JP7355668B2 - 構造材、環状体及び構造物 - Google Patents
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Description
構造材の構成について説明する。
図1、図2に示すように、構造材1は、建築構造物や土木構造物の構築に用いられる建材である。
構造材1は、例えば、一枚の鋼板にロール成形やプレス成形等を施すことにより、板厚方向に凹凸する形状に成形されている。
構造材1は、第1の底部11と、第2の底部12と、壁部13と、フランジ部14と、を備えている。構造材1は、一枚の鋼板から形成されていることから、第1の底部11、第2の底部12、壁部13及びフランジ部14は、連続して一体に形成されている。
第1の底部11は、ロール成形時にローラによって鋼板の厚さ方向に湾曲形成されている。第1の底部11は、構造材1の幅方向Bに平行に延在する平坦面を有している。第1の底部11は、構造材1の幅方向Bに沿って間隔をあけて、複数、例えば、三つ形成されている。三つの第1の底部11のうち、構造材1の幅方向端部に位置する二つの第1の底部11は、幅方向中央の第1の底部11よりも幅が狭くなるように形成されている。第1の底部11は、長さ方向L全域にわたって連続するように形成されている。
第2の底部12は、ロール成形時にローラによって鋼板の厚さ方向であって、第1の底部11とは反対方向に湾曲形成されている。第2の底部12は、構造材1の幅方向Bにおいて、隣接する第1の底部11間に形成されている。第2の底部12は、構造材1の幅方向Bに平行に延在する平坦面を有している。すなわち、第1の底部11及び第2の底部12の面方向は、互いに平行となるように形成されている。第2の底部12は、構造材1の幅方向Bに沿って間隔をあけて、少なくとも一つ、例えば、二つ形成されている。隣接する第1の底部11間の間隔は、第2の底部12の幅方向における長さよりも大きくなっている。第2の底部12は、長さ方向L全域にわたって連続するように形成されている。
壁部13は、互いに隣接する第1の底部11の端部と第2の底部12の端部同士を連結する。隣接する第1の底部11間の間隔は、第2の底部12の幅方向Bにおける長さよりも大きくなっていることから、壁部13の壁面は、第1の底部11及び第2の底部12の面方向に対して直交する方向(構造材1の高さ方向H)に対して傾斜している。したがって、第1の底部11の間には、第2の底部12と壁部13とによって囲まれる略台形状の空間Sが形成されている。この空間Sは、第1の底部11から第2の底部12に向かうにつれて徐々に狭くなるように形成されている。
フランジ部14は、幅方向両端にある第1の底部11に連続して形成されている。フランジ部14の高さh1は、第1の底部11と第2の底部12との間に納まるように形成されている。すなわち、図2に示すように、第1の底部11から第2の底部12までの高さh2は、フランジ部14の高さh1よりも高くなるように形成されており、第2の底部12は、フランジ部14の先端よりも外側に突出している。なお、フランジ部14の高さh1、及び、第1の底部11から第2の底部12までの高さh2は、共に従来のライナープレートのフランジ部の高さ及び波板部の高さよりも高くなるように形成されており、剛性が高められている。
フランジ部14は、傾斜部15と、立設部16と、を備えている。
傾斜部15は、構造材1の幅方向B各端部における第1の底部11の端部に連続して形成されている。傾斜部15は、第1の底部11から第2の底部12に向けて、構造材1の幅方向B外側に向かって傾斜するように形成されている。傾斜部15は、どのような角度で傾斜していてもよいが、例えば、第1の底部11の面に対して45°の角度をなすように傾斜していることが好ましい。傾斜部15が第2の底部12側に傾斜することで上方に形成される空間Pは、構造材1を積み重ねた際に上方に積み重ねた構造材1のフランジ部14の立設部16の一部を収容する収容部として機能する。すなわち、第1の底部11の面の延長仮想面と、傾斜部15の傾斜面とに挟まれて形成される空間Pは、立設部16を収容することにより、構造材1の積み重ね高さを低く抑えることができる。
立設部16は、傾斜部15の先端(第1の底部11に連結されていない方の端部)から連続して、構造材1の高さ方向Hに沿って延在するように形成されている。立設部16は、その先端が第2の底部12の面と面一となる位置に到達しない位置までしか形成されていない。立設部16には、構造材1同士を連結する連結具(例えば、ボルト及びナット)が挿通される孔16aが構造材1の幅方向Bに沿って貫通するように形成されている。
なお、第1の底部11及び第2の底部12と壁部13との境界、第1の底部11と傾斜部15との境界、傾斜部15と立設部16との境界は、滑らかに湾曲するようにRが形成されている。
図3、図4に示すように、環状体2は、複数の構造材1をその長さ方向に連結して環状に構成したものである。図5に示すように、構造体3は、複数の環状体2をその軸線方向に連結して構成したものである。
環状体2は、例えば、軸線方向から見た場合に、矩形状に形成されている。環状体2は、隣接する環状体2の連結部分が軸線方向に重ならないように、図3に示す環状体2aと図4に示す環状体2bとが千鳥状に交互に連結されて構造物3が構築される。
環状体2a,2bは、何種類かの異なる長さに形成された複数の構造材1をその長さ方向(長手方向)に連結することによって構成されている。ここで、構造材1における長さ方向の両端部には、連結するための連結具を挿通する孔が形成されたフランジ板fが溶接等によって接合される。フランジ板fは、製造ラインでの省スペース化を図った効率的な積み重ねによる保管のため、ロール成形による製造時には設けられておらず、構造材1を連結して環状体2a,2bを構築する際に、構造材1にフランジ板fを接合する。
環状体2aと環状体2bは、同じ数の構造材1を用いて構成されているが、矩形状の角部を形成する構造材1は、軸線方向に積み重ねた際に、同じ大きさの構造材1が千鳥状に配置されている。より具体的には、図3~図5に示すように、環状体2aの構造材1a,1bと環状体2bの構造材1a,1bとが軸線方向において交差するように配置されている。なお、環状体2a,2bを構成する構造材1aと構造材1bは、継板jを用いて溶接等によって接合されている。他の角部においても同様である。
図5に示すように、構造物3は、環状体2aと環状体2bとが軸線方向に沿って交互に連結されることにより構成されている。なお、構造物3は、環状体2aと環状体2bを一段ずつ交互に連結することが好ましいが、複数段ずつ交互に連結してもよい。
ここで、図6(a)は、従来のライナープレート50及び補強材60を用いた構造物70の断面図であり、図6(b)は、上記の構造材1を用いた構造物3の断面図である。
図6(a)に示すように、従来の構造物70において、地中の深い位置では、構造物70にかかる土圧も大きいため、ライナープレート50だけでは十分な強度を保つことができないので、構造物70の軸線方向に比較的短い間隔で補強材60が連結されている。補強材60は、例えば、H形鋼を環状に連結して構成した環状体であり、ライナープレート50の環状体よりも強度が高くなっている。また、地中の浅い位置では、構造物70にかかる土圧も小さくなるので、補強材60を設ける間隔を広げることができる。
これに対して、図6(b)に示すように、構造物3においては、構造材1が十分な強度を有しているため、土圧の大きな地中の深い位置においても、構造材1を連結した環状体2を軸線方向に積み重ねて連結するだけでよく、環状体2の間に補強材を設ける必要はない。これにより、構造体3の施工効率を大幅に向上させることができる。
また、第1の底部11から第2の底部12までの高さh2は、フランジ部14の高さh1よりも高くなっているので、構造材1を製造ラインでロール成形によって成形した後、搬出前に積み重ねて保管する際には、図7に示すように、下方にある構造材1cにおける第1の底部11間に形成された空間Sに、上方から構造材1dの第2の底部12を嵌め込み、フランジ部14の立設部16を傾斜部15の上方に形成された空間Pに収容する。これにより、対向する構造材1cの壁部13に構造材1dの壁部13が接触し、構造材1cの傾斜部15に構造材1dの立設部16の先端が接触する。したがって、構造材1cに形成された空間Sに構造材1dが収容された高さ分だけ積み重ね高さを減じることができる。よって、限られたスペース内に多くの構造材1を積み重ねることができる。
また、図7に示すように、積み重ねられた構造材1は、フランジ部14の立設部16と傾斜部15とが嵌り合った状態で接触するだけでなく、壁部13同士も嵌り合った状態で接触するので、構造材1の幅方向の移動が規制され、安定した状態で構造材1を積み重ねることができる。
また、壁部13が傾斜していることにより、空間Sは、第1の底部11から第2の底部12に向かうにつれて徐々に狭くなるように形成されているので、両構造材1が嵌り合うことで、摩擦力で互いにしっかりと保持することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更することができる。
例えば、環状体、構造体は、軸線方向から見た際に矩形状に形成するものに限らず、円形状、楕円形状、長円形状、多角形状に形成してもよく、これらの形状に合わせて構造材の形状、大きさを変更すればよい。また、構造材は、平面視した際に矩形状に形成するものに限らず、円形状、楕円形状、長円形状、多角形状に形成してもよい。さらには、構造材を湾曲させたり、略L字状、略C字状に屈曲させて形成してもよい。
また、構造材1は、第1の底部及び第2の底部の大きさ、数量は構造材としての強度を発揮するものであれば自由に変更可能である。また、フランジ部14の傾斜部15の傾斜角は、フランジ部14の立設部16を収容できる空間Pが確保され、その結果、構造材1を積み重ねた際に積み重ね高さを減らすことができる構成であれば変更可能である。また、壁部13の傾斜角は、構造材1を積み重ねた際に、空間Sに第2の底部12を収容すると共に壁部13同士の接触により構造材1のがたつきを防止できるものであれば変更可能である。
また、図6(b)においては、従来のライナープレートによる土留壁の構築において補強材(補強リング)が必要となる土圧が高い位置に構造材1を用いた環状体2を配置し、土圧が低い位置にはライナープレートで土留壁を構築する構成としたが、構造体3にライナープレートを用いることなく、構造材1を用いた環状体2のみで構成してもよい。
2,2a,2b 環状体
3 構造物
11 第1の底部
12 第2の底部
13 壁部
14 フランジ部
15 傾斜部
16 立設部
16a 孔
h1 フランジ部の高さ
h2 第1の底部から第2の底部までの高さ
Claims (6)
- 複数の第1の底部と、
隣接する前記第1の底部間に形成された少なくとも一つの第2の底部と、
前記第1の底部と前記第2の底部を連結する壁部と、
幅方向両端にある前記第1の底部に連続するフランジ部と、を備え、
前記フランジ部は、
前記第1の底部から前記第2の底部に向けて幅方向外側に向かって傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の先端から連続して高さ方向に延在し、連結具が挿通される孔が形成された立設部と、
を備え、
前記第1の底部から前記第2の底部までの高さは、前記フランジ部の高さよりも高いことを特徴とする構造材。 - 前記第1の底部及び前記第2の底部の面方向は、互いに平行であることを特徴とする請求項1に記載の構造材。
- 前記壁部は、前記第1の底部及び前記第2の底部の面方向に対して直交する方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造材。
- 隣接する前記第1の底部間の間隔は、前記第2の底部の幅方向における長さよりも大きいことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の構造材。
- 請求項1から4までのいずれか一項に記載の構造材が環状に連結されていることを特徴とする環状体。
- 少なくとも一部において、請求項5に記載の環状体が軸線方向に連結されていることを特徴とする構造物。
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