JP7355280B1 - 抵抗スポット溶接継手およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

抵抗スポット溶接継手およびその製造方法の提供を目的とする。本発明の抵抗スポット溶接継手は、2枚以上の鋼板のうち少なくとも1枚の鋼板の引張強度が980MPa以上であり、鋼板組織における焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計値が最も高い値Xmaxとなる鋼板側に形成された抵抗スポット溶接部の熱影響部内の領域を第1領域とするとき、第1領域の熱影響部組織が面積分率で40%以下のフェライトと、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトのうちから選択された1種または2種以上の残部組織とからなり、かつ、第1領域の幅Dが(1)式を満たす。D≧2.40×exp(-0.025×Xmax)…(1)

Description

本発明は、抵抗スポット溶接継手およびその製造方法に関する。
自動車などの車体の組み立てには抵抗スポット溶接が広く使用されており、1台の車体で数千点に及ぶ抵抗スポット溶接が行われる。抵抗スポット溶接は、2枚以上の鋼板を重ね合わせて板組とし、この板組を上下1対の溶接電極で挟持して加圧しながら通電することによって、鋼板の接合部に所定の大きさのナゲットを形成すると共に鋼板を接合して溶接継手を得るものである。
近年、環境保護の観点から自動車のCO2排出量の低減が要求されている。車体に高強度鋼板を採用して薄肉化することによって、車体の軽量化、すなわち燃費の向上を図っている。しかし、高強度鋼板は一般的に多量のCのみならず種々の合金元素を添加して強度を高めたものであり、水素脆化感受性が大きくなる。また、高強度鋼板を用いてなる溶接継手の溶接部には、冷却過程の熱収縮により引張残留応力が発生する。さらに、鋼板表面のめっき層、鋼板表面の油や水分などから溶接中に溶接金属内に水素が取り込まれたりする場合や、使用環境(例えば酸性環境下)から溶接部へ水素が侵入したりする場合がある。
このように、高強度鋼板を抵抗スポット溶接で溶接すると、得られる溶接継手の溶接部では、溶接時に水素脆化感受性の高い溶接金属内に水素が侵入することによる、遅れ破壊の発生が問題となっている。
このような遅れ破壊を防止する方法として、例えば特許文献1および2が挙げられる。特許文献1には、溶接通電(主通電)直後に加圧力を上昇させると共に電流を減少させることで溶接部の残留応力を制御し、遅れ破壊を防止する技術が開示されている。また、特許文献2には、通電中の加圧力を適切に制御することで溶接時に鋼板表面の油に起因した水素が溶接部に侵入することを抑制し、遅れ破壊を防止する技術が開示されている。
特開2015-93282号公報 特開2020-49541号公報
しかしながら、特許文献1では、遅れ破壊発生の要因となる水素の影響については何ら考慮されていない。また、特許文献2では、溶接時に溶接部に侵入する水素の量を低減できるものの、その後の使用環境下での溶接部への水素侵入については考慮されておらず、これにより溶接後の使用環境下においては遅れ破壊が発生する可能性がある。
そして、高強度鋼板を用いた抵抗スポット溶接では、遅れ破壊を防止するために抵抗スポット溶接部に残存する水素量を低減することが求められる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、溶接時および溶接後の水素侵入環境において、遅れ破壊の発生を防止することが可能な抵抗スポット溶接継手およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、高強度鋼板を用いてなる溶接継手の抵抗スポット溶接部の耐遅れ破壊特性について、鋭意検討を重ねた。
抵抗スポット溶接部の遅れ破壊は、ナゲット端部を起点として発生するケースが多い。そのため、本発明者らは、破壊起点となるナゲットへの水素侵入を抑制することができれば、遅れ破壊の発生を防止することが可能となると考えた。
抵抗スポット溶接部には、溶接中の熱サイクルの影響で種々の溶接部組織が形成される。形成される溶接部組織の形態は、被溶接鋼板の鋼板組織および成分により異なる。被溶接鋼板に高強度鋼板を適用する場合、高強度鋼板においては一般的に、溶融し凝固した後の組織であるナゲットと、該ナゲットと同等もしくはそれ以上の硬さとなる組織の硬化部と、該ナゲット未満の硬さとなる組織の軟化部といった溶接部組織が形成される。溶接部組織における各組織は、それぞれ力学的な特性のみでなく、水素の吸蔵量や透過能においても異なる特性を有する。
抵抗スポット溶接部に侵入した水素は、各組織の吸蔵量および透過能の影響を受けながら拡散し、遅れ破壊発生起点となるナゲット端部に集積することで、遅れ破壊発生の要因となると考えられる。そのため、ナゲット端部への水素の集積量はナゲット内組織の性状のみでなく、熱影響部組織(上述の硬化部および軟化部の組織)の性状によっても変化する可能性がある。
そこで、本発明者らは、熱影響部組織の形成状態が遅れ破壊特性に及ぼす影響について調査を行った。その結果、熱影響部内における最軟化部から母材にかけての領域(すなわち、後述する第1領域)の組織を適切に制御することで、抵抗スポット溶接部の遅れ破壊を防止できることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、要旨は以下のとおりである。
[1] 2枚以上の鋼板が抵抗スポット溶接された抵抗スポット溶接部を有する抵抗スポット溶接継手であって、
前記鋼板のうち、少なくとも1枚の鋼板の引張強度が980MPa以上であり、
前記鋼板のうち、鋼板組織における焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計値X(%)が最も高い値となる鋼板の該合計値X(%)をXmax(%)とし、
前記Xmaxとなる鋼板側に形成された前記抵抗スポット溶接部における熱影響部の最軟化部から母材までの領域を第1領域としたとき、
前記第1領域の熱影響部組織が、面積分率で40%以下のフェライトと、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトのうちから選択された1種または2種以上の残部組織とからなり、
かつ、前記第1領域の幅D(mm)が、(1)式を満たす、抵抗スポット溶接継手。
D≧2.40×exp(-0.025×Xmax) …(1)
[2] 前記鋼板は、(4)式で表されるCeqが0.25%以上である、上記[1]に記載の抵抗スポット溶接継手。
Ceq=C+Si/30+Mn/20+2P+4S …(4)
ここで、(4)式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
[3] 上記[1]または上記[2]に記載の抵抗スポット溶接継手の製造方法であって、
2枚以上の鋼板を重ね合わせて板組とする準備工程と、前記板組を1対の溶接電極で挟持し、加圧しながら通電して抵抗スポット溶接部を形成する抵抗スポット溶接工程と、を備え、
前記抵抗スポット溶接工程は、本通電工程と後通電工程を有し、
前記後通電工程では、電流値Ip(kA)および通電時間tp(ms)が(2)式および(3)式を満たす条件で通電する、抵抗スポット溶接継手の製造方法。
0.4×Im≦Ip≦1.1×Im …(2)
1000-(8×Xmax)≦tp …(3)
ここで、(2)式におけるImは、本通電工程における電流値(kA)であり、(3)式におけるXmaxは、前記鋼板のうち、鋼板組織における焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計値X(%)が最も高い値となる鋼板の該合計値Xの値である。
[4] 前記本通電工程の後に、さらに冷却工程を有し、
前記冷却工程では、20ms以上1000ms以下の間、無通電状態を保持する、上記[3]に記載の抵抗スポット溶接継手の製造方法。
本発明によれば、高強度鋼板の抵抗スポット溶接を行う場合においても、溶接時および溶接後の水素侵入環境において遅れ破壊の発生を防止することが可能な抵抗スポット溶接継手を得ることができる。また、この抵抗スポット溶接継手を得るための製造方法を提供できるので、産業上格段の効果を奏する。
図1は、本発明の一実施形態における抵抗スポット溶接継手を示す断面図と、該抵抗スポット溶接継手の抵抗スポット溶接部のビッカース硬さを示すグラフである。 図2は、本発明の実施例における抵抗スポット溶接の溶接試験体を示す図である。 図3は、本発明の実施例における抵抗スポット溶接継手の硬さの測定位置を説明する断面図である。
以下、各図を参照して、本発明の抵抗スポット溶接継手およびその製造方法について説明する。なお、本発明はこの実施形態に限定されない。
まず、図1を参照して、本発明の抵抗スポット溶接継手について説明する。
図1は、本発明の一実施形態における抵抗スポット溶接継手の板厚方向断面図と、その抵抗スポット溶接継手の抵抗スポット溶接部の特定領域における、ナゲット端部からの距離とビッカース硬さとの関係を示すグラフである。なお、図1には、1例として2枚の鋼板を抵抗スポット溶接した抵抗スポット溶接継手を示す。
本発明の抵抗スポット溶接継手(以下、「溶接継手」と称する。)は、2枚以上の鋼板が抵抗スポット溶接された抵抗スポット溶接部を有する。図1に示すように、抵抗スポット溶接部3は、重ね合わせた鋼板5、6間に形成される。
[鋼板]
<引張強度>
上記の「2枚以上の鋼板」には、少なくとも1枚の鋼板の引張強度が980MPa以上である鋼板(以下、「高強度鋼板」と称する場合もある。)を含む。上述のように、引張強度が980MPa以上の鋼板を用いると、抵抗スポット溶接部(以下、「溶接部」と称する場合もある。)の遅れ破壊が問題になりやすい。引張強度が980MPa以上の鋼板の使用量が多いほど、遅れ破壊時間の問題が生じやすくなるため、本発明の効果は、2枚以上の鋼板のうち半数以上の鋼板の引張強度が980MPa以上の場合に、より顕著に現れる。
<炭素当量>
上記の「2枚以上の鋼板」に用いる鋼板の成分組成は、特に限定されない。しかし、上述のように、高強度鋼板は一般的に多量のCのみならず種々の合金元素を添加して強度を高めたものであり、水素脆化感受性が大きくなることから、遅れ破壊の発生が問題になりやすい。
そこで、本発明では、以下の(4)式で表されるCeq(炭素当量)が0.25%以上である鋼板を用いることが好ましい。
Ceq=C+Si/30+Mn/20+2P+4S …(4)
ここで、(4)式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
(4)式で表される炭素当量が0.25%以上である鋼板は、溶接部の水素脆化感受性が高く、本発明の効果(すなわち、遅れ破壊の発生の防止)をより顕著に得ることができる。炭素当量は、好ましくは0.30%以上とする。本発明では、炭素当量の上限は特に規定しないが、水素脆化感受性が高すぎる鋼板では、本発明の効果が得られにくい場合があるため、炭素当量は0.55%以下とすることが好ましい。
<めっき鋼板>
上記の「2枚以上の鋼板」に用いる鋼板の全て又は一部が、めっき処理されて母材表面にめっき層を有するめっき鋼板であってもよい。めっき鋼板のめっき種としては、例えば、Zn系めっきやAl系めっき系が挙げられる。Zn系めっきとしては、溶融亜鉛めっき(GI)、Zn-Ni系めっき、Zn-Al系めっきなどのめっき層が挙げられる。また、Al系めっきとしては、Al-Si系めっき(例えば、10~20質量%のSiを含むAl-Si系めっき)などのめっき層が例示できる。溶融めっき層は、合金化された合金化溶融めっき層であってもよい。合金化溶融めっき層としては、例えば、合金化溶融亜鉛めっき(GA)層が挙げられる。
なお、本発明では、重ね合わせる鋼板の枚数は2枚以上であれば、枚数の上限は特に限定しない。溶接のしやすさ等を考慮すると、鋼板の枚数は4枚以下が好ましい。
また、上記の「2枚以上の鋼板」の板厚は、特に限定されない。板厚は、例えば0.5mm以上2.0mm以下の範囲内であることが好ましい。板厚がこの範囲内である鋼板は、自動車用部材として好適に使用することができる。
さらに、上記の「2枚以上の鋼板」は、同じでも異なっていてもよい。すなわち、同種および同形状の鋼板を2枚以上用いてもよいし、異種や異形状の鋼板を2枚以上用いてもよい。
以上のような鋼板を2枚以上重ね合わせた板組が抵抗スポット溶接されて、溶接継手が形成される。本発明では、この溶接継手における抵抗スポット溶接部の溶接部組織を、以下に説明するように、適切に制御する。
[抵抗スポット溶接部]
図1に示すように、溶接部3はナゲット1と、ナゲット1の外側に熱影響部2を有する。熱影響部組織には、軟化部と呼ばれる母材以下の硬さとなる領域が存在し、本発明の溶接継手では、この軟化部の組織を、以下に説明するように、適切に制御することが重要である。
上記の「2枚以上の鋼板」(すなわち、重ね合わせた鋼板)のうち、鋼板組織における焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計値X(%)が最も高い値となる鋼板の該X(%)をXmax(%)とする。このXmaxとなる鋼板側に形成された溶接部における熱影響部の最軟化部から母材までの領域を第1領域4とする。この第1領域4の熱影響部組織は、面積分率で40%以下のフェライトと、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトのうちから選択された1種または2種以上の残部組織とからなり、かつ、第1領域4の幅D(mm)が(1)式を満たす。
D≧2.40×exp(-0.025×Xmax) …(1)
ここで、図1を用いて、上記の「熱影響部の最軟化部」および「最軟化部から母材までの領域」を説明する。
まず、「熱影響部の最軟化部」について説明する。
図1に示すように、溶接部3の熱影響部2の最軟化部とは、次の条件で硬さを測定した場合に、熱影響部2内で最も軟らかい部分の硬さとなる位置を指す。
硬さの測定範囲は、ナゲット1および熱影響部2の境界と鋼板合わせ面7との交点をナゲット端部Eとしたとき、ナゲット端部Eとナゲット中央とを通る直線を鋼板(すなわち、上記のXmaxとなる鋼板側)の板厚方向に200μm移動させた直線A上であって、ナゲット端部Eから母材方向に3mmまでの範囲(すなわち、ナゲット端部Eからナゲット1の外側3mmの長さの範囲)を、熱影響部2の硬さの測定範囲(硬さ測定領域8)とする。すなわち、図1に示す太矢印の領域を硬さ測定領域8とする。また、硬さの測定条件は、測定荷重:300g、測定間隔:150μmとし、かつ、JIS Z 2244に記載のビッカース硬さ試験により上記硬さ測定領域8内の硬さの測定を行う。
なお、図1のグラフには、上述と同様の方法で測定した「ナゲット端部Eからナゲット中央方向に1mmまでの範囲」および上記硬さ測定領域8における、ビッカース硬さ(HV)とナゲット端部Eからの距離(mm)の関係を示している。図1のグラフ中、熱影響部内で最も低いビッカース硬さとなる位置が「熱影響部の最軟化部」である。
続いて、「最軟化部から母材までの領域」について説明する。
図1に示すように、熱影響部2の最軟化部から母材にかけての領域が、第1の領域4である。この第1領域4とは、上述の方法で硬さを測定した場合において、最軟化部の打点位置から母材の95%以上の硬さとなる打点位置までの熱影響部2内の領域を指す。また第1領域4の幅Dとは、これら2つの打点位置間の長さを指す。
図1に示す例では、重ね合わせた2枚の鋼板5、6において、上側に配置された鋼板(上鋼板)5と下側に配置された鋼板(下鋼板)6の各鋼板組織の上記X(%)を比較する。具体的には、上鋼板5および下鋼板6における、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計値X(%)を比較し、最も高い合計値Xとなる鋼板を特定する。図1では、下鋼板6の上記合計値XがXmaxとなる例である。よって、下鋼板側に形成された溶接部3における、最軟化部から母材にかけての熱影響部2内の領域(図1中、黒く塗りつぶした熱影響部内の領域)が「第1領域4」となる。
次に、本発明の技術思想について詳細に説明する。
このような溶接部組織の形態が溶接部の遅れ破壊発生を防止できる理由については、現在までに十分には解明されていないが、本発明者らは以下のように考えている。
上述したように、遅れ破壊の破壊起点となるナゲット端部への水素集積挙動はナゲット内の組織だけでなく、熱影響部組織の形成状態も影響を及ぼすと考えられる。ここで、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトと比較して、フェライト組織は水素吸蔵量が小さい。溶接部に侵入した水素はナゲット、熱影響部のどちらにもトラップされるが、熱影響部の水素吸蔵量が多い場合にはより多くの水素が熱影響部にトラップされることとなり、その結果、ナゲット内へトラップされる水素量は少なくなる。
以上のことから、溶接時および溶接後の使用環境下での溶接部への水素侵入を考えた場合、熱影響部の水素吸蔵量が大きいほど、ナゲット内へ侵入する水素の量を少なくすることが可能である。結果的に、破壊起点となるナゲット端部への水素集積を低減することができると考えられる。
すなわち、熱影響部のうち、水素吸蔵量の少ないフェライトの面積分率を小さくし、かつ、水素吸蔵量の多い焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計を大きくした場合に、溶接部の遅れ破壊の抑止効果が高まると考えらる。一方で、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計が比較的小さい場合であっても、その合計面積分率に応じて熱影響部の幅(すなわち、第1領域の幅D)を大きくすることで熱影響部の水素吸蔵量を大きくすることが可能となる。その結果、溶接部の遅れ破壊を防止することができると考えられる。
このような理由から、本発明では、熱影響部のうち、最軟化部から母材までの領域(第1領域)における熱影響部組織およびその幅を制御することが重要となる。
<第1領域の熱影響部組織>
フェライト:面積率で40%以下(0%を含む)
本発明の溶接継手では、第1領域のフェライトの面積分率は40%以下とする。第1領域のフェライトの面積分率が40%を超える場合、第1領域の幅Dを大きくしても水素吸蔵量を大きくすることが難しく、遅れ破壊を抑制する効果が得られない。第1領域のフェライトの面積分率は、より好ましくは35%以下であり、さらに好ましくは30%以下である。
なお、第1領域のフェライトの面積分率の下限は特に規定しない。上述のように、熱影響部の水素吸蔵量は大きいほどより多くの水素が熱影響部にトラップできるため、第1領域のフェライトの面積分率は0%であっても本発明の作用効果は得られる。フェライトの面積分率は、好ましくは0%以上とし、より好ましくは5%以上とする。
残部組織:焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトのうちから選択された1種または2種以上
上述のように、水素吸蔵量の多い焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計を大きくすると、溶接部の遅れ破壊の抑止効果が高まる。このような理由から、残部組織である焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトのうちから選択された1種または2種以上は、面積分率の合計で、60%以上とすることが好ましい。残部組織の面積分率の合計は、より好ましくは70%以上とする。残部組織の面積分率の合計は、100%であってもよい。
<第1領域の幅D>
上述のように、本発明の溶接継手は、熱影響部での水素吸蔵量が大きいため、遅れ破壊の防止に効果を発揮することができる。
このような効果を得るためには、第1領域の熱影響部組織に加えて、第1領域の幅D(mm)が(1)式を満たすことも必要とする。(1)式を満たさない場合、第1領域の幅Dが小さすぎて、熱影響部に多くの水素をトラップする効果が得られにくいためである。第1領域の幅Dは、好ましくはD≧2.80×exp(-0.025×Xmax)とする。
第1領域の幅Dの上限値は特に規定しない。継手強度などの遅れ破壊以外の諸特性の低下を防ぐ観点から、第1領域の幅Dは、好ましくは1.5mm以下とする。
なお、異なる成分組成および引張強度の被溶接鋼板を2枚以上重ね合わせて接合した場合には、溶接継手を構成する各鋼板で異なる熱影響部組織が形成される。この場合の「第1領域の幅D」とは、上記のXmaxとなる鋼板側に形成された溶接部における最軟化部から母材までの領域の幅を指すものとする。
次に、本発明の溶接継手の製造方法の一実施形態について説明する。
本発明の溶接継手は、2枚以上の鋼板を重ね合わせて板組とする準備工程と、板組を1対の溶接電極で挟持し、加圧しながら通電して抵抗スポット溶接部を形成する抵抗スポット溶接工程と、を備える。これにより、重ね合わせた2枚以上の鋼板を接合し、溶接継手を製造する。
[準備工程]
この工程では、2枚以上の鋼板を重ね合わせて板組とする。例えば、図1に示すように、2枚の鋼板5、6を重ね合わせて板組とする。なお、鋼板については、上述しているため説明は省略する。
[抵抗スポット溶接工程]
次いで、抵抗スポット溶接工程を行う。この工程では、板組の下側および上側に配置される1対の溶接電極で上記の板組を挟持し、加圧しながら所定の溶接条件となるように制御して通電を行う。これにより、鋼板5、6の鋼板合わせ面7となる板間に上述の本発明の溶接部3を形成し、鋼板同士を接合することができる(図1を参照)。
上述のように、本発明の溶接部3において、第1領域の熱影響部組織を考慮しつつ、第1領域4の幅Dが(1)式を満たすためには、溶接時における通電(すなわち、抵抗スポット溶接工程における通電)を本通電工程と後通電工程に分け、かつ、後通電工程における電流値Ipおよび通電時間tpを適切に制御することが重要である。
具体的には、抵抗スポット溶接工程は、本通電工程と後通電工程を有し、後通電工程では、電流値Ip(kA)および通電時間tp(ms)が以下の(2)式および(3)式を満たす条件で通電する。
0.4×Im≦Ip≦1.1×Im …(2)
1000-(8×Xmax)≦tp …(3)
ここで、(2)式におけるImは、本通電工程における電流値(kA)であり、(3)式におけるXmaxは、上記鋼板のうち、鋼板組織における焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計値X(%)が最も高い値となる鋼板の該Xの値である。
なお、本発明において、後通電工程における効果をより安定して得たい場合には、本通電工程と後通電工程の間に、冷却工程を有することができる。
<本通電工程>
本通電工程では、上記の板組を1対の溶接電極で挟持し加圧しながら、電流値Imで通電してナゲットを形成する。図1に示す例では、重ね合わせた鋼板5、6(すなわち、板組)を1対の溶接電極(図示せず)で挟持した状態で加圧しながら通電して、抵抗発熱によって板間に必要なサイズのナゲット1を形成する。
本通電工程における電流値および通電時間は、後通電工程後に形成されるナゲット径が目的のナゲット径の範囲となるような溶接条件を、適宜選択することができる。本発明では、板組に上述の鋼板を用いる観点から、本通電工程における抵抗スポット溶接の条件は、電流値Imが3~15kA、通電時間tmが100~1500msの各範囲とすることが好ましい。また、加圧力は、2~10kNとすることが好ましい。
<冷却工程>(任意の工程)
冷却工程を設ける場合には、上述の本通電工程後で、かつ後通電工程の前に、冷却工程を行う。冷却工程によって、本通電工程後の鋼板合わせ面の接触状態および温度分布が安定化し、後通電工程における入熱を安定制御できる。このような作用効果を得るためには、冷却工程では、20ms以上1000ms以下の冷却時間tcの間、無通電状態を保持することが好ましい。冷却時間tcは、より好ましくは40ms以上とする。冷却時間tcは、より好ましくは600ms以下とし、さらに好ましくは400ms以下とし、さらに一層好ましくは100ms以下とする。
<後通電工程>
上述の本通電工程後、後通電工程を行う。冷却工程を設ける場合には、冷却工程後、後通電工程を行う。後通電工程では、第1の領域の幅Dの制御を目的として通電を行う。後通電工程を行わない場合、第1領域の幅Dを確保できない場合がある。そのため、電流値Ip(kA)および通電時間tp(ms)を適切に制御することが重要である。
後通電工程の電流値Ipが、0.4×Im>Ip、または後通電工程の通電時間tpが、1000-(8×Xmax)>tpでは、入熱が足りず、第1領域の幅Dを拡大する効果が得られない場合がある。一方、後通電工程の電流値Ipが、Ip>1.1×Imでは、入熱が大きすぎてナゲットが再溶融し、散りが発生するなどにより入熱が安定せず、第1領域の幅Dを効果的に拡大できない場合がある。
このような理由から、後通電工程の電流値Ipは(0.4×Im)kA以上(1.1×Im)kA以下とし、かつ後通電工程の通電時間tpは(1000-(8×Xmax))ms以上とする。後通電工程の電流値Ipは、好ましくは(0.6×Im)kA以上とし、好ましくは(1.05×Im)kA以下とする。後通電工程の通電時間tpは、好ましくは(1000-(7.5×Xmax))ms以上とする。後通電工程の通電時間tpは、好ましくは2000ms以下とし、より好ましくは1600ms以下とする。
なお、後通電工程における電流値Ipおよび通電時間tpが上記範囲内にあっても、母材の鋼板組織の影響を受けて、第1領域の熱影響部組織を上記数値範囲内に制御できず、それに伴い第1領域の幅Dも大きくなり過ぎることがある。その理由は、第1領域の熱影響部組織が、板組に用いる鋼板の組織(すなわち、母材の鋼板組織)の面積分率の影響を受けるからである。そのため、本発明の効果をより安定して得たい場合には、母材の鋼板組織を所定の組織に調整することが好ましい。例えば、母材の鋼板組織として、板組を構成する鋼板のうち少なくとも一つの鋼板が、面積分率で40%以下のフェライトと、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトのうちから選択された1種または2種以上の残部組織とからなることが好ましい。
後通電工程における加圧力は、上述の作用効果を確保することが可能な条件を適宜選択することができる。後通電工程における加圧力は、1~10kNの範囲とすることが好ましい。
なお、本発明の抵抗スポット溶接方法を実施する装置は、下電極と上電極によって加圧し、且つその加圧力を制御する構成であればよく、この構成は特に限定されない。例えば、エアシリンダやサーボモータ等の機器が使用できる。電流値を制御する構成は特に限定されず、直流、交流のいずれにも本発明を適用できる。交流の場合は、「電流」は「実効電流」を意味する。
また、下電極や上電極の先端の形式も特に限定されない。例えば、JIS C 9304:1999に記載されるDR形(ドームラジアス形)、R形(ラジアス形)、D形(ドーム形)等が挙げられる。各電極の先端径は、例えば4mm~16mmである。曲率半径は例えば10mm~400mmであり、先端が平坦なFlat型電極とすることもできる。
以上の説明では、2枚の鋼板を重ね合わせて抵抗スポット溶接する場合について主に述べたが、本発明は3枚以上の鋼板を重ね合わせて溶接する場合にも同様に適用可能であり、この場合にも上述の作用効果を得ることができる。
以下、本発明の作用および効果について、実施例を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
まず、表1-1に示す炭素当量および板厚となる鋼板を用い、該鋼板を適切な条件で熱処理することにより、鋼板組織の異なる鋼板(表1-1に示す鋼板A~J)をそれぞれ作製した。
次に、得られた鋼板のうち2種を選択し、表1-2に示す順番で鋼板を重ね合わせて板組とした(準備工程)。該板組を1対の溶接電極で挟持し、該溶接電極で加圧しながら、表1-2に示す溶接条件で抵抗スポット溶接を行い、溶接継手を作製した(抵抗スポット溶接工程)。表1-2に示す「加圧力」には、抵抗スポット溶接工程中の加圧力を示した。抵抗スポット溶接は常温で行い、1対の溶接電極を常に水冷した状態で行った。溶接電極は、上電極および下電極ともに、先端の直径(すなわち、先端径):6mm、曲率半径:40mmとし、かつ、クロム銅製のDR形電極とした。溶接にはサーボ式抵抗スポット溶接機を用い、通電の際には直流電源を供給した。
図2には、抵抗スポット溶接の鋼板を重ね合わせた状態の溶接試験体を示した。図2に示す上側の図を溶接試験体の平面図とし、下側の図をその側面図とした。図2に示すように、上記の鋼板から作製した短辺:30mm、長辺:100mmの大きさの2枚の鋼板(すなわち、上鋼板5、下鋼板6)と、厚さ:1.8mm、長辺:30mm、短辺:25mmの大きさの2枚のスペーサ10とを準備した。上鋼板5と下鋼板6との間で、かつ、2枚の鋼板5、6の両端側にそれぞれスペーサ10を挟み込んで溶接試験体とし、溶接試験体中央を表1-2に示す溶接条件で抵抗スポット溶接し、溶接部9を形成した。なお、表1-2に示す溶接条件は、後通電工程後に形成されるナゲット径が3.5√tmmとなるように調整した。当該「t」とは、板組のうち板厚が最小の鋼板の板厚(mm)とした。ここでは、溶接試験体は4体ずつ作製した。
得られた溶接試験体を用いて、溶接部の評価および耐遅れ破壊特性の評価を行った。
(1)溶接部の評価
ここでは、上述した第1領域の幅Dおよび第1領域の熱影響部組織を評価した。
作製した4体の溶接試験体のうち1体は、溶接部の中心をとおるように切断した。図3には、溶接試験体の板厚方向断面図を示した。図3に示すように、ナゲット端部Eとナゲット中央とを通る直線を鋼板の板厚方向に200μm移動させた直線A上で、かつ、ナゲット端部Eからナゲット1の外側3mmの長さの領域(すなわち、図3中の太矢印の領域)を、硬さ測定領域11、12とした。硬さの測定条件は測定荷重:300g、測定間隔:150μmとし、かつ、JIS Z 2244に記載のビッカース硬さ試験によって硬さを測定した。そして、上述のように、最軟化部の打点位置と、母材の95%以上の硬さとなる打点位置とを求め、これら2つの打点位置間の熱影響部内の領域を第1領域とした。また、第1の領域の幅Dを算出した(図1を参照)。得られた値を表2に示した。
第1領域の熱影響部組織の観察は、算出された第1の領域の幅Dの中央の位置でSEM観察を行い、各組織(すなわち、フェライト、残部組織)の面積分率を算出した。残部組織は、各組織の面積分率の合計値を求めた。得られた面積分率および残部組織の種類を表2に示した。
なお、硬さの測定およびSEM観察は、Xmaxとなる鋼板側の熱影響部において実施した。図3に示すように、上鋼板5が「Xmaxとなる鋼板」である場合には上鋼板側に示す太矢印の領域(すなわち、硬さ測定領域11)の硬さの測定とSEM観察を行い、下鋼板6が「Xmaxとなる鋼板」である場合には下鋼板側に示す太矢印の領域(すなわち、硬さ測定領域12)の硬さの測定とSEM観察を行った。
(2)耐遅れ破壊特性の評価
残り3体の溶接試験体は、濃度1.5%のチオシアン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、溶接部に水素を侵入させた後に、遅れ破壊の発生有無を観察した。遅れ破壊の判定については、溶接後にナゲットの剥離(すなわち、接合界面でナゲットが二つに剥離する現象)が目視で観察されたものを、遅れ破壊が発生したものと評価した。一方、このナゲットの剥離が観察されなかったものを、遅れ破壊が発生しなかったと評価した。各条件でn3の試験を行い、観察結果として、表2中の「遅れ破壊の評価」欄に次のように記載した。
n3すべての試験片で遅れ破壊が発生しなかった条件には、記号「〇」を記載した。n2の試験片で遅れ破壊が発生せず、かつn1の試験片で遅れ破壊が発生した条件には、記号「△」を記載した。遅れ破壊が発生しなかった試験片がn1以下であった条件には、記号「×」を記載した。ここでは、記号「〇」および「△」を良好な溶接継手である、と評価した。
Figure 0007355280000001
Figure 0007355280000002
Figure 0007355280000003
表2から明らかなように、本発明例ではn2以上の試験片で遅れ破壊が発生せず、良好な溶接継手を得られた。これに対して、比較例ではn2以下の試験片で遅れ破壊が発生し、良好な溶接継手が得られなかった。
1 ナゲット
2 熱影響部
3 抵抗スポット溶接部
4 第1領域
5 上鋼板
6 下鋼板
7 鋼板合わせ面
8 硬さ測定領域
9 溶接部
10 スペーサ
11、12 硬さ測定領域

Claims (4)

  1. 2枚以上の鋼板が抵抗スポット溶接された抵抗スポット溶接部を有する抵抗スポット溶接継手であって、
    前記鋼板のうち、少なくとも1枚の鋼板の引張強度が980MPa以上であり、
    前記鋼板のうち、鋼板組織における焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計値X(%)が最も高い値となる鋼板の該合計値X(%)をXmax(%)とし、
    前記Xmaxとなる鋼板側に形成された前記抵抗スポット溶接部における熱影響部の最軟化部から母材までの領域を第1領域としたとき、
    前記第1領域の熱影響部組織が、面積分率で40%以下のフェライトと、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトのうちから選択された1種または2種以上の残部組織とからなり、
    かつ、前記第1領域の幅D(mm)が、(1)式を満たす、抵抗スポット溶接継手。
    D≧2.40×exp(-0.025×Xmax) …(1)
  2. 前記鋼板は、(4)式で表されるCeqが0.25%以上である、請求項1に記載の抵抗スポット溶接継手。
    Ceq=C+Si/30+Mn/20+2P+4S …(4)
    ここで、(4)式中の元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示す。
  3. 請求項1または2に記載の抵抗スポット溶接継手の製造方法であって、
    2枚以上の鋼板を重ね合わせて板組とする準備工程と、前記板組を1対の溶接電極で挟持し、加圧しながら通電して抵抗スポット溶接部を形成する抵抗スポット溶接工程と、を備え、
    前記抵抗スポット溶接工程は、本通電工程と後通電工程を有し、
    前記後通電工程では、電流値Ip(kA)および通電時間tp(ms)が(2)式および(3)式を満たす条件で通電する、抵抗スポット溶接継手の製造方法。
    0.4×Im≦Ip≦1.1×Im …(2)
    1000-(8×Xmax)≦tp …(3)
    ここで、(2)式におけるImは、本通電工程における電流値(kA)であり、(3)式におけるXmaxは、前記鋼板のうち、鋼板組織における焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトおよび残留オーステナイトの面積分率の合計値X(%)が最も高い値となる鋼板の該合計値Xの値である。
  4. 前記本通電工程の後に、さらに冷却工程を有し、
    前記冷却工程では、20ms以上1000ms以下の間、無通電状態を保持する、請求項3に記載の抵抗スポット溶接継手の製造方法。
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