JP2015147378A - 繊維強化プラスチック成形品およびその製造方法 - Google Patents

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信幸 小松
茂郎 岩澤
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茂郎 岩澤
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Kosuke Shiho
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Abstract

【課題】一面に開口部を有する中空構造であり、成形品に要求される剛性を負担させる連続繊維強化のモノコック形状により、薄肉、軽量かつ高剛性で、生産性に優れ、また、複雑形状の中空構造の成形品において、部品の合わせ目がなく、外観のデザイン性が向上し、複雑形状の成形体の高速成形を可能とする。
【解決手段】少なくとも連続した繊維強化シートから形成される中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品であって、少なくとも連続した強化繊維からなる繊維強化シートから形成され、中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品であって、繊維強化プラスチック成形品の一側面には繊維強化シートを折り曲げた折り返し部が設けられ、一側面の端部から延設する他の側面には繊維強化シートを重ね合わせた第1の接合部が設けられ、一側面と対向する側面に開口部を設けた構造である繊維強化プラスチック成形品。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばパソコンやOA機器、携帯電話等の部品や筐体部分として用いられる軽量、高強度・高剛性でかつ薄肉化が要求される用途に適した繊維強化プラスチック成形品及びその製造方法に関する。
現在、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の携帯化が進むにつれ、より小型、軽量化が要求されている。その要求を達成するために、機器を構成する部品、特に筐体には、外部から荷重がかかった場合に筐体が大きく撓んで内部部品と接触、破壊を起こさないようにする必要があるため、高強度・高剛性化を達成しつつ、かつ薄肉化が求められている。
従来、繊維強化プラスチック製の容器やパイプを成形する方法として、フィラメントワインディング法やシートワインディング法がある。例えば、フィラメントワインディング法は、マンドレルを回転させながらそのマンドレルの周りに樹脂を含浸した補強繊維を任意の角度で、一定量を巻き付けて樹脂含浸強化繊維層を形成し、熱硬化させた後、マンドレルを引き抜き、製品を得る方法である。
中空成形体の中でも、例えばゴルフシャフトや圧力容器のように単純な形状で、開口部が比較的小さい中空成形体は、回転するライナーに、樹脂を含浸した強化繊維束を巻き付けた後に硬化させる、強化繊維ワインディング法にて好適に製造できる。この製法は、比較的安価で生産性は高いものの、対象となるマンドレルが回転可能な曲面を有する形状に限られ、角状部位を有するような複雑な非回転形状の部材を形成することは困難である。
角状部位を有するような複雑な形状の部材や、開口部が比較的大きな中空のFRP(Fiber Reinforced Plastics)成形品を製造する場合、その成形品を構成する複数部材に分割した部材を複数接合して組み合わせることで複雑形状の中空成形品を製造することが行われている。しかし、接合界面での接合強度に限界があることや接合工程に要する生産工数の増加、リードタイムの増大の要因となり、生産コストの悪化に繋がる。また接合部位において外観不良の箇所が残り、意匠デザイン的に満足の得られない場合がある。
非中空のFRP成形品や、開口部が比較的大きな中空のFRP成形品を複数接合して複雑形状の中空成形品を製造することも可能であるが、一般に公知の接着剤を使用すると、接着工程に要する工数とリードタイムがコストの増大と生産性低下に繋がり、何より接着強度が十分に発現できず、高強度・高剛性というFRPの特徴を損なうことになる。また、ボルト、ネジなどの機械接合法では、別途機械加工工程が必要であるだけでなく、デザイン上の制約があり適用が限定されること、何より軽量性というFRPの特徴を損なうことになる。
特許文献1(特開2011−166124号公報)においては、熱可塑性樹脂からなる成形体(I)と、連続した強化繊維と熱硬化性樹脂を含む成形体(II)が接合されてなる電気・電子機器筐体であって、該成形体(I)が面状構造体であり、該成形体(II)の長手方向における任意の箇所における断面の形状が実質的に同一である長尺構造体が記載され、複雑形状を形成することに適した熱可塑性樹脂からなる成形体(I)と、高剛性で生産性の高い連続した強化繊維と熱硬化性樹脂からなる成形体(II)を、必要とされる部分に効果的に配置することで、成形性、生産性、高剛性などの特性を損なうことなく、良好な軽量性、経済性、薄肉性を満たし、かつ必要とされる複雑な形状に対しても対応可能な電気・電子機器筐体が得られる効果が開示されている。
しかし特許文献1の構成では、軽量性、薄肉性で、複雑な形状に対応が可能であるとしても、面状構造体である成形体(I)と、連続した強化繊維と熱硬化性樹脂を含む長尺構造体である成形体(II)とを接合する必要があり、コスト面や生産工程が複雑になる場合がある。
特許文献2(特開2002−314262号公報)においては、一面に開口部を有する基体と、該基体の開口部に対向して位置し該基体と一体化せしめられる枠体とを含み、その材料の曲げまたは引張弾性率を一定の関係を満足させる構成により、基体が薄肉、軽量化された場合でも、当該基体と一体化せしめられる枠体に高剛性材料を用いることで、筐体を十分な剛性に維持することができる電子機器筐体が開示されている。
しかし特許文献2の構成では、別構造体である基体と枠体とを接合させる必要があり、その接合強度向上に関しての記載はなく、またその接合部における外観等の意匠性向上に関しても示唆するものはない。
特許文献3(特開2006−44262号公報)においては、第1の部材は連続した強化繊維群で強化された熱硬化性樹脂を主成分とし、第2の部材との接合部分において熱可塑性樹脂層を有しており、前記熱可塑性樹脂層が前記強化繊維群の一部の強化繊維を包含してなる中空成形体の構成が記載され、FRPからなる第1の部材と、第2の部材とを強固に一体化することにより、軽量かつ力学特性に優れた中空成形体が得られる効果が開示されている。
しかし特許文献3の構成では、第1の部材と第2の部材との接合構造体であり、その接合部分において新たな材料を使用する必要があり、接合部での外観や、生産効率等に改善の余地がある。
また、中子を用いた一面が開口したFRP製の中空体についての開示がなされている。例えば、特許文献4(特開2006−218634号公報)においては、一面が開口したFRP製の中空の直方体を成形するに際し、この直方体の外面を形成する炭素鋼からなる主型と、直方体の内面を形成する、主型より熱膨張係数が大きいアルミニュウム又はアルミニュウム合金からなる入子とからなる成形用金型を用いた中空の直方体の成形方法が開示されている。
また、特許文献5(特開2013−010202号公報)においては、成形用前駆体材料を、線膨張率が異なる中子と母型からなる金型を用いて、当該材料を中子に配するようにしてプレスし加熱した後、母型を冷却することにより、軽量性と高い剛性を有した成形体の製造方法が開示されている。
また、特許文献6(特開平03−272832号公報)においては、繊維強化熱硬化性樹脂材料を、中子の表面に付与して、樹脂材料層を形成した後、製品の外形形状に略対応した形状のキャビティ内に収容し、該成形型の熱膨張力を加圧力として前記中子表面に形成された樹脂材料層に作用せしめつつ、該樹脂材料層を硬化させ、その後、該成形型より取り出される硬化体から、前記中子を溶融、溶解若しくは崩壊させて除去することにより、目的とする中空体を得る中空体の製造法が開示されている。
しかしこれらの中空体の成形方法では、一面に開口部を有する中空構造を構成する繊維強化プラスチック成形品に、成形品に要求される剛性を負担させる構成とし、薄肉、軽量化でかつ複雑形状の筺体を成形することは困難である。
特開2011−166124号公報 特開2002−314262号公報 特開2006−44262号公報 特開2006−218634号公報 特開2013−010202号公報 特開平03−272832号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、一面に開口部を有する中空構造を構成する繊維強化プラスチック成形品に、成形品に要求される剛性を負担させるモノコック形状の中空構造の成形品であって、薄肉、軽量かつ高剛性で、生産性に優れた中空構造の繊維強化プラスチック成形品を提供することを目的とする。また、複雑形状の中空構造の成形品において、部品の合わせ目がなく、外観の意匠性デザイン性が向上し、複雑形状の成形体の高速成形を可能とすることを目的とする。
上記課題を解決するために種々検討を行った結果、本発明者は、以下に示す繊維強化プラスチック成形品およびその製造方法を見いだすに至った。
(1)少なくとも連続した強化繊維からなる繊維強化シートから形成され、中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品であって、
前記繊維強化プラスチック成形品の一側面には前記繊維強化シートを折り曲げた折り返し部が設けられ、前記一側面の端部から延設する他の側面には前記繊維強化シートを重ね合わせた第1の接合部が設けられ、前記一側面と対向する側面に開口部を設けたことを特徴とする繊維強化プラスチック成形品。
(2)前記繊維強化シートの周縁部の少なくとも一部に切り込みを入れた複数の折り代突起部を設け、
前記開口部の一部に、前記折り代突起部を重ね合わせた第2の接合部を形成し、
前記開口部の開口面積を、中空構造を有する前記繊維強化プラスチック成形品の内部における前記開口部と平行な断面の最大面積よりも小さくしてなる(1)記載の繊維強化プラスチック成形品。
(3)前記第1の接合部において、少なくとも最表層の繊維強化シート端部を前記一側面の端部から延設する他の側面の外側に突出させた貼合せ部を設けるとともに、他の層の繊維強化シート端部を重ね合わせる(1)または(2)記載の繊維強化プラスチック成形品。
(4)前記開口部の面積a(mm)と前記繊維強化プラスチック成形品の最大投影面積A(mm)とが、20≦A/a≦200の関係にあり、かつ、
前記開口部の幅b1と高さh1とが、30≦b1/h1≦200の関係を満足する(1)〜(3)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
(5)前記繊維強化プラスチック成形品の前記一側面と平行に、該繊維強化プラスチック成形品の高さ方向に切断した中空断面の断面積が200〜6000mmであり、
前記中空断面の幅b2と高さh2とが、30≦b2/h2≦200であり、かつ、
前記繊維強化プラスチック成形品の最大投影面積が4000mm以上200000mm以下を満足する(1)〜(4)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
(6)前記繊維強化プラスチック成形品の中空構造を除いた上面又は下面を構成する繊維強化シートの肉厚が0.1mm〜2mmである(1)〜(5)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
(7)前記繊維強化シートの強化繊維が一方向に配置された強化繊維からなる(1)〜(6)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
(8)前記強化繊維が導電繊維からなる(1)〜(7)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
(9)前記強化繊維が炭素繊維からなる(1)〜(8)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
(10)前記繊維強化シートの繊維重量含有率(Wf)が5〜80重量%である(1)〜(9)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品
(11)少なくとも以下の工程を経ることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(A)中子に、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化シートをプリフォーミングする工程(A1)〜(A5)、
(A1)前記繊維強化シートを所定の形状にカットする工程、
(A2)前記中子の一方の表面に前記繊維強化シートを位置決めする工程、
(A3)前記中子の手前側面に、前記繊維強化シートを折り曲げて巻き付ける工程、
(A4)前記中子の手前側面の端部から延設する他の側面に前記繊維強化シートを重なり合うように積層する工程、
(A5)(A4)工程において、前記繊維強化シートのうち少なくとも最表層の端部を前記手前側面の端部から延設する他の側面の外側に突出させて貼り合わせて第1の接合部を設ける工程、
(B)前記プリフォーミングされた前記繊維強化シートを、前記中子とともに金型に配置する工程、
(C)前記金型を閉じて加熱加圧し、前記繊維強化シートに含浸した熱硬化性樹脂を硬化させる工程、
(D)前記金型内から前記中子とともに硬化した前記繊維強化プラスチック成形品を取り出し、前記繊維強化プラスチック成形品を冷却する工程、及び、
(E)前記中子を前記繊維強化プラスチック成形品から脱型する工程。
(12)前記(A1)工程において、前記繊維強化シートの周縁部の一部に切り込みを入れて複数の折り代突起部を設ける(11)記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(13)前記繊維強化シートをプリフォーミングする工程(A)において、前記折り代突起部を(A4)(A5)工程に適用し、前記開口部の一部に第2の接合部を形成する(12)記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(14)中子は3個以上の中子構成部材からなる(11)〜(13)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(15)金型内に配置された前記中子構成部材同士が接する直線状の接触線方向が、繊維強化プラスチック成形品の開口面と交差する方向である(11)〜(14)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(16)前記中子構成部材の少なくとも1つの部材の熱膨張係数が、金型の熱膨張係数よりも大きい(11)〜(15)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(17)前記金型内に設けた位置決め手段と、前記中子に設けた位置合わせ手段とを合致させて、前記金型内に前記中子を配置する(11)〜(16)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(18)前記位置決め手段が位置決めピンであり、前記位置合わせ手段が位置合わせ型孔である(11)〜(17)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(19)前記位置決め手段又は位置合わせ手段は、複数個配置し、前記複数個の位置決め手段又は位置合わせ手段は、2次元平面として見たときの中子の一側面の辺と平行な方向に、略直線状に配置する(11)〜(18)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
(20)前記(A3)、(A4)工程において、前記繊維強化シートを折り曲げて形成される屈曲部周辺において、
前記中子構成部材の一部に肉盛り部位を設ける(11)〜(19)いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
一つの面に開口部を有する中空構造であり、成形品に要求される剛性を負担させる連続繊維強化のモノコック形状により、薄肉、軽量かつ高剛性で、生産性に優れた繊維強化プラスチック成形品を得ることが出来る。また、複雑形状の中空構造の成形品において、部品の合わせ目がなく、外観のデザイン性が向上し、複雑形状の成形体の高速成形を可能とすることができる。
本発明の一実施形態である箱型構造をした繊維強化プラスチック成形品の概略斜視図である。 本発明に係る他の実施形態である繊維強化プラスチック成形品の概略斜視図である。 本発明に係る他の実施形態である繊維強化プラスチック成形品の奥側面から見た背面図である。 図2Aに示した繊維強化プラスチック成形品の賦形前における繊維強化シートの平面展開図である。 図3Aに示す繊維強化シートの一部に切り込みを入れた折り代突起部の拡大詳細図である。 図3Aに示す繊維強化シートの一部に切り込みを入れた他の折り代突起部の拡大詳細図である。 図2Aに示す繊維強化プラスチック成形品において、奥側面の開口部と、成形品内部における開口部と平行な断面の面積との関係を示す概略斜視図である。 図2Aに示す繊維強化プラスチック成形品において、最大投影面積Aを示す概略上面図である。 図4における繊維強化プラスチック成形品の奥側面から見た開口部付近のD−D断面図である。 図4における繊維強化プラスチック成形品の奥側面から見た開口部付近のD−D断面図において、側面が曲面形状を示す概略断面図である。 図4における繊維強化プラスチック成形品の奥側面から見た開口部付近のD−D断面図において、台形形状を示す概略断面図である。 図4における繊維強化プラスチック成形品の奥側面から見た開口部付近のD−D断面図において、側面が段形状を示す概略断面図である。 図4における繊維強化プラスチック成形品内部における開口部と平行な断面の最大面積を表すE−E断面図である。 図4における繊維強化プラスチック成形品内部における開口部と平行な断面の最大面積を表すE−E断面図において、側面が曲面形状を示す概略断面図である。 図4における繊維強化プラスチック成形品内部における開口部と平行な断面の最大面積を表すE−E断面図において、台形形状を示す概略断面図である。 図4における繊維強化プラスチック成形品内部における開口部と平行な断面の最大面積を表すE−E断面図において、側面が段形状を示す概略断面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチック成形品の手前面のB−B断面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチック成形品の一側面の端部から延設する他の側面部のA−Aおよび奥側面部のC−C断面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチック成形品の製造工程を示す概略フロー図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、熱硬化性樹脂を含浸させ、所定の展開形状にカットされた繊維強化シートを位置決めする工程(A2)を示す概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、中子の手前側面に繊維強化シートを折り曲げて巻き付ける工程(A3)を示す概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、中子に巻き付けられた繊維強化シートの一側面の端部から延設する他の側面において繊維強化シートを重なり合うように積層する工程(A4)を示す概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、中子の手前側面に、繊維強化シートが折り曲げて巻き付けられた状態を示した図1または図2Aの一側面部におけるB−Bの断面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、中子の手前側面の端部から延設する他の側面に繊維強化シートを重なり合うように積層し、表層部において繊維強化シート端部で貼り合わされた状態を示した図1または図2Aの一側面の端部から延設する他の側面部におけるA−A断面図断面図である。 図3Bで示した一部に切り込みを入れた折り代突起部7aの平面展開図である。 図3Cで示した一部に切り込みを入れた折り代突起部7bの平面展開図である。 図15A又は図15Bにおける、開口部を形成する奥側面の一部両端に形成される接合部7のC−C断面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法に用いる中子の構成を示す平面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、中子に繊維強化シートが巻きつけられた状態を示す斜視図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、中子と繊維強化シートとを金型内に配置した状態を示す断面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、中子と金型とを位置合わせする状態を示す概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法に用いる中子に略直線状に配置された位置合わせ型孔29の穴の形態図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、金型に配置された中子が熱膨張する方向を示す概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法において、熱膨張によって中子の型孔が推移する状態を示す概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法に用いる中子の全体平面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法に用いる、屈曲部形状を有する中子の側面部付近のF−F断面図である。 肉盛り部を設けていない中子と金型との間に繊維強化シートを配置して型締めしたときの状態を示す概略断面図である。 肉盛り部を設けた中子と、金型との間に繊維強化シートを配置して型締めしたときの状態を示す概略断面図である。
以下、本発明を図面に基づいて説明する。なお、本発明はこの図によって何ら制限されるものではない。
本発明は、少なくとも連続した強化繊維からなる繊維強化シートから形成され、中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品であって、繊維強化プラスチック成形品の一側面は繊維強化シートを折り曲げた折り返し部からなり、一側面の端部から延設する他の側面は繊維強化シートを重ね合わせた第1の接合部からなり、一側面と対向する側面に開口部が設けられた構成からなるものである。
本発明における繊維強化プラスチック成形品の一例を図1に示す。繊維強化プラスチック成形品1は、連続した1枚の繊維強化シート6から、箱型で中空構造の繊維強化プラスチック成形品1を形成する。その成形品の一側面3(例えば手前面)は繊維強化シート6を折り曲げて折り返された連続形状であり、部品の継ぎ合わせ目がないので、高強度を発揮することができる。この手前面3の連続形状とは、図7(図2AのB−B断面)に示すように、側面部において、別々の繊維又は繊維強化プラスチックを接合してつなぎ合わせる形態ではなく、繊維が繋がった状態でそのまま折り曲げられて側面が構成されていることを意味する。
また、手前面3の端部から延設する他の側面4(第1の接合部)は、繊維強化シート6の端部が重なり合うようにオーバーラップさせて接合した形状であり、これにより、接合強度が高くなるとともに、継ぎ目を外観上に現わすことがないので、意匠性を高めることができる。さらに、手前面3と対向する側面(例えば奥側面)は、開口部5を有する構成である。このように、繊維強化プラスチック成形品1に要求される剛性を負担させる連続繊維強化のモノコック形状とすることで、薄肉、軽量かつ高剛性を保持することが出来る。
本発明の繊維強化プラスチック成形品1における中空体または中空構造とは、中空形状をなす構造体である。中空形状とは、殻形状、鼓形状、筒形状のような、実質的に内部空間を有する形状を意味する。
また、図3Aに示すような繊維強化シート6の周縁部の少なくとも一部に切り込みを入れた複数の折り代突起部7a、7bを設け、図2Bに示すように、開口部5の一部に、折り代突起部7a、7bを重ね合わせた第2の接合部7を形成することで、図4に示すように、開口部5の開口面積(D−D断面位置の開口面積に相当)が、中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品1の内部における開口部5と平行な断面の最大面積(E−E断面位置の開口面積に相当)よりも小さくなることが好ましい。このような段差を有する構成とすることで、繊維強化プラスチック成形品1の角部の機械的強度を向上させることができ、別部品を設ける必要がないためコストを削減出来る。また、意匠的にも美観性を高める効果が得られる。
また、繊維強化シート6の周縁部に切り込みを入れた複数の折り代突起部7a、7bを設けることにより、複雑な3次元形状部における繊維強化シート6の皺の発生に伴う外観不良を抑制することができる。
また、図8に示すように、第1の接合部4または、第2の接合部7において、少なくとも最表層部17の繊維強化シート6の端部を、一側面の端部から延設する他の側面4の外側に突出させた貼合せ部18を設けるとともに、他の層の繊維強化シート6の端部を重ね合わせるオーバーラップ部16を設けることが好ましい。このように繊維強化シート6相互がオーバーラップした構成を設けることで、強い接合強度を生じさせることができる。さらに、最表層部17の接合形態により強化繊維シート6相互の継ぎ目が外観に現れることがなく、意匠デザイン的に優れたものとできる。貼り合わせ部18は、最表層の強化繊維シート6のみでも良いし、複数枚の強化繊維シート6の端部を貼り合せる形態でもよい。少なくとも最表層の強化繊維シート6の端部が、オーバーラップすることなく接合した構成を備えることが好ましい。貼り合わせ部18は、後述する成形型(上型25、下型26)に組み入れる際の位置決めの基準を取るための有効な部位となる。成形後に貼り合わせ部18をトリミングすると、一側面の端部から延設する他の側面4の意匠性を高めることができる。
また、図4Aに示すD−D断面における開口部5の面積a(mm)8と、図4Bに示す繊維強化プラスチック成形品1の最大投影面積A(mm)9とが、20≦A/a≦200の関係にあり、かつ、開口部の幅b1(mm)(符号11)と高さh1(mm)(符号10)とが、30≦b1/h1≦200の関係を満足することが好ましい。ここで、開口部5の幅b1(符号11)と高さh1(符号10)とは、図5A〜Dに例示する開口部形状に対応する長さを測定したものである。
本発明に係る繊維強化プラスチック成形品1は、生産性とコストの観点より電子機器筐体の最終的な形態に類似した形状が好ましい。中空構造を有し、薄肉性をより高める観点から、繊維強化プラスチック成形品1の最大投影面積(A)9を有する面を平面とした場合、いずれかの側面に表れる開口部5の面積a(mm)8との面積比A/aが20以上であることが好ましい。より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上である。A/aが20未満であると繊維強化プラスチック成形品1の厚みが増大し軽量化に反し重量が重くなり、200を超えると繊維強化プラスチック成形品1の厚みが小さくなり剛性が損なわれるという不都合が生じる場合がある。
また、開口部5の幅b1(mm)(符号11)と高さh1(mm)(符号10)とで表されるアスペクト比(b1/h1)が、30以上の大きさの開口部5を有する薄肉状の構造体が好ましい。より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上である。これにより、軽薄短小が要求される電子機器用の筺体の要求形態を満たすことが出来る。アスペクト比(b1/h1)が30未満であると繊維強化プラスチック成形品1の厚みが増大し軽量化に反し重量が重くなり、200を超えると繊維強化プラスチック成形品1の厚みが小さくなり剛性が損なわれるという不都合が生じる場合がある。
また、図4のE−E断面で得られる、繊維強化プラスチック成形品1の一側面3と平行に、繊維強化プラスチック成形品1の高さ方向に切断した中空断面14の断面積が200〜6000mmであり、中空断面14の幅b2(mm)(符号13)と高さh2(mm)(符号12)とで表されるアスペクト比(b2/h2)が、30≦b2/h2≦200であり、かつ、繊維強化プラスチック成形品1の最大投影面積A(mm)9が4000mm以上200000mm以下を満足することが好ましい。
中空断面14の断面積が6000mmを超えると、繊維強化プラスチック成形品1の厚みおよび/または幅が増大し、軽量化の方向とは反することになり、200mm未満であると繊維強化プラスチック成形品1の厚みが小さくなり剛性が損なわれ、また、電子部品を収納することが困難となる。また、アスペクト比(b2/h2)を定める幅b2(mm)(符号13)を大きく、高さh2(mm)(符号12)を薄くすることにより、得られる繊維強化プラスチック成形品1は薄肉化出来る。幅b2(mm)(符号13)を小さく、高さh2(mm)(符号12)を大きくすると、得られる繊維強化プラスチック成形品1は、軽量化に反し重量が増大する懸念がある。アスペクト比(b2/h2)が30未満であると繊維強化プラスチック成形品1の厚みが増大し軽量化に反し重量が重くなり、200を超えると繊維強化プラスチック成形品1の厚みが小さくなり剛性が損なわれるという不都合が生じる場合がある。さらに、繊維強化プラスチック成形品1の最大投影面積A(mm)9が4000mm未満であると繊維強化プラスチック成形品1の剛性が上がるため、もはや材質として繊維強化プラスチックを適用する必要がなく、200000mmを超えると、軽量化に反し重量が増大するという不都合が生じる場合がある。
また、繊維強化プラスチック成形品1を構成する板厚19、20が0.1mm〜2mmであることが好ましい。繊維強化プラスチック成形品1を構成する板厚19、20が0.1mm未満であると、剛性が低下する傾向にあり、2mmを超えると、軽量化に反し、重量が重くなる傾向にある。
また、繊維強化プラスチック成形品1の板厚19、20は、以下の観点より好ましい厚みを決定することができる。積層される個々の繊維強化シート6は厚みが薄すぎると、枚数を調整することで繊維強化プラスチック成形品1を構成する板厚19、20の調節が可能であるが、積層工程に時間を要することとなる。また、反対に厚みが厚くなると、所望の厚さに対する必要枚数は少なく済むが、積層枚数変更による繊維強化プラスチック成形品1を構成する板厚19、20の微調整は困難となる。これを踏まえ、積層時の取り扱い性のバランスから、好ましい厚みを決定することができる。各繊維強化シート6の厚みは0.02〜0.2mmとすることが好ましい。このような繊維強化シート6を積層し、積層体としたときの厚みとして、積層時の取り回し性と硬化させた時の繊維強化プラスチック成形品1の剛性とのバランスより、0.1〜2mmとすることが好ましい。
ここで、本発明に用いる繊維強化シートについて説明する。
繊維強化シート6は、多数本の連続した強化繊維を一方向に引き揃えた強化繊維束を複数並べ、熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグが好適に用いられる。複数の強化繊維束は、プリプレグの幅方向に配列され、あるいは、プリプレグの厚さ方向に積層されていてもよい。繊維強化シート6の形態としては、特に制限はなく、強化繊維束を織り込んだクロス織物や、繊維がシート内で切れることなく一方向(UD:Uni Directional)に連続して配向した一方向基材等を好適に用いることができる。強度・剛性の観点からは、一方向基材を用いることが好ましい。
強化繊維束を構成する強化繊維の本数には特に制限はないものの、3,000〜24,000本の範囲とすることが好ましい。3,000本未満になると、強化繊維束自身が細くなり、繊維強化シート6に十分な繊維束が配列されず、一方向基材やクロス織物を構成しづらくなる。また、24,000本を越えると、逆に強化繊維束が太くなり、均一な厚みの繊維強化シート6を構成しづらくなる。特に好ましくは、6,000〜12,000本の範囲である。
繊維強化シート6に使用される強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維が用いられる。これらは、単独または2種以上併用して用いてもよい。これらの強化繊維は、表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、金属の被着処理、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などが好適に用いられる。
また、繊維強化シート6の強化繊維が導電繊維からなることが好ましい。繊維強化シート6の強化繊維に導電性の特性を持たせることにより、電子機器内からの発生や外部から進入する電磁気を遮断する効果が得られる。導電性を発現する強化繊維であれば特に制限はなく、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維や、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維(黒鉛繊維を含む)、等が好ましく用いられる。中でも、繊維強化プラスチック成形品1の強度をより向上させることができる炭素繊維を用いることがより好ましい。
本発明の繊維強化プラスチック成形品1に使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種類をブレンドした樹脂が用いられる。これらの中でも、力学特性の観点からエポキシ樹脂を用いることが好ましい。耐衝撃性向上のために、熱硬化性樹脂には、エラストマーもしくはゴム成分が添加されていてもよい。
また、繊維強化シート6の剛性を十分に発揮させるため、繊維強化シート6の繊維重量含有率(Wf)を適切な範囲とすることが好ましい。繊維重量含有率(Wf)の計算は、Fw:繊維重量、Rw:樹脂重量を用いて次式により決定される。
Wf=Fw/(Fw+Rw)×100(%)
繊維重量含有率(Wf)は、5〜80重量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜75重量%、更に好ましくは15〜70重量%である。一般的に繊維重量含有率(Wf)が5重量%未満では、成形品の力学特性の向上効果が少なく、80重量%を超えると樹脂が均一に含浸されない場合や成形時に成形品表面が完全に樹脂で覆われず繊維が露出して品位が低下する場合がある。
また、本発明は、少なくとも以下の工程を経ることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品1の製造方法である。
(A)中子21に、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化シート6をプリフォーミングする工程(A1)〜(A5)、
(A1)前記繊維強化シート6を所定の形状にカットする工程、
(A2)前記中子21の一方の表面に前記繊維強化シート6を位置決めする工程、
(A3)前記中子21の手前側面3に、前記繊維強化シート6を折り曲げて巻き付ける工程、
(A4)前記中子21の手前側面の端部から延設する他の側面4に前記繊維強化シート6を重なり合うように積層する工程、
(A5)(A4)工程において、前記繊維強化シート6のうち少なくとも最表層の端部を前記手前側面の端部から延設する他の側面4の外側に突出させて貼り合わせ第1の接合部18を設ける工程、
(B)前記プリフォーミングされた前記繊維強化シート6を、前記中子21とともに金型29に配置する工程、
(C)前記金型29を閉じて加熱加圧し、前記繊維強化シート6に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させる工程、
(D)前記金型29内から前記中子21とともに硬化した前記繊維強化プラスチック成形品1を取り出し、前記繊維強化プラスチック成形品1を冷却する工程、及び、
(E)前記中子21を前記繊維強化プラスチック成形品1から脱型する工程。
以下、各工程について説明する。
最初は、中子21に、繊維強化シート6を巻き付けるプリフォーミングの工程(A)について説明する。
まず、工程(A1)において、熱硬化性樹脂を含浸させ強化繊維束を一方向に配列させた繊維強化シート6を一定形状寸法にカットする。図3Aに示すように、繊維強化シート6の形状が複雑である場合は、自動裁断機またはトムソン刃を用いた打ち抜きによりカットすることが好ましい。また、カットする繊維強化シート6は強化繊維シート6が複数枚重なった積層体であっても良い。積層体を一度にカットすることで、一枚一枚プリフォーミングするよりも繊維強化シート6同士の端部の位置精度が向上し、プリフォーミング回数が減りプリフォーミング時間が短縮できる。
工程(A2)において、図10に示すように、図中、点線で示す矢印の先端部の繊維強化シート6の上半身部の角部に、中子21の角部を整合させて重ね、中子21の一面に繊維強化シート6を位置決めする。
このとき、成形後に中子21から繊維強化プラスチック成形品1の脱型を簡潔に行うためには、中子21の表面に離型剤を予め塗布しておくことが好ましい。
工程(A3)において、図11に示すように、繊維強化シート6の中心付近で、中子21を挟み込むように、熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグである繊維強化シート6を折り畳むような形で重ね合わせてプリフォームを形成する。図13に示すように、繊維強化シート6は一側面部3において折り曲げられていると、強化繊維が連続して配置されているため、強度や剛性を低下させることがない。特に、繊維強化プラスチック成形品1の一側面3と平行または直交方向となるように繊維強化シート6を配置することが好ましい。
工程(A4)において、図12に示すように、一側面の端部から延設する他の側面4において、上下両側の繊維強化シート6の端部同士がそれぞれお互い重なり合うようにオーバーラップさせる。なお、繊維強化シート6が複数ある場合、(A2)〜(A4)工程は、複数の繊維強化シート6を一度にまとめて行ってもよく、1枚またはす数枚程度ずつ分けて行ってもよい。また、オーバーラップさせる方法としては、図13に示すように強化繊維シート6を2枚ずつ重ね合わせる方法が例示されるが、この枚数に限定されるものではなく、前述した(A2)〜(A4)工程を行う枚数にあわせてオーバーラップさせる等、適宜選択することができる。
工程(A5)において、繊維強化シート6のうち少なくとも表層部17に位置する端部はオーバーラップさせることなく、繊維強化シート6端部の先端部を外側に突き出すように引き出して背面部同士を貼り合わせることが好ましい。図14に示すように最表層の背面部同士のみを貼り合わせてもよく、複数貼り合わせてもよい。その状態で熱硬化させることにより、内部では繊維強化シート6相互がオーバーラップした構成を備えることで強い接合強度を発揮するとともに、表層部17の接合形態により継ぎ目が外観に現れることがなく、意匠的に優れたものとすることができる。
また、本発明において、繊維強化シート6の周縁部の一部に切り込みを入れて複数の折り代突起部7a及び7bを設けた繊維強化シート6を用いること好ましい。繊維強化シート6の周縁部に切り込みを入れた複数の折り代突起部7a、7bを設けることにより、プリフォーミング時の賦形性が向上し、複雑な3次元形状を形成する場合であっても繊維強化シート6の皺の発生を抑制することができる。折り代突起部7a、7bは、上述した(A4)(A5)工程を適用することができ、表層部17の先端部を外側に突き出した第2の接合部7を設ける構成とすることが好ましい。
この第2の接合部7を設けた構成により、成形体角部に隣接する4面に繊維強化シート6を配置することができ、成形体角部の機械的強度を向上させることがでる。また、別部品を設ける必要がないためコストを削減出来き、また、意匠的にも美観性を高める効果が得られる。
工程(B)において、プリフォーミングされた繊維強化シート6を、中子21とともに金型29内の所定の位置に配置する。このとき、成形後に金型29から中子21とともに硬化した繊維強化プラスチック成形品1の取り出しを簡潔に行うために、金型29の表面に離型剤を予め塗布しておくか、離型フィルムをプリフォーミングされた繊維強化シート6を覆い囲むように配置することが好ましい。
工程(C)において、金型29を閉じて加熱加圧し、繊維強化シート6に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させる。加熱加圧の方法として、オートクレーブ成形またはホットプレス成形といった加熱加圧成形法を用いることが好ましい。高速成形に対応させるためには、ホットプレス成形がより好ましい。また、これら成形法を用いた場合、機械加工等では形成が困難な薄肉形状や複雑な3次元曲面も、所望の形状のキャビティを備えた成形金型を用いることで、比較的容易に低コストで製造できる。さらに、これら成形法では、均一に圧力を付加できるため、良外観の繊維強化プラスチック成形品1を成形しやすいだけでなく、成形後の繊維強化プラスチック成形品1の重量のバラツキを低減させる上でも効果的であり、特に薄肉の繊維強化プラスチック成形品1の成形に効果的である。オートクレーブ成形法を用いる場合は、工程(B)後、オートクレーブを用いて所望の温度まで加熱、圧力を負荷し、加熱加圧の時間を設けることにより繊維強化シート6の熱硬化性樹脂を硬化させることができる。また、ホットプレス成形法を用いる場合は、工程(B)後、所望の温度、圧力で型締めを行い、所望の時間を掛けることにより繊維強化シート6の熱硬化性樹脂を硬化させることができる。
工程(D)において、金型29内から中子21とともに、マトリックス樹脂を硬化させた繊維強化プラスチック成形品1を取り出し、繊維強化プラスチック成形品1を冷却する。繊維強化プラスチック成形品1の冷却は、中子21とともに行うが、通常は中子21の熱膨張係数が繊維強化プラスチック成形品1よりも大きいため、収縮の差が大きくなることで繊維強化プラスチック成形品1が中子21に圧縮方向に引っ張られることで、本来の形状が付与できない恐れがある。そこで、冷却過程では、繊維強化プラスチック成形品1の変形を防止するために、中子21とともにマトリックス樹脂を硬化させた繊維強化プラスチック成形品1の上下表面の形状に沿ったツール板(図示せず)を配置しておくことが好ましい。
工程(E)において、中子21を繊維強化プラスチック成形品1から脱型する。脱型する際、繊維強化プラスチック成形品1の変形を防止するためには、工程(D)において、マトリックス樹脂を硬化させた繊維強化プラスチック成形品1の熱変形温度以下まで冷却してから行うことが好ましい。
ここで、本発明に用いる中子21について、さらに説明する。
本発明の中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品1は、薄型で多角形状の中空構造の成形品であり、例えば直方体形状の場合には、一側面に開口部5を有し、他の側面は接合等により閉じられた構造体である。その開口部面積8は、一側面3と平行に、繊維強化プラスチック成形品1の高さ方向に切断した中空断面14の断面積よりも小さい構成とすることが好適に行われている。例えば電子機器の筐体として用いる場合、開口部5の両端にヒンジ部等の他部材との接続部を設けられるため、電子機器全体としての厚みを抑えることができるためである。
このような開口部5を有する繊維強化プラスチック成形品1を精度良く成形するにあたり、後述する中子21を用いて成形を行うことができる。中子21に繊維強化シート6を巻き付けて賦形されたプリフォームをプレス成形することにより、従来のように2物品以上を組みつけて一体形状とする方法を取ることなく、中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品1を効率よく形成することが出来る。この中子21の形態は中空断面14が非回転形状を有し、より複雑形状であることが、多様な用途に適用できる点で好ましい。非回転形状とは、回転軸を有しない立体形状であり、左右対称、上下対称のものも含まれる。
このような中子21の形態としては、図16に示すように、中子21は3個以上の中子構成部材21a、21b及び21cからなることが好ましい。中子21が3つ以上の中子構成部材21a、21b及び21cに分割されてなることにより、熱硬化性樹脂を熱硬化させた繊維強化プラスチック成形品1の開口部5から容易に中子を取り出すことができる。分割された中子構成部材21a、21b及び21cのうち少なくとも1つの大きさは、開口部5から取り出せる大きさであることが好ましい。
また、図17に示すように、金型29内に配置された前記中子構成部材21a、21b及び21c同士の接触面が形成する直線状の接触線方向24が、繊維強化プラスチック成形品1の開口面5と交差する方向とすることが好ましい。
これにより、中子21を繊維強化プラスチック成形品1から脱型する工程(E)において、まず中央に位置する中子構成部材21bを取り出し、その後に両側に配置している中子構成部材21aと21cを取り出すことができ、開口部5の面積が、一側面3と平行に、繊維強化プラスチック成形品1の高さ方向に切断した中空断面14の断面積よりも小さい構造の中空構造の繊維強化プラスチック成形品1を容易に生成することが出来る。
また、中子構成部材21a、21b及び21cの少なくとも1つの部材の熱膨張係数は、金型29の熱膨張係数よりも大きい構成が好ましい。
中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品1に角部形状の箇所がある場合、上型25と下型26で型締めする際、金型29のエッジ部が繊維強化シート6にあたる際に中子側面部の繊維強化シート6が引っ張られて繊維目が裂け、角部に穴不良が生じる場合がある。そこで、中子21に用いる部材の熱膨張係数が、上型25および/または下型26に使用する金型29の熱膨張係数よりも大きい材料を用いることで、図18に示すように、型締めの際は、中子21の側面部と金型29側面部のクリアランスが大きくなり、繊維強化シート6の突っ張りが低減でき、繊維強化シート6の繊維目が裂け、角部に穴不良の発生を抑制することができる。また、成形時の熱により中子21が熱膨張方向27に熱膨張差28の長さの分だけ膨張して、繊維強化シート6を金型29に押し付けることにより内圧成形が可能になり、寸法精度が上がるとともに、繊維流れの抑制に対して効果が得られる。中子21には熱膨張係数の大きいアルミニウム材質が好ましく、金型29にはアルミニウムよりも熱膨張係数が小さい鋼材が好ましい。特に寸法精度が厳しく要求される箇所において有効である。
また、図19に示すように、金型29内に設けた位置決め手段と、中子21に設けた位置合わせ手段とを合致させて、金型29内に中子21を配置する構成が好ましい。
金型29内にプリフォームされた繊維強化シート6を配置する際の位置決めは重要である。位置決め精度が悪いと、生成される繊維強化プラスチック成形品1の形態にひずみや傷等が生じる場合がある。特に中子21を熱膨張させて内圧成形する場合、その位置決めは重要である。金型29内の位置決め手段と中子21側の位置合わせ手段とを合致させることで、容易に位置合わせすることができる。
また、金型29内の位置決め手段が位置決めピン31であり、中子21の位置合わせ手段が位置合わせ型孔30a、30bとすると、スムーズな位置合わせができるため好ましい形態である。特に、位置決め手段又は位置合わせ手段は、開口部5の最大幅方向と平行な方向に、略直線状に配置することが好ましい。
またさらに、位置決めピン31や位置合わせ型孔30a、30bは複数個(奇数個が好ましい)配置し、開口部5の最大幅方向と平行な方向に略直線状に並ぶように配置すると、中子21の熱膨張により内圧がかかった状態であっても、熱膨張方向27を正確に方向付けすることができ、寸法精度を高めることが出来る。
このような配置としては、図22に示すように、中子21に型孔30a、30bを奇数個配置する場合、中央に位置する型孔30aの形状は、位置決めピン31と合致し、ずれが生じることのない大きさの丸穴であることが好ましい。その他の型孔30bは、熱膨張による熱膨張差28を考慮し、長孔の形状が好ましい。その型孔30bの長径の方向は開口部5の最大幅方向であり、短径は中央に位置する型孔30aの直径と略同じ大きさであることが好ましい。このような形状とすることにより、図21に示すように、熱膨張方向27は型孔30aを中心に放射状に広がるが、型孔30a、30bが配列した方向以外への熱膨張が拘束されるため、中子21と金型29の中心軸同士がずれることを防ぐことができ、高い寸法精度で繊維強化プラスチック成形品1を得ることが出来る。
また、図24に示すように、工程(A3)及び工程(A4)において、前記繊維強化シート6を折り曲げて形成される屈曲部周辺において、前記中子構成部材21a、21b及び21cの少なくとも一部に肉盛り部33を設けることが好ましい。
これは、図25に示すように、繊維強化シート6を、屈曲部を有する形状に賦形して、金型29と中子21間で圧縮する際、繊維強化シート6は、型締めの加圧により繊維が引かれる張力方向35に力が働き、屈曲部において繊維強化シート6は中子21側に押し込まれて偏りが生じやすくなる。そのような状態ではマトリクス樹脂が外側の空隙34に溜まりやすく、偏在した樹脂リッチとなる部位が生じるおそれがある。そこで、図26に示すように、中子21の屈曲部付近に、金型29内に配置された中子21と金型29間の一部の空隙34距離を狭めるために、肉盛り部33を形成させておくことにより、繊維強化シート6を強制的に外側に沿わすことができ、樹脂リッチとなる偏在部を解消させることができる。
肉盛り部33の最大肉盛高さは、繊維強化プラスチック成形品1を構成する板厚19、20の10〜40%とすることが好ましい。10%よりも小さいと、樹脂偏在解消の効果が出にくく、40%よりも大きいと、内層での繊維切れが発生する場合がある。
次に、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
繊維強化シート6として、炭素繊維一方向プリプレグ(UD PP)P3052S−15(東レ(株)製 炭素繊維T700S使い マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 炭素繊維含有率67% 厚さ 0.143mm)から、所定の大きさ有する形状の繊維強化シート6を4枚切り出した。切り出した繊維強化シート6短手の方向を0°として、積層角度最表層上面から順に0°/90°/90°/0°となるように、4枚の繊維強化シート6を順次積層した。
次に、箱型の直方体状の形に形成されたアルミニウム材質の中子21を準備した。図10に示すように、繊維強化シート6の上半身部の角部に、中子21の角部を整合させて重ね、中子21の一面に繊維強化シート6を位置決めした。中子21に設けている型孔30a、30bは省略している。次に、図11に示すように、繊維強化シート6を手前側面部3付近で折り曲げ、繊維強化シート6の下半身部を中子21に重なるように巻き付けた。
また、図12に示すように、繊維強化シート6を一側面の端部から延設する他の側面4付近で上側と下側双方を折り曲げ、重ね合わせて積層した。図14に示すように、中子21の手前側面の端部から延設する他の側面4に繊維強化シート6の下側からの繊維シートを中子21に沿うように、4枚のシートのうちまず2枚を巻き付けた。次に、繊維強化シート6を上側から2枚を、中子20に沿うように、下側からの繊維強化シート6の上に重なるように巻き付け、繊維シートが4層重なったオーバーラップ部16が形成された。
そして、表層部17において、上側2枚の繊維シート6と下側2枚の繊維シート6を重ね合わせることなく端部で貼り合わせた。このとき、繊維の先端部を突き出すように引き出して背面部同士を貼り合わせた。
このとき、中子21は、図16に示すように3つに分割したものを使用した。中子構成部材21a、21b及び21c同士の接触方向24は繊維強化プラスチック成形品1の開口面5と交差する方向に揃えて、繊維強化シート6を巻き付けた。
また、中子21には位置合わせ手段として、中央部に先端部から230mmの箇所に直径8mmの型孔30aを設けた。その型孔30aから、図19に示すように直線状に左右2箇所に中央から45mm、かつ90mmの間隔をあけて型孔30bを設けた。型孔30bの長径は8.6mm、短径は8mmである。またプレスする金型29には位置決め手段として高さ10mmの位置決めの基準ピン31を設けた。配置間隔は中子21に設けた穴30と同じにした。
また、図18に示すように、型締め前の上型25と下型26とが距離が開いている状態で、中子21とプリフォーミングされた繊維強化シート6を配置した。中子21は、CTEが23.4(10−6/K)のアルミニウム材質であり、金型25、26には、熱膨張係数(CTE)が12.6(10−6/K)の大同特殊鋼株式会社製のブリハードン鋼NAK材を使用した。加熱前の中子21と、金型25、26との間隔は1.02mmとし、加熱後の熱膨張差28は0.47mmであった。中子21が加熱により熱膨張し、内圧成形状態に保持でき、寸法精度が良好であり、型締め時に繊維強化シート6の角部に穴が生じる不良や、繊維流れがなく実使用上問題ないレベルであった。
しかし、中子21として、CTEが260(10−6/K)のシリコンゴムを用いると加工性が良好であるが、寸法精度が悪く、実使用上問題があった。
さらに、中子21には、図24に示すように、屈曲形状部位に肉盛り部33を設けた。その肉盛り部33の高さは、0.07mmとした。繊維シートを強制的に外側に沿わすことができ、樹脂リッチとなる偏在部の発生はほとんどなく、また繊維切れが発生することもなかった。
プレス条件としては、プレス成形機に、中子21とプリフォーミングされた繊維強化シート6を配置し、3MPaの面圧をかけながら、160℃で30分間加熱して熱硬化性樹脂を硬化させた。硬化終了後、室温で冷却し、冷却された繊維強化プラスチック成形品1から中子21を取り出して、突き出された繊維の箇所をトリミングした。
薄肉で多角形状の中空構造の箱型形状で、その3側面は連続繊維形状または接合され、他の一側面は開口部5を有した図1Aに示す繊維強化プラスチック成形品1が得られた。
(実施例2)
繊維強化シート6として、図3Aに示した平面展開図の賦形前の繊維強化シート6を用いた。実施例1と同様の手順にて繊維強化シート6をプリフォーミングした。
このとき、実施例1以外の手順として、図2Bに示したように、開口部5を形成する奥側面の一部両端に接合部7を形成した。繊維強化シート6には、図15A及び図15Bに示すように、奥側面の両端の接合部7を形成するため、一部に切り込みを入れた折り代突起部7a、7bを設けた。この折り代突起部7b部の繊維強化シート2枚が中子21の形状に沿って、下側から折り曲げられて巻きつけられ、次に、図15Aに示す折り代突起部7a部の繊維シート2枚が中子21の形状に沿って、上側から折り曲げられて、中子21に巻きついた折り代突起部7b部の繊維シート2枚の上から、重なり合うように巻きつけ、図15Cに示すような複数の繊維強化シート6が重なり合ってオーバーラップした奥側面の両端の接合部7が形成された。得られた繊維強化プラスチック成形品1の開口部5の開口部面積a8は、中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品1の一側面3と平行に、繊維強化プラスチック成形品1の高さ方向に切断した中空断面14の断面積よりも小さい構造となった。(表1)に成形品の各数値を示す。
Figure 2015147378
本発明の繊維強化プラスチック成形品の用途としては、軽量で力学特性が要求される分野における製品がある。例えば、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラ、PDA、ポータブルMD、プラズマディスプレーなどの電気または電子機器の部品、部材および筐体、電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、掃除機、トイレタリー用品、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトディスク、照明、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどに代表される家庭または事務製品部品、部材および筐体、パチンコ、スロットマシン、ゲーム機などの遊技または娯楽製品部品、部材および筐体、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などの光学機器、精密機械関連部品、部材および筐体、X線カセッテなどの医療用途などが挙げられ、軽量と高剛性の要求が強く、好適に使用される。
1 繊維強化プラスチック成形品
3 一側面(手前面)
3a 強化繊維シートの折り目線
4 一側面の端部から延設する他の側面<第1の接合部>
5 開口部(奥側面)
5a、5b 強化繊維シートの奥側面辺部
6 繊維強化シート
7 奥側面の接合部<第2の接合部>
7a、7b 切り込みを入れた折り代突起部
8 開口部面積a
9 最大投影面積A
10 開口部の高さh1
11 開口部の幅b1
12 中空断面の高さh2
13 中空断面の幅b2
14 中空断面
15 中空部
16 オーバーラップ部
17 最表層部
18 貼り合わせ部
19 上面の板厚
20 下面の板厚
21 中子
22 Y軸方向
23 X軸方向
24 中子同士の接触面が形成する直線状の接触線方向
25 上型
26 下型
27 熱膨張方向
28 膨張差
29 金型
30a、30b 型孔
31 ピン
33 肉盛り部
34 空隙
35 繊維が引かれる張力方向

Claims (20)

  1. 少なくとも連続した強化繊維からなる繊維強化シートから形成され、中空構造を有する繊維強化プラスチック成形品であって、
    前記繊維強化プラスチック成形品の一側面は前記繊維強化シートを折り曲げた折り返し部からなり、
    前記一側面の端部から延設する他の側面は前記繊維強化シートを重ね合わせた第1の接合部からなり、
    前記一側面と対向する側面に開口部が設けられたことを特徴とする繊維強化プラスチック成形品。
  2. 前記繊維強化シートの周縁部の少なくとも一部に複数の切り込みを入れた折り代突起部を設け、
    前記開口部の一部に、前記折り代突起部を重ね合わせた第2の接合部を形成してなり、
    前記開口部の開口面積を、中空構造を有する前記繊維強化プラスチック成形品の内部における前記開口部と平行な断面の最大面積よりも小さくしてなる請求項1記載の繊維強化プラスチック成形品。
  3. 前記第1の接合部において、少なくとも最表層の強化繊維シート端部を前記一側面の端部から延設する他の側面の外側に突出させた貼合せ部を有するとともに、他の層の強化繊維シート端部が重ね合わせられた請求項1または2記載の繊維強化プラスチック成形品。
  4. 前記開口部の面積a(mm)と前記繊維強化プラスチック成形品の最大投影面積A(mm)とが、20≦A/a≦200の関係にあり、かつ、
    前記開口部の幅b1(mm)と高さh1(mm)とが、30≦b1/h1≦200の関係を満足する請求項1〜3いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
  5. 前記繊維強化プラスチック成形品の前記一側面と平行に、該繊維強化プラスチック成形品の高さ方向に切断した中空断面の断面積が200〜6000mmであり、
    前記中空断面の幅b2(mm)と高さh2(mm)とが、30≦b2/h2≦200であり、かつ、
    前記繊維強化プラスチック成形品の最大投影面積が4000mm以上200000mm以下を満足する請求項1〜4いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
  6. 前記繊維強化プラスチック成形品を構成する板厚が0.1mm〜2mmである請求項1〜5いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
  7. 前記繊維強化シートの強化繊維が一方向に配置された強化繊維からなる請求項1〜6いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
  8. 前記強化繊維が導電繊維からなる請求項1〜7いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
  9. 前記強化繊維が炭素繊維からなる請求項1〜8いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
  10. 前記繊維強化シートの繊維重量含有率(Wf)が5%〜80%である請求項1〜9いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
  11. 少なくとも以下の工程を経ることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
    (A)中子に、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化シートをプリフォーミングする工程(A1)〜(A5)、
    (A1)前記繊維強化シートを所定の形状にカットする工程、
    (A2)前記中子の一方の表面に前記繊維強化シートを位置決めする工程、
    (A3)前記中子の手前側面に、前記繊維強化シートを折り曲げて巻き付ける工程、
    (A4)前記中子の手前側面の端部から延設する他の側面に前記繊維強化シートを重なり合うように積層する工程、
    (A5)(A4)工程において、前記繊維強化シートのうち少なくとも最表層の端部を前記手前側面の端部から延設する他の側面の外側に突出させて貼り合わせて第1の接合部を設ける工程、
    (B)前記プリフォーミングされた前記繊維強化シートを、前記中子とともに金型に配置する工程、
    (C)前記金型を閉じて加熱加圧し、前記繊維強化シートに含浸した熱硬化性樹脂を硬化させる工程、
    (D)前記金型内から前記中子とともに硬化した前記繊維強化プラスチック成形品を取り出し、前記繊維強化プラスチック成形品を冷却する工程、及び、
    (E)前記中子を前記繊維強化プラスチック成形品から脱型する工程。
  12. 前記(A1)工程において、前記繊維強化シートの周縁部の一部に複数の切り込みを入れて折り代突起部を設ける請求項11記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  13. 前記繊維強化シートをプリフォーミングする工程(A)において、前記折り代突起部を(A4)(A5)工程に適用し、前記開口部の一部に第2の接合部を形成する請求項12記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  14. 中子は3個以上の中子構成部材からなる請求項11〜13いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  15. 金型内に配置された前記中子構成部材同士が接する直線状の接触線方向が、繊維強化プラスチック成形品の開口面と交差する方向である請求項11〜14いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  16. 前記中子構成部材の少なくとも1つの部材の熱膨張係数が、金型の熱膨張係数よりも大きい請求項11〜15いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  17. 前記金型内に設けた位置決め手段と、前記中子に設けた位置合わせ手段とを合致させて、前記金型内に前記中子を配置する請求項11〜16いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  18. 前記位置決め手段が位置決めピンであり、前記位置合わせ手段が位置合わせ型孔である請求項11〜17いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  19. 前記位置決め手段を、前記開口部の最大幅方向と平行に配置する請求項11〜18いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
  20. 前記(A3)、(A4)工程において、前記繊維強化シートを折り曲げて形成される屈曲部周辺において、
    前記中子構成部材の一部に肉盛り部位を設ける請求項11〜19いずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
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