JP6842958B2 - ビレットの挿入方法 - Google Patents

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Description

本発明は押出加工装置のコンテナにビレットを挿入する方法に関する。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、ステムが進んでいく方向を前とし、逆の方向を後とする。
押出加工は、コンテナにビレットを挿入し、ステムの先端に取り付けられたフィックスダミーブロックで密閉した状態で加圧し、ダイスを通して成形を行う。また、ビレットの挿入とコンテナの密閉を容易にするため、ビレット外径<フィックスダミーブロック外径<コンテナ内径という寸法関係に設定し、加圧によってフィックスダミーブロックの外径を拡大させて密閉を完全なものにしている。コンテナに挿入したビレットはダイスに突き当たるまで前進させ、さらに加圧して膨径させてコンテナ内に充満させる。このとき、コンテナとビレットの隙間にあった空気が膨径後に残っていると、押出材にエアを巻き込んでブリスターが発生する。そのため、ビレットの膨径後一旦コンテナを後退させ、エア抜きを行うバープサイクルを行うことが知られている。また、真空脱気を行う方法も開示されている(特許文献1)。
図7に示すように、押出加工装置において、ビレットローダー100の受部101で支持されたビレット1はコンテナ20のビレット挿入口21とステム30のフィックスダミーブロック31の間に配置され、受部101に支持された状態でフィックスダミーブロック31で押圧されてコンテナ20に挿入される。前記受部101はビレット1の長さよりも長くなるように設計されており、受部101の後端はビレット1の後端よりもフィックスダミーブロック31に近い位置にある。
フィックスダミーブロック31とコンテナ20は心合わせをするのが理想的であり、そのように調整されている。また、ビレット1を円滑にコンテナ20に挿入するには、ビレット1をコンテナに収まる高さに支持することが好ましい。
しかし、ビレット1とコンテナ20の心合わせをすると、前進したフィックスダミーブロック31がビレット1に到達する前に受部101の後端部に接触する。フィックスダミーブロック31が受部101に接触すると、設備破損や欠損片の押出材への混入が発生するので、これらを避けるために、図7、8に示すようにビレットローダー100の受部101を下げてビレット1の軸心をコンテナ20およびフィックスダミーブロック31の軸心P1からずらした位置でビレット1の挿入が行われる。
しかし、ビレットローダー100の受部101の位置をフィックスダミーブロック31ぎりぎりに配置したとしても、ビレット1の外径はフィックスダミーブロック31の外径より小さいため、ビレット1の最下部がコンテナ20内面の最下部よりも低くなってしまうことがあり、この場合はビレット挿入時にビレット1がコンテナ20に接触する。ビレット1とコンテナ20の接触を避けるために、ビレット挿入口21の角にテーパーがつけられているが、挿入時にビレット1の前端部が高くなる方向に傾斜することは避けられない。特に、アイドルタイムを短縮するため挿入動作を高速化すればするほど、ビレット1が斜めに跳ね上がるような動きとなり、挿入時にビレット1先端がコンテナ20内面に接触する可能性が高くなる。このような異常な接触が起きると、ビレット1はダイス22に到達する前につまった状態で潰れ出し、前端部および後端部が優先して膨径し、長手方向の中間部にエア溜まりが発生してしまう。このエア溜まりが発生すると、前述のようなバープサイクルや脱気を行ってもエアを抜くことは困難である。
このような問題の解決の方法として、ビレットを半径方向に押圧するばねを弾装した複数個の保持部とクランプとでビレットの周面を支持するとともに、コンテナの挿入口に同芯を保持しかつ搬送用ガイドローラを設け、ビレットがコンテナと同心で挿入されるようにしたビレット挿入装置が提案されている(特許文献2参照)。
特開平11−226630号公報 特開平7−171618号公報
しかし、特許文献2に記載されたビレット挿入装置は構造が複雑であり、設備コストが高くなり装置の制御も複雑化するという問題点がある。
本発明は、上述した背景技術に鑑み、複雑な装置を使用せず、簡単な装置制御でビレットを座屈させずにコンテナに挿入する方法を提供するものである。
即ち、本発明は下記[1]〜[3]に記載の構成を有する。
[1]押出加工装置のコンテナとステム先端のフィックスダミーブロックの間に、ビレットを、ビレットのフィックスダミーブロック側の端部がビレットローダーの受部からはみ出した状態で支持し、
前記ステムを前進させてフィックスダミーブロックでビレットを押し進め、前記フィックスダミーブロックが受部の後端に達する前に前記受部をビレットから待避させて、該ビレットをコンテナに挿入することを特徴とするビレットの挿入方法。
[2]前記ビレットを、ビレットの最下部がコンテナ内面の最下部よりも高く、かつビレットの軸心がコンテナの軸心と同じ高さまたはコンテナの軸心よりも低い位置に支持する前項1の記載のビレットの挿入方法。
[3]前記受部はフィックスダミーブロック側に配置される追加受部を有し、ビレットの端部が前記追加受部によって支持されるようにビレットを受け取り、ステムを前進させる前に前記追加受部をビレットから待避させてビレットのフィックスダミーブロック側の端部を受部からはみ出させる前項1または2に記載のビレットの挿入方法。
上記[1]に記載のビレットの挿入方法によれば、ビレットはフィックスダミーブロック側の端部がはみ出すようにビレットローダーの受部で支持され、フィックスダミーブロックが受部の後端に達する前に受部がビレットから待避するので、フィックスダミーブロックが受部に接触することなくビレットを押し進めることができるので、ビレットの支持高さを自由に設定できる。また、フィックスダミーブロックは受部に接触しないので、これらの損傷や欠損片の押出材への混入は起こらない。
上記[2]に記載のビレットの挿入方法によれば、ビレットをコンテナの後端面に接触させずに、真っ直ぐに挿入することができる。その結果、エア溜まりを形成することなく長さ方向において均等に膨径させ、ブリスターの無い押出材を成形できる。
上記[3]に記載のビレットの挿入方法によれば、ビレット受け取り時に受部の端部の角でビレットの外面にキズがつくのを回避できる。
本発明のビレット挿入方法を実施する押出加工装置を模式的に示す図である。 図1における、コンテナ、フィックスダミーブロックおよびビレットの寸法関係および位置関係を示す図である。 本発明のビレット挿入法の一例において、ビレット挿入準備状態を示す図である。 図3Aのビレット挿入法においてステムの前進開始時の状態を示す図である。 図3Aのビレット挿入法において第二受部待避時の状態を示す図である。 図3Aのビレット挿入法において第二受部が待避した状態を示す図である。 図3Aのビレット挿入法において第一受部の待避時の状態を示す図である。 図3Aのビレット挿入法においてビレットの膨径時の状態を示す図である。 図3Aのビレット挿入法において押出時の状態を示す図である。 コンテナとビレットの位置関係を示す図である。 本発明のビレット挿入方法の他の例において、ビレット受け取り時の状態を示す図である。 図5Aのビレット挿入方法において第三受部待避時の状態を示す図である。 受部の他の待避方法を示す斜視図である。 従来のビレット挿入方法を実施する押出加工装置を模式的に示す図である。 図7における、コンテナ、フィックスダミーブロックおよびビレットの位置関係を示す図である。
図1は、本発明のビレット挿入方法を実施する押出加工装置を模式的に示している。
前記押出加工装置において、ビレットローダー10に支持されたビレット1は、コンテナ20のビレット挿入口21とステム30のフィックスダミーブロック31の間に配置され、ステム30の前進によってフィックスダミーブロック31に押されてコンテナ20に挿入されてダイス22から押出材が成形される。
前記ビレットローダー10の受部はV字形であり、ビレット1の長さ方向において、コンテナ20側の第一受部11とフィックスダミーブロック31側の第二受部12に分割されている。前記第一受部11および第二受部12はそれぞれのシリンダー13の昇降によって独立して上下に駆動する。
前記ステム30の進退およびビレットローダー10のシリンダー13の昇降は図外の制御装置によって制御される。
図2に示すように、コンテナ20の内径、フィックスダミーブロック31の外径、ビレット1の外径の寸法関係は、コンテナ20の内径>フィックスダミーブロック31の外径>ビレット1の外径である。また、図1に示すように、前記ステム30およびフィックスダミーブロック31の軸心はコンテナ20の軸心P1と同軸に設定されている。
[ビレットの挿入方法]
図3A〜図3Gを参照しつつ、ビレットの挿入方法について詳述する。なお、図3A〜図3Gは、シリンダー13の図示を省略して2つの受部11、12でビレットローダー10を表している。
(1)ビレットの挿入準備
図3Aに示すように、ビレット1の受け取り時、ビレットローダー10の第一受部11および第二受部12は同じ高さに設定され、前記ビレット1は、フィックスダミーブロック31側の端部が第二受部12からはみ出した状態で第一受部11および第二受部12に支持される。また、図2に示すように、本例は、ビレット1の軸心P2がコンテナ20の軸心P1と同じ高さになるように、ビレット1が第一受部11および第二受部12に支持されている。
(2)ステムの前進開始
図3Bに示すように、ステム30を前進させてフィックスダミーブロック31でビレット1の後端面を押す。前記ビレット1は端部が第二受部12から後方にはみ出しているので、前進したフィックスダミーブロック31は第二受部12に接触することなくビレット1に接触する。
(3)第二受部の待避
図3Cに示すように、さらにステム30が前進してビレット1の前端部がコンテナ20内に入り、フィックスダミーブロック31が第二受部12に達する前に第二受部12を降下させてビレット1から待避させる。また、図3Dに示すように、ビレット1の挿入進行に伴ってビレット1が自重によって下がってくる。
(4)第一受部の待避
図3Eに示すように、ステム30が前進して、フィックスダミーブロック31が第一受部11に達する前に第一受部11を降下させてビレット1から待避させる。
(5)ビレットの膨径と押出
図3Fに示すように、さらにステム30を前進させ、ダイス22に突き当てたビレット1を膨径させてコンテナ20内に充満させる。そして、エア抜きを行った後に、図3Gに示すように、ダイス22から押出材を押し出す。
上述したように、第一受部11および第二受部12をビレット1から待避させることでフィックスダミーブロック31がこれらと接触することなくビレット1を押すことができるので、ビレット1を任意の高さに支持できる。ビレット1をコンテナ20内に収まる高さに支持しても、第二受部12および第一受部11を順次ビレットから待避させることにより、フィックスダミーブロック31が第二受部12および第一受部11と接触することなくビレット1を押し進めることができる。フィックスダミーブロック31は受部11、12に接触しないので、これらの損傷や欠損片の押出材への混入は起こらない。
また、ビレット1をコンテナ20の内部に収まる高さ、例えばコンテナ20と同心の高さに支持することにより、ビレット1の先端をコンテナ20の後端面に接触させず、かつコンテナ20内においてビレット1の軸心P2がコンテナの軸心P1と平行になるようにビレット1を真っ直ぐに押し進めることができる。真っ直ぐに押し進むビレット1は、先端部がコンテナ20の内壁にぶつかって座屈することなくダイス22に到達し、エア抜きで除去できないようなエア溜まりを形成することなく、長さ方向において均等に膨径させることができる。上記の方法でビレット1をコンテナ20に挿入することにより、押出材へのエア巻き込みを抑制してブリスターの無い押出材を成形できる。
本発明で行う作業は、ビレットの端部が受部からはみ出した状態でビレットを受部を支持すること、ビレットの端部が受部からはみ出した状態でステムの前進を開始すること、およびフィックスダミーブロックが受部に達する前に受部を待避させることである。これらの作業には複雑な構造の装置や複雑な制御を必要としないのでコストがかからない。
前記ビレット1のフィックスダミーブロック31側端部のはみ出し長さLは限定されないが、ビレット1の支持安定性を確保するために200mm以下が好ましく、特に10mm〜100mmの範囲が好ましい。
上述したように、フィックスダミーブロック31がビレットローダー10の受部11、12に接触することなくビレット1を押し進めることができるので、ビレット1をビレットが収まる高さに支持することによって、コンテナ20の後端面にビレット1を接触させることなく挿入することができる。特に、ビレット1を傾斜させずにコンテナ20の軸心P1に対して平行に挿入するには、コンテナ20に対してビレット1を下方寄りに支持することが好ましい。具体的には、図4に示すように、ビレット1を、ビレット1の最下部1aがコンテナ20内面の最下部20aよりも高く、かつビレット1の軸心P1がコンテナ20の軸心P2と同じ高さまたはコンテナ20の軸心P2よりも低い位置に支持することが好ましい。ビレット1の最下部1aがコンテナ20内面の最下部20aより低い場合は、挿入時にコンテナ20と接触してビレット1が傾斜しやすく、座屈の原因となる。一方、ビレット1がコンテナ20と同心よりも高くなると、挿入中にビレット1がコンテナ20に落下したときの衝撃が大きくなってビレット1の先端部で座屈しやすくなる。
なお、コンテナ20の内直径とビレット1の外直径の差は数mm程度であり、図4は説明の便宜のために直径差を拡大して表示している。図2および図8も同様に直径差を拡大して表示している。
本発明の方法は上記以外の構成の押出加工装置以外でも実施可能である。
ビレットの受部の形状は限定されず、プレートをV字形に形成する以外にもローラを連続的に並べたものであってもよい。また、受部の数も限定されない。受部の待避時にビレットの先端がコンテナに挿入されていれば1つの受部でも本発明の方法を実施可能であるが、ビレットの支持安定性を高めるために、複数の受部を有し、フィックスダミーブロック側の受部を待避させても他の受部でビレットが支持されていることが好ましい。また、受部を複数個に分割することで受部の長さを変更することができる。
また、ビレットの端部はフィックスダミーブロックがビレットに接触する時に受部からはみ出していればよい。従って、ビレット受け取り時に受部からはみ出すように受け取ることに限定されず、ビレットを受け取った後にフィックスダミーブロック側の端部を受部からはみ出させることもできる。図5Aおよび図5Bのビレットローダー40は第一受部41、第二受部42、第三受部43の3個に分割されており、第三受部43が本発明における追加受部に対応する。これら第一乃至第三受部41、42、43を連結するとビレット1の長さよりも長くなる。そして、図5Aに示すように、第一乃至第三受部41、42、43でビレット1を受け取ってビレット1の長さ方向の全体を支持し、その後図5Bに示すように、ステム30を前進させてフィックスダミーブロック31が第三受部43に接触する前に第三受部43を待避させればビレット1の端部が第二受部42からはみ出した状態にすることができる。このように、ビレットの長さ方向の全体を収容できる寸法の受部でビレットを受け取ることによって、受け取り時に受部の端部の角でビレットの外面にキズがつくのを回避できる。
また、受部の待避方法は受部の下降に限定されない。図6に示すように、2枚のプレート45で形成されたV字形の受部において、隣接する受部側の辺を軸にしてプレート45を回転させることによってビレットから待避させることができる。
本発明は押出加工装置のコンテナにビレットを挿入する方法として適用できる。
1…ビレット
1a…ビレットの最下部
10、40…ビレットローダー
11、41…第一受部(受部)
12、42…第二受部(受部)
20…コンテナ
20a…コンテナ内面の最下部
30…ステム
31…フィックスダミーブロック
43…第三受部(追加受部)
L…ビレットのはみ出し長さ

Claims (3)

  1. 押出加工装置のコンテナとステム先端のフィックスダミーブロックの間に、ビレットを、ビレットのフィックスダミーブロック側の端部がビレットローダーの受部からはみ出した状態で支持し、
    前記ステムを前進させてフィックスダミーブロックでビレットを押し進め、前記フィックスダミーブロックが受部の後端に達する前に前記受部をビレットから待避させて、該ビレットをコンテナに挿入することを特徴とするビレットの挿入方法。
  2. 前記ビレットを、ビレットの最下部がコンテナ内面の最下部よりも高く、かつビレットの軸心がコンテナの軸心と同じ高さまたはコンテナの軸心よりも低い位置に支持する請求項1の記載のビレットの挿入方法。
  3. 前記受部はフィックスダミーブロック側に配置される追加受部を有し、ビレットの端部が前記追加受部によって支持されるようにビレットを受け取り、ステムを前進させる前に前記追加受部をビレットから待避させてビレットのフィックスダミーブロック側の端部を受部からはみ出させる請求項1または2に記載のビレットの挿入方法。
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