JP7358792B2 - 電子基板筐体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用の電子制御ユニットなどに使用される電子基板筐体、その製造方法及び電子制御ユニットに関する。
なお本明細書及び特許請求の範囲では、文中に特に明示した場合を除き、「アルミニウム」の語は純アルミニウムとアルミニウム合金との双方を含む意味で用いられ、また「銅」の語は純銅と銅合金との双方を含む意味で用いられる。
また、本発明に係る電子基板筐体の上下方向は限定されるものではないが、本明細書及び特許請求の範囲では、電子基板筐体の構成を理解し易くするため、図1に示した電子基板筐体の上下方向を、本発明に係る電子基板の上下方向と定義する。
自動車では内燃機関やモーターの電子制御のための電子基板を内蔵した電子制御ユニットが多数使用されるようになっている。
例えば図15に示すように、電子制御ユニット160に使用される電子基板150の筐体110は、電子基板150を収容するとともに一面(同図では上面)が開放した略容器状の筐体本体121、筐体本体121の開放部121bを閉塞する蓋体としてのカバー体131などを具備している。
この筐体110において、電子基板150上には発熱性素子(例:半導体素子)を有する発熱体155が搭載されるとともに、電子基板150の両端部がそれぞれ筐体本体121の底部122に突出状に一体形成されたボス部122aにねじ154によって固定されている。
さらに、電子基板150の熱(詳述すると発熱体155の熱)を筐体110の外側に放散するため、筐体本体121における電子基板150の発熱体搭載部152の下側部分には、ヒートシンク部111が筐体本体121と一体に形成されている。すなわち、ヒートシンク部111は、電子基板150の発熱体搭載部152の下面にTIM層(熱インターフェイス材料層)157を介して熱的に接触するベース部112、ベース部112から筐体本体121の外側下方に突出した複数の放熱フィン部113などを有するともに、これらが筐体本体121に一体に形成されている。
筐体本体121としては、軽量化による自動車の低燃費化を図るため、一般にアルミダイカスト製のもの(例:アルミダイカスト製インバータケース)が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
特開2010-27807号公報
近年、自動車の更なる低燃費化が求められており、そのため、電子基板筐体の更なる軽量化が求められている。
そこで、筐体の一部を樹脂部材とするとともに他の部分をアルミニウム部材とし、両部材を接合することで筐体を組立製造することが考えられるが、この場合、筐体に要求される強度を満足させるべく両部材は強固に接合されている必要がある。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その主な目的は、金属部材と樹脂部材を具備するとともに両部材の接合強度が高い電子基板筐体及びその製造方法を提供することにある。また本発明のもう一つの目的は、当該電子基板筐体を具備する電子制御ユニットを提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
1) 金属基材の少なくとも一部の表面に1層又は複数層の樹脂コーティング層が積層された金属部材と、前記金属部材の前記金属基材の前記樹脂コーティング層側の面に接合された樹脂部材とを具備し、
前記金属基材はアルミニウム又は銅からなり、
前記樹脂コーティング層は、前記金属基材の表面処理された面に積層され、
前記樹脂コーティング層の少なくとも1層が、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されている電子基板筐体。
2) 前記樹脂コーティング層が複数層であり、その少なくとも1層が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物から形成されており、
前記熱硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である前項1記載の電子基板筐体。
3) 前記金属基材の表面処理された面と前記樹脂コーティング層との間に官能基付着層を有し、
前記官能基付着層が、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種から導入された官能基を有する前項1又は2記載の電子基板筐体。
4) 前記表面処理が、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理及び化成処理からなる群より選ばれる少なくとも1種である前項1~3のいずれかに記載の電子基板筐体。
5) 前記コーティング層がプライマー層である前項1~4のいずれかに記載の電子基板筐体。
6) 前記金属基材は、アルミニウム押出材からなり、且つ、引張強度が200MPa以上及び熱伝導率が180W/(m・K)以上の特性を有している前項1~5のいずれかに記載の電子基板筐体。
7) 前記金属基材は、A6000系合金のアルミニウム鍛造品からなり、且つ、引張強度が200MPa以上及び熱伝導率が180W/(m・K)以上の特性を有している前項1~5のいずれかに記載の電子基板筐体。
8) 放熱部を有する放熱部材と、電子基板を収容する筐体本体とを具備し、
前記放熱部材が前記金属部材であり、且つ前記電子基板の熱を前記筐体本体の外側に放散するものであり、
前記筐体本体が前記樹脂部材であり、
前記筐体本体に設けられた開口に前記放熱部材が前記筐体本体の外側に前記放熱部が露出する態様に配置されており、
前記放熱部材における少なくとも前記筐体本体との接触面が前記樹脂コーティング層側の面であり、
前記筐体本体が前記放熱部材の前記接触面に接合されている前項1~7のいずれかに記載の電子基板筐体。
9) 前記筐体本体の内面に第1アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着している前項8記載の電子基板筐体。
10) 前記筐体本体の一面が開放した開放部を閉塞する樹脂製カバー体を更に具備しており、
前記カバー体の内面に第2アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着している前項8又は9記載の電子基板筐体。
11) 前記筐体本体の一面が開放した開放部を閉塞する樹脂製カバー体を更に具備しており、
前記筐体本体の内面に第1アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着しており、
前記カバー体の内面に第2アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着しており、
前記筐体本体の前記開放部が前記カバー体で閉塞された状態で、前記筐体本体と前記カバー体が、前記第1アルミラミネートフィルムと前記第2アルミラミネートフィルムとの熱溶着により接合されている前項8記載の電子基板筐体。
12) 前項8~11のいずれかに記載の電子基板筐体を具備し、
前記電子基板筐体の筐体本体内に電子基板が収容されるとともに、前記筐体本体に一体に形成された電子基板固定用突起部の熱かしめにより前記電子基板が前記筐体本体に固定されている電子制御ユニット。
13) 前項1~7のいずれかに記載の電子基板筐体の製造方法であって、
射出成形法、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法又はハンドレイアップ成形法により樹脂部材を成形する際に、金属部材の樹脂コーティング層側の面に樹脂部材を接合する電子基板筐体の製造方法。
14) 前項8~11のいずれかに記載の電子基板筐体の製造方法であって、
射出成形法、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法又はハンドレイアップ成形法により筐体本体を成形する際に、放熱部材における筐体本体との接触面に筐体本体を接合する電子基板筐体の製造方法。
15) 前項9又は11記載の電子基板筐体の製造方法であって、
射出成形法、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法又はハンドレイアップ成形法により筐体本体を成形する際に、放熱部材における筐体本体との接触面に筐体本体を接合するのと同時に、成形用金型内に配置された第1アルミラミネートフィルムを筐体本体の内面に積層状に熱溶着させる電子基板筐体の製造方法。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1では、電子基板筐体は樹脂部材を具備しているので、筐体の軽量化を図りうる。
さらに、樹脂部材が、金属部材の金属基材の樹脂コーティング層側の面に接合されるとともに、樹脂コーティング層が金属基材の表面処理された面に積層されており、しかも、樹脂コーティング層の少なくとも1層が、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されているので、金属部材と樹脂部材との接合強度が高い。
前項2~5では、金属部材と樹脂部材との接合強度を確実に高めることができる。
前項6及び7では、金属部材の強度を高めることができるし、また金属部材が例えば放熱部材として用いられるものである場合、放熱部材の放熱特性を向上させることができる。
前項8では、筐体本体が樹脂部材なので、筐体の軽量化を確実に図ることができる。また、放熱部材が金属部材でありその金属基材がアミニウム又は銅からなるので、放熱部材は高い放熱特性を有する。
前項9では、筐体本体が樹脂部材である場合でも、筐体本体の内面に第1アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着しているので、筐体本体に電磁遮蔽機能を付与することができる。
前項10では、カバー体が樹脂製であるから、筐体の更なる軽量化を図ることができる。さらに、カバー体の内面に第2アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着しているので、カバー体に電磁遮蔽機能を付与することができる。
前項11では、前項9の効果と前項10の効果の両方を奏する。さらに、筐体本体とカバー体が、第1アルミラミネートフィルムと第2アルミラミネートフィルムとの熱溶着により接合されるので、筐体本体とカバー体との接合強度が向上するし、両者の接合作業が容易である。
前項12では、筐体本体に電子基板が熱かしめにより固定されているので、電子基板の固定作業が容易である。
前項13では、前項1~7のいずれかの電子基板筐体についてその製造工程数を削減できる。
前項14では、前項8~11のいずれかの電子基板筐体についてその製造工程数を削減できる。
前項15では、前項9又は11の電子基板筐体についてその製造工程数を削減できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子基板筐体を備えた電子制御ユニットの概略断面図である。 図2は、図1中のA部分の概略拡大図である。 図3は、同筐体の樹脂部材(筐体本体)を射出成形法により成形する際に、同筐体の金属部材(ヒートシンク)を金型内に配置した状態を示す概略断面図である。 図4は、同金属部材の金属基材の表面処理された面に樹脂コーティング層が積層された状態を示す概略断面図である。 図5は、同金属部材と樹脂部材が接合された状態の概略断面図である。 図6は、同金属部材と樹脂部材が接着剤層を介して接合された状態の概略断面図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る電気基板筐体の樹脂部材(筐体本体)及び金属部材(ヒートシンク)の概略断面図である。 図8は、同樹脂部材を射出成形法により成形する際に、同金属部材とアルミラミネートフィルムを射出成形用金型内に配置した状態を示す概略断面図である。 図9は、同アルミラミネートフィルムの概略断面図である。 図10は、本発明の第3実施形態に係る電子基板筐体の樹脂部材(筐体本体)及び金属部材(ヒートシンク)の概略斜視図である。 図11は、同樹脂部材及び金属部材を図10とは別の方向から見た概略斜視図である。 図12は、同樹脂部材及び金属部材の底面図である。 図13は、図12中のA-A線端面図である。 図14は、図12中のB-B線端面図である。 図15は、従来の電子基板筐体を備えた電子制御ユニットの概略断面図である。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る電子基板筐体10を備えた電子制御ユニット60は、例えば自動車用のウォーターポンプモーターの回転数制御に用いられるものであり、回転数制御のための素子(例:半導体素子)を有する発熱体55が搭載された電子基板50を内蔵している。
電子基板筐体10は、電子基板50を収容するとともに一面(同図では上面)が開放した略容器状の筐体本体21と、筐体本体21の開放部21bを閉塞する蓋体としてのカバー体31と、電子基板50の熱を筐体10(筐体本体21)の外側に放散する放熱部材としてのヒートシンク11とを具備しており、外部からの埃などの侵入を抑制するとともに、自動車の車体などへの取付け固定を担うものである。
本第1実施形態の筐体10では、ヒートシンク11が金属部材1からなり、筐体本体21が樹脂部材8からなる。したがって、ヒートシンク11は金属製であり、筐体本体21は樹脂製である。さらに、カバー体31は樹脂製である。
筐体本体21(樹脂部材8)は底部22を有するとともに、底部22には上方に突出した複数の電子基板固定用突起部23が一体に形成されている。各突起部23は電子基板50の対応する端部に設けられた固定孔51に挿通されるとともに、この状態で各突起部23の熱かしめにより電子基板50が筐体本体21に固定されている。そのため、電子基板50の固定作業を容易に行うことができる。
筐体本体21の底部22における電子基板50の発熱体搭載部52の下側部分には、底部22の厚さ方向に貫通した開口24が設けられている。この開口24の断面形状はヒートシンク11(詳述するとヒートシンク11の後述するベース部12)の断面形状に対応している。
ヒートシンク11(金属部材1)は、アルミニウム押出形材からなるものであり、板状のベース部12と、放熱部材の放熱部としての複数の放熱フィン部13とを有している。放熱フィン部13はベース部12に対して突出状にベース部12に一体に形成されている。
そして、ヒートシンク11は、その放熱フィン部13が筐体本体21の外側にその下方向に突出するように露出する態様にして筐体本体21の上述した開口24に配置されており、更に、ヒートシンク11のベース部12のベース面12b(同図ではベース部12の上面)が電子基板50の発熱体搭載部52の下面にTIM層(例:熱伝導シート)57を介して熱的に接触している。さらにこの状態で、ヒートシンク11における筐体本体21との接触面である、ヒートシンク11のベース部12の外周面12aに、筐体本体21(詳述すると筐体本体21の開口24の内周面24a)が接合(接着)されている。
カバー体31は上述したように樹脂製である。樹脂の種類は限定されるものではなく、例えばポリプロピレン(PP)である。
カバー体31の外周部にはフランジ部32が形成されており、筐体本体21の周壁部25の上端部には周壁部25に対して外側方に突出したフランジ部26が一体に形成されている。そして、筐体本体21のフランジ部26(詳述するとフランジ部26のフランジ面26a)とカバー体31のフランジ部32(詳述するとフランジ部32のフランジ面32a)とが重ね合わされることで筐体本体21の開放部21bがカバー体31で閉塞されている。そしてこの状態で、両フランジ部26、32同士がねじ等の締結部材(図示せず)により締結されており、これによりカバー体31が筐体本体21に固定されている。
さらに、図2に示すように、カバー体31におけるフランジ部32のフランジ面32aを含む内面31aにはその全体に亘ってアルミラミネートフィルム40Aがカバー体31の電磁遮蔽層として積層状に熱溶着している。
アルミラミネートフィルム40Aは、アルミニウム箔(アルミニウム蒸着層を含む)(図9参照、符号「41」)とその両面にそれぞれ積層された熱可塑性樹脂フィルム(例:PPフィルム、PETフィルム)(図9参照、符号「42」)とが一体化されたものである。そして、アルミニウム箔が電磁遮蔽層として実質的に機能している。
ここで本発明では、筐体本体21におけるフランジ部26のフランジ面26aを含む内面21aにもその全体に亘ってアルミラミネートフィルム(図示せず)が筐体本体の電磁遮蔽層として積層状に熱溶着されていてもよい。この場合、アルミラミネートフィルムは筐体本体21の電磁遮蔽層として機能する上、さらに、筐体本体21とカバー体31とを熱溶着により接合する熱溶着層として機能する。
すなわち、この場合、筐体本体21のフランジ部26(詳述するとフランジ部26のフランジ面26a)とカバー体31のフランジ部32(詳述するとフランジ部32のフランジ面32a)とを重ね合わせることで筐体本体21の開放部21bをカバー体31で閉塞し、そしてこの状態で、一方のフランジ部26のフランジ面26aに熱溶着したアルミラミネートフィルムと他方のフランジ部32のフランジ面32aに熱溶着したアルミラミネートフィルム40Aとを互いに熱溶着させることにより、両フランジ部26、32(両フランジ面26a、32a)同士を接合する。これにより、カバー体31が筐体本体21に固定される。したがって、筐体本体21とカバー体31との接合強度が向上するし、両者21、31の接合作業を容易に行うことができ、また両者21、31を接合する際に必ずしも締結部材を用いることを要せず、その結果、筐体10の部品点数の削減を図りうる。
次に、電子基板筐体10の各部材の構成及びその製造方法について詳細に説明する。以下では、ヒートシンク11を「金属部材1」とも記載し、筐体本体21を「樹脂部材8」とも記載する。
[金属部材1]
金属部材1(ヒートシンク11)は、図4に示すように、金属基材2と、金属基材2の表面上に積層された1層又は複数層の樹脂コーティング層4とを有している。金属基材2はアルミニウム又は銅からなる。
樹脂コーティング層4は、詳述すると金属基材2の表面処理された面上に積層されており、樹脂コーティング層4の少なくとも1層は、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されている。
金属基材2の表面処理された面は、金属部材1(金属基材2)における少なくとも樹脂部材8(筐体本体21)との接合予定面であり、即ち、金属部材1(基材2)における少なくとも樹脂部材8との接触面であり、具体的には、図1に示すようにヒートシンク11における少なくともベース部12の外周面12aである。なお本発明では、金属基材2の表面処理された面は、その他に例えば金属基材2の表面全体であってもよい。
金属部材1は、金属基材2上にこのような樹脂コーティング層4が積層されていることにより、金属基材2に、樹脂部材8に対する優れた接合性(接着性)が付与される。したがって、樹脂コーティング層4は金属基材2のプライマー層5である。
ここで、プライマー層5とは、金属部材1と樹脂部材8が接合される際に、金属基材2と樹脂部材8との間に介在し、金属基材2の樹脂部材8に対する接合性(接着性)を向上させる層であることを意味する。
金属部材1について更に詳述する。
同図に示すように、金属部材1は、金属基材2の表面に形成された表面処理部2aの表面に官能基付着層3が設けられ、さらに、官能基付着層3の表面に樹脂コーティング層4が形成された構造を備えている。したがって、官能基付着層3は金属基材2の表面処理部2aと樹脂コーティング層4との間に形成されている。
なお本発明では、金属基材2の表面処理部2aと樹脂コーティング層4との間には必ずしも官能基付着層3が形成されていなくてもよい。すなわち、樹脂コーティング層4は金属基材2の表面処理部2aの表面に直接積層されていてもよい。
<金属基材2>
金属基材2は上述したようにアルミニウム又は銅からなる。
金属基材2がアルミニウムからなる場合、即ち金属基材2がアルミニウム基材2Aである場合は、筐体10の軽量化を図ることができる。金属基材2が銅からなる場合、即ち金属基材2が銅基材2Bである場合、銅は高い熱伝導率を有しているのでヒートシンク11の放熱特性を高めることができる。
金属基材2がアルミニウム基材2Aである場合において、アルミニウム基材2Aのアルミニウム材料の種類は限定されるものではなく、例えばアルミニウム含有量が50質量%以上のものであり、具体的には、アルミニウム材料は、A1000系合金、A6000系合金(例:A6063、A6061、A6082、A6110)、A4000系合金などであることが好ましく、更に、アルミニウム材料は、A6063アルミニウム合金であることがより好ましい。その理由は、A6063アルミニウム合金は高い熱伝導率と高い強度を有するからである。
特に、アルミニウム基材2Aはアルミニウム押出形材又はアルミニウム鍛造品からなるものであり、更に、このアルミニウム基材2Aは、A6000系合金であって引張強度が200MPa以上及び熱伝導率が180W/(m・K)以上の特性を有していることが好ましい。この場合、アルミニウム基材2Aが高い引張強度(高強度)及び高い熱伝導率(高熱伝導性)を有しているので、金属部材1の高強度化を図ることができるし、金属部材1の放熱特性を向上させることができる。引張強度の上限は限定されるものではなく、例えば400MPaである。熱伝導率の上限は限定されるものではなく、例えば220W/(m・K)である。なお、上述の引張強度及び熱伝導率はそれぞれ室温での値である。
アルミニウム基材2Aがアルミニウム鍛造品からなる場合、アルミニウム基材2Aは次の方法で製造されることが好ましい。
すなわち、アルミニウム基材2Aの好ましい製造方法では、所定の特性を有するアルミニウム材料の溶湯を連続鋳造装置に供給することにより鋳造棒を連続鋳造する工程と、鋳造棒を所定の長さに切断することによりビレット(素材)を得る工程と、ビレットを均質化処理する工程と、ビレットを外径面削する工程と、ビレットを熱間型鍛造加工することにより鍛造品としてのヒートシンク形状の素形材を形成する工程とをこの記載の順に行う。次いで、素形材における所定の箇所を機械加工(例:切削加工)により、素形材における所定の箇所(樹脂部材8との接合予定面、TIM層57との接触面など)を機械加工(例:切削加工)により仕上げ加工する。これにより、アルミニウム鍛造品からなるアルミニウム基材2Aが得られる。
金属基材2が銅基材2Bである場合において、銅基材2Bの銅材料の種類は限定されるものではなく、特に純銅であることが好ましい。その理由は、純銅は高い熱伝導率を有するためヒートシンク11の放熱特性が向上するからである。
<表面処理(部)>
金属基材2における少なくとも樹脂部材8との接合予定面には表面処理部2aが形成されている。なお、表面処理部2aは金属基材2の一部とみなす。
表面処理としては、溶剤等による洗浄・脱脂処理、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理、化成処理(例:ベーマイト処理、ジルコニウム処理)等が挙げられ、金属基材2の表面に水酸基を生じさせる表面処理であることが好ましい。これらの処理は、1種のみであってもよく、2種以上を施してもよい。これらの表面処理の具体的な方法としては、公知の方法を用いることができる。
表面処理は、金属基材2の表面の清浄化、また、アンカー効果を目的として微細な凹凸を形成することによって金属基材2の表面を粗面化するものでもある。したがって、表面処理は、金属基材2の表面と、樹脂コーティング層4との接合性(接着性)を向上させることができ、また、樹脂部材8との接合性の向上にも寄与し得る。
したがって、金属部材1を作製する際、樹脂コーティング層4を形成する前に、金属基材2の表面処理が施される。表面処理としては、特に、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理及び化成処理からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
〔洗浄・脱脂処理〕
溶剤等による洗浄又は脱脂処理としては、例えば、金属基材2の表面を、アセトン、トルエン等の有機溶剤で洗浄したり拭いたりすることにより脱脂する等の方法が挙げられる。洗浄又は脱脂処理は、その他の表面処理の前に行われることが好ましい。
〔ブラスト処理〕
ブラスト処理としては、例えば、ショットブラストやサンドブラスト等が挙げられる。
〔研磨処理〕
研磨処理としては、例えば、研磨布を用いたバフ研磨や、研磨紙(サンドペーパー)を用いたロール研磨、電解研磨等が挙げられる。
〔エッチング処理〕
エッチング処理としては、例えば、アルカリ法、リン酸-硫酸法、フッ化物法、クロム酸-硫酸法、塩鉄法等の化学的エッチング処理、また、電解エッチング法等の電気化学的エッチング処理等が挙げられる。
特に、エッチング処理は、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いたアルカリ法が好ましく、更に、水酸化ナトリウム水溶液を用いた苛性ソーダ法が好ましい。
アルカリ法としては、例えば、金属基材2を、濃度3~20質量%の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液(エッチング液)中に20~70℃で1~15分間浸漬させることにより行うことができる。添加剤として、キレート剤、酸化剤、リン酸塩等をエッチング液中に添加してもよい。また、浸漬後、5~20質量%の硝酸水溶液等で中和(脱スマット)し、水洗、乾燥を行うことが好ましい。
〔化成処理〕
化成処理とは、主として金属基材2(特にアルミニウム基材)の表面に、表面処理部2aとして化成皮膜を形成するものである。
化成処理としては、ベーマイト処理、ジルコニウム処理等が挙げられ、特にベーマイト処理が好ましい。
ベーマイト処理では、金属基材2を熱水処理することにより、金属基材2の表面にベーマイト皮膜が形成される。反応促進剤として、アンモニアやトリエタノールアミン等を水に添加してもよい。特に、金属基材2を、濃度0.1~5.0質量%でトリエタノールアミンを含む90~100℃の熱水中に3秒~5分間浸漬して行うことが好ましい。
ジルコニウム処理では、金属基材2を、例えば、リン酸ジルコニウム等のジルコニウム塩含有液に浸漬することにより、金属基材2の表面にジルコニウム化合物の皮膜が形成される。特に、金属基材2を、ジルコニウム処理用の化成剤(例えば、日本パーカライジング株式会社製「パルコート3762」、同「パルコート3796」等)の45~70℃の液中に0.5~3分間浸漬して行うことが好ましい。ジルコニウム処理は、苛性ソーダ法によるエッチング処理後に行うことが好ましい。
<官能基付着層3>
官能基付着層3は、金属基材2の表面処理された面と樹脂コーティング層4との間に両者に接して積層されている。官能基付着層3は、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種から導入された官能基を有する層である。
金属基材2の表面処理された面と樹脂コーティング層4との間に上述の官能基を有する層が形成されていることにより、官能基が反応して形成する化学結合により、金属基材2の表面と、樹脂コーティング層4との接合性を向上させる効果が得られ、また、樹脂部材8との接合性の向上にも寄与しうる。
したがって、金属部材1を製造する際、樹脂コーティング層4を形成する前に、金属基材2の表面処理された面を、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種で処理することにより、金属基材2の表面処理された面に官能基付着層3を形成することが好ましい。
金属基材2は、表面処理部2aが形成されていることにより、表面処理部2aの微細な凹凸によるアンカー効果と、官能基付着層3の官能基が反応して形成する化学結合との相乗効果によって、金属基材2の表面と、樹脂コーティング層4との接合性、及び、樹脂部材8との接合性を向上させることができる。
シランカップリング剤、イソシアネート化合物又はチオール化合物により、官能基付着層3を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。具体的には、金属基材2を、濃度5~50質量%のシランカップリング剤等の常温~100℃の溶液中に1分~5日間浸漬した後、常温~100℃で1分~5時間乾燥させる等の方法により行うことができる。
〔シランカップリング剤〕
シランカップリング剤としては、例えば、ガラス繊維の表面処理等に用いられる公知のものを使用することができる。シランカップリング剤を加水分解させて生成したシラノール基、又はこれがオリゴマー化したシラノール基が、金属基材2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、樹脂コーティング層4や樹脂部材8と化学結合可能な該シランカップリング剤の構造に基づく官能基を、金属基材2に対して付与する(導入する)ことができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジチオールトリアジンプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
〔イソシアネート化合物〕
イソシアネート化合物によれば、該イソシアネート化合物中のイソシアナト基が、金属基材2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、樹脂コーティング層4や樹脂部材8と化学結合可能な該イソシアネート化合物の構造に基づく官能基を、金属基材2に対して付与する(導入する)ことができる。
イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、多官能イソシアネートであるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の他、ラジカル反応性基を有するイソシアネート化合物である2-イソシアネートエチルメタクリレート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMOI(登録商標)」)、2-イソシアネートエチルアクリレート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズAOI(登録商標)」、同「AOI-VM(登録商標)」)、1,1-(ビスアクリロイルオキシエチル)エチルイソシアネート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズBEI(登録商標)」)等が挙げられる。
〔チオール化合物〕
チオール化合物によれば、該チオール化合物中のメルカプト基(チオール基)が、金属基材2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、樹脂コーティング層4や樹脂部材8と化学結合可能な該チオール化合物の構造に基づく官能基を、金属基材2に対して付与する(導入する)ことができる。
チオール化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(例えば、三菱化学株式会社製「QX40」、東レ・ファインケミカル株式会社製「QE-340M」)、エーテル系一級チオール(例えば、コグニス(Cognis)社製「カップキュア3-800」)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) NR1」)等が挙げられる。
<樹脂コーティング層4>
樹脂コーティング層4は、金属基材2の表面処理された面、すなわち、金属基材2の表面処理部2aの表面に積層される。あるいはまた、上述したように官能基付着層3の表面に積層されていてもよい。
また、樹脂コーティング層4は、1層で構成されていてもよく、2層以上の複数層から構成されていてもよい。
樹脂コーティング層4は、金属基材2の表面処理された面上に、優れた接合性(接着性)で形成されるし、金属基材2の表面を保護し、金属基材2の表面の汚れの付着や酸化等の変質を抑制することができる。
また、樹脂コーティング層4によって、金属基材2の表面に、樹脂部材8との優れた接合性が付与され得る。さらに、上述のように金属基材2の表面が保護された状態で、数ヶ月間の長期にわたって、優れた接合性が得られる状態を維持し得る金属部材1を得ることもできる。
このように、金属部材1では、樹脂コーティング層4によって、金属基材2に樹脂部材8に対する優れた接合性が付与され得ることから、樹脂コーティング層4は上述したように金属基材2のプライマー層5である。
(現場重合型フェノキシ樹脂)
樹脂コーティング層4の少なくとも1層は、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されてなる層(以下、現場重合型フェノキシ樹脂層とも言う。)である。
現場重合型フェノキシ樹脂とは、熱可塑エポキシ樹脂や、現場硬化型フェノキシ樹脂、現場硬化型エポキシ樹脂等とも呼ばれる樹脂であり、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とが触媒存在下で重付加反応することにより、熱可塑構造、すなわち、リニアポリマー構造を形成する。すなわち、架橋構造による3次元ネットワークを構成する熱硬化性樹脂とは異なり、熱可塑性を有する樹脂コーティング層4を形成することができる。
現場重合型フェノキシ樹脂は、このような特徴を有していることにより、現場重合によって、金属基材2との接合性に優れた樹脂コーティング層4を形成することができ、かつ、該樹脂コーティング層4を樹脂部材8との接合性に優れたものとすることができる。
したがって、金属部材1を製造する際、金属基材2の表面処理された面上で、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物を重付加反応させることにより、樹脂コーティング層4の少なくとも1層を形成することが好ましい。
現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物の重付加反応は、官能基付着層3の表面で行うことが好ましく、また、樹脂コーティング層4の現場重合型フェノキシ樹脂層以外の層の表面で行うことも好ましい。このような態様で形成された現場重合型フェノキシ樹脂層を含む樹脂コーティング層は、金属基材2との接合性に優れ、かつ、樹脂部材8との接合性に優れたものである。
樹脂組成物により樹脂コーティング層4を形成するコーティング方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。
なお、樹脂組成物は、現場重合型フェノキシ樹脂の重付加反応を十分に進行させ、所望の樹脂コーティング層4を形成させるため、溶剤や、必要応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、樹脂組成物の溶剤以外の含有成分中、現場重合型フェノキシ樹脂が主成分であることが好ましい。主成分とは、現場重合型フェノキシ樹脂の含有率が50~100質量%であることを意味する。この含有率は60質量%以上であることが好ましく、更に80質量%以上であることがより好ましい。
現場重合型フェノキシ樹脂を得るための重付加反応性化合物として、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール性化合物との組み合わせが好ましい。
2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。具体的には、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)834」、同「jER(登録商標)1001」、同「jER(登録商標)1004」、同「jER(登録商標) YX-4000」等が挙げられる。
2官能フェノール化合物としては、ビスフェノール、ビフェノール等が挙げられる。これらのうち、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、これらの組み合わせとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールA、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF、ビフェニル型エポキシ樹脂と4,4’-ビフェノール等が挙げられる。また、例えば、ナガセケムテックス株式会社製「WPE190」と「EX-991L」との組み合わせも挙げられる。
現場重合型フェノキシ樹脂の重付加反応のための触媒としては、例えば、トリエチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン;トリフェニルホスフィン等のリン系化合物等が好適に用いられる。
重付加反応は、反応化合物等の種類にもよるが、120~200℃で、5~90分間加熱して行うことが好ましい。具体的には、樹脂組成物をコーティングした後、適宜溶剤を揮発させ、その後、加熱して重付加反応を行うことにより、現場重合型フェノキシ樹脂層を形成することができる。
(熱硬化性樹脂)
樹脂コーティング層4が複数層からなる場合、そのうちの少なくとも1層は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物から形成されてなる層(以下、熱硬化性樹脂層とも言う。)であることも好ましい。熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂層の各層は、これらの樹脂のうちの1種単独で形成されていてもよく、2種以上が混合されて形成されていてもよい。あるいはまた、2層以上の各層が異なる種類の熱硬化性樹層であってもよい。
樹脂コーティング層4が、現場重合型フェノキシ樹脂層と、熱硬化性樹脂層との積層構成であることにより、熱硬化性樹脂に基づく強度や耐衝撃性等の種々の特性を備えた樹脂コーティング層でコーティングされたアルミニウム部材を構成することができる。
なお、熱硬化性樹脂層、及び現場重合型フェノキシ樹脂層の積層順序は、特に限定されるものではないが、樹脂部材8との優れた接合性を得る観点から、現場重合型フェノキシ樹脂層が、樹脂コーティング層4の最表面となるように積層することが好ましい。
熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物により、樹脂コーティング層4のうちの少なくとも1層を形成するコーティング方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。
なお、樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の硬化反応を十分に進行させ、所望の樹脂コーティング層を形成させるため、溶剤や、必要応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、樹脂組成物の溶剤以外の含有成分中、熱硬化性樹脂が主成分であることが好ましい。主成分とは、熱硬化性樹脂の含有率が50~100質量%であることを意味する。この含有率は60質量%以上であることが好ましく、更に80質量%以上であることがより好ましい。
なお、本発明で言う熱硬化性樹脂は、広く、架橋硬化する樹脂を意味し、加熱硬化タイプに限られず、常温硬化タイプや光硬化タイプも包含するものとする。光硬化タイプは、可視光や紫外線の照射によって短時間での硬化も可能である。光硬化タイプを、加熱硬化タイプ及び/又は常温硬化タイプと併用してもよい。光硬化タイプとしては、例えば、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)LC-760」、同「リポキシ(登録商標)LC-720」等のビニルエステル樹脂が挙げられる。
〔ウレタン樹脂〕
ウレタン樹脂は、通常、イソシアナト基と水酸基との反応によって得られる樹脂であり、ASTM D16において、「ビヒクル不揮発成分10wt%以上のポリイソシアネートを含む塗料」と定義されるものに該当するウレタン樹脂が好ましい。ウレタン樹脂は、一液型であっても、二液型であってもよい。
一液型ウレタン樹脂としては、油変性型(不飽和脂肪酸基の酸化重合により硬化するもの)、湿気硬化型(イソシアナト基と空気中の水との反応により硬化するもの)、ブロック型(ブロック剤が加熱により解離し再生したイソシアナト基と水酸基が反応して硬化するもの)、ラッカー型(溶剤が揮発して乾燥することにより硬化するもの)等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い容易性等の観点から、湿気硬化型一液ウレタン樹脂が好適に用いられる。具体的には、昭和電工株式会社製「UM-50P」等が挙げられる。
二液型ウレタン樹脂としては、触媒硬化型(イソシアナト基と空気中の水等とが触媒存在下で反応して硬化するもの)、ポリオール硬化型(イソシアナト基とポリオール化合物の水酸基との反応により硬化するもの)等が挙げられる。
ポリオール硬化型におけるポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、ポリオール硬化型におけるイソシアナト基を有するイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;2,4-もしくは2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p-フェニレンジシソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やその多核体混合物であるポリメリックMDI等の芳香族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族イソシアネート等が挙げられる。
ポリオール硬化型の二液型ウレタン樹脂におけるポリオール化合物とイソシアネート化合物の配合比は、水酸基/イソシアナト基のモル当量比が0.7~1.5の範囲であることが好ましい。
二液型ウレタン樹脂において使用されるウレタン化触媒としては、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ジメチルエーテルアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレン-トリアミン、N-メチルモルフォリン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン等のアミン系触媒;ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレエート等の有機錫系触媒等が挙げられる。
ポリオール硬化型においては、一般に、ポリオール化合物100質量部に対して、ウレタン化触媒が0.01~10質量部配合されることが好ましい。
〔エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂である。
エポキシ樹脂の硬化前のプレポリマーとしては、エーテル系ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル系エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適に用いられる。これらのうち、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、具体的には、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)1001」等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製「D.E.N.(登録商標)438(登録商標)」等が挙げられる。
エポキシ樹脂に使用される硬化剤としては、脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物、フェノール樹脂、チオール類、イミダゾール類、カチオン触媒等の公知の硬化剤が挙げられる。硬化剤は、長鎖脂肪族アミン又は/及びチオール類との併用により、伸び率が大きく、耐衝撃性に優れるという効果が得られる。
チオール類の具体例としては、上述した表面処理におけるチオール化合物として例示したものと同じ化合物が挙げられる。これらの中でも、伸び率及び耐衝撃性の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)が好ましい。
〔ビニルエステル樹脂〕
ビニルエステル樹脂は、ビニルエステル化合物を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂とも呼ばれるが、ビニルエステル樹脂には、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂も包含するものとする。
ビニルエステル樹脂としては、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができ、また、具体的には、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R-802」、同「リポキシ(登録商標)R-804」、同「リポキシ(登録商標)R-806」等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、イソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリルモノマー(及び、必要に応じて水酸基含有アリルエーテルモノマー)を反応させて得られるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。具体的には、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R-6545」等が挙げられる。
ビニルエステル樹脂は、有機過酸化物等の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
有機過酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアリルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等が挙げられる。これらをコバルト金属塩等と組み合わせることにより、常温での硬化も可能となる。
コバルト金属塩としては、特に限定されるものではないが、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられる。これらの中でも、ナフテン酸コバルト又は/及びオクチル酸コバルトが好ましい。
〔不飽和ポリエステル樹脂〕
不飽和ポリエステル樹脂は、ポリオール化合物と不飽和多塩基酸(及び、必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。
不飽和ポリエステル樹脂としては、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができ、また、具体的には、昭和電工株式会社製「リゴラック(登録商標)」等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、ビニルエステル樹脂についてと同様の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
[電子基板筐体10]
図5に示すように、電子基板筐体10では、金属部材1の金属基材2の樹脂コーティング層4側の面4aと樹脂部材8とが接合一体化されている。なお、樹脂コーティング層4は上述したように金属基材2のプライマー層5である。
本第1実施形態では、詳述すると、金属部材1の金属基材2の樹脂コーティング層4側の面4aと樹脂部材8とが直接接するようにして接合一体化されている。
上述したように、樹脂コーティング層4側の面4aは、樹脂部材8との接合性に優れているため、金属部材1と樹脂部材8とが高い接合強度で接合された筐体10を製造することができる。
樹脂コーティング層4の厚さ(乾燥後厚さ)は、樹脂部材8の樹脂の種類や接合面積にもよるが、樹脂コーティング層4側の面4aにおける樹脂部材8との優れた接合性を得る観点から、1μm~10mmであることが好ましく、より好ましくは2μm~8mm、さらに好ましくは3μm~5mmである。
具体的には、金属部材1と樹脂部材8としての炭素繊維強化樹脂部材(CFRP部材)とを接合一体化する場合、金属部材1と樹脂部材8としてのガラス繊維強化樹脂部材(GFRP部材)とを接合一体化する場合などでは、樹脂コーティング層4の厚さは0.1~10mmであることが好ましく、より好ましくは0.2~8mm、さらに好ましくは0.5~5mmである。
樹脂部材8の樹脂の種類は限定されるものではなく、ポリプロピレン等の一般的な合成樹脂でよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の自動車部品等に用いられるような樹脂等も挙げられる。
また、樹脂部材8の樹脂は、補強繊維(例:炭素繊維、ガラス繊維)を含有する樹脂であってもよい。そのような樹脂として、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)等が挙げられ、更に、シートモールディングコンパウンド(SMC)、バルクモールディングコンパウンド(BMC)等のシート状成形体等も挙げられる。
なお、SMCとは、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂、重合性不飽和単量体、硬化剤、低収縮剤及び充填剤等を混合したものを、補強繊維(例:炭素繊維、ガラス繊維)に含浸させることによって得られるシート状成形体である。
筐体10の製造方法としては、金属部材1と樹脂部材8とをそれぞれ別個に作製したものを接合(接着)して一体化させる方法が挙げられる。
特に、筐体10の製造方法として、樹脂部材8(筐体本体21)を成形するのと同時に、金属部材1(ヒートシンク11)と樹脂部材8を接合することで一体化する方法が好ましい。具体的には、射出成形法(インサート成形法を含む)、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法、ハンドレイアップ成形法等の方法で樹脂部材8を成形する際に、金属部材1の金属基材2の樹脂コーティング層4側の面4aに樹脂部材8を接合することにより、金属部材1と樹脂部材8とを一体化させ、これにより筐体10を得ることができる。この場合、筐体10の製造工程数を削減することができる。
具体的には、図3に示すように、樹脂部材8を例えば射出成形法により成形する場合では、射出成形用金型70内に金属部材1を配置し、射出装置(図示せず)により樹脂を金型70のキャビティー71に射出(その射出方向35)ことにより、樹脂部材8が成形され、これと同時に金属部材1と樹脂部材8が接合される。
なお、同図中の符号「74」はノックアウトピンである。また、金型70は互いに対応する固定型70a及び可動型70bを備えたものである。そして、可動型70bが固定型70aに向かって移動して両者70a、70bが組み合わされることで、金型70内に樹脂部材8の形状に対応した形状のキャビティー71が形成される。
さらに、本第1実施形態では、図6に示すように、電子基板筐体21の筐体本体は、金属部材1の金属基材2の樹脂コーティング層4側の面4aと樹脂部材8とが接着剤層7を介して接合一体化されていてもよい。
このように、樹脂部材8の樹脂の種類によっては、接着剤を用いることにより、金属部材1と樹脂部材8とがより高い接合強度で接合された筐体10を得ることができる。
接着剤層7の接着剤としては、樹脂部材8の樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、ビニルエステル樹脂系等の公知の接着剤を用いることができる。
なお、接合(接着)時の加熱温度によっては、接合(接着)後に室温に冷却する過程で、金属基材2と樹脂部材8との熱膨張係数の差に起因して筐体10が熱変形を生じやすくなる。このような熱変形を抑制緩和する観点から、接着剤層7の厚さは、樹脂コーティング層4と接着剤層7との合計厚さが4μm以上になるようにし、金属基材2と樹脂部材8との間に伸び率の大きい特性を有する部分を所定の厚みで設けておくことが望ましい。上述の合計厚さは、接合時の温度変化(接合持の加熱温度から室温冷却までの温度変化)における樹脂コーティング層4及び接着剤層7の伸び率等の物性を考慮して求められることが好ましい。合計厚さの好ましい上限は10mmである。
ここで、金属部材1と樹脂部材8を接合する場合において、両部材1、8を接合する層を接合層といい、その厚さを接合層の厚さという。したがって、金属部材1の樹脂コーティング層4側の面4aに接着剤層7が形成されている場合は、樹脂コーティング層4と接着剤層7との両層4、7が接合層であり、両層4、7の合計厚さが接合層の厚さである。また、金属部材1の樹脂コーティング層4側の面4aに接着剤層7が形成されていない場合は、樹脂コーティング層4が接合層であり、樹脂コーティング層4の厚さが接合層の厚さである。
次に、本発明の第2実施形態に係る電子基板筐体10について図7~9を参照して以下に説明する。これらの図において、上記第1実施形態の電子基板筐体10の要素と同じ作用を奏する要素には、上記第1実施形態の電子基板筐体10の要素に付された符号と同じ符号が付されている。以下、本第2実施形態について上記第1実施形態との相異点を中心に説明する。
図7に示すように、本第2実施形態の電子基板筐体10では、筐体本体21におけるフランジ部26のフランジ面26aを除く内面21aとヒートシンク11における筐体本体21の内側に露出した露出面11aとには、その全体に亘ってアルミラミネートフィルム40が筐体本体21の電磁遮蔽層として積層状に熱溶着している。
ここで、筐体本体21及びヒートシンク11におけるアルミラミネートフィルム40が熱溶着される面を、樹脂部材8(筐体本体21)及び金属部材1(ヒートシンク11)におけるアルミラミネートフィルム40の熱溶着予定面Sという。
アルミラミネートフィルム40は、図9に示すように、アルミニウム箔(アルミニウム蒸着層を含む)41とその両面にそれぞれ積層された熱可塑性樹脂フィルム(例:PPフィルム、PETフィルム)42、42とが一体化されたものである。そして、アルミニウム箔41が電子遮蔽層として実質的に機能している。
筐体10の製造方法として、樹脂部材8(筐体本体21)を成形するのと同時に、金属部材1(ヒートシンク11)と樹脂部材8を接合し且つ樹脂部材8及び金属部材1の上述した熱溶着予定面Sにアルミラミネートフィルム40を熱溶着する方法が好ましい。
この好ましい方法について樹脂部材8を射出成形法により成形する場合で図8を参照して具体的に説明すると以下のとおりである。
射出成形用金型70は、上述したように、互いに対応する固定型70a及び可動型70bを備えたものである。可動型70bが固定型70aに向かって移動して両者70a、70bが組み合わされることで、金型70内に樹脂部材8の形状に対応した形状のキャビティー71が形成される。
樹脂部材8を射出成形法により成形する場合では、金型70のうち樹脂部材8の外面を成形する側の型(同図では固定型70a)内に金属部材1を配置するともに、樹脂部材8の内面を成形する側の型である他方の型(同図では可動型70b)側にアルミラミネートフィルム40をキャビティー71を略覆う状態に配置する。そして、可動型70bを固定型70aに向かって移動させることで両者70a、70bを組み合わせ、その後、射出装置(図示せず)により樹脂をキャビティー71に射出(その射出方向35)することにより、樹脂部材8を成形し、これと同時に金属部材1と樹脂部材8を接合するとともに樹脂部材8及び金属部材1の上述した熱溶着予定面Sにアルミラミネートフィルム40を熱溶着する。
この方法では、射出装置から樹脂がキャビティー71に射出されると、アルミラミネートフィルム40は、樹脂の射出力によって樹脂部材8及び金属部材1の上述した熱溶着予定面Sの凹凸形状(具体的には可動型70bの成形面70fの凹凸形状)に沿うように引き延ばされたのち熱溶着予定面Sに熱溶着される。
アルミラミネートフィルム40の大きさ及び厚さは、射出成形法による樹脂部材8の成形終了時にアルミラミネートフィルム40が引き延ばされる表面積を勘案して設定されることが好ましい。
なお、筐体本体21(樹脂部材8)のフランジ部26のフランジ面26aにはアルミラミネートフィルム40は熱溶着されていない。
ただし本発明では、図示していないが、筐体本体21のフランジ部26のフランジ面26aにもアルミラミネートフィルム40が熱溶着していてもよい。この場合、上述したように、筐体本体21のフランジ部26のフランジ面26aに熱溶着したアルミラミネートフィルム40とカバー体31のフランジ部32のフランジ面32aに熱溶着したアルミラミネートフィルム40とを互いに熱溶着させることにより、両フランジ部26、32(両フランジ面26a、32a)同士を接合することができるので、筐体本体21とカバー体31とを強固に接合できるし、両者21、31の接合作業を容易に行うことができ、また両者21、31を接合する際に必ずしも締結部材を用いることを要せず、部品点数の削減を図りうる。
また、カバー体31の内面31a(フランジ部32のフランジ面32aを含む)にアルミラミネートフィルム40を熱溶着する場合でも、上述した好ましい方法を利用することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る電子基板筐体について図10~14を参照して以下に説明する。これらの図において、上記第1実施形態の電子基板筐体の要素と同じ作用を奏する要素には、上記第1実施形態の電子基板筐体の要素に付された符号と同じ符号が付されている。以下、本第3実施形態について上記第1実施形態との相異点を中心に説明する。
これらの図に示すように、本第3実施形態の電子基板筐体10では、ヒートシンク11の数は二つであり、筐体本体21(詳述すると筐体本体21の底部22)に設けられた開口24の数はヒートシンク11の数と同数(即ち二つ)である。そして、各開口24にヒートシンク11が一つずつ配置されるとともに、ヒートシンク11のベース部12の外周面12aに筐体本体21(詳述すると筐体本体21の開口24の内周面24a)が接合(接着)されている。
このように本発明では、ヒートシンク11の数は一つであってもよいし複数であってもよい。
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
上記実施形態では、金属部材はヒートシンクであるが、本発明では、金属部材はヒートシンクであることに限定されるものではなく、その他に例えば、ヒートスプレッダーであってもよいし筐体の補強部材であってもよい。
さらに、本発明に係る電子基板筐体は、カバー体に設けられた開口にヒートシンク等の放熱部材が配置されたものを排除するものではない。
本発明に関連した実施試験例及び比較試験例を以下に示す。ただし、本発明は下記実施試験例に限定されるものではない。
<実施試験例1>
アルミニウム部材としてのアルミニウム板を熱間型鍛造により成形した。したがって、アルミニウム板は鍛造品からなる。そして、アルミニウム板の表面を機械切削加工により平滑にした。
アルミニウム板のアルミニウム材料はA6063アルミニウム合金であり、具体的には、Si:0.4質量%、Fe:0.25質量%、Cu:0.05質量%、Mg:0.6質量%、残部がAl及び不可避不純物からなる化学成分を有するものであり、アルミニウム板の引張強度は220MPaであり、その熱伝導率は195W/(m・K)であった。
また、アルミニウム板の寸法は長さ100mm、幅25mm及び厚さ1.6mmであった。
(表面処理工程)
アルミニウム板(即ちアルミニウム基材)を濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1.5分間浸漬した後、濃度5質量%の硝酸水溶液で中和し、水洗、乾燥を行うことにより、エッチング処理を行った。
次に、エッチング処理後のアルミニウム板を、トリエタノールアミンを0.3質量%含有する水溶液中で3分間煮沸することによって、ベーマイト処理を行い、これによりアルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM-503」;シランカップリング剤)2.48g(0.01モル)を工業用エタノール1000gに溶解させた80℃のシランカップリング剤含有溶液中に、ベーマイト処理後のアルミニウム板を3分間浸漬した。その後、アルミニウム板を取り出して乾燥させ、これによりベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、一液型ウレタン樹脂(昭和電工株式会社製「UM-50P」)を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが15μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することによって、溶剤の揮発と硬化を行い、1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)を形成した。
さらに、熱硬化性樹脂層の表面に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1004」)100g、ビスフェノールA 12.6g、及びトリエチルアミン0.45gを、アセトン209g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、乾燥後の厚さが10μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより2層目の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ15μmの熱硬化性樹脂層、及び厚さ10μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材を射出成形用金型内に配置し、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、バルクモールディングコンパウント(BMC)(昭和電工株式会社社製「リゴラック(登録商標)RNC-980」)からなる板状の樹脂部材を、射出成形機(ファナック株式会社製「α‐S100iA」;金型温度160℃、成形圧力100MPa、成形時間3分)により射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体Aを作製した。
接合体Aにおいて、樹脂部材の寸法は長さ45mm、幅10mm及び厚さ3mmであり、またアルミニウム部材と樹脂部材との接合部の長さは5mmであった。
また、アルミニウム部材を常温の空気中で3ヶ月間保存し、その後、アルミニウム部材と樹脂部材を上記と同様に接合し、これによりアルミ-樹脂接合体Bを作製した。
<比較試験例1>
実施試験例1と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。そして、アルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例1と同様にBMCからなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材との接合を試みた。樹脂部材の成形後、金型内から両部材を取り出すと、アルミニウム部材と樹脂部材は接合しておらず樹脂部材が脱落した。
<実施試験例2>
(表面処理工程)
実施試験例1と同じアルミニウム板を準備した。そして、アルミニウム板について実施試験例1と同様に表面処理工程を行い、これにより、アルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、アルミニウム板のベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりに3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM-5103」;シランカップリング剤)2.34g(0.01モル)を用いたこと以外は実施試験例1と同様に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、可視光硬化型ビニルエステル樹脂(昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)LC-720」)を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが15μmになるようにスプレー法にて塗布した後、アルミニウム板の表面から2cm離れた位置から、波長385nmのLED光を10分間照射することによって、官能基付着層3の表面に1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂(光硬化タイプ)層)を形成した。
さらに、熱硬化性樹脂層の表面に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1004」)100g、ビスフェノールA 12.6g、及びトリエチルアミン0.45gを、アセトン209g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、乾燥後の厚さが10μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより2層目の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ15μmの熱硬化性樹脂層、及び厚さ10μmの現場重合型フェノキシ樹脂の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接着剤層形成工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、常温硬化型接着剤を厚さが30μmとなるように層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。
なお、常温硬化型接着剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」)100g、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」;硬化剤)70g、及び2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール10gを混合してなる常温硬化型接着剤を用いた。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材の接着剤層の表面に、実施試験例1と同様にBMCからなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体Aを作製した。
また、アルミニウム部材を常温の空気中で3ヶ月間保存し、その後、アルミニウム部材と樹脂部材を上記と同様に接合し、これによりアルミ-樹脂接合体Bを作製した。
<比較試験例2>
実施試験例2と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。このアルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例2と同様に常温硬化型接着剤を層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。次に、実施試験例2と同様にアルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体Aを作製した。
また、アルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を常温の空気中で3ヶ月間保存し、その後、アルミニウム部材と樹脂部材を上記と同様に接合し、これによりアルミ-樹脂接合体Bを作製した。
〔接合性評価〕
上記実施試験例1、2及び比較試験例1、2で作製したアルミ-樹脂接合体について、常温で1日間放置後、ISO 19095 1-4に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製万能試験機オートグラフ「AG-IS」;ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH)にて、引張剪断接合強度試験を行い、接合強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0007358792000001
表1中の「接合強度評価」欄における符号の意味は次のとおりである。
○:接合強度が20MPa以上
×:接合強度が20MPa未満
-:アルミニウム部材と樹脂部材が接合していない。
<実施試験例3>
(表面処理工程)
実施試験例1と同じアルミニウム板を準備した。そして、アルミニウム板について実施試験例1と同様に表面処理工程を行い、これにより、アルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM-903」;シランカップリング剤)2gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有溶液中に、ベーマイト処理後のアルミニウム板を3分間浸漬した。その後、アルミニウム板を取り出して乾燥させ、これによりベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、ビスフェノールA 24g、及びトリエチルアミン0.4gを、アセトン250g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが10μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより1層目の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
さらに、現場重合型フェノキシ樹脂層の表面に、ビニルエステル樹脂(昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R-6540」;引張伸び率20%)100g、オクチル酸コバルト0.5g、及び有機過酸化物触媒(化薬アクゾ株式会社製「硬化剤328E」)1.5gを混合してなる熱硬化性樹脂組成物を、スプレー法で塗布して常温で硬化させる操作を数回繰り返し行うことによって、厚さ2mmの2層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂(常温硬化タイプ)層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ10μmの現場重合型フェノキシ樹脂層、及び厚さ2mmの熱硬化性樹脂層の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接着剤層形成工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、常温硬化型接着剤を厚さが20μmとなるように層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。
なお、常温硬化型接着剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」)100g、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」;硬化剤)70g、及び2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール10gを混合してなる常温硬化型接着剤を用いた。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材の接着剤層の表面に、実施試験例1と同様にBMCからなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体を作製した。
<比較試験例3>
実施試験例3と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。このアルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例3と同様に常温硬化型接着剤を層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。次に、実施試験例3と同様にアルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体を作製した。
<実施試験例4>
(表面処理工程)
実施試験例1と同じアルミニウム板を準備した。そして、アルミニウム板を、濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1.5分間浸漬した後、濃度5質量%の硝酸水溶液で中和し、水洗、乾燥を行うことにより、エッチング処理を行った。
次に、エッチング処理後のアルミニウム板を、純水中で10分間煮沸した後、250℃で10分間ベーキングすることによって、ベーマイト処理を行い、これによりアルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM-903」;シランカップリング剤)2gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有溶液中に、ベーマイト処理後のアルミニウム板を20分間浸漬した。その後、アルミニウム板を取り出して乾燥させ、これによりベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、ビスフェノールA 24g、及びトリエチルアミン0.4gを、アセトン250g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが90μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ90μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材を射出成形用金型内に配置し、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)(SABIC社製「LEXAN(登録商標) 121R-111」)からなる板状の樹脂部材を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度300℃、ツール温度110℃、インジェクションスピード10mm/sec、ピーク/ホールディング圧力100/80[MPa/MPa])により射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体を作製した。
<比較試験例4>
実施試験例4と同様に表面処理工程及び官能基付与層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。そして、アルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例4と同様にPC樹脂からなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材との接合を試みたところ、アルミニウム部材と樹脂部材は全く接合していなかった。
<実施試験例5>
実施試験例4と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム板を準備した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」)100g、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」;硬化剤)70g、及び2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール10gを、アセトン344gに溶解してなる硬化性樹脂組成物を、乾燥後の厚さが5μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって、溶剤の揮発と硬化を行い、1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)を形成した。
さらに、熱硬化性樹脂層の表面に、実施試験例4と同様の方法により現場硬化型フェノキシ樹脂層を厚さ80μmで形成し、2層目の樹脂コーティング層とした。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ5μmの熱硬化性樹脂層、及び厚さ80μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)の表面に、実施試験例4と同様にPC樹脂からなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂複合体を作製した。
<比較試験例5>
実施試験例4と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム板を準備した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、実施試験例5と同様に1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)を形成したが、この熱硬化性樹脂層の表面には2層目の樹脂コーティング層(即ち現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成しなかった。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)の表面に、実施試験例4と同様にPC樹脂からなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材との接合を試みたところ、アルミニウム部材と樹脂部材は全く接合していなかった。
〔接合性評価〕
上記実施試験例3~5及び比較試験例3~5で作製したアルミ-樹脂接合体について、上記と同じ試験条件及び方法で引張剪断接合強度試験を行い、接合強度を測定した。これらの結果を表2に示す。なお、表2中の「接合強度評価」欄における符号の意味は表1と同じである。
Figure 0007358792000002
<実施試験例6>
実施試験例1と同じアルミニウム板を準備した。そして、アルミニウム板を、濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1.5分間浸漬した後、濃度5質量%の硝酸水溶液で中和し、水洗、乾燥を行うことにより、エッチング処理を行った。
次に、エッチング処理後のアルミニウム板を、トリエタノールアミンを0.3質量%含有する水溶液中で3分間煮沸することによって、ベーマイト処理を行い、これによりアルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM-603」;シランカップリング剤)4gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有水溶液中に、ベーマイト処理後のアルミニウム板を20分間浸漬した。その後、アルミニウム板を取り出して乾燥させ、これによりベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」)100g、ビスフェノールA 61.6g、及びトリエチルアミン0.6gを、アセトン300g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが3μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ3μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接着剤層形成工程及び接合工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、二液型ウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが2μmとなるように層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。なお、二液型ウレタン系接着剤として、昭和電工株式会社製の「ビニロール(登録商標)OLY-5438-6」100g、「ビニロール(登録商標)OLX-7872」5.45g、及び「ビニロール(登録商標)ショクバイエキB」10gを混合してなる接着剤を用いた。
(接合工程)
次に、アルミニウ部材をトランスファ成形用金型内に配置し、アルミニウム部材の接着剤層の表面に、PBT-GF30からなる板状の樹脂部材をトランスファ成形法により成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体を作製した。なお、PBT-GF30とは、ガラス繊維が30%配合されたポリブチレンテレフタレート(即ちガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート)である。
<比較試験例6>
実施試験例6と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。このアルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例6と同様に二液型ウレタン系接着剤を層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。次に、実施試験例6と同様にアルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体を作製した。
〔接合性評価〕
上記実施試験例6及び比較試験例6で作製したアルミ-樹脂接合体について、上記と同じ試験条件及び方法で引張剪断接合強度試験を行い、接合強度を測定した。これらの結果を表3に示す。なお、表3中の「接合強度評価」欄における符号の意味は表1と同じである。
Figure 0007358792000003
以上の表1~3の評価結果から分かるように、実施試験例1~6のアルミ-樹脂接合体はいずれも高い接合強度を有していた。
また、アルミニウム基材として別のアルミニウム材料からなるアルミニウム板を熱間型鍛造により成形し、その後、アルミニウム板の表面を機械切削加工により平滑にした。アルミニウム板のアルミニウム材料は、Si:0.6質量%、Fe:0.25質量%、Cu:0.3質量%、Mg:1.0質量%、残部がAl及び不可避不純物からなる化学成分を有するものである。
次に、実施試験例1~6と同様にアルミニウム板と樹脂部材を接合し、これによりアルミ-樹脂接合体を作製した。そして、これらの接合体について、上記と同じ試験条件及び方法で引張剪断接合強度試験を行い、接合強度を測定した。その結果、これらの接合体はいずれも高い接合強度を有していた。
したがって、本発明によれば、アルミニウム部材と樹脂部材が強固に接合された電子基板筐体を製造しうると考えられる。
<実施試験例7>
(表面処理工程)
銅基材としての長さ45mm、幅18mm及び厚さ1.5mmの銅板を準備し、その表面をアセトンで脱脂し、#100のサンドペーパーで研磨処理した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1004」)100g、ビスフェノールA 12.6g、及びトリエチルアミン0.45gを、アセトン209g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、研磨処理後の銅板の表面に、乾燥後の厚さが70μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、銅板の表面に、厚さ70μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の樹脂コーティング層が形成された板状の銅部材を作製した。
(接合工程)
次に、銅部材の樹脂コーティング層の表面に、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)(SABIC社製「VALOX(登録商標) 507」;ガラス繊維(GF)30質量%含有)からなる板状の樹脂部材を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度245℃、ツール温度80℃、インジェクションスピード10mm/sec、ピーク/ホールディング圧力100/80[MPa/MPa])により射出成形することにより、銅部材と樹脂部材を接合し、これにより銅-樹脂接合体を作製した。
接合体において、樹脂部材の寸法は長さ45mm、幅10mm及び厚さ3mmであり、また銅部材と樹脂部材との接合部の長さは5mmであった。
<実施試験例8>
(表面処理工程)
銅基材としての長さ45mm、幅18mm及び厚さ1.5mmの銅板を準備し、その表面をアセトンで脱脂し、#100のサンドペーパーで研磨処理した。
(官能基付着層形成工程)
次に、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM-503」;シランカップリング剤)2gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有溶液中に、研磨処理後の銅板を20分間浸漬した。その後、銅板を取り出して乾燥させ、これにより銅板の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、ビニルエステル樹脂(昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R-802」)100gに、スチレン(ST)20g、メチルメタクリレート(MMA)20g、及び有機過酸化物触媒(化薬アクゾ株式会社製「パーブチル(登録商標)O」)1.4gを混合してなる硬化性樹脂組成物を、銅板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが5μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中にて100℃で30分間加熱して硬化させ、これにより1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)を形成した。
さらに、熱硬化性樹脂層の表面に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、ビスフェノールF 21g、及びトリエチルアミン0.4gを、アセトン225g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、乾燥後の厚さが80μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより2層目の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、銅板の官能基付着層の表面に、厚さ5μmの熱硬化性樹脂層、及び厚さ80μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状の銅部材を作製した。
(接合工程)
次に、銅部材の樹脂コーティング層の表面に、実施試験例8と同様にPBT樹脂からなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、銅部材と樹脂部材を接合し、これにより銅-樹脂接合体を作製した。
<実施試験例9>
(表面処理工程)
銅基材としての長さ45mm、幅18mm及び厚さ1.5mmの銅板を準備し、その表面をアセトンで脱脂し、#100のサンドペーパーで研磨処理した。
(官能基付着層形成工程)
次に、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM-903」;シランカップリング剤)2gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有溶液中に、研磨処理後の銅板を20分間浸漬した。その後、銅板を取り出して乾燥させ、これにより銅板の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1004」)100g、ビスフェノールA 12.6g、及びトリエチルアミン0.45gを、アセトン209g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、銅板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが100μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより樹脂コーティング層を形成した。
以上の方法により、銅板の官能基付着層の表面に、厚さ100μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の樹脂コーティング層が形成された板状の銅部材を作製した。
(接合工程)
次に、銅部材の樹脂コーティング層の表面に、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)(SABIC社製「Ultem(登録商標)」)からなる板状の樹脂部材を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度350℃、ツール温度150℃、インジェクションスピード50mm/sec、ピーク/ホールディング圧力160/140[MPa/MPa])により射出成形することにより、銅部材と樹脂部材を接合し、これにより銅-樹脂接合体を作製した。
〔接着性評価〕
上記実施試験例7~9で作製した銅-樹脂接合体について、常温で1日間放置後、ISO19095 1-4に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製万能試験機オートグラフ「AG-IS」;ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH)にて、引張剪断接合強度試験を行い、接着強度を測定した。これらの結果を表4に示す。なお、表4中の「接合強度評価」欄における符号の意味は表1と同じである。
Figure 0007358792000004
以上の表4の評価結果から分かるように、実施試験例7~9の銅-樹脂接合体はいずれも高い接合強度を有していた。
したがって、本発明によれば、銅部材と樹脂部材が強固に接合された電子基板筐体を製造しうると考えられる。
本発明は、自動車用の電子制御ユニットなどに使用される電子基板筐体、その製造方法及び電子制御ユニットに利用可能である。
1:金属部材
2:金属基材
2a:表面処理層
3:官能基付着層
4:樹脂コーティング層
5:プライマー層
7:接着剤層
8:樹脂部材
10:電子基板筐体
11:ヒートシンク(放熱部材)
13:放熱フィン(放熱部)
21:筐体本体
21b:開放部
23:突起部
24:開口
31:カバー体
40:アルミラミネートフィルム
50:電子基板
60:電子制御ユニット
70:成形用金型

Claims (15)

  1. 金属基材の少なくとも一部の表面に1層又は複数層の樹脂コーティング層が積層された金属部材と、前記金属部材の前記金属基材の前記樹脂コーティング層側の面に接合された樹脂部材とを具備し、
    前記金属基材はアルミニウム又は銅からなり、
    前記樹脂コーティング層は、前記金属基材の表面処理された面に積層され、
    前記樹脂コーティング層の最表面、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物が前記金属基材の表面処理された面上で重付加反応して形成されてなる電子基板筐体。
  2. 前記樹脂コーティング層が複数層であり、その少なくとも1層が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物から形成されており、
    前記熱硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の電子基板筐体。
  3. 前記金属基材の表面処理された面と前記樹脂コーティング層との間に官能基付着層を有し、
    前記官能基付着層が、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種から導入された官能基を有する請求項1又は2記載の電子基板筐体。
  4. 前記表面処理が、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理及び化成処理からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1~3のいずれかに記載の電子基板筐体。
  5. 前記樹脂コーティング層がプライマー層である請求項1~4のいずれかに記載の電子基板筐体。
  6. 前記金属基材は、アルミニウム押出材からなり、且つ、引張強度が200MPa以上及び熱伝導率が180W/(m・K)以上の特性を有している請求項1~5のいずれかに記載の電子基板筐体。
  7. 前記金属基材は、A6000系合金のアルミニウム鍛造品からなり、且つ、引張強度が200MPa以上及び熱伝導率が180W/(m・K)以上の特性を有している請求項1~5のいずれかに記載の電子基板筐体。
  8. 放熱部を有する放熱部材と、電子基板を収容する筐体本体とを具備し、
    前記放熱部材が前記金属部材であり、且つ前記電子基板の熱を前記筐体本体の外側に放散するものであり、
    前記筐体本体が前記樹脂部材であり、
    前記筐体本体に設けられた開口に前記放熱部材が前記筐体本体の外側に前記放熱部が露出する態様に配置されており、
    前記放熱部材における少なくとも前記筐体本体との接触面が前記樹脂コーティング層側の面であり、
    前記筐体本体が前記放熱部材の前記接触面に接合されている請求項1~7のいずれかに記載の電子基板筐体。
  9. 前記筐体本体の内面に第1アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着している請求項8記載の電子基板筐体。
  10. 前記筐体本体の一面が開放した開放部を閉塞する樹脂製カバー体を更に具備しており、
    前記カバー体の内面に第2アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着している請求項8又は9記載の電子基板筐体。
  11. 前記筐体本体の一面が開放した開放部を閉塞する樹脂製カバー体を更に具備しており、
    前記筐体本体の内面に第1アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着しており、
    前記カバー体の内面に第2アルミラミネートフィルムが電磁遮蔽層として積層状に熱溶着しており、
    前記筐体本体の前記開放部が前記カバー体で閉塞された状態で、前記筐体本体と前記カバー体が、前記第1アルミラミネートフィルムと前記第2アルミラミネートフィルムとの熱溶着により接合されている請求項8記載の電子基板筐体。
  12. 請求項8~11のいずれかに記載の電子基板筐体を具備し、
    前記電子基板筐体の筐体本体内に電子基板が収容されるとともに、前記筐体本体に一体に形成された電子基板固定用突起部の熱かしめにより前記電子基板が前記筐体本体に固定されている電子制御ユニット。
  13. 請求項1~7のいずれかに記載の電子基板筐体の製造方法であって、
    射出成形法、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法又はハンドレイアップ成形法により樹脂部材を成形する際に、金属部材の樹脂コーティング層側の面に樹脂部材を接合する電子基板筐体の製造方法。
  14. 請求項8~11のいずれかに記載の電子基板筐体の製造方法であって、
    射出成形法、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法又はハンドレイアップ成形法により筐体本体を成形する際に、放熱部材における筐体本体との接触面に筐体本体を接合する電子基板筐体の製造方法。
  15. 請求項9又は11記載の電子基板筐体の製造方法であって、
    射出成形法、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法又はハンドレイアップ成形法により筐体本体を成形する際に、放熱部材における筐体本体との接触面に筐体本体を接合するのと同時に、成形用金型内に配置された第1アルミラミネートフィルムを筐体本体の内面に積層状に熱溶着させる電子基板筐体の製造方法。
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