以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る、シェル分離装置20の外周面シェル分離機構40について、図1乃至図4を参照しながら説明する。
発明の理解を容易にするため、シェル分離装置20の外周面シェル分離機構40を説明する前に、シェル分離装置20と組み合わされる一般的な間接押出プレス装置1と、間接押出プレス装置1において、ビレットの材質が銅や銅合金の場合に、押出工程完了後に行われるコンテナ内周面の、従来のシェルの除去工程を、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1に示すように、エンドプラテン11とメインシリンダハウジング4とが、4本のタイロッド3によって連結されている。そして、ダイステム8がその基部をダイステムホルダ9により支持され、エンドプラテン11のコンテナ12側の面に突出するように配置されている。また、メインクロスヘッド15のコンテナ12側の面に突出するように、先端にラムノーズ7aが装着された押出ステム7が配置されている。なお、図を見易くするため、コンテナ12が収納されるコンテナホルダと、該コンテナホルダをエンドプラテン11に対して離間・接近させるコンテナシリンダ、あるいは、メインクロスヘッド15に接続されるサイドシリンダやメインシリンダについては図示を省略している。以後、間接押出プレス装置1の押出中心の軸線方向において、図1における間接押出プレス装置1のエンドプラテン11側(図1左側)を前方、関連構成のエンドプラテン11への接近を前進とし、メインシリンダハウジング4側(図1右側)を後方、関連構成のエンドプラテン11からの離間を後退とする。
ここで、図1は、押出工程が完了してコンテナ12内周面のシェルの除去を行う前の状態である。この状態において、コンテナ12の後方、すなわち押出ステム7(ラムノーズ7a)側に、直前の押出工程で使用されたフリーダイス10が収納されている。フリーダイス10はダイステム8の先端に固定されない、押出製品の断面形状を模した開口部を備える略円柱形状のダイスである。
フリーダイス10は、後述するシェル分離装置20においてシェルが除去された後、図示しない搬送手段で押出中心まで搬送され、コンテナ12の前進によりコンテナ12に収納される。押出工程中、押出ステム7の押圧により前進するコンテナ12内において、フリーダイス10は、不動のダイステム8とビレットとに挟持され、フリーダイス10に押圧されたビレットが、フリーダイス10の開口部からダイステム8の中空部を経由して、エンドプラテン11前方の図示しない開口部より押出製品として連続して押出成形される。
また、間接押出プレス装置1の側方(図1下方)にはシェル分離装置20が配置される。シェル分離装置20は、端面シェル分離機構30と外周面シェル分離機構40とを備える。
次に、図2を参照しながら、間接押出プレス装置1において、押出工程完了後に行われる、コンテナ内周面のシェルの従来の除去工程について説明する。図2(a)~(f)は、従来の除去工程を説明するための、間接押出プレス装置1において不動のダイステム8を基準にした、コンテナ12及び関連構成の移動を示した概略側面図(一部断面図)である。
図2(a)は押出工程完了時を示す。押出ステム7の先端に装着されたラムノーズ7aはコンテナ12のビレット装填孔12aに挿入可能な内径の小径部と、ビレット装填孔12aの内径より十分に大きい大径部とを備えており、図示しないメインラム及びサイドシリンダが発生する押出力を、メインクロスヘッド15及び押出ステム7を介してコンテナ12に作用させ、コンテナ12を前進させることができる。
コンテナ12内のビレットが所定厚みに到達する位置までコンテナ12を前進させると、コンテナ12を停止させる(押出工程完了)。このとき、フリーダイス10及びラムノーズ7a間に残ったビレットをディスカード(符号:13a)と呼称する。また、コンテナ12内周面には先に説明したシェル14が付着している。なお、図を見易くするため、フリーダイス10から押出成形された押出製品の図示は省略している。
次に、押出ステム7を後退(図示せず)させた後、図2(b)に示すように、コンテナストッパ12bを待機位置から降下させた後、コンテナ12を前進させてコンテナストッパ12bに当接させる(実際にコンテナストッパ12bに当接させるのは図示しないコンテナホルダ)。これにより、フリーダイス10の端面とコンテナ12の後方端面とが面一になり、ディスカード13aのみがコンテナ12から突出するようにコンテナ12の位置決めが行われる。このとき、ディスカード13aはコンテナ12内においてシェル14から分離される。その後、コンテナホルダ上方に配置されたシャー装置(共に図示せず)のシャー刃13を下降させてフリーダイス10の端面からディスカード13aを切断・分離させる。
図示はしていないが、フリーダイス10の開口部を介してディスカード13aと連続していた押出製品は、このディスカード13aの分離の後、エンドプラテン11側から後面設備へと搬送される。具体的には、エンドプラテン11側から図示しないプラー(製品引き抜き装置)等により押出製品をフリーダイス10から引き抜く、あるいは、図示しない製品突き出し装置により、フリーダイス10の開口部内の押出製品端部をエンドプラテン11側に突き出して搬送ローラ等の搬送手段による搬送を可能にする等の対応がなされる。
次に、図2(c)に示すように、コンテナ12を後退させて、ダイステム8及びコンテナ12間の押出中心に、図示しない搬送手段によりクリーンアウトディスク12cを搬送させる。その後、押出ステム7を前進させてコンテナ12を前進させる。クリーンアウトディスク12cは、コンテナ12内周面に付着したシェル14を掻き取るための部材であって、コンテナ12のビレット装填孔12aの内径と略同じ外径を有する。なお、図1は、図2(c)において、クリーンアウトディスク12cが押出中心に搬送される前の状態である。
コンテナ12を前進させると、図2(d)に示すように、クリーンアウトディスク12cがダイステム8に当接し、コンテナ12のビレット装填孔12aに収納される。ダイステム8は不動であるため、コンテナ12の前進に伴い、コンテナ12内周面に付着したシェル14はクリーンアウトディスク12cに掻き取られるとともに、掻き取られたシェル14はクリーンアウトディスク12c及びフリーダイス10の間に貯留される。
さらにコンテナ12を前進させると、図2(e)に示すように、クリーンアウトディスク12c及びフリーダイス10の間に貯留されたシェル14が、クリーンアウトディスク12c及びフリーダイス10の間で圧縮されるともに、この過程において、シェル14がコンテナ12のビレット装填孔12aの内周面及びフリーダイス10の外周面との間にも侵入する。その結果、コンテナ12内で、フリーダイス10、シェル14(圧壊シェル)およびクリーンアウトディスク12cの3部材が一体化した状態となる。この3部材(以後、使用済フリーダイス10a)が一体化した状態の全長を所定の精度で管理することが、後述するシェル分離装置20の構成に有効であるため、使用済フリーダイス10aの全長が予め設定した全長Lに到達する位置までコンテナ12を前進させる。
次に、図2(f)に示すように、使用済フリーダイス10aを載置可能な載置部12dを備える図示しない搬送手段により、予め、載置部12dを押出中心まで移動させておく。該搬送手段は、特許文献2のダイアンローダのように、コンテナ12(コンテナホルダ)に配置された押出中心と直交する水平案内部に、新しいダイスや使用済ダイスを載置可能な載置部を備え、該載置部を任意に移動可能な搬送手段であっても良い。
そして、押出ステム7を後退(図示せず)させた後、コンテナ12を前進させてダイステム8により使用済フリーダイス10aをコンテナ12から押し出して載置部12dに載置させる。このようにして、押出工程完了後に行われる従来のコンテナ内周面のシェルの除去においては、ダイス、シェル(圧壊シェル)およびクリーンアウトディスクの3部材が一体化した状態でコンテナ内から排出される。その後、図示しない搬送手段の載置部12dを間接押出プレス装置1の押出中心から機外へ移動させて、載置された使用済フリーダイス10aが、図示しない搬送手段により、シェル分離装置20に搬送される。
引き続き、シェル分離装置20において行われる、使用済フリーダイス10aのシェル14の除去について、図3及び図4を参照しながら説明する。必要に応じて、図1及び図2も参照されたい。
図3(a)はシェル分離装置20の概略平面図である。シェル分離装置20は、端面シェル分離機構30と外周面シェル分離機構40とを備える。間接押出プレス装置1から排出された使用済フリーダイス10aは、図示しない搬送手段により、端面シェル分離機構30の端面シェル分離位置31に載置される。このとき、使用済フリーダイス10aは、その中心軸が、端面シェル分離位置31を挟んで対向配置されたダイス搬送シリンダ32a、32bのシリンダロッドの摺動軸線と一致するように端面シェル分離位置31に載置される。これら軸線の一致を容易にするための断面V字形状等の凹部が、端面シェル分離位置31に形成されても良い。
そして、使用済フリーダイス10aは、対向配置されたダイス搬送シリンダ32a、32bのシリンダロッド先端にそれぞれ配置された保持部33a、33bにより挟持された状態で、ダイス両端面シェル除去スリット34に対して、所定の精度で管理された使用済フリーダイス10aの全長Lに基づき、使用済フリーダイス10aのフリーダイス10の部分が対向するように位置決めされる。
また、端面シェル分離位置31に載置され、ダイス両端面シェル除去スリット34に対して位置決めされた使用済フリーダイス10aのフリーダイス10の部分を、ダイス両端面シェル除去スリット34側に押圧可能に、ダイス押圧シリンダ35が配置されている。
ダイス搬送シリンダ32a、32bは、油圧シリンダ等の流体シリンダである。一方、シェル分離装置20には、ダイス搬送シリンダ32a、32bのそれぞれの保持部33a、33b等、可動部分の位置を検出可能に位置センサ等(図示せず)が配置されている。これら構成と、両ダイス搬送シリンダのシリンダロッド前進時の押圧力や、シリンダロッド後退時の背圧が個別に制御される構成とにより、所定位置における使用済フリーダイス10a等の位置決めや、使用済フリーダイス10a等を挟持した状態での所定位置までの搬送が可能である。
ダイス両端面シェル除去スリット34は、シェル14が付着していない状態のフリーダイス10の全長と略同じ幅のスリット(隙間)が形成されるように、平行に立設された2つの直方体である。そして、ダイス両端面シェル除去スリット34の2つの該直方体間には傾斜ガイド部材36が配置され該直方体間の底部を形成している。
ダイス押圧シリンダ35は、油圧シリンダ等の流体シリンダであって、そのシリンダロッド35aの摺動軸線が、端面シェル分離位置31に載置された使用済フリーダイス10aの中心軸と略同じ高さになるように、且つ、ダイス搬送シリンダ32a、32bのシリンダロッドの摺動軸線と直交するように配置される。図4(b)に示すように、ダイス押圧シリンダ35のシリンダロッド35aの先端に、使用済フリーダイス10aの外径と略同じあるいはわずかに大きな内径の凹部が形成され、ダイス両端面シェル除去スリット34のスリット間に挿入可能な当接部35bを配置させることが好ましい。
端面シェル分離機構30の端面シェル分離位置31における、使用済フリーダイス10aの両端面のシェル14の除去について、図3(b)を参照しながら説明する。図3(b)は図3(a)の要部Xでもある。
図3(b)に示すように、端面シェル分離位置31において、ダイス両端面シェル除去スリット34に対して位置決めされた使用済フリーダイス10aは、シェル・CD押えシリンダ37aにより駆動されるシェル・CD押え部37により、シェル14(圧壊シェル)及びクリーンアウトディスク12cの部位が上方から押圧され端面シェル分離位置31に固定される。図示しない搬送手段による端面シェル分離位置31への使用済フリーダイス10aの搬送時は、シェル・CD押え部37を上方に傾転させて端面シェル分離位置31から退避させているため、使用済フリーダイス10aの搬送の障害になることはない。
使用済フリーダイス10aがシェル・CD押え部37により押圧され、端面シェル分離位置31に固定された後、ダイス搬送シリンダ32a、32bのヘッド側の圧力を開放し、使用済フリーダイス10aの挟持状態を解除する。その後、ダイス押圧シリンダ35のシリンダロッド35aを前進させて、シリンダロッド35a(当接部35b)を使用済フリーダイス10aのフリーダイス10の部分に当接させて押圧し、フリーダイス10を使用済フリーダイス10aから分離する。そして、フリーダイス10がダイス両端面シェル除去スリット34を通過するまで、フリーダイス10の部分のダイス両端面シェル除去スリット34への押圧を継続する。
このように、フリーダイス10を押圧させて、ダイス両端面シェル除去スリット34に通過させることによって、図2(b)に示したディスカード13aの切断・分離後も、完全に分離できずにフリーダイス10の端面に残っているディスカード13aの一部や、圧壊シェル(シェル14)側のフリーダイス10の端面に残っている圧壊シェルの一部をフリーダイス10の両端面から分離することができる。なお、ダイス両端面シェル除去スリット34を通過後のフリーダイス10の外周面にはシェル14が付着した状態である。このような、フリーダイス10の両端面のシェル14の除去は、基本的には、特許文献3の方法及び装置に開示されている端面シェル分離機構と同じである。本発明に係る、間接押出プレス装置のシェル分離装置においては、端面シェル分離機構について、上記したような機構や異なる公知の機構が組み込まれれば良い。
両端面からシェル14等が分離されたフリーダイス10は、ダイス両端面シェル除去スリット34の2つの直方体間の底部を形成している傾斜ガイド部材36に載置される。従来は、両端面のシェル等を除去したフリーダイス10aを機外に搬出させて、人手により、フリーダイス10の外周面に付着したシェル14を除去する作業が行われている。一方、本発明においては、フリーダイス10は、傾斜ガイド部材36の傾斜面を転がって、外周面シェル分離機構40のダイス載置部材41に載置される。
なお、フリーダイス10が分離された使用済フリーダイス10aは実質的にシェル14(圧壊シェル)及びクリーンアウトディスク12cとなる。これら部位は、シェル・CD押え部37により端面シェル分離位置31に固定されているため、ダイス押圧シリンダ35によるフリーダイス10の押圧時も位置変動はない。そのため、図3(b)に2点鎖線で示すように、シェル14(圧壊シェル)及びクリーンアウトディスク12cは、再び、ダイス搬送シリンダ32a、32bの保持部33a、33bにより挟持され、シェル分離機構20のシェル・クリーンアウトディスク分離機構50へと搬送される。
シェル・クリーンアウトディスク分離機構50は、端面シェル分離機構30と同様な構成を備える。シェル14(圧壊シェル)及びクリーンアウトディスク12cは、シェル・クリーンアウトディスク分離機構50において分離され、シェル14は機外へと搬出され、クリーンアウトディスク12cは再利用に供される。これらの詳細については本発明との直接的な関係がないため説明は省略する。
引き続き、外周面シェル分離機構40における、使用済フリーダイス10aから分離させたフリーダイス10の外周面のシェル14の除去について、図4を参照しながら説明する。図4(a)は図3(a)のA-A矢視図であり、外周面シェル分離機構40の概略側面図でもある。図4(b)は図4(a)のB-B矢視図である。
ダイス両端面シェル除去スリット34を通過させて、傾斜ガイド部材36に載置されたフリーダイス10は、図4(b)に示すように、傾斜ガイド部材36の傾斜面を転がってダイス載置部材41に載置される。ダイス載置部材41には、フリーダイス10が、その中心軸を水平に、その直径方向に移動不能に、且つ、その中心軸方向に移動可能に載置させるための載置溝41aが形成されている。また、フリーダイス10の中心軸を水平に保った状態で、フリーダイス10が傾斜ガイド部材36の傾斜面を転がるように、フリーダイス10の両端面側に転倒防止部材(図示せず)が配置されている。
また、ダイス載置部材41の一方の側に支持部材45が固定され、ダイス載置部材41の他方の側に外周面シェル分離シリンダ44が配置されている。外周面シェル分離シリンダ44は、油圧シリンダ等の流体シリンダである。
支持部材45は、シェル14が付着していないフリーダイス10の外径と同じ内径の内周面が形成された貫通孔部46aを備える外周面シェル分離部材46を支持する部材である。具体的には、支持部材45は、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aの中心軸が、ダイス載置部材41に載置されたフリーダイス10(外周面にシェル14が付着している)の中心軸と同軸になるように外周面シェル分離部材46を支持する。
ここで、外周面にシェル14が付着したフリーダイス10と付着していないフリーダイス10とでは、それぞれの中心軸が、少なくともシェル14の径方向の厚み分異なる。一方、シェル14の付着状態や、付着したシェル14の径方向の厚みにはバラつきがあるため、ダイス載置部材41に載置されたフリーダイス10の中心軸も、押出工程毎に少しではあるがバラつく。
一方、貫通孔部46aの内周面における、シェル14が付着していないフリーダイス10の外径と同じ内径とは、シェル14が付着したフリーダイス10が、貫通孔部46aを大きな押圧力を必要とせずスムーズに通過することができる内径であることが望ましい。しかしながら、上記のような、ダイス載置部材41に載置されたフリーダイス10の中心軸の押出工程毎のバラつきが考慮された上で、シェル14が付着したフリーダイス10が、外周面シェル分離シリンダ44による押圧により、貫通孔部46aを通過することができる内径を除外するものではなく、実質的にフリーダイス10の外径と同じ内径である。
また、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aの中心軸も、ダイス載置部材41に載置されたフリーダイス10の中心軸と上記のようなバラつきを含めて、実質的に同軸になるように支持されれば良い。
このような構成において、ダイス載置部材41に載置された、外周面にシェル14が付着したフリーダイス10を、外周面シェル分離シリンダ44のシリンダロッド44aを前進させて、シリンダロッド44aの先端に配置させた押圧部材44bをフリーダイス10の一方の端面に当接させる。そして、フリーダイス10の他方の端面を、支持部材45に支持された外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aに当接させ、押圧させる。
外周面シェル分離部材46は、その貫通孔部46aの中心軸が、ダイス載置部材41に載置されたフリーダイス10の中心軸と上記したように同軸になるように支持部材45に支持されている。そのため、フリーダイス10を貫通孔部46aに当接させ、そのまま、外周面シェル分離シリンダ44のシリンダロッド44aによる押圧を継続させて、貫通孔部46aの内周面を通過させることにより、フリーダイス10の外周面に付着したシェル14は、まず、押圧された貫通孔部46aの開口端部において掻き取られ、さらに、貫通孔部46aの内周面を通過させる際に、該内周面とフリーダイス10の外周面との接触により剥ぎ取られる。これら、フリーダイス10の外周面から除去されたシェル14はダイス載置部材41に残される。
外周面に付着したシェル14が除去されたフリーダイス10は、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aを通過させた後、そのまま、外周面シェル分離シリンダ44のシリンダロッド44aの前進により、ダイス上昇シリンダ48の載置部48aまで移動される。その後、フリーダイス10は、ダイス上昇シリンダ48の載置部48aを上昇させて、図示しない搬送手段による回収位置に移動される。
なお、図示はしていないが、ダイス上昇シリンダ48の載置部48aや、支持部材45の、フリーダイス10を通過させるための中空部分の下方にも、ダイス載置部材41の載置溝41aと同様に、フリーダイス10が、その中心軸を水平に、その直径方向に移動不能に、且つ、その中心軸方向に移動可能に載置させる凹部が連続して形成されることが、外周面シェル分離シリンダ44によるフリーダイス10の中心軸方向への押圧・移動のために好ましい。
これまで説明したように、第1実施形態における、フリーダイス10の外周面に付着したシェル14の除去は、フリーダイス10の中心軸上において、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aにフリーダイス10を当接させ押圧させて行われる。そのため、外周面シェル分離シリンダ44による押圧力を、貫通孔部46aの内周面内縁と、フリーダイス10の外周面とに均等に作用させることができる。
一方、特許文献2に開示されている特殊な装置(シェルスカルピング装置)は、円筒形状のブレードを、ダイスに対して押圧・移動させるため、円筒形状のブレードの、ダイスの中心軸から離間した箇所、すなわち、円筒形状のブレードにおける、ダイス中心軸から偏心した位置を、油圧シリンダ等により押圧・移動させざるを得ず、油圧シリンダ等による押圧力を、円筒内縁と、ダイス外周面とに均等に作用させることが困難である。
このような、ダイス中心軸から偏心させて円筒形状のブレードを押圧・移動させる形態において、押圧力を円筒内縁とダイス外周面とに均等に作用させようとすると、円筒形状のブレードを移動させる構成の、円筒形状のブレードの移動及び支持剛性を非常に高くする必要がある。これは、特許文献3に開示されている装置のような、外周面シェル分離機構40、あるいは、外周面シェル分離機構40を有するシェル分離装置20の大型化・複雑化を招く。これに対して、第1実施形態の外周面シェル分離機構40は、図4に示すような簡易な構造で、且つ、コンパクトな構造で、ダイス外周面に付着したシェルを分離することができる。
ここで、ダイス載置部材41の一端には支持軸41bが貫通しており、支持軸41bの一端は、リンク41cを介して傾転シリンダ42のシリンダロッドに接続されている。傾転シリンダ42のシリンダロッドを戻り限位置(下降限位置)に保持させることにより、ダイス載置部材41が水平に保持される。一方、傾転シリンダ42のシリンダロッドを前進(上昇)させることにより、リンク41cを介して支持軸41bを回転させてダイス載置部材41を下方に傾転させることもできる。また、支持軸41bの他端にはかさ歯車41dが配置されている。このかさ歯車41dは、ダイス両端面シェル除去スリット34の2つの該直方体間において上方に傾転可能に構成された傾斜ガイド部材36の支持軸36bの一端に配置されたかさ歯車36dと噛み合いマイタ歯車を構成する。
マイタ歯車は、同じ仕様のかさ歯車が45度で噛み合う構成である。これら構成により、第1実施形態のシェル分離装置20においては、使用済みフリーダイス10a(フリーダイス10)の端面や外周面のシェルを除去した後、傾斜ガイド部材36を上方に、ダイス載置部材41を下方に、1つの駆動源である傾転シリンダ42により同時に傾転させて、それぞれの部材上に残されたシェル等のコンタミを、下方に配置されたスクラップバケット21に排出させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る、シェル分離装置20の外周面シェル分離機構40について、図5および図6を参照しながら説明する。
第2実施形態に係る、シェル分離装置20の外周面シェル分離機構40は、外周面シェル分離機構部材40における、フリーダイス10の外周面に付着したシェル14の除去をより確実にするために、第1実施形態に係る外周面シェル分離部材46や、外周面シェル分離部材46の支持形態に備えられることが好ましい構成を含む。これ以外の構成については、第1実施形態に係る、シェル分離装置20の外周面シェル分離機構40と同じ構成とし、各構成の説明は省略する。そのため、必要に応じて、図1乃至図4も参照されたい。
図5は、第2実施形態に係る、シェル分離装置20の外周面シェル分離機構40における、外周面シェル分離部材46の概略部分断面図であり、図4(b)のC-C矢視断面図でもある。
図5に示すように、外周面シェル分離部材46の、貫通孔部46aのダイス載置部材41側の開口部、すなわち、外周面にシェル14が付着した状態のフリーダイス10が当接され、押圧される側の開口部に、ダイス載置部材41側に向かって拡張するテーパ面141が形成されている。先に説明したように、押出工程毎にダイス載置部材41に載置されたフリーダイス10の中心軸がバラつき、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aの中心軸と同軸にならない場合であっても、テーパ面141はフリーダイス10を貫通孔部46aの内周面へと案内する。
フリーダイス10はその一方の端面に、外周面シェル分離シリンダ44のシリンダロッド44aの先端に配置させた押圧部材44bを当接させて押圧される。このとき、フリーダイス10の端面と押圧部材44bとの間に摩擦力が発生するものの、押圧部材44bに対する、フリーダイス10の径方向への移動は拘束されていない。そのため、フリーダイス10は、押圧部材44bにより押圧されつつ、テーパ面141に案内されて、押圧部材44bに対して径方向への移動が許容され、貫通孔部46aの内周面へと案内される。
また、図4(b)に示すように、外周面シェル分離部材46に、外周面シェル分離部材46の外面から貫通孔部46aの内周面に連通する不連続部46bが1個所形成されても良い。例えば、ダイス載置部材41に載置されたフリーダイス10の中心軸が、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aの中心軸と同軸にならない場合であっても、外周面シェル分離シリンダ44による貫通孔部46aへのフリーダイス10の押圧によって、外周面シェル分離部材46の弾性域内で、不連続部46bの対向面(図5に示す、外周面シェル分離部材46の断面)が離間することが許容され、貫通孔部46aの実質的な内径がわずかに拡大された貫通孔部46aにフリーダイス10通過させることができる。これにより、フリーダイス10の外周面に付着したシェル14が剥ぎ取られる。
そして、図5に示すように、外周面シェル分離部材46を、ダイス載置部材41側で支持する支持部材45は、外周面シェル分離部材46を、外周面シェル分離シリンダ44によるフリーダイス10の押圧方向に移動不能に、且つ、フリーダイス10の径方向上に移動可能に弾性支持する形態が採用されても良い。具体的には、支持部材45のダイス載置部材41側に、支持部材45とは別体の弾性支持部材145が配置されている。
弾性支持部材145のダイス載置部材41側の面に、外周面シェル分離部材46の、ダイス載置部材41側の外縁に形成されているフランジ部46cが面接触しており、外周面シェル分離部材46を、外周面シェル分離シリンダ44によるフリーダイス10の押圧方向に移動不能に支持する。また、弾性支持部材145の上下左右90度ピッチの4か所に、外周面シェル分離部材46を、フリーダイス10の径方向上に移動可能に弾性支持する弾性体145aが配置されている。弾性体145aが配置される4か所の、弾性支持部材145及び外周面シェル分離部材46には、弾性体145aを位置保持する凸部等が形成されている。
このような、支持部材45による外周面シェル分離部材46の支持形態により、押出工程毎にダイス載置部材41に載置されたフリーダイス10の中心軸がバラつき、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aの中心軸と同軸にならない場合であっても、外周面シェル分離部材46は、フリーダイス10の押圧方向には移動せず、フリーダイス10の径方向に移動し、フリーダイス10を貫通孔部46aの内周面へと案内する。
なお、支持部材45による外周面シェル分離部材46の支持形態は、外周面シェル分離部材46を、外周面シェル分離シリンダ44によるフリーダイス10の押圧方向に移動不能に、且つ、フリーダイス10の径方向上に移動可能に弾性支持する形態であれば、例えば、図6に示すような別形態であっても良い。
具体的には、図5に示す弾性支持部材145が、支持部材45と一体あるいは別体で構成され(図6では支持部材45と一体とした。)、外周面シェル分離部材46’のフランジ部46c’が支持部材45に面接触し、弾性体145aがフランジ部46c’のダイス載置部材41側に配置される支持形態である。この支持形態であっても、外周面シェル分離部材46’は外周面シェル分離部材46と同様の作用効果を奏することができる。
また、この外周面シェル分離部材46の支持形態は、先に説明したテーパ面141及び不連続部46bのいずれか一方と、あるいは、双方と組み合わせることにより、フリーダイス10の外周面に付着したシェル14の除去をより確実にすることが期待できる。
一方、図5に示すように、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aの内周面に、環状凹部147が形成されても良い。環状凹部147は、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aと、フリーダイス10の外周面との接触面積を減少させて、フリーダイス10の貫通孔部46aにおける通過抵抗を減少させる。また、フリーダイス10が外周面シェル分離シリンダ44により押圧され、貫通孔部46aを通過する際に、貫通孔部46aの内周面で剥ぎ取られるシェル14を貯留する。これにより、該内周面及びフリーダイス10の外周面間で剥ぎ取られたシェル14が噛み込まれ、あるいは、圧縮されて、フリーダイス10の貫通孔部46aにおける通過抵抗が増加することを抑制する。
さらに、環状凹部147は、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46aにフリーダイス10を押圧させて通過させる際、フリーダイス10の通過方向の角部147aが、フリーダイス10の外周面と再び接触することによる、フリーダイス10の外周面に残存するシェル14の再剥ぎ取り作用が期待できる。環状凹部147も、先に説明したテーパ面141、不連続部46b、及び、支持部材45による外周面シェル分離部材46の支持形態のいずれか一つと、あるいは、2つ以上と組み合わせることにより、フリーダイス10の外周面に付着したシェル14の除去をより確実にすることが期待できる。
そして、これまで第2実施形態において説明した、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46a内周面のテーパ面141、外周面シェル分離部材46の不連続部46b、支持部材45による外周面シェル分離部材46の支持形態(弾性支持部材145、弾性体145a等)、及び、外周面シェル分離部材46の貫通孔部46a内周面の環状凹部147は、それぞれの構成や、期待される様々な作用効果を鑑み、また、対象となる間接押出プレス装置1におけるフリーダイス10の外周面へのシェル14の付着状態を鑑み、それぞれの仕様が適宜決定されれば良い。具体的には、テーパ面141のテーパ角や拡張側内径、不連続部46bの位置、弾性体145aの配置、数、弾性力、そして、環状凹部の位置、深さ、幅、数等がその対象となる。
以上、発明を実施するための形態について、第1実施形態及び第2実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された内容を逸脱しない範囲で、色々な形で実施できることは言うまでもない。
例えば、第1実施形態において、コンテナ内周面のシェルの従来の除去工程として、間接押出プレス装置1から排出される、フリーダイス10、シェル14(圧壊シェル)およびクリーンアウトディスク12cの3部材が一体化した状態の使用済フリーダイス10aが、シェル分離装置20の、端面シェル分離機構30の端面シェル分離位置31に載置されてからのシェルの除去工程を説明した。しかしながら、特許文献2の間接押出プレスのシェル圧壊方法およびシェル分離装置に開示されている、押出工程完了後、ディスカードを切断除去したフリーダイスのみを予めコンテナから排出させる形態であっても、該フリーダイスの端面及び外周面にシェルが付着する場合は、シェル分離装置20の、端面シェル分離機構30の端面シェル分離位置31に該フリーダイスを載置させて、先に説明した工程を経て該フリーダイスの端面及び外周面に付着したシェルを除去させても良い。一方、同形態において、該フリーダイスの外周面にのみシェルが付着する場合は、端面シェル分離機構30ではなく、外周面シェル分離機構40のダイス載置部材41に、図示しない搬送手段により該フリーダイスを載置させて、該フリーダイスの外周面に付着したシェルを除去させても良い。