以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本実施形態の走行制御装置は、電動車両に搭載されるECU(electronic control unit)であって、電動車両に搭載される他のECUと情報通信可能なように構成されている。走行制御装置は、ハードウェア的な構成要素として、CPUといった演算部、RAMやROMといった記憶部、データの授受を行うためのインターフェイス部を備えるコンピュータとして構成されている。
続いて、制御装置の機能的な構成要素について説明する。図1に示されるように、走行制御装置10は、機能的な構成要素として、状態検出部101と、モード設定部102と、情報提供部103と、を備えている。
状態検出部101は、前記自動運転システムの電源として蓄電装置及び発電装置が合算して少なくとも3つ以上設けられており、それぞれについて正常状態であるか異常状態であるかを検出する部分である。モード設定部102は、状態検出部101が電源の少なくとも1つが異常状態にあることを検出した場合に、異常状態にある電源の種類に対応したフェールオペレーションモードを設定する部分である。フェールオペレーションモードとは、自動運転システムに異常が発生した場合に、自動運転を安全に継続するためのモードである。本実施形態では、異常状態にある電源の種類に対応したフェールオペレーションモードを設定するので、電源に異常が発生しても自動運転を極力継続することができる。
引き続いて、フェールオペレーションモード設定の具体的態様について説明する。フェールオペレーションモード設定の一つの態様として、状態検出部101が、電源の少なくとも1つが異常状態であり、1つ以上の蓄電装置及び1つ以上の発電装置が正常状態であることを検出した場合に、モード設定部102は、正常状態にある蓄電装置のSOCが通常時よりも高くなるように正常状態にある発電装置を駆動させるフェールオペレーションモードを設定する。1つ以上の蓄電装置及び1つ以上の発電装置が正常状態である場合、他の電源に異常が発生していたとしても、自動運転を継続することは可能である。しかしながら、現在正常状態である蓄電装置及び発電装置が異常状態に遷移した場合、電力量不足で安全な自動運転の継続が困難になる恐れも想定される。そこで、蓄電装置のSOCは通常では過充電とならないように一定レベル以下に維持されているところ、そのSOCを通常よりも高い状態に保ちつつ、発電装置の駆動を継続することで、より安全な状態まで自動運転が継続するように電力を確保することができる。
フェールオペレーションモード設定の一つの態様として、状態検出部101が、自動運転に必要な機能群の少なくとも1つに電力を供給する正常状態の電源が蓄電装置又は発電装置のいずれかのみになったことを検出した場合に、モード設定部102は、正常状態の電源が蓄電装置のみである場合と、正常状態の電源が発電装置のみである場合とで、互いに異なるフェールオペレーションモードを設定する。蓄電装置は、機構的な不具合が発生し難いため電力を継続的に供給できるが、トレードオフとして供給できる電力量に限りがある。発電装置は、燃料を供給する限り電力を継続的に供給できるが、トレードオフとして高い負荷が加わることで発電停止や大きな電圧変動が生じる可能性がある。このような蓄電装置及び発電装置の特性に応じたフェールオペレーションモードを設定することで、自動運転を継続することができる。
フェールオペレーションモード設定の一つの態様として、状態検出部101が、自動運転に必要な機能群の少なくとも1つに電力を供給する正常状態の電源が蓄電装置のみになったことを検出した場合に、モード設定部102は、正常状態にある蓄電装置のSOCに応じてフェールオペレーションモードを設定する。正常状態の電源が蓄電装置のみとなると、自動運転を継続することは可能であるものの、蓄電装置の蓄電量が無くなると自動運転を継続することが不可能となる。そのため、蓄電装置のSOCに応じてフェールオペレーションモードを設定することで、自動運転を継続できる範囲内で適切な対応を施すことができる。
蓄電装置のSOCに応じてフェールオペレーションモードを設定する一つの態様として、モード設定部102は、正常状態にある蓄電装置のSOCが周囲の車両の状態から計画される車線変更に必要な電力量よりも大きい状態であって車線変更可能な状態であれば、車両を路肩寄りの車線に移動させる一方で、正常状態にある蓄電装置のSOCが車線変更に必要な電力量よりも小さい状態であって車線変更不可能な状態であれば、車両をレーンキープさせる。この態様では、正常状態にある蓄電装置のSOCが車線変更可能な状態であれば、車両を路肩寄りの車線に移動させるので、更に異常が発生した場合により安全な場所に車両を導くことができる。安全な場所の優先順位としては、安全な方から順に、停車帯、路肩、路肩寄りの車線、追い越し車線である。車両を路肩寄りの車線に移動させることで、安全な場所までの距離を短くすることができるので、安全を担保した磁土運転を継続することができる。
蓄電装置のSOCに応じてフェールオペレーションモードを設定する一つの態様として、モード設定部102は、車両に搭載されているエンジンの始動を抑制する。正常状態の電源が蓄電装置のみとなるので、エンジンを始動しても発電装置による発電を行うことができない。一方、エンジンの始動には電力を消費するため、エンジンの始動を抑制することで、無駄な電力消費を抑制することができる。エンジンの始動を抑制する一つの態様としては、エンジンの始動を禁止することが挙げられる。エンジンの始動を抑制する別の態様としては、発電目的でのエンジン始動を禁止することが挙げられる。プラグインハイブリッド車両のように蓄電装置の容量が大きい場合は、エンジンの始動による電力消費を抑制するよりは、駆動力や暖房等のように発電目的以外でのエンジン始動を許可することで、安全な場所への移動や、視界・利便性を確保することができる。
蓄電装置のSOCに応じてフェールオペレーションモードを設定する一つの態様として、モード設定部102は、自動運転による退避走行に不要な負荷への電力供給を停止する。エアコンやオーディオといった自動運転による退避走行に不要な負荷への電力供給を停止することで、自動運転による退避走行の走行距離を伸ばすことができる。
蓄電装置のSOCに応じてフェールオペレーションモードを設定する一つの態様として、モード設定部102は、正常状態にある蓄電装置が1つのみ、又は正常状態にある蓄電装置のSOC合算量が所定量より少なくなった場合に、正常状態にある蓄電装置のSOCから推定して移動可能であって安全が確保された場所に車両を停止させる。正常状態にある蓄電装置が1つのみとなると、冗長性が失われ、その蓄電装置が異常状態に遷移すると自動運転の継続ができなくなる。又、正常状態にある複数の蓄電装置のSOC合算量が自動運転の継続が不可能なほど低下すると、冗長性があっても自動運転ができなくなる。一方、蓄電装置は機構的な不具合が発生し難いため電力を継続的に供給できるので、一定条件下では自動運転を継続した方が好ましい。そこでこの態様では、正常状態にある蓄電装置のSOCから推定して移動可能であって安全が確保された場所に車両を停止させるまでの自動運転を許容する、又は安全が確保された場所に車両を停止できるSOCを保持できなくなる前に停車させる処置をする閾値を設けることで、より安全な場所に車両を導くことができる。
フェールオペレーションモード設定の一つの態様として、状態検出部101が、自動運転に必要な機能群の少なくとも1つに電力を供給する正常状態の電源が発電装置のみになったことを検出した場合に、モード設定部102は、発電装置による発電を継続させつつ、車速を制限するか又は電気負荷の高い装置の作動を制限する。個別のコンポーネントに電力を供給するバックアップの蓄電装置を除き、自動運転に必要な機能群に電力を供給する全ての蓄電装置が異常状態となり、正常状態の電源が発電装置のみになった場合、自動運転は継続できるが、高い負荷が加わることで発電停止や大きな電圧変動が生じる可能性がある。そこで、車速を制限するか又は電気負荷の高い装置の作動を制限することで、電圧降下や発電停止といった事態に陥ることを抑制し、自動運転を継続することができる。
正常状態の電源が発電装置のみになった場合のフェールオペレーションモード設定の一つの態様として、状態検出部101が、自動運転に必要な機能の少なくとも1つに電力を供給する正常状態の電源が発電装置のみになったことを検出した場合に、モード設定部102は、発電装置による発電を継続させつつ、操舵角速度を制限するか、制動力を出力するための負荷発生が重ならないようにする。又、他の高負荷発生とも重ならないようにする。操舵や制動はモータ作動による負荷が高くなる可能性があるので、操舵や制動を制限することで、発電停止といった自体に陥ることを抑制し、自動運転を継続することができる。
フェールオペレーションモード設定の一つの態様として、状態検出部101及びモード設定部102は、自動運転開始時にそれぞれ所定の処理を実行する。手動運転中に電源異常が生じたとしても、自動運転開始時に上記説明した処理を実行することで、運転者がパニックに陥ったとしても円滑に自動運転に移行することができる。
情報提供部103は、状態検出部101が異常状態を検出した場合に、異常状態に応じた情報を提供する部分である。具体的には、異常が発生しても継続走行可能であれば、修理対応可能なディーラー等の店舗に関する情報を提供する。継続走行が難しく停車する場合は、レッカーサービスに関する情報を提供する。
続いて、図2、図3、図4を参照しながら、走行制御装置10が制御対象とする自動運転システムにおける動力系構成の一例を説明する。図2、図3、図4は、自動運転システムに用いられる電源及び負荷の動力系構成例を説明するための図である。
図2に示される動力系構成20は、蓄電装置201と、負荷202と、オルタネータ203と、スタータモータ204と、蓄電装置205と、を備えている。動力系構成20は更に、電圧計206と、電流計207と、電流計208と、を備えている。動力系構成20は、図示しないエンジンで駆動する車両に適用される。
図3に示される動力系構成22は、蓄電装置221と、負荷222と、キャパシタ223と、蓄電装置224と、を備えている。動力系構成22は更に、電圧計225と、電流計226と、電流計227と、を備えている。動力系構成22は、図示しないモータで駆動する電動車両に適用される。
図4に示される動力系構成24は、互いにDC/DCコンバータ244で繋がれた低圧側回路及び高圧側回路を含んでいる。低圧側回路は、蓄電装置241と、負荷242と、キャパシタ243と、電圧計254と、電流計255と、を備えている。高圧側回路は、蓄電装置245と、負荷246と、キャパシタ247と、インバータ248と、インバータ249と、電流計256と、電圧計257と、を備えている。
インバータ248には、発電装置であるモータジェネレータ250が繋がれている。モータジェネレータ250は、発電及び力行に用いられる。インバータ249には、モータジェネレータ251が繋がれている。モータジェネレータ251は、力行及び回生に用いられる。モータジェネレータ250及びモータジェネレータ251は、遊星歯車252を介してエンジン253と繋がれている。動力系構成24は、ハイブリッド車両に適用される。
続いて、図5、図6、図7を参照しながら、走行制御装置10が制御対象とるす、自動運転システムの一例を説明する。図5、図6、図7は、自動運転システムにおける電力供給において、複数の蓄電装置全てが異常であると判断する場合を説明するための図である。
図5に示される自動運転システム30は、認知機能群301と、判断機能群302と、操作機能群303と、発電装置304と、蓄電装置305と、を備えている。認知機能群301、判断機能群302、及び操作機能群303は、自動運転に必要な機能群を構成している。
認知機能群301には、カメラ装置、ミリ波装置、LIDAR装置、ソナー装置等が含まれる。認知機能群301が認知した情報は、判断機能群302に出力される。判断機能群302には、各種ECUが含まれる。判断機能群302によって判断された情報は、操作機能群303に出力される。操作機能群303には、電動ブレーキ装置、電動ステアリング装置、エンジン関係装置が含まれる。
認知機能群301、判断機能群302、及び操作機能群303には、複数の発電装置304及び複数の蓄電装置305から電力が供給されている。複数の蓄電装置305が全て異常状態となると、状態検出部101は、全ての蓄電装置が異常状態になったものと判断する。
図6に示される自動運転システム32は、認知機能群321,322と、判断機能群323と、操作機能群324と、発電装置325と、蓄電装置326,327と、を備えている。認知機能群321,322、判断機能群323、及び操作機能群324は、自動運転に必要な機能群を構成している。
認知機能群321は、カメラ装置を含んでいる。認知機能群322には、ミリ波装置、LIDAR装置、ソナー装置等が含まれる。認知機能群321,322が認知した情報は、判断機能群323に出力される。判断機能群323には、各種ECUが含まれる。判断機能群323によって判断された情報は、操作機能群324に出力される。操作機能群324には、電動ブレーキ装置、電動ステアリング装置、エンジン関係装置が含まれる。
認知機能群321,322、判断機能群323、及び操作機能群324には、複数の発電装置325及び複数の蓄電装置326から電力が供給されている。認知機能群321には、蓄電装置327からも電力が供給されている。蓄電装置327は、認知機能群321にのみ電力を供給するものであり、他の機能群には電力を供給することができない。この場合、複数の蓄電装置326が全て異常状態となると、状態検出部101は、全ての蓄電装置が異常状態になったものと判断する。
図7に示される自動運転システム34は、認知機能群341と、判断機能群342と、操作機能群343と、発電装置344と、蓄電装置345と、発電装置346と、蓄電装置347と、を備えている。認知機能群341、判断機能群342、及び操作機能群343は、自動運転に必要な機能群を構成しており、図5を参照しながら説明した認知機能群301、判断機能群302、及び操作機能群303と機能的には同等であるので、個別の説明を省略する。
認知機能群341には、複数の発電装置344及び複数の蓄電装置345から電力が供給されている。判断機能群342及び操作機能群343には、複数の発電装置346及び複数の蓄電装置347から電力が供給されている。複数の発電装置344及び複数の蓄電装置345からの電力供給系統と、複数の発電装置346及び複数の蓄電装置347からの電力供給系統とは分かれており、それぞれが分担する機能群にのみ電力を供給している。この場合に、複数の蓄電装置345が全て異常状態となると、状態検出部101は、全ての蓄電装置が異常状態になったものと判断する。複数の蓄電装置347が正常状態であっても、認知機能群341には電力供給ができないため、認知機能群341は複数の発電装置344のみから電力供給を受けることになるためである。
続いて、図8を参照しながら、走行制御装置10の制御処理について説明する。ステップS101では、状態検出部101が、電源の異常を検出する。ステップS101に続くステップS102では、情報提供部103が、電源の異常を知らせるためミルを点灯する。
ステップS102に続くステップS103では、状態検出部101が、電源の少なくとも1つが異常状態であり、1つ以上の蓄電装置及び1つ以上の発電装置が正常状態であるか否かを判断する。1つ以上の蓄電装置及び1つ以上の発電装置が正常状態であれば、ステップS104の処理に進む。1つ以上の蓄電装置及び1つ以上の発電装置が正常状態でなければ、ステップS105の処理に進む。
ステップS104では、蓄電・発電処理を実行する。ステップS104の蓄電・発電処理について、図9を参照しながら説明する。
ステップS121では、モード設定部102が、エンジンを始動状態とする。ステップS121に続くステップS122では、モード設定部102が、エンジンの停止を禁止する。
ステップS122に続くステップS123では、状態検出部101が、目標SOCを上昇させる。ステップS123に続くステップS124では、状態検出部101が、SOCを検出する。
ステップS124に続くステップS125では、状態検出部101が、目標SOCよりも検出SOCが下回っているか判断する。目標SOCよりも検出SOCが下回っていれば、ステップS126の処理に進む。目標SOCよりも検出SOCが下回っていなければ、処理を終了し図8のフローチャートに戻る。
ステップS126では、モード設定部102が、発電装置を駆動して発電を行い、蓄電装置のSOCを上昇させる。ステップS126の処理終了後、図8のフローチャートに戻る。
図8において、ステップS105では、状態検出部101が、正常電源が蓄電装置のみであるか否かを判断する。正常電源が蓄電装置のみであれば、ステップS106の処理に進む。正常電源が蓄電装置のみでなければ、ステップS109の処理に進む。
ステップS106では、状態検出部101が、2つ以上の蓄電装置が異常状態であるか否かを判断する。2つ以上の蓄電装置が異常状態であれば、ステップS107の処理に進む。2つ以上の蓄電装置が異常状態でなければ、ステップS108の処理に進む。
ステップS107では、多重異常蓄電処理を実行する。ステップS107の多重異常蓄電処理について、図10を参照しながら説明する。多重異常蓄電処理を実行する状況では、発電装置が全て異常状態であり、蓄電装置は正常状態であるものも存在するものの、異常状態の蓄電装置が複数存在する。従って、正常状態の蓄電装置を有効に使った退避走行を行うことになる。
図10のステップS141では、状態検出部101が、周囲状況を取得する。ステップS141に続くステップS142では、状態検出部101が正常状態にある蓄電装置のSOCを検出する。ステップS142に続くステップS143では、モード設定部102が、検出SOCで移動可能な範囲で安全な位置に目的地を修正する。ステップS143の処理終了後、図8のフローチャートに戻る。
ステップS108では、蓄電処理を実行する。ステップS108の蓄電処理について、図11、図12、図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19を参照しながら説明する。
図11のステップS161では、状態検出部101が、周囲状況を取得する。ステップS161に続くステップS162では、路線状況取得処理を実行する。ステップS162の路線状況取得処理について、図12及び図13を参照しながら説明する。図13は、路線状況取得処理を実行するために必要な機能的構成要素を説明する図である。図13に示されるように、走行制御装置10が搭載されている車両には受信装置131及びナビゲーションシステム132が搭載されている。
図12のステップS181では、受信装置131が衛星133から送信される電波を受信する。ステップS181に続くステップS182では、受信装置131が現在の場所を決定する。ステップS182に続くステップS183では、ナビゲーションシステム132が、地図情報を取得する。地図情報には、車線の位置情報、車線の用途情報が含まれる。ステップS183に続くステップS184では、道路内の自車位置を決定する。ステップS184の処理が終了すると、図11のフローチャートに戻る。
路線状況取得処理は、図12及び図13を参照しながら説明した態様に限られるものではない。図14に示されるように、車両に搭載されるカメラ141で、「バスレーン」といった車線用途情報143を取得したり、標識142の情報を検出したりすることができる。この場合も、道路内の自車位置を決定することができる。また、図15に示されるように、道路に埋め込まれた情報送信装置152から送信される道路情報を、車両に搭載される受信装置151によって受信し、道路内の自車位置を決定することも可能である。
図11のステップS163では、モード設定部102が、路肩側の車線にいるか否かを判断する。路肩側の車線にいれば処理を終了し、図8のフローチャートに戻る。路肩側の車線にいなければステップS164の処理に進む。
ステップS164では、モード設定部102が、車線変更可否判断処理を実行する。ステップS164の車線変更可否判断処理について、図16を参照しながら説明する。
図16のステップS201では、路線情報取得処理を実行する。路線情報取得処理は、図12から図15を参照しながら説明したものと同様の処理であるのでその説明を省略する。
ステップS201に続くステップS202では、周囲の車両情報を取得する。車内のカメラ、ソナー、ミリ波センサ、LIDAR等、車外の情報、車外のインフラからの他車両の情報等から、全周囲の車両の位置を認識する。
ステップS202に続くステップS203では、状態検出部101が正常な蓄電装置のSOCを取得する。ステップS203に続くステップS204では、モード設定部102が、路線変更の計画を決定する。ステップS204に続くステップS205では、モード設定部102が、計画実行に必要な電力量を算出する。この場合、エンジンの始動を禁止する場合は、駆動力が足りるか否かも算出する。
ステップS205に続くステップS206では、モード設定部102が、計画実行に必要な電力量が検出したSOC未満であるか否かを判断する。計画実行に必要な電力量が検出したSOC未満であれば、ステップS207の処理に進む。計画実行に必要な電力量が検出したSOC未満でなければ、ステップS208の処理に進む。
ステップS207では、車線変更可能と決定し、図11のフローチャートに戻る。ステップS208では、車線変更不可と決定し、図11のフローチャートに戻る。
図11のステップS165では、車線変更可能か否かを判断する。車線変更可能であれば、ステップS166の処理に進む。車線変更不可であれば処理を終了し、図8のフローチャートに戻る。
ステップS166では、モード設定部102が、路肩側に車線変更を行い、図8のフローチャートに戻る。
ステップS108の蓄電処理の別例について、図17を参照しながら説明する。ステップS221では、モード設定部102がエンジンの始動を禁止する。ステップS221の処理が終了すると図8のフローチャートに戻る。
ステップS108の蓄電処理の別例について、図18を参照しながら説明する。ステップS241では、エンジン始動要求を取得する。ステップS242では、エンジン始動要求がSOC増加を目的とするものか否かを判断する。エンジン始動要求がSOC増加を目的とするものであれば、ステップS243の処理に進む。エンジン始動要求がSOC増加を目的とするものでなければ、ステップS244の処理に進む。
ステップS243では、エンジンの始動を禁止し、図8のフローチャートに戻る。ステップS244では、エンジンを始動し、図8のフローチャートに戻る。
ステップS108の蓄電処理の別例について、図19を参照しながら説明する。ステップS261では、エンジン始動禁止処理を実行する。エンジン始動禁止処理としては、図17を参照しながら説明した処理又は図18を参照しながら説明した処理が行われる。
ステップS261に続くステップS262では、車線変更処理を実行する。車線変更処理として、図11を参照しながら説明した処理が行われる。ステップS262の処理が終了すると、図8のフローチャートに戻る。
図8において、ステップS109では、状態検出部101が、正常電源が発電装置のみであるか否かを判断する。正常電源が発電装置のみであれば、ステップS110の処理に進む。正常電源が発電装置のみでなければ、ステップS113の処理に進む。
ステップS110では、状態検出部101が、2つ以上の発電装置が異常状態であるか否かを判断する。2つ以上の発電装置が異常状態であれば、ステップS111の処理に進む。2つ以上の発電装置が異常状態でなければ、ステップS112の処理に進む。
ステップS111では、多重異常発電処理を実行する。ステップS111の多重異常発電処理について、図20、図21、図22を参照しながら説明する。多重異常発電処理を実行する状況では、蓄電装置が全て異常状態であり、発電装置は正常状態であるものも存在するものの、異常状態の発電装置が複数存在する。従って、正常状態の発電装置を有効に使った退避走行を行うことになる。
図20のステップS281では、目的地を修正し、停車場所を決定する。ステップS281に続くステップS282では、停車場所に停車するため、操舵角速度及び制動力を決定する。所定の時間で所定の操舵角を動かすことを決めればよいので、操舵角速度に代えて操舵角を設定してもよい。
ステップS282に続くステップS283では、制動圧の情報を取得する。制動圧とは、ブレーキの制動力を作るために必要な油圧又は負圧である。制動力に対する制動圧は、例えば図23に例示されるようなマップに基づいて算出する。
ステップS283に続くステップS284では、電源電圧を取得する。ステップS284に続くステップS285では、マップに基づいて算出した制動圧よりも、計測された制動圧が下回っているか判断する。マップに基づいて算出した制動圧よりも、計測された制動圧が下回っていれば、ステップS286の処理に進む。マップに基づいて算出した制動圧よりも、計測された制動圧が下回っていなければ、図21のステップS291の処理に進む。
ステップS286では、操舵後電圧推定値が閾値1を下回っているか判断する。操舵後電圧推定値は、図24に例示されるようなマップに基づいて操舵角速度と電圧降下幅との関係から求められる電圧降下幅Δ∨と、ステップS284において取得した電源電圧との差分から算出される。閾値1は、自動運転に必要な機能が停止又は瞬停する電圧として設定される(図25参照)。自動運転に必要な機能とは、操舵等の機能である。操舵後電圧推定値が閾値1を下回っていれば、ステップS287の処理に進む。操舵後電圧推定値が閾値1を下回っていなければ、図22のステップS301の処理に進む。
ステップS287では、操舵角速度を制限する。操舵角速度に基づいて算出される操舵後電圧推定値が、閾値1を下回らないように操舵角速度を制限する。ステップS287に続くステップS288では、制動圧の増加を禁止する。
図21のステップS291では、制動圧の増加を許可する。これは、図20のステップS285において、マップに基づいて算出した制動圧よりも、計測された制動圧が下回っていると判断されたため、制動圧の確保を優先させるためである。
ステップS291に続くステップS292では、閾値2を算出する。図25に示されるように、閾値2は、閾値1に制動圧増加時の電圧降下幅Δ∨pを加えたものである。
ステップS292に続くステップS293では、操舵後電圧推定値が閾値2を下回っているか判断する。操舵後電圧推定値が閾値2を下回っていれば、ステップS294の処理に進む。操舵後電圧推定値が閾値2を下回っていなければ、処理を終了し、図20のステップS289の処理に進む。
ステップS294では、操舵角速度を制限する。操舵角速度に基づいて算出される操舵後電圧推定値が、閾値2を下回らないように操舵角速度を制限する。ステップS294の処理が終了すると、図20のステップS289の処理に進む。
図22のステップS301では、制動圧が閾値3を上回っているか判断する。閾値3は、図26に示されるように、圧力を回復させるためポンプを作動させる圧力である。図26における目標圧力は、正常時に構えておく圧力である。制動圧が閾値3を上回っていれば、処理を終了し、図20のステップS289の処理に進む。制動圧が閾値3を上回っていなければ、ステップS302の処理に進む。
ステップS302では、閾値2を算出する。閾値2の算出は、図21のステップS292と同様であるので説明を省略する。
ステップS302に続くステップS303では、操舵後電圧推定値が閾値2を下回っているか判断する。操舵後電圧推定値が閾値2を下回っていれば、ステップS304の処理に進む。操舵後電圧推定値が閾値2を下回っていなければ、ステップS305の処理に進む。
ステップS304では、制動圧の増加を禁止する。ステップS305では、制動圧の増加を許可する。ステップS304及びステップS305の処理が終了すると、図20のステップS289の処理に進む。
図20のステップS289では、操舵及び制動以外の残余の負荷作動開始を禁止する。尚、必ずしも操舵及び制動以外の負荷全ての作動開始を禁止しなくてもよい場合もある。例えば、機能停止を起こす可能性のある高負荷な、デフォッガやHIDランプといったもののみの作動開始を禁止してもよい。また、操舵及び制動後の電圧から高負荷作動時の電圧降下幅を差し引いた値が閾値1を上回っていれば、操舵及び制動以外の残余の負荷の作動開始を禁止しなくてもよい。ステップS289の処理が終了すると、図8のフローチャートに戻る。
続いて、ステップS111の多重異常発電処理の別例について、図27、図28、図29を参照しながら説明する。ステップS321では、操舵フラグがONになっているか判断する。操舵フラグがONになっていれば、ステップS322の処理に進む。操舵フラグがONになっていなければ、ステップS327の処理に進む。
ステップS322では、制動圧の回復を禁止する。ステップS322に続くステップS323では、高負荷の作動を禁止する。
ステップS323に続くステップS324では、カウントAが閾値Aを上回っているか判断する。カウントAは、操舵の作動タイミングを測るためのカウントである。閾値Aは、操舵作動直後の瞬間的な電圧降下が収まるまでの時間を表すものである。カウントAが閾値Aを上回っていれば、操舵作動直後の瞬間的な電圧降下が収まっているものと判断し、ステップS325の処理に進む。カウントAが閾値Aを上回っていなければ、処理を終了し、図8のフローチャートに戻る。
ステップS325では、操舵フラグをOFFにする。ステップS325に続くステップS326では、カウントAをリセットする。ステップS326の処理が終了すると、図8のフローチャートに戻る。
ステップS327では、制動圧回復フラグがONになっているか判断する。制動圧回復フラグがONになっていれば、ステップS328の処理に進む。制動圧回復フラグがONになっていなければ、ステップS333の処理に進む。
ステップS328では、操舵を禁止する。ステップS328に続くステップS329では、高負荷の作動を禁止する。
ステップS329に続くステップS330では、カウントBが閾値Bを上回っているか判断する。カウントBは、制動の作動タイミングを測るためのカウントである。閾値Bは、制動作動直後の瞬間的な電圧降下が収まるまでの時間を表すものである。カウントBが閾値Bを上回っていれば、制動作動直後の瞬間的な電圧降下が収まっているものと判断し、ステップS331の処理に進む。カウントBが閾値Bを上回っていなければ、処理を終了し、図8のフローチャートに戻る。
ステップS331では、制動圧回復フラグをOFFにする。ステップS331に続くステップS332では、カウントBをリセットする。ステップS332の処理が終了すると、図8のフローチャートに戻る。
ステップS333では、負荷作動フラグがONになっているか判断する。負荷作動フラグがONになっていれば、ステップS334の処理に進む。負荷作動フラグがONになっていなければ、図28のステップS341の処理に進む。
ステップS334では、操舵を禁止する。ステップS334に続くステップS335では、制動圧の回復を禁止する。
ステップS335に続くステップS336では、カウントCが閾値Cを上回っているか判断する。カウントCは、負荷の作動タイミングを測るためのカウントである。閾値Cは、負荷作動直後の瞬間的な電圧降下が収まるまでの時間を表すものである。カウントCが閾値Cを上回っていれば、負荷作動直後の瞬間的な電圧降下が収まっているものと判断し、ステップS337の処理に進む。カウントCが閾値Cを上回っていなければ、処理を終了し、図8のフローチャートに戻る。
ステップS337では、負荷作動フラグをOFFにする。ステップS337に続くステップS338では、カウントCをリセットする。ステップS338の処理が終了すると、図8のフローチャートに戻る。
図28のステップS341では、目的地を修正し、停車場所を決定する。ステップS341に続くステップS342では、停車場所に停車するため、操舵角速度及び制動力を決定する。所定の時間で所定の操舵角を動かすことを決めればよいので、操舵角速度に代えて操舵角を設定してもよい。
ステップS342に続くステップS343では、操舵角速度が閾値1Aを上回っているか判断する。この場合の閾値1Aは、図30に示されるように、電源電圧に対して、操舵しても自動運転に必要な機能が停止又は瞬停しないように、操舵角速度のマップから設定される。尚、操舵角速度は操舵角でもよい。操舵角速度が閾値1Aを上回っていれば、自動運転に必要な機能を停止させるものと判断し、ステップS344の処理に進む。操舵角速度が閾値1Aを上回っていなければ、ステップS348の処理に進む。
ステップS344では、操舵角速度を制限する。ステップS344に続くステップS345では、制動圧の回復を禁止する。ステップS345に続くステップS346では、操舵フラグをONにする。ステップS346に続くステップS347では、カウントAをアップする。ステップS347の処理が終了すると、図27のフローチャートに戻る。
ステップS348では、操舵角速度が閾値2Aを上回っているか判断する。この場合の閾値2Aは、図30に示されるように、電源電圧に対して、操舵及び制動圧の回復をしても自動運転に必要な機能が停止又は瞬停しないか、その他負荷を作動しても自動運転に必要な機能が停止又は瞬停しないように、操舵角速度のマップから設定される。操舵角速度が閾値2Aを上回っていれば、ステップS345の処理に進む。操舵角速度が閾値2Aを上回っていなければ、ステップS349の処理に進む。
ステップS349では、制動圧が閾値3Aを下回っているか判断する。閾値3Aは、図26を参照しながら説明した閾値3と同様に、圧力を回復させるためポンプを作動させる圧力である。図26における目標圧力は、正常時に構えておく圧力である。制動圧が閾値3Aを下回っていれば、ステップS350の処理に進む。制動圧が閾値3Aを下回っていなければ、図29のステップS353の処理に進む。
ステップS350では、制動圧を回復する。ステップS350に続くステップS351では、制動圧回復フラグをONにする。ステップS351に続くステップS352では、カウントBをアップする。ステップS352の処理が終了すると、図27のフローチャートに戻る。
図29のステップS353では、負荷作動要求を取得する。ステップS353に続くステップS354では、負荷作動要求があったか否かを判断する。負荷作動要求があれば、ステップS355の処理に進む。負荷作動要求がなければ、図28のフローチャートに戻る。
ステップS355では、負荷を作動させる。ステップS355に続くステップS356では、負荷作動フラグをONにする。ステップS356に続くステップS357では、カウントCをアップする。ステップS357の処理が終了すると、図28のフローチャートに戻る。
図8のステップS112では、発電処理を実行する。ステップS112の発電処理の一例について、図31を参照しながら説明する。ステップS361では、車速を制限する。ステップS361の処理が終了すると、図8のフローチャートに戻る。
ステップS112の発電処理の別例について、図32を参照しながら説明する。ステップS381では、車速を制限する。ステップS381に続くステップS382では、高負荷の作動を制限する。ステップS382の処理が終了すると、図8のフローチャートに戻る。
図8のステップS113では、電源喪失と判断する。ステップS113に続くステップS114では、自動運転を不可状態にし、処理を終了する。
ステップS104、ステップS107、ステップS108、ステップS111、ステップS112に続くステップS115では、自動運転によるフェールオペレーションを実行する。
図8を参照しながら説明したフェールオペレーションは、特定条件下で実行してもよい。図33に示されるように、ステップS401では、自動運転開始指示があったか否かを判断する。自動運転開始指示があれば、ステップS402の処理に進む。自動運転開始指示がなければ、処理を終了する。ステップS402では、図8を参照しながら説明したフェールオペレーションを実行する。
図8を参照しながら説明したフェールオペレーションに、異常時における処置案内を組み込むことも可能である。図34にその一例を示す。図34においては、図8と同じ参照番号の処理は、既に説明済みであるのでその説明を省略する。
ステップS104に続くステップS421では、ディーラーといった修理可能店舗を案内する。ステップS421の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS107及びステップS108に続くステップS422では、レッカーサービスを案内する。ステップS422の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS111に続くステップS423では、レッカーサービスを案内する。ステップS423の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS112に続くステップS424では、ディーラーといった修理可能店舗を案内する。ステップS424では、レッカーサービスを案内してもよい。ステップS424の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS113に続くステップS425では、レッカーサービスを案内する。ステップS425の処理が終了すると、ステップS114の処理に進む。
図8を参照しながら説明したフェールオペレーションに、更に制限を加えることも可能である。図35にその一例を示す。図34においては、図8と同じ参照番号の処理は、既に説明済みであるのでその説明を省略する。
ステップS102に続くステップS441では、制限Aを実行する。制限Aの具体例は、図36及び図37に示す。ステップS441の処理が終了すると、ステップS103の処理に進む。
ステップS104に続くステップS442では、制限Bを実行する。制限Aの具体例は、図36及び図37に示す。ステップS442の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS107に続くステップS443では、制限Cを実行する。制限Cの具体例は、図36及び図37に示す。ステップS443の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS108に続くステップS444では、制限Dを実行する。制限Dの具体例は、図36及び図37に示す。ステップS444の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS111に続くステップS445では、制限Eを実行する。制限Eの具体例は、図36及び図37に示す。ステップS445の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS112に続くステップS446では、制限Fを実行する。制限Fの具体例は、図36及び図37に示す。ステップS446の処理が終了すると、ステップS115の処理に進む。
ステップS113に続くステップS447では、制限Gを実行する。制限Gの具体例は、図36及び図37に示す。ステップS447の処理が終了すると、ステップS114の処理に進む。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。