JP7356840B2 - 表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体とその製造方法 - Google Patents
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図1及び図2に示す本発明の一実施形態に係る表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体10は、ハニカムコア11と、ハニカムコア11の両面に積層一体化された表面材21とからなり、表面に凹18と凸19が賦形され、ハニカムコア11と表面材21との接着強度(表面材の剥離強度)が高いものである。
なお、凸19は凹18の隣の部分であり、表面に凹18が形成されることによって、凹18の隣の部分が相対的に高くなって凸19を構成する。
さらに、表面の凹凸は、片面に限られず両面に設けたり、両面で同一又は異なる凹凸としてもよい。
ハニカムコア11の材質としては、紙、金属、樹脂、セラミック、アラミド繊維シート等を挙げることができるが、表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体10の製造時に、ハニカムコア11を厚み方向に潰して凹凸を形成し易くするためにアルミニウム(アルミハニカム)が好ましい。また、ハニカムコア11のセルサイズ(目開き)dは、小さすぎるとハニカムコア11の重量が増大して重くなったり、ハニカムコアを厚み方向に潰し難くなって凹凸の賦形が困難になったりする。一方、ハニカムコア11のセルサイズ(目開き)dが、大きすぎると表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体10の強度低下や表面材21の窪みの原因となる。このため、ハニカムコア11のセルサイズ(目開き)dは、1/32~1/1インチの範囲が好ましく、1/32~1/2インチがより好ましい。また、ハニカムコア11の高さ(厚み)は、低すぎると嵩の割に重くなり、高すぎるとハニカムコア11の強度低下を生じることから、2~150mmの範囲が好ましい。また、ハニカムコア11の壁の厚みは、厚すぎるとプレス成形時につぶれず、形状を形成しにくくなることから、2mm以下が好ましい。
表面材21の厚みは、窪みなどの自然変形を防ぐため及び軽量性のため、各側で0.2~3.0mmが好ましい。
炭素繊維体23は、軽量及び高剛性に優れるものであり、特に、繊維が一方向のみではない織り方のもの(織物)が好ましく、例えば、縦糸と横糸で構成される平織、綾織、朱子織及び3方向の糸で構成される三軸織などが好適である。また、炭素繊維体23は、熱硬化性樹脂の含浸及び剛性の点から、繊維重さが90~400g/m2のものが好ましい。
多孔質シートの厚みは、薄すぎるとハニカムコア11の食い込みできなくなり。一方、厚すぎると重くなり、また熱硬化性樹脂のハニカムコア11への染み出しが不十分となり、接着強度の増大が効果的でなくなるため、0.5~2mmが好ましい。
凹凸が賦形されたハニカム積層体10の製造方法は、含浸工程、積層工程、圧縮加熱賦形工程とからなる。
含浸工程では、炭素繊維体に多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂を含浸させて含浸済み表面材用部材を作製する。含浸工程の一例を次に示す。
図3の例では、まず図3の(3-1)に示すように、炭素繊維体23Aに熱硬化性樹脂Fを含浸させて含浸済み炭素繊維体23Bを形成する。炭素繊維体23A及び熱硬化性樹脂Fは、前記ハニカム積層体10において説明した炭素繊維体及び熱硬化性樹脂と同じである。含浸時に用いる熱硬化性樹脂Fは、未硬化の液状からなる。
また、上記の実施形態の説明では、複数の平行な凹を表面に形成する場合を示したが、井桁状に凹を形成したり、円形や波形等の曲線状にしたりしてもよい。さらに、ハニカム積層体の片面にのみ凹凸を賦形した例を示したが、ハニカム積層体の両面に凹凸賦形してもよい。その場合、プレス成形用下型の型面と上型の型面の両方に、凹部賦形用の凸部を設ける。
また、ハニカムコアの壁部を潰す程度を部分的に異ならせて、ハニカム積層体の表面に賦形される凹部の深さを部分的に異ならせることにより、凹部の深さが異なる凹凸を形成してもよい。その場合、プレス成形用型の型面の凹部賦形用の凸部は、部分的に高さを変化させる。
また、多孔質シート有りプレグを用いた実施例1では、多孔質有りプリプレグの多孔質シートにアルミハニカムが食い込み、該食い込み位置で明確にフィリップが形成されていた。
一方、多孔質シート有りプレグを用いていない実施例2では、多孔質無しプリプレグとアルミハニカムが当接して熱硬化性樹脂が硬化しており、当接部にはフィリップがほとんど形成されていなかった。
さらに、表面材の多孔質シートにハニカムコアが食い込んで、多孔質シートから滲出した熱硬化性樹脂が硬化している構成とすることにより、フィレットを良好に形成し、ハニカムコアと表面材との接着強度(剥離強度)を良好なものにできる。
10A 圧縮加熱用積層体
11、11A ハニカムコア
13 壁
13A 表面の凹の部分に位置する壁
17 フィレット
18 凹
19 凸
21 表面材
23、23A 炭素繊維体
23B 含浸済み炭素繊維体
25、25A 多孔質シート
27 表面材用部材
27A 含浸済み表面材用部材
31 プレス成形用下型
32 プレス成形用上型
35 凹部賦形用凸部
Claims (12)
- ハニカムコアの両面に表面材が積層されて少なくとも一側の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体であって、
前記ハニカムコアは、アルミハニカムからなり、
前記表面材は、熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり、
前記表面の凹の位置では、前記ハニカムコアが厚み方向に潰されていることを特徴とする表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体(ただし、内部に中空状のセルを有する板状のハニカム体と、前記ハニカム体の前記セルの開口を塞ぐように設けられた面材と、前記ハニカム体の前記中空状のセル内部に充填された熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂が充填されたハニカム体の一部が押し潰されることで形成されたヒンジ部と、前記面材の外側に前記ヒンジ部に跨って設けられたヒンジシートと、前記ヒンジシートに開けられた開口部と、を有する、車両用ボード構造体を除く)。 - ハニカムコアの両面に表面材が積層されて少なくとも一側の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体であって、
前記ハニカムコアは、アルミハニカムからなり、
前記表面材は、熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり、
前記表面の凹の位置では、前記ハニカムコアが厚み方向に潰されており、
前記表面材は、炭素繊維体に多孔質シートが積層された表面材用部材に熱硬化性樹脂が含浸硬化したものからなり、
前記表面材と前記ハニカムコアは、前記多孔質シートと前記ハニカムコアが当接し、
前記多孔質シートと前記ハニカムコアとの当接位置では、前記多孔質シート内に前記ハニカムコアが食い込んで前記多孔質シートから滲出した熱硬化性樹脂が硬化していることを特徴とする表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体。 - 前記多孔質シートの厚みが0.5~2mmであることを特徴とする請求項2に記載の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体。
- 前記多孔質シートは発泡体または不織布からなることを特徴とする請求項2または3に記載の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体。
- 前記発泡体の密度が5~100kg/m3であり、前記不織布の目付が2~200g/m2であることを特徴とする請求項4に記載の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体。
- 前記ハニカムコアのセルサイズが1/32~1/1インチであることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体。
- ハニカムコアの両面に表面材が積層されて少なくとも一側の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体(ただし、内部に中空状のセルを有する板状のハニカム体と、前記ハニカム体の前記セルの開口を塞ぐように設けられた面材と、前記ハニカム体の前記中空状のセル内部に充填された熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂が充填されたハニカム体の一部が押し潰されることで形成されたヒンジ部と、前記面材の外側に前記ヒンジ部に跨って設けられたヒンジシートと、前記ヒンジシートに開けられた開口部と、を有する、車両用ボード構造体を除く)の製造方法において、
前記ハニカムコアはアルミハニカムからなり、
表面材用部材に熱硬化性樹脂を含浸させて含浸済み表面材用部材を得る含浸工程と、
前記ハニカムコアの両面に前記含浸済み表面材用部材を配置して圧縮加熱用積層体を得る積層工程と、
型面に凸部を有するプレス成形用型を用いて前記圧縮加熱用積層体を圧縮、加熱することにより、前記型面の凸部で前記ハニカムコアを厚み方向に潰し、該ハニカムコアの潰れた部分で前記圧縮加熱用積層体の表面に凹を形成して該凹の部分とその隣の部分とからなる凹凸に賦形し、前記含浸済み表面材用部材内の熱硬化性樹脂、及び前記含浸済み表面材用部材から滲出した熱硬化性樹脂を硬化させ(ただし、熱硬化性樹脂を発泡させてハニカム体の中空部に充填させる場合を除く)、前記ハニカムコアと前記表面材用部材から形成した前記表面材とを一体化する圧縮加熱賦形工程と、
を有することを特徴とする表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体の製造方法。 - ハニカムコアの両面に表面材が積層されて少なくとも一側の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体の製造方法において、
前記ハニカムコアはアルミハニカムからなり、
表面材用部材に熱硬化性樹脂を含浸させて含浸済み表面材用部材を得る含浸工程と、
前記ハニカムコアの両面に前記含浸済み表面材用部材を配置して圧縮加熱用積層体を得る積層工程と、
型面に凸部を有するプレス成形用型を用いて前記圧縮加熱用積層体を圧縮、加熱することにより、前記型面の凸部で前記ハニカムコアを厚み方向に潰し、該ハニカムコアの潰れた部分で前記圧縮加熱用積層体の表面に凹を形成して該凹の部分とその隣の部分とからなる凹凸に賦形し、前記含浸済み表面材用部材内の熱硬化性樹脂、及び前記含浸済み表面材用部材から滲出した熱硬化性樹脂を硬化させ、前記ハニカムコアと前記表面材用部材から形成した前記表面材とを一体化する圧縮加熱賦形工程と、
を有し、
前記表面材用部材は、炭素繊維体に多孔質シートが積層されたものからなり、
前記含浸工程は、前記表面材用部材に前記熱硬化性樹脂を含浸させて含浸済み表面材用部材を形成し、
前記積層工程は、前記ハニカムコアの両面に、前記含浸済み表面材用部材を、前記多孔質シートが前記ハニカムコアと当接するように配置して圧縮加熱用積層体を形成し、
前記圧縮加熱賦形工程は、前記型面に凸部を有するプレス成形用型を用いて前記圧縮加熱用積層体を圧縮、加熱することにより、前記型面の凸部で前記ハニカムコアを厚み方向に潰し、該ハニカムコアの潰れた部分で前記圧縮加熱用積層体の表面に凹を形成して該凹
の部分とその隣の部分とからなる凹凸に賦形すると共に、前記多孔質シートに前記ハニカムコアを食い込ませ、該食い込んだ部分で前記多孔質シートから前記熱硬化性樹脂を滲出させ、該滲出した前記熱硬化性樹脂及び前記表面材用部材内の前記熱硬化性樹脂を硬化させ、前記ハニカムコアと前記含浸済み表面材用部材から形成した前記表面材とを一体化する、
ことを特徴とする表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体の製造方法。 - 前記多孔質シートの厚みが0.5~2mmであることを特徴とする表面に凹凸が賦形された請求項8に記載の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体の製造方法。
- 前記多孔質シートは発泡体または不織布からなることを特徴とする請求項8または9に記載の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体の製造方法。
- 前記発泡体の密度が5~100kg/m3であり、前記不織布の目付が2~200g/m2であることを特徴とする請求項10に記載の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体の製造方法。
- 前記ハニカムコアのセルサイズが1/32~1/1インチであることを特徴とする請求項7から11の何れか一項に記載の表面に凹凸が賦形されたハニカム積層体の製造方法。
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