JP7360848B2 - アクチュエータの製造方法 - Google Patents

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本発明は、振動を発生させるアクチュエータおよびその製造方法に関する。
特許文献1には、振動を発生させるアクチュエータが開示される。特許文献1のアクチュエータは、支持体および可動体と、支持体に対して可動体を相対移動させる磁気駆動機構を備える。磁気駆動機構は、コイルと磁石とを有する。コイルと磁石の一方は支持体に配置され、コイルと磁石の他方は可動体に配置される。支持体と可動体は、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体によって接続される。
特開2019-13094号公報
特許文献1のアクチュエータでは、接続体(粘弾性部材)として、シリコーンゲル等のゲル状ダンパー部材が用いられる。ゲル状ダンパー部材は、矩形状にカットされており、支持体と可動体とが対向する箇所に配置される。支持体に対して可動体が振動する際、ゲル状ダンパー部材はせん断方向に変形する。
従来、接続体としてゲル状ダンパー部材を使用する場合には、大判のシート状ゲルを成型し、必要なサイズに刃でカットして使用していた。しかしながら、シート状ゲルを刃でカットする場合には、ゲルが柔らかいため、刃で正確な寸法にカットすることが難しく、寸法精度が悪い。また、柔らかいゲルは刃に密着するため、ゲル状ダンパー部材の表面品質が悪化する。さらに、柔らかいゲルはカット後に刃に再密着するためピックアップしにくく、取り扱いが難しい。そのため、ゲル状ダンパー部材を備えたアクチュエータを自動組立により製造することが困難である。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ゲル状ダンパー部材を用いて可動体と支持体とを接続するアクチュエータにおいて、ゲル状ダンパー部材の品質向上およびアクチュエータの製造の効率化を図ることにある。
上記課題を解決するために、本発明は、支持体および可動体と、前記支持体と前記可動体とを接続するゲル状ダンパー部材と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有するアクチュエータの製造方法であって、前記支持体と前記可動体とを組み立てる際、前記支持体と前記可動体とが対向する箇所に可溶性の型部材を配置して、前記支持体および前記可動体に面する中空部を形成する組立ステップと、前記中空部にゲル材料を充填する充填ステップと、前記中空部に充填された前記ゲル材料を硬化させる硬化ステップと、前記型部材の外側に溶剤を注入し、前記溶剤で前記型部材を溶かした溶液を前記支持体と前記可動体の間の空間から外部に排出する型部材除去ステップと、を行うことを特徴とする。
本発明によれば、支持体と可動体の間に可溶性の型部材を配置して中空部を形成し、中空部にゲル材料を充填して硬化させることにより、支持体と可動体とを接続するゲル状ダンパー部材を直接成型する。成形後には溶剤を注入し、型部材を溶かして排出するので、
アクチュエータを分解せずに型部材を除去することができる。このような製造方法は、ゲル状ダンパー部材を刃でカットすることに起因する寸法精度の悪化や端面品質の悪化が発生しない。従って、ゲル状ダンパー部材の品質を向上させることができ、複雑な形状や精密な形状のゲル状ダンパー部材を成型することもできる。また、支持体と可動体の間に直接ゲル状ダンパー部材を成型するので、アクチュエータを組み立てる際に柔らかいゲル状ダンパー部材を組み立てる必要がなく、取扱いが容易な型部材を組み立てればよい。従って、アクチュエータを自動組立により製造することが可能になるので、アクチュエータの製造の効率化を図ることができる。
本発明において、前記支持体または前記可動体に前記中空部に面する注入孔を設けておき、前記充填ステップでは、前記注入孔から前記ゲル材料を前記中空部へ注入する。このように、支持体もしくは可動体に予め注入孔を設けておけば、ディスペンサー等を用いてゲル状ダンパー部材を中空部に充填できる。
あるいは、本発明において、前記型部材に注入孔を設けておき、前記充填ステップでは、前記注入孔から前記ゲル材料を前記中空部へ注入する。このように、型部材に注入孔を設けることにより、支持体および可動体とゲル状ダンパー部材との接合面に孔が形成されることを回避できる。
本発明において、前記組立ステップを行う前に、前記型部材の内周面に不溶性膜を形成しておき、前記型部材除去ステップを行うことにより、前記ゲル状ダンパー部材の表面に前記不溶性膜を残存させる。このようにすると、ゲル状ダンパー部材の表面を不溶性膜によって保護できる。あるいは、ゲル状ダンパー部材の変形特性を不溶性膜によって調節することも可能である。
本発明において、前記型部材は枠状であり、前記組立ステップでは、前記型部材を前記支持体と前記可動体の間に挟んだ状態に組み立てることが好ましい。このようにすると、アクチュエータに型部材を容易に組み込むことができ、容易に中空部を形成できる。また、支持体と可動体とのギャップの寸法精度を向上させることができる。
本発明において、前記支持体と前記可動体の一方は、軸線方向に延びる内周側部分を備え、前記支持体と前記可動体の他方は、前記内周側部分の外周側を囲む外周側部分を備え、前記組立ステップでは、前記内周側部分および前記外周側部分の前記軸線方向の一方側および他方側に前記型部材を配置して、前記内周側部分と前記外周側部分との径方向の隙間に前記中空部を形成することが好ましい。このように、可動体と支持体との径方向の隙間に直接ゲル状ダンパー部材を成型することにより、環状のゲル状ダンパー部材によって可動体と支持体とを接続したアクチュエータを容易に製造することができる。
本発明によれば、支持体と可動体の間に可溶性の型部材を配置して中空部を形成し、中空部にゲル材料を充填して硬化させることにより、支持体と可動体とを接続するゲル状ダンパー部材を直接成型する。成形後には溶剤を注入し、型部材を溶かして排出するので、アクチュエータを分解せずに型部材を除去することができる。このような製造方法は、ゲル状ダンパー部材を刃でカットすることに起因する寸法精度の悪化や端面品質の悪化が発生しない。従って、ゲル状ダンパー部材の品質を向上させることができ、複雑な形状や精密な形状のゲル状ダンパー部材を成型することもできる。また、支持体と可動体の間に直接ゲル状ダンパー部材を成型するので、アクチュエータを組み立てる際に柔らかいゲル状ダンパー部材を組み立てる必要がなく、取扱いが容易な型部材を組み立てればよい。従って、アクチュエータを自動組立により製造することが可能になるので、アクチュエータの製造の効率化を図ることができる。
本発明の実施形態1に係るアクチュエータの斜視図である。 実施形態1のアクチュエータの断面図である。 実施形態1のアクチュエータの分解斜視図である。 実施形態1のアクチュエータの磁気駆動機構、ヨーク、およびホルダの分解斜視図である。 実施形態1のアクチュエータの製造方法を模式的に示す説明図である。 変形例のアクチュエータの製造方法を模式的に示す説明図である。 本発明の実施形態2に係るアクチュエータの断面図である。 実施形態2のアクチュエータの製造方法を模式的に示す説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態1、2のアクチュエータは、支持体2および可動体3と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6と、支持体2と可動体3とを接続するゲル状ダンパー部材9を有する。磁気駆動機構6は、コイル7と磁石8を有する。磁気駆動機構6は、コイル7が支持体2の側に設けられ、磁石8が可動体3の側に設けられた態様、および、磁石8が支持体2の側に設けられ、コイル7が可動体3の側に設けられた態様を採用することができる。以下の説明では、コイル7が支持体2の側に設けられ、磁石8が可動体3の側に設けられた態様を中心に説明する。
ゲル状ダンパー部材9は粘弾性部材である。実施形態1、2において、ゲル状ダンパー部材9は、針入度が10度から110度のシリコーンゲルである。針入度とは、JIS-K-2207やJIS-K-2220で規定されており、この値が小さい程、硬いことを意味する。ゲル状ダンパー部材9は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、ゲル状ダンパー部材9は、その厚さ方向に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える。これに対して、厚さ方向に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。また、ゲル状ダンパー部材9が厚さ方向と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を備える。
[実施形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態1に係るアクチュエータ1Aの斜視図である。図2は、実施形態1のアクチュエータ1Aの断面図である。図3は、実施形態1のアクチュエータ1Aの分解斜視図である。実施形態1において、第1方向Z、第2方向Xおよび第3方向Yは互いに直交する方向である。また、第2方向Xの一方側にX1を付し、第2方向Xの他方側にX2を付し、第3方向Yの一方側にY1を付し、第3方向Yの他方側にY2を付し、第1方向Zの一方側にZ1を付し、第1方向Zの他方側にZ2を付して説明する。
図1および図2に示すように、実施形態1のアクチュエータ1Aは、全体として、第2方向Xの寸法が第3方向Yの寸法より大きい直方体形状である。実施形態1では、可動体3が支持体2に対して第2方向Xに振動する。可動体3が第2方向Xに振動すると、アクチュエータ1Aにおける重心が第2方向Xに変動する。このため、利用者は、第2方向Xの振動を体感することができる。なお、実施形態1において、可動体3を第3方向Yに駆動する態様を採用することもできる。
(支持体)
図1、図2および図3に示すように、実施形態1のアクチュエータ1Aにおいて、支持体2は、カバー11とホルダ60とを有しており、カバー11の内側に、図2に示す可動体3および磁気駆動機構6が配置されている。カバー11は、第1方向Zの一方側Z1に位置する第1カバー部材16と、第1カバー部材16に対して第1方向Zの他方側Z2から重なる第2カバー部材17とを有する。第1カバー部材16、ホルダ60および第2カバー部材17を第1方向Zに重ねた状態で、一方の対角位置に配置したネジ18によって第1方向Zで締結することにより、支持体2が形成されている。なお、支持体2の他方の対角位置には、アクチュエータ1Aを各種機器に搭載する際、機器のフレームに対して止めるネジ(図示せず)が配置される。
第1カバー部材16、ホルダ60および第2カバー部材17の第3方向Yの一方側Y1の側面には、第1カバー部材16の凹部160、ホルダ60の凹部635、第2カバー部材17の凹部170が形成されており、ここに配線基板15が固定される。その際、ホルダ60の凹部635に形成された凸部636を配線基板15の穴155に嵌めて、配線基板15の位置決めを行い、その後、接着剤等によって配線基板15を固定する。
図2、図3に示すように、第1カバー部材16には、第1方向Zの他方側Z2に向かって開口する略長方形の凹部165が形成されている。また、凹部165の底部には、第2方向Xで並ぶ2つの凹部166、167が形成されている。図3に示すように、凹部165は、第2方向Xの一方側X1に位置する第1壁部161と、第2方向Xの他方側X2に位置する第2壁部162と、第3方向Yの一方側Y1に位置する第3壁部163と、第3方向Yの他方側Y2に位置する第4壁部164とによって囲まれている。第3壁部163の外面には、第2方向Xに沿って延在する凹部160が形成されている。
第2カバー部材17は、第1カバー部材16に対して第1方向Zで略対称に形成されている。図2に示すように、第2カバー部材17には、第1方向Zの一方側Z1に向かって開口する略長方形の凹部175が形成されている。また、凹部175の底部には、第2方向Xで並ぶ2つの凹部176、177が形成されている。図3に示すように、第2カバー部材17において、凹部175は、第2方向Xの一方側X1に位置する第1壁部171と、第2方向Xの他方側X2に位置するに第2壁部172と、第3方向Yの一方側Y1に位置する第3壁部173と、第3方向Yの他方側Y2に位置する第4壁部174とによって囲まれている。第3壁部173の外面には、第2方向Xに沿って延在する凹部170が形成されている。
(磁気駆動機構)
図4は、実施形態1のアクチュエータ1Aの磁気駆動機構6、ヨーク85、およびホルダ60の分解斜視図である。図2、図4に示すように、磁気駆動機構6は、コイル7と、コイル7に対して第1方向Zで対向する磁石8とを有している。コイル7は、第2方向Xで並列するように2つ配置されている。コイル7は、第3方向Yに長辺701(有効部分)が延在する長円形状の空芯コイルであり、第1方向Zを厚み方向とする扁平コイルである。コイル7は、ホルダ60に保持されている。
(ホルダ)
図2、図4に示すように、ホルダ60は、2つのコイル保持穴66、67が第2方向Xで並列するように形成されており、コイル保持穴66、67にコイル7が配置されている。コイル保持穴66、67は貫通穴であり、第3方向Yの両端部に受け部661、671が形成されている。従って、コイル保持穴66、67に第1方向Zの他方側Z2からコイル7を装着すると、コイル7の短辺702(無効部分)が受け部661、671によって第1方向Zの一方側Z1で支持される。この状態で、コイル7は接着剤等によってホルダ60に固定される。
ホルダ60は、コイル保持穴66、67が形成されている部分に対して、第2方向Xの一方側X1、第2方向Xの他方側X2、第3方向Yの一方側Y1、および第3方向Yの他方側Y2には、第1壁部610、第2壁部620、第3壁部630、および第4壁部640を備えている。コイル保持穴66と第1壁部610との間に第1開口部601が形成され、コイル保持穴67と第2壁部620との間に第2開口部602が形成されている。第1開口部601、および第2開口部602はホルダ60を第1方向Zで貫通する。
第3壁部630の外面には、第2方向Xに沿って延在する凹部635が形成されており、凹部635の両端部には、第3方向Yの一方側Y1に突出した位置決め用の凸部636が形成されている。第3壁部630には、コイル保持穴66、67から第3壁部630の外面(凹部635の底面)まで延在するガイド溝637が4本形成されている。コイル7を構成する導線75の巻き始めの端部、および、巻き終りの端部は、ガイド溝637を通してカバー11の外側に引き出され、配線基板15の切り欠き150を通して配線基板15のランド151にハンダ付けされる。その結果、2つのコイル7は、直列に電気的に接続される。なお、2つのコイル7は、並列に電気的に接続してもよい。
(可動体)
図2、図4に示すように、可動体3は、磁石8と、磁石8を保持するヨーク85を備えている。ヨーク85は、コイル7に対して第1方向Zの一方側Z1で対向する第1板部860を備えた第1ヨーク86と、コイル7に対して第1方向Zの他方側Z2で対向する第2板部870を備えた第2ヨーク87とを有する。磁石8は、第1ヨーク86の第1板部860のコイル7と対向する面、および第2ヨーク87の第2板部870のコイル7と対向する面に保持されてコイル7に第1方向Zで対向している。なお、第1板部860と第2板部870の少なくとも一方にのみ磁石8が保持される構成とすることもできる。
実施形態1では、磁石8として、第1ヨーク86の第1板部860のコイル7と対向する面に接着等の方法で固定された磁石81と、第2ヨーク87の第2板部870のコイル7と対向する面に接着等の方法で固定された磁石82とが設けられている。この状態で、磁石81は、コイル7の長辺701に第1方向Zの一方側Z1で対向し、磁石82は、コイル7の長辺701に第1方向Zの他方側Z2で対向している。磁石81および磁石82は各々、厚さ方向(第1方向Z)で分極着磁されており、磁石81においてコイル7に対向する面と、磁石82においてコイル7と対向する面は異なる極に着磁されている。
第1ヨーク86は、第1板部860から第1方向Zの他方側Z2に向けて第2ヨーク87と重なる位置まで延在して第2ヨーク87と連結された第1連結板部861と、磁石81に対して第1連結板部861とは反対側で第1板部860から第1方向Zの他方側Z2に向けて第2ヨーク87と重なる位置まで延在して第2ヨーク87と連結された第2連結板部862とを備えている。第1連結板部861および第2連結板部862は、溶接により第2ヨーク87の端部と連結されている。第1連結板部861は、コイル7に対して第2方向Xの一方側X1でホルダ60の第1開口部601を通って第1方向Zの他方側Z2に向けて延在し、第2連結板部862は、コイル7に対して第2方向Xの他方側Z2でホルダ60の第2開口部602を通って第1方向Zの他方側Z2に向けて延在している。
(ゲル状ダンパー部材)
図2に示すように、支持体2と可動体3とが第1方向Zで対向する個所にはゲル状ダンパー部材9が配置されている。実施形態1では、ゲル状ダンパー部材9として、可動体3の第1ヨーク86と支持体2の第1カバー部材16とが第1方向Zで対向する個所に第1ゲル状ダンパー部材91が配置され、可動体3の第2ヨーク87と支持体2の第2カバー部材17とが第1方向Zで対向する個所に第2ゲル状ダンパー部材92が配置されている。より具体的には、第1ゲル状ダンパー部材91は、第1ヨーク86の第1板部860と第1カバー部材16の凹部166、167の底部との間に2つ配置され、第2ゲル状ダンパー部材92は、第2ヨーク87の第2板部870と第2カバー部材17の凹部176、177の底部との間に2つ配置されている。
第1ゲル状ダンパー部材91および第2ゲル状ダンパー部材92は、第1方向Zを厚み方向として配置され、第2方向Xおよび第3方向Yに延在する。ゲル状ダンパー部材9(第1ゲル状ダンパー部材91および第2ゲル状ダンパー部材92)は、支持体2と接する面がゲル状ダンパー部材9自体の接着力により支持体2に固定され、可動体3と接する面がゲル状ダンパー部材9自体の接着力により可動体3に固定されている。
可動体3が第2方向Xに移動する際、ゲル状ダンパー部材9はせん断方向に変形する。ゲル状ダンパー部材9は、線形および非線形の変形特性を持つため、可動体3を振動させた際の共振をゲル状ダンパー部材9によって抑制することができる。また、ゲル状ダンパー部材9は、せん断方向に変形する際は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を備える。従って、可動体3が第2方向Xへ振動する際、ゲル状ダンパー部材9のせん断方向のバネ要素を用いることにより、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上させることができる。
また、ゲル状ダンパー部材9は、可動体3と支持体2との間で第1方向Zに伸縮するように取り付けられている。ゲル状ダンパー部材9が潰れる方向に変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える。従って、可動体3が第1方向Zに移動しようとするとき、ゲル状ダンパー部材9のバネ定数は、可動体3が第2方向Xに移動するときのバネ定数より大きいので、ゲル状ダンパー部材9が第1方向Zに大きく変形することを抑制できる。従って、可動体3と支持体2とのギャップが大きく変化することを抑制できる。
(アクチュエータの製造方法)
図5は、実施形態1のアクチュエータ1Aの製造方法を模式的に示す説明図である。図5(a)は組立ステップを示し、図5(b)は充填ステップを示し、図5(c)は硬化ステップを示し、図5(d)は型部材除去ステップを示し、図5(e)は完成したアクチュエータ1Aを示す。実施形態1のアクチュエータ1Aを製造する際には、支持体2と可動体3を組み立てた状態でゲル状ダンパー部材9を成型する。そのため、ゲル状ダンパー部
材9の外形を規定する型部材4を用意し、支持体2と可動体3とを組み立てる際に、支持体2と可動体3とが第1方向Zで対向する箇所に型部材4を配置して組み立てる。実施形態1では、支持体2と可動体3を組み立てると、支持体2に配置されるコイル7と可動体3に配置される磁石8によって磁気駆動機構6が構成される。
図5(a)に示すように、組立ステップでは、第2カバー部材17と第2ヨーク87の第2板部870とが第1方向Zで対向する箇所に2つの型部材4を配置する。実施形態1では、ゲル状ダンパー部材9は矩形であるため、型部材4として矩形の枠状の部材を用いる。型部材4は、第2カバー部材17と第2板部870とに挟まれている。これにより、2つの型部材4の内側には、それぞれ、支持体2および可動体3に面する中空部5が形成される。また、図5(a)では図示を省略しているが、組立ステップでは、第1カバー部材16と第1ヨーク86の第1板部860とが第1方向Zで対向する箇所にも、同様に2つの型部材4を配置して中空部5を形成する。
ここで、実施形態1では、接着剤を用いずにゲル状ダンパー部材9自体の接着力によって支持体2および可動体3にゲル状ダンパー部材9を固定するため、支持体2と可動体3とを組み立てる前に、ゲル状ダンパー部材9が接合される面に、予め、プライマー(図示省略)を塗布しておく。例えば、本形態では、第1方向Zで対向する第2カバー部材17と第2板部870の表面に、それぞれ、プライマーを塗布しておく。また、第1方向Zで対向する第1カバー部材16と第1板部860の表面にも、同様に、プライマーを塗布しておく。型部材4は、プライマーが塗布された表面に挟まれるように組み立てられる。
図5(b)に示すように、充填ステップでは、中空部5にゲル材料10を充填する。実施形態1では、支持体2に中空部5と連通する注入孔12が形成されている。図3に示すように、第2カバー部材17には、第2方向Xに離間した2箇所に注入孔12が形成されている。2箇所の注入孔12は、それぞれ、型部材4の略中央に位置しており、中空部5に面している。また、2箇所の注入孔12の間には、後工程で型部材4の除去に用いる排出孔13が形成されている。図3に示すように、第1カバー部材16においても、同様の位置に注入孔12および排出孔13が形成されている。充填ステップでは、例えば、ディスペンサー14等を使用して所定量のゲル材料10を注入孔12から注入し、中空部5にゲル材料10を充填する。
次に、図5(c)に示す硬化ステップでは、中空部5に充填したゲル材料10を硬化させる。例えば、ゲル材料10として熱硬化型のシリコーンゲルを用いた場合には、支持体2および可動体3ごと恒温槽等に入れて規定の温度で規定時間維持することにより、ゲル材料10を硬化させる。これにより、型部材4の内側でゲル状ダンパー部材9が形成され、支持体2と可動体3とがゲル状ダンパー部材9によって接続される。ゲル材料10は、加熱硬化する際に、支持体2および可動体3に塗布されたプライマーに接する部分がプライマーと反応して、支持体2および可動体3の表面に固定される。実施形態1では、第2カバー部材17と第2ヨーク87とを接続する2つの第2ゲル状ダンパー部材92、および、第1カバー部材16と第1ヨーク86の第1板部860とを接続する2つの第1ゲル状ダンパー部材91が形成される。ゲル材料10が硬化した状態では、注入孔12は、支持体2においてゲル状ダンパー部材9が接合されている部位を貫通する孔になっている。
続いて、図5(d)に示すように、型部材除去ステップでは、型部材4の外側に溶剤19を注入し、可溶性の型部材4を溶剤19によって溶かして除去する。型部材4としては、可溶性ポリマーを用いることができる。例えば、PVA(ポリビニルアルコール)などの水溶性ポリマーを用いる場合には、溶剤19として水を注入することにより、型部材4を溶かすことができる。支持体2には、型部材4の外側に位置する排出孔13が設けられている。従って、排出孔13から支持体2と可動体3の間の空間へ溶剤19を注入して型
部材4を溶解させる。型部材4を溶かした溶液は、排出孔13から支持体2の外部へ排出する。これにより、図5(e)に示すように、型部材4が支持体2の内側から除去され、ゲル状ダンパー部材9が残る。型部材4の排出後には、排出孔13は、ゲル状ダンパー部材9を囲む空間と支持体2の外部の空間とを連通する孔になっている。
(実施形態1の主な効果)
以上説明したように、実施形態1のアクチュエータ1Aは、支持体2および可動体3と、支持体2と可動体3とを接続するゲル状ダンパー部材9と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6と、を有する。支持体2には、ゲル状ダンパー部材9が配置される空間と外部とを連通させる排出孔13が設けられている。また、実施形態では、支持体2に、ゲル状ダンパー部材9が接合されている部位を貫通する注入孔12が設けられている。
実施形態1では、上記の構成のアクチュエータ1Aを以下の各ステップを行う方法で製造する。すなわち、支持体2と可動体3とを組み立てる際、支持体2と可動体3とが対向する箇所に可溶性の型部材4を配置して、支持体2および可動体3に面する中空部5を形成する組立ステップと、中空部5にゲル材料10を充填する充填ステップと、中空部5に充填されたゲル材料10を硬化させる硬化ステップと、型部材4の外側に溶剤19を注入し、溶剤19で型部材4を溶かした溶液を支持体2と可動体3の間の空間から外部に排出する型部材除去ステップと、を行う。
このように、支持体2と可動体3との間に直接ゲル状ダンパー部材9を成型する場合には、従来のように、ゲル状ダンパー部材9を刃でカットすることに起因する寸法精度の悪化や端面品質の悪化が発生しない。従って、ゲル状ダンパー部材9の品質を向上させることができる。また、型部材4を用いて直接成型する場合には、矩形以外の複雑な形状や精密な形状のゲル状ダンパー部材9を成型することも可能である。また、支持体2と可動体3の間に直接ゲル状ダンパー部材9を成型する場合には、アクチュエータ1Aを組み立てる際に柔らかいゲル状ダンパー部材9を組み立てる必要がなく、取扱いが容易な型部材4を組み立てればよい。従って、アクチュエータ1Aを自動組立により製造することが可能になるので、アクチュエータ1Aの製造の効率化を図ることができる。これにより、製造コストの削減を図ることもできる。
実施形態1では、支持体2がアクチュエータ1Aの外周面を規定するカバー11を備えているので、支持体2に中空部5に面する注入孔12を形成しておくことにより、注入孔12から中空部5へゲル材料10を充填することができる。なお、アクチュエータ1Aは、可動体3が支持体2の外周側に配置される構成を採用することもできるが、この場合には、可動体3の側に注入孔12を形成することも可能である。
あるいは、実施形態1において、型部材4に注入孔12を設けておき、充填ステップでは、注入孔12からゲル材料10を中空部5へ注入する構成を採用しても良い。型部材4に注入孔12を設けることにより、支持体2および可動体3とゲル状ダンパー部材9との接合面に孔が形成されることを回避できる。ここで、型部材4は支持体2の内側に配置されるため、型部材4に注入孔12を設ける場合には、支持体2に貫通孔を形成しておき、支持体2の貫通孔へディスペンサー14を差し込んだとき、ディスペンサー14の先端が型部材4の注入孔12へ届くように構成すればよい。例えば、支持体2には排出孔13が形成されているので、型部材4に注入孔12を形成する場合には、注入孔12の延長線上に排出孔13を形成しておけば、排出孔13を経由してゲル材料10の充填を行うことができる。
実施形態1において、型部材4は枠状であり、組立ステップでは、型部材4を支持体2
と可動体3の間に挟んだ状態に組み立てる。従って、アクチュエータ1Aに型部材4を容易に組み込むことができ、容易に中空部5を形成できる。また、支持体2と可動体3とのギャップが型部材4の寸法によって決まるため、支持体2と可動体3とのギャップの寸法精度を向上させることができる。
(変形例)
図6は、変形例のアクチュエータ1Aの製造方法を模式的に示す説明図である。図6(a)は変形例の組立ステップを示し、図6(b)は完成したアクチュエータ1Aを示す。変形例では、組立ステップを行う前に、型部材4の内周面(充填されるゲル材料10に触れる部分)に不溶性膜90を形成しておく。これにより、図6(a)に示すように、組立ステップによって内面に不溶性膜90が設けられた中空部5が形成される。不溶性膜90は、例えば、シリコーン薄膜である。
変形例では、不溶性膜90の内側にゲル材料10を充填して硬化させる。その後、上記形態と同様に型部材除去ステップを行うと、型部材4が溶解して除去され、図6(b)に示すように、ゲル状ダンパー部材9の表面に不溶性膜90が残存する。従って、ゲル状ダンパー部材9の表面を不溶性膜90によって保護できるので、ゲル状ダンパー部材9の耐久性を向上させることができる。また、不溶性膜90の伸縮特性、および不溶性膜90を設ける位置および範囲を適宜設定することにより、ゲル状ダンパー部材9の変形特性を調節することも可能である。例えば、ゲル状ダンパー部材9がせん断変形する際のバネ定数を調整することができる。
[実施形態2]
(全体構成)
図7は、本発明の実施形態2に係るアクチュエータ1Bの断面図である。実施形態2において、軸線Lは可動体3の中心軸線である。また、軸線Lが延在する方向(軸線L方向)の一方側をL1とし、軸線L方向の他方側をL2とする。実施形態2のアクチュエータ1Bは、全体として、軸線L方向に延びる円筒状である。実施形態2では、可動体3が支持体2に対して軸線L方向に振動する。可動体3と支持体2は、可動体3と支持体2との径方向の隙間に配置されるゲル状ダンパー部材9によって接続される。
実施形態2では、支持体2が可動体3の外周側を囲んでおり、ゲル状ダンパー部材9の内周部が可動体3に接続され、ゲル状ダンパー部材9の外周部が支持体2に接続される形態を例にとって説明するが、本発明は、可動体3と支持体2の配置を入れ換えて、可動体3が支持体2の外周側を囲む構成を採用することもできる。また、実施形態2では、可動体3は、軸線L方向の一方側(L1側)および他方側(L2側)の2箇所において、ゲル状ダンパー部材9によって支持体2と接続される。実施形態2では、可動体3のL1側の端部に配置されるゲル状ダンパー部材9を第1ゲル状ダンパー部材93とし、可動体3のL2側の端部に配置されるゲル状ダンパー部材9を第2ゲル状ダンパー部材94とする。なお、ゲル状ダンパー部材9が1箇所もしくは3箇所以上に配置される構成を採用することもできる。
(支持体)
支持体2は、金属製のケース20と、ケース20に保持される樹脂製の第1ホルダ40および第2ホルダ50と、コイルホルダ70を備える。ケース20は、軸線L方向に延びる筒状ケース21と、筒状ケース21のL1側の端部に固定される第1端板22と、筒状ケース21のL2側の端部に固定される第2端板23を備える。筒状ケース21には、コイル線が接続される基板24が固定される。
第1ホルダ40は、筒状ケース21のL1側の端部の内側に固定される環状部42と、
環状部42の内周側に配置される枠部分45と、環状部42と枠部分45とを接続する接続部46を備えている。コイルホルダ70は、第1ホルダ40にL1側から固定されるホルダ固定部71と、ホルダ固定部71からL2側へ突出するコイル固定部72を備える。ホルダ固定部71は、周方向に離間した複数個所からL1側へ突出するフック73を備えている。フック73の先端は、筒状ケース21の縁に係止される。
第2ホルダ50は、筒状ケース21のL2側の端部の内側に固定される円筒部55と、円筒部55の内周側に配置される枠部分56と、円筒部55と枠部分56とを接続する接続部57を備えている。
(可動体)
可動体3は、支持体2の径方向の中心において軸線L方向に延びるシャフト31と、シャフト31の軸線L方向の略中央に固定される磁石8と、磁石8にL1側で重なる第1ヨーク32と、磁石8にL2側で重なる第2ヨーク33を備える。第2ヨーク33は、磁石8のL2側の面に接着等の方法で固定される第1磁性板34と、第1磁性板34にL2側から当接する第2磁性板35を備える。
また、可動体3は、第1ヨーク32にL1側から当接する金属製の第1錘部材36と、第2ヨーク33にL2側から当接する金属製の第2錘部材37を備える。第1錘部材36および第2錘部材37は、シャフト31が嵌まる軸孔を備えている。第1錘部材36は軸線L方向に延びており、L1側の端部に大径部分361を備えている。大径部分361は、第1ホルダ40の枠部分45の内周側に配置される。また、第2錘部材37は軸線L方向に延びており、L2側の端部に大径部分371を備えている。大径部分371は、第2ホルダ50の枠部分56の内周側に配置される。
(磁気駆動機構)
磁気駆動機構6は、支持体2に配置されるコイル7と、可動体3に配置される磁石8を備える。磁石8は円筒状であり、軸線L方向においてN極とS極とに分極するように着磁されている。磁石8の外周側には、コイルホルダ70に設けられたコイル固定部72が磁石8と同軸に配置される。従って、磁石8とコイル7は同軸に配置される。磁気駆動機構6は、コイル7に通電することにより、可動体3を軸線L方向に駆動する駆動力を発生させる。
(ゲル状ダンパー部材)
実施形態2において、ゲル状ダンパー部材9は、可動体3と支持体2の径方向の隙間において全周に連続して配置される。実施形態2では、ゲル状ダンパー部材9は、可動体3に設けられた内周側部分と、支持体2に設けられた外周側部分との間に直接成形される。ゲル状ダンパー部材9は、シャフト31のL1側の端部に取り付けられた第1錘部材36の大径部分361(内周側部分)と第1ホルダ40の枠部分45(外周側部分)との間に配置される第1ゲル状ダンパー部材93、および、シャフト31のL2側の端部に取り付けられた第2錘部材37の大径部分371(内周側部分)と第2ホルダ50の枠部分56(外周側部分)との間に配置される第2ゲル状ダンパー部材94を備える。第1ゲル状ダンパー部材93および第2ゲル状ダンパー部材94は、径方向の厚さが一定の円筒状部材であり、軸線L方向の寸法(高さ)も一定である。
実施形態2のアクチュエータ1Bは、コイル7に通電することにより、磁気駆動機構6によって可動体3が支持体2に対して軸線L方向に相対移動する。コイル7への通電を切ると、可動体3は、ゲル状ダンパー部材9の復帰力によって原点位置へ戻る。従って、コイル7への通電を断続的に行うことにより、可動体3は、軸線L方向で振動する。可動体3が軸線L方向に振動すると、ゲル状ダンパー部材9は、可動体3の振動に追従してせん
断方向に変形する。実施形態2においても、実施形態1と同様に、可動体3を振動させた際の共振をゲル状ダンパー部材9によって抑制することができる。また、ゲル状ダンパー部材9のせん断方向のバネ要素を用いることにより、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上させることができる。
また、可動体3が振動方向(軸線L方向)とは異なる方向(すなわち、径方向)に移動するとき、ゲル状ダンパー部材9は潰れる方向に変形する。従って、可動体3が振動方向(軸線L方向)とは異なる方向に移動しようとするとき、ゲル状ダンパー部材9のバネ定数は可動体3が軸線L方向に振動するときのバネ定数より大きいので、可動体3が振動方向(軸線L方向)とは異なる方向に移動しにくい。
(アクチュエータの製造方法)
図8は、実施形態2のアクチュエータ1Bの製造方法を模式的に示す説明図である。図8(a)は充填ステップを示し、図8(b)は型部材除去ステップを示す。実施形態2のアクチュエータ1Bを製造する際には、実施形態1と同様に、支持体2と可動体3の間に中空部5(図8(a)参照)を形成してゲル状ダンパー部材9を直接成型する。そのため、ゲル状ダンパー部材9の外形を規定する型部材4を用意し、支持体2と可動体3とを組み立てる際に、支持体2と可動体3とが径方向で対向する箇所に型部材4を配置して中空部5を形成する。
図8(a)に示すように、実施形態2では、第1錘部材36の大径部分361(内周側部分)と第1ホルダ40の枠部分45(外周側部分)とが径方向で対向する箇所のL1側およびL2側に型部材4が配置される。ここで、枠部分45の内周面および大径部分361の外周面はゲル状ダンパー部材9が接合される面であるため、支持体2と可動体3とを組み立てる前に、予め、プライマー(図示省略)を塗布しておく。
実施形態2では、型部材4として、大径部分361および枠部分45にL1側から当接する第1型部材401と、大径部分361および枠部分45にL2側から当接する第2枠部材402の2部材を用いる。第1型部材401および第2枠部材402は円環状の板部材であり、大径部分361と枠部分45との径方向の隙間を軸線L方向の一方側(L1側)および他方側(L2側)から塞ぐように組み立てられる。これにより、環状の中空部5が形成される。また、図8(a)では図示を省略しているが、第2錘部材37の大径部分371と第2ホルダ50の枠部分56とが径方向で対向する箇所のL1側およびL2側にも、同様に型部材4が配置されて中空部5が形成される。
実施形態2では、第1型部材401に注入孔12が形成され、ケース20の第1端板22に排出孔13が形成されている。図8(a)に示すように、注入孔12と排出孔13は軸線L方向から見て重なっており、排出孔13へ差し込んだディスペンサー14の先端が型部材4の注入孔12へ届くように構成されている。従って、充填ステップでは、図8(a)に示すように、第1型部材401の注入孔12からゲル材料10を中空部5へ充填する。充填後、実施形態1と同様に硬化ステップを行う。ゲル材料10は、加熱硬化する際に、プライマーと反応する。その結果、枠部分45の内周面および大径部分361の外周面にゲル状ダンパー部材9(第1ゲル状ダンパー部材93)が固定される。
続いて、型部材除去ステップでは、図8(b)に示すように、排出孔13から溶剤19を注入し、可溶性の型部材4を溶剤19によって溶解させる。型部材4は、実施形態1と同様に、PVA(ポリビニルアルコール)などの可溶性ポリマーで形成されている。型部材4を溶かした溶液は、排出孔13からケース20の外部へ排出する。これにより、図7に示すように、型部材4がケース20の内側から除去され、ゲル状ダンパー部材9が残ったアクチュエータ1Bが完成する。なお、溶剤19を注入するための排出孔13は、図7
、図8に示す位置だけでなく、全ての型部材4に溶剤19を到達させることができる位置に適宜設けることができる。
(実施形態2の主な効果)
以上説明したように、実施形態2のアクチュエータ1Bは、支持体2および可動体3と、支持体2と可動体3とを接続するゲル状ダンパー部材9と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6と、を有する。支持体2には、ゲル状ダンパー部材9が配置される空間と外部とを連通させる排出孔13が設けられている。例えば、第1ゲル状ダンパー部材93のL1側に配置される第1端板22に排出孔13が設けられている。
実施形態2では、実施形態1と同様に、上記の構成のアクチュエータ1Bを以下の各ステップを行う方法で製造する。すなわち、支持体2と可動体3とを組み立てる際、支持体2と可動体3とが対向する箇所に可溶性の型部材4を配置して、支持体2および可動体3に面する中空部5を形成する組立ステップと、中空部5にゲル材料10を充填する充填ステップと、中空部5に充填されたゲル材料10を硬化させる硬化ステップと、型部材4の外側に溶剤19を注入し、溶剤19で型部材4を溶かした溶液を支持体2と可動体3の間の空間から外部に排出する型部材除去ステップとを行う。
このように、実施形態2においても、実施形態1と同様に、支持体2と可動体3との間に直接ゲル状ダンパー部材9を成型するので、ゲル状ダンパー部材9を刃でカットすることに起因する寸法精度の悪化や端面品質の悪化が発生しない。従って、ゲル状ダンパー部材9の品質を向上させることができる。また、型部材4を用いてゲル状ダンパー部材9を直接成型するので、実施形態2のような環状のゲル状ダンパー部材9を成型できる。また、アクチュエータ1Bを組み立てる際に柔らかいゲル状ダンパー部材9を組み立てる必要がなく、取扱いが容易な型部材4を組み立てればよい。従って、アクチュエータ1Bを自動組立により製造することが可能になるので、アクチュエータ1Bの製造の効率化を図ることができる。これにより、製造コストの削減を図ることができる。
実施形態2では、可動体3が軸線L方向に延びる大径部分361、371(内周側部分)を備え、支持体2は、大径部分361、371の外周側を囲む枠部分45、56(外周側部分)を備えている。そして、組立ステップでは、大径部分361と枠部分45とが対向する箇所のL1側およびL2側、および、大径部分371と枠部分56とが対向する箇所のL1側およびL2側にそれぞれ型部材4を配置して、大径部分361と枠部分45との径方向の隙間、および、大径部分371と枠部分56との径方向の隙間の2箇所に、それぞれ、環状の中空部5を形成する。このような構成により、環状のゲル状ダンパー部材9を支持体2と可動体3との間に直接成型することができ、支持体2と可動体3との径方向の隙間において全周に連続してゲル状ダンパー部材9を配置することができる。従って、環状のゲル状ダンパー部材9によって可動体3と支持体2とを接続したアクチュエータ1Aを容易に製造することができる。
1A、1B…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4…型部材、5…中空部、6…磁気駆動機構、7…コイル、8…磁石、9…ゲル状ダンパー部材、10…ゲル材料、11…カバー、12…注入孔、13…排出孔、14…ディスペンサー、15…配線基板、16…第1カバー部材、17…第2カバー部材、18…ネジ、19…溶剤、20…ケース、21…筒状ケース、22…第1端板、23…第2端板、24…基板、31…シャフト、32…第1ヨーク、33…第2ヨーク、34…第1磁性板、35…第2磁性板、36…第1錘部材、37…第2錘部材、40…第1ホルダ、42…環状部、45…枠部分、46…接続部、50…第2ホルダ、55…円筒部、56…枠部分、57…接続部、60…ホルダ、66、67…コイル保持穴、70…コイルホルダ、71…ホルダ固定部、72…コイル固定
部、73…フック、75…導線、81、82…磁石、85…ヨーク、86…第1ヨーク、87…第2ヨーク、90…不溶性膜、91…第1ゲル状ダンパー部材、92…第2ゲル状ダンパー部材、93…第1ゲル状ダンパー部材、94…第2ゲル状ダンパー部材、150…切り欠き、151…ランド、155…穴、160…凹部、161…第1壁部、162…第2壁部、163…第3壁部、164…第4壁部、165…凹部、166、167…凹部、170…凹部、171…第1壁部、172…第2壁部、173…第3壁部、174…第4壁部、175…凹部、176、177…凹部、361…大径部分、371…大径部分、401…第1型部材、402…第2枠部材、601…開口部、602…開口部、610…第1壁部、620…第2壁部、630…第3壁部、635…凹部、636…凸部、637…ガイド溝、640…第4壁部、661、671…受け部、701…長辺、702…短辺、860…第1板部、861…第1連結板部、862…第2連結板部、870…第2板部、L…軸線、X…第2方向、Y…第3方向、Z…第1方向

Claims (6)

  1. 支持体および可動体と、前記支持体と前記可動体とを接続するゲル状ダンパー部材と、
    前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動機構と、を有するアクチュエータの製造方法であって、
    前記支持体と前記可動体とを組み立てる際、前記支持体と前記可動体とが対向する箇所に可溶性の型部材を配置して、前記支持体および前記可動体に面する中空部を形成する組立ステップと、
    前記中空部にゲル材料を充填する充填ステップと、
    前記中空部に充填された前記ゲル材料を硬化させる硬化ステップと、
    前記型部材の外側に溶剤を注入し、前記溶剤で前記型部材を溶かした溶液を前記支持体と前記可動体の間の空間から外部に排出する型部材除去ステップと、を行うことを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  2. 前記支持体または前記可動体に前記中空部に面する注入孔を設けておき、
    前記充填ステップでは、前記注入孔から前記ゲル材料を前記中空部へ注入することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータの製造方法。
  3. 前記型部材に注入孔を設けておき、
    前記充填ステップでは、前記注入孔から前記ゲル材料を前記中空部へ注入することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータの製造方法。
  4. 前記組立ステップを行う前に、前記型部材の内周面に不溶性膜を形成しておき、
    前記型部材除去ステップを行うことにより、前記ゲル状ダンパー部材の表面に前記不溶性膜を残存させることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のアクチュエータの製造方法。
  5. 前記型部材は枠状であり、
    前記組立ステップでは、前記型部材を前記支持体と前記可動体の間に挟んだ状態に組み立てることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のアクチュエータの製造方法。
  6. 前記支持体と前記可動体の一方は、軸線方向に延びる内周側部分を備え、前記支持体と前記可動体の他方は、前記内周側部分の外周側を囲む外周側部分を備え、
    前記組立ステップでは、前記内周側部分および前記外周側部分の前記軸線方向の一方側および他方側に前記型部材を配置して、前記内周側部分と前記外周側部分との径方向の隙間に前記中空部を形成することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のアクチュエータの製造方法。
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