JP7366491B2

JP7366491B2 - バリアキャップ

Info

Publication number: JP7366491B2
Application number: JP2019096850A
Authority: JP
Inventors: 学山本
Original assignee: Yoshino Kogyosho Co Ltd
Current assignee: Yoshino Kogyosho Co Ltd
Priority date: 2019-05-23
Filing date: 2019-05-23
Publication date: 2023-10-23
Anticipated expiration: 2039-05-23
Also published as: JP2020189676A; CN113891841B; CN113891841A; EP3974339A4; US20220219871A1; EP3974339A1; WO2020235273A1

Description

本発明は、プルリングを引っ張って抜栓するキャップに関し、とくにガスバリア性に優れたバリアキャップに関するものである。

従来、ドレッシングや調味料などを収容する食品容器には、開封時まで容器内を密封状態にしておくために、容器口部に装着されたキャップ本体に、薄肉弱化部により画成された除去部を形成した隔壁を設け、除去部に設けられたプルリングを引き上げて該除去部を引きちぎって注出口を開栓する抜栓キャップが広く用いられている。

また、内容物風味を維持するため、容器外部の空気に含まれる酸素等を遮断するガスバリア性に優れた容器が提案されており、それに対応するキャップについてもガスバリア性を有するキャップが従来から知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０１５－２２７１９４号公報

上記特許文献１記載のキャップは、除去部を形成する隔壁の下面に、バリア層を積層させたバリアフィルム層を被覆してガスバリア性を有するキャップとするもので、バリア層は破断性が悪いため、抜栓性をよくするために、プルリングを連結する連結片の基端部近傍の積層バリアフィルム層に非貫通のスリットを設けなければならないという問題があった。
また、積層バリアフィルム層は、バリア層とポリエチレン（直鎖状低密度ポリエチレン）層との積層であるため、お互いに接着性がないため、接着層がさらに必要になるという問題があった。

本発明は、上記問題を解決することを課題とし、抜栓性をよくするための非貫通のスリットを設けなくても破断性がよく、キャップ本体の樹脂との接着性のよいバリア層をキャップ本体中の中間層として介在させた、ガスバリア性に優れたバリアキャップを提供することを目的とする。

本発明は、上記の課題を解決するため、バリアキャップとして、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に装着される上蓋とからなり、プルリングで抜栓可能なバリアキャップにおいて、キャップ本体内は、基本樹脂からなる基層中に、バリア性樹脂を含むバリア層が中間層として内層され、バリア層は、基本樹脂とバリア性樹脂とのブレンドからなり、基本樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであり、バリア性樹脂がエチレン含有量２７～４４モル％のエチレンビニルアルコール共重合体であり、直鎖状低密度ポリエチレンの配合率を５～１５％とすることを特徴とする構成を採用する。

バリアキャップのさらなる実施形態として、バリア層は、容器本体の口部の開口部全体を覆うように設けられていることを特徴とする構成、また、キャップ本体は、容器本体に装着される装着部と、装着部の内側に立設される注出筒と、注出筒内に設けられ、薄肉弱化部によって画成され、上面にプルリングが設けられる除去部を有する隔壁とを備え、バリア層は、少なくとも、装着部、並びに、薄肉弱化部および除去部を含む隔壁に設けられていることを特徴とする構成を採用する。

本発明のバリアキャップは、キャップ本体中にバリア層が中間層として内層されており、バリア層としてキャップ本体の基層となる基本樹脂とバリア性樹脂とをブレンドしたものを使用することによって、基層とバリア層との接着性がよくなり、優れたバリア性を発揮し、プルリングによって容易に抜栓することができる。
特に、バリア層として、バリア性樹脂のエチレン含有量２７～４４モル％のエチレンビニルアルコール共重合体に、キャップ本体の基本樹脂として使用される直鎖状低密度ポリエチレンを５％以上配合させたブレンドを使用した場合には、キャップ本体の基層とバリア層との接着性がよくなり、プルリングによる薄肉弱化部の破断性が改良される。

本実施例のバリアキャップの閉蓋した状態を示す断面側面図である。図１の要部拡大図である。本実施例のバリアキャップの開蓋した状態を示す図であり、（ａ）は上面図で、（ｂ）は側面断面図である。

次に、本発明のバリアキャップについて、具体化した実施例を示した図面を参照して説明する。

図１において、Ａは容器本体Ｄに装着されるキャップ本体、Ｂはキャップ本体ＡにヒンジＣを介して一体成形される上蓋である。
容器本体Ｄの口部１の外周には、係合突条２が設けられている。

また、図１に示すように、キャップ本体Ａは、容器本体Ｄに装着される装着部３と、装着部３の内縁下端から立設される注出筒４と、注出筒４内に設けられる隔壁５とからなっている。

隔壁５には、使用時に注出口を開口するために破断可能な薄肉弱化部６によって画成される除去部７が設けられ、除去部７の上面には、抜栓するためのプルリング８が設けられている。
プルリング８は、ヒンジＣ側の端部に立設される支柱部９と、支柱部９の上端から連設されるリング部１０とから構成されている。

装着部３は、周縁に係止突条１１が設けられ、上蓋Ｂと係合する環状の蓋係合部１２と、蓋係合部１２の内周側から垂設される内筒１３と、蓋係合部１２の外周側から垂設される外周壁部１４とから構成されている。
外周壁部１４は、内周下部には容器本体Ｄと係合する係合突部１５が設けられている。

外周壁部１４のヒンジＣの左右いずれかの近傍には、図３に示すように、外周面に平面視で略Ｖ字状の外周切り込み部１６が下端部に薄肉底壁を残して上方から切り込まれている。
係合突部１５の外周切り込み部１６に対応する位置には、図示しないが内周切り込み部が縦方向に刻設され、縦方向引き裂きラインが形成される。

外周切り込み部１６のヒンジＣ側では、端面１６ａの内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として円周方向に延びるように、スリット溝１７が上方から凹設され、本実施例では、端面１６ａを始点として、約３４５°にわたって延びている。
また、縦方向引き裂きラインに隣接するスリット溝１７の起点を引き裂き開始点として、スリット溝１７の底面１８の内周側には、外周壁部１４と蓋係合部１２間を連結する薄肉連結部１９が設けられ、周方向引き裂きラインが円弧状に延びるように形成され、終点の破断不能な連結部まで引き裂き可能となっている。

キャップ本体Ａ内には、キャップ本体Ａの基層に対し、図１および図３に示すように、共射出成形によってバリア層Ｅが中間層として設けられている。
キャップ本体Ａの基層となる基本樹脂として、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）などのポリオレフィン樹脂、ＰＥＴ等の公知の樹脂が用いられる。
また、バリア層Ｅとなるバリア性樹脂としては、それぞれバリアの目的に応じて、エチレンビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）や、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ポリ塩化ビニリデン（ＰＶＤＣ）、ポリアミド（ＰＡ）、ＭＸナイロン（ＭＸＤ６等）等の公知のガスバリア性の樹脂が用いられる。
中でも、酸素に対するバリア性や風味および香気に対するバリア性からみて、エチレンビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）が好ましい。

バリア層Ｅは、図１に示すように、酸素等を完全に遮断するためには、容器本体Ｄの口部１の開口部全体を覆うように設けられるべきである。
本実施例では、キャップ本体Ａの装着部（蓋係合部１２、内筒１３、外周壁部１４）、注出筒４、薄肉弱化部６、除去部７を含む隔壁５全体にバリア層Ｅが中間層として設けられている。
なお、キャップ本体Ａの注出筒４や外周壁部１４にはバリア層Ｅはなくても構わない。
また、本実施例では、図２に示すように、薄肉弱化部６内にもバリア層Ｅが設けられており、一般に薄肉弱化部６の破断は、キャップ本体Ａの基層となる基本樹脂とバリア層Ｅのバリア性樹脂とは接着性が乏しいため、薄肉弱化部６の基層部分が破断しても、バリア層Ｅが分離してしまいバリア層Ｅの破断が不十分となり、抜栓できない場合があり、そうした場合にはキャップ本体Ａの基層の基本樹脂をバリア性樹脂にブレンドしたバリア層Ｅとすることで基層とバリア層Ｅとの接着性が改善され、バリア層Ｅが破断されやすくなり、抜栓が可能となる。

そこで、基層の基本樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）を用い、バリア層Ｅのバリア性樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）を用い、どの程度の基本樹脂であるＬＬＤＰＥをブレンドしてバリア層Ｅとすれば、上記実施例のバリアキャップの薄肉弱化部６が破断可能となるかの検証試験を行った。
基本樹脂：ＬＬＤＰＥ（プライムポリマー社製２５２００Ｊ）
バリア性樹脂：ＥＶＯＨ（クラレ社製Ｃ１０９Ｂ）、エチレン含有量３５モル％
酸素透過度測定：ＭＯＣＯＮ社ＯＸ－ＴＲＡＮ２／２０を使用し測定

上記表１において、×は抜栓不可、○は抜栓可能を表し、配合率は、重量％（ｗｔ％）である。

表１から、バリア性樹脂としてエチレン含有量３５モル％のＥＶＯＨを用い、５％以上のＬＬＤＰＥの配合率で抜栓可能となり、特に５～２５％のＬＬＤＰＥの配合率でブレンドしたバリア層Ｅとすれば抜栓可能となることを示している。
また、追加試験により、ＥＶＯＨのエチレン含有量として２７～４４モル％のものであれば、酸素透過性を満足するとともに、抜栓可能なバリア層Ｅとなることがわかった。

なお、抜栓可能となる配合率については、基層となる基本樹脂およびバリア層Ｅのバリア性樹脂としてどのようなものを選択するかによって、それぞれ相違したものとなる。
また、バリア性樹脂に基層となる基本樹脂を加えてブレンドした場合には、基本樹脂の配合量が増えるに従ってバリア層Ｅのバリア性能が落ちていくことが知られているため、バリア性を維持するためには、破断可能となる最低の配合率でブレンドすることが好ましい。
さらに、基本樹脂とバリア性樹脂の混練が困難な場合には、相溶化剤を適宜加えても構わない。

上蓋Ｂは、図１および図３に示すように、ヒンジＣを介してキャップ本体Ａの外周壁部１４の外周上端に、回動自在に取着されており、天板部に設けられた頂壁３０と、頂壁３０の外周縁から垂設される側周壁３１とを備えている。
頂壁３０は、下面からシール筒３３が垂設され、シール筒３３は、外周がキャップ本体Ａの注出筒４の内周に当接するように設けられている。

側周壁３１の下端部は、内周側に、キャップ本体Ａの蓋係合部１２の係止突条１１と係合する係合凹部３４が周設されている。
側周壁３１のヒンジＣと反対側の外周には、周方向に円弧状の把手部３５が延設され、把手部３５の中央部下面には指掛け部３６が設けられている。

なお、本実施例のバリアキャップは、使用前の不正抜栓を防止するために、図示していないが、キャップ本体Ａと上蓋Ｂとの間にシュリンクラベルや封緘部材等が設けられている。
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。

まず、本実施例のバリアキャップのキャップ本体Ａは、キャップ本体Ａの基本樹脂となる基層に対し、バリア性樹脂を含むバリア層Ｅが中間層となるように共射出成形することによって製造することができる。

本実施例のバリアキャップを容器本体Ｄに装着するには、上蓋ＢをヒンジＣを支点に回動して、製造直後の図３の開蓋状態から図１の閉蓋状態にする必要がある。
その際、上蓋Ｂのシール筒３３の外周がキャップ本体Ａの注出筒４の内周に当接するとともに、上蓋Ｂの係合凹部３４とキャップ本体Ａの蓋係合部１２の係止突条１１とが係合し、図１に示す閉蓋状態となる。

閉蓋した本実施例のバリアキャップは、内容液を高温充填した容器本体Ｄの口部１に装着部３をあてがい、上方から押圧して打栓することにより容器本体Ｄに装着される。

次に、本実施例のバリアキャップが打栓され装着された容器を使用するには、上蓋Ｂの把手部３５に手指を掛けて引き上げ、上蓋Ｂの係合凹部３４とキャップ本体Ａの係止突条１１との係合を解除し、上蓋Ｂを回動して開蓋状態とし、さらに、プルリング８に指を掛けて、引っ張り上げることで薄肉弱化部６が破断され、除去部７を切り取って抜栓し、注出口を開口した後、容器本体Ｄを傾ければ、内容液が注出筒４の内周面に案内されて注出することができる。

本実施例のバリアキャップは、容器を使用した後、容器本体Ｄから分離し、分別して廃棄することができる。
その際には、バリアキャップを開蓋し、上蓋Ｂを指で把持して外方に引っ張ると、外周壁部１４のヒンジＣとの連設部位が引っ張られて変形し、縦方向引き裂きラインが破断され、さらに上蓋Ｂを引っ張ると、周方向引き裂きラインを形成する薄肉連結部１９が破断を始める。薄肉連結部１９の破断が進行すると、上蓋Ｂがキャップ本体Ａから離れていく。
スリット溝１７の終端部で薄肉連結部１９の破断が完了し、さらに上蓋Ｂを引っ張ると、キャップ本体Ａと容器本体Ｄとの嵌合が外され、バリアキャップと容器本体Ｄとを分別廃棄することができる。

なお、本実施例のバリアキャップは、容器本体Ｄへの装着を打栓としているが、ねじによる螺着であってもよく、また、上蓋ＢはヒンジＣを介してキャップ本体Ａに連設するものであるが、上蓋Ｂのキャップ本体Ａへの装着を、ねじによって螺着するものであってもよい。

本発明のバリアキャップは、プルリングにより容易に抜栓でき、キャップ本体の基層に対し、中間層としてガスバリア性を有するバリア層を設けてあるため、高いガスバリア性を有するとともに、有効成分の飛散を防止することができるので、飲食品や調味料の他、化粧料等などのガスバリア性の容器用として好適である。

Ａキャップ本体
Ｂ上蓋
Ｃヒンジ
Ｄ容器本体
Ｅバリア層
１口部
２係合突条
３装着部
４注出筒
５隔壁
６薄肉弱化部
７除去部
８プルリング
９支柱部
１０リング部
１１係止突条
１２蓋係合部
１３内筒
１４外周壁部
１５係合突部
１６外周切り込み部
１６ａ端面
１７スリット溝
１８底面
１９薄肉連結部
３０頂壁
３１側周壁
３３シール筒
３４係合凹部
３５把手部
３６指掛け部

Claims

容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に装着される上蓋とからなり、プルリングで抜栓可能なバリアキャップにおいて、
キャップ本体内は、基本樹脂からなる基層中に、バリア性樹脂を含むバリア層が中間層として内層され、
バリア層は、基本樹脂とバリア性樹脂とのブレンドからなり、基本樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであり、バリア性樹脂がエチレン含有量２７～４４モル％のエチレンビニルアルコール共重合体であり、直鎖状低密度ポリエチレンの配合率を５～１５％とすることを特徴とするバリアキャップ。
バリア層は、容器本体の口部の開口部全体を覆うように設けられていることを特徴とする請求項１に記載のバリアキャップ。
キャップ本体は、容器本体に装着される装着部と、装着部の内側に立設される注出筒と、注出筒内に設けられ、薄肉弱化部によって画成され、上面にプルリングが設けられる除去部を有する隔壁とを備え、
バリア層は、少なくとも、装着部、並びに、薄肉弱化部および除去部を含む隔壁に設けられていることを特徴とする請求項２に記載のバリアキャップ。