JP7357190B2 - 法面ブロックの搬送装置 - Google Patents

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本発明は、法面ブロックを搬送する装置に関する。
プレキャストコンクリートからなるブロック(法面ブロック)を積み上げて、切土や盛土などの法面を保護することがある。この際、法面ブロックは、作業者による手作業やレッカー車などの移動クレーンを用いて、1個ずつ設置位置まで移動させていた。このような移動作業は重労働であって煩雑であり、作業時間が長くかかっていた(例えば、特許文献1参照)。
そこで、特許文献2には、コンクリートブロック(法面ブロック)を据え付け位置まで移動させる装置が開示されている。この装置は、法面の上下に間隔をおいてそれぞれ水平方向に延材する上レール及び下レールを備え、法面の上下方向に延材し上レールと下レールに沿って水平方向にモータによって移動可能な昇降レールが設けられ、この昇降レールに沿ってモータにより移動可能な台車が設けられている。
台車には複数個のコンクリートブロックが載置され、それぞれの据え付け位置まで台車を移動させて、台車に備わる揚重機によってコンクリートブロックを1個ずつ吊り降す。この作業を水平方向に連続して行って、コンクリートブロックを下から順に1列ずつ積み上げる。
特開2004-218348号公報 特開2001-248161号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の装置においては、コンクリートブロックを1個吊り降すごとに台車を移動しなければならない。そのため、コンクリートブロックを搬送する作業効率に劣るという問題があった。
本発明は、以上の点に鑑み、複数個の法面ブロックを設置位置まで搬送する作業の効率向上を図ることが可能な法面ブロックの搬送装置を提供することを目的とする。
本発明の法面ブロックの搬送装置は、法面に積み上げる法面ブロックを搬送する装置であって、間隔を開けて互いに平行に上下方向に延びるように前記法面に設置される2本のガイドレールと、前記2本のガイドレールに水平方向にわたるように設けられ、前記法面ブロックを複数個水平方向に並べて載置することが可能な載置面を有し、前記2本のガイドレールに両端部がそれぞれ上下動自在に案内される載置部と、前記載置部を前記2本のガイドレールに沿って昇降させる昇降手段とを備えることを特徴とする。
本発明の法面ブロックの搬送装置によれば、2本のガイドレールに沿って昇降する載置部の載置面には、法面ブロックを複数個水平方向に並べて載置することが可能である。これにより、法面に水平方向に並べて積み上げられる複数個の法面ブロックを設置位置の近傍まで、載置部の1回の昇降によってまとめて搬送し、まとめて降すことができる。よって、上記特許文献2に記載されたように法面ブロックを1個ずつ降す場合と比較して、搬送作業の効率向上を図ることが可能である。
本発明の法面ブロックの搬送装置において、前記載置部は、水平方向に延びる回転軸を中心として回転自在であって、前記法面に積み上げられた前記法面ブッロクと接触するローラを複数個有する。
これにより、載置面に載置された複数個の法面ブロックの荷重をローラで受けることが可能となり、載置部の2本のガイドレールに沿った昇降の安定化を図ることが可能となる。
本発明の実施形態に係る法面ブロックの搬送装置を法面に設置した状態を示す概略正面図。 法面ブロックの搬送装置を法面に設置した状態を示す概略側面図。 法面ブロックの搬送装置を法面に設置した状態を下方から見た概略拡大図。 法面ブロックを積み上げる方法を示すフローチャート。
本発明の実施形態に係る法面ブロックの搬送装置100(以下、単に搬送装置100ともいう)について図1から図3を参照して説明する。なお、図2において、載置部20は、摺動部40のみを図示し他は省略している。
搬送装置100は、切土や盛土の法面Aを保護するため、プレキャストコンクリートからなるブロック(法面ブロック)Bを、設置位置又はその近傍まで搬送する装置である。搬送装置100は、2本のガイドレール10、載置部20及び昇降手段30を備えている。
2本のガイドレール10は、間隔Lを開けて互いに平行に上下方向に延びるように法面Aに設置される。2本のガイドレール10は、水平方向に連続して並べて積み上げられる法面ブロックBが複数個連続した間隔よりも大きな間隔L、例えば5m~10mの間隔を開けて設置されている。ガイドレール10はアンカーなどで地盤に固定された支台11上に固定されている。
ガイドレール10は、載置部20に複数個の法面ブロックBが載置されても、載置部20が横ぶれなく安定して昇降できるような強度を有しており、ここでは、梯子状に補強されて構成されている。そして、ガイドレール10は、搬送装置100の運搬を簡素化する観点から、例えばアルミニウム材を素材として軽量化を図ることが好ましい。
載置部20は、2本のガイドレール10に水平方向にわたるように設けられている。そして、載置部20は、法面ブロックBを複数個水平方向に並べて載置することが可能な載置面21を有し、両端部がそれぞれ2本のガイドレール10に上下動自在に案内される。載置部20は、ここでは、2つの摺動部40、載置部本体50及び荷重受け部60,70から構成されている。なお、摺動部40が載置部20の両端部に相当する。
各摺動部40は、各ガイドレール10に対して、ガイドレール10の長手方向に沿って摺動自在に設けられている。ここでは、各摺動部40は、2列計4個の車輪41を有した台車42として構成されている。そして、一方の列の車輪41がガイドレール10の外側のコの字のレール上を、他方の列の車輪がガイドレール10の内側のコの字のレール上を転動することにより、摺動部40がガイドレール10に沿って摺動自在となっている。
さらに、各摺動部40は、各車輪41の下方にそれぞれ位置するガイドローラ43を備えており、このガイドローラ43が、ガイドレール10の上記コの字状のレールのコの字状の内方に位置してガイドしている。これにより、各摺動部40は、位置ずれせずにガイドレール10に沿って摺動可能となっている。
載置部20は、ここでは、2つの摺動部40、各摺動部40の内側にそれぞれ接続される第1の荷重受け部60、第1の荷重受け部60の内側にそれぞれ接続される載置部本体50、これら載置部本体50の内側にそれぞれ接続される第2の荷重受け部70、及びこれら第2の荷重受け部70の間に接続され、中央に位置する載置部本体50を備えている。
なお、載置部20の構成はこれに限定されず、例えば、載置部本体50やここでは第1及び第2の荷重受け部60,70からなる荷重受け部の個数などはこれに限定されない。また、これらを一体化して構成してもよい。
各装置部本体50は、アルミニウムや鉄鋼などの素材からなるH型材などの棒材を用いて構成された水平方向を長手方向とする枠体51を有し、この枠体51の上面にエキスパンドメタルなどの金属板などからなる載置板52が固定されている。この載置板52の上面が、法面ブロックBが載置される載置面21となっている。
載置面21は、法面ブロックBが少なくも1つ載置可能であり、好ましくは複数個のブロックBを載置可能であるだけの広さを有している。載置面21は、例えば、幅が数m、奥行きが1m程度となっている。そして、2本のガイドレール10の間隔L内に法面Aに水平方向に一列に積み上げられる全ての法面ブロックBが、何れかの載置部本体50の載置面21に載置されるだけの広さを載置面21が有することが好ましい。
1個の法面ブロックBの重量は例えば10~30kgであり、例えば、このような法面ブロックBが数個から20個など載置面21に載置可能な強度を載置部本体50は有している。なお、各載置部本体50が備える載置面21の広さは同じであってもよく、相違していてもよい。
各第1の荷重受け部60は、アルミニウムや鉄鋼などの素材からなる棒材から構成された枠体61を有し、この枠体61が摺動部40にそれぞれ固定されている。ここでは、摺動部40の台車42と摺動部40の枠体61とは固定板62を介在してボルトなどを用いて固定されている。そして、第1の荷重受け部60の枠体61と載置部本体50の枠体51とはボルトなどを用いて直接的に固定されている。
各第1の荷重受け部60は、枠体61に回転自在に設けられた2個の第1のローラ63を備えている。第1のローラ63は、それぞれの回転軸は水平方向に延びており、上下方向に間隔をあけて平行に並設されている。
各第2の荷重受け部70は、アルミニウムや鉄鋼などの素材からなる棒材から構成された枠体71を有し、この枠体71が荷重本体部50にそれぞれ固定されている。第2の荷重受け部70の枠体71と載置部本体50の枠体51とはボルトなどを用いて直接的に固定されている。
各第2の荷重受け部70は、枠体71に回転自在に設けられた4個の第2のローラ72を備えている。第2のローラ72は、それぞれの回転軸は水平方向に延びており、上下方向に間隔をあけて2個ずつ近接して平行に並設されている。
第1及び第2のローラ63,72は、載置面21に載置された複数個の法面ブロックBによる荷重を支持するための支持部材であり、大きな耐荷重性能を有することが好ましい。そこで、特に第2のローラ72は、軸受けにローラベアリングを使用し、外周にウレタンなどの高強度樹脂を直接焼き付けてなる高荷重ローラを用いることが好ましい。また、このようなローラを用いることにより、法面ブロックBの傷付きを抑制することが可能となる。
さらに、第2の荷重受け部70においては、第2のローラ72は4個存在し、これら4個の第2のローラ72は第1のローラ63と比較して幅広のものが用いられている。これにより、1個の第2のローラ72が法面ブロックBの凹部に落ち込んでも、他の3個の第2のローラ72が法面ブロックBの凸部との接触が維持されることにより、載置部20の撓みなどの変形を抑制し、載置部20の滑らかな昇降が図られる。なお、第1又は第2の荷重受け部60,70の枠体61,62の上面に法面ブロックBが載置可能なように載置板を設けてもよい。
昇降手段30は、載置部20を2本のガイドレール10に沿って昇降させる。ここでは、昇降手段30として、2台の巻き上げ機(ウインチ)31が用いられているが、これに限定されない。
各巻き上げ機31は、それぞれガイドレール31の上部に設置されている。巻き上げ機31は、ガイドレール10とは別個にアンカーなどを用いて地盤に固定されていることが好ましい。これにより、ガイドレール10に作用する応力が軽減でき、ガイドレール10の軽量化を図ることが可能となる。ただし、巻き上げ機31はガイドレール10に固定されていてもよい。巻き上げ機31は、既存品を用いればよい。
各巻き上げ機31にはワイヤ32の端部が接続されており、このワイヤ32は摺動部40の枠体41に設置されたプーリ44を介して、他端が巻き上げ機31又はガイドレール10の上端部に固定されている。これにより、巻き上げ機31がワイヤ32を巻き上げると摺動部40がガイドレール10に沿って上昇し、巻き上げ機31がワイヤ32を巻き出すと摺動部40がガイドレール10に沿って下降する。なお、巻き上げ機31と摺動部40との接続はこれに限定されず、例えば、ワイヤ32の他端を摺動部40の枠体41に固定するものであってもよい。
そして、2台の巻き上げ機31の巻き上げ作動を同時に開始させると、載置部20がガイドレール10に沿って位置ずれなく上昇する。2台の巻き上げ機31の巻き出し作動を同時に開始すると、載置部20がガイドレール10に沿って位置ずれなく下降する。載置部20の昇降速度は、例えば、1m/秒~10m/秒である。
2台の巻き上げ機31の作動の開始又は停止は、各巻き上げ機31に設置されている作動ボタンなどを2人の作業者が同時に操作してもよいし、各巻き上げ機31の2台のリモコンなどを1人の作業が同時に操作してもよい。また、2台の巻き上げ機31を同時に作動する制御装置などを設けてもよい。
以下、上述した搬送装置100を用いて法面ブロックBを積み上げる方法について図4も参照して説明する。
まず、間隔Lを開けて上下方向に平行に延びるように2本のガイドレール10を法面Aに設置するガイドレール設置工程(S1)を行う。このとき、法面Aに積み上げるべき最下列の法面ブロックBは予め積み上げておくことが好ましい。また、搬送作業が左程大変でなければ、法面Aに積み上げるべき下から2列などの法面ブロックBも予め積み上げておいてもよい。
次に、載置部20及び昇降手段30を設置して搬送装置100を完成させる載置部設置工程(S2)を行う。この載置部設置工程(S2)後に、法面Aに積み上げるべき最下列の法面ブロックBなどを積み上げてもよい。
次に、載置本体部50の載置面21に複数個の法面ブロックBを載置する法面ブロック載置工程(S3)を行う。法面ブロックBの載置作業は、作業員が手作業で行っても、レッカー車などの移動クレーンなどを用いて行ってもよい。
ここでは、2本のガイドレール10間の間隔Lにわたって法面に1列に積み上げられるべき全ての法面ブロックBを載置面21に載置することが好ましい。ただし、間隔Lにわたって2列以上に積み上げられるべき法面ブロックB、又は間隔Lにわたって1列に積み上げられるべき法面ブロックBの一部のみを載置面21に載置してもよい。
次に、載置部20を2本のガイドレール10に沿って上昇させる載置部上昇工程(S4)を行う。2台の巻き上げ機31を同時に作動することにより、載置面21に載置されている法面ブロックBの設置位置の近傍に載置面21が位置するように、載置部20を上昇させて停止させる。
次に、載置部本体50の載置面21に載置されている法面ブロックBを法面A上に降す法面ブロック降し工程(S5)を行う。法面ブロックBの載置作業は、作業員が手作業で行えばよい。
次に、降した法面ブロックBを法面A上に積み上げる法面ブロック積み上げ工程(S6)を行う。法面ブロックBの積み上げ作業は、作業員が手作業で行えばよい。法面ブロックBを設置位置の近傍に降すことができるので、法面ブロックBを移動させる手間の削減を図ることが可能となる。
次に、載置部20を2本のガイドレール10に沿って下降させる載置部下降工程(S7)を行う。2台の巻き上げ機31を同時に作動することにより、載置部20を当初の下部にまで下降させて停止させる。
その後、法面Aに所定の高さまで法面ブロックBの積み上げが完了するまで(S8:YES)、法面ブロック載置工程(S3)から載置部下降工程(S7)を繰り返し行う。
そして、法面ブロックBの積み上げが完了したら、最後に搬送装置100を解体する解体工程(S9)を行い、作業が終了する。
以上説明したように、搬送装置100を用いることにより、法面ブロックBを複数個水平方向に並べて載置面21に載置することができる。これにより、法面Aに水平方向に並べて積み上げられる複数個の法面ブロックBを設置位置の近傍まで、載置部20の1回の上昇によってまとめて搬送し、まとめて降すことができる。よって、上記特許文献2に記載されたように法面ブロックを1個ずつ降す場合と比較して、搬送作業の効率向上を図ることが可能である。
なお、本発明は、上述した搬送装置100に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
10…ガイドレール、 11…支台、 20…載置部、 21…載置面、 30…昇降手段、 31…巻き上げ機、 32…ワイヤ、 40…摺動部(載置部の両端部)、 41…車輪、 42…台車、 43…ガイドローラ、 44…プーリ、 50…載置部本体、 51…枠体、 52…載置板、 60…第1の荷重受け部、 61…枠体、 62…固定板、 63…第1のローラ、 70…第2の荷重受け部、 71…枠体、 72…第2のローラ、 100…法面ブロックの搬送装置、 A…法面、 B…法面ブロック。

Claims (2)

  1. 法面に積み上げる法面ブロックを搬送する装置であって、
    間隔を開けて互いに平行に上下方向に延びるように前記法面に設置される2本のガイドレールと、
    前記2本のガイドレールに水平方向にわたるように設けられ、前記法面ブロックを複数個水平方向に並べて載置することが可能な載置面を有し、前記2本のガイドレールに両端部がそれぞれ上下動自在に案内される載置部と、
    前記載置部を前記2本のガイドレールに沿って昇降させる昇降手段とを備え
    前記載置部は、水平方向に延びる回転軸を中心として回転自在であって、前記法面に積み上げられた前記法面ブッロクと接触するローラを複数個有することを特徴とする法面ブロックの搬送装置。
  2. 前記ローラは、外周がウレタンからなることを特徴とする請求項1に記載の法面ブロックの搬送装置。
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