JP7480929B1 - 抵抗スポット溶接継手およびその抵抗スポット溶接方法 - Google Patents

抵抗スポット溶接継手およびその抵抗スポット溶接方法 Download PDF

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Abstract

抵抗スポット溶接継手およびその抵抗スポット溶接方法の提供を目的とする。本発明は、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む2枚以上の鋼板が抵抗スポット溶接された抵抗スポット溶接継手であって、高強度鋼板が特定の成分組成を有し、抵抗スポット溶接部の熱影響部内の第1領域の平均硬さHvが、ナゲット中心部の硬さHvmに対して0.85×Hvm>Hvの関係を満たし、かつ、第1領域における粒径100nm以上の炭化物の平均個数密度が、鋼板断面5μm2当たり10個以上である。

Description

本発明は、抵抗スポット溶接継手およびその抵抗スポット溶接方法に関する。
近年、自動車車体には、燃費改善のための軽量化および衝突安全性の確保の観点から、種々の高強度鋼板(ハイテンとも称する)の適用が進められている。また、自動車の組み立てラインにおいては、部材の接合方法として主に抵抗スポット溶接が用いられている。
鋼板の高強度化に伴い、ナゲットおよびHAZが脆化した組織となりやすいことから、溶接部の水素脆化感受性が高くなる。さらに、抵抗スポット溶接では、鋼板表面の防錆油やめっき層などの影響により抵抗スポット溶接部に水素が取り込まれることから、高強度鋼板を用いた抵抗スポット溶接継手では、遅れ破壊が生じやすくなる。
抵抗スポット溶接部の品質を評価する指標として、疲労強度が挙げられる。疲労強度は、鋼板の高強度化に伴って増加するものではない。鋼板の高強度化に伴う高合金化によってナゲットがより硬くなることに起因して、疲労強度は低下する。さらには、抵抗スポット溶接部に低荷重が複数回かかることから、ナゲットの硬さ以外にも、熱影響部あるいはナゲット端部からシートセパレーションまでの硬度、靭性および組織が疲労強度に影響を与えると考えられる。
そこで、本発明では、シートセパレーション近傍の領域に着目し、耐遅れ破壊特性および疲労強度を向上する技術について検討した。
上記の問題を解決する技術として、例えば特許文献1~3が挙げられる。
特許文献1には、高強度鋼板のスポット溶接方法として、引張強さが750~1850MPaであり、かつ、各々の板厚が0.8~3.6mmであるとともに、炭素当量が0.22~0.55質量%の範囲である少なくとも1枚の高強度鋼板を用いて、所定の関係式を満たす加圧力、電流値および通電時間で溶接通電と後通電を行い、次いで電極保持を行うことによって、十字引張強度、疲労強度および耐遅れ破壊性等を向上することが記載されている。
特許文献2には、炭素を0.15質量%以上含み、引張強さが980MPa以上である高強度鋼板を用いて、ナゲットを形成する第1通電工程、第1通電工程に続いて無通電とする冷却工程、冷却工程に続いてナゲットを軟化させる第2通電工程の3工程に分けて、スポット溶接工程を行うスポット溶接方法が開示されている。
特許文献3には、第一加圧力F(kN)で加圧しながら第一電流I(kA)で通電をすることによりナゲット部を形成する主通電工程と、引き続き第二電流I(kA)で通電時間t(ms)の間通電してナゲット部を冷却する後通電工程とを有し、この後通電工程が、後通電工程開始から加圧遅れ時間t(ms)の間第一加圧力F(kN)を維持する第一加圧工程と、第一加圧工程に引き続き第二加圧力F(kN)で加圧する第二加圧工程とを有する抵抗スポット溶接方法が開示されている。
特許第6194765号公報 特許第6107939号公報 特許第6315161号公報
特許文献1では、極短時間の冷却のため、上記の高炭素当量の鋼板では疲労強度を向上させることはできない。そして、特許文献1は、スポット溶接部の靭性向上と引張残留応力の低減が可能になることを記載するだけであり、そのメカニズムについては不明瞭である。これに対し、後述する本発明によれば、板隙部(すなわちシートセパレーション部)の硬さを軟化させることで応力を緩和するメカニズムを利用する技術であることから、特許文献1とは技術的思想が異なると言える。
特許文献2では、第2通電工程において、第1通電工程で形成されたマルテンサイト組織を焼戻して焼戻しマルテンサイトとすることにより、ナゲットを軟化させている。すなわち、特許文献2ではナゲット内部の組織を焼戻しているのに対し、後述する本発明によればナゲット内部の組織は焼戻されず、硬化した組織としている。このことから、両者の技術的思想は異なると言える。
特許文献3では、主通電工程と後通電工程を組み合わせることで溶接金属中に取り込まれる水素量を低減させ、更に散りの発生によるナゲットの減縮を抑制している。しかし、特許文献3の後通電工程は通電してナゲット部を冷却する工程であり、通電工程中に保持時間を除いた冷却工程を含んでいないことから、シートセパレーション近傍の領域の硬度を低下(すなわち軟化)することはできない。これに対し、後述する本発明は、シートセパレーション近傍の領域を軟化することで鋼中に入る水素を抑制するものである。このことから、両者の技術的思想が異なると言える。
そして、引張強度が780MPa以上の鋼板、特に引張強度が780MPa以上かつC含有量が0.05~0.6質量%の高強度鋼板を、単通電のみで溶接する抵抗スポット溶接方法では、脆化したナゲットおよびHAZとなりやすいことからHAZに高い残留応力が残り、遅れ破壊が生じる問題がある。更に、疲労強度も向上しない問題もある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐遅れ破壊特性および疲労強度を向上させた、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む複数の鋼板が抵抗スポット溶接された抵抗スポット溶接継手およびその抵抗スポット溶接方法を提供することを目的とする。
本発明では、上記課題を解決するために、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む板組を用いて、耐遅れ破壊特性の低下メカニズムおよび疲労強度の向上方法について、鋭意検討した。
上述のように、鋼板の高強度化が進むにつれ、耐遅れ破壊特性は低下する。遅れ破壊が生じる原因は、破壊起点となるナゲット端部の硬さ、更にはナゲット端部に存在する偏析や介在物の影響が考えられる。それらの原因を回避するためには、ナゲット端部の硬化を防ぐこと、およびナゲット端部の残留応力を減らすことが有効である。
具体的には、本検討により、シートセパレーション近傍の特定の領域の硬度を低下させることによって、耐遅れ破壊特性を向上させることができることが明らかになった。この理由として、シートセパレーション近傍の硬度を軟化させることで、ナゲット端部からシートセパレーションまでの領域における残留応力が低減し、これにより、遅れ破壊が生じにくくなることが挙げられる。
さらに、シートセパレーシ近傍の硬度を軟化させることにより、疲労強度も向上させることが可能であることが明らかになった。この理由として、上記と同様に、シートセパレーション近傍の硬度を下げることにより、ナゲット端部からシートセパレーシまでの領域における残留応力が低減することが挙げられる。
すなわち、シートセパレーション近傍の特定の領域の硬度を下げることにより、ナゲット端部からシートセパレーションまでの領域における残留応力が低減し、その結果、耐遅れ破壊特性が向上し、さらには疲労強度が向上することを知見した。
本発明は、上記の知見に立脚するものであり、以下を要旨とするものである。
[1] 少なくとも1枚の高強度鋼板を含む2枚以上の鋼板が抵抗スポット溶接された抵抗スポット溶接部を有する抵抗スポット溶接継手であって、
前記高強度鋼板が、質量%で、
C:0.05~0.6%、
Si:0.1~2.0%、
Mn:1.5~4.0%、
P:0.10%以下、
S:0.005%以下、
N:0.001~0.010%、および
O:0.03%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である成分組成を有し、
前記抵抗スポット溶接部は、
シートセパレーション端部を中心点とした正方形の線分の長さをL(mm)、前記高強度鋼板のうち板厚が最小となる鋼板の板厚をt(mm)とし、前記線分の長さが前記板厚に対して式(1)を満たす範囲で囲まれた熱影響部内の前記正方形の領域を第1領域としたとき、
前記第1領域の平均硬さHvが、ナゲット中心部の硬さHvmに対して式(2)を満たし、
かつ、前記第1領域における、粒径が100nm以上である炭化物の平均個数密度が、鋼板断面5μm2当たり10個以上である、
抵抗スポット溶接継手。
0.5×t≧L …(1)
0.85×Hvm>Hv …(2)
[2] 前記高強度鋼板の前記成分組成が、さらに、質量%で、
Cu:0.8%以下、
Ni:1.0%以下、
Mo:1.0%以下、
Cr:1.0%以下、
Nb:0.080%以下、
V:0.50%以下、
Ti:0.20%以下、
B:0.005%以下、
Al:2.0%以下、および
Ca:0.005%以下
から選択される1種または2種以上を含有する、[1]に記載の抵抗スポット溶接継手。
[3] 前記高強度鋼板は、鋼板表面にめっき層を有する、[1]または[2]に記載の抵抗スポット溶接継手。
[4] [1]~[3]のいずれか1つに記載の抵抗スポット溶接継手の抵抗スポット溶接方法であって、
少なくとも1枚の前記高強度鋼板を含む2枚以上の鋼板を重ね合わせて抵抗スポット溶接で接合するに際し、
前記抵抗スポット溶接として、
電流値I1(kA)で通電してナゲットを形成する主通電工程と、
式(3)に示す冷却時間tc1(ms)の間、無通電状態を保持する第1冷却過程と、
次いで、式(4)に示す電流値I2(kA)で、式(5)に示す通電時間t2(ms)の間、通電する第1昇温過程と、
次いで、式(6)に示す冷却時間tc2(ms)の間、無通電状態を保持する第2冷却過程と、
次いで、式(7)に示す電流値I3(kA)で、式(8)に示す通電時間t3(ms)の間、通電する第2昇温過程とを行う、焼戻し後熱処理工程と、
を有する、抵抗スポット溶接継手の抵抗スポット溶接方法。
800 ≦ tc1 …(3)
1.01×I1 ≦ I2 ≦ 1.4×I1 …(4)
100 < t2 ≦ 500 …(5)
0 < tc2 ≦300 …(6)
2 < I3 ≦ 1.5×I2 …(7)
0 < t3 < 500 …(8)
本発明によれば、高強度鋼板を含む複数の鋼板が溶接された抵抗スポット溶接継手の抵抗スポット溶接部における、ナゲット端部の硬化を防ぐとともに、ナゲット端部からシートセパレーションまでの領域の残留応力を減らすことができる。これにより、抵抗スポット溶接継手の耐遅れ破壊特性および疲労強度を向上させることができるため、産業上格段の効果を奏する。
図1は、本発明の一実施形態に係る抵抗スポット溶接継手の抵抗スポット溶接部周辺を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す抵抗スポット溶接継手における、シートセパレーションを含む周辺領域の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、図1に示す抵抗スポット溶接継手における、シートセパレーションを含む周辺領域の他の例を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明における第1領域の平均硬度(Hv)の求め方の一例を説明する図である。 図5は、本発明の抵抗スポット溶接方法の一例を説明する断面図である。 図6は、本発明の抵抗スポット溶接方法の通電パターンの一例を説明する図である。
以下、本発明について説明する。なお、本発明は、この実施形態に限定されない。
〔抵抗スポット溶接継手〕
まず、図1~図3を参照して、本発明の抵抗スポット溶接継手を説明する。図1~図3には、一例として、本発明の抵抗スポット溶接継手における抵抗スポット溶接部およびその周辺の板厚方向断面図を示す。図1~3に示す例では、重ね合わせる鋼板の枚数を2枚としている。
本発明は、重ね合わせた複数の鋼板が抵抗スポット溶接された抵抗スポット溶接部を有する抵抗スポット溶接継手(以下、「溶接継手」と称する)である。重ね合わせる鋼板には、後述する高強度鋼板を少なくとも1枚以上含む。上記した複数の鋼板の枚数は特に限定されず、2枚以上であればよい。なお、上記した複数の鋼板の枚数の上限は特に規定しないが、4枚以下とすることが好ましい。
図1は、2枚の鋼板を重ね合わせて抵抗スポット溶接した溶接継手であり、下側に配置される鋼板1および/または上側に配置される鋼板2に高強度鋼板を用いる。図1に示す例では、上側の鋼板2に高強度鋼板を用いるものとする。なお、後述するように高強度鋼板にめっき層を有する場合もあるが、図1では鋼板表面のめっき層の図示を省略している。鋼板1、2の鋼板合わせ面(すなわち重ね面)7には、以下に説明する抵抗スポット溶接部10が形成される。
[抵抗スポット溶接部]
本発明の溶接継手における、抵抗スポット溶接部について詳細に説明する。図1に示すように、溶接継手の抵抗スポット溶接部(以下、「溶接部」と称する)は、ナゲット3と、該ナゲット3を囲むように形成された熱影響部(HAZ)6とを有する。該熱影響部6内の外周縁領域から母材部にかけてシートセパレーション8が存在する。
本発明では、シートセパレーション近傍の特定領域における組織および特性を次のように規定する。
図1に示すように、溶接部10のシートセパレーション8の端部を中心点とした正方形の線分長さをL(mm)、高強度鋼板(図1に示す例では、上側の鋼板2)の板厚をt(mm)とし、該線分の長さ(L)が該高強度鋼板の板厚(t)に対して式(1)を満たす範囲で囲まれた熱影響部6内の該正方形の領域を第1領域とする。
該第1領域の平均硬さ(Hv)が、ナゲット3の中心部の硬さ(Hvm)に対して式(2)を満たし、かつ、該第1領域における、粒径が100nm以上である炭化物の平均個数密度が、鋼板断面5μm2当たり10個以上とする。
0.5×t≧L …(1)
0.85×Hvm>Hv …(2)
ここで、「第1領域」とは、中心点Aを原点として上方向および下方向へ等間隔に離れた位置で、かつ、鋼板合わせ面7に水平な線分L1およびL2と、中心点Aを原点として右方向および左方向へ等間隔に離れた位置で、かつ、鋼板合わせ面7に垂直な線分L3およびL4とで囲まれた正方形の領域である(図2、3を参照)。また、「シートセパレーション8の端部」とは、熱影響部6側に位置するシートセパレーション8の一端を指す。シートセパレーション端部は、図2の例に示すように、コの字型の形状、あるいは、図3の例に示すように、Vの字型の形状となる場合もある。また、「中心点」とは、シートセパレーション端部と鋼板合わせ面7との交点(図1に示す点A)を指す。
「高強度鋼板の板厚(t)」とは、最小の板厚を指す。例えば、板厚の異なる高強度鋼板を2枚以上重ね合わせた場合には、板厚が最小となる当該高強度鋼板の板厚をtとする。
ナゲット中心から熱影響部にかけては、硬度の変化が生じる。また、ナゲットおよび熱影響部の大きさは、板厚によっても変化する。そのため、式(1)の関係を満たさない場合、意図しない位置(すなわち、意図しない領域)での硬度測定となってしまう可能性がある。したがって、上記線分の長さ(L)は、(0.5×t)mm以下とする。本発明の実施例に記載の試験を実施する理由から、第1領域の線分の長さ(L)は、0mm超えとすることが好ましく、1.0mm以上とすることがより好ましい。
本発明の第1領域は、ナゲット端部から離れた個所に設けられる。これは、き裂が進展する際に最初にき裂が進展する箇所であり、疲労強度、遅れ破壊等のき裂が進展する際に影響が大きい箇所だからである。
本発明では、以下に説明するように、第1領域が適切に焼戻されることにより、耐遅れ破壊特性および疲労強度が向上する。
[硬さの比]
第1領域の平均硬さ(Hv)が、ナゲット中心部の硬さHvmに対して式(2)を満たすことが重要である。式(2)を満たさない場合、第1領域の残留応力を低減させることができず、その結果、遅れ破壊が発生しやすくなる。したがって、第1領域の平均硬さは、ナゲット中心部の硬さの0.85倍未満とする。好ましくは、第1領域の平均硬さはナゲット中心部の硬さの0.80倍以下とする。
なお、第1領域の平均硬さの上限値は特に規定しない。しかし、焼戻しが適切に行われる観点から、第1領域の平均硬さは、ナゲット中心部の硬さの0.50倍以上とすることが好ましく、ナゲット中心部の硬さの0.55倍以上とすることがより好ましい。
上記の各硬さとは、JISZ2244(2020年)に準拠して測定したビッカース硬さを指す。
上記の「第1領域の平均硬さ(Hv)」は次の方法で測定できる。具体的には、後述の実施例に記載する測定方法のとおり、鋼板合わせ面7から高強度鋼板側の板厚方向に0.2mmごとに離間した位置で、かつ、鋼板合わせ面7と平行となる直線上を、0.2mmの間隔で計測する。測定領域は、第1領域の線分L3から線分L4までの範囲とする。この測定領域内における硬さの平均値を求めて、「第1領域の平均硬さ」とする。
例えば、図1に示すように上側の鋼板2に高強度鋼板を用いた場合には、鋼板合わせ面7から鋼板2側の板厚方向に0.2mm上方の位置での上記測定領域内を計測することになる。
また例えば、図示は省略するが、上側および下側の鋼板1、2の両方に高強度鋼板を用いた場合には、低強度(低い引張強度)となる高強度鋼板側で、上述と同様の方法で測定する。
また、「ナゲット中心部の硬さ(Hvm)」とは、ナゲット3内の中心位置の硬さを指す。具体的には、後述の実施例に記載する測定方法のとおり、鋼板合わせ面7上の位置で、かつ、ナゲット3の中心位置での硬さを計測し、得られた値を「ナゲット中心部の硬さ」とする。
[第1領域の炭化物]
本発明では、焼戻しを示す指標として、第1領域における炭化物の平均個数密度を規定する。具体的には、第1領域における粒径が100nm以上の炭化物の平均個数密度は、鋼板断面5μm2当たり10個以上である。なお、後述の実施例において図4を用いて説明するように、本発明では、第1領域における、5μm角の視野の少なくとも1か所で上記炭化物の平均個数密度を満たしていれば、後述の作用効果が得られる。
上記炭化物の粒径を100nm以上とする理由は、焼戻しが十分に進行することで粗大な炭化物が生成していることを確認するためである。しかし、炭化物の粒径が大きくなると焼戻しで発生する炭化物以外の析出物である可能性があるため、炭化物の粒径は500nm以下とすることが好ましい。
また、第1領域は、鋼板断面における5μm角の視野において、上記粒径の炭化物の平均個数密度が10個未満では、焼戻しが不十分である。その結果、第1領域近傍の残留応力が高くなり、き裂が溶接部に侵入しやすくなるため、耐遅れ破壊特性および疲労強度が低下する。したがって、上記平均個数密度は、鋼板断面5μm2当たり10個以上とする。上記平均個数密度は、より好ましくは鋼板断面5μm2当たり15個以上とする。なお、特に、上記平均個数密度の上限は規定しない。ただし、炭化物の粒径を考慮すると、上記平均個数密度は、鋼板断面5μm2当たり450個以下とすることが好ましく、鋼板断面5μm2当たり400個以下とすることがより好ましく、鋼板断面5μm2当たり200個以下とすることがさらに好ましい。
なお、本発明において、炭化物の粒径、炭化物の平均個数密度は、後述する実施例に記載の方法で、測定することができる。
[第1領域の組織](好適条件)
第1領域の硬さが上記硬さの比を満たすためには、この第1領域における組織が焼戻しマルテンサイト組織を有するように制御することが望ましい。これにより、ナゲット端部からシートセパレーションにかけた残留応力をより有効に低減することができる。このような作用効果を得る観点から、第1領域の焼戻しマルテンサイトは、第1領域全体に対する面積率で50%以上とすることが好ましい。第1領域の焼戻しマルテンサイトは、より好ましくは面積率で55%以上とする。
なお、第1領域の焼戻しマルテンサイトの上限は特に規定しない。上述のように、第1領域の組織が面積率で100%の焼戻しマルテンサイトからなる場合であっても、残留応力の低減の効果を見込めるためである。第1領域の焼戻しマルテンサイトは、好ましくは100%以下とし、より好ましくは98%以下とする。
第1領域における焼戻しマルテンサイト以外の残部組織は、マルテンサイトおよび/またはフェライトとなる。ただし、焼戻しマルテンサイト以外の組織(残部組織)の面積率が多いと、残留応力の低減を実現することが困難となる。このような理由から、上記残部組織の合計面積率は、50%以下とすることが好ましく、45%以下とすることがより好ましく、40%以下とすることがさらに好ましく、30%以下とすることがさらに一層好ましい。なお、上記残部組織の合計面積率は、0%であってもよい。
なお、本発明では、焼戻しを示す指標である「炭化物の平均個数密度」を適切に制御することで、焼戻しマルテンサイトが上述の面積率の範囲内にあると、判断することができる。
図示は省略するが、3枚以上の鋼板を溶接した場合、第1領域は鋼板合わせ面ごとに存在する。鋼板合わせ面における各第1領域の少なくとも1つが、上述の組織および特性を有していれば、本発明の効果を得ることができる。
[高強度鋼板]
本発明の溶接継手における、高強度鋼板の母材の成分組成の限定理由について説明する。なお、以下の説明において、成分組成の「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を指すものとする。
C:0.05~0.6%
Cは鋼の強化に寄与する元素である。C含有量が0.05%未満では、鋼の強度が低くなり、引張強度780MPa以上の鋼板を製作することは極めて困難である。一方、C含有量が0.6%を超えると、鋼板の強度は高くなるものの、硬質なマルテンサイト量が過大となり、マイクロボイドが増加する。また、溶接継手ではナゲットとその周辺のHAZが過度に硬化し、脆化も進むため、疲労強度を向上させることは困難である。更に、脆化した溶融部はき裂が入りやすくなるため、遅れ破壊しやすくなる。したがって、C含有量は0.05~0.6%とする。C含有量は、好ましくは0.10%以上である。C含有量は、好ましくは0.50%以下であり、より好ましくは0.45%以下である。
Si:0.1~2.0%
Si含有量が0.1%以上であると、鋼の強化に有効に作用する。また、Siはフェライトフォーマー元素であることから、ナゲット端部のフェライトの生成に優位に働く。一方、Si含有量が2.0%を超えると、鋼は強化されるものの、靱性に悪影響を与えることがある。そのため、Si含有量は0.1~2.0%とする。Si含有量は、好ましくは0.2%以上である。Si含有量は、好ましくは1.8%以下である。
Mn:1.5~4.0%
Mn含有量が1.5%未満であると、本発明のように溶接部の長時間の冷却を行わずとも、溶接継手は高い疲労強度を得ることができる。一方、Mn含有量が4.0%を超えると、溶接部の脆化あるいは脆化に伴う割れが顕著に現れるため、疲労強度および耐遅れ破壊特性を向上させることは困難である。そのため、Mn含有量は1.5~4.0%とする。Mn含有量は、好ましくは2.0%以上である。Mn含有量は、好ましくは3.5%以下であり、より好ましくは2.9%以下である。
P:0.10%以下
Pは不可避的不純物であるが、P含有量が0.10%を超えると、溶接部のナゲット端に強偏析が現れるため継手強度を向上させることは困難である。そのため、P含有量は0.10%以下とする。P含有量は、好ましくは0.05%以下であり、より好ましくは0.02%以下である。なお、P含有量の下限は特に限定されない。ただし、過度の低減はコストの増加を招くので、P含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
S:0.005%以下
Sは、粒界に偏析して鋼を脆化させる元素である。Sは、不可避的に含まれる元素である。さらに、Sは、硫化物と鋼板の局部変形能を低下させる。そのため、S含有量は0.005%以下とする。S含有量は、好ましくは0.004%以下とし、より好ましくは0.003%以下とする。なお、S含有量の下限は特に限定されない。ただし、過度の低減はコストの増加を招くので、S含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
N:0.001~0.010%
Nは、鋼の耐時効性を劣化させる元素である。Nは、不可避的に含まれる元素である。そのため、N含有量は0.001~0.010%とする。N含有量は、好ましくは0.008%以下とする。
O:0.03%以下
O(酸素)は非金属介在物を生成することにより、鋼の清浄度、靭性を劣化させる元素である。そのため、O含有量は0.03%以下とする。O含有量は0.02%以下とすることが好ましい。また、O含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
本発明に用いる高強度鋼板は、上記各元素を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物である。
本発明では、上記成分組成が高強度鋼板の基本の成分組成である。本発明では、上記成分組成に加え、必要に応じて、Cu、Ni、Mo、Cr、Nb、V、Ti、B、AlおよびCaから選択される1種または2種以上の元素を加えることができる。なお、必要に応じて含有できるので、これらの元素は0%であってもよい。
Cu:0.8%以下、Ni:1.0%以下、Mo:1.0%以下
Cu、Ni、Moは、鋼の強度向上に寄与することができる元素である。しかし、Cu、Ni、Moは、多量に添加すると靭性が劣化する。このため、これらの元素を含有する場合、それぞれ、Cu含有量は0.8%以下とし、Ni含有量は1.0%以下とし、Mo含有量は1.0%以下とする。Cu含有量は、より好ましくは0.6%以下とする。Cu含有量は、好ましくは0.005%以上とし、より好ましくは0.006%以上とする。Ni含有量は、より好ましくは0.8%以下とする。Ni含有量は、好ましくは0.01%以上とする。Mo含有量は、より好ましくは0.8%以下とする。Mo含有量は、好ましくは0.005%以上とし、より好ましくは0.006%以上とする。
Cr:1.0%以下
Crは、焼入れ性の向上により強度を向上させることができる元素である。しかし、Crは1.0%を超えて過剰に含有すると、HAZの靱性が劣化する恐れがある。このため、Crを含有する場合、Cr含有量は1.0%以下とする。Cr含有量は、より好ましくは0.8%以下とする。Cr含有量は、好ましくは0.01%以上とする。
Nb:0.080%以下
Nbは、微細な炭窒化物を形成することで抵抗スポット溶接後の十字引張強度および耐遅れ破壊特性を向上させる。その効果を得るためには、Nbの含有量を0.005%以上含有させることが望ましい。一方、多量にNbを添加すると、伸びが著しく低下するだけでなく、靭性を著しく損ねる。このことから、Nbを含有する場合、Nb含有量は0.080%以下とする。Nb含有量は、より好ましくは0.070%以下とし、さらに好ましくは0.060%以下とする。Nb含有量は、好ましくは0.005%以上とし、より好ましくは0.006%以上とする。
V:0.50%以下
Vは、析出硬化により組織制御をして鋼を強化することができる元素である。しかし、Vは、多量に添加するとHAZ靱性の劣化につながる。このため、Vを含有する場合、V含有量は0.50%以下とする。V含有量は、より好ましくは0.30%以下とする。V含有量は、好ましくは0.005%以上とし、より好ましくは0.02%以上とする。
Ti:0.20%以下
Tiは、焼入れ性を改善して鋼を強化することができる元素である。しかし、Tiは、多量に添加すると炭化物を形成し、その析出硬化によって靭性が著しく劣化する。このため、Tiを含有する場合、Ti含有量は0.20%以下とする。Ti含有量は、より好ましくは0.15%以下とする。Ti含有量は、好ましくは0.003%以上とし、より好ましくは0.004%以上とする。
B:0.005%以下
Bは、焼入れ性を改善して鋼を強化することができる元素である。このため、Bを含有する場合、B含有量は0.0005%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.0007%以上とする。しかし、Bを多量に添加しても、上記効果は飽和することから、Bを含有する場合、B含有量は0.005%以下とする。B含有量は、より好ましくは0.0020%以下とし、さらに好ましくは0.0010%以下とする。
Al:2.0%以下
Alは、オーステナイト細粒化のための組織制御をすることができる元素であるが、多量に添加すると靭性が劣化する。このため、Alを含有する場合、Al含有量は2.0%以下とする。Al含有量は、より好ましくは1.5%以下とし、さらに好ましくは1.3%以下とし、さらに一層好ましくは1.2%以下とする。Al含有量は、好ましくは0.01%以上とする。
Ca:0.005%以下
Caは、鋼の加工性向上に寄与することができる元素である。しかし、Caを多量に添加すると靭性が劣化する。このため、Caを含有する場合、Ca含有量は0.005%以下とする。Ca含有量は、より好ましくは0.004%以下とする。Ca含有量は、好ましくは0.001%以上とする。
上記した成分組成を有する高強度鋼板は、引張強度を780MPa以上とすることが好ましい。高強度鋼板の引張強度は、より好ましくは1180MPa以上とする。上述のように、特に母材の引張強度が780MPa以上の場合、疲労強度および耐遅れ破壊特性が低下する恐れがある。本発明によれば、引張強度が780MPa以上の高強度鋼板であっても、シートセパレーション近傍の特定の領域の硬度を下げることにより、ナゲット端部からシートセパレーションまでの領域における残留応力が低減する。これにより、溶接部は疲労強度および耐遅れ破壊特性の低下を抑制できる。なお、引張強度が780MPa未満の高強度鋼板でも、当然に上記の効果は得られる。
[高強度鋼板のめっき種]
本発明の高強度鋼板は、亜鉛めっき処理を施して、鋼板表面に亜鉛めっき層を有する鋼板(すなわち亜鉛めっき鋼板)であっても、上記の効果を得ることができる。亜鉛めっき層とは、亜鉛を主成分とするめっき層を指す。亜鉛を主成分とするめっき層には、例えば、溶融亜鉛めっき層、電気亜鉛めっき層、Zn-Alめっき層およびZn-Ni層等が含まれる。また、本発明の高強度鋼板は、上記の亜鉛めっき処理を施した後に合金化処理を施して、母材表面に合金化亜鉛めっき層を有する合金化亜鉛めっき鋼板であってもよい。
なお、本発明において重ね合わせる鋼板は、同種の鋼板を複数枚重ねてもよく、あるいは異種の鋼板を複数枚重ねてもよい。鋼板表面に亜鉛めっき層を有する鋼板(ここでは亜鉛めっき鋼板)と鋼板表面に亜鉛めっき層を有さない鋼板(ここでは冷延鋼板)とを重ね合わせてもよい。各鋼板の板厚は同じでも異なっていても何ら問題はない。一般的な自動車用鋼板を対象とする観点から、例えば鋼板の板厚は0.4mm~2.2mmとすることが好ましい。
〔抵抗スポット溶接方法〕
次に、上記した溶接部を有する本発明の溶接継手を製造するための抵抗スポット溶接方法の一実施形態について説明する。
本発明の溶接継手は、少なくとも1枚の上記高強度鋼板を含む、2枚以上の鋼板を重ね合わせた板組を、1対の溶接電極で挟持し、1対の溶接電極で加圧しながら通電して接合する抵抗スポット溶接によって製造できる。
例えば、図5に示すように、2枚の鋼板1、2を重ね合わせて板組とする。ついで、板組の下側および上側に配置される一対の溶接電極4、5で該板組を挟持し、加圧しながら所定の溶接条件に制御して通電を行う。これにより、鋼板合わせ面7となる板間を接合することによって上記の溶接部を形成することができる(図1~3を参照)。なお、高強度冷延鋼板と高強度亜鉛めっき鋼板とを重ね合わせて板組とする場合、該高強度亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層を有する面が高強度冷延鋼板と対向するように複数の鋼板を重ね合わせればよい。
本発明では、溶接電極4、5で挟持した重ね合わせた鋼板1、2を通電する工程として、図6に示すように、主通電工程と焼戻し後熱処理工程を有する。また、焼戻し後熱処理工程は、第1冷却過程、第1昇温過程、第2冷却過程および第2昇温過程を有する。以下に、本発明の各工程について詳細に説明する。
<主通電工程>
主通電工程とは、鋼板1、2の鋼板合わせ面7を溶融して必要サイズのナゲット3を形成する工程である(図5を参照)。主通電工程では、電流値I1(kA)で通電してナゲットを形成する。
自動車鋼板の抵抗スポット溶接部(溶接部)に採用されるナゲット径は、3.0√tsheet~6.0√tsheet(ここで、tsheet(mm)は板厚である)が一般的である。本発明では、この数値範囲を「目標のナゲット径(mm)」とする。本発明の主通電工程では、目標のナゲット径となるナゲット3を得られればよく、ナゲット3を形成するための通電条件および加圧条件は特に限定しない。
上記「tsheet(mm)板厚である」における「tsheet」とは、板組に用いた鋼板のうち、最も板厚が最小となる鋼板の板厚を指す。
重ね合わせる鋼板に本発明の高強度鋼板を用い、鋼板合わせ面に目標のナゲット径となるナゲット3を安定して形成する観点からは、主通電工程の通電条件および加圧条件を次のように制御することが好ましい。
主通電工程の電流値I1(kA)は、好ましくは3.0kA~8.0kAとする。電流値I1が小さすぎると目標のナゲット径を安定的に得られない。一方、電流値I1が大きすぎると、ナゲット径が大きくなりすぎる可能性、あるいは、鋼板の溶融度合いが大きくなり、散りとして溶けた溶接部が板間より外に出てしまい、ナゲット径が小さくなる可能性がある。このような理由から電流値I1は3.0kA~8.0kAとする。電流値I1は、より好ましくは3.5kA以上とする。電流値I1は、より好ましくは7.5kA以下とする。
主通電工程の通電時間t1(ms)は、好ましくは120ms~400msとする。これは、電流値I1と同様に、安定的に目標のナゲット径となるナゲット3を形成するための時間である。通電時間t1が120ms未満では、ナゲットが生成しにくくなることが懸念される。一方、通電時間t1が400msを超えると、形成されるナゲット径が目標のナゲット径に比べて大きくなる可能性と、施工性の低下とが懸念される。通電時間t1は、好ましくは200ms以上とする。通電時間t1は、好ましくは300ms以下とする。しかしながら、必要とするナゲット径が得られれば、通電時間t1は上記数値範囲に対して短く設定し、あるいは長く設定することができる。
主通電工程での加圧条件は、好ましくは加圧力を2.0kN~7.0kNとする。加圧力が大き過ぎると通電径が拡大するため、ナゲット径の確保が難しくなりやすい。一方、加圧力が小さ過ぎると、通電径が小さくなり、散りが発生しやすくなる。このような理由から加圧力は2.0kN~7.0kNとする。加圧力は、より好ましくは3.0kN以上とし、より好ましくは6.5kN以下とする。加圧力は、使用する装置能力によって制限される場合がある。必要とするナゲット径が得られる加圧力であれば、加圧力は上記数値範囲に対して低く設定し、あるいは高く設定することができる。
<焼戻し後熱処理工程>
焼戻し後熱処理工程とは、主通電工程で形成された溶接部における第1領域を焼戻し、遅れ破壊が発生する際の残留応力を低下させるための後熱処理の工程である。具体的には、焼戻しによって第1領域の組織が焼戻しマルテンサイトとなるように、効果的に焼き戻す工程である。焼戻し後熱処理工程では、主通電工程後、溶接部に対して第1冷却過程、第1昇温過程、第2冷却過程および第2昇温過程をこの順に施す。第1領域の焼戻しによりナゲット端部からシートセパレーションまでの領域における残留応力を低減させるためには、焼戻し後熱処理工程における各過程の溶接条件を次のように制御することが重要である。
[第1冷却過程]
まず、主通電工程後、ナゲット端部がマルテンサイト変態を生じる温度まで下げるための冷却を行う。この過程を第1冷却過程と称する。この第1冷却過程では、後述の焼戻しの効果を十分に得るために、式(3)に示す冷却時間tc1(ms)の間、無通電状態を保持することで溶接部を冷却する。
800 ≦ tc1 …(3)
第1冷却過程の冷却時間tc1(ms)が800ms未満の場合、マルテンサイト変態が十分に起こらず、マルテンサイトが現出しないことによってオーステナイトが残存したままの組織となる。これにより、後続の過程(具体的には、第1昇温過程、第2冷却過程、第2昇温過程)を行っても、そのままオーステナイトが残存し、最終的にはマルテンサイト組織(すなわち、焼入れままマルテンサイト組織)となる。その結果、第1領域は脆化した組織となるため、耐遅れ破壊特性が向上しない。したがって、冷却時間tc1(ms)は800ms以上とする。冷却時間tc1は、好ましくは850ms以上とし、より好ましくは900ms以上とし、さらに好ましくは1000ms以上とする。第1冷却過程では、その後の昇温過程において炭化物をより生成させ、上記の炭化物の平均個数密度を高めるために、Ms点以下での十分なマルテンサイト変態を行う。
第1冷却過程の冷却時間tc1(ms)の上限は、特に限定しない。本発明で対象とする鋼板は自動車用鋼板であることから、溶接時間が長いと施行効率の低下が生じる。そのため、冷却時間tc1(ms)は、好ましくは2200ms以下とし、より好ましくは2000ms以下とする。
[第1昇温過程]
第1冷却過程に続いて、第1昇温過程を行う。第1昇温過程では、前の過程での冷却によってマルテンサイトとなった組織を焼戻すために、適切な温度域に昇温する通電(すなわち後通電)を行う。上記の「適切な温度域」とは、第1領域の硬さを軟化させるための焼戻し温度域を指す。
具体的には、第1昇温過程では、式(4)に示す電流値I2(kA)で、式(5)に示す通電時間t2(ms)の間、溶接部を通電する。
1.01×I1 ≦ I2 ≦ 1.4×I1 …(4)
100 < t2 ≦ 500 …(5)
通常、テンパー通電はナゲット端部近傍を焼戻すために本通電より低い電流値で焼戻しを行う。しかしながら、本発明では、ナゲットから離れた位置にある第1領域を焼戻すために高温での後通電を施す。ここで第1領域を焼戻すための適切な温度すなわちAc1点以上の温度まで短時間で急速に温度上昇させることが、特に重要である。これにより、第1領域の組織を焼戻しマルテンサイトとし、効果的に焼戻すことができる。
この過程での電流値I2が低過ぎると焼戻しの効果が薄れてしまう。一方、この過程での電流値I2が高過ぎるとAc3点を超えるために、ナゲット端部の組織を焼戻しマルテンサイトとすることができない。あるいは、散りが発生してしまい、溶融金属が外に出てしまうことで必要なナゲット径を得られない場合がある。
このような理由から、第1昇温過程の電流値I2(kA)は、式(4)の関係を満たすものとする。第1昇温過程の電流値I2が(1.01×I1)(kA)未満の場合、Ac1点未満の温度となり、ナゲット端部を効果的に焼戻すことができない。電流値I2は、好ましくは(1.12×I1)(kA)以上とする。
一方、第1昇温過程の電流値I2が、(1.4×I1)(kA)を超える場合、Ac3点を超えてしまう可能性が高く、後続の過程において再度オーステナイト変態し、最終的にマルテンサイト組織となることで脆化する。その結果、ナゲット端部の靭性を得られない。電流値I2は、好ましくは(1.35×I1)(kA)以下とする。
上述のように、第1昇温過程は、短時間で急速に温度を上げるため、第1昇温過程の通電時間t2(ms)は、式(5)を満たすものとする。通電時間t2は、好ましくは120ms以上とする。通電時間t2は、好ましくは400ms以下とする。
このように適切な温度範囲で後熱することで焼戻しが促進され、炭化物の平均個数密度を増加させることができ、結果として硬さも低下する。そのため、ナゲット中心部に対する硬さ比も小さくなる。
[第2冷却過程]
第1昇温過程に続いて、第2冷却過程を行う。
第1領域は、上述の第1昇温過程での昇温によって焼戻しマルテンサイト組織となるが、この第1昇温過程のみでは焼戻し時間が短いために第1領域の一部の組織にオーステナイトが残存する。しかし、これを回避するために、そのまま後通電時間を延長したり、冷却過程を設けることなく後通電を施すと、該後通電時に散りが発生する可能性が高くなる。そこで、本発明では、第1昇温過程後に、一時的に溶接部の温度を下げるための第2冷却過程を設ける。
具体的には、第2冷却過程として、式(6)に示す冷却時間tc2(ms)の間、無通電状態を保持する冷却を行う。
0 < tc2 ≦ 300 …(6)
第2冷却過程では、一時的に溶接部の温度を僅かに低下させることが目的であるため、通電時間tc2は0ms超え300ms以下とする。散りの発生を避け、効果的に焼戻しを行うためには、第2冷却過程の冷却時間tc2は、20ms以上とすることが好ましい。冷却時間tc2は、250ms以下とすることが好ましく、200ms以下とすることがより好ましい。
[第2昇温過程]
第1領域の焼戻しをより効果的に行うために適切な温度制御を行う観点から、第2冷却過程後に第2昇温過程を行う。具体的には、第2昇温過程は、式(7)に示す電流値I3(kA)で、式(8)に示す通電時間t3(ms)の間、溶接部を通電する。
2 < I3 ≦ 1.5×I2 …(7)
0 < t3 < 500 …(8)
第2昇温過程の電流値I3(kA)は、第1昇温過程の電流値I2(kA)超えとする必要がある。第2昇温過程の電流値I3が第1昇温過程の電流値I2(kA)以下となる場合には、焼戻しの温度が低すぎて、第1領域の焼戻しを促進することができない可能性がある。その結果、第1領域が硬化したままの組織となり、残留応力が増加してしまう懸念がある。第2昇温過程の電流値I3は、好ましくは(1.1×I2)(kA)以上とする。
一方、第2昇温過程の電流値が高過ぎる場合には、散りが発生してしまう可能性や、焼戻しマルテンサイトが再変態してマルテンサイトとなるために第1領域が硬い組織となってしまう可能性がある。このような理由から、第2昇温過程の電流値I3は、(1.5×I2)(kA)以下とする。電流値I3は、好ましくは(1.45×I2)(kA)以下とし、より好ましくは(1.40×I2)(kA)以下とする。
また、第2昇温過程の通電時間t3は、第1昇温過程の焼戻しの温度維持を行うため、式(8)を満たすものとする。通電時間t3は、好ましくは40ms以上とし、より好ましくは80ms以上とする。通電時間t2は、好ましくは250ms以下とする。
なお、本発明では、焼戻し後熱処理工程を、第1冷却過程および第1昇温過程と、第2冷却過程および第2昇温過程との2段とする。各過程を上述のように制御することで、焼戻し後熱処理工程後に他の工程を設ける必要が無い。
以上説明したように、本発明の抵抗スポット溶接方法は、焼戻し後熱処理工程の溶接条件を適切に制御することによって、シートセパレーション近傍の第1領域が焼戻しマルテンサイトとなり、ナゲット端部からシートセパレーションまでの残留応力を低減できる。すなわち、この溶接方法により得られる溶接継手は、残留応力を減らすことで耐遅れ破壊特性が向上し、更には疲労強度が向上することができる。
以下、本発明の作用および効果について、実施例を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
試験片には、表1および表2に示した、引張強度が780MPa~1800MPaで、かつ板厚が0.8~1.2mmの鋼板(鋼板A~鋼板L)を使用した。試験片のサイズは、長辺:100mm、短辺:30mmとした。表1には鋼板A~鋼板Lの成分組成を示した。なお、表1の「-」は、意図的に元素を添加しないことを表しており、元素を含有しない(0%)場合だけでなく、不可避的に含有する場合も含むものとした。表2に示した「GA鋼板」とは、上記の合金化亜鉛めっき鋼板を表すものとした。
まず、得られた試験片を表2に示すように重ねて配置し、板組とした。なお、表2中の「鋼板の重ね位置」は、下側の鋼板から順に「一枚目」、「二枚目」と数えるものとした。次に、各板組を用いて、表3に示す溶接条件で抵抗スポット溶接を行い、板間に必要サイズのナゲット3を形成して、抵抗スポット溶接継手を作製した。一部の板組は、3枚の鋼板を重ね合わせた。なお、表3中の「-」は、その過程を実施していないことを表すものとした。
本実施例では、図5に示したように、複数の鋼板(図5に示す例では、下側の鋼板1と上側の鋼板2)を重ね合わせた板組について、Cガンに取付けられたサーボモータ加圧式で直流電源を有する抵抗溶接機を用いて抵抗スポット溶接を行った。
なお、その他の溶接条件は、以下に示す条件で行った。通電中の加圧力は一定とし、ここでは3.5kNで行った。板組に対して下側の溶接電極4および上側の溶接電極5は、いずれも先端の直径:6mm、先端の曲率半径:40mmとし、クロム銅製のDR型電極を用いた。下側の溶接電極4および上側の溶接電極5で加圧力を制御し、直流電源を用いて溶接を行った。ナゲット径は、板厚:tsheet(mm)とするとき5.5√tsheet(mm)以下となるように形成した。
得られた抵抗スポット溶接継手(溶接継手)を用いて、以下に記載の方法で遅れ破壊試験および疲労強度試験を行い、評価した。また、以下に記載の方法で、溶接部の評価、第1領域の硬さの判定、第1領域の炭化物の粒径の測定および該炭化物の平均個数密度の測定を、それぞれ行った。
[耐遅れ破壊特性の評価]
耐遅れ破壊特性の評価は、次のように行った。作製した溶接継手を用いて、大気中で24時間経過した後に遅れ破壊の有無を確認した。溶接部において接合界面においてナゲットが半分に割れる現象が生じたものを遅れ破壊が生じたと定義する。
溶接継手を24時間静置した後に、遅れ破壊が発生したものには記号「×」を付し、一方、遅れ破壊が発生しなかったものには記号「〇」を付した。なお、本実施例では、記号「○」の場合を良好と評価し、記号「×」の場合を劣ると評価した。測定結果は表4に示した。
[疲労強度の評価]
疲労強度の評価は、JISZ3138の疲労強度試験に基づき行った。具体的には、作製した溶接継手を用いてJISZ3138に規定の形状の引張せん断疲れ試験用の試験片を作成し、このせん断引張試験片に2kNの荷重を負荷し続け、破断するまでに上記荷重を負荷した回数をカウントした。
一方で、比較のために、上記溶接条件を本通電のみとして板組の抵抗スポット溶接を行い、比較用の溶接継手を作製した。この比較用の溶接継手を用いて上述と同様の疲労強度試験を行い、せん断引張試験片が破断するまでの荷重負荷回数(以下、「比較用繰り返し数」と称する)をカウントした。
そして、得られた各カウントと上記比較用繰り返し数とを比較し、上記比較用繰り返し数に対する各カウントの比が1.2倍未満となった場合には記号「×」を付し、この比が1.2倍以上となった場合には記号「〇」を付した。
なお、本実施例では、記号「○」の場合を良好と評価し、記号「×」の場合を劣ると評価した。測定結果は表4に示した。
[溶接部の評価]
本実施例では、上述の耐遅れ破壊特性および疲労強度の各評価を用いて、溶接継手の溶接部の評価を行った。表4中、耐遅れ破壊特性および疲労強度の各評価がいずれも「〇」の場合に、溶接部の評価を「〇(合格)」とした。
一方、耐遅れ破壊特性および疲労強度の各評価のうちいずれか1つが「×」の場合、あるいは耐遅れ破壊特性および疲労強度の両方の評価が「×」の場合に、溶接部の評価を「×(不合格)」とした。
[第1領域の硬さの判定]
ナゲット中心および第1領域の硬さの測定は、次のように行った。
作製した溶接継手を円状に形成されたナゲットの中心を通る位置で切断して試験片とし、該試験片を超音波洗浄した後に樹脂埋めを行ったサンプルの板厚断面を研磨し、ピクリン酸溶液を用いてエッチングを行い、サンプルを準備した。硬さはビッカース硬度計により、JISZ2244に規定の方法で測定した。測定荷重は、300gfの圧子にて15秒負荷する条件で行った。
具体的には、ビッカース硬さは、第1領域の左上を1番とし、右に0.2mmずつ計測し、第1領域の右端まで測定したら、1番の下へ0.2mmの位置を計測する。それを繰り返し、第1領域の右下まで計測した平均値を第1領域の平均硬さとする。ここでは、重ね合わせた鋼板のうち低強度(すなわち低い引張強度)となる高強度鋼板側を、評価鋼板に用いた。
なお、表4中の「硬さ判定」の欄には、硬さの比(Hv/Hvm)が0.85未満を満足するか否かの判定結果を示した。符号「〇」は合格(すなわち、Hv/Hvmが0.85未満)の場合とし、符号「×」は不合格(すなわち、Hv/Hvmが0.85以上)の場合とした。
[第1領域における炭化物の粒径および平均個数密度]
図1に示すように、第1領域の鋼板組織を観察した。これは、得られた抵抗スポット溶接部材から該領域を切り出し、その板厚断面を研磨後、3%ナイタールで腐食し、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて10000倍の倍率で観察した。さらに、Image-Proを用いて、下限を0.005μmとして、セメンタイトの円相当直径を算出することで、セメンタイトの粒径を求めた。
粒径が100nm以上のセメンタイトの平均個数密度(個/5μm2)は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて10000倍の倍率で観察し、5箇所の鋼板断面5μm2当たりの個数密度を求めた。得られた値の平均値を、粒径が100nm以上の炭化物の鋼板断面5μm2当たりの平均個数密度とした。該平均個数密度を、表4に示した。なお、炭化物の粒径が大きくなると焼戻しで発生する炭化物以外の析出物である可能性があるため、炭化物の粒径は500nm以下とした。ここでは、重ね合わせた鋼板のうち低強度(すなわち低い引張強度)となる高強度鋼板側を、評価鋼板に用いた。
図4には上記観察の順番を示した。図4に示すように、炭化物は距離Lの範囲内(すなわち、第1領域内)で1か所でも上記平均個数密度(個/5μm2)を満たせば良い。例えば、図4に示すように第1領域を碁盤の目状に細分化し、第1領域の左上を1番とした。「1」と示した位置から観察を開始し、観察結果が上記平均個数密度を満足する(すなわち、合格となる)まで、観察位置を移動させながら観察を続けた。1回目の観察では、点1の位置から母材部(ここでは、図4の紙面右側の方向)へ向けて(0.2×L)mm離れた位置で平均個数密度を観察した。この観察結果が上記平均個数密度を満足しなかった場合(すなわち、不合格の場合)には、「2」と示した位置で2回目の観察を行った。2回目の観察も、同様に、点2の位置から母材部へ向けて(0.2×L)mm離れた位置で計測を行った。これを、観察結果が「合格」となるまで順番に続けた。
Figure 0007480929000001
Figure 0007480929000002
Figure 0007480929000003
Figure 0007480929000004
表3および表4から明らかなように、本発明例では、少なくとも1枚の高強度鋼板を含む複数の鋼板が抵抗スポット溶接された溶接継手は、優れたせん断引張強度を備えた良好な溶接継手であった。これに対し、比較例では良好な溶接継手を得られなかった。
1、2 鋼板
3 ナゲット
4、5 溶接電極
6 熱影響部
7 鋼板合わせ面
8 シートセパレーション
9 第1領域
10 抵抗スポット溶接部

Claims (5)

  1. 少なくとも1枚の高強度鋼板を含む2枚以上の鋼板が抵抗スポット溶接された抵抗スポット溶接部を有する抵抗スポット溶接継手であって、
    前記高強度鋼板が、質量%で、
    C:0.05~0.6%、
    Si:0.1~2.0%、
    Mn:1.5~4.0%、
    P:0.10%以下、
    S:0.005%以下、
    N:0.001~0.010%、および
    O:0.03%以下
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である成分組成を有し、
    前記抵抗スポット溶接部は、
    シートセパレーション端部を中心点とした正方形の線分の長さをL(mm)、前記高強度鋼板のうち板厚が最小となる鋼板の板厚をt(mm)とし、前記線分の長さが前記板厚に対して式(1)を満たす範囲で囲まれた熱影響部内の前記正方形の領域を第1領域としたとき、
    前記第1領域の平均硬さHvが、ナゲット中心部の硬さHvmに対して式(2)を満たし、
    かつ、前記第1領域における、粒径が100nm以上である炭化物の平均個数密度が、鋼板断面5μm2当たり10個以上である、
    抵抗スポット溶接継手。
    0.5×t≧L …(1)
    0.85×Hvm>Hv …(2)
  2. 前記高強度鋼板の前記成分組成が、さらに、質量%で、
    Cu:0.8%以下、
    Ni:1.0%以下、
    Mo:1.0%以下、
    Cr:1.0%以下、
    Nb:0.080%以下、
    V:0.50%以下、
    Ti:0.20%以下、
    B:0.005%以下、
    Al:2.0%以下、および
    Ca:0.005%以下
    から選択される1種または2種以上を含有する、請求項1に記載の抵抗スポット溶接継手。
  3. 前記高強度鋼板は、鋼板表面にめっき層を有する、請求項1に記載の抵抗スポット溶接継手。
  4. 前記高強度鋼板は、鋼板表面にめっき層を有する、請求項2に記載の抵抗スポット溶接継手。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の抵抗スポット溶接継手の抵抗スポット溶接方法であって、
    少なくとも1枚の前記高強度鋼板を含む2枚以上の鋼板を重ね合わせて抵抗スポット溶接で接合するに際し、
    前記抵抗スポット溶接として、
    電流値I1(kA)で通電してナゲットを形成する主通電工程と、
    式(3)に示す冷却時間tc1(ms)の間、無通電状態を保持する第1冷却過程と、
    次いで、式(4)に示す電流値I2(kA)で、式(5)に示す通電時間t2(ms)の間、通電する第1昇温過程と、
    次いで、式(6)に示す冷却時間tc2(ms)の間、無通電状態を保持する第2冷却過程と、
    次いで、式(7)に示す電流値I3(kA)で、式(8)に示す通電時間t3(ms)の間、通電する第2昇温過程とを行う、焼戻し後熱処理工程と、
    を有する、抵抗スポット溶接継手の抵抗スポット溶接方法。
    800 ≦ tc1 …(3)
    1.01×I1 ≦ I2 ≦ 1.4×I1 …(4)
    100 < t2 ≦ 500 …(5)
    0 < tc2 ≦300 …(6)
    2 < I3 ≦ 1.5×I2 …(7)
    0 < t3 < 500 …(8)
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