JP7374047B2 - ポリ塩化ビニル組成物及び耐火シート - Google Patents

ポリ塩化ビニル組成物及び耐火シート Download PDF

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Description

本発明は、ポリ塩化ビニル組成物及び耐火シートに関する。
リチウムイオン二次電池などの二次電池は複数のセルを筐体内に並置して使用されることが多い。複数のセルのうち一つが異常発火すると、隣接するセルが類焼して筐体内のセルが全損する問題がある。このような類焼を防止するために、特許文献1にはセル同士の間に難燃剤を含むシートの積層体を配置することが提案されている。
特開2019-96410号公報
特許文献1の耐火積層体では、絶縁性熱発泡層と熱膨張層とが積層されており、絶縁性熱発泡層は400℃付近で発泡して粉体状から多孔体に変化する亜リン酸アルミニウムと樹脂とを含み、熱膨張層は200℃付近で膨張作用を起こす熱膨張性黒鉛と樹脂とを含む。この耐火積層体が火炎等により加熱されると、熱膨張層が先んじて急激に膨張するため、耐火積層体の積層構造が維持されず、絶縁性熱発泡層が発泡する前に本来あるべき配置から脱落したり、外形が大きく変形したりする問題(耐火性が低い問題)があった。
本発明は、高熱に暴露された際の耐火性及び遮熱性に優れた耐火シートを形成することが可能な、ポリ塩化ビニル組成物及び耐火シートの提供を課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、次のように検討した。
熱膨張層の外形の変形を和らげる(耐火性を高める)ことのみが目的であれば、熱膨張層に含まれる熱膨張性黒鉛の含有量を減らし、相対的に樹脂の量を増やすことが考えられる。しかし、そうすると熱膨張層の膨張後の遮熱性が低減してしまう。
そこで、熱膨張層に含有させる難燃剤として、熱膨張性黒鉛だけでなく、膨張による変形が比較的少ない亜リン酸アルミニウムを充分に含有させ、かつ樹脂としてポリ塩化ビニルを採用した。ところが、難燃剤を樹脂中に分散して得た樹脂組成物の粘度や流動性が安定せず、シート状に成形することの難しさに直面した。この原因を鋭意検討したところ、ポリ塩化ビニルの平均重合度を所定の範囲とし、可塑剤を所定量で充分に添加することにより、熱膨張性黒鉛と亜リン酸アルミニウムを含む樹脂組成物をシート状に成形することが可能となった。
上記の樹脂組成物を成形して得た耐火シートの耐火性及び遮熱性を評価したところ、耐火性(外形の変形の抑制)は向上していたが、期待した程度の遮熱性(熱膨張性黒鉛を含まず、亜リン酸アルミニウムだけを含む場合よりも優れる遮熱性)が得られなかった。この原因をさらに鋭意検討したところ、ポリ塩化ビニル及び可塑剤の合計量に対する難燃剤の合計の含有量を所定の範囲にするとともに、可塑剤としてリン酸エステル系可塑剤を採用することにより、充分な遮熱性も得られることを見出し、本発明を完成した。本発明は次の態様を有する。
[1] ポリ塩化ビニルと、リン酸エステル系可塑剤と、亜リン酸アルミニウムと、熱膨張性黒鉛と、を含むポリ塩化ビニル組成物であって、
前記ポリ塩化ビニルの平均重合度が1300以上4000以下であり、
前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記リン酸エステル系可塑剤が5質量部以上150質量部以下で含まれ、
前記ポリ塩化ビニルと前記リン酸エステル系可塑剤の合計の100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムと前記熱膨張性黒鉛の合計が50質量部以上200質量部以下で含まれる、ポリ塩化ビニル組成物。
[2] 前記リン酸エステル系可塑剤の100質量部に対して前記熱膨張性黒鉛が60質量部以上250質量部以下で含まれる、[1]に記載のポリ塩化ビニル組成物。
[3] [1]又は[2]に記載のポリ塩化ビニル組成物によって形成された、耐火シート。
本発明のポリ塩化ビニル組成物によれば、高熱に暴露された際の耐火性及び遮熱性に優れた耐火シートを形成することができる。
≪ポリ塩化ビニル組成物≫
本発明の第一態様は、ポリ塩化ビニルと、リン酸エステル系可塑剤と、亜リン酸アルミニウムと、熱膨張性黒鉛と、を含むポリ塩化ビニル組成物であって、前記ポリ塩化ビニルの平均重合度が1300以上4000以下であり、前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記リン酸エステル系可塑剤が5質量部以上150質量部以下で含まれ、前記ポリ塩化ビニルと前記リン酸エステル系可塑剤の合計の100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムと前記熱膨張性黒鉛の合計が50質量部以上200質量部以下で含まれる、ポリ塩化ビニル組成物である。
以下、亜リン酸アルミニウムと熱膨張性黒鉛をまとめて難燃剤ということがある。また、ポリ塩化ビニルをPVCの略称で記載し、ポリ塩化ビニル組成物をPVC組成物と記載することがある。また、「~」で示す数値範囲の下限値及び上限値はその数値範囲に含まれるものとする。
本態様のPVCの平均重合度は、1300~4000であり、1700~3000が好ましく、2000~2500がより好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、PVC組成物の粘度が高まるとともに、難燃剤の分散性も向上し、シート状に成形することが容易になる。
上記範囲の上限値以下であると、PVC組成物の流動性が高まるとともに、難燃剤の分散性も向上し、シート状に成形することが容易になる。
ここで、PVCの平均重合度は、JIS K6720-2に準拠して測定される平均重合度である。平均重合度はK値から換算して求められる。K値は、JIS K7367-2(ISO1628-2)に準拠して測定された値である。
本態様のPVCは、塩化ビニルの単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。PVCに共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル、メタクリル酸又はそのエステル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
本態様のPVCは、塩化ビニル単独重合体であることが好ましい。
本態様のPVCは、塩素化された塩素化塩化ビニル樹脂であってもよい。
本態様のPVC組成物の総質量に対するPVCの含有量は、10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
上記範囲であると、PVC組成物中の難燃剤の分散性が高まり、PVC組成物をシート状に成形することがより容易になる。
本態様のPVC組成物には、PVC以外の樹脂が含まれていてもよいが、本発明の効果を充分に得る観点から、PVC100質量部に対するPVC以外の樹脂の含有量は、50質量部以下であれば添加してもよい。
PVC以外の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル(EVA)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
本態様のリン酸エステル系可塑剤はリン酸エステル構造を有する公知の可塑剤である。ここで、リン酸エステル構造とは、リン酸(O=P(OH)3)が持つ3個の水素の全てまたは一部が有機基で置換された構造である。
好適なリン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート(TCP)、Tetra-C12-15-alkyl (propane-2,2-diylbis(4,1-phenylene)) bis(phosphite)が挙げられる。
本態様のPVC組成物に含まれるリン酸エステル系可塑剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
本態様のPVC組成物において、PVCの100質量部に対するリン酸エステル系可塑剤の含有量は、5~150質量部であり、30~120質量部が好ましく、50~100質量部がより好ましく、60~90質量部がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、PVC組成物の流動性が高まるとともに、難燃剤の分散性も向上し、シート状に成形することが容易になる。
上記範囲の上限値以下であると、PVC組成物の粘度が高まるとともに、難燃剤の分散性も向上し、シート状に成形することが容易になる。
本態様の熱膨張性黒鉛は公知の炭素材料である。熱膨張性黒鉛は200℃以上で膨張作用が起こり、火炎等の高熱に曝されると急激に膨張する性質を有することが好ましい。
公知の熱膨張性黒鉛としては、例えば、グラファイトの粉末を無機酸と強酸化剤とで処理することにより、グラファイト層間化合物を生成させたものが挙げられる。ここで、グラファイトとしては、例えば、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等が挙げられる。無機酸としては、例えば、濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては、例えば、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記処理で得られた熱膨張性黒鉛は、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和されていてもよい。市販品の熱膨張性黒鉛を使用することができる。
本態様のPVC組成物の総質量に対する熱膨張性黒鉛の含有量は、10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
上記範囲であると、PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた耐火シートの耐火性及び遮熱性が高まる。
本態様のPVC組成物において、PVCの100質量部に対する熱膨張性黒鉛の含有量は、5~200質量部が好ましく、50~150質量部がより好ましく、75~125質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた耐火シートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
本態様のPVC組成物において、リン酸エステル系可塑剤の100質量部に対する熱膨張性黒鉛の含有量は、60~250質量部が好ましく、80~200質量部がより好ましく、100~150質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた耐火シートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
本態様の亜リン酸アルミニウムは公知の化合物である。亜リン酸アルミニウムは400℃付近で組成変化が起こり、発泡して粉体状から多孔体に変化する性質を有することが好ましい。市販品の亜リン酸アルミニウムを使用することができる。
本態様のPVC組成物の総質量に対する亜リン酸アルミニウムの含有量は、10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
上記範囲であると、PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた耐火シートの耐火性及び遮熱性が高まる。
本態様のPVC組成物において、PVCの100質量部に対する亜リン酸アルミニウムの含有量は、5~200質量部が好ましく、50~150質量部がより好ましく、75~125質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、PVC組成物をシート状に成形することがより容易になり、得られた耐火シートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
本態様のPVC組成物において、ポリ塩化ビニルとリン酸エステル系可塑剤の合計の含有量を100質量部としたとき、この100質量部に対する、亜リン酸アルミニウムと熱膨張性黒鉛の合計の含有量は、50~200質量部であり、60~180質量部が好ましく、70~160質量部がより好ましく、80~140質量部がさらに好ましく、90~120質量部が特に好ましい。
上記範囲であると、PVC組成物をシート状に成形することが容易になるとともに、得られた耐火シートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
本態様のPVC組成物において、亜リン酸アルミニウムの含有量100質量部に対して、熱膨張性黒鉛の含有量は、50~200質量部が好ましく、70~150質量部がより好ましく、80~100質量部がさらに好ましい。
上記範囲であると、本態様のPVC組成物から得られた耐火シートの耐火性及び遮熱性のバランスが優れる。
<その他の任意成分>
本態様のPVC組成物には、必要に応じて、PVC、リン酸エステル系可塑剤、亜リン酸アルミニウム及び熱膨張性黒鉛以外の任意成分を含有していてもよい。
また、PVC樹脂に一般に使用される、安定剤、滑剤、改質剤、充填剤、着色剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で添加混合することができる。
安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、鉛白、鉛のラウレートまたはステアレート等の鉛系安定剤;ブチル錫マレエート、オクチル錫マレエート、ジ-n-アルキル錫メルカプチド、ジ-n-アルキル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ラウリルメルカプチド、ジ-オクチル錫-S, S’-ビス-(イソオクチル-メルカプトアセテート) 、ジブチル錫ビス-イソオクチルチオグリコレート、ジ-(n-オクチル)錫マレエートポリマー、ジブチル錫メルカプトプロピオナート等の錫系安定剤;カルシウム、カドミウム、バリウムまたは亜鉛のラウレートまたはステアレート等の有機金属塩系安定剤および金属石けん系安定剤;アンチモンメルカプトカルボン酸塩またはエステル塩のようなアンチモン系安定剤;ホスフェート系安定剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化油系安定剤;が挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用される。
滑剤としては、例えば、低分子ワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素系滑剤;ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール系滑剤;ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド等の脂肪族アミド系滑剤;モノステアリン酸グリセリン、ジアミノステアリン酸エチル、ブチルステアレート等の脂肪酸エステル系滑剤;または金属石けん、シリコーンオイル等が挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用される。
改質剤としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレン、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリルゴム等の耐衝撃改良剤;ポリメチルメタクリレート等のゲル化促進剤;アクリロニトリル・ブタジエン・α-メチルスチレン共重合体、メチルメタクリレート・アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用される。
<PVC組成物の製造方法>
本態様のPVC組成物は、常法に従い、各成分を混合することにより得られる。
まず、PVC、リン酸エステル系可塑剤及び任意成分を配合したPVC配合物を得て、次に、PVC配合物に亜リン酸アルミニウム及び熱膨張性黒鉛を添加して混練すると、難燃剤の分散性が優れるので好ましい。
≪耐火シート≫
本発明の第二態様は、第一態様のPVC組成物によって形成された耐火シートである。
本態様の耐火シートの縦×横×厚さのサイズは特に制限されず、例えば、縦が1~100cm、横が1~100cm、厚さが1~10mmのサイズが挙げられる。
本態様の耐火シートは、1層であってもよいし、複数の耐火シートが積層された積層シートであってもよい。積層シートを構成する各耐火シートの組成は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本態様の耐火シートには、任意の樹脂含有層が積層されていてもよい。
<耐火シートの製造方法>
第一態様のPVC組成物を、常法に従い、一軸押出機、二軸押出機等の押出機で溶融押出成形や、カレンダー成形・プレス成形することにより、シート状に成形された耐火シートを得ることができる。
PVC組成物の溶融温度は、PVCが焼けず、熱膨張性黒鉛が膨張しない程度に低くする必要があり、130~170℃が好ましい。
<耐火シートの用途>
本態様の耐火シートの用途は特に制限されず、例えば、電池や種々の電源装置等の発火性の物品を遮蔽したり、保存したり、梱包したりする用途に好適である。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例だけに限定されるものではない。
表1に記載の原材料の詳細は次の通りである。
「TK-1000」:信越化学工業社製、平均重合度1000のポリ塩化ビニル
「TK-2500HS」:信越化学工業社製、平均重合度2500のポリ塩化ビニル
「S-5000」:信越化学工業社製、平均重合度5000のポリ塩化ビニル
「レオフォス65」:味の素ファインテクノ社製、リン酸トリアリールイソプロピル化物
「DINP」:新日本理化社製、フタル酸ジイソノニル
「W-100EL」:DIC社製
「アデカスタブNPS-309」:ADEKA社製
「アデカスタブ1500」:ADEKA社製、Tetra-C12-15-alkyl (propane-2,2-diylbis(4,1-phenylene)) bis(phosphite)
「CS-6」:日東化成工業社製、ステアリン酸カルシウム
「NSF」:太平化学産業社製
「膨張黒鉛 N9950300」:西村黒鉛社製
[PVC組成物の作成]
表1に記載の量(質量部)で各原材料を二軸式混練機で混合したPVC組成物を得た。例えば実施例1において、PVCの100質量部に対してリン酸エステル系可塑剤の75質量部とその他の添加剤約5質量部を配合し、さらに亜リン酸アルミニウム90.05質量部と、熱膨張性黒鉛90.05質量部を配合して目的のPVC組成物を得た。
[耐火シートの作成]
(実施例1)
実施例1のPVC組成物80gをラボプラストミル(東洋精機社製:型番:4C150、ローター:R30)に投入し、150℃設定で30回転/分にて7分混錬した。得られた混練物を1分以内に150℃設定の6インチロールにて3分素通して、約1mm厚の耐火シートを作成した。この耐火シートを10cm×5cmのサイズに裁断して試験片とした。
(比較例1)
比較例1のPVC組成物を用い、実施例1と同様に耐火シートの作成を試みたが、PVC組成物の流動性が過度に高く、シート状に成形することができなかった。
(比較例2)
比較例2のPVC組成物を用い、実施例1と同様に耐火シートの作成を試みたが、PVC組成物のまとまりが悪く、粘度が過度に高く、シート状に成形することができなかった。
(比較例3~5)
比較例3~5のPVC組成物を用い、実施例1と同様に耐火シートを作成し、試験片を得た。
(比較例6)
比較例6のPVC組成物を用い、実施例1と同様に耐火シートの作成を試みたが、PVC組成物のまとまりが悪く、辛うじて厚いシート(板)に成形できても、実施例1と同じ厚さに薄くすることができなかった。
[耐火性と遮熱性の評価]
各例で作成した軟質PVCシートの試験片を、水平に固定して900℃に加熱した金網に載せ、120秒間加熱した。この際の試験片の上面の温度変化をサーモグラフィーで測定した。
(実施例1)
試験片の上面の最高温度は350℃であった。また、反りや細り(収縮)などの外形の変化は小さかった。
(比較例3)
試験片の上面の最高温度は405℃に達し、その後で発火した。
(比較例4)
試験片は、加熱後直ぐに外形が大きく変形したので加熱を中止した。
(比較例5)
試験片の上面の最高温度は400℃に達した。
Figure 0007374047000001
<考察>
実施例1の耐火シートは、優れた遮熱性を示し、外形の変形も少なく耐火性も優れていた。
比較例1のPVC組成物は、PVCの平均重合度が小さいため、PVC組成物がシート成形に適した状態にならなかった。
比較例2のPVC組成物は、PVCの平均重合度が大きいため、PVC組成物がシート成形に適した状態にならなかった。
比較例3の耐火シートは、リン酸エステル系可塑剤を含まず、フタル酸系可塑剤を含んでいたので、遮熱性に劣り、発火した。
比較例4の耐火シートは、難燃剤の総量が少ないため、加熱後直ぐに外形が激しく変形し、遮熱性を発揮することはできなかった。
比較例5の耐火シートは、シート成形可能な範囲で多量の亜リン酸アルミニウムを含むが、熱膨張性黒鉛を含まないため、遮熱性が劣っていた。
比較例6のPVC組成物は、難燃剤の総量が多いため、所望の厚さのシートを得るためにプレスすることができなかった。
以上の結果から、本発明のPVC組成物は、所望の厚さでシートを成形することができ、得られた耐火シートは、耐火性及び遮熱性が共に優れていることが明らかである。

Claims (7)

  1. ポリ塩化ビニルと、リン酸エステル系可塑剤と、亜リン酸アルミニウムと、熱膨張性黒鉛と、を含むポリ塩化ビニル組成物であって、
    前記ポリ塩化ビニルの平均重合度が1300以上4000以下であり、
    前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対して前記リン酸エステル系可塑剤が5質量部以上150質量部以下で含まれ、
    前記ポリ塩化ビニルと前記リン酸エステル系可塑剤の合計の100質量部に対して、前記亜リン酸アルミニウムと前記熱膨張性黒鉛の合計が80質量部以上120質量部以下で含まれる、ポリ塩化ビニル組成物。
  2. 前記リン酸エステル系可塑剤の100質量部に対して前記熱膨張性黒鉛が100質量部以上150質量部以下で含まれる、請求項1に記載のポリ塩化ビニル組成物。
  3. 前記ポリ塩化ビニルの100質量部に対する前記亜リン酸アルミニウムの含有量が75~150質量部である、請求項2に記載のポリ塩化ビニル組成物。
  4. 前記ポリ塩化ビニル組成物の総質量に対する前記亜リン酸アルミニウムの含有量が20~30質量%である、請求項3に記載のポリ塩化ビニル組成物。
  5. 前記ポリ塩化ビニル組成物の総質量に対する前記熱膨張性黒鉛の含有量が20~30質量%である、請求項4に記載のポリ塩化ビニル組成物。
  6. 前記ポリ塩化ビニル組成物の総質量に対する前記ポリ塩化ビニルの含有量が20~30質量%である、請求項5に記載のポリ塩化ビニル組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリ塩化ビニル組成物によって形成された、耐火シート。
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