以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の部分展開図、図2は、図1のY2-Y2線に沿ったトレッド部の断面図である。本発明の実施形態に係るゴム製の空気入りタイヤ(以下、「タイヤ」という)1は、図示されていないが、一対のビードコア間にカーカスを掛け渡し、カーカスの中間部の外周側に巻き付けたベルトによって補強し、ベルトのタイヤ径方向外側にトレッド部2を有する構成となっている。
図1及び図2に示すように、タイヤ1は、トレッド部2に、タイヤ周方向CDに延びる複数の主溝3、具体的には4つの主溝3が形成されている。主溝3はそれぞれ、タイヤ周方向全体に亘って直線状に延び、トレッド部2のタイヤ径方向外面で接地面であるトレッド面2aからタイヤ径方向RD内側に窪んでいる。
タイヤ1は、車両への装着の向きが指定されている。トレッド部2には、タイヤ1の車両装着時に車幅方向外側(OUT)から車幅方向内側(IN)に主溝3a,3b,3c,3dが順に形成されている。主溝3a,3bは、タイヤ赤道線であるタイヤ中心線CLより車幅方向外側に形成され、主溝3c,3dは、タイヤ中心線CLより車幅方向内側に形成されている。
トレッド部2には、4つの主溝3a,3b,3c,3dのうちタイヤ幅方向WD両側の一対の主溝3a,3dのタイヤ幅方向外側に形成される両側のショルダ陸部4と、タイヤ幅方向WD両側の一対の主溝3a,3dのタイヤ幅方向内側に形成されるセンタ陸部10とが設けられている。
両側のショルダ陸部4は、車幅方向外側におけるタイヤ幅方向最外側の主溝3aの車幅方向外側に形成される外側ショルダリブ5と、車幅方向内側におけるタイヤ幅方向最外側の主溝3dの車幅方向内側に形成される内側ショルダリブ6とを備えている。外側ショルダリブ5は、主溝3aとトレッド部2の車幅方向外側のトレッド端2bとによって画定され、内側ショルダリブ6は、主溝3dとトレッド部2の車幅方向内側のトレッド端2cとによって画定されている。
外側ショルダリブ5は、タイヤ周方向CD全体に亘ってタイヤ周方向CDに直線状に延びている。外側ショルダリブ5には、主溝3aからタイヤ幅方向外側に且つタイヤ周方向他方側であるタイヤ回転方向TRと反対方向(以下、「反タイヤ回転方向」という)に延びる第1横溝5a及び第2横溝5bが形成されている。第1横溝5a及び第2横溝5bは、トレッド面2aからタイヤ径方向内側に窪んでいる。
第1横溝5aは、タイヤ周方向CDに略等間隔に複数配置されている。第1横溝5aは、反タイヤ回転方向に凸状に湾曲して形成されている。2つの第1横溝5aの間にそれぞれ、1つの第2横溝5bが配置されている。第2横溝5bは、反タイヤ回転方向に凸状に湾曲して形成されている。
外側ショルダリブ5には、タイヤ周方向CDに延びる副溝7が形成されている。副溝7は、タイヤ周方向CD全体に亘って直線状に延び、トレッド面2aからタイヤ径方向内側に窪んでいる。副溝7は、主溝3より溝幅及び溝深さが小さく形成されている。
第1横溝5aは、副溝7によって分断されている。第2横溝5bは、タイヤ幅方向WDに分断され、タイヤ幅方向WDにおける外側部分5b1と内側部分5b2とを備えている。外側部分5b1及び内側部分5b2は、副溝7よりタイヤ幅方向外側及びタイヤ幅方向内側にそれぞれ配置されている。なお、外側ショルダリブ5に副溝7を形成しないようにしてもよい。
内側ショルダリブ6は、タイヤ周方向CD全体に亘ってタイヤ周方向CDに直線状に延びている。内側ショルダリブ6には、主溝3dからタイヤ幅方向外側に且つタイヤ周方向一方側であるタイヤ回転方向TRに延びる第1横溝6a及び第2横溝6bが形成されている。第1横溝6a及び第2横溝6bは、トレッド面2aからタイヤ径方向内側に窪んでいる。
第1横溝6aは、タイヤ周方向CDに略等間隔に複数配置されている。第1横溝6aは、タイヤ回転方向TRに凸状に湾曲して形成されている。2つの第1横溝6aの間にそれぞれ、2つの第2横溝6bが配置されている。第2横溝6bは、タイヤ回転方向TRに凸状に湾曲して形成されている。
図3は、図1に示すトレッド部の要部拡大図である。図3に示すように、センタ陸部10は、タイヤ1の車両装着時に、複数の主溝3のうちタイヤ幅方向WDに隣接して配置される2つの主溝3によって画定される複数のセンタリブ10を備えている。
タイヤ1では、センタ陸部10は、2つの主溝3a,3bによって画定される第1センタリブ10aと、2つの主溝3b,3cによって画定される第2センタリブ10bと、2つの主溝3c,3dによって画定される第3センタリブ10cとを備えている。
第2センタリブ10bは、タイヤ中心線CLを含むタイヤ幅方向中央側に配置され、第1センタリブ10a及び第3センタリブ10cは、第2センタリブ10bよりタイヤ幅方向外側に配置されている。タイヤ1の車両装着時に、第1、第2及び第3センタリブ10a,10b,10cは、車幅方向外側から車幅方向内側に順に配置され、第2センタリブ10bは、第1センタリブ10aの車幅方向内側且つ車幅方向中央側に配置される。
図4は、図3に示す第1センタリブの要部拡大図である。図5は、図4に示す第1センタリブの第1横溝近傍の側面図及び断面図であり、図5(a)は、図4のY5a方向から見た第1センタリブの側面図、図5(b)は、図4のY5b-Y5b線に沿った第1センタリブの断面図である。図6は、図4に示す第1センタリブの第2横溝近傍の側面図及び断面図であり、図6(a)は、図4のY6a方向から見た第1センタリブの側面図、図6(b)は、図4のY6b-Y6b線に沿った第1センタリブの断面図である。
図4に示すように、第1センタリブ10aは、2つの主溝3a,3bの一方の第1主溝3aと他方の第2主溝3bとによって画定され、タイヤ周方向CDに直線状に延びている。第1センタリブ10aには、第1主溝3aから第2主溝3b側にタイヤ回転方向TRに曲線状に延びる第1横溝11と、第2主溝3bから第1主溝3a側に反タイヤ回転方向に曲線状に延びる第2横溝12とが形成されている。
第1横溝11は、第1主溝3aから第2主溝3b側に向かうにつれてタイヤ回転方向TRに延び、タイヤ回転方向TRに凸状に湾曲して形成されている。第2横溝12は、第2主溝3bから第1主溝3a側に向かうにつれて反タイヤ回転方向に延び、反タイヤ回転方向に凸状に湾曲して形成されている。
第1横溝11と第2横溝12とは、第1センタリブ10aのタイヤ幅方向中心線C1近傍において離間されているが、タイヤ幅方向WDに連続するように形成されている。第1横溝11と第2横溝12とをタイヤ幅方向WDに連続して形成するようにしてもよい。
図5(a)及び図5(b)に示すように、第1横溝11は、トレッド面2aに略平行に延びる底面部11aと、底面部11aのタイヤ回転方向TR側及び反タイヤ回転方向側からそれぞれタイヤ径方向外側にトレッド面2aまで略垂直方向に延びる両側の側面部11b,11cとを備えている。
第1横溝11のタイヤ回転方向TR側の側面部11bの第1主溝3a側にトレッド面2aからタイヤ径方向内側に傾斜する第1テーパ面F11が形成されている。第1テーパ面F11によって、排水性を向上させると共に、第1センタリブ10aにおける第1主溝3aと第1横溝11とが鋭角をなす部分の剛性を向上させて操縦安定性を向上させることができる。
第1テーパ面F11は、第1横溝11の側面部11b上の頂点P11a,P11bと、第1主溝3aの側面部3a1上の頂点P11cとを通る平面によって形成されている。頂点P11aは、第1横溝11の側面部11bにおけるトレッド面2a上において第1主溝3aからタイヤ幅方向WDに所定幅W11を有する位置に設定されている。頂点P11bは、第1主溝3aと第1横溝11の側面部11bとの交線上においてトレッド面2aから第1横溝11の溝深さH10より小さい所定深さH1を有する位置に設定されている。
頂点P11cは、頂点P11aをタイヤ幅方向WDに第1主溝3aの側面部3a1に投影した投影点P11a´と、頂点P11bをタイヤ径方向RDにトレッド面2aに投影した投影点P11b´との間の所定位置に設定されている。頂点P11cは、投影点P11a´及び投影点P11b´のタイヤ周方向RDの離間距離に対する頂点P11c及び投影点P11b´のタイヤ周方向RDの離間距離の割合が三分の一以上になるように設定される。頂点P11cは好ましくは、頂点P11a及び頂点P11cの離間距離と頂点P11b及び頂点P11cの離間距離とが略等しくなるように設定される。
第1センタリブ10aでは、タイヤ幅方向WDにおける第1センタリブ10aの幅W1に対する第1テーパ面F11の幅W11の割合(W11/W1)は、15%以上30%以下に設定される。前記割合が15%未満である場合、排水性の向上効果が十分に得られにくく、前記割合が30%より大きい場合、第1センタリブ10aの剛性低下を引き起こし、操縦安定性の向上効果を十分に得られにくい。
第1横溝11の溝幅W10は、例えば0.6mmに設定され、第1横溝11の溝深さH10は、例えば6.0mmに設定される。第1テーパ面F11の頂点P11aにおけるタイヤ幅方向WDの幅W11は、例えば5.4mmに設定され、第1テーパ面F11の頂点P11bにおけるタイヤ径方向RDの深さH1は、例えば3.0mmに設定される。第1センタリブ10aのタイヤ幅方向WDの幅W1は、例えば26mmに設定される。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第2横溝12は、トレッド面2aに略平行に延びる底面部12aと、底面部12aの反タイヤ回転方向側及びタイヤ回転方向TR側からそれぞれタイヤ径方向外側にトレッド面2aまで略垂直方向に延びる両側の側面部12b,12cとを備えている。
第2横溝12の反タイヤ回転方向側の側面部12bの第2主溝3b側にトレッド面2aからタイヤ径方向内側に傾斜する第2テーパ面F12が形成されている。第2テーパ面F12によって、排水性を向上させると共に、第1センタリブ10aにおける第2主溝3bと第2横溝12とが鋭角をなす部分の剛性を向上させて操縦安定性を向上させることができる。
第2テーパ面F12は、第2横溝12の側面部12b上の頂点P12a,P12bと、第2主溝3bの側面部3b1上の頂点P12cとを通る平面によって形成されている。頂点P12aは、第2横溝12の側面部12bにおけるトレッド面2a上において第2主溝3bからタイヤ幅方向WDに所定幅W12を有する位置に設定されている。頂点P12bは、第2主溝3bと第2横溝12の側面部12bとの交線上においてトレッド面2aから第2横溝12の溝深さH10より小さい所定深さH2を有する位置に設定されている。
頂点P12cは、頂点P12aをタイヤ幅方向WDに第2主溝3bの側面部3b1に投影した投影点P12a´と、頂点P12bをタイヤ径方向RDにトレッド面2aに投影した投影点P12b´との間の所定位置に設定されている。頂点P12cは、投影点P12a´及び投影点P12b´のタイヤ周方向RDの離間距離に対する頂点P12c及び投影点P12b´のタイヤ周方向RDの離間距離の割合が三分の一以上になるように設定される。頂点P12cは好ましくは、頂点P12a及び頂点P12cの離間距離と頂点P12b及び頂点P12cの離間距離とが略等しくなるように設定される。
第1センタリブ10aでは、タイヤ幅方向WDにおける第1センタリブ10aの幅W1に対する第2テーパ面F12の幅W12の割合(W12/W1)は、15%以上30%以下に設定される。前記割合が15%未満である場合、排水性の向上効果が十分に得られにくく、前記割合が30%より大きい場合、第1センタリブ10aの剛性低下を引き起こし、操縦安定性の向上効果を十分に得られにくい。
第2横溝12の溝幅W10は、例えば0.6mmに設定され、第2横溝12の溝深さH10は、例えば6.0mmに設定される。第2テーパ面F12の頂点P12aにおけるタイヤ幅方向WDの幅W12は、例えば6.1mmに設定され、第2テーパ面F12の頂点P12bにおけるタイヤ径方向RDの深さH2は、例えば3.0mmに設定される。
第1センタリブ10aには、タイヤ周方向CDに延びる副溝8が形成されている。副溝8は、タイヤ周方向CD全体に亘って直線状に延び、トレッド面2aからタイヤ径方向内側に窪んでいる。副溝8は、主溝3より溝幅及び溝深さが小さく形成されている。第1横溝11は、副溝8に開口して形成され、第2横溝12は、副溝8と離間して形成されている。
第1センタリブ10aには、複数の第1横溝11と複数の第2横溝12とが形成されている。第1横溝11及び第2横溝12はそれぞれ、タイヤ周方向RDに略等間隔に配置されている。第1センタリブ10aにはまた、タイヤ周方向RDに2つの第1横溝11の間に第3横溝13が形成され、タイヤ周方向RDに2つの第2横溝12の間に第4横溝14が形成されている。
図7は、図3に示す第2センタリブの要部拡大図である。図8は、図7に示す第2センタリブの第1横溝近傍の側面図及び断面図であり、図8(a)は、図7のY8a方向から見た第2センタリブの側面図、図8(b)は、図7のY8b-Y8b線に沿った第2センタリブの断面図である。図9は、図7に示す第2センタリブの第2横溝近傍の側面図及び断面図であり、図9(a)は、図7のY9a方向から見た第2センタリブの側面図、図9(b)は、図7のY9b-Y9b線に沿った第2センタリブの断面図である。
図7に示すように、第2センタリブ10bは、2つの主溝3b,3cの一方の第1主溝3bと他方の第2主溝3cとによって画定され、タイヤ周方向CDに直線状に延びている。第2センタリブ10bには、第1主溝3bから第2主溝3c側にタイヤ回転方向TRに曲線状に延びる第1横溝21と、第2主溝3cから第1主溝3b側に反タイヤ回転方向に曲線状に延びる第2横溝22とが形成されている。
第1横溝21は、第1主溝3bから第2主溝3c側に向かうにつれてタイヤ回転方向TRに延び、反タイヤ回転方向に凸状に湾曲して形成されている。第2横溝22は、第2主溝3cから第1主溝3b側に向かうにつれて反タイヤ回転方向に延び、反タイヤ回転方向に凸状に湾曲して形成されている。
第1横溝21と第2横溝22とは、第2センタリブ10bのタイヤ幅方向中心線C2近傍において連続して設けられ、タイヤ幅方向WDに連続するように形成されている。第1横溝21と第2横溝22とをタイヤ幅方向WDに離間して形成するようにしてもよい。
図8(a)及び図8(b)に示すように、第1横溝21は、トレッド面2aに略平行に延びる底面部21aと、底面部21aのタイヤ回転方向TR側及び反タイヤ回転方向側からそれぞれタイヤ径方向外側にトレッド面2aまで略垂直方向に延びる両側の側面部21b,21cとを備えている。
第1横溝21のタイヤ回転方向TR側の側面部21bの第2主溝3b側にトレッド面2aからタイヤ径方向内側に傾斜する第1テーパ面F21が形成されている。第1テーパ面F21によって、排水性を向上させると共に、第2センタリブ10bにおける第1主溝3bと第1横溝21とが鋭角をなす部分の剛性を向上させて操縦安定性を向上させることができる。
第1テーパ面F21は、第1横溝21の側面部21b上の頂点P21a,P21bと、第1主溝3bの側面部3b2上の頂点P21cとを通る平面によって形成されている。頂点P21aは、第1横溝21の側面部21bにおけるトレッド面2a上において第1主溝3bからタイヤ幅方向WDに所定幅W21を有する位置に設定されている。頂点P21bは、第1主溝3bと第1横溝21の側面部21bとの交線上においてトレッド面2aから第1横溝21の溝深さH20より小さい所定深さH3を有する位置に設定されている。
頂点P21cは、頂点P21aをタイヤ幅方向WDに第1主溝3bの側面部3b2に投影した投影点P21a´と、頂点P21bをタイヤ径方向RDにトレッド面2aに投影した投影点P21b´との間の所定位置に設定されている。頂点P21cは、投影点P21a´及び投影点P21b´のタイヤ周方向RDの離間距離に対する頂点P21c及び投影点P21b´のタイヤ周方向RDの離間距離の割合が三分の一以上になるように設定される。頂点P21cは好ましくは、頂点P21a及び頂点P21cの離間距離と頂点P21b及び頂点P21cの離間距離とが略等しくなるように設定される。
第2センタリブ10bでは、タイヤ幅方向WDにおける第2センタリブ10bの幅W2に対する第1テーパ面F21の幅W21の割合(W21/W2)は、15%以上30%以下に設定される。前記割合が15%未満である場合、排水性の向上効果が十分に得られにくく、前記割合が30%より大きい場合、第2センタリブ10bの剛性低下を引き起こし、操縦安定性の向上効果を十分に得られにくい。
第1横溝21の溝幅W20は、例えば0.6mmに設定され、第1横溝21の溝深さH20は、例えば6.0mmに設定される。第1テーパ面F21の頂点P21aにおけるタイヤ幅方向WDの幅W21は、例えば5.4mmに設定され、第1テーパ面F21の頂点P21bにおけるタイヤ径方向RDの深さH3は、例えば3.0mmに設定される。第2センタリブ10bのタイヤ幅方向WDの幅W2は、例えば26mmに設定される。
図9(a)及び図9(b)に示すように、第2横溝22は、トレッド面2aに略平行に延びる底面部22aと、底面部22aの反タイヤ回転方向側及びタイヤ回転方向TR側からそれぞれタイヤ径方向外側にトレッド面2aまで略垂直方向に延びる両側の側面部22b,22cとを備えている。
第2横溝22の反タイヤ回転方向側の側面部22bの第2主溝3c側にトレッド面2aからタイヤ径方向内側に傾斜する第2テーパ面F22が形成されている。第2テーパ面F22によって、排水性を向上させると共に、第2センタリブ10bにおける第2主溝3cと第2横溝22とが鋭角をなす部分の剛性を向上させて操縦安定性を向上させることができる。
第2テーパ面F22は、第2横溝22の側面部22b上の頂点P22a,P22bと、第2主溝3cの側面部3c1上の頂点P22cとを通る平面によって形成されている。頂点P22aは、第2横溝22の側面部22bにおけるトレッド面2a上において第2主溝3cからタイヤ幅方向WDに所定幅W22を有する位置に設定されている。頂点P22bは、第2主溝3cと第2横溝22の側面部22bとの交線上においてトレッド面2aから第2横溝22の溝深さH20より小さい所定深さH4を有する位置に設定されている。
頂点P22cは、頂点P22aをタイヤ幅方向WDに第2主溝3cの側面部3c1に投影した投影点P22a´と、頂点P22bをタイヤ径方向RDにトレッド面2aに投影した投影点P22b´との間の所定位置に設定されている。頂点P22cは、投影点P22a´及び投影点P22b´のタイヤ周方向RDの離間距離に対する頂点P22c及び投影点P22b´のタイヤ周方向RDの離間距離の割合が三分の一以上になるように設定される。頂点P22cは好ましくは、頂点P22a及び頂点P22cの離間距離と頂点P22b及び頂点P22cの離間距離とが略等しくなるように設定される。
第2センタリブ10bでは、タイヤ幅方向WDにおける第2センタリブ10bの幅W2に対する第2テーパ面F22の幅W22の割合(W22/W2)は、15%以上30%以下に設定される。前記割合が15%未満である場合、排水性の向上効果が十分に得られにくく、前記割合が30%より大きい場合、第2センタリブ10bの剛性低下を引き起こし、操縦安定性の向上効果を十分に得られにくい。
第2横溝22の溝幅W20は、例えば0.6mmに設定され、第2横溝22の溝深さH20は、例えば6.0mmに設定される。第2テーパ面F22の頂点P22aにおけるタイヤ幅方向WDの幅W22は、例えば6.2mmに設定され、第2テーパ面F22の頂点P22bにおけるタイヤ径方向RDの深さH4は、例えば4.0mmに設定される。
第2センタリブ10bに形成される第1横溝21及び第2横溝22は、第1センタリブ10aに形成される第1横溝11及び第2横溝12とタイヤ幅方向WDに主溝3bを介して連続するように形成されている。また、第1センタリブ10aに形成される第1横溝11及び第2横溝12は、外側ショルダリブ5に形成される第1横溝5aとタイヤ幅方向WDに主溝3aを介して連続するように形成されている。
第3センタリブ10cは、図3に示すように、タイヤ周方向CD全体に亘ってタイヤ周方向CDに直線状に延びている。第3センタリブ10cには、主溝3dからタイヤ幅方向内側に且つ反タイヤ回転方向に延びて第3センタリブ10c内で終端する第1横溝31及び第2横溝32が形成されている。第1横溝31及び第2横溝32は、トレッド面2aからタイヤ径方向内側に窪んでいる。
第1横溝31は、タイヤ周方向CDに略等間隔に複数配置されている。第1横溝31は、タイヤ回転方向TRに凸状に湾曲して形成されている。2つの第1横溝31の間にそれぞれ、2つの第2横溝32が配置されている。第2横溝32は、第1横溝31よりタイヤ幅方向WDの長さが短く形成されている。
タイヤ1において、ショルダ陸部4及びセンタ陸部10に、トレッド面2aにおける主溝3側に主溝3に沿って延びる傾斜面を設けることも可能である。例えば、図2に二点鎖線で示すように、第1センタリブ10aの主溝3b側に主溝3bに沿って延びる傾斜面9aを設けるようにしてもよい。
また、タイヤ1において、第1及び第2センタリブ10a,10bに形成される第1横溝11,21が、主溝3からタイヤ回転方向TRに延び、第1及び第2センタリブ10a,10bに形成される第2横溝12,22が、主溝3から反タイヤ回転方向に延び、外側ショルダリブ5に形成される第1横溝5aが、主溝3から反タイヤ回転方向に延びるようにすることも可能である。
このように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、トレッド部2に設けられたセンタ陸部10は、2つの主溝3によって画定されるセンタリブ10a,10bを備える。センタリブ10a,10bに、第1主溝3から第2主溝3側にタイヤ周方向一方側に延びる第1横溝11,21と、第2主溝3から第1主溝3側にタイヤ周方向他方側に延びる第2横溝12,22とが形成される。第1横溝11,21と第2横溝12,22とはタイヤ幅方向WDに連続するように形成される。第1横溝11,21のタイヤ周方向一方側の側面部11b,21bの第1主溝3側に第1テーパ面F11,F21が設けられ、第2横溝12,22のタイヤ周方向他方側の側面部12b,22bの第2主溝3側に第2テーパ面F12,F22が設けられる。
これにより、第1主溝3及び第2主溝3によって画定されるセンタリブ10a,10bに、第1主溝3からタイヤ周方向一方側に延びる第1横溝11,21と第2主溝3からタイヤ周方向他方側に延びる第2横溝12,22とがタイヤ幅方向WDに連続するように形成されることにより、第1横溝11,21と第2横溝12,22とが連続するように形成されない場合に比して、センタリブ10a,10bにおける排水性を向上させることができる。
第1主溝3からタイヤ周方向一方側に延びて第1主溝3と鋭角をなす第1横溝11,21の側面部11b,21bの第1主溝3側に第1テーパ面F11,F21が設けられ、第2主溝3からタイヤ周方向他方側に延びて第2主溝3と鋭角をなす第2横溝12,22の側面部12b,22bの第2主溝3側に第2テーパ面F12,F22が設けられるので、第1テーパ面及び第2テーパ面が設けられない場合に比して、排水性を向上させることができると共に、センタリブ10a,10bにおいて第1主溝3と第1横溝11,21とが鋭角をなす部分及び第2主溝3と第2横溝12,22とが鋭角をなす部分の剛性を向上させて操縦安定性を向上させることができる。したがって、排水性及び操縦安定性の向上を図ることができる。
また、第1主溝3と鋭角をなす第1横溝11,21の側面部11b,21bの第1主溝3側に第1テーパ面F11,F21が設けられ、第2主溝3と鋭角をなす第2横溝12,22の側面部12b,22bの第2主溝3側に第2テーパ面F12,F22が設けられるので、第1テーパ面F11,F21が設けられた第1横溝11,21と第2テーパ面F12,F22が設けられた第2横溝12,22とがタイヤ幅方向WDにほぼ点対称に配置される美観を有し、外観性を向上させることができる。
また、センタリブ10aは、車両装着時に車幅方向外側に配置される第1センタリブ10aを有し、第1横溝11及び第2横溝12は、第1センタリブ10aに形成される。これにより、車両の旋回時に接地圧が大きくなり得る車幅方向外側に配置される第1センタリブ10aに、第1横溝11及び第2横溝12が形成されるので、車両の旋回時における排水性を向上させると共に操縦安定性を向上させることができる。
また、センタリブ10a,10bは、車両装着時に車幅方向外側に配置される第1センタリブ10aと第1センタリブ10aの車幅方向内側且つ車幅方向中央側に配置される第2センタリブ10bとを有し、第1横溝21及び第2横溝22は、第2センタリブ10bに形成される。これにより、第1センタリブ10aより車両の直進時に接地圧が大きくなり得る車幅方向中央側に配置される第2センタリブ10bに、第1横溝21及び第2横溝22が形成されるので、車両の直進時における排水性を向上させると共に操縦安定性を向上させることができる。
また、第1横溝11,21及び第2横溝12,22は、第1センタリブ10aに形成されると共に第2センタリブ10bに形成され、第1センタリブ10aの第1横溝11及び第2横溝12と、第2センタリブ10bの第1横溝21及び第2横溝22とは、タイヤ幅方向WDに連続するように形成される。これにより、第1センタリブ10a及び第2センタリブ10bに形成された第1横溝11,21及び第2横溝12,22によって、車両の旋回時及び直進時における排水性及び操縦安定性を向上させることができる。第1センタリブ10aの第1横溝11及び第2横溝12と第2センタリブ10bの第1横溝21及び第2横溝22とは、タイヤ幅方向WDに連続するように形成されるので、排水性をさらに向上させることができる。
また、タイヤ幅方向WDにおけるセンタリブ10a,10bの幅に対する第1テーパ面F11,F21及び第2テーパ面F12,F22のそれぞれの幅の割合は、15%以上30%以下である。これにより、タイヤ幅方向WDにおけるセンタリブ10a,10bの幅に対する第1テーパ面F11,F21及び第2テーパ面F12,F22の幅の割合が適度に設定されるので、空気入りタイヤ1の排水性及び操縦安定性を有効に向上させることができる。前記割合が15%未満である場合、排水性の向上効果が十分に得られにくい。前記割合が30%より大きい場合、センタリブ10a,10bの剛性低下を引き起こし、操縦安定性の向上効果を十分に得られにくい。
タイヤ1において、トレッド部2のセンタリブ10a,10bに形成される第1横溝11,21及び第2横溝12,22を、センタリブ10a、10bのタイヤ幅方向中心線C1、C2に対して点対称に形成することも可能である。第1センタリブ10aに形成される第1横溝11及び第2横溝12を、第1センタリブ10aのタイヤ幅方向WDに点対称に形成したり、第2センタリブ10bに形成される第1横溝21及び第2横溝22を、第2センタリブ10bのタイヤ幅方向WDに点対称に形成したりすることも可能である。
このように、第1横溝11,21と第2横溝12,22とは、センタリブ10a,10bのタイヤ幅方向中心線C1,C2に対して点対称に形成されることにより、センタリブ10a,10bのタイヤ幅方向中心線C1,C2に対して点対称に形成される第1横溝11,21及び第2横溝12,22によって、排水性及び操縦安定性の向上を有効に図ると共に外観性の向上を有効に図ることができる。
本実施形態では、トレッド部2に4つの主溝3が形成され、センタ陸部10は第1、第2及び第3センタリブ10a,10b,10cを有しているが、トレッド部2に3つの主溝を形成してセンタ陸部10が第1及び第2センタリブを有する場合や、トレッド部2に5つ以上の主溝を形成してセンタ陸部10が少なくとも第1及び第2センタリブを有する場合についても同様に適用可能である。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。