JP3142091U - 電気・電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量性、薄肉化、高剛性化に優れた表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器の部材または筐体を提供する。
【解決手段】表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構からなる群より選択される少なくとも一つの機構部品を具備する電気・電子機器であって、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体が第1の部材としてマトリックス樹脂を連続した強化繊維で強化した面状の繊維強化樹脂と第2の部材として繊維強化樹脂、熱可塑性樹脂組成物、金属材料からなる群より選択される少なくとも1種の三次元形状を有する部材を含み、かつ、第1の部材と第2の部材とが第1の部材の面の少なくとも一部を介し一体化されてなる電気・電子機器である。
【選択図】図1

Description


本考案は、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構からなる群より選択される少なくとも一つの機構部品を具備する電気・電子機器であって、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体の少なくとも一部に連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂を含む電気・電子機器に関するものである。
近年、電気・電子機器は社会が高度化するに従い、急速な進歩をし続けている。以前では、高度な機能を有する電気・電子機器は経済性、取扱いの煩雑さから、商業・工業の大型施設などの限られた環境でしか使用することができなかった。しかし、現在では、技術の進歩により、容易な取扱い性、低価格化が実現され、一般家庭へと普及が拡大している。
電気・電子機器の部材および筐体に使用される成形材料には、従来から成形性、生産性、経済性が重要視されてきたが、一般家庭への普及に伴って、これらに加え、軽量性や高剛性を満足しつつ、薄肉性を発現するといった特性が要求される様になった。これら高度化した要求に応えるべく、電気・電子機器の内部機構はもとより、電気・電子機器の部材および筐体などに使用される素材に遡及して活発に技術開発が行われているものの、当該分野において従来主として使用されていた金属材料や樹脂材料では、剛性と軽量性のバランスが取れず、結果、前述の高度化した要求を満たせない状況にある。
このような状況において、例えば表示機構を具備する電気・電子機器に関しては、従来のテレビジョン用ディスプレイに加え、コンピューター用ディスプレイ機器、携帯使用向けディスプレイ機器などとしてめざましく普及しつつあり、その中でも、テレビジョン用ディスプレイの大型化および薄型化に対する市場要望は高まる一方である。最近、大型化かつ薄型化を実現することが可能なディスプレイとしてプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどの普及が促進され、かつ、ディスプレイの省スペース化、壁掛け対応が進んでいる。このことにより、例えば壁掛け対応に関して言えば、テレビジョン用ディスプレイの大型化による重量増加と、該機器ディスプレイが設置される壁面の強度とのバランスが取れず、結果、該ディスプレイを壁面に設置することができないなどの弊害が生じてしまい、技術の進歩により得られた、ディスプレイの大型化、薄型化を活用できない状況にある。これら状況を鑑み、表示機構を具備する電気・電子機器における、前記機構に係る部品を固定する部材および筐体などには軽量化、薄肉化、高剛性化などが要求されている。
さらに、これらディスプレイの普及により、一般家庭におけるホームシアター化が進み、さらには、近年の大型・複合型の映画館の波及効果と相まって、音響機構を具備する電気・電子機器、例えばスピーカー等に関しても、表示機構を具備する電気・電子機器と同様に軽量性、薄肉性が要求されている。それに伴い、音響機構を具備する電気・電子機器における、前記機構に係る部品を固定する部材および筐体などには軽量性、薄肉性の特性に加え、高剛性化などの特性を持つことが市場から求められている。
また、情報化社会の発展に伴い、プリンターに代表される印字機構を具備する電気・電子機器に関しても、多機能を主とした据え付け型機種の普及により、機器内部に収納される印字機構が大容量となり、機器の内部機器を固定および保護するために、印字機構を具備する電気・電子機器における、前記機構に係る部品を固定する部材および筐体などには高い剛性が求められ、さらには、大型化した機器を運搬する際の作業負担の軽減などを目的に軽量性も併せて求められている。また、一方では、利便性を追求した、携帯型機種による小型化を追求する気運も高まっており、それに伴い、印字機構を具備する電気・電子機器には軽量性、薄肉性が求められている。さらには、印字機構を固定する部材には、文字や画像をシャープに印字するために、優れた振動減衰率が求められる。これらを鑑み、印字機構を具備する電気・電子機器における、前記機構に係る部品を固定する部材および筐体には、軽量性、高剛性、薄肉化、振動減衰率が求められている。
さらには、撮影機構を具備する電気・電子機器においては、例えばカメラの携帯化や、一般家庭におけるセキュリティに対する意識の向上による防犯用カメラの普及により、機器の使用環境が屋外等の外的衝撃などにさらされやすい状況にあることから、撮影機構を具備する電気・電子機器には、高い強度、剛性が求められる。さらに、防犯用カメラにおいては、壁面、天井に設置されるため、設置場所の強度とのバランスにより、軽量性が要求される。さらに、撮影機構を具備する電気・電子機器の撮影機構部品には、精密さが要求されるため、撮影機構に、係る機構部品を固定する部材または筐体には寸法安定性が要求される。
上述したように、これら複数の製品に対する市場要求を充分に満足させるためには、これら表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構部品を具備する電気・電子機器において、係る機構部品を固定する部材または筐体には、薄肉化、軽量化、高剛性化、寸法安定性、振動減衰率など多様、且つ、高度な特性を発現することが要求されている。
上記要求を満たすために、例えば、特許文献1には、表示機構を具備する電気・電子機器の筐体として短カットされた炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる射出成形品を用い、薄肉化、軽量化、高剛性化をはかる試みが開示されている。しかしながら、現在の市場においては軽量化、薄肉化、高剛性化に関する要望は益々高くなり、さらなる軽量化、薄肉化、高剛性化が求められている。
特開平11−272198号公報

本考案は、かかる従来技術の問題点を解消し、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する軽量な電気・電子機器を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために本考案に係る電気・電子機器は、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構からなる群より選択される少なくとも一つの機構部品を具備する電気・電子機器であって、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体が第1の部材としてマトリックス樹脂を連続した強化繊維で強化した面状の繊維強化樹脂と第2の部材として繊維強化樹脂、熱可塑性樹脂組成物、金属材料からなる群より選択される少なくとも1種の三次元形状を有する部材を含み、かつ、第1の部材と第2の部材とが第1の部材の面の少なくとも一部を介し一体化されてなることを特徴とする。

本考案は、以下に説明するとおり、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する軽量な電気・電子機器を得ることができる。

以下、本考案について、その一実施例に係る図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、平面の積層体を背面カバーの一部に用いた、本考案の電気・電子機器における、表示機構に係る部品を固定する筐体の一実施例の簡略図であり、背面カバーとして連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂からなる第1の部材1aと、立ち壁部分として熱可塑性樹脂組成物からなる第2の部材1bとを一体化して、例えばプラズマディスプレイ用筐体の背面カバー1cとした例を示している。
さらに、図2は積層体を背面カバーおよび枠体に用いた、本考案の電気・電子機器の筐体の一実施例の簡略図であり、背面カバーおよび、前面枠体部分、立ち壁部分に、連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂からなる第1の部材2a、2bとボス、リブ部分として熱可塑性樹脂組成物からなる第2の部材2cとを一体化して、例えばプラズマディスプレイ用筐体の背面カバー2d、枠体2eとした例を示している。
さらに、図3は積層体を背面カバーに用いた、本考案の電気・電子機器における、印字機構に係る部品を固定する筐体の一実施例の簡略図であり、背面カバーとして、連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂からなる第1の部材3aと、ボス、リブ部分として、熱可塑性樹脂組成物からなる第2の部材3bとを一体化して、例えばプリンター用筐体の背面カバー3cとした例を示している。
さらに、図4は積層体をスピーカーボックスおよび背面板に用いた本考案の電気・電子機器における、音響機構に係る部品を固定する筐体の一実施例の簡略図であり、スピーカーボックスおよび背面板に、連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂からなる第1の部材4a、4bを用い、振動板として熱可塑性樹脂組成物からなる第2の部材とを一体化して、例えばスピーカー用筐体のスピーカーボックスおよび枠体とした例を示している。
さらに、図5は積層体をスチルカメラカバーに用いた本考案の電気・電子機器における、撮影機構に係る部品を固定する筐体の一実施例の簡略図であり、スチルカメラカバー部分として、連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂からなる第1の部材5aと熱可塑性樹脂組成物からなる第2の部材5bとを一体化し、例えばスチルカメラ用前面カバー筐体5cとした例を示している。
本考案は表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構からなる群より選択される少なくとも一つの機構部品を具備する電気・電子機器であって、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体の少なくとも一部に連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂を含む電気・電子機器である。
ここで、連続した強化繊維の連続とは、繊維強化樹脂の少なくとも一方向に、連続した繊維が配列されていることをいうのであって、成形品全体にわたって連続しているフィラメントであることが好ましいが、必ずしも成形品全体にわたって連続している必要はなく、途中で分断されていても問題はない。連続した強化繊維は長さが10mm以上であることは、連続繊維で強化された繊維強化樹脂の取扱い性に優れることや、本考案の電気・電子機器とした場合、高い剛性が得られるため好ましく、具体的な強化繊維の形態としては、フィラメント、クロス、一方向(UD)クロス、一方向(UD)、ブレイド、マルチフィラメントや紡績糸をドラムワインドなどで一方向にひきそろえた形態の強化繊維の形態が例示できるが、製造プロセス面の生産性の観点からは、クロス、UDが好適に使用できる。また、これらの強化形態は単独で使用しても、2種以上の強化形態を併用してもよい。さらには、必要に応じ、連続した強化繊維群の積層間に他の基材を積層した、サンドイッチ形態としてもよい。また、強度、剛性をコントロールするために、強化繊維の方向を変えて積層する形態が好ましく用いられる。特に、本考案の電気・電子機器とした場合の剛性や強度を効率的に高める上で一方向(UD)を使用することが好ましく、薄肉で積層数に制限がある場合は、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体成形品の長尺方向を0度として、最外層の強化繊維の角度を約45度に配置することがより好ましい。
ここで、本考案の電気・電子機器に含まれる繊維強化樹脂を構成する強化繊維としては、例えばアルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維、黒鉛繊維などの単独で導電性を示す繊維の他に、ガラス繊維などの絶縁性繊維や、アラミド繊維、PBO繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維、およびシリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維などの無機繊維などが挙げられ、そして、これら繊維に導電体を被覆した繊維などが挙げられる。導電体の被覆方法としては、例えば、ニッケル、イッテルビウム、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属をメッキ法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、蒸着法などにより少なくとも1層以上被覆する公知の方法が例示できる。これら強化繊維は単独で用いても、また、2種以上併用しても良い。
さらには、本考案に用いる強化繊維として、比強度、比剛性、軽量性のバランスの観点から炭素繊維を好ましく用いることができる。
炭素繊維を詳しく説明すると、炭素の含有率が85〜100重量%の範囲内にあり、少なくとも部分的にはグラファイト構造を有する繊維状材料を意味する。炭素繊維の具体例としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられる。中でも、本考案の電気・電子機器とした場合、良好な軽量性、高剛性、寸法安定性、優れた振動減衰率を発現し、かつ安価なコストを実現できる点でポリアクリロニトリル系炭素繊維が好ましく用いられる。
また、炭素繊維は、炭素繊維で強化された熱可塑性繊維強化樹脂の経済性、炭素繊維の取扱い性の観点から、好ましくは1.5万〜50万本の範囲内、より好ましくは3万〜25万本の範囲内、とりわけ好ましくは6万〜12万本で束ねられたものである。
さらに、本考案の電気・電子機器に含まれる繊維強化樹脂を構成するマトリックス樹脂としては、電気・電子機器の剛性、強度、寸法安定性、経済性に優れるといった観点から、熱硬化性樹脂を好ましく用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール(レゾール型)、ユリア・メラミン、ポリイミドなどや、これらの共重合体、変性体、および、2種類以上ブレンドした樹脂などを使用することができる。さらに、耐衝撃性向上のために、上記熱硬化性樹脂にエラストマーもしくはゴム成分を添加してもよい。この中でも本考案における用いる熱硬化性樹脂としては、特に成形品の剛性、強度の観点からエポキシ樹脂を好ましく用いることができる。
また、前記マトリックス樹脂としては、本考案の電気・電子機器における、前記機構に係る部品を固定する部材および筐体の寸法安定性、意匠性、経済性、生産性、外観品位、耐熱性、耐薬品性、剛性の観点から、熱可塑性樹脂を用いこともできる。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE樹脂)、ポリアセタール樹脂(POM樹脂)ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)などのポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、例えば寸法安定性、意匠性、経済性、生産性、外観品位を優先する場合にはポリカーボネート樹脂やスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが好ましく選択され、力学特性、耐熱性、耐薬品性を優先する場合にはポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂や変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルイミド樹脂が好ましく選択されるが、これに限定されるものでなく、適宜単独または2種以上を使用することができる。さらには、熱可塑性樹脂を予め溶融混練し、ポリマーアロイとして使用してもよい。
さらに、係る繊維強化樹脂を構成するマトリックス樹脂には、要求される特性に応じ、本考案の目的を損なわない範囲で他の充填材や添加剤を含有しても良い。例えば、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが挙げられる。導電性付与剤としては、例えばカーボンブラック、アモルファスカーボン粉末、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、ピッチマイクロビーズ、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが例示できる。
本考案における、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構部品を具備する電気・電子機器における、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体は、第1の部材として前記マトリックス樹脂を連続した前記強化繊維で強化した面状の繊維強化樹脂と第2の部材として繊維強化樹脂、熱可塑性樹脂組成物、金属材料からなる群より選択される少なくとも1種の三次元形状を有する部材を含み、かつ、第1の部材と第2の部材とが第1の部材の面の少なくとも一部を介し一体化されてなる。
ここで、面状の繊維強化樹脂の面状とは、少なくとも1つの略平面部や屈曲面を有している形態をいうのであって、特に略平面を有する場合は、前記繊維強化樹脂における最大面積を有する面の30%以上が略平面を形成していることが、前記機構にかかる部品を固定する部材または筐体とした場合に高い剛性を得られるため好ましい。ここで、略平面としては、前記繊維強化樹脂における平面部の最大の投影面積を有する面を挙げることができる。
第2の部材としては、前記連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂、熱可塑性樹脂組成物、および金属材料からなる少なくとも1種の部材から好ましく選択される。上記第2の部材を例示すると、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタンおよびこれらとの合金などに熱接着性の表面処理を施した金属材料、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE樹脂)、ポリアセタール樹脂(POM樹脂)ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)などのポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、また、上記繊維強化樹脂と同様の要件を有する同じ繊維強化樹脂同士を貼り付けたものでも良い。さらには、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタンおよびこれらとの合金などに熱接着性の表面処理を施した金属材料でもよいが、中でも、薄肉性、軽量性、高剛性、寸法安定性等の観点から、連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂が好ましい。さらには、後述する接着層を介して接合される接合方法における、接着性の観点から、熱溶着性を有するものであることが好ましい。
さらに、上記第2の部材を構成する熱可塑性樹脂組成物は、その目的から繊維強化されていても良く、例えばアルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維、黒鉛繊維などの単独で導電性を示す繊維の他に、ガラス繊維などの絶縁性繊維や、アラミド繊維、PBO繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維、およびシリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維などの無機繊維が挙げられ、そして、これら繊維に導電体を被覆した繊維が挙げられる。導電体の被覆方法としては、例えば、ニッケル、イッテルビウム、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属をメッキ法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、蒸着法などにより少なくとも1層以上被覆する公知の方法が例示できる。
これら強化繊維は単独で用いても、また、2種以上併用しても良い。中でも比強度、比剛性、軽量性のバランスの観点から炭素繊維、とりわけ安価なコストを実現できる点でポリアクリロニトリル系炭素繊維が好適に用いられる。
さらに、第1の部材と第2の部材とが第1の部材の面の少なくとも一部を介し一体化されてなることが好ましく、係る一体化方法としては、機械接合、熱融着、熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着、インサート射出成形、アウトサート射出成形等を例示することができる。
さらには、本考案の電気・電子機器に含まれる繊維強化樹脂は、多数本の強化繊維を少なくとも一方向に引き揃えた強化繊維群を層状に配置してなる積層体を含むことが好ましい。上記強化繊維が多数本であることは強化繊維の取扱い性、比強度、比剛性の観点から好ましい。上記多数本の強化繊維とは、強化繊維の取扱い性、比強度、比剛性の観点から、好ましくは1.5万〜50万本の範囲内、より好ましくは3万〜25万本の範囲内、とりわけ好ましくは6万〜12万本が集合した強化繊維である。さらに一方向に引き揃えられていることは、本考案の電気・電子機器とした場合に高い剛性が得られるため好ましく、前記強化繊維群を層状に配置してなる積層体であるということは、高い剛性、寸法安定性の観点から好ましい。ここで積層体とは、連続した強化繊維群が厚み方向に積層された形態を有する成形品を意味する。
さらに、前記第1の部材には意匠性を付与するために、最外層に強化繊維織物を使用することが好ましい。具体的には、美しいクロス外観を得る観点から平織り、朱子織り、綾織りなどの織り形態を有した強化繊維織物を例示することができ、さらに、美しいクロス外観を得る観点から織物に使用される強化繊維群のフィラメント数の単位が300〜6000本の範囲内の強化繊維織物を用いることが好ましく、さらに、意匠性、高剛性の観点からは炭素繊維からなる炭素繊維織物が好ましい。
本考案の電気・電子機器は、前述した繊維強化樹脂からなる第1の部材と、前述した第2の部材とが、接着層を介して接合されてなることが、一体化の際の接着強度、接着の容易さの観点から好ましく、さらには、係る接着層が熱可塑性繊維強化樹脂から形成されてなる接着層であることが好ましく、さらに、前記マトリックス樹脂との界面において、凹凸形状を有して一体化されていることが、一体化の際の接着強度、接着の容易さが、さらに増すため好ましい。
また、上記繊維強化樹脂からなる第1の部材上に配置される前記接着層は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、前記連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂の表面に層を形成されてなることが好ましい。前記接着層は特に接着性の観点から、熱可塑性樹脂を皮膜状に貼り付けたものが好ましく用いられる。接着用の熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、EVA樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などやこれらの共重合体、変性体、および2種類以上のブレンドした樹脂などの樹脂組成物を使用することができ、中でも汎用性の観点からポリアミド樹脂が好ましい。これら接着層たる熱可塑性樹脂は融点もしくは軟化点を有するホットメルト樹脂である。この熱可塑性樹脂の皮膜の平均厚みは、接着性の観点から0.1〜1000μmであることが好ましく、1〜200μmがさらに好ましく、10〜50μmがより好ましい。
さらに、その一体化にあたり、部材同士の接着状態としては、前記連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂中のマトリックス樹脂からなる層と、前記熱可塑性樹脂層とが、これらの層の界面において凹凸形状を有して一体化され、前記繊維強化樹脂に含まれる連続した強化繊維の一群のフィラメントは少なくともマトリックス樹脂に接し、強化繊維群の残りの群のフィラメントは少なくとも熱可塑性樹脂に接した構造をとることが好ましい。
上記構造は、他の被着体(第2の部材)との優れた一体化法に有効であり、前記マトリックス樹脂層の樹脂と前記熱可塑性樹脂層の樹脂とが、その界面において凹凸形状を有することで接合後に優れた接着強度を得ることができ、さらに、前記強化繊維のフィラメントが、前記熱可塑性樹脂層の樹脂に接していることにより、接合後に良好な接着強度を得ることができる。さらには、前記熱可塑性樹脂層が前記第1の部材の表面に位置していることにより、熱溶着などの容易な一体化が適用できるため好ましい。ここで、これらの構造を検証する方法を説明し、実施にあたっての手法の1つを示す。
まず第1の方法として、前記連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂からなる積層体(第1の部材)の表層部分の断面観察が挙げられる。積層体から切り出した表層部分を薄肉切片にカットして試験片とする。この際、強化繊維は脱落してもよい。試験片を必要に応じ染色し、SEM、TEMなどを用いて観察する。強化繊維は円形断面もしくはその脱落跡として確認でき、強化繊維を除いた部分が、マトリックス樹脂層と熱可塑性樹脂層がコントラストの異なる2つの領域として確認できる。本考案に用いられる積層体は、熱可塑性樹脂層の樹脂が強化繊維群の中まで含浸しており、マトリックス樹脂層との界面も凸凹形状を有している。
また、第2の方法として、積層体(第1の部材)の溶媒抽出後の断面観察が挙げられる。積層体を長さ10mm、幅10mm程度にカットして試験片とする。試験片を熱可塑性樹脂層を構成する樹脂の良溶媒で十分に洗浄して、熱可塑性樹脂を除去した後、試験片断面をSEMを用いて観察する。本考案に用いられる積層体は、強化繊維群に樹脂が充填されたマトリックス樹脂層と、強化繊維群のフィラメント間に空隙を有する領域が確認できる。この領域が熱可塑性樹脂層にあたり、マトリックス樹脂層との界面が凸凹形状であることがわかる。
さらに、第3の方法として、一体化された成形品からの強制剥離後の観察が挙げられる。積層体(第1の部材)と被着体(第2の部材)からなる一体化された成形品を、その部材間で破壊するように、室温にて強制的に剥離試験を行う。分解された被着体には、積層体からの残査が付着する場合があり、その残査を顕微鏡で観察する。本考案に用いられる積層体は、被着体に強化繊維群から脱落される複数のフィラメントが確認できる。
本考案に用いられる積層体は、前記の少なくとも1つの方法で検証できた場合、マトリックス樹脂層と熱可塑性樹脂層の界面において、前記熱硬化性樹脂層の樹脂と前記熱可塑性樹脂層の樹脂とが凸凹形状を有して一体化しており、さらに、強化繊維群の内の一群のフィラメントは、少なくとも前記熱可塑性樹脂層の樹脂に接してなる成形体の構造を有していることが確認できる。また、好ましくは2つ以上の方法で検証できることが、構造を特定する意味で望ましい。さらに、本考案に用いられる積層体の構造を検証するには、強化繊維群に熱可塑性樹脂層の樹脂が含浸していることが確認できる方法であれば、前記の方法に限定されることなく使用することができる。
また、本考案の電気・電子機器における、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体に用いられる積層体において、他の被着材との接着強度を高める目的で、前記連続した強化繊維のうち、多数本の強化繊維群が、接着層たる熱可塑性樹脂層に包含されることが好ましい。詳しくは、連続した強化繊維が配置されている領域の最大厚みが10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがとりわけ好ましい。前記の構造を検証する方法における、第1の方法や第2の方法の観察写真から容易に測定することができる。さらに、これらの最大厚みは1000μm以下の範囲で使用すれば、十分な接着効果を得ることができる。
また、一体化後も本考案の電気・電子機器の形態を維持する観点から、第1の部材と第2の部材との接合面の少なくとも一部に接着層を有していることが好ましく、接合面面積の20%以上に接着層を有していることがより好ましく、接合面面積の50%以上に接着層を有していることがさらに好ましく、接合面の全面に接着層を有していることがとりわけ好ましい。
本考案の電気・電子機器において、機構部品が表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つであることが、本考案の効果を十分に発現できる観点から好ましく、さらには、該機構部品がディスプレイパネルであることが好ましい。さらには、前記ディスプレイパネルにおいては、本考案の効果である、軽量性、薄肉性、高剛性を十分に活用できる観点から、ディスプレイパネルの周囲の枠体および/または背面カバーに、連続した強化繊維で強化した面状の繊維強化樹脂部材が配置されてなることが好ましい。前記ディスプレイパネルの周囲の枠体および/または背面カバーに用いることにより、前述した効果に加え、電磁波シールド性といった効果を発現できるため好ましい。さらには、係るディスプレイパネルはその対角線長さが17インチ以上であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、表面電解ディスプレイから選択されるいずれか1種であることが、本考案の軽量性、高剛性、薄肉化、電磁波シールド性といった効果を有効に活用できるため好ましく、さらに好ましくは21インチ以上である。係るディスプレイパネルを表示機構として具備する電気・電子機器としては、テレビモニター、パーソナルコンピューター、携帯電話などを例示することができる。
さらに、本考案の電気・電子機器における、該機構部品がプリントヘッドであることが、本考案の軽量性、薄肉化、高剛性の効果を充分に活用できることに加え、優れた振動減衰性をも得ることができるため好ましい。係るプリントヘッドとしては、具体的には、インクジェット式、レーザー式、インパクト式、感熱式、熱転写式のプリントヘッドが例示でき、さらにプリントヘッドを印字機構として具備する電気・電子機器としてはプリンター、ワードプロセッサ、タイプライター、プロッタ、複写機などを例示することができる。中でも、プリンターを印字機構とする電気・電子機器における、前記機構を固定する部材および筐体の中でも、軽量性、高剛性、振動減衰性の観点から、印字機構として具備する電気・電子機器の側面および/または背面のカバーに、連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂が配置されてなることが好ましい。
さらに、本考案の電気・電子機器における、該機構部品がスピーカーであることが、本考案の軽量性、薄肉化、高剛性の効果を充分に活用できるため好ましい。特に、軽量性の観点から、前記スピーカーを音響機構とする電気・電子機器における、前記機構を固定する部材および筐体の中でも、スピーカーボックスに連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂が配置されてなることが好ましい。係るスピーカーを音響機構として具備する電気・電子機器としては、スピーカーシステム、カーステレオ、MDプレイヤー、CDプレイヤーなどを例示することができる。
さらに、本考案の電気・電子機器における、該機構部品がレンズおよび光電変換素子であることが、本考案の軽量性、薄肉化、高剛性の効果を充分に活用できることに加え、寸法安定性をも得ることができるため好ましい。係るレンズおよび光電変換素子を撮影機構とする電気・電子機器とは、フィルムスチルカメラ、フィルムビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、防犯用ビデオカメラなどを例示することができる。特に寸法安定性の観点から、前記レンズを撮影機構とする電気・電子機器のカバーおよび/または鏡筒に連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂が配置されてなることが好ましい。
さらに、前記表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器は、本考案の効果である軽量性、高剛性を十分に活用する観点から、壁面または天井に固定もしくは設置されて使用されることが好ましく、これは、市場要求でもある省スペースの観点からも好ましい。
前述したように本考案の表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器の、前記機構を固定する部材または筐体は、上記連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂と立ち壁部分となる部材とを一体化させてなることも可能であるが、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器の、前記機構を固定する部材および筐体の形状には特に制限はなく、曲面、リブ、ヒンジ、ボス、中空部を有していてもよい。また、前記機構を固定する部材および筐体にはメッキ、塗装、蒸着、インサート、スタンピング、レーザー照射などにより表面加飾の処理が施されていてもよい。
また、上記連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂は、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器の、前記機構を固定する機器部材または筐体において、薄肉性、軽量性の観点から、連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂の平均厚みは0.1〜5mmであることが好ましく、0.3〜3mmであることがより好ましく、0.5〜1.6mmであることがさらに好ましい。ここで、連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂の平均厚みは、上記略平面部における均等に分布した少なくとも5点の測定値の平均値である。なお、平均厚みの測定に当たっては、リブ部、ヒンジ部、凸凹部など意図的に形状を付与した部位は除くものとする。
本考案の表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器、前記機構を固定する機器部材または筐体を構成する連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂は、次に述べる方法にて製造できる。
本考案の表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器の前記機構を固定する部材または筐体を構成する連続した強化繊維で強化された繊維強化樹脂の製造方法は、例えば、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として用いる場合、少なくとも、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として含むプリプレグ積層体の表面の一部分に、接着層として用いられる熱可塑性樹脂を配置する積層工程と、次に熱硬化性樹脂の硬化反応と並行して熱可塑性樹脂を溶融、被膜形成させる加熱成形工程とからなる。すなわち、硬化前の熱硬化性樹脂の表層に、熱可塑性樹脂を膜状に配置してから熱可塑性樹脂の融点以上で硬化させるのであり、これにより熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が良く接着した状態の積層体を得ることができる。
また、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いる場合は、少なくとも、前記熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として含むプリプレグ積層体の表面の一部分に、接着層として用いられる熱可塑性樹脂を配置する積層工程と、次にマトリックス樹脂たる熱可塑性樹脂の溶融と並行して接着層として用いられる熱可塑性樹脂を溶融、被膜形成させる加熱成形工程とからなる。これによりマトリックス樹脂たる熱可塑性樹脂と接着層として用いられる熱可塑性樹脂が良く接着した状態の積層体を得ることができる。
ここで、上記連続した強化繊維で強化された樹脂の具体的な製造方法としては、特に限定されるものではなく、ハンドレイアップ成形法、スプレーアップ成形法、真空バック成形法、加圧成形法、オートクレーブ成形法、プレス成形法、トランスファー成形法などの熱硬化樹脂を使用した方法、およびプレス成形、スタンピング成形法などの熱可塑性樹脂を使用した方法が挙げられる。とりわけ、プロセス性、力学特性の観点から真空バック成形法、プレス成形法、トランスファー成形法などが好適に用いられる。
さらに、上記より得られた第1の部材を第2の部材と機械接合、熱融着、熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着、インサート射出成形、アウトサート射出成形の少なくとも1種の方法を用いて一体化することで完成するが、これら一体化方法は2種以上を併用しても良い。
上記一体化に関し、第1の部材と第2の部材を一体化させ、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器の前記機構を固定する部材および筐体を得る方法としては、第1の部材を予め成形しておき、第2の部材の成形と同時に両者を一体化させる工法(i)、第2の部材を予め成形しておき、第1の部材の成形と同時に両者を一体化させる工法(ii)、予め第1の部材と第2の部材を別個に成形し、両者を一体化させる工法(iii)などの方法を用いることができる。
また、一体化の具体的形式として嵌合や嵌め込み、ネジ、リベットによる接合などの機械接合を用いてもよいし、接着層を用いた一体化方法と併用することもできる
したがって、前記工法(i)の具体例としては、積層体をプレス成形にて予め製造、所定のサイズに加工、後処理し、第1の部材とした後、射出成形金型にインサートし、第2の部材を射出成形することで一体化させる方法が例示できる。
また、前記工法(ii)の具体例としては、第2の部材を射出成形にて予め製造、後処理したものをプレス金型にインサートし、次いで第1の部材として、連続した強化繊維の基材(プリプレグ)を用い、これをレイアップし、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で真空バック成形することで一体化させる方法が例示できる。
さらに、前記工法(iii)の具体例としては、プレス成形にて予め製造、所定のサイズに加工、後処理した第1の部材と、射出成形にて予め製造、後処理した第2の部材を(ii)と同様にして一体化させる方法が例示できる。
かかる工法で一体化された本考案の表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構部品を具備する電気・電子機器の、機構部品を固定する部材または筐体は、金属材料との一体化では実現できない軽量性が得られる。さらに、優れた接着力を発現し、熱硬化性樹脂との一体化で問題となる材料間の剥離問題をも解決するものである。なお、本考案の表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構を具備する電気・電子機器の前記機構部品を固定する部材または筐体は、これらの例示された工法、具体例によって限定されるものではない。

以下に実施例を示し、本考案をさらに具体的に説明するが、下記実施例は本考案を制限するものではなく、前、後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本考案の技術範囲に包含される。
(接着層)
東レ(株)製、3元共重合ポリアミド樹脂CM4000(ナイロン6/66/610)のペレットを不織布状に加工し、接着層とした。この熱接着用熱可塑性樹脂の目付は50g/mであった。
(実施例1)
(積層体1)
積層体1を構成するプリプレグとして、強化繊維として東レ(株)製炭素繊維(“トレカ(登録商標)”M46J(引張強度4200MPa、引張弾性率436GPa、フィラメント数6000本、繊維目付0.2g/m))、マトリックス樹脂として130℃硬化タイプエポキシ樹脂を用い、プリプレグの炭素繊維目付が116g/m、樹脂含有量(Wr)が30%の一方向(UD)プリプレグ(東レ(株)製“トレカ(登録商標)”プリプレグP6053−12)を用いた。これを繊維長手方向と水平に1000mm、繊維長手方向と直角に700mmの大きさに4枚カットし、さらに繊維長手方向と水平に700mm、繊維長手方向と直角に1000mmの大きさに4枚カットした。
次に、雌金型に繊維長手方向を0°とし、上から0°、90°、90°、0°、90°、90°、0°となるように8枚のプリプレグを積層する。最後に積層したプリプレグの上から、前述の方法より作製した第3の接着層である熱接着用熱可塑性樹脂を積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚積層する。
次に、雄金型に上記積層体を配置し、雌金型をセットして、熱プレス成形を行う。プレス成形機にて160℃で5分間予熱して接着層を溶融させた後、面圧4MPaとなるよう圧力をかけながら150℃で30分間加熱して積層体の熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、脱型して、成形された積層体を取り出し、平面の積層体を製造した。成形された積層体の平均の厚みを測定したところ1.0mmの積層体であった。
上記より得られた積層体の、熱接着用熱可塑性樹脂を積層した部分から10mm四方の試験片を切り出し、メチルアルコールで30分間超音波洗浄を行い、接着剤の熱可塑性樹脂を除去した後、SEM観察を行った結果、表面には繊維束がむきだしで観測される。さらに、断面には、成形体の表面方向に空隙を有する繊維群の層と、成形体の内部方向に空隙を有しない繊維群の層の二層構造が観測される。これらの層の界面は、凸凹形状を有している。空隙を有する繊維群の層が、熱可塑性樹脂層のうちの連続したフィラメントが配置されている領域であり、その厚みを測定すると、最小部分で30μm、最大部分で50μmである。
(表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体)
上記積層体1を第1の部材(背面カバー)とし、射出成形用金型にインサートして、第2の部材として、東レ(株)製長繊維ペレットTLP1146S(炭素繊維含有量20%、ペレット中の炭素繊維長さ7mm、マトリックス樹脂ポリアミド6)を用いて、枠体部分および、ボス、ヒンジ部を射出成形にて形成、一体化し、表示機構を具備する電気・電子機器の前記機構を固定する部材および筐体とする。このとき、射出成形によって形成される部品・部材は、積層体の接着層を積層した部分に接している。射出成形機は日本製鋼所(株)製J350EIIIを使用し、スクリュー回転数60rpm、シリンダー温度280℃、射出速度90mm/sec、射出圧力200MPa、背圧0.5MPa、金型温度55℃で行った。
作成した表示機構を具備する電気・電子機器に用いる部材および筐体は、略平面部の厚みが1.0mmであった。また、本実施例1における部材および筐体に使用された樹脂中の炭素繊維の平均長さは800mmであった。ここで、本実施例における部材および筐体中の炭素繊維の平均長さは以下のように求めた。まず、表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体を酸素雰囲気下で、550℃、4時間の条件でマトリックス樹脂を分解させ、繊維強化樹脂中の炭素繊維群を採取し、その中から任意に10本の炭素繊維を取り出し、その長さを測定した。その測定結果の平均を求めることで、炭素繊維の平均長さとした。
(実施例2)
(積層体2)
積層体2を構成するプリプレグとして、炭素繊維とポリアミド6樹脂(プリプレグ上の炭素繊維目付を150g/m、Wr40%)からなるUDプリプレグである、Phoenixx TPC製、炭素繊維プリプレグ(“Thermo−Lite(登録商標)”1160N)を用い、実施例1と同様の大きさ、枚数をカット、積層を行い、第1の部材となる積層体を製造する。
次に、雄金型に上記積層体を配置し、上述の方法より作製した第3の接着層である熱接着用熱可塑性樹脂を積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚積層する。次に雌金型をセットして、プレス成形を行う。プレス成形機にて160℃で5分間予熱して接着剤を溶融させた後、面圧4MPaとなるよう圧力をかけながら300℃で5分間加熱してマトリックス樹脂の熱可塑性樹脂を溶融、接着剤を塗布した。プレス終了後、室温で冷却し、脱型して成形された平面の積層体を取り出した。成形された積層体の平均の厚みは1.0mmであった。
上記より得られた積層体の、熱接着用熱可塑性樹脂を積層した部分から10mm四方の試験片を切り出し、メチルアルコールで30分間超音波洗浄を行い、接着剤の熱可塑性樹脂を除去した後、SEM観察を行う。この結果、表面には繊維束がむきだしで観測される。さらに、断面には、成形体の表面方向に空隙を有する繊維群の層と、成形体の内部方向に空隙を有しない繊維群の層の二層構造が観測される。これらの層の界面は、凸凹形状を有している。空隙を有する繊維群の層が、熱可塑性樹脂層のうちの連続したフィラメントが配置されている領域であり、その厚みを測定すると、最小部分で28μm、最大部分で52μmである。
(表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体)
実施例1と同様の方法を用い、表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体を作製した。また、第2の部材も実施例1と同様のものを使用した。
作成された表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体は、略平面部の厚みが1.0mmであった。また、本実施例2における筐体に使用された繊維強化樹脂中の炭素繊維の平均長さは、実施例1と同様の方法で求めた結果、800mmであった。
(実施例3)
(積層体3)
積層体3を構成するプリプレグとして、実施例1と同様の炭素繊維プリプレグを用い、繊維長手方向と水平に1300mm、繊維長手方向と直角に900mmの大きさに4枚カットし、さらに、繊維長手方向と水平に900mm、繊維長手方向と直角に1300mmの大きさにカットし、第1の部材となる表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体(背面カバー)に用いる積層体を製造する。
まず、雌金型に長方形底面の長手方向を0°として、繊維長手方向を0°とし、0°、90°、90°、0°、90°、90°、0°となるように8枚のプリプレグを積層する。最後に積層したプリプレグの上から、上述の方法より作製した第3の接着層である熱接着用熱可塑性樹脂を積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚積層する。
次に、雄金型に上記積層体を配置し、雌金型をセットして、熱プレス成形を行う。プレス成形機にて160℃で5分間予熱して接着層を溶融させた後、面圧4MPaとなるよう圧力をかけながら150℃で30分間加熱して積層体の熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、脱型して成形された積層体を取り出した。成形された積層体の平均の厚みを測定したところ1.0mmの積層体であった。
(積層体4)
積層体4を構成するプリプレグとして、強化繊維として東レ(株)製炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T300B−3K(引張強度3500MPa、引張弾性率230GPa、フィラメント数3000本、繊維目付0.2g/m))を縦糸および横糸として用い、これら縦糸、横糸を5本/cmとなるように平織とされた炭素繊維織物、マトリックス樹脂として130℃硬化タイプエポキシ樹脂を用いた、炭素繊維目付が198g/m、樹脂含有量(Wr)が40%のクロスプリプレグ(東レ(株)製“トレカ(登録商標)”プリプレグF6343B−05)を用いた。これを繊維長手方向と水平に1500mm、繊維長手方向と直角に900mmの大きさに4枚カットし、さらに、繊維長手方向と水平に900mm、繊維長手方向と直角に1500mmの大きさにカットし、第1の部材となる表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体(枠体)に用いる積層体を製造する。
まず、雌金型に長方形底面の長手方向を0°として、繊維長手方向を0°とし、上から0°、90°、90°、0°、90°、90°、0°となるように8枚のプリプレグを積層する。最後に積層したプリプレグの上から、上述の方法より作製した第3の接着層である熱接着用熱可塑性樹脂を積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚積層する。
次に、雄金型に上記積層体を配置し、雌金型をセットして、熱プレス成形を行う。プレス成形機にて160℃で5分間予熱して接着層を溶融させた後、面圧4MPaとなるよう圧力をかけながら150℃で30分間加熱して積層体の熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、脱型して、成形された積層体を取り出した。次いで、中心部分を1100mm×730mmの長方形を打ち抜き加工により取り除いた。成形された積層体の平均の厚みを測定したところ1.0mmの積層体であった。
上記より得られた積層体3、4の熱接着用熱可塑性樹脂を積層した部分から10mm四方の試験片を切り出し、メチルアルコールで30分間超音波洗浄を行い、接着剤の熱可塑性樹脂を除去した後、SEM観察を行う。この結果、表面には繊維束がむきだしで観測される。さらに、断面には、成形体の表面方向に空隙を有する繊維群の層と、成形体の内部方向に空隙を有しない繊維群の層の二層構造が観測される。これらの層の界面は、凸凹形状を有している。空隙を有する繊維群の層が、熱可塑性樹脂層のうちの連続したフィラメントが配置されている領域であり、その厚みを測定すると、積層体3は最小部分で30μm、最大部分で50μmである。また、積層体4は最小部分で27μm、最大部分で44μmである。
(表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体)
上記積層体3を第1の部材(背面カバー)とし、射出成形用金型にインサートして、第2の部材として、東レ(株)製長繊維ペレットTLP1146Sを用いて、ボス、ヒンジ部を射出成形にて形成、一体化し、表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体の背面カバーとする。このとき、射出成形によって形成される部品・部材は、積層体の接着層を積層した部分に接している。射出成形機および成形条件は実施例1と同様に行った。
作成した表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体は、略平面部の厚みが1.0mmであった。また、表示機器用筐体に使用された樹脂中の炭素繊維の平均長さは800mmであった。
次いで、上記積層体4を第1の部材(枠体)とし、射出成形用金型にインサートして、第2の部材として、東レ(株)製長繊維ペレットTLP1146Sを用いて、溝加工部を射出成形にて形成し、表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体の枠体とする。このとき、射出成形によって形成される部品・部材は、積層体の接着層を積層した部分に接している。射出成形機および成形条件は実施例1と同様に行った。
上記、積層体3と積層体4を嵌め込みにより、一体化し、表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体を作製した、作製した前記部材および筐体は、略平面部の厚みが1.0mmであった。また、本実施例3における筐体に使用された樹脂中の炭素繊維の平均長さは850mmであった。
(実施例4)
(積層体5)
積層体5を構成するプリプレグとして、実施例1と同様の炭素繊維プリプレグを用い、繊維長手方向と水平に1200mm、繊維長手方向と直角に200mmの大きさに4枚カットし、さらに、繊維長手方向と水平に200mm、繊維長手方向と直角に1200mmの大きさにカットし、第1の部材となる印字機構を具備する機器用部材および筐体に用いる積層体を製造する。
まず、雌金型に長方形底面の長手方向を0°として、繊維長手方向を0°とし、0°、90°、90°、0°、90°、90°、0°となるように8枚のプリプレグを積層する。最後に積層したプリプレグの上から、上述の方法より作製した第3の接着層である熱接着用熱可塑性樹脂を積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚積層する。
次に、雄金型に上記積層体を配置し、雌金型をセットして、熱プレス成形を行う。プレス成形機にて160℃で5分間予熱して接着層を溶融させた後、面圧4MPaとなるよう圧力をかけながら150℃で30分間加熱して積層体の熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、脱型して、成形された積層体を取り出した。成形された積層体の平均の厚みを測定したところ1.0mmの積層体であった。
上記より得られた積層体の、熱接着用熱可塑性樹脂を積層した部分から10mm四方の試験片を切り出し、メチルアルコールで30分間超音波洗浄を行い、接着剤の熱可塑性樹脂を除去した後、SEM観察を行う。この結果、表面には繊維束がむきだしで観測される。さらに、断面には、成形体の表面方向に空隙を有する繊維群の層と、成形体の内部方向に空隙を有しない繊維群の層の二層構造が観測される。これらの層の界面は、凸凹形状を有している。空隙を有する繊維群の層が、熱可塑性樹脂層のうちの連続したフィラメントが配置されている領域であり、その厚みを測定すると、最小部分で30μm、最大部分で50μmである。
(印字機構を具備する機器用部材および筐体)
上記積層体5を第1の部材(背面カバー)とし、射出成形用金型にインサートして、第2の部材として、東レ(株)製長繊維ペレットTLP1146Sを用いて、ボス、ヒンジ部を射出成形にて形成、一体化し、印字機構を具備する機器用部材および筐体の背面カバーとする。このとき、射出成形によって形成される部品・部材は、積層体の接着層を積層した部分に接している。射出成形機および成形条件は実施例1と同様に行った。
作成した印字機構を具備する機器用部材および筐体は、略平面部の厚みが1.0mmであった。また、前記部材および筐体に使用された樹脂中の炭素繊維の平均長さは500mmであった。
(実施例5)
(積層体6)
積層体6を構成するプリプレグとして、実施例1と同様の炭素繊維プリプレグを用い、繊維長手方向と水平に900mm、繊維長手方向と直角に600mmの大きさに4枚カットし、さらに、繊維長手方向と水平に600mm、繊維長手方向と直角に900mmの大きさにカットし、第1の部材となる音響機構を具備する機器用部材および筐体に用いる積層体を製造する。
まず、雌金型に長方形底面の長手方向を0°として、繊維長手方向を0°とし、0°、90°、90°、0°、90°、90°、0°となるように8枚のプリプレグを積層する。最後に積層したプリプレグの上から、前述の方法より作製した第3の接着層である熱接着用熱可塑性樹脂を積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚積層する。
次に、雄金型に上記積層体を配置し、雌金型をセットして、熱プレス成形を行う。プレス成形機にて160℃で5分間予熱して接着層を溶融させた後、面圧4MPaとなるよう圧力をかけながら150℃で30分間加熱して積層体の熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、脱型して、成形された積層体を取り出した。次いで、スピーカー設置部分1を直径120mm、スピーカー設置部分2を直径200mmの円形に打ち抜き加工により取り除いた。さらに、振動板接続部分を直径75mmの円形に打ち抜き加工にて取り除いた。成形された積層体の平均の厚みを測定したところ1.0mmの積層体であった。
(積層体7)
積層体7を構成するプリプレグとして、実施例1と同様の炭素繊維プリプレグを用い、繊維長手方向と水平に320mm、繊維長手方向と直角に600mmの大きさに4枚カットし、さらに、繊維長手方向と水平に600mm、繊維長手方向と直角に320mmの大きさにカットし、第1の部材となる音響機構を具備する機器用部材および筐体に用いる積層体を製造する。
まず、雌金型に長方形底面の長手方向を0°として、繊維長手方向を0°とし、0°、90°、90°、0°、90°、90°、0°となるように8枚のプリプレグを積層する。最後に積層したプリプレグの上から、上述の方法より作製した第3の接着層である熱接着用熱可塑性樹脂を積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚積層する。
次に、雄金型に上記積層体を配置し、雌金型をセットして、熱プレス成形を行う。プレス成形機にて160℃で5分間予熱して接着層を溶融させた後、面圧4MPaとなるよう圧力をかけながら150℃で30分間加熱して積層体の熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、脱型して、成形された積層体を取り出した。成形された積層体の平均の厚みを測定したところ1.0mmの積層体であった。
上記より得られた積層体の、熱接着用熱可塑性樹脂を積層した部分から10mm四方の試験片を切り出し、メチルアルコールで30分間超音波洗浄を行い、接着剤の熱可塑性樹脂を除去した後、SEM観察を行う。この結果、表面には繊維束がむきだしで観測される。さらに、断面には、成形体の表面方向に空隙を有する繊維群の層と、成形体の内部方向に空隙を有しない繊維群の層の二層構造が観測される。これらの層の界面は、凸凹形状を有している。空隙を有する繊維群の層が、熱可塑性樹脂層のうちの連続したフィラメントが配置されている領域であり、その厚みを測定すると、最小部分で30μm、最大部分で50μmである。
(音響機構を具備する機器用部材および筐体)
上記積層体6を第1の部材とし、振動板取り付け部に円形振動板を熱溶着にて取り付けた。その後、第2の部材(背面カバー)として、積層板7を用いて、熱溶着にて、150℃、5minの条件で一体化し、音響機構を具備する機器用部材および筐体とする。この一体化の際に、接合部分となる箇所には、積層体の接着層を積層した部分に接している。
作成した音響機構を具備する機器用部材および筐体は、略平面部の厚みが1.0mmであった。また、前記部材および筐体に使用された繊維強化樹脂中の炭素繊維の平均長さは400mmであった。
(実施例6)
(積層板8)
積層体8を構成するプリプレグとして、実施例1と同様の炭素繊維プリプレグを用い、繊維長手方向と水平に220mm、繊維長手方向と直角に50mmの大きさに4枚カットし、さらに、繊維長手方向と水平に50mm、繊維長手方向と直角に220mmの大きさにカットし、第1の部材となる撮影機構を具備する機器用部材および筐体に用いる積層体を製造する。
まず、雌金型に長方形底面の長手方向を0°として、繊維長手方向を0°とし、0°、90°、90°、0°、90°、90°、0°となるように8枚のプリプレグを積層する。最後に積層したプリプレグの上から、前述の方法より作製した第3の接着層である熱接着用熱可塑性樹脂を積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚積層する。
次に、雄金型に上記積層体を配置し、雌金型をセットして、熱プレス成形を行う。プレス成形機にて160℃で5分間予熱して接着層を溶融させた後、面圧4MPaとなるよう圧力をかけながら150℃で30分間加熱して積層体の熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、脱型して、成形された積層体を取り出した。次いで、レンズ鏡筒設置部分を直径40mmの円形に打ち抜き加工により取り除いた。成形された積層体の平均の厚みを測定したところ1.0mmの積層体であった。
上記より得られた積層体の、熱接着用熱可塑性樹脂を積層した部分から10mm四方の試験片を切り出し、メチルアルコールで30分間超音波洗浄を行い、接着剤の熱可塑性樹脂を除去した後、SEM観察を行う。この結果、表面には繊維束がむきだしで観測される。さらに、断面には、成形体の表面方向に空隙を有する繊維群の層と、成形体の内部方向に空隙を有しない繊維群の層の二層構造が観測される。これらの層の界面は、凸凹形状を有している。空隙を有する繊維群の層が、熱可塑性樹脂層のうちの連続したフィラメントが配置されている領域であり、その厚みを測定すると、最小部分で30μm、最大部分で50μmである。
(撮影機構を具備する機器用部材および筐体)
上記積層体8を第1の部材とし、射出成形用金型にインサートして、第2の部材として、東レ(株)製長繊維ペレットTLP1146Sを用いて、ボス、ヒンジ部を射出成形にて形成、一体化し、撮影機構を具備する機器用部材および筐体(背面カバー)とする。このとき、射出成形によって形成される部品・部材は、積層体の接着層を積層した部分に接している。射出成形機および成形条件は実施例1と同様に行った。
作成した撮影機構を具備する機器用筐体は、略平面部の厚みが1.0mmであった。また、スチルカメラ用筐体に使用された繊維強化樹脂中の炭素繊維の平均長さは120mmであった。
上記方法により作製された実施例1〜3の表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体は従来の表示機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体では成し得なかった、優れた軽量性、高剛性、薄肉性に加え電磁波シールド性を実現し、市場の要求を十分に満足し得る電気・電子機器が得られた。本考案の電気・電子機器は例えば薄型を特徴とするプラズマディスプレイ用途などに好適に用いることができる。
上記方法により作製された実施例4の印字機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体は従来の印字機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体では成し得なかった、優れた軽量性、薄肉性、高剛性に加え振動減衰性を実現し、市場の要求を十分に満足し得る印字機構を具備する電気・電子機器が得られた。本考案の電気・電子機器は、例えば据え置き型や携帯型のプリンター用途などに好適に用いることができる。
上記方法により作製された実施例5の音響機構を具備する電気・電子機器用部材および筐体は、従来の音響機構を具備する機器用筐体では成し得なかった、優れた軽量性、高剛性を実現し、市場の要求を十分に満足し得る音響機構を具備する機器用筐体が得られた。本考案の音響機構を具備する電気・電子機器は、例えば壁掛け型やホームシアター用などのスピーカー用途などに好適に用いることができる。
上記方法により作製された実施例6の撮影機構を具備する機器用部材および筐体は、従来の撮影機構を具備する機器用筐体では成し得なかった、優れた軽量性、高剛性、寸法安定性を実現し、市場の要求を十分に満足し得る撮影機構を具備する機器用筐体が得られた。本考案の撮影機構を具備する電気・電子機器は、例えば携帯型などのスチルカメラ、ビデオカメラ用途などに好適に用いることができる。

本考案は、表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構から選択される少なくとも一つの機構部品を具備する電気・電子機器の、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体に限らず、情報端末機器やビデオ、DVD(Digital VersatileDisk/Digital Video Disk)機器などの部材または筐体にも応用することができるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。

平面の積層体を背面カバーの一部に用いた本考案の電気・電子機器における筐体の一実施例の簡略図である。 積層体を背面カバーおよび枠体に用いた本考案の電気・電子機器における筐体の一実施例の簡略図である。 積層体を背面カバーに用いた本考案の電気・電子機器における筐体の一実施例の簡略図である。 積層体をスピーカーボックスおよび背面板に用いた本考案の電気・電子機器における筐体の一実施例の簡略図である。 積層体をスチルカメラカバーに用いた本考案の電気・電子機器における筐体の一実施例の簡略図である。
符号の説明

1a:表示機構を具備する電気・電子機器の背面カバーを構成する第1の部材
1b:表示機構を具備する電気・電子機器の背面カバーを構成する第2の部材
1c:表示機構を具備する電気・電子機器の背面カバー
2a:表示機構を具備する電気・電子機器の枠体を構成する第1の部材
2b:表示機構を具備する電気・電子機器の枠体を構成する第2の部材
2c:表示機構を具備する電気・電子機器の背面カバー構成する第1の部材
2d:表示機構を具備する電気・電子機器の枠体
2e:表示機構を具備する電気・電子機器の背面カバー
3a:印字機構を具備する電気・電子機器の背面カバーを構成する第1の部材
3b:印字機構を具備する電気・電子機器の背面カバーを構成する第2の部材
3c:印字機構を具備する電気・電子機器の背面カバー
4a:音響機構を具備する電気・電子機器のスピーカーボックスを構成する第1の部材
4b:音響機構を具備する電気・電子機器の背面板を構成する第1の部材
4c:音響機構を具備する電気・電子機器のスピーカーボックスおよび背面板
5a:撮影機構を具備する電気・電子機器のスチルカメラカバーを構成する第1の部材
5b:撮影機構を具備する電気・電子機器のスチルカメラカバーを構成する第2の部材
5c:撮影機構を具備する電気・電子機器のスチルカメラカバー

Claims (13)

  1. 表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構からなる群より選択される少なくとも一つの機構部品を具備する電気・電子機器であって、前記機構に係る部品を固定する部材または筐体が、第1の部材としてマトリックス樹脂を連続した強化繊維で強化した面状の繊維強化樹脂と、第2の部材として繊維強化樹脂、熱可塑性樹脂組成物、金属材料からなる群より選択される少なくとも1種の三次元形状を有する部材を含み、かつ、第1の部材と第2の部材とが第1の部材の面の少なくとも一部を介し一体化されてなる電気・電子機器。
  2. 前記第2の部材が、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、またはこれらのいずれかとの合金に熱接着性の表面処理を施した金属材料の三次元形状を有する部材を含む、請求項1に記載の電気・電子機器。
  3. 前記第1の部材が、多数本の強化繊維を、少なくとも一方向に引き揃えた強化繊維群を層状に配置してなる積層体を含む請求項1または2に記載の電気・電子機器。
  4. 前記第1の部材の少なくとも一方の最外層に、強化繊維織物を含む層を積層配置してなる、請求項3に記載の電気・電子機器。
  5. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の電気・電子機器。
  6. 前記第1の部材におけるマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載の電気・電子機器。
  7. 前記第1の部材におけるマトリックス樹脂がエポキシ樹脂である、請求項6に記載の電気・電子機器。
  8. 前記第1の部材と、前記第2の部材とが、接着層を介して接合されてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の電気・電子機器。
  9. 前記接着層が、熱可塑性樹脂から形成されてなる接着層であって、前記マトリックス樹脂との界面において、凸凹形状を有して接合されてなる、請求項8に記載の電気・電子機器。
  10. 前記第1の部材における連続した強化繊維のうち、前記接着層側表層の多数本の強化繊維が、前記接着層の熱可塑性樹脂に包含されてなる、請求項9に記載の電気・電子機器。
  11. 前記表示機構、印字機構、音響機構、撮影機構からなる群より選択される少なくとも一つの機構部品がディスプレイパネルである、請求項1〜10のいずれかに記載の電気・電子機器。
  12. 前記ディスプレイパネルの周囲の枠体および/または背面のカバーに、第1の部材であるマトリックス樹脂を連続した強化繊維で強化した面状の繊維強化樹脂部材が配置されてなる、請求項11に記載の電気・電子機器。
  13. 前記ディスプレイパネルが対角線長さが17インチ以上である液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、表面電解ディスプレイからなる群より選択されるいずれか1種である請求項11または12のいずれかに記載の電気・電子機器。
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