、クラッチプレートとクラッチディスクとが圧接し、後進クラッチ92が係合する。後進クラッチ92の係合により、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転が禁止され、セカンダリ入力ギヤ91が回転すると、セカンダリ軸55がセカンダリ入力ギヤ91と一体に回転する。後進クラッチ92の係合状態から油圧が開放されると、リターンスプリング97の付勢力により、クラッチピストン95が後側に移動し、クラッチディスクとクラッチプレートとの圧接が解除されて、後進クラッチ92が解放される。後進クラッチ92の解放により、セカンダリ軸55に対するセカンダリ入力ギヤ91の回転が許容され、セカンダリ入力ギヤ91が回転しても、その回転がセカンダリ軸55に伝達されない。
出力軸43は、入力軸41に対して後側に間隔を空けて、入力軸41と同一軸線上に配置されている。言い換えれば、入力軸41と出力軸43とは、軸線方向に間隔を空けてそれぞれ前後に、車両の前後方向に沿った縦向きに延びる共通の軸線を有するように配置されている。出力軸43には、出力軸ギヤ101が一体に形成されている。これに対応して、セカンダリ軸55には、出力軸ギヤ101と噛合するセカンダリ出力ギヤ102が相対回転不能に支持されている。
リバース伝達機構44は、入力軸41の動力(回転)をセカンダリ入力ギヤ91に伝達する機構である。リバース伝達機構44には、リバースアイドラ軸103、第1リバースギヤ104および第2リバースギヤ105が含まれる。リバースアイドラ軸103は、軸線方向に延び、第1トランスミッションケース11と第2トランスミッションケース12とに跨がって、第1トランスミッションケース11および第2トランスミッションケース12に回転可能に支持されている。第1リバースギヤ104は、リバースアイドラ軸103と一体に形成されて、入力軸ギヤ81と噛合している。第2リバースギヤ105は、第1リバースギヤ104の後側において、リバースアイドラ軸103と一体に形成され、セカンダリ入力ギヤ91と噛合している。
出力軸43とプライマリ軸54との間には、アダプタ111が設けられている。アダプタ111は、たとえば、アルミ合金製であり、ダイカスト法によって鋳造される鋳物である。アダプタ111は、出力軸43とプライマリ軸54との間を軸径方向に延びている。アダプタ111の上端部は、後側に突出しており、その突出した部分には、前側に略円柱状に凹んだ凹部112が形成されている。出力軸43の前端部は、凹部112内に挿入されている。出力軸43の周面と凹部112の内周面との間には、ラジアルベアリング113が介在されている。出力軸43の前端部は、ラジアルベアリング113を介して、アダプタ111に回転可能に支持されている。また、出力軸43には、出力軸ギヤ101が形成されている部分と凹部112内に挿入される部分との間に、軸径方向に沿った円環状の段差面が形成されている。段差面とアダプタ111との間には、スラストベアリング114が介在されている。
アダプタ111には、後側に略円柱状に凹んだ凹部115が形成されている。プライマリ軸54の後端部は、凹部115に挿入されている。プライマリ軸54の周面と凹部115の内周面との間には、ボールベアリング116が介在されている。プライマリ軸54の後端部は、ボールベアリング116を介して、アダプタ111に回転可能に支持されている。
アダプタ111の下端部には、前側からボルト117が挿通される。そして、そのボルト117により、アダプタ111は、第3トランスミッションケース13に取り付けられている。
<動力伝達経路>
図2は、CVT5の構成を図解的に示すスケルトン図である。
車両の前進時には、前進クラッチ83が係合されて、後進クラッチ92が解放される。エンジン2からトルクコンバータ4を介して入力軸41に入力される動力は、前進クラッチ83の係合により、入力軸ギヤ81からプライマリ入力ギヤ82を介してプライマリ軸54に伝達される。一方、入力軸41に入力される動力が入力軸ギヤ81からセカンダリ入力ギヤ91に伝達されて、セカンダリ入力ギヤ91が回転しても、後進クラッチ92の解放により、セカンダリ入力ギヤ91がセカンダリ軸55(セカンダリ軸55)に対して空転し、セカンダリ軸55に動力が伝達されない。
プライマリ軸54に伝達される動力は、プライマリプーリ56とセカンダリプーリ57とのプーリ比に応じたベルト変速比で変速されて、セカンダリ軸55に伝達される。そして、セカンダリ軸55に伝達される動力は、セカンダリ出力ギヤ102から出力軸ギヤ101を介して出力軸43に伝達される。
車両の後進時には、前進クラッチ83が解放されて、後進クラッチ92が係合される。エンジン2からトルクコンバータ4を介して入力軸41に入力される動力は、後進クラッチ92の係合により、入力軸ギヤ81からリバース伝達機構44およびセカンダリ入力ギヤ91を介してセカンダリ軸55に伝達される。このとき、セカンダリ軸55は、車両の前進時と逆方向に回転する。一方、入力軸41に入力される動力が入力軸ギヤ81からプライマリ入力ギヤ82に伝達されて、プライマリ入力ギヤ82が回転しても、前進クラッチ83の解放により、プライマリ入力ギヤ82がプライマリ軸54(プライマリ軸54)に対して空転し、プライマリ軸54に動力が伝達されない。
セカンダリ軸55に伝達される動力は、セカンダリ出力ギヤ102から出力軸ギヤ101を介して出力軸43に伝達される。
そして、出力軸43に伝達される動力は、出力軸43からプロペラシャフト(図示せず)に出力されて、プロペラシャフトからリヤデファレンシャルギヤ(リヤデフ)およびドライブシャフトを介して左右の後輪に伝達される。
<油供給構造>
図3は、変速ユニット1の第2トランスミッションケース12内を下側から見た図である。
第2トランスミッションケース12の底部には、バルブボディ121が設けられている。バルブボディ121には、変速ユニット1の各部へのオイルの供給を制御するための各種のバルブを含む油圧回路が形成されている。各種のバルブには、プライマリプーリ56の油圧室64に供給される油圧を調圧するためのリニアソレノイドバルブ122と、セカンダリプーリ57の油圧室68に供給される油圧を調圧するためのリニアソレノイドバルブ123と、前進クラッチ83の油圧室87および後進クラッチ92の油圧室96に供給される油圧を調圧するためのリニアソレノイドバルブ124とが含まれる。
また、第2トランスミッションケース12の底部には、ストレーナ125が設けられている。ストレーナ125は、バルブボディ121と横並びで配置される濾過部126と、濾過部126から延出する管部127とを備えている。管部127は、濾過部126の下部から前側に延出して、バルブボディ121の下側を左側に湾曲しつつ延び、その先端部が第2トランスミッションケース12の中央部に配置されている。管部127は、中空の管状に形成され、その内部は、濾過部126の内部と連通している。また、管部127の先端部の下面は、オイルを吸い込むための吸込口128として開口している。
第2トランスミッションケース12には、オイルパン131が下側から複数のボルト132で固定されている。ストレーナ125の管部127の先端部は、オイルパン131の中央部に位置しており、その先端部の吸込口128は、オイルパン131の中央部と対向している。
オイルポンプ45のポンプギヤ48の回転により吸引力が発生し、その吸引力により、オイルパン131に溜まったオイルが吸込口128から管部127内に吸い込まれる。管部127内に吸い込まれたオイルは、管部127内を濾過部126に向けて流れ、濾過部126内に設けられた濾過材を通過する。オイルが濾過材を通過することにより、オイル中に含まれる異物が濾過材に捕獲されて、オイル中から異物が除去される。濾過材を通過したオイルは、バルブボディ121に供給される。そして、バルブボディ121から無段変速機構42などのオイルの供給を必要とする各部に作動油または潤滑油としてオイルが供給される。
バルブボディ121に備えられているリニアソレノイドバルブ122,123,124は、ストレーナ125の前側において、左右方向に並べて配置されている。各リニアソレノイドバルブ122,123,124は、オイルが通過するポートを有するバルブ部133と、ポートの開度を変更するためのコイルおよびプランジャを収容するコイル部134とを備えている。各リニアソレノイドバルブ122,123,124のバルブ部133は、バルブボディ121内に配置され、各リニアソレノイドバルブ122,123,124のコイル部134は、バルブボディ121から前側(トルクコンバータ4側)に突出している。これにより、各リニアソレノイドバルブ122,123,124のコイル部134は、図1に示されるように、トルクコンバータ4の下側(トルクコンバータ4を収容する第1トランスミッションケース11の下側)でトルクコンバータ4と軸線方向にオーバラップして配置される。
<作用効果>
以上のように、ストレーナ125は、濾過材が収容される濾過部126と、吸込口128から吸い込まれるオイルを濾過部126に導く管部127とを有している。管部127には、濾過材が収容されないので、管部127は、濾過部126よりも薄く形成することができる。したがって、管部127が濾過部126から延出してバルブボディ121の下側を延びる構成により、ストレーナ125全体がバルブボディ121の下側に配置される構成と比較して、変速ユニット1の上下方向のサイズの縮小を図ることができる。そして、吸込口128がオイルパン131の中央部と対向する位置に形成されているので、変速ユニット1が搭載される車両の旋回や発進、停止によるオイルの挙動にかかわらず、オイルパン131に溜まったオイルを吸込口128からストレーナ125内(管部127内)に良好に吸い込むことができる。
また、バルブボディ121には、リニアソレノイドバルブ122,123,124が備えられている。リニアソレノイドバルブ122,123,124のバルブ部133は、バルブボディ121内に配置され、コイル部134は、バルブボディ121外に配置されている。比較的体格の大きいコイル部134がバルブボディ121外に配置されることにより、バルブボディ121の小型化を図ることができる。
そして、リニアソレノイドバルブ122,123,124のコイル部134は、トルクコンバータ4の下側に潜り込み、トルクコンバータ4と軸線方向にオーバラップして配置されている。トルクコンバータ4の下側のスペースをリニアソレノイドバルブ122,123,124のコイル部134の配置に有効に利用することにより、変速ユニット1の上下方向の小型化を図ることができながら、そのコイル部134とトルクコンバータ4との軸線方向のオーバラップにより、変速ユニット1の軸線方向の小型化を図ることができる。
よって、変速ユニット1の小型化を図ることができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、変速ユニット1は、エンジン2の後側に、CVT5の入力軸41が車両の前後方向に延びる縦向きとなる縦置きで配置されているとした。しかしながら、これに限らず、本発明は、エンジン2の左側または右側に、CVTの入力軸が車両の左右方向に延びるように横置きされる変速ユニットに適用することもできる。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:変速ユニット
4:トルクコンバータ
42:無段変速機構
54:プライマリ軸
55:セカンダリ軸
56:プライマリプーリ
57:セカンダリプーリ
58:ベルト
121:バルブボディ
122,123,124:リニアソレノイドバルブ
125:ストレーナ
126:濾過部
127:管部
128:吸込口
131:オイルパン
133:バルブ部
134:コイル部

Claims (1)

  1. トルクコンバータと、
    互いに平行に延びるプライマリ軸およびセカンダリ軸を有し、前記プライマリ軸に支持されるプライマリプーリと前記セカンダリ軸に支持されるセカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられ、前記トルクコンバータから前記プライマリ軸に入力される動力を前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとのプーリ比で変速して前記セカンダリ軸に伝達する無段変速機構と、
    リニアソレノイドバルブを備え、前記無段変速機構へのオイルの供給を制御するバルブボディと、
    濾過材が収容される濾過部および吸込口から吸い込まれるオイルを前記濾過部に導く管部を有するストレーナと、
    前記バルブボディおよび前記ストレーナを下側から一括して被覆し、前記吸込口から吸い込まれるオイルが溜まるオイルパンと、を含み、
    前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリは、前記トルクコンバータに対して前記プライマリ軸の軸線方向に間隔を空けて配置され、
    前記バルブボディは、前記トルクコンバータと前記プライマリプーリとの間に配置され、
    前記ストレーナの前記濾過部は、前記プライマリプーリの下側に配置され、
    前記ストレーナの前記管部は、前記濾過部から延出して前記バルブボディの下側を延び、前記吸込口が前記オイルパンの中央部と対向するように形成され、
    前記リニアソレノイドバルブは、オイルが通過するポートを有するバルブ部が前記バルブボディ内に配置され、コイルおよびプランジャを収容するコイル部が前記バルブボディにおける前記トルクコンバータ側の最端部よりも前記トルクコンバータ側に突出し、前記コイル部が前記トルクコンバータの下側に潜り込んで前記トルクコンバータと前記軸線方向にオーバラップして配置される、変速ユニット。
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