JP7359656B2 - ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Description
ポリエーテルポリオールとしては、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド等のアルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適であり、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールを付加したポリエーテルポリオールを使用することができる。
ポリエステルポリオールとしては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールとから重縮合して得られたものが使用できる。
ポリマーポリオールとしては、ポリエーテルポリオールに、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-スチレン共重合体などをグラフト共重合させたポリマーポリオールなどを使用できる。
架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ショ糖、ソルビトール、グルコース等のアルコール類が使用できる。特に、これらのうち、3官能以上のものが好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマーは、反発弾性に寄与するハードセグメント(高分子鎖において結合が比較的強い部分。ポリウレタンの場合、ウレタン結合(-CONH-)部分などをさす)と、クッション性に寄与するソフトセグメント(アルキル鎖など)とが、交互に配置された規則的な分子構造をとりやすいため、高い反発弾性を備えたポリウレタンフォームが得られやすいと考えられる。
添加量が0.2質量部未満であれば、発泡が少なく後述する成形条件であってもセル形状の調整が難しくなり、得られるポリウレタンフォームの反発弾性率のばらつきが大きくなる傾向にある。また、添加量が3質量部を超えると、発泡しすぎて得られるポリウレタンフォームのセルが荒れ、フォーム内部が割れやすいなどフォーム状態が劣り、良好な成形品が得られにくい。
触媒の添加量は、ポリオール成分100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましい。
例えば、金型の体積よりも発泡後の体積が大きくなるようにポリウレタン原料の注入量を調整する方法がある。この方法では、金型からポリウレタン原料を適度に流出させることで、表層において縦長でセル角度が45°以下のセルを多数形成しやすくなる。
具体的には、金型の体積と同等のポリウレタンフォームを形成可能な注入量に対し、1.01倍以上1.20倍以下の原料を注入すると、本発明のセル形状を有するポリウレタンフォームが得られる。
その他、縦長でセル角度が45°以下のセルを表層に多数形成する方法としては、金型温度を部分的に異ならせて反応速度を偏らせる方法、金型内部に圧力や荷重を付加して発泡方向や発泡性を調整する方法などが挙げられる。
上記密度及び硬度を備えたポリウレタンフォームであれば、反発弾性率が高いものが得られやすくなる。
図1は得られた成形品から試験片を分割した状態を説明する図、図2は図1の点線Lで切断した切断面を示す図、図3は本発明のセル角度を説明する図、図4(a)は表層でのセル形状を、図4(b)は中間層のセル形状を模式的に示した図である。
各試験片2について、以下の通り反発弾性率およびセル形状を測定し、評価を行う。
各試験片2から、直径29.5mm、厚さ12.5mmの円柱状に切り出して反発弾性率測定用試験小片とし、当該反発弾性率測定試験片を用いてJIS K 6255に準拠して反発弾性率(%)を測定し、15個の試験片の平均値を算出する。本発明のポリウレタンフォームは、当該平均された反発弾性率が60%以上のものであることが好ましい。
[(最大値-最小値)/平均値] × 100 (%)
なお、本発明では、当該数値が10%以下であるものを反発弾性率のばらつきの少ないフォームと評価する。当該ばらつきが10%を超えるポリウレタンフォームは、成形品の物性安定性が得られず不良品が発生しやすくなる虞がある。
本発明のセル形状の測定方法について説明する。
まず、金型で成形された縦350mm、横200mm、厚さ12.5mmのポリウレタンフォーム1を等間隔で15分割して試験片2とする。各試験片2を図1の点線Lで切断した切断面を図2に示す。図2より、表面からの厚さ2mmを表層3とし、当該表層の厚み方向の略中央領域において無作為に3箇所の測定領域51,52,53を選択する。このとき、各測定領域51,52,53の大きさは各々縦640μm、横640μmとする。
各試験片2において、表層3の測定領域51,52,53内に存在するセルの個数、セル角度、セル面積、及びセル径(長径m、短径n)を、形状測定レーザマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名「VK-8500」)で撮影した画像を用いて計測し、得られた結果から、平均セル角度、平均セル面積、平均アスペクト比(長径m/短径n)を算出する。本発明では、各試験片2の平均値をさらに15個の試験片2で平均化し、その値で評価する。すなわち、本発明における表層3の測定領域5とは、15個の試験片2の表層3の測定領域51,52,53を合わせたものであり、平均値とは15個の試験片の表層3の測定領域5に存在するセルの全て(以下、全セルと示す)を対象とするものである。
本発明において、表層3の測定領域5に存在するセルの平均セル角度が45°以下であって、セル角度が45°以下のセルは全セル数の50%以上を占めている。
セル角度が45°以下のセルが多いポリウレタンフォームは、図4(a)に示すようにセル角度が45°以下のセルが連なっており反発弾性率が高くなる傾向にあり、セル角度が45°を超えるセルが多いと反発弾性率が劣る傾向にある。そのため、セル角度が45°以下となるようセル形状を調整することで、得られるポリウレタンフォームの反発弾性率のばらつきを抑えることができる。
アスペクト比が1.2未満だと、セルが球状に近くなり、反発弾性率の高いポリウレタンフォームが得られにくく、アスペクト比が2.0を超えると、縦に広がった楕円形のセルとなり脱型後に成形品の収縮が大きくなるなどの成形不良が発生する。
中間層4とは、図2に示すように、試験片2の厚さ方向の中央部から上下1mmの領域、すなわち厚さDとしたときの表面から(D/2)±1mmの間の領域である。当該中間層4の厚み方向の略中央領域において無作為に3箇所の測定領域61,62,63を選択する。このとき、各測定領域61,62,63の大きさは縦640μm、横640μmとする。
各試験片2の中間層4の測定領域61,62,63に存在するセルの個数、セル角度、セル面積を、形状測定レーザマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名「VK-8500」)で撮影した画像を用いて計測し、得られた結果から、平均セル角度、平均セル面積を算出する。本発明では、各試験片2の平均値からさらに15個の試験片2の平均値を用いて評価している。すなわち、本発明における中間層4の測定領域6とは、15個の試験片2の中間層4の測定領域61,62,63を合わせたものであり、平均値とは15個の試験片の中間層4の測定領域6に存在するセルの全て(以下、全セルと示す)を対象とするものである。
すなわち、本発明のポリウレタンフォームにおいて、中間層4の測定領域6に存在するセルの平均セル角度は45°を超えるものであり、かつ表層3の測定領域5に存在するセルの平均セル面積が中間層4よりも小さいと、中間層4での衝撃吸収性が向上する。このようなポリウレタンフォームであれば、反発弾性率のばらつきを抑えるとともに、反発弾性と相反する機能である衝撃吸収性をも得られる。
以下に示すポリウレタン原料を容量875mlの金型に注入し、蓋をして金型温度40℃の条件下で発泡及び硬化反応させた後、脱型してポリウレタンフォームを得た。得られたポリウレタンフォームの大きさは、縦350mm、横200mm、厚さ12.5mmであった。このとき、ポリウレタン原料の注入量は表1に示す通りであり、当該注入量によってセル形状の調整を行った。具体的には、この金型の容量と同等の大きさに発泡硬化し密度が0.38g/cm3となるポリウレタンフォームを得るのに必要なポリウレタン原料の注入量は、理論値で332mlである。当該理論値より多くなるよう注入量を調整することで原料を流出させながら成形した。
得られたポリウレタンフォームについて、等間隔で15分割したものを試験片とし、各試験片の反発弾性率を測定し、セル形状の測定を行った。結果を表1に示す。
具体的には、ポリオール成分としてはポリエーテルポリオール(数平均分子量2000、平均水酸基価57.2mgKOH/g、平均官能基数2)を用い、ポリオール成分100質量部に対して、触媒としてトリエチレンジアミン(東ソー(株)製、製品名“TEDA-L33”)を3.5質量部、及びビスマス触媒(日本化学産業(株)製、製品名“プキャット25”)を0.8質量部、整泡剤としてシリコーン系化合物を1.0質量部、発泡剤としてイオン交換水を1.1質量部を混合して原料Aを準備した。次いで、イソシアネート成分として、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(PTMGに4,4'-MDIを反応させたもの。数平均分子量1000、平均官能基数2、イソシアネート基含有率8.01質量%)を90質量部、カルボジイミド変性MDI(平均官能基数2、イソシアネート基含有率28.2質量%)を10質量部混合し、原料Bを準備した。
原料Aと原料Bとをイソシアネートインデックスが1.0となる割合で混合したものをポリウレタン原料とした。
各試験片から、直径29.5mm、厚さ12.5mmの円柱状に切り出して反発弾性率測定用試験片とし、当該反発弾性率測定試験片を用いてJIS K 6255に準拠して反発弾性率(%)を測定し、15個の試験片の平均値を算出した。また、反発弾性率のばらつきは、分割された試験片のうちの最大値と最小値、及び平均値から以下の式で求めた。
[(最大値-最小値)/平均値] × 100 (%)
また、表層3に存在する測定領域5における全セル数に対し、セル角度が45°以下のセルが占める割合を求めた。
アスペクト比は長径m/短径nから求め、測定領域におけるセルの長径/短径の平均値を平均アスペクト比として求めた。
2 試験片
3 表層
4 中間層
5,51,52,53 表層の測定領域
6,61,62,63 中間層の測定領域
7 セル
a 測定点距離
b 試験片の中央部
m 長径
n 短径
L 切断線
Y 基準軸
Claims (1)
- ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒、整泡剤を含むポリウレタン原料を金型内で発泡及び硬化反応させることで成形されるポリウレタンフォームであって、
当該ポリウレタンフォームの表層の測定領域に存在するセルにおいて、平均セル角度が45°以下、平均アスペクト比(長径/短径)が1.2以上2.0以下であり、かつセル角度が45°以下のセルが全セル数の50%以上を占め、
さらに前記表層の測定領域に存在するセルの平均セル角度は、当該ポリウレタンフォームの中間層の測定領域に存在するセルの平均セル角度よりも小さく、
前記表層とは、表面からの厚さ2mmの領域であり、
前記中間層とは、厚さDとしたときの表面から(D/2)±1mmの間の領域であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
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