JP5865071B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに係り、特には、タイヤ周方向の複数形成されたトレッドパターンを有する空気入りタイヤに関する。
通常、空気入りタイヤのコーナリング時において、空気入りタイヤの接地圧は、車両内側よりも車両外側の接地圧が高くなる。そこで、コーナリング性能を向上させるために、トレッドのタイヤ装着外側の剛性を高くすることが求められている。一方、ウエット路面走行時における排水性についても考慮する必要がある。このため、特許文献1の空気入りタイヤでは、タイヤ主溝よりもタイヤ幅方向外側(タイヤ装着外側)に、タイヤ主溝よりも溝幅の狭い周方向細溝を形成し、タイヤ主溝と周方向細溝とが横溝で連結されて排水性が確保されている。
しかしながら、横溝によってタイヤ主溝と周方向細溝の間の陸部が分断されるため、当該陸部の剛性の低下が懸念される。
特開2010−58781号
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであって、タイヤ装着外側の剛性を確保しつつ、ウエット性能を向上させた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る空気入りタイヤは、トレッド部に形成され、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向主溝と、前記複数本の周方向主溝よりも車両装着時におけるタイヤ装着外側に形成され、タイヤ周方向に陸部の連続する外側リブと、前記複数本の周方向主溝のうち車両装着時における最もタイヤ装着外側に形成された最外側周方向主溝から前記外側リブへ向かって延出され、タイヤ装着外側のタイヤ接地端よりも前記最外側周方向主溝側で終端するラグ溝と、前記ラグ溝の溝底の前記最外側周方向主溝側に形成され、前記ラグ溝の前記外側リブ側よりも溝底が浅い溝底上部と、を備え、前記外側リブに設けられたすべてのラグ溝がタイヤ装着外側のタイヤ接地端よりも前記最外側周方向主溝側で終端する。
請求項1の空気入りタイヤは、トレッドにタイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向主溝が形成されている。そして、車両装着時におけるタイヤ外側に外側リブが形成されている。外側リブでは、ラグ溝よりもタイヤ接地端側でタイヤ周方向に陸部が連続しており、剛性が確保されている。
なお、ここでは、タイヤを車両に装着した時のタイヤ幅方向の内側(車内側)を「タイヤ装着内側」といい、タイヤを車両に装着した時のタイヤ幅方向の外側(車内側)を「タイヤ装着外側」という。また、陸部は、トレッド部において溝により区画された部分であり、リブ及びブロックを含むものである。
一方、複数本の周方向主溝のうちタイヤを車両に装着した時における最も車両外側に形成された最外側周方向主溝からは、外側リブへ向かってラグ溝が延出されている。このラグ溝は、タイヤ接地端よりも最外側周方向主溝側で終端しているので、タイヤ接地端よりもタイヤ赤道面側に、陸部を連続させた状態の外側リブを配置することができ、効果的にコーナリング性能を向上させることができる。
また、このラグ溝には、最外側周方向主溝側に溝底上部が形成されている。溝底上部の溝底は、ラグ溝の外側リブ側よりも浅いので、当該ラグ溝の形成される陸部の剛性の低下を抑制することができる。また、ラグ溝の外側リブ側については、十分な溝深さとすることにより、外側リブ側の水をとらえて最外側周方向主溝へ流すことができ、外側リブの排水性を向上させることができる。
なお、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ装着内外が指定されている左右非対称のトレッドパターン、及び、左右対称のトレッドパターンの双方に適用することができる。
本発明の請求項2に係る空気入りタイヤは、前記ラグ溝はタイヤ幅方向に対して傾斜し、前記溝底上部は、前記ラグ溝と前記最外側周方向主溝との間に構成される角部のうち鋭角を形成する壁面側の溝底が浅く、鈍角を形成する壁面側へ向かって溝底が深くなるように傾斜している、ことを特徴とする。
ラグ溝がタイヤ幅方向に傾斜している場合には、ラグ溝と最外側周方向主溝との間に形成される角部は、タイヤ周方向の一方が鋭角になり他方が鈍角になる。そこで、鋭角側の角部の剛性を強化するため、溝底上部の鋭角側を形成する壁面側の溝底を高くする。これにより、鋭角側の剛性が高くなり角部の剛性差が緩和され、偏摩耗を抑制することができる。
本発明の請求項3に係る空気入りタイヤは、前記ラグ溝は、前記外側リブ側の端部の溝幅が、前記最外側周方向主溝側の端部の溝幅よりも広い、ことを特徴とする。
このように、ラグ溝について、外側リブ側の溝幅を広くすることにより、外側リブ側の水を多くとらえて最外側周方向主溝へ流すことができ、外側リブの排水性を向上させることができる。
本発明の請求項4に係る空気入りタイヤは、前記最外側周方向主溝よりも前記外側リブ側に、前記最外側周方向主溝よりも溝幅が狭くて溝深さが浅く、タイヤ周方向に沿って延びるショルダー周方向細溝が形成されている、ことを特徴とする。
このように、タイヤ周方向に沿って延びるショルダー周方向細溝を形成することにより、排水性をさらに向上させることができる。また、ショルダー周方向細溝は、最外側周方向主溝よりも溝幅が狭く溝深さが浅いので、トレッド部における外側リブ側におけるタイヤ剛性の低下を抑制することができる。
本発明の請求項5に係る空気入りタイヤは、前記ショルダー周方向細溝のタイヤ幅方向内側の溝壁が溝底に対して成す壁面角度は、踏み込み側が蹴り出し側よりも大きく、前記ショルダー周方向細溝のタイヤ幅方向外側の溝壁が溝底に対して成す壁面角度は、蹴り出し側が踏み込み側よりも大きいことを特徴とする。
本発明の請求項6に係る空気入りタイヤは、前記ラグ溝は、タイヤ幅方向外側に向かうに従って踏み込み側から蹴り出し側へ延在するようにタイヤ周方向に対して傾斜していることを特徴とする。
以上説明したように、請求項1に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、タイヤ装着時における車両外側の剛性を確保しつつ、排水性を向上させることができる。
請求項2に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、角部の剛性差が緩和され、偏摩耗を抑制することができる。
請求項3に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、排水性をさらに向上させることができる。
請求項4に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、外側リブ側でとらえた水をショルダー周方向細溝と最外側周方向主溝の両方を用いて排水することができ、効率よく排水を行うことができる。
第1実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。 第1実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの一部拡大平面図である。 図2のA−A線の断面図である。 図2のB−B線の断面図である。 第2実施形態に係る空気入りタイヤの図3のC−C線の位置における断面図である。 第3実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。 第4実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。 第5実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
以下、図面にしたがって、本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤ10について説明する。なお、図中における矢印INは、タイヤを車両に装着した時(以下「タイヤ装着時」という)のタイヤ幅方向の内側、(以下「タイヤ装着内側」という)を示し、矢印OUTは、タイヤ装着時のタイヤ幅方向の外側(以下「タイヤ装着外側」という)を示す。また、一点鎖線CLは、タイヤ赤道面を示す。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、一対のビード部12と、一対のサイドウォール部14と、トレッド部16とを有している。ビード部12には、少なくとも1本の環状のビードコア12Aが埋設されている。一対のビードコア12A間には、カーカス18がトロイダル状に跨るように設けられている。このカーカス18は、ビードコア12Aに対して内側から外側に巻き返されている。カーカス18のタイヤ径方向外側には、ベルト層19が設けられている。
図2には、空気入りタイヤ10のトレッド部16が示されている。なお、トレッド部16のタイヤ接地端16Eは、空気入りタイヤ10をJATMA YEAR BOOK(日本自動車タイヤ協会規格、2011年度版)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大負荷能力を負荷したときのものである。使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
本実施形態の空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道面CLを挟んで左右非対称のパターン形状とされており、図面左側がタイヤ装着内側、図面右側がタイヤ装着外側となるように装着される。なお、タイヤ回転方向は、矢印Rで示される方向となるように(図の下側が踏み込み側、上側が蹴り出し側となるように)装着されることが好ましい。タイヤ回転方向については、必ずしも前述の方向性をもって装着する必要はなく、前後方向を逆に装着してもよい。
本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッド部16には、タイヤ周方向に沿って延びる複数(本実施形態では3本)の周方向主溝としての、最内側周方向主溝20、中央周方向主溝22、及び、最外側周方向主溝24が、形成されている。
最内側周方向主溝20は、3本の周方向主溝のなかで最もタイヤ装着内側に形成されている。中央周方向主溝22は、最内側周方向主溝20よりもタイヤ装着外側で、かつタイヤ赤道面CLよりもタイヤ装着内側に形成されている。最外側周方向主溝24は、中央周方向主溝22よりもタイヤ装着外側で、かつタイヤ赤道面CLよりもタイヤ装着外側に形成されている。
最内側周方向主溝20よりもタイヤ装着内側には、内側周方向細溝26が形成されている。内側周方向細溝26は、最内側周方向主溝20よりも溝幅が狭く、かつ溝深さが浅く形成されている。
最外側周方向主溝24よりもタイヤ装着外側には、ショルダー周方向細溝28が形成されている。ショルダー周方向細溝28の溝底における溝幅W3は、最外側周方向主溝24の溝幅W0よりも狭く形成されている。また、ショルダー周方向細溝28の溝深さH3は、最外側周方向主溝24の溝深さH0よりも浅く形成されている。ショルダー周方向細溝28を構成する溝壁28A、28Bは、溝底との間の角度が90度よりも大きくなっている。したがって、ショルダー周方向細溝28は、溝底から踏面に向かって溝幅が広くなっている。溝壁28Aの壁面角度α(溝底と溝壁28との間の角度、図4参照)は、図2に示されるように、踏み込み側が蹴り出し側よりも大きく、第4リブ40の溝壁28Aとの間の稜線は、踏み込み側から蹴り出し側へ向かうにつれてタイヤ幅方向外側へ傾斜している。溝壁28Bの壁面角度β(図4参照)は、蹴り出し側が踏み込み側よりも大きく、第4リブ40の溝壁28Bとの間の稜線は、踏み込み側から蹴り出し側へ向かうにつれてタイヤ幅方向内側へ傾斜している。
なお、ショルダー周方向細溝28は、溝幅が3本の周方向主溝(最内側周方向主溝20、中央周方向主溝22、及び、最外側周方向主溝24)よりも狭く、溝深さが浅い点で、周方向主溝と区別される。
トレッド部16の内側周方向細溝26よりもショルダー側には、内側リブ30が形成されている。内側リブ30には、内側周方向細溝26に開口し、内側周方向細溝26からタイヤ装着内側のショルダー側へ向かってタイヤ幅方向に延びる一定幅の第1ラグ溝30Aが形成されている。第1ラグ溝30Aは、タイヤ装着内側のタイヤ接地端16Eよりもタイヤ赤道面CL側で終端している。また、内側リブ30には、内側周方向細溝26と離間して配置され、タイヤ幅方向に延びる一定幅の第2ラグ溝30Bが形成されている。第2ラグ溝30Bは、タイヤ接地端16Eを跨いで延出され、タイヤ周方向で、2本の第1ラグ溝30Aの間に形成されている。第1ラグ溝30Aと第2ラグ溝30Bとは、タイヤ周方向からみて互いに一部が重なり合うように配置されている。したがって、内側リブ30では、タイヤ周方向に直線状に連続する陸部は形成されていない。
内側周方向細溝26と最内側周方向主溝20の間には、第1リブ32が形成されている。第1リブ32には、溝が形成されていない。第1リブ32のリブ幅は、トレッド部16に形成される他のリブよりも狭幅に形成されている。
最内側周方向主溝20と中央周方向主溝22の間には、第2リブ34が形成されている。第2リブ34には、第2ラグ溝36が形成されている。第2ラグ溝36は、最内側周方向主溝20に開口し、最内側周方向主溝20から中央周方向主溝22側へ向かって延びている。第2ラグ溝36は、中央周方向主溝22へ開口せず、第2リブ34内で終端している。したがって、第2リブ34のタイヤ赤道面CLに近い側には、タイヤ周方向に直線状に連続する陸部が形成されている。
第2ラグ溝36は、タイヤ幅方向に対して僅かに傾斜している。最内側周方向主溝20と第2ラグ溝36の間に形成される角部のうちの鋭角側(図2では、第2ラグ溝36の上側)は、面取りされて、面取部36Mが形成されている。第2ラグ溝36は、中央周方向主溝22側が最内側周方向主溝20側よりも溝幅の狭い先端部36Sとされている。先端部36Sは、面取部36Mが形成されていない側の溝壁にR段部36Dを形成することにより狭幅に構成されている。R段部36Dは、先端部36Sとの連結角部が滑らかなR状とされている。第2ラグ溝36の溝底は、最内側周方向主溝20側が最も深く、先端部36S側へ向かって徐々に浅くなっている。
中央周方向主溝22と最外側周方向主溝24との間には、第3リブ38が形成されている。タイヤ赤道面CLは、第3リブ38上の中央周方向主溝22側に配置されている。第3リブ38には、サイプ38Sが形成されている。サイプ38Sは、最外側周方向主溝24に開口し、最外側周方向主溝24から中央周方向主溝22側へ向かって延びている。サイプ38Sは、接地により閉鎖される溝幅とされている。サイプ38Sを構成する溝壁には、サイプ38Sに沿って溝壁の上部が面取りされて、面取部38A、38Bが形成されている。サイプ38Sは、中央周方向主溝22へ開口せず、第3リブ38内で終端している。したがって、第3リブ38のタイヤ赤道面CLに近い側の端辺部には、タイヤ周方向に直線状に連続する陸部が形成されている。
最外側周方向主溝24とショルダー周方向細溝28との間には、第4陸部40が形成されている。また、第4陸部40よりもタイヤ装着外側のタイヤ接地端16E側には、外側リブ46が形成されている。第4陸部40には、最外側周方向主溝24からタイヤ装着外側へ向かって延出する第4ラグ溝42が形成されている。第4ラグ溝42は直線状とされ、一端42Aが最外側周方向主溝24に開口され、ショルダー周方向細溝28を横断して、他端(以下この他端を「終端部42B」という)が外側リブ46内に延出されている。第4ラグ溝42の一端42Aは、サイプ38Sの延長状に配置されている。また、第4ラグ溝42は、サイプ38Sと同方向に同程度傾斜しており、最外側周方向主溝24を介して、サイプ38Sと連続するような意匠を構成している。
第4ラグ溝42は、ショルダー周方向細溝28と交差し、外側リブ46内の終端部42Bで終端している。終端部42Bは、タイヤ装着外側のタイヤ接地端16Eよりもタイヤ赤道面CL側に配置されている。外側リブ46は、タイヤ周方向に直線状に連続する陸部を有している。図3にも示されるように、第4ラグ溝42の溝幅は、最外側周方向主溝24への開口部分である一端42Aで最も狭いW1とされ、外側リブ46内の終端部42Bにおいて最も広くなるW2となっている。第4ラグ溝42は、一端42Aから終端部42Bへ向かって漸次広がるように形成されている。
図4に示されるように、第4ラグ溝42の溝深さH4は、最外側周方向主溝24の溝深さH0よりも浅く、ショルダー周方向細溝28の溝深さH3よりも深くなっている。第4ラグ溝42とショルダー周方向細溝28とが交差する交差部45においては(図2参照)、溝深さはH4となっている。したがって、ショルダー周方向細溝28の溝底は、交差部45においてショルダー周方向細溝28のその他の部分よりも深くなっている。なお、図4では、溝深さの比較を容易にするために、タイヤ接地面は模式的に平面で示している。
図5に示されるように、第4ラグ溝42の一端42A側には、溝が底上げされた溝底上部44が形成されている。溝底上部44の溝深さH5は、第4ラグ溝42の溝深さH4よりも浅く、溝底上部44は、一端42Aから第4陸部40の中央近辺まで形成されている。なお、図5についても、溝深さの比較を容易にするために、タイヤ接地面は模式的に平面で示している。
第4陸部40及び外側リブ46において、第4ラグ溝42とショルダー周方向細溝28の間に形成される交差部45の角部のうち鋭角となる側(以下、鋭角側の角部を「鋭角部40A」といい、鈍角側の角部を「鈍角部40B」という)には、各々面取部40M、46Mが形成されている。
外側リブ46の第4ラグ溝42からの延長部分には、摩耗インジケーター48が形成されている。摩耗インジケーター48は、第4ラグ溝42の終端部42Bと離間して形成された2個の穴で構成されている。この摩耗インジケーター48により、通常タイヤ周方向主溝に設けられる摩耗インジケーターとは別に、外側リブ46の摩耗状態を知ることができる。
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
本実施形態の空気入りタイヤ10では、トレッド部16に最内側周方向主溝20、中央周方向主溝22、及び、最外側周方向主溝24が、形成されているので、基本的な排水性、ドライ、ウエット走行時の直進安定性が確保される。
また、本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッド部16には、タイヤ装着外側に、タイヤ周方向に陸部の連続する外側リブ46が配置されている。したがって、タイヤ装着外側の剛性が確保され、コーナリング性能を高くすることができる。また、外側リブ46に延出された第4ラグ溝42は、タイヤ接地端16Eまで達することなく終端している。したがって、効果的に外側リブ46の剛性を確保することができる。さらに、第4ラグ溝42の溝幅は、外側リブ46内で最大のW2となっている。これにより、溝幅の広い部分で外側リブ46側の水をとらえて、最外側周方向主溝24へ流すことができ、外側リブ46側の排水性を向上させることができる。
また、第4ラグ溝42には、一端42A側に溝底上部44が形成されている。したがって、排水性を確保しつつ第4陸部40の剛性を維持することができる。また、溝底上部44は、一端42A側に形成されている。したがって、タイヤ装着外側の溝深さが確保され、タイヤ装着外側においてより多くの水を捕らえることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ10には、外側リブ46に隣接してショルダー周方向細溝28が形成されている。したがって、外側リブ46の排水をショルダー周方向細溝28で行うことができ、排水性を向上させることができる。一方、ショルダー周方向細溝28は、最外側周方向主溝24よりも溝幅が狭く、最外側周方向主溝24及び第4ラグ溝42よりも溝幅が狭い。したがって、外側リブ46の剛性の低下を抑制することができる。
また、ショルダー周方向細溝28を形成することにより、コーナリング時におけるバックリングも抑制することができる。ここでのバックリングとは、コーナリング時にタイヤ装着外側の接地端の付近を支点にして、タイヤが外側に倒れ込もうとしつつトレッド面は路面から浮き上がり、タイヤ装着内側の接地圧が抜ける現象である。本実施形態の空気入りタイヤ10では、ショルダー周方向細溝28が形成されていることにより、トレッド面の曲げ剛性が低くなることから、タイヤ装着内側、特に陸部40が接地しやすくなり、タイヤ装着内側のグリップ力の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、第3リブ38にサイプ38Sが形成されているので、第3リブ38のタイヤ赤道面CLから遠い側のリブ端での偏摩耗を抑制することができる。すなわち、第3リブ38では、最外側周方向主溝24側のリブ端がタイヤ赤道面CLから遠いため、タイヤ周長が短くなって引き摺りが生じやすいが、最外側周方向主溝24に開口するにサイプ38Sが形成されているので、引き摺りが抑制され、偏摩耗を抑制することができる。また、サイプ38Sが、中央周方向主溝22へ開口していないので、タイヤ周方向で直線状に連続する陸部が形成される。したがって、第3リブ38において、タイヤ赤道面CLに近い側での剛性が確保され、操縦安定性を維持することができる。また、サイプ38Sに沿って面取部38A、38Bが形成されているので、サイプ38Sのタイヤ周方向前後のゴムの欠けや剥がれなどのチャンクを抑制することができる。
また、本実施形態では、第2リブ34には、第2ラグ溝36が形成されているので、排水性を高めることができる。また、第2ラグ溝36は、タイヤ赤道面CL側の方の溝幅が狭く、溝深さが浅くなっているので、接地圧の高い側の剛性が維持されて、チャンクの発生を抑制することができる。また、最内側周方向主溝20と第2ラグ溝36の間に形成される角部のうちの鋭角側に面取部36Mが形成されているので、当該角部におけるゴムの欠けや剥がれなどのチャンクを抑制することができる。また、第2ラグ溝36は、タイヤ赤道面CLから遠い側の最内側周方向主溝20に開口している。一般的に、トレッド部のタイヤ周長は、タイヤ赤道面CLに近い程長くタイヤ接地圧が高い。したがって、タイヤ赤道面から遠い側の第2リブ34のリブ端における引き摺りが抑制され、偏摩耗を抑制することができる。また、第2ラグ溝36は、中央周方向主溝22へ開口していないので、中央周方向主溝22側のリブ端にタイヤ周方向で直線状に連続する陸部が形成される。したがって、タイヤ赤道面CLに近い側に、剛性が確保され、操縦安定性を維持することができる。
また、本実施形態では、第4ラグ溝42とショルダー周方向細溝28の間に形成される交差部45の角部のうち鋭角となる側の鋭角部40Aに、各々面取部40M、46Mが形成されている。したがって、当該角部におけるゴムの欠けや剥がれなどのチャンクを抑制することができる。
なお、第4ラグ溝42の最外側周方向主溝24側に形成した溝底上部44は、均等深さでもよいが、図6の第2実施形態に示すようにタイヤ周方向に傾斜する構成にしてもよい。すなわち、溝底上部44は、鋭角部40Aを形成する壁面側が、鈍角部40Bを形成する壁面側よりも溝底が浅く、鈍角部40Bを形成する壁面側へ向かって溝底が深くなるように傾斜する構成にしてもよい。このように、溝底上部44の鋭角部40Aを形成する壁面側の溝底を浅くすることにより、鋭角部40Aの剛性低下を抑制することができる。その結果、鋭角部40Aと鈍角部40Bの剛性差が緩和され、角部の偏摩耗を抑制することができる。
なお、本実施形態では、第4ラグ溝42の一端42A側の溝幅W1を終端部42Bの溝幅W2よりも広い構成としたが、必ずしもこのようにする必要はなく、溝幅W1とW2とが同程度の構成でも、溝幅W1がW2よりも幅広の構成でもよい。
また、本実施形態では、ショルダー周方向細溝28を形成したが、ショルダー周方向細溝28のない構成とすることもできる。
また、本実施形態では、第4ラグ溝42は、ショルダー周方向細溝28と交差して外側リブ46へ達している構成について説明したが、第4ラグ溝42は必ずしもショルダー周方向細溝28と交差する必要はない。図7の第3実施形態に示すように、ショルダー周方向細溝28に開口しているだけで、外側リブ46側へ突き出ない構成にしてもよい。また、ショルダー周方向細溝28の手前の第4陸部40内で終端する構成にしてもよい。
また、上記各実施形態では、第4ラグ溝42は、タイヤ幅方向に対して傾斜しているが、必ずしもタイヤ幅方向に対して傾斜している必要はなく、第4ラグ溝42をタイヤ幅方向と平行に配置してもよい。
また、本実施形態では、左右非対称のトレッドパターンを例に説明したが、本発明は、左右対称のトレッドパターンに適用してもよい。この場合には、図8の第4実施形態に示されるように、図2におけるトレッド部16の中央周方向主溝22よりも右側部分を、線対称で左側に半ピッチタイヤ周方向にずらしつつ配置する構成にすることができる。タイヤ赤道面CLは、中央周方向主溝22の中央に配置される。また、図9の第5実施形態に示されるように、図2におけるトレッド部16の中央周方向主溝22よりも右側部分を、点対称で左側に配置する構成にすることができる。
上記のように、左右対称のトレッドパターンにした場合には、タイヤ装着内側の剛性が、タイヤ装着外側と同様に高くなる。第1実施形態のように、左右非対称のトレッドパターンにすることにより、特にネガティブキャンバーを付与した車体において、タイヤ装着内側の剛性が高くなりすぎないので、ステアを切り易いため、比較的低速での走行時における操縦感が向上する。
10 空気入りタイヤ
16E タイヤ接地端
24 最外側周方向主溝
28 ショルダー周方向細溝
42 第4ラグ溝(ラグ溝)
44 溝底上部
46 外側リブ

Claims (6)

  1. トレッド部に形成され、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向主溝と、
    前記複数本の周方向主溝よりも車両装着時におけるタイヤ装着外側に形成され、タイヤ周方向に陸部の連続する外側リブと、
    前記複数本の周方向主溝のうち車両装着時における最もタイヤ装着外側に形成された最外側周方向主溝から前記外側リブへ向かって延出され、タイヤ装着外側のタイヤ接地端よりも前記最外側周方向主溝側で終端するラグ溝と、
    前記ラグ溝の溝底の前記最外側周方向主溝側に形成され、前記ラグ溝の前記外側リブ側よりも溝底が浅い溝底上部と、
    を備え
    前記外側リブに設けられたすべてのラグ溝がタイヤ装着外側のタイヤ接地端よりも前記最外側周方向主溝側で終端する空気入りタイヤ。
  2. 前記ラグ溝はタイヤ幅方向に対して傾斜し、前記溝底上部は前記ラグ溝と前記最外側周方向主溝との間に構成される角部のうち鋭角を形成する壁面側の溝底が浅く、鈍角を形成する壁面側へ向かって溝底が深くなるように傾斜している、ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ラグ溝は、前記外側リブ側の端部の溝幅が、前記最外側周方向主溝側の端部の溝幅よりも広い、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記最外側周方向主溝よりも前記外側リブ側に、前記最外側周方向主溝よりも溝幅が狭くて溝深さが浅く、タイヤ周方向に沿って延びるショルダー周方向細溝が形成されていること、を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ショルダー周方向細溝のタイヤ幅方向内側の溝壁が溝底に対して成す壁面角度は、踏み込み側が蹴り出し側よりも大きく、
    前記ショルダー周方向細溝のタイヤ幅方向外側の溝壁が溝底に対して成す壁面角度は、蹴り出し側が踏み込み側よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ラグ溝は、タイヤ幅方向外側に向かうに従って踏み込み側から蹴り出し側へ延在するようにタイヤ周方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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