JP7366020B2 - サイズ排除クロマトグラフィーによる粒径分布の決定 - Google Patents

サイズ排除クロマトグラフィーによる粒径分布の決定 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、粒子特性を決定する方法と装置に関する。
[背景技術]
新規のバイオ医薬品は、凝集プロファイリングを用いて一般的に分析される。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、粒径又は質量に基づいて試料を分離するのによく用いられる。しかし、SECカラムからの試料は、その試料を正しく表現しないことがある。比較的大きな粒子又は粒子の凝集体は、SECカラムの通過を阻止されることがあり、その場合、粒径/質量分布分析から抜け落ちることとなる。この問題を是正するために、SEC測定は、他の方法、一般的には分析用超遠心(AUC)よって検証されなければならないであろう。AUCは、難しく、高額であり、且つ、時間のかかる技術である。
粒子の凝集特性の調査には、広範囲に渡る粒径の調査が要求され得る。従来、広い範囲に渡る粒径のカバレッジを提供するために、異なる測定モダリティを持つ様々な装置を用いて、複数の分析が実施されてきている。
[発明の概要]
本発明の第一の局面において、粒子を含む試料の特徴を評価する方法が提供される。この方法は、第1粒子特性評価技術を用いて試料について第1測定を実施することと、第1粒子特性評価技術から粒子分離装置に試料を流すことと、粒子分離装置により試料を分離することと、分離された試料について第2測定を実施することと、を含む。
試料を粒子分離装置にて分離する前に第1測定技術を用いて第1測定を実施することにより、粒子分離装置を通過する実際の試料の真の試料組成を表すことができる。これは、分離中に何らかの試料が失われるかを、例えば、比較的大きな粒子が粒子分離装置を通過することが阻まれるかを、判断するために用いられ得る。例えば、第1測定は、試料の何らかの粒子が失われているかを判断するために、第2測定、及び/又は追加の測定と比較され得る。例えば、第1測定から決定される粒径又は粒子質量分布は、第2測定又は追加の測定から決定された粒径又は粒子質量分布と比較され得る。
試料の真の表現が粒子分離装置により分離されているかを判断することにより、AUCなどの高価な検証技術の必要性が回避され得る。
第2測定は、粒子分離装置そのものにより実施されてもよい。例えば、粒子分離装置は、分離された試料を測定する試料測定装置を含んでもよい。代替的に又は追加的に、第2測定は、粒子分離装置からの試料出力を測定するように構成される分離装置により実施されてもよい。
第2測定は、時間の関数として分離された試料の特性を決定してもよく、例えば、分離された試料内の粒子の粒子特性の径時的な変化を示すことができる。粒子分離装置により、粒子は、粒子特性に基づき時間的に分離され得る(例えば、異なる粒径又は吸着剤に対する異なる吸着相互作用度合いを持つ粒子は、溶出時間が異なるようになる)。第2測定は、第1粒子特性評価技術又は代替の粒子特性評価技術を用いてもよい。第2測定は、第1測定用に使用されるものと同じ装置を用いてもよい。
第1粒子特性評価技術へ、又は、そこから試料を流すことへの言及は、第1粒子特性評価技術による測定が実施され得る場所へ、又は、そこから試料を流すことを意味すると、解釈されるものとする。
第1粒子特性評価技術を用いて第1測定を実施することは、複数の第1測定を実施することを含み得て、複数の第1測定のそれぞれは、各粒子特性評価技術を用いて実施され得る。
粒子分離装置は、分画装置であってもよい。粒子分離装置は、例えばサイズ排除クロマトグラフィーカラムのようなクロマトグラフィーカラムを含んでもよい。粒子分離装置は、次のような、試料混合物を1つ以上の個別の集団に分離するのに使用され得る他の技術を実施してもよい。
-サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー又はゲルろ過クロマトグラフィー)、
-フィールドフローフラクショネーション、及び非対称流フィールドフローフラクショネーション(AF4)などの関連する変形、
-アフィニティ(親和性)、イオン交換、疎水性相互作用、モノリシック、マイクロピラーアレーカラムを含む、他の液体クロマトグラフィーカラム(分析及び分取の両方)、
-ハイドロダイナミッククロマトグラフィ、
-決定論的横置換(DLD)装置、
-シリカなど充填ビーズベッド、及び
-1つ以上の粒径カットフィルタを使うことを含むフィルタ。
第2測定は、例えば、UV光測定など、光度測定であってもよく、又は光度測定を含んでもよい。
本方法は、例えば粒子質量分布や粒径分布など、試料の粒子特性分布を決定することを更に含んでもよい。
いくつかの実施形態において、本方法は、分離装置から第1粒子特性評価技術に試料を戻すように流すことを更に含んでもよい。第1粒子特性評価技術を使う他の測定がその後実施されることで、何らかの粒子が失われたかが判断可能となってもよい。本他の測定は、試料全体についてのアンサンブル測定であってよく、又は、分離された試料についての時間依存測定であってもよい。
いくつかの実施形態は、粒子分離装置を用いて試料を分離する前、及び/又は、分離した後に、試料について追加の測定を実施することを含んでもよい。追加の測定の実施は、例えば、上述したように、試料を粒子分離装置から第1測定技術に流すことにより、第1粒子特性評価技術を用いて試料について追加の測定を実施することを含んでもよい。代替的に又は追加的に、試料について追加の測定を実施することは、第1粒子特性評価技術とは異なる第2粒子特性評価技術を用いて試料について追加の測定を実施することを含んでもよい。
本方法は、試料の粒子全てが分離装置を通過したかを判断するために、第1測定と第2測定を比較することを更に含んでもよい。一実施形態において、第1測定と第2測定との比較は、第2測定が第1測定と一致するかを判断することを含む。第2測定が第1測定と一致する場合、試料の粒子全てが分離装置を通過したと判断される。第2測定が第1測定と一致しない場合、試料の粒子全てが分離装置を通過したわけではないと判断される。
いくつかの実施形態において、本方法は、試料の粒子全てが分離装置を通過したかを判断するために、第1測定と追加の測定とを比較することを更に含んでもよい。特に、第1測定と追加の測定との比較は、追加の測定が第1測定と一致するかを判断することを含んでもよい。追加の測定が第1測定と一致する場合、本方法は、試料の粒子全てが分離装置を通過したと判断することを含んでもよい。追加の測定が第1測定と一致しない場合、本方法は、試料の粒子全てが分離装置を通過したわけではないと判断することを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、第2測定及び/又は追加の測定が第1測定と一致するかを判断することは、第2測定及び/又は追加の測定から抽出された粒径が第1測定から抽出された粒径と一致するかを判断すること含む。粒径は平均粒径であってもよい。粒径は平均流体力学的半径であってもよい。
代替的に又は追加的に、第2測定及び/又は追加の測定が第1測定と一致するかを判断することは、第2測定及び/又は追加の測定から抽出された粒子濃度が第1測定から抽出された粒子濃度と一致するかを判断すること含んでもよい。更に他の実施形態において、第2測定及び/又は追加の測定が第1測定と一致するかを判断することは、第2測定及び/又は追加の測定から抽出された粒径分布が第1測定から抽出された粒径分布と一致するかを判断すること含んでもよい。
粒径分布の抽出は、非負最小二乗(NNLS)フィットを実施することを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、第1粒子特性評価技術から粒子分離装置に試料を流すことは、第1粒子特性評価技術から粒子分離装置に試料を方向付けるための1つの弁(又は複数の弁)を操作することを含んでもよい。例えば、第1粒子特性評価技術から粒子分離装置に試料を流すことは、第1粒子特性評価技術の出力を粒子分離装置の入力に接続するために弁を操作することを含んでもよい。弁は、レオダイン切換弁であってもよい。
試料が粒子分離装置から第1粒子特性評価技術に戻るように流される実施形態において、粒子分離装置から第1粒子特性評価技術に試料を流すことは、粒子分離装置から第1粒子特性評価技術に試料を方向付けるために弁を操作することを含んでもよく、また、粒子分離装置の出力を第1粒子特性評価技術の入力に接続するために弁を操作することを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、第1粒子特性評価技術及び/又は第2粒子特性評価技術は、アンサンブル粒子特性評価技術である。粒子特性評価技術は、UV分光、動的光散乱、静的光散乱、テイラー分散分析、及びUV測光を含むグループから選択されてもよい。
粒子特性評価技術がテイラー分散分析(TDA)である、又は、それを含む場合、粒子特性評価測定の出力は、濃度分布(テイラーグラム)であり、又は、それを含む。
第2測定及び/又は追加の測定が第1測定と一致するかを判断することは、1つ以上のパラメトリックモデル関数を用いてテイラーグラムをフィッティングして粒径を抽出することを含んでもよい。1つ以上のパラメトリックモデルは、時間依存のガウス関数であってもよく、又は、それを含んでもよい。
代替的に又は追加的に、第2測定及び/又は追加の測定が第1測定と一致するかを判断することは、1つ以上のパラメトリックモデル関数を用いてテイラーグラムにNNLSフィッティングを実施して粒径分布を抽出することを含んでもよい。1つ以上のパラメトリックモデルは、時間依存のガウス関数であってもよく、又は、それを含んでもよい。
本方法は、第1測定からの結果、及び/又は、第2測定からの結果に1つ以上のパラメトリックモデル関数をフィッティングすることを含んでもよい。パラメトリックモデル関数は、時間依存のガウス関数を含んでもよい。
本方法は、以下のカテゴリにおいて試料の比率の定量分析を実施することを含んでもよい。
i)対象の粒子の相対分子量の大きさに対応するモノマー、
ii)モノマーより小さい粒径又は分子量を持つ粒子(このカテゴリはLMWとして言及されてもよい)、
iii)モノマーのオリゴマー、又は、モノマーより大きい粒径又は分子量を持つ粒子であり、第2測定から排除される粒径又は分子量未満である(このカテゴリはHMW又は凝集体として言及されてもよい)、
iv)大きな凝集体であり、第2測定から排除されるのに十分な大きさを有する粒子を含む(このカテゴリはVHMWとして言及されてもよい)。
本発明の第二局面において、第1粒子特性評価技術に従って測定を実施するための測定システムと、粒子を含む試料を分離するための粒子分離装置とを含む、粒子特性評価プラットフォームが提供される。粒子特性評価プラットフォームは、第一の局面の任意の実施形態の方法を実施するように構成される。
いくつかの実施形態において、粒子分離装置は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーカラムなど、クロマトグラフィーカラムを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、測定システムは、第2粒子特性評価技術に従って測定を実施するように更に構成されてもよい。
粒子特性評価プラットフォームは、第1測定を実施するために測定システムに試料を流し、その後、試料を分離するために粒子分離装置に試料を流し、そしてその後、第2測定を実施するために測定システムに戻すように試料を流すように構成されてもよい。
測定システムは第1測定システムであってよく、粒子特性装置は、第2測定システムを含んでもよい。粒子特性評価プラットフォームは、第1測定を実施するために第1測定システムに試料を流し、その後、試料を分離するために粒子分離装置に試料を流し、そしてその後、第2測定を実施するために第2測定システムに試料を流すように構成されてもよい。
第1測定はUV測光と静的光散乱とを含んでもよい。第2測定は、UV測光と静的光散乱とを含んでもよい。
本装置は、以下のカテゴリにおいて試料の比率の定量分析を実施するように構成されてもよい。
i)対象の粒子の相対分子量の大きさに対応するモノマー、
ii)モノマーより小さい粒径又は分子量を持つ粒子(このカテゴリはLMWとして言及されてもよい)、
iii)モノマーのオリゴマー、又は、モノマーより大きい粒径又は分子量を持つ粒子であり、第2測定から排除される粒径又は分子量未満である(このカテゴリはHMW又は凝集体として言及されてもよい)、
iv)より大きな凝集体であり、第2測定から排除されるのに十分な大きさを有する粒子を含む(このカテゴリはVHMWとして言及されてもよい)。
本発明は、例示により、添付の図面を参照して、更に詳細に以下に記載される。
複数の測定方法に適用可能な粒径範囲を図示する。 粒子特性評価プラットフォームの模式図である。 代替の粒子特性評価プラットフォームの模式図である。 更に代替の粒子特性評価プラットフォームでの切換弁の動作を図示する。 更に代替の粒子特性評価プラットフォームでの切換弁の動作を図示する。 一般的な試料の粒径分布を図示する。 テイラー分散測定を図示する。 SECとテイラー分散分析を組み合わせる粒子特性評価プラットフォームの模式図である。 第1試験試料の粒子分離前及び後に取得されたシミュレートテイラー分散測定をそれぞれ示す。 第1試験試料の粒子分離前及び後に取得されたシミュレートテイラー分散測定をそれぞれ示す。 第2試験試料の粒子分離前及び後に取得されたシミュレートテイラー分散測定をそれぞれ示す。 第2試験試料の粒子分離前及び後に取得されたシミュレートテイラー分散測定をそれぞれ示す。 第3試験試料の粒子分離前及び後に取得されたシミュレートテイラー分散測定をそれぞれ示す。 第3試験試料の粒子分離前及び後に取得されたシミュレートテイラー分散測定をそれぞれ示す。 図8aのシミュレーションデータから取得された粒径分布を示す。 図8bのシミュレーションデータから取得された粒径分布を示す。 図9aのシミュレーションデータから取得された粒径分布を示す。 図9bのシミュレーションデータから取得された粒径分布を示す。 図10aのシミュレーションデータから取得された粒径分布を示す。 図10bのシミュレーションデータから取得された粒径分布を示す。 一実施形態によるプラットフォームの模式図である。 第1及び第2測定から生成された組み合わせ測定の一例を示す。
[発明の詳細な説明]
凝集研究は、非常に小さい場合があるモノマーフラグメント(モノマー断片)と、非常に大きな凝集粒子を含む凝集粒子と、の両方を考慮する必要がある。タンパク質モノマーは直径が数ナノメーターであり得て、タンパク質フラグメントはそれよりも小さい。凝集体は、100ミクロン(又はそれ以上に大きい)程の大きさの目に見える粒子を形成し得る。図1に示されるように、凝集研究用の範囲の小さい側の端の粒子を調査するには、SEC-HPLC(粒径排除/高性能液体クロマトグラフィー)を用いることができる。しかし、より大きな凝集体を調査するには、マイクロフローデジタルイメージングや光散乱(動的又は静的)など代替の測定方法が必要とされる。
よって、凝集を調査する従来のワークフローには複数の装置が含まれ、様々な異なる測定を実施するこれら装置に試料の異なる部分が提供される。例えば、SEC-HPLCは、タンパク質フラグメント、モノマー、及びタンパク質オリゴマーを調査するのに使用され得る。DLSなどの光散乱技法は、調査される粒子のサイズを拡張してより大きな粒子を含むようにするために使用され得る。イメージング技法は、非常に大きな粒子を調査するのに使用され得る。
このように複数の測定方法を使用することは時間がかかる。試料の準備は、装置ごとに別々に実施されなければならず、各測定の累積稼働時間が大きくなり、結果、この種の調査の処理能力(スループット)を制限し得る。更に、異なる測定方法からの結果は、複数の調査結果を集約して提供するために、しばしば手動で、処理、組み合わせ、及び合成されなければならない。異なるタイプの分析が試料の異なる部分に実施され、結果、整合性に欠け、比較的大量の試料を消費することとなる。本開示の実施形態は、これら問題の少なくとも幾つかに対応し得る。
図2は、本開示による粒子特性評価プラットフォーム100の模式図を示す。プラットフォーム100は、それぞれ第1粒子特性評価技術を実施するように構成される複数の第1測定システム101と、粒子分離装置102とを含む。配管等の連結により、試料は、複数の第1測定システム101のそれぞれの間で流れることが可能となり、その後、粒子分離装置102に流れることが可能となる。
この図示された例において、複数の第1測定システム101は、試料についてDLS測定を実施する動的光散乱(DLS)システム104と、試料についてTDA測定を実施するテイラー分散分析(TDA)システム105と、試料についてUV分光測定(例えば、1つ以上の波長でのUV吸収)を実施する紫外線(UV)光度計106と、を含む。いくつかの実施形態では、複数の異なる測定システムではなく、単一の第1測定システム(例えば、これら上述したものの1つ)があってもよい。
使用において、試料は、入力103から、この例ではDLSシステム104である第1測定システムに流れる。試料は、ポンプ(図2で図示せず)により入力103に圧送されてもよい。ポンプは、試料をプラットフォーム100全体に流すのに十分な圧力を提供し得るものでもよい。DLSシステム104は、試料についてDLS測定を実施する。試料内の粒子の粒径分布に関する情報、従って、試料内の粒子の任意の凝集に関する情報は、DLS測定から決定され得る。
試料は、その後、試料についてTDA測定を実施するTDAシステム105に流される。粒径、分散特性、異なる構成要素の相対濃度、及び凝集(特に、試料内の任意の比較的大きい凝集体の)の少なくとも1つに関する情報が、TDA測定から決定され得る。
試料は、その後、例えば280nmで試料についてUV光測定を実施するUV光度計106に流される。例えば、試料の全粒子/タンパク質濃度に関する情報は、UV測定から決定され得る。
UV測定に引き続き、第1測定システム101により測定された試料全体は、粒子分離装置102に提供される。粒子分離装置102は、粒径など粒子特性に基づいて試料を分離する。例えば、比較的大きな粒子は、比較的小さい粒子とは異なる速度(例えば、より速い速度)で粒子分離装置102を通過し得る。よって、粒子が分離装置102から溶出する時間は、そのサイズによって決定され得る。粒子分離装置102は、UV光度計などの試料測定装置を更に含み、溶出する粒子の濃度の指標を時間の関数として提供する。このことから、試料内の異なる粒子径の相対的な比率が決定され得て、例えば、試料内のモノマー、二量体、三量体、及びより大きな凝集体の量を確認できる(濃度-時間曲線の各ピークの面積に対応する濃度と、粒径に対応する各ピークの溶出時間により)。
図示された例において、粒子分離装置102は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラムを含む。試料内のある粒子は、SECカラムを全く通過できない程に大きい場合がある。このように、分離された試料について実施される凝集測定(従来のシステムのように溶出後)は、SECカラムに捕捉されてしまっているであろう、より大きな凝集体の存在を示さないことがある。
しかし、本発明では、粒子分離装置102(例えば、SEC装置)からの測定は、独立して行われない。第1測定システム101から得た第1測定は、粒子分離装置102に流される試料と全く同じ試料の粒子分布についての情報を提供する(そして、その測定は、例えば、5分未満の遅れという最少の時間遅延で順次実施される)。粒子分離装置102を通過しなかった任意の凝集体は、第1測定で確認され得るが、分離された試料の測定では確認されないであろう。このように、第1測定を分離された試料の測定と比較することにより、試料内の構成要素が失われているか又は維持されているかが判断され、結果、正しい試料の組成を確認できる。
図示された例において、粒子分離装置102を通過した後、試料は、任意の追加測定システム107に流される。追加測定システム107は、試料について追加の測定を実施する。その後、追加の測定は第1測定の1つ以上と比較されることで、試料全体が粒子分離装置102を通過したかを確認してもよい。特に、追加測定システム107は、第1測定システム101の1つ(又はそれ以上)と同じ粒子特定評価技術を用いてもよく、それによって、追加の測定を対応する第1測定と直接比較することが可能となる。例えば、追加測定システム107は、UV光度計106と類似の(同様に構成された)UV光度計であってもよい。UV光度計は、試料内の全タンパク質濃度を示してもよい。特にタンパク質(又はその凝集体)の中には、粒子分離装置102を通過できない程に大きいものもある。その場合、追加のUV光測定は、第1UV光測定と比較されることで、粒子分離装置102によるタンパク質の喪失(又は、測定プラットフォーム100内での維持)の迅速な判断を可能とし得る。
追加の測定が実施された後、試料は、プラットフォーム出力108に流され、収集又は廃棄され得る。
図2に図示されるプラットフォーム100において、追加測定システム107は、第1測定システム101とは別の測定システムである。しかし、代替の実施形態において、追加の測定は、第1測定システム101の1つによって実施されてもよい。図3は、そのようなプラットフォーム200のそのような一例を示す。
プラットフォーム200は、第1測定システム201と粒子分離装置202とを含み、これらは、プラットフォーム100に関連して上述された対応する特徴と類似している。試料は、プラットフォーム入力203から、それぞれ第1測定を実施する第1測定システム204~206のそれぞれをとおって、その後、粒子分離装置202に流される。プラットフォーム100とは対照的に、プラットフォーム200では、試料は、粒子分離装置から複数の第1測定システム201の1つ(又はそれ以上)に戻るように流される。この一例において、試料は、UV光度計206に戻るように流されるが、測定システムのいずれの組み合わせに戻るように流されてもよい。UV光度計206は、分離された試料について追加の測定を実施し、試料は、その後、プラットフォーム出口208に流される。UV光度計206によって実施された第1測定は、UV光度計206によって実施された追加の測定と直接比較され、粒子又は粒子凝集体が試料から消失しているかを判断してもよい。
プラットフォーム100、200を通した試料の流れは、弁によって制御されてもよい。例えば、測定中にプラットフォーム100、200の特定のシステム又は装置内で試料を維持し、且つ、測定それぞれが実施されたときに試料を放出するために、少なくとも1つのバルブを使用してもよい。この少なくとも1つの弁は、手動又は自動で操作されてよい。
図4A及び4Bは、レオダイン切換弁303を含むプラットフォーム300を図示する。レオダイン切換弁303は、プラットフォーム300を通した試料の流れを制御する。図4Aは第1構成の切換弁を示し、図4Bは第2構成の切換弁を示す。
切換弁は、最初、第1構成に位置する。試料は、インジェクタ301によってプラットフォームに注入され、ポンプ302によりプラットフォームを回って圧送される。試料は、インジェクタ301から切換弁303の連結部1にチューブを介して流れ、この連結部1は、第1構成の連結部6に連通している。試料は、連結部6から第1測定システム304、305に流れる。図示された一例において、第1測定システム304、305は、UV光度計304と光散乱システム305、又は、UV光度計304とテイラー分散分析システム305(毛細管ループを含む)含んでもよい。光散乱システム305は、試料が光散乱システム305を通過するときに、試料について動的又は静的光散乱測定を実施してもよい。第1測定システム304、305は、プラットフォーム100に関連して上述されたものと類似の第1測定を試料について実施する。
試料は、その後、切換弁303の連結部3に流れ、この連結部3は、第1構成の連結部2に連通している。その後、試料は、粒子分離装置306に流れる。粒子分離装置306は、SEC装置であってもよく、プラットフォーム100に関連して上述されるように試料を分離且つ測定する。
試料が粒子分離装置306から溶出する前に、切換弁303は、図4Bに示されるその第2構成に移される。試料は、粒子分離装置306から切換弁303の連結部5に流れる。この連結部5は、第2構成の連結部6と連通している。この連通により、試料は、第1測定システム304、305に戻され、ここで、試料について追加の測定が実施される。これら追加の測定は、上述したように、比較的大きな粒子が試料から失われているかを判断するのに用いられてもよい。試料は、第1測定システム304、304から切換弁303の連結部3に流され、そこから、切換弁303の連結部4を介してプラットフォーム出口307に流される。
上述した例において、第1測定システムは、2つ又は3つの別個のシステムを有した。代替の実施形態において、任意の数の第1測定システムを用いてもよく、特に、唯一の第1測定システムを用いてもよい。このように、追加の測定が第1測定システムで実施される実施形態において、プラットフォームは、試料の流れを方向付けるのに必要な管と弁と共に、唯1つの第1測定システムと1つの粒子分離装置を有してもよい。同様に、いくつの追加の測定が、プラットフォームの第1測定システムと同じか又は同じでない任意の数の追加測定システムによって実施されてもよい。
しかし、有利には、プラットフォーム100、200のように複数の第1測定システムを用いることにより、全体的な粒子特性測定ウィンドウをより幅広いものとすることができる。図5は、一般的な試料の3つの桁の粒径に渡る粒径分布400を示す。分布400の上にある横棒は、上述した粒子特性評価技術が測定を行い得る粒径ウィンドウを表す。DLSは広い範囲の粒径の粒子に敏感であり、SECとTDAはより小さな粒径に限定され、280nmのUV測光はより大きな粒径に限定される。プラットフォーム100、200のための上述した粒子特性評価技術の組み合わせにより、粒径の補完データが提供され、全粒径分布を決定することが可能となる。
分布400は、試料中のモノマー、二量体、及びより大きな凝集体をそれぞれ表す明瞭なピーク401、402、及び403を有する。凝集体ピーク403内の凝集体の中には、直径が200nmよりも大きいものもある。これは、SECカラム(SECカラムに進入する最大粒径を制限するのに一般的に用いられる多多孔フリット、フリット限界を定義する)に進入できる粒子の最大サイズを限定する一般的なフリット限界よりも大きい。したがって、この試料中の最も大きい凝集体は、粒子分離装置102、202、302を通過することができないであろう。SEC測定だけを採用する従来のシステムでは、このような大きな凝集体は確認され得ない。しかし、上述したプラットフォーム100、200、300を用いると、大きな凝集体を第1測定により確認することが可能となり、粒子分離装置による粒子のいかなるロスも検知できる。
第1測定及び追加の測定に用いる粒子特性評価技術は、TDA測定であってもよく、又はTDA測定を含んでもよい。
テイラー分散は、試料の効果的な拡散性を高めるためにせん断流を使用するプロセスである。毛細管内の層流は、半径方向位置に従って流速の変動をもたらす。毛細管の壁の近くでは、流れは実質的には静止しており、流速は、毛細管の中心において最大である。これにより、隣接する薄層がせん断される。これは、試料が毛細管に沿って進むときの試料の分散を高めるように働く。
一般的なTDA測定において、毛細管に沿う固定の窓位置に配置された1つ以上の検出器(試料の種に応じる)が、全ての検出器窓又は各検出器窓を通過する試料の各断面において試料の濃度を検出するのに使用される(一般的に、光吸収量測定により)。全ての検出器又は各検出器からの出力は、時間的に分解された濃度分布(テイラーグラム)である。測定窓までの毛細管に沿った移動時間が十分に長いので、その移動時間の間に、試料は十分に分散され、テイラーグラムプロファイルは、その幅(σ)が以下の式(1)により流体力学的半径(R)に比例するガウス分布に近似する。
Figure 0007366020000001
ここで、kはボルツマン定数であり、Tは温度であり、ηは緩衝液粘度であり、rは毛細管の半径であり、τは毛細管(ガウシアンの略中央)における試料の滞留時間である。
図6は、毛細管に沿った2つの別の測定窓A及びBにて取得したテイラーグラムの例を示す。ここで、第2窓Bの滞留時間(τ)は、第1窓Aの滞留時間(τ)よりも大きい。図6に示されるように、時間と共に毛細管に沿って更に分散するので、窓Bで取得したテイラーグラムの幅(σ)は窓Aで取得したテイラーグラムの幅(σ)よりも大きい。この場合、Rは、以下の式(2)により、2つのガウシアンの幅σ、σと滞留時間t、tに関係する。
Figure 0007366020000002
上述した二窓解析は、非理想的初期試料プロファイル(t=0)に起因する一窓解析の不具合を説明するものと知られている。
試料内に1つより多い種又は群がある場合、所与の検出器窓で取得したテイラーグラムは、存在する種それぞれの濃度分布の重ね合わせを含む。
例えばプリセパレーションなど従来のTDAにおいて、種それぞれの構成成分の滞留時間は同じである。取得したテイラーグラムの平均値Rは、1つのガウシアンをフィッティングして求めてもよい。しかし、これは、有り得る溶液の多様性により不正確となり得て、特に、成分分布それぞれの幅と振幅が、テイラーグラムがガウシアンによく近似しない程度まで異なる場合に、不正確となり得る。テイラーグラムの平均値Rを求めるよりロバストな方法とは、分布のモーメントを解析することである。これは本質的に、分布の二次及び一次モーメントを(積分により)計算することで、テイラーグラムの幅と中心の決定を含む。
テイラーグラムのゼロ次モーメントd(t)は、次の面積積分であり、総濃度を生み出す。
Figure 0007366020000003
面積(Area)により除算された一次モーメントは、平均滞留時間を与える。
Figure 0007366020000004
面積(Area)により除算された二次モーメントは、平均分散を与える。
Figure 0007366020000005
別々の種それぞれに対応する分布を抽出することは、例えば複数のガウシアンをフィッティングすることにより、種それぞれに対応する構成成分の合計として取得したテイラーグラムを分解することを一般的に含み、テイラーグラムを含む成分種それぞれのσ(故に、各種のR)を抽出する。しかし、例えばプリセパレーションなど従来のTDAにおいて、多成分分析もまた、種それぞれの構成成分が同じ滞留時間を共有する場合に、有り得る溶液の多様性により不正確となり得る。例えば、R値が数nmという小ささで異なる場合に、モノマーピークと二量体ピークを区別することが難しい場合がある。この問題は、試料が粒子分離装置102、202を通過した後にTDAを実施することにより、つまり、ポストセパレーションにより、低減され得る。
試料が粒子分離装置102、202を通過した後にサイズにより粒子を分画する粒子分離装置において、それぞれサイズの異なる試料成分の滞留時間は、Rに伴う溶出時間の違いにより、同じではなくなるであろう。この場合、種/成分それぞれの成分ピークは、完全に又は少なくとも部分的に分解され得る。よって、粒子分離装置後にTDAを実施することにより、種それぞれの信頼性のあるR値を抽出する能力が大いに改善される。
図7は、本発明の実施形態による粒子特性評価プラットフォーム400の模式図である。プラットフォーム400は、粒子分離装置402と、粒子分離装置402の上流側に位置する第1TDA測定システム405と、粒子分離装置402の下流側に位置する第2TDA測定システム405’とを含む。分光光度計や光度計などの他の測定システム(例えば、UV分光光度計や光度計)は、例えば粒子分離装置402を出た後すぐに種濃度を測定するのに(例えば、従来のSEC測定を実施するのに)具備されてもよい。
第1TDA測定システム405は、毛細管405aと、第1検出器窓Aと、第2検出器窓Bとを含み、第2TDA測定システム405’は、毛細管405a’と、第1検出器A’と、第2検出器窓B’とを含む。使用時には、試料は、入力403から、第1プレセパレーション、TDA測定が実施される第1TDA測定システム405に流される。試料はその後、粒径などの粒子特性に基づいて試料を分離するために粒子分離装置402に流される。粒子分離装置402を通過した後、試料は、第2ポストセパレーション、TDA測定を実施するために第2TDA測定システム405’に流される。
分離測定システムとして図7に示されるが、第1及び第2TDA測定システム405、405’は、同じ検出器を共有してもよい。例えば、毛細管405aへは、第1TDA測定システム405の検出器窓A及びBを介して戻ってもよい。図2及び3に示されるように、他の測定システムが粒子分離装置402の上流側と下流側に含まれてもよいことが理解されるであろう。
以下では、上記に提案された方法を立証するのに、プリセパレーションテイラーグラムとポストセパレーションのテイラーグラムが、様々な試料混合物についてシミュレートされる。シミュレーションにおいて、粒子分離装置402はSECカラムであると仮定され、種それぞれのテイラーグラムはガウス分布を呈すると仮定される。この例において、検出窓A、Bと、検出窓A’、B’とは、720秒というそれぞれの滞留時間における差で分けられる。相対SECカラム滞留時間(又は溶出時間)tは、t=a+bR によりR (故に分子量)と相関すると仮定される。ここで、aは2703と任意に設定され、bは-2.1と設定される(実際の測定条件の設定に実験則で一致することは、この関数又は他の幾つかの関数を用いて、実験により決定され得る)。シミュレーティングされたテイラーグラムは、各検出器窓A、B、A’、B’で実施される吸光度測定を表す。
図8aは、平均粒径が3.8±0.2nmであるモノマー状のウシ血清アルブミン(BSA)を含む試験試料1用の第1TDA測定システム405の窓A及びBで取得したpre-SECテイラーグラムを示す。図8bは、第2TDA測定システム405’の窓A’及びB’で取得した対応するpost-SECテイラーグラムを示す。試料中には種が一つだけ存在するので、pre-SECテイラーグラムとpost-SECテイラーグラムの両方とも、1つの分布を示す。
図9aと9bは、80:15:5の相対比率で、BSA(3.8±0.2nm)と5.4nmと10nmの大きさの溶出した凝集体との混合物を含む試験試料2のpre-SECテイラーグラムとpost-SECテイラーグラムをそれぞれ示す。プリセパレーションでは、唯一のピークが各検出窓で分解される(図8a参照)。図9bに図示するように、ポストセパレーションテイラーグラムA’とB’では、1つ以上の追加的な凝集体に対応して、より短い滞留時間で追加的なピークが分解される。
図10aと10bは、同じ80:15:5の相対比率で、BSA(3.8±0.2nm)と5.4nmと60nmの大きさの溶出した凝集体との混合物を含む試験試料3のシミュレーション結果を示す。この場合、SECカラムは、60nmの粒子を排除し、短い滞留時間ピークが観察されない。post-SECテイラーグラムA’とB’では、BSAと5.4nmの凝集体の個々の分布は、重畳されて分解されない。
Figure 0007366020000006
算出されたモーメントの相対変化(式3及び4)post-SECは、平均値Rを与え、これは、平均値Rpre-SECと比較され得る(post-SECでは、標準偏差/二次モーメントが分離により間違っていたり過大評価されたりし得るため、モーメント法は、単一の窓に作用できない。しかし、2つの窓での値の差は、分離とは無関係である。)。
上記の表1は、式2~4におけるモーメント解析を用いた各試験試料のプレ及びポスト粒子分離シミュレーションから取得した、Rの加重平均値とテイラーグラムの下での面積(粒子の濃度に比例する)とを示す。示されるように、試験試料1と2のRのpre-SEC加重平均値及びpost-SEC加重平均値は、よく一致する。これは、分離中に粒子が失われていないことを示す指標となる。pre-SEC面積とpost-SEC面積の比較は、これを確認する追加的又は代替的指標となる。対照的に、60nmというより大きい粒子を含んだ試験試料3のRと面積のpre-SECとpost-SEC加重平均値は、一致しない。これは、粒子が分離中に失われていることを示す指標となる。
(例えば、モーメントを用いて)平均R値を決めること、又は、複数のガウシアンをフィッティングすることにより各構成成分のR値を決めること、に追加して又はその代わりに、テイラーグラムの非負最小二乗(NNLS)解析を用いて、試料中に存在する全ての種又はそれぞれの種の粒径分布を抽出してもよい。有利には、ポスト粒子分離テイラーグラムのNNLS解析もまた、以下に実証されるように、より分解された粒子分布をもたらし得る。
NNLS法は、以下の式に設定される非負値解を見つけることが目的であるフィッティング法である。
Figure 0007366020000007
ここでは、Aは、行列Fを構成する任意関数fの係数(又は比率)の配列である。行列乗算の結果は、合成分配dである。よって、Fがm×n行列(つまり、長さの変数mのn個の関数がある)の場合に、Aはn×1配列で、dはm×1配列である。一般的に、式5の厳密解は見つけられない。よって、代わりに、最適解が、Aの構成要素がゼロ以上である(つまり、非負)ことを条件に、残差||F*A-d||2のノルムを最小化することによって取得される。
この場合、dは時間依存テイラーグラムである。試料が十分に分散されるパルステイラーグラムの場合、関数Fは、次の形式の時間依存ガウシアンを含む。
Figure 0007366020000008
ここで、tは測定時間であり、τは滞留時間であり、σは(例えば、式1又は2から)試料のRを求める幅である。Aは、テイラーグラムdに関数Fが寄与する時間依存ガウシアンそれぞれの係数の配列である。そういうわけで、Aは粒径分布として知られている。以下に、2成分テイラーグラムの一例を示す。
Figure 0007366020000009
関数Fの各列は、テイラーグラムの各成分の時間依存ガウシアンである(つまり、試料内に存在する各種)。式5(又は7)は、逆Fを左側から両辺に掛けることでAについて解いてもよい。
Figure 0007366020000010
TDA測定の従来のプリセパレーションNNLS解析において、全ての関数Fは、例えば、τ、τ=τのように、同じ滞留時間を有すると仮定される。一方、ポストセパレーション解析では、各関数Fは、例えば、τ≠τという異なる滞留時間を有すると仮定される。
NNLSフィッティング処理において、実験データに対する式5又は7の最も適合するもの(ベストフィット)を決定するために、Rは、ある範囲の値に渡って走査される。特定の滞留時間に走査されるR値の数と範囲は、ユーザー定義であってもよいが、事前に推定してもよい。図7に示されるもののような理想的実験セットアップにおいて、テイラーグラム幅と滞留時間との間には周知の先験的な相関関係があり、これは、特定の滞留時間に走査されるRの範囲を限定するのに用いられる。例えば、SECでは、分子量と滞留時間との間に相関関係がある。この相関関係は、周知であるか、又は、初期の校正段階から決定されてもよく、これにより、ある範囲の周知のRを持つ試料がその滞留時間を決定するのに解析される。続く結果にて、相関関係t=a+bR が仮定される(初期シミュレーション用に使用されたように)。
図11aと11bは、図8aと8b(試験試料1)のテイラーグラムから、NNLS法を用いて抽出したpre-SEC粒径分布とpost-SEC粒径分布とをそれぞれ示す。窓A’とB’でのテイラーグラムは、同じ結果(図示無し)をもたらす。pre-SEC粒径分布とpost-SEC粒径分布の両方が約3.8nmでピークを示し、BSAの大きさと良好に一致する。図12aと12bは、図9aと9bのテイラーグラム(試験試料2)から抽出した対応するpre-SEC粒径分布とpost-SEC粒径分布とをそれぞれ示す。図12aに見られるように、pre-SEC粒径分布において、約10nmでピークが分解されるが、BSA(3.8nm)と5.4nm粒子の分布は、互いに区別されない。対照的に、post-SEC粒子分布では、BSA(3.8nm)と5.4nm粒子用に異なるピークが明確に分解される。
図13aと13bは、図10aと10b(試験試料3)のテイラーグラムから抽出したpre-SEC粒径分布とpost-SEC粒径分布とをそれぞれ示す。pre-SEC粒径分布(図13a)では、約60nmでピークが分解されるが、BSA(3.8nm)と5.4nmのピークは、互いに区別されない。post-SEC粒子分布では、試験試料2の結果と同様、BSA(3.8nm)と5.4nm粒子のピークは明確に分解される。しかし、この場合、60nm粒子がSECカラムで排除されているので、60nmではピークが観測されない。
上述したNNLS法は、成分のポストセパレーション滞留時間とRとの間の相関の先験的知識に依存する。これは、上述したように、基準測定により校正されてもよい。追加的に、ある特定の滞留時間で予測されるテイラーグラム幅は、カラムの形状のため、従来のプリセパレーションTDAで予測されるものと同じではないであろう。この効果も、基準測定から決定される必要がある。対照的に、複数のガウシアンをフィッティングして複数成分のポストセパレーションテイラーグラムを解析することは、比較的容易であり、且つ、テイラーグラム幅と滞留時間との間の相関関係の先験的知識を必要としない。
代替的に又は追加的に、滞留時間は、2つの連続する測定窓(例えば、窓A’とB’)の間で観測される分散が一致するように調整され得る。
上記例は、提案された方法の利点を実証する。プレ及びポストセパレーションTDAは、SEC測定の結果を立証又は増大するのに使用され得る直交する結果を提供する。上記例は、pre-SEC及びpost-SECTDA測定を解析及び比較するが、これは、粒子分離前に実施される第1測定を粒子分離後に実施される第2測定と比較することの単なる一例であると解釈されるであろう。例えば、UV測光及びDLSなどの他の測定技術でも、同様の結果が得られ得る。特に、上記のNNLSフィッティング法は、粒子分離の前及び後に実施されるDLS測定にも適応され得る。
いくつかの実施形態において、第1粒子特性評価技術はUV分光と静的光散乱を含み、粒子分離装置はクロマトグラフィーカラム(例えば、SECカラム)を含み、第2粒子特性評価技術は、UV分光と静的光散乱とを含み得る。
例えば、第一特性評価技術及び第二特性評価技術を実現するのに、Omnisec Resolve又は同様の装置を用いてもよい。Omnisec Resolveのセンシングモダリティは、以下の4つの検出タイプを含む。原則、屈折率検出器と粘度計の一方又は両方は省略されてもよい。

<検出器1>
検出器: 光散乱
測定原理: 散乱角90度での直角度光散乱(RALS)、散乱角7度での低角度光散乱(LALS)
光源: 640nmレーザー

<検出器2>
検出器: 示差屈折率
測定原理: 偏向
セル体積: 12μL

<検出器3>
検出器: 粘度計
測定原則: 自動平衡機構とユーザーにより取り換え可能な毛細管を有する4-毛細管ホイートストンブリッジ

<検出器4>
検出器: ダイオードアレイに基づく紫外可視(UV/Vis)光度計
波長: 190~900nm
波長数: 1024
波長精度: <1nm
波長分解能: 0.6nm

多くの異なる測定タイプを実施するのに、4つの異なる型の検出器を使用してもよい。

<測定タイプ1>
測定タイプ: 絶対分子量
測定領域: 200->107g/mol
定量可能な最小質量: THF内の分子量100kDaのポリスチレン100ng
測定原則: 光散乱(LALS又はRALS)

<測定タイプ2>
測定タイプ: 固有粘度
定量可能な最小質量: THF内の分子量100kDaのポリスチレン1μg
測定原則: 4-毛細管ホイートストンブリッジ

<測定タイプ3>
測定タイプ: 濃度
定量可能な最小質量: THF内の分子量100kDaのポリスチレン100ng
測定原則: 示差屈折率検出

粒子分離装置は、クロマトグラフィーカラムを有するOmnisec Revealを含んでもよい。これにより、クロマトグラフィーを用いる粒子分離用の自動HPLCシステムが実現する。他の実施形態において、粒子分離用にいかなるクロマトグラフィーシステムを用いても良い(例えば、40MPaより高い圧力を有する液体クロマトグラフィーシステム)。
別々のSEC分析、光散乱分析、及び光学顕微鏡分析を含む混合ワークフローは、試料がSECカラムを介して流れる前及び後に、光散乱と紫外可視(UV-Vis)分光測定(例えば、吸光測定)が同じ試料に実施される自動システムと比較され得る。
一実施形態について測定を実施して、結果を組み合わせるのに要する時間は、一般的な複合ワークフローよりも約5倍速い。
多くのカテゴリそれぞれにおける粒子の量比が決定され得る。そのカテゴリは、
LMW/フラグメント(モノマーより小さい粒径又は分子量を持つ粒子)と、
モノマーと、
HMW/凝集体(二量体、三量体、及び他の多量体など、モノマーより大きい粒径又は分子量を持つ)と、
VHMW(高分子量粒子又は粒径の非常に大きい粒子)と、
を含んでもよい。
量比は、粒子質量に基づく濃度(例えば、吸収率に基づく)を含んでもよい。
VHMW量は、分離の前と後の全吸収の差から(例えば、分離前の吸収ピーク下の面積から、分離装置/SECカラムを介して溶出した後の吸収ピーク下の総面積をマイナスしたものから)推定され得る。
LMW、モノマー、及びHMWの比率は、光散乱(分離された試料が光散乱検出器を通過するときの分離された試料の各成分の粒径又は分子量についての情報を提供する)とUV光度測定の組み合わせから推定されてもよい。これにより、各成分の濃度の定量的測定が実現される。例えば、溶出時間測定と光散乱測定の組み合わせは、溶出UV光度測定において各ピークをLMW、モノマー、又はHMWに属すると分類するのに使用されてもよい。分離の前と後の総濃度の差は、VHMW濃度を提供するのに使用されてもよい。
最も簡単なものとして、UV光度測定は、上述したカテゴリそれぞれにおいて様々な比率を推定するのに使用されてもよい。モノマーの溶出時間が既知の場合、これより早く溶出されたピークはLMWと分類され、これより後のピークはHMWと分類できる(予測される溶出時間でのピークがモノマーである)。いかなる「失われている」濃度(分離前には存在したが後には存在しない吸収)は、VHMWに起因し得る。
いくつかの情報は、他の測定モダリティ無しでもVHMWについての推測を可能とし得る(分離前後のUV吸収以外)。例えば、VHMW粒子の粒径は、分離装置に通過を許可されないように、又は、分離装置を通過しないように、十分な大きさを有していなければならない。これにより、最小粒径が推定可能となる(例えば、カラム入力でのフリットサイズに基づいて)。
しかし、試料のVHMW成分の特徴、例えば、この成分の平均粒径(例えば、Dv50)、多分散性、又は粒径分布などについて、より多くの情報を得ることができることが好ましいであろう。分離の前及び後に実施される光散乱測定(例えば、静的光散乱又は動的光散乱)は、これが達成され得る一つの方法である。分離前の散乱光の特徴は、分離後の散乱光の特徴と比較され得る。LMW、モノマー及びHMW成分についての情報は、第2測定から推定され得る(分離後)。LMW、モノマー及びHMW成分の散乱寄与が分かると、VHMW成分の散乱寄与が推定できる。そして、この散乱寄与は、VHMW成分を特徴付けるのに(例えば、VHMW成分の平均粒径、多分散性、又は粒径分布を提供するのに)使用できる。
これら原則に基づいて実施された実験が実施され、従来技術のハイブリッド測定方法と比較され、よく一致することが分かった。
図14は、一実施形態による粒子特性評価プラットフォームの一実施形態を図示する。この粒子特性評価プラットフォームは、オートサンプラ601と、第1測定システム611と、第1フィルタ621と、SECカラム602と、第2フィルタ622と、第2測定システム612とを含む。
オートサンプラ601は、HPLCガラス瓶やマイクロタイタープレートなど、複数の試料を受けるように構成され、且つ、第1測定システム611を介してカラムに試料を自動的に注入し、液体クロマトグラフィーを実施するために溶離液により試料を溶出するように構成される。
第1測定システム611と第2測定システム612は、UV光度計と散乱光検出器(例えば、直角散乱又は小角散乱)とを含む。プラットフォーム600は、第1測定システム611、SECカラム602、その後に第2測定システム612を介して試料を流すように構成される。幾つかの実施形態において、SECカラム602の出力は、第2測定用に第1測定システム611に戻るように導かれてもよい(そして、第2測定システム612は省略される)。
一実施形態において取得されるクロマトグラム500の一例が図15に模試的に図示される。この一例において、クロマトグラム信号は、UV吸収と仮定され、試料の全ての成分(分離工程に対応しない任意の大きい粒子を含む)を含むプリセパレーションピーク501を含む。クロマトグラム500は、信号ピーク502ポストセパレーションを更に含む。これらポストセパレーションピークそれぞれは、試料の成分に対応する。第1測定がUV測光と散乱測光の両方を含む例において、測定データは、2つのクロマトグラムを含み得る。1つはUV吸収用(つまり、UVクロマトグラム)であり、もう1つは散乱強度(散乱クロマトグラムと呼ばれ得る)である。
異なるカテゴリにおける試料中の粒子の比率の定量分析に関する例示的なワークフローを、以下に記載する。
UVクロマトグラムは、演算オーバーヘッドを低減するために、最初にサブサンプリングされてもよい。これは必須ではないが、事を早める。サブサンプリングは、ベースラインをデータに合わせ、ピークを認識するのに要する時間を減らすのに役に立つ。正確性を維持するために、ピーク面積を決定するのにフルデータセットを使用してもよい。
ベースラインはデータにフィッティングされ得て、且つ、顕著なピークが認識され得る(例えば、データ内の極大値を見つけることによって)。クロマトグラムの活性領域は、最大ピークの位置を参照して決定されてもよく、凝集研究では、対象のモノマーに対応すべきである。活性領域は、最大ピークの位置及び幅を参照して決定されてもよく、解析されるモノマーの特徴に応答できる。例えば、活性領域は、最大ピークから所定の数の最大ピーク幅を差し引いた位置で始まり、最大ピークに所定の数の最大ピーク幅を足した位置で終わってもよい。
活性領域内のデータは、時間的に隔たりのある疑似ガウスプロファイルをデータにフルフィットするデコンボリューションアルゴリズムに送信され得る。
Figure 0007366020000011
未知数は、データに対するベストフィットが見つかるまで様々な中心時刻Cでプロファイルをフィッティングすること解かれる振幅Aと幅σである。これは、以下の行列方程式を解く非負最小二乗フィットにより達成され得る。
Figure 0007366020000012
ここで、この表現において、Tは幅と中心時刻の選択された組み合わせを有する単位振幅疑似ガウシアンの行列であり、yはクロマトグラムデータであり、Aは解かれる振幅ベクトルである。
走査される中心時刻と幅は、事前に選択されてもよい。演算時間を速めるために、認識されたモノマーピークの半分の幅で離間された中心時刻を分解に用いてもよい。幅アレイの初期推定値は、1√8×モノマー幅から2×モノマー幅まで対数的に離間し得る。
モノマー、フラグメント、及び凝集体に対応するクロマトグラムの領域は、フィッティングされた溶液から決定可能である。モノマーピークのいずれかの側の第1の顕著なショルダーは、モノマー領域の端点と認識され得る。
顕著なショルダーは、以下の場合に認識され得る。
i. 勾配中の転換点の突起が最大突起の0.5%より大きい、又は
ii. 転換点が、最大の0.1%より大きい突起を持つブロードなピークであり、推定されるモノマー幅の5分の1より大きい半幅を有する、又は、
iii.(i)と(ii)の条件のいずれかが満たされ、ショルダーがモノマーピーク最大値から1.2×モノマー幅の距離より大きい。これは、最大値付近のスプリアスショルダーが拾い上げられないことを確実にするためである。
各領域内のピークが認識されフィッティングされると、各領域内の面積の合計を決定することは容易であり、且つ、これを、試料内の各部分の濃度を反映する割合に転換することも容易である。
UVクロマトグラフを使用して、クロマトグラフの領域(つまり、試料のこれら成分に対応する溶出時間)を認識し、且つ、その後にこれらを散乱クロマトグラムに適用することは有利であり得る。
各ピーク(試料成分に対応する)について、UVクロマトグラフと散乱クロマトグラフの面積の比率は、そのピークの粒径/相対分子量を予測するために演算され得る。
プリセパレーション測定データは、リニアフィット(ベースラインを除去するため)と、プリセパレーションUV吸収ピークにフィッティングされた疑似ガウシアン(例えば、時間依存ガウシアン)と、の組み合わせとして扱うことができる。
このピーク下の面積が、ポストセパレーションUV吸収ピーク下の総面積と比較されることで、試料内に存在する任意の有り得るVHMW成分についての情報が提供されてもよい。セパレーション前の総UV吸収とセパレーション後の総UV吸収との不一致は、試料内のVHMW含有量に常に起因するわけではない。場合によっては、分離装置/SECカラム内における、凝集体、モノマー、又はフラグメントの損失があり得る。これは、VHMW粒子に起因しない、分離前の総吸収と分離後の総吸収との差につながり得る。
VHMW粒子の誤認識を回避するために、VHMW粒子用に二次的な指標を使用してもよい。二次的な指標は、合計信号(例えば、UV吸収又は散乱)の誤差についての閾値を含んでもよい。UV吸収における少なくとも5%又は少なくとも10%という誤差は、VHMW粒子を示唆し得る。全散乱光における誤差(つまり、分離前と後の散乱光強度信号下の面積の違い)もまた、VHMW粒子を示唆し得る。大きい粒子はより強く光を散乱するので、光散乱はより大きい粒子に対してより敏感である。また、VHMW粒子が存在する場合、比較的大きな誤差(例えば、40%より大きい又は50%より大きい)が分離前と後の光散乱において確認され得る。UV吸収誤差と全散乱誤差とを組み合わせることにより、比較的信頼性を持ってVHMW粒子の示唆をすることができる。例えば、UV吸収における誤差が5%以上あり、且つ、全散乱における誤差が40%又は45%以上ある場合、VHMW粒子が関与していることが高い信頼性を持って推測され得る。
VHMW粒子が、プレセパレーション測定及びポストセパレーション測定における全信号(例えば、吸収又は散乱)に誤差を引き起こしていることを立証するための代替的な二次的な指標は、プレセパレーション解析及びポストセパレーション解析から決定される平均分子量を調べることである。ある特定の閾値を超える平均分子量における誤差は、VHMW粒子を示唆し得る。閾値は、例えば2又は2.2である。
二次的な指標が存在する場合、分離前と分離後のUV吸収における差は、VHMW粒子を含む試料の質量比率を予測するために使用されてもよい。VHMW粒子の二次的な指標が伴わないUV吸収(及び、第2測定ポストセパレーションにだけ基づくフラグメント、モノマー、及び凝集体の比率)における誤差は、無視されてもよい。
添付の特許請求の範囲で定義された発明の範囲内には、他の実施形態も存在することが意図される。

Claims (15)

  1. 粒子を含む試料の特徴を評価する方法であって、
    第1粒子特性評価技術を用いて、試料について第1測定を実施することと、
    前記第1粒子特性評価技術から粒子分離装置へ前記試料を流すことと、
    前記粒子分離装置により前記試料を分離することと、
    前記分離された試料について第2測定を実施することと、
    前記第1測定と前記第2測定を比較して、前記試料の粒子全てが前記分離装置を通過したかを判断することと、
    前記試料の粒子特性分布を決定することと、
    を含む、方法。
  2. 前記粒子分離装置は、サイズ排除クロマトグラフィーカラムを含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記粒子特性は、粒子質量又は粒径である、
    請求項に記載の方法。
  4. 前記分離装置から前記第1粒子特性評価技術に前記試料を戻すように流すことを更に含む、
    請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第2測定を実施することは、前記第1粒子特性評価技術を用いて前記試料について前記第2測定を実施することを含む、
    請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記粒子分離装置で前記試料を分離する前、及び、後の少なくとも一方に、前記試料について追加の測定を実施することを更に含み、
    前記追加の測定を実施することは、前記第1粒子特性評価技術を用いて前記試料について追加の測定を実施すること、又は、第2粒子特性評価技術を用いて前記試料について追加の測定を実施すること、を含み、該第2粒子特性評価技術は前記第1粒子特性評価技術とは異なる、
    請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第1測定と前記第2測定とを比較することは、
    前記第2測定が前記第1測定と一致するかを判断することと、
    前記第2測定が前記第1測定と一致する場合には、前記試料の粒子全てが前記分離装置を通過したと判断することと、
    前記第2測定が前記第1測定と一致しない場合には、前記試料の粒子全てが前記分離装置を通過したわけではないと判断することと、を含む、
    請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記第1粒子特性評価技術から前記粒子分離装置に前記試料を流すことは、前記第1粒子特性評価技術から前記粒子分離装置に前記試料を方向付けるように、弁を操作することを含む、
    請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記第1粒子特性評価技術及び第2粒子特性評価技術の少なくとも一方は、1つ以上のアンサンブル粒子特性評価技術を含み、
    前記1つ以上のアンサンブル粒子特性評価技術は、UV分光、動的光散乱、静的光散乱、テイラー分散分析、及びUV測光を含むグループから選定される、
    請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  10. 第1粒子特性評価技術に従って測定を実施する測定システムと、
    粒子を含む試料を分離する粒子分離装置と、
    を含む粒子特性評価プラットフォームであって、
    前記粒子特性評価プラットフォームは、請求項1からのいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される、
    粒子特性評価プラットフォーム。
  11. 前記粒子分離装置は、サイズ排除クロマトグラフィーカラムを含み、かつ/又は、
    前記測定システムは、第2粒子特性評価技術に従って測定を実施するように更に構成される、
    請求項1に記載の粒子特性評価プラットフォーム。
  12. 前記粒子特性評価プラットフォームは、前記第1測定を実施するために前記測定システムに試料を流し、その後、前記試料を分離するために前記粒子分離装置に前記試料を流し、そしてその後、前記第2測定を実施するために前記測定システムに前記試料を戻すように流すように構成される、
    請求項1又は1に記載の粒子特性評価プラットフォーム。
  13. 前記測定システムは第1測定システムであり、前記粒子特性評価プラットフォームは第2測定システムを含み、前記粒子特性評価プラットフォームは、試料を、前記第1測定を実施するために前記第1測定システムに流し、その後、前記試料を分離するために前記粒子分離装置に前記試料を流し、そしてその後、前記第2測定を実施するために前記第2測定システムに前記試料を流すように構成される、
    請求項1から1のいずれか一項に記載の粒子特性評価プラットフォーム。
  14. 前記第1測定及び前記第2測定の少なくとも一方は、UV測光と光散乱を含む、
    請求項1から1のいずれか一項に記載の粒子特性評価プラットフォーム。
  15. 前記粒子特性評価プラットフォームは、
    i)対象の粒子の相対分子量の大きさに応じたモノマー、
    ii)前記モノマーよりも小さい粒径又は分子量を持つ粒子、
    iii)モノマーのオリゴマー、又は、モノマーより大きい粒径又は分子量を持ち、前記第2測定から排除される粒径又は分子量までの粒子、及び
    iv)第2測定から排除される粒子を含む大きな凝集体、
    のカテゴリにおいて、前記試料の比率の定量分析を提供するように構成される、
    請求項1から1のいずれか一項に記載の粒子特性評価プラットフォーム。
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