JP7365246B2 - コンクリート充填鋼管部材、接合構造及び接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート充填鋼管部材等に関する。
鉄筋コンクリート(以下、RCとも言う。)高架橋などのコンクリート構造体に係る技術として、コンクリート充填鋼管部材(以下、CFT部材とも言う。)と鉄筋コンクリート部材とを接合する技術がある(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
特開2015-090046号公報 特開2002-129652号公報
CFT部材と鉄筋コンクリート部材とを接合する構造では、従来、頭付きスタッドジベルや、孔あき鋼板ジベル等をCFT部材の鋼管部に溶接し、これを巻き込むように鉄筋コンクリート部材を構築する。頭付きスタッドジベルや孔あき鋼板ジベル等の鋼部材への溶接は、作業時間や施工費が増加する。また、溶接に伴う鋼材の変形や、溶接箇所に残留応力が生じるおそれもある。その為、溶接を必要としないCFT部材と鉄筋コンクリート部材との接合方法が求められている。
また、工事管理の観点から、溶接や型枠工が可能な技能労働者が減少していることへの対応や、早期開業・工期短縮への対応も望まれている。
また、RC高架橋の高架下の有効利用等のために、梁や桁の長スパン化に対する需要が多いが、梁や桁を長スパン化すると、鉄筋量が多くなる傾向にあるため、施工性が悪くなる。すなわち、RC高架橋を現場で構築する場合、構築する部材を支保工等で受ける必要がある。支保工を組み立てるためには、仮足場や施工場所の確保が必要となり、当然、施工場所や施工時間、施工費は、梁や桁のスパンが長い程多く必要となる。また、鉄筋や型枠を現地で組み立てには、熟練された技術や多くの作業者を必要とするが、これも梁や桁のスパンが長い程多く必要となる。このように、RC高架橋等のコンクリート構造に関して、現場での鉄筋や型枠の組み立てを削減する工法も求められている。
本発明は、CFT部材と鉄筋コンクリート部材との接合に係り溶接を不要とする接合技術を提供すること、を第1の課題として考案されたものである。また、第1の課題を解決する技術でありながら、RC高架橋等のコンクリート構造に係り、現場での鉄筋や型枠の組み立てを削減すること、を第2の課題とする。
上述した課題を解決するための第1の発明は、現場で打設される鉄筋コンクリート部材に接合するコンクリート充填鋼管部材(CFT部材)であって、鋼管の前記鉄筋コンクリート部材との接合面に設けられた挿入孔部と、両端の差込部が前記挿入孔部に挿入され、両端の差込部を連結する連結部が前記挿入孔部の外に出た状態とされて、当該連結部が前記鉄筋コンクリート部材内に埋設されるズレ止め鉄筋と、コンクリートが充填された鋼管内部の充填部と、を備えたコンクリート充填鋼管部材である。
第1の発明によれば、鋼管内にズレ止め鉄筋の差込部が挿入されたままコンクリートが充填されるため、ズレ止め鉄筋は鋼管に対して強固に定着される。そして、ズレ止め鉄筋の連結部は、当該コンクリート充填鋼管部材(CFT部材)に接合される鉄筋コンクリート部材内に埋設される。よって、第1の発明のコンクリート充填鋼管部材と、鉄筋コンクリート部材とは、溶接無しに強固に接合される。
そして、第1の発明のコンクリート充填鋼管部材(CFT部材)を、ラーメン高架橋の梁や桁等として用いることで、梁や桁に係る鉄筋や型枠の組み立てを省略できるので、施工場所や施工時間の低減が可能になる。なお、ここで言う「鉄筋コンクリート部材」は、必ずしも鉄筋とコンクリートのみで出来ている部材を意味しない。例えば、構造材としてH形鋼などの鉄骨部材を用いた鉄骨鉄筋コンクリート部材も含まれる。
第2の発明は、前記充填部を形成するためのコンクリートを注入する注入口、を更に備えた第1の発明のコンクリート充填鋼管部材である。
第2の発明によれば、コンクリートの注入口を備えているので、現場でコンクリートを充填することが可能になる。よって、予めコンクリートの充填まで終わらせて完成品としてのコンクリート充填鋼管部材(CFT部材)を、所定位置へ設置する工法も可能であるし、未充填の鋼管(又はズレ止め鉄筋の設置も済ませた状態の鋼管)を所定位置に設置した後にコンクリートを現場で充填する工法も可能になる。
第3の発明は、前記挿入孔部が、前記鋼管の長手方向に沿って前記接合面に複数設けられ、前記ズレ止め鉄筋は、前記挿入孔部それぞれに対して設置され、前記長手方向に沿って設置された前記ズレ止め鉄筋同士の前記連結部を連結する連結鉄筋、を更に備えた第1又は第2の発明のコンクリート充填鋼管部材である。
第3の発明によれば、複数のズレ止め鉄筋は連結鉄筋により一体的に連結されるので、コンクリート充填鋼管部材と鉄筋コンクリート部材との接合強度を向上できる。
第4の発明は、前記差込部が前記挿入孔部に挿入された前記ズレ止め鉄筋を前記鋼管に対して仮留めする仮留め構造、を更に備えた第1~第3の何れかの発明のコンクリート充填鋼管部材である。
第4の発明によれば、ズレ止め鉄筋の配筋工程が容易になる。
第5の発明は、前記仮留め構造が、前記ズレ止め鉄筋の前記挿入孔部から外に出た部分を挟持するクリップである、第4の発明のコンクリート充填鋼管部材である。
第5の発明によれば、ズレ止め鉄筋の設置を行う作業者は、挿入孔部に対するズレ止め鉄筋の位置を合わせて、ズレ止め鉄筋の挿入孔部から外に出た部分にクリップを嵌めれば仮留め作業を完成できる。すなわち、仮留めの工程が容易となる。また、ズレ止め鉄筋の位置の修正も容易となる。
第6の発明は、前記仮止め構造が、前記ズレ止め鉄筋を、前記鋼管の厚みを挟んで締結する締結部である、第4の発明のコンクリート充填鋼管部材である。
第6の発明によれば、仮留め構造を、ズレ止め鉄筋と鋼管との連結強度を確保する部位として用いることが可能になる。従って、ズレ止め鉄筋の差込部の長さが十分確保できない状況であっても、仮留め構造で連結強度を確保できるので、コンクリート充填鋼管部材(CFT部材)の設計自由度が向上する。
第7の発明は、前記仮留め構造が、前記連結部の屈曲形状で構成されている、第4の発明のコンクリート充填鋼管部材である。
第7の発明によれば、仮留めを実現するために、別途、仮留め用の鉄筋や結束線などの部材を用意しなくても済むので、工費節減と工数低減に役立つ。
第8の発明は、前記挿入孔部が、1つの前記ズレ止め鉄筋に対する2つの孔部の組み合わせでなる、第1~第7の何れかの発明のコンクリート充填鋼管部材である。
第8の発明によれば、2本の差込部に一対一で対応する2つの孔部が用意されているので、鋼管に対するズレ止め鉄筋の設置位置や設置姿勢が明確となり、ズレ止め鉄筋の設置工程の作業性が向上する。
第9の発明は、前記鉄筋コンクリート部材はスラブであり、前記コンクリート充填鋼管部材は横架材である、第1~第8の何れかの発明のコンクリート充填鋼管部材である。
第9の発明によれば、第1~第8の何れかの発明のコンクリート充填鋼管部材を梁や桁とする有床コンクリート構造体が実現される。横架材を現場で型枠組立・配筋・コンクリート打設を行って構築する場合よりも、梁や桁といった横架材をコンクリート充填鋼管部材(CFT部材)とすることで、型枠や鉄筋を現場で組み立てる配筋工程を省略でき、施工性が向上する。当然、型枠や鉄筋の前提となる支保工等も必要なくなるので、支保工のための施工場所や施工時間、施工費を縮減できる。また、それらを実現する作業者の熟練技術や多くの作業品も必要としない。
第10の発明は、現場で打設される鉄筋コンクリート部材と、前記鉄筋コンクリート部材に接合する第1~第9の何れかの発明のコンクリート充填鋼管部材と、を具備した接合構造である。
第10の発明によれば、第1~第9の何れかの発明のコンクリート充填鋼管部材を用いたコンクリート構造体が実現される。当該コンクリート充填鋼管部材に相当する部位を従来通り現場で型枠組立・配筋・コンクリート打設して構築する場合に比べて、型枠や鉄筋を現場で組み立てる配筋工程の省略、支保工の省略、支保工のための施工場所や施工時間、施工費を縮減できる。
第11の発明は、コンクリート充填鋼管部材と現場で打設される鉄筋コンクリート部材との接合方法であって、側面に挿入孔部を有する前記コンクリート充填鋼管部材の未充填状態の鋼管を、前記挿入孔部を前記鉄筋コンクリート部材に向けた姿勢で設置する鋼管設置工程と、前記鋼管設置工程の後に、両端の差込部が連結部で連結されて形成されたズレ止め鉄筋の前記両端の差込部を、前記挿入孔部を通じて前記鋼管内に挿入するズレ止め鉄筋設置工程と、前記ズレ止め鉄筋設置工程の後に、前記鋼管にコンクリートを充填する充填工程と、前記充填工程の後に、前記連結部を埋設するように前記鉄筋コンクリート部材に係る打設を行う鉄筋コンクリート打設工程と、を含む接合方法である。
第11の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができる。
第1実施形態における鉄道用RC高架橋を示す図。 CFT梁とスラブの接合部周りの構造例を示す断面図。 第1実施形態における鋼管をスラブとの接合面から見た上面図。 第1実施形態におけるズレ止め鉄筋の構成例を示す図。 第1実施形態における仮留め構造の構成例を示す斜視図。 コンクリート構造体の接合構造を実現する接合方法のフローチャート。 鋼管設置工程と、ズレ止め鉄筋設置工程と、を説明するための図。 連結工程を説明するための図。 充填工程を説明するための図。 充填工程を説明するための図。 第2実施形態におけるCFT梁とスラブの接合部周りの構造例を示す断面図。 第2実施形態におけるズレ止め鉄筋と仮留め構造の構成例を示す図。 第2実施形態における鋼管をスラブとの接合面から見た上面図。 ズレ止め鉄筋の変形例を示す図(その1)。 ズレ止め鉄筋の変形例を示す図(その2)。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限られないことは勿論である。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明が適用されたコンクリート構造体の第1実施形態として、鉄道用RC高架橋を示す図である。鉄道用RC高架橋4は、柱5と、CFT桁10Kと、CFT梁10Hと、スラブ50とを有し、スラブ50の上面に軌道6と防音フェンス7などを備える。
CFT桁10KとCFT梁10Hは、コンクリート充填鋼管部材(CFT部材)である。スラブ50は、現場で、配筋・型組み・コンクリート打設が行われる鉄筋コンクリート部材である。柱5は、CFT桁10K及びCFT梁10Hに接合され、CFT桁10K・CFT梁10H・スラブ50の三者は相互に接合されている。
図2は、鉄道用RC高架橋4のCFT梁10Hとスラブ50の接合部周りの構造例を示す断面図である。なお、理解を容易にするために、スラブ50のコンクリート部分は図示を省略している。また、図2には、CFT梁10Hの長手方向とスラブ50との接合面の向きを軸方向で示す直交3軸を示す。以降の図中で示される直交3軸はこれと同じものである。
CFT梁10Hは、鋼管11と、鋼管11の長手方向に複数設置されるズレ止め鉄筋20と、連結鉄筋30と、充填部32と、仮留め構造40と、を備える。
図3は、鋼管11をスラブ50(鉄筋コンクリート部材)との接合面(上面)から見た図である。鋼管11は、接合面側に、上面視円形の挿入孔部12(図中の小さい白丸)と、充填部32を形成するためのコンクリートを注入する注入口13(図中の大きい白丸)、を有する。
挿入孔部12は、鋼管11の長手方向(CFT長手方向)に沿って接合面に複数設けられており、1つの挿入孔部12は、1つのズレ止め鉄筋20に対する2つの孔部12a及び孔部12bの組み合わせでなる。孔部12a及び孔部12bは、上面視円形の貫通孔である。孔部12a及び孔部12bの径は、充填部32の形成にともなって、ズレ止め鉄筋20の周囲(少なくとも鋼管11の板の厚み部分)にコンクリートが充填されるのに十分な余地が残るように設定されている。
なお、注入口13の配置数や配置位置関係は、図3の例に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
また、図3の例では、鋼管11の横方向に、2つの挿入孔部12を配列した構成を示しているが、この配列数及び配列間隔は適宜設定可能である。同様に、鋼管11のCFT長手方向への挿入孔部12の配列数及び配列間隔も適宜設定可能である。
図4は、ズレ止め鉄筋20の構成例を示す図である。ズレ止め鉄筋20は、挿入孔部12それぞれに対して設置される。ズレ止め鉄筋20は、CFT梁10Hとスラブ50とを連結する部材であって異形鉄筋を曲げて作ることができる。具体的には、ズレ止め鉄筋20は、少なくも2つの差込部21と、差込部21を連結する連結部23と、を有する。
差込部21は、挿入孔部12に1対1で挿入され、充填部32の形成にともなって鋼管11内でコンクリートに埋設・定着される定着部となる。図4の例では、差込部21は直状部位として描かれているが、定着長や定着強度を稼ぐために適宜曲がり部や凹凸部を有するとしてもよい。
連結部23は、2つの差込部21それぞれの端部を連結する部位である。図4の例では、連結部23は、差込部21を略直状に連結しているので、ズレ止め鉄筋20全体として、アルファベットのU字状、片仮名のコの字状の形状を成しているが、連結部23は湾曲を成しても良いし、全体で何度か屈曲する形状(例えば,アルファベットのW字状など)であってもよい。連結部23は、作業時には作業者の持ち手ともなり、完成すればスラブ50のコンクリートとの定着を確保し、スラブ50との連結強度が高くなる。
図5は、仮留め構造40の構成例を示す斜視図である。仮留め構造40は、ズレ止め鉄筋20の挿入孔部12から外に出た部分を一体的に挟持するクリップであって、差込部21が挿入孔部12に挿入されたズレ止め鉄筋20の鋼管11に対する相対位置を仮留めする。
具体的には、仮留め構造40は、板金で作成されたクリップであって、弾性変形して差込部21を抱き込み把持する2つの把持部41と、これらを横方向に連結する中間部43と、中間部43の下端が折り曲げられた倒れ防止片45と、を有する。
なお、ここで言う「仮留め」は、位置関係を次工程の作業に支障がでない程度に暫定的に留める意味であり、必ずしも鋼管11と不動に固定される状態に限定されない。図2の例では、ズレ止め鉄筋20は、挿入孔部12に上から差し込むので、ズレ止め鉄筋20の連結部23が鋼管11の外面上から突出寸法H1(図7参照)を保持できれば、仮留めとしての用を果たすこととなる。
図2に戻って、連結鉄筋30は、複数のズレ止め鉄筋20を連結する異径鉄筋部材である。図2の例では、連結鉄筋30は、CFT長手方向(図2の奥行き方向)に並ぶズレ止め鉄筋20同士を連結しているが、CFT梁10Hの横方向(図2に向かって左右方向)に並ぶズレ止め鉄筋20を連結するように配置構成されてもよい。連結鉄筋30を設けることで、CFT梁10Hとスラブ50との定着力が、連結鉄筋30を設けない場合よりも向上する。
充填部32は、注入口13(図3参照)から注入されたコンクリートが、鋼管11内部に充填されて硬化することで形成される。
スラブ50は、主鉄筋51と、適宜設けることができる補強筋52と、結束部53と、を有する。主鉄筋51とズレ止め鉄筋20とは、結束部53により結束される。図2の例では、1本の主鉄筋51が、CFT梁10Hの横幅方向に並ぶ複数のズレ止め鉄筋20と結束されているが、結束関係は図2の例に限らず適宜設定可能である。
次に、コンクリート構造体の接合構造を実現する接合方法について説明する。
図6は、接合方法のフローチャートである。当該接合方法は、鋼管設置工程(ステップS2)と、ズレ止め鉄筋設置工程(ステップS4)と、連結工程(ステップS6)と、充填工程(ステップS8)と、スラブ配筋工程(ステップS10)と、スラブ50に懸かるコンクリート打設を行う鉄筋コンクリート部材打設工程(ステップS12)と、を含む。
図7は、鋼管設置工程と、ズレ止め鉄筋設置工程と、を説明するための図である。
鋼管設置工程では、接合面に挿入孔部12を有するコンクリート充填鋼管部材(CFT部材)の未充填状態の鋼管11を、挿入孔部12をスラブ50が形成される側に向けた姿勢で設置する。鋼管11は、クレーンを用いれば支保工などを用意しなくとも設置できるので、従来の鉄道用RC高架橋のように、梁を現場で配筋・型組み・コンクリート打設する工法で構築するよりも、工数・工費・工事場所などを低減できる。
次に、ズレ止め鉄筋設置工程を行う。ズレ止め鉄筋設置工程では、作業者は、ズレ止め鉄筋20の両端の差込部21を、挿入孔部12を通じて鋼管11内に挿入する。具体的には、作業者は、1つの挿入孔部12に1つのズレ止め鉄筋20を設置する。その際、2つの孔部12a,12bそれぞれに1つずつ差込部21を差し込む。
ズレ止め鉄筋20の屈曲形状により生じる連結部23が、作業時の持ち手となり、作業者は差し込む作業がし易い。また、1つのズレ止め鉄筋20を2つの孔部12a,12bに対して1回の動作で差し込みできるので施工性が優れる。更には、差し込み作業の際、2つの差込部21と孔部12a,12bが1対1で対応するので、鋼管11に対するズレ止め鉄筋20の設置位置や設置姿勢が明確となり、ズレ止め鉄筋20の設置工程の作業性が向上する。
そして、所定の突出寸法H1及び定着長H2が得られるように、差し込み量を合わせたならば、仮留め構造40をズレ止め鉄筋20に嵌めて仮留めする。仮留めの際、作業者は、仮留め構造40のクリップを、倒れ防止片45が鋼管11の上面に当接するようにして、2つの把持部41を2つの差込部21それぞれに嵌める。
仮留め構造40のクリップを嵌めてしまえば、中間部43及び倒れ防止片45(図5参照)が、孔部12aと孔部12bとの間の鋼管11の上面でズレ止め鉄筋20の荷重を支える。よって、ズレ止め鉄筋20は、突出寸法H1を保持した状態となる。また、倒れ防止片45が有ることで、ズレ止め鉄筋20は、鋼管11の上面に対する倒れ(傾斜)が抑制され、両者の相対角度も保持される。
図8は、連結工程を説明するための図である。連結工程では、作業者は、ズレ止め鉄筋20を連結鉄筋30で連結する。連結方法は、鋼線による結束、クリップ等による連結でもよい。
図9及び図10は、充填工程を説明するための図である。充填工程では、作業者は、注入口13からコンクリートを鋼管11の中へ流し込む。挿入孔部12が、充填度合を確認する窓部となる。コンクリートは、挿入孔部12にも充填される。充填量は、挿入孔部12から少量溢れ出る程度としてもよい。挿入孔部12は、コンクリート打設字の空気抜きの孔として機能し、スムーズな充填を実現するのに寄与する。
充填工程の後、仮留め構造40を取り外すことでコンクリート充填鋼管部材(CFT部材)としてのCFT梁10Hが完成する。
ラブ配筋工程では、作業者は、スラブ50の配筋を行う(図2参照)。具体的には、主鉄筋51をズレ止め鉄筋20と結束部53で結束・連結させる。なお、当該工程で適宜スラブ50の型枠の組み立てを行う。
そして、スラブ50の型枠工の後、鉄筋コンクリート部材打設工程が行われる。当該工程では、作業者は、ズレ止め鉄筋20の連結部23を埋設するようにスラブ50(鉄筋コンクリート部材)に係るコンクリートの打設を行う。
鉄筋コンクリート部材打設工程を終え、コンクリートの養生後に脱枠すれば、コンクリート構造体の接合構造が形成される(図2参照)。
なお、CFT桁10Kは、CFT梁10Hと同様にして構成・構築することができる。
以上、本実施形態によれば、鋼管11内にズレ止め鉄筋20の差込部21が挿入された状態で充填部32を形成するためのコンクリートを充填することで、ズレ止め鉄筋20は鋼管11に対して強固に定着される。そして、ズレ止め鉄筋20の連結部23は、CFT梁10Hに接合されるスラブ50に埋設される。よって、コンクリート充填鋼管部材と、鉄筋コンクリート部材とが溶接無しに強固に接合された鉄道用RC高架橋4を構築できる。
そして、鉄道用RC高架橋4の梁や桁としてCFT部材を用いることで、梁や桁に係る鉄筋や型枠の組み立てを省略できるので、大幅な施工場所や施工時間の低減が可能になる。溶接や鉄筋コンクリート部材の型枠工ができる技能労働者が年々減少していることに鑑みれば、CFT部材と鉄筋コンクリート部材との接合に溶接を必要としない本実施形態は、技能労働者の低減に対する1つの対策として役立てることができる。また、本実施形態によれば、人・物・時間を従来よりも削減し、早期開業・工期短縮といった普遍的な要望にも応えることができる。
しかも、CFT梁10HやCFT桁10Kの鋼管11は、コンクリートの注入口13を備えているので、現場でコンクリートを充填することが可能になる。よって、予めコンクリートの充填まで終わらせて完成品としてのコンクリート充填鋼管部材(CFT部材)を、所定位置へ設置する工法も可能であるし、鋼管11(又はズレ止め鉄筋20の設置も済ませた状態の鋼管11)を所定位置に設置した後にコンクリートを現場で充填する工法も可能になる。
また、複数のズレ止め鉄筋20は、連結鉄筋30により一体的に連結されているので、スラブ50との接合強度を向上できる。
また、CFT梁10HやCFT桁10Kには、仮留め構造40が含まれるので、ズレ止め鉄筋20の配筋工程が容易になる。しかも、仮留め構造40はクリップ式なので、挿入孔部12に対するズレ止め鉄筋20の位置を合わせて、ズレ止め鉄筋20の挿入孔部12から外に出た部分でクリップすれば仮留めできる。すなわち、仮留めの工程が容易となる。また、ズレ止め鉄筋の位置の修正も容易となる。
そして、CFT梁10HやCFT桁10Kと、スラブ50との接合部に着目すると、ズレ止め鉄筋20の差込部21は、挿入孔部12内に位置する部位全体が、コンクリート内に埋設されることになる。挿入孔部12内でズレ止め鉄筋20の鉄筋の周囲を占めるコンクリートは、支圧抵抗作用を発揮するので高い接合強度を得ることができる。この支圧抵抗作用と、ズレ止め鉄筋20とコンクリートとの定着との直接的な抵抗とで、CFT梁10HやCFT桁10Kと、スラブ50は強固に接合されることとなる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成要素については第1実施形態と同じ符号を付与することで重複する説明を省略する。
図11は、第2実施形態における鉄道用RC高架橋4BのCFT梁10Hとスラブ50の接合部周りの構造例を示す断面図である。
鉄道用RC高架橋4Bは、基本的には第1実施形態の鉄道用RC高架橋4と同様の構成を有するが、設計都合或いは仕様都合で、鋼管11Bの差し込み方向の幅が第1実施形態のそれよりも小さい。そのため、ズレ止め鉄筋20Bは、差込部21の長さとして十分な定着長を確保できない。そこで、本実施形態の仮留め構造40Bは、仮留めとしての機能とともに、鋼管11に対してズレ止め鉄筋20Bを連結する機能を担う。
図12は、本実施形態におけるズレ止め鉄筋20Bと仮留め構造40Bの構成例を示す図である。ズレ止め鉄筋20Bは、差込部21の差込側から設けられた雄ネジ部22と、雄ネジ部22に螺合する外ナット25と、内ナット26と、ロックナット27と、を有する。
内ナット26とロックナット27は、2つ並べて締め上げることでダブルナットとして機能し、差込部21における内側のナット位置を固定する。内ナット26の位置は、突出寸法H1に鋼管11Bの厚さを加えた位置が上面位置となるように決められる。
外ナット25は、内ナット26の上面位置よりも、鋼管11Bの厚さより離れた位置(図12中の「挿入時位置」)に仮設置されて用意される。内ナット26とロックナット27は、1つのロックナットで代用してもよい。
図13は、本実施形態における鋼管11Bをスラブ50(鉄筋コンクリート部材)との接合面(上面)から見た図である。
本実施形態における挿入孔部12の2つの孔部12a及び孔部12bの上面視形状は、円形部14と、円形部14の径よりも狭幅の長円部15と、が連通した形状を有する。
円形部14の内径φ1は、ズレ止め鉄筋20Bのナット類(外ナット25,内ナット26,ロックナット27)の外径φ2よりも大きく設定されている。ズレ止め鉄筋20Bを孔部12a及び孔部12bへ差し込む際に、内ナット26を鋼板11Bの内側に通すためである。
長円部15の幅W3は、ズレ止め鉄筋20Bの鉄筋径φ4よりも大きいが、ナット類の外径φ2よりは小さく設定されている。また、長円部15の長さLは、ナット類の半径よりも大きく設定されている。
すなわち、内ナット26を鋼板11Bの内側に入れた状態で、ズレ止め鉄筋20Bを長円部15の長手方向へずらすと、長孔部15の周囲部分の鋼管11Bが、内ナット26と外ナット25との間に位置し、両ナットの締め込みで挟持できるようになる。内ナット26と外ナット25とを締め上げて両ナットで鋼管11Bを挟持することで、仮留めとしての位置決め効果が得られるのは勿論のこと、完成時にはズレ止め鉄筋20Bの定着強度を高める二次的作用も期待できる。故に、両ナットで挟持する面積を稼ぐために、幅W3は、ズレ止め鉄筋20Bを長円部15に沿ってずらすことができる程度に鉄筋系φ4より僅かに大きくし、長円部15の長さLは、内ナット26と外ナット25の半径よりも大きくとるのが好適である。
本実施形態における接合方法は、第1実施形態と同様であるが(図6参照)、ズレ止め鉄筋20Bの具体的な設置方法が異なる。すなわち、本実施形態におけるズレ止め鉄筋設置工程(ステップS4;図6参照)では、作業者は、ズレ止め鉄筋20Bの内端と26及びロックナット27を挿入孔部12Bの円形部14より鋼管11Bの内側に挿入し、外ナット25が外に残った状態とする。そして、作業者は、ズレ止め鉄筋20Bを、外ナット25と内ナットとの間で露出している雄ネジ部22が長円部15の端部に突き当たるようにずらし、そこで外ナット25を締め込む(図12中の「締め込み位置」)。これにより、ズレ止め鉄筋20Bと鋼管11Bとが鋼管11Bを挟んで強固に結合される。勿論、外ナット25の締め込み次第で、一端、仮留めの状態にして、後に増し締めして固定するとしてもよい。つまり、本実施形態における仮留め構造40B(図12参照)は、ズレ止め鉄筋20Bを鋼管11Bの厚みを挟んで締結する締結部(雄ネジ部22、外ナット25,内ナット26,ロックナット27)であるといえる。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。そして、仮留め構造を、ズレ止め鉄筋と鋼管との連結強度を確保する部位として用いることが可能になるので、ズレ止め鉄筋の差込部の長さ(鋼管内に充填されるコンクリートとの定着長にほぼ同じ)が十分確保できない状況であっても、仮留め構造によって連結強度を補完できるので、コンクリート充填鋼管部材(CFT部材)の設計自由度が向上する。また、本実施形態の仮留め構造40Bは、充填工程(ステップS8;図6参照)の後に取り外す必要がない。
〔変形例〕
以上、本発明の第1実施形態と第2実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜構成要素の省略・追加・変更を行うことができる。
例えば、第1実施形態では、仮留め構造40としてクリップを例示し、第2実施形態では、仮留め構造40Bとしてボルト・ナットと言った締結部を例示したが、仮留め構造の構成はこれに限らない。ズレ止め鉄筋の形状でもって仮留め構造を実現することとしてもよい。また、上記実施形態では、挿入孔部12を複数の孔部12a,12bで構成したが、1つの孔部で実現するとしてもよい。
具体的には、図14に示すズレ止め鉄筋20Cは、差込部21と連結部23との境に、横幅を絞る屈曲部28を有する。そして、ズレ止め鉄筋20Cは、屈曲部28を境にして差し込み側の全幅(定着部幅W4)が、屈曲部28を境にして外側の全幅(連結部幅W5)よりも小さくなっている。屈曲部28は、当該屈曲部よりも差し込み側の差込部21の長さが、所定の定着長H2(図7参照)が得られる位置に設定されている。
そして、鋼管11Cは、単一の長円状または線状の挿入孔部12Cを有する。挿入孔部12Cは、長円の長手方向をCFT梁10Hの横方向に向け、第1実施形態の挿入孔部12と同様にCFT長手方向に複数用意されている。挿入孔部12Cの長円長手方向の幅は、ズレ止め鉄筋20Cの定着部幅W4と同じ又は略同じに設定されている。
当該構成では、仮留め構造40Cは、屈曲部28により実現される。すなわち、ズレ止め鉄筋設置工程では、作業者は、ズレ止め鉄筋20Cの2つの差込部21を、1つの挿入孔部12Cに纏めて差し込んで設置する。差し込み量が屈曲部28まで達すると、屈曲部28より外側部分が、挿入孔部12Cに引っ掛かる。ズレ止め鉄筋20Cは、それ以上挿入できなくなるので、差込作業が容易になる。
また、ズレ止め鉄筋20Cの定着部幅W4と、挿入孔部12Cの長円長手方向の幅とを適切に設定し、ズレ止め鉄筋20Cを差込部21の間隔を僅かに狭めるようにして弾性変形しながら挿入孔部12Cに挿入できるようにすれば、差込部21の側面が挿入孔部12Cへ弾性的に当接するようになり、更に仮留めの保持強度を高めることができる。
更には、図15に示すズレ止め鉄筋20Dのように、屈曲部28の曲げ方向を、連結部23の連結方向(図15の例ではCFT梁10Hの横方向)に対して交差する方向に設定することで、ズレ止め鉄筋20Dの倒れ防止効果を得ることもできる。
具体的には、ズレ止め鉄筋20Dは、一方の屈曲部28aが鋼管11の上面に沿ってCFT長手方向プラス側と横方向マイナス側とを向き、且つ、他方の屈曲部28bが鋼管11の上面に沿ってCFT長手方向マイナス側と横方向プラス側とを向くように設定されている。従って、ズレ止め鉄筋20Dでは、屈曲部28a及び屈曲部28bが鋼管11の上面で踏ん張ることで、CFT長手方向、横方向の両方向について倒れ(傾斜)が抑制される。
また、上記実施形態で説明した接合方法(図6参照)は、次のような順序としてもよい。すなわち、充填工程(ステップS8)とスラブ配筋工程(ステップS10)との作業順序を入れ替えることとしてもよい。また、ズレ止め鉄筋設置工程(ステップS4)と連結工程(ステップS6)との間に充填工程(ステップS8)を行う順序としてもよい。
また、上記実施形態では、本発明が適用されたCFT部材を鉄道用RC高架橋4の梁や桁として用いた例を示したが、これに限らず自動車用の橋、ビルなどのコンクリート構造にも同様に適用できる。また、CFT部材と接合される鉄筋コンクリート部材は、スラブに限らず、壁部や土台など他の構造部位であってもよい。そして、用途によっては、鉄筋コンクリート部材は、H形鋼のような鉄骨を構造材として用いる鉄骨鉄筋コンクリート部材であってもよい。
また、仮留め構造40は、適宜省略可能である。例えば、施工順番の関係から、ズレ止め鉄筋20の差し込みに先立って、スラブ50に係る配筋や連結鉄筋30の配筋を行う場合(図6のフローチャートにおいてステップS8の前にステップS10を実施する場合)には、ズレ止め鉄筋20を差し込む都度に、結束部53で配筋済の鉄筋に吊れば良いので仮留め構造40を省略できる。また例えば、差込部21が十分長く、差込部21の先端が、鋼管11の内部に底づきする場合も、仮留め構造40を省略できる。
4,4B :鉄道用RC高架橋
10H…CFT梁
10K…CFT桁
11,11B,11C…鋼管
12,12B,12C…挿入孔部
12a,12b…孔部
13…注入口
20,20B,20C,20D…ズレ止め鉄筋
21…差込部
23…連結部
28…屈曲部
30…連結鉄筋
32…充填部
40,40B,40C…仮留め構造
50…スラブ
H1…突出寸法
H2…定着長

Claims (11)

  1. 現場で打設される鉄筋コンクリート部材に接合し、鋼管内部にコンクリートが充填されるコンクリート充填鋼管部材であって、
    鋼管の前記鉄筋コンクリート部材との接合面に設けられた挿入孔部と、
    鋼管内部に充填されるコンクリートを注入するために、前記挿入孔部とは別に前記挿入孔部より大きい径で前記接合面に設けられた注入口と、
    両端の差込部が前記挿入孔部に挿入され、両端の差込部を連結する連結部が前記挿入孔部の外に出た状態とされて、当該連結部が前記鉄筋コンクリート部材内に埋設されるズレ止め鉄筋と、
    鋼管内部にコンクリートが充填される際に、前記差込部が前記挿入孔部に挿入された前記ズレ止め鉄筋について、当該挿入孔部から外に出た当該ズレ止め鉄筋の突出寸法および前記接合面に対する当該ズレ止め鉄筋の相対角度を暫定的に保持する仮留め構造と、
    を備え
    前記挿入孔部は、前記差込部の外径より大きい径を有し、前記注入口から注入されるコンクリートの充填度合を確認可能な窓部として機能する、
    コンクリート充填鋼管部材。
  2. 前記挿入孔部は、前記注入口から注入されるコンクリートが、前記差込部が挿入された当該挿入孔部から溢れ出ることが可能な径を有する、
    請求項1に記載のコンクリート充填鋼管部材。
  3. 前記挿入孔部は、前記鋼管の長手方向に沿って前記接合面に複数設けられ、
    前記ズレ止め鉄筋は、前記挿入孔部それぞれに対して設置され、
    前記長手方向に沿って設置された前記ズレ止め鉄筋同士の前記連結部を連結する連結鉄筋、
    を更に備えた請求項1又は2に記載のコンクリート充填鋼管部材。
  4. 前記仮留め構造は、前記ズレ止め鉄筋の前記挿入孔部から外に出た部分を挟持するクリップである、
    請求項1~3の何れか一項に記載のコンクリート充填鋼管部材。
  5. 前記仮留め構造は、前記ズレ止め鉄筋の前記差込部に構成されたネジ部と、外ナットおよび内ナットとを有し、前記差込部が挿入される前記挿入孔部の周囲の前記鋼管の鋼板部分当該外ナットおよび内ナットで挟んで締結する構造である、
    請求項1~3の何れか一項に記載のコンクリート充填鋼管部材。
  6. 前記挿入孔部は、
    前記内ナットの外形より径が大きい円形部と、
    前記円形部に連通し、前記円形部から離れる方向を長手方向とする連通部であって、当該長手方向の長さが前記内ナットおよび前記外ナットの半径より長く、短手方向の長さが前記外ナットの外形より小さく且つ前記差込部の外径より大きい連通部と、
    を有し、
    前記仮留め構造は、前記差込部に螺合された前記内ナットが前記円形部に挿入されて前記差込部が前記連通部の前記長手方向にずらされた後、前記差込部に螺合された前記外ナットが締め込まれることで、前記連通部の周囲の鋼板部分を前記外ナットおよび前記内ナットで挟んで締結する構造である、
    請求項5に記載のコンクリート充填鋼管部材。
  7. 前記仮留め構造は、前記連結部の屈曲形状で構成されている、
    請求項1~3の何れか一項に記載のコンクリート充填鋼管部材。
  8. 前記挿入孔部は、1つの前記ズレ止め鉄筋に対する2つの孔部の組み合わせでなる、
    請求項1~7の何れか一項に記載のコンクリート充填鋼管部材。
  9. 前記鉄筋コンクリート部材はスラブであり、
    前記コンクリート充填鋼管部材は横架材である、
    請求項1~8の何れか一項に記載のコンクリート充填鋼管部材。
  10. 現場で打設される鉄筋コンクリート部材と、
    前記鉄筋コンクリート部材に接合する請求項1~9の何れか一項に記載のコンクリート充填鋼管部材と、
    を具備した接合構造。
  11. コンクリート充填鋼管部材と現場で打設される鉄筋コンクリート部材との接合方法であって、
    前記コンクリート充填鋼管部材は、前記鉄筋コンクリート部材に接合するための接合面に設けられた挿入孔部と、鋼管内部に充填されるコンクリートを注入するために、前記挿入孔部とは別に前記挿入孔部より大きい径で前記接合面に設けられた注入口と、両端の差込部が前記挿入孔部に挿入され、両端の差込部を連結する連結部が前記挿入孔部の外に出た状態とされて、当該連結部が前記鉄筋コンクリート部材内に埋設されるズレ止め鉄筋と、鋼管内部にコンクリートが充填される際に、前記差込部が前記挿入孔部に挿入された前記ズレ止め鉄筋について、当該挿入孔部から外に出た当該ズレ止め鉄筋の突出寸法および前記接合面に対する当該ズレ止め鉄筋の相対角度を暫定的に保持する仮留め構造と、を備え、前記挿入孔部が、前記差込部の外径より大きい径を有し、前記注入口から注入されるコンクリートの充填度合を確認可能な窓部として機能する、ものであり、
    前記コンクリート充填鋼管部材の未充填状態の鋼管を、前記挿入孔部を前記鉄筋コンクリート部材に向けた姿勢で設置する鋼管設置工程と、
    前記鋼管設置工程の後に、前記ズレ止め鉄筋の前記両端の差込部を、前記挿入孔部を通じて前記鋼管内に挿入し、前記挿入孔部から外に出た当該ズレ止め鉄筋の突出寸法および前記接合面に対する当該ズレ止め鉄筋の相対角度を前記仮留め構造によって暫定的に保持するズレ止め鉄筋設置工程と、
    前記ズレ止め鉄筋設置工程の後に、前記注入口から前記鋼管にコンクリートを注入して充填する充填工程と、
    前記充填工程の後に、前記連結部を埋設するように前記鉄筋コンクリート部材に係る打設を行う鉄筋コンクリート打設工程と、
    を含む接合方法。
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