JP7353920B2 - 表皮材取付具 - Google Patents
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Description
なお、本発明の表皮材取付具をクッション材に取り付けた際、テープ部材の短手方向となるZ軸方向は、クッション材の厚み方向に対応する。
本発明に係る表皮材取付具において、クリップ係止部材は、テープ部材に対してY軸方向正側に第1被係合部を有しており、クリップは、基部のY軸方向負側に第1係合部を有している。すなわち、本発明に係る表皮材取付具は、テープ部材に対するY軸方向正側に係合構造を有する片持ちタイプの表皮材取付具を構成しており、クリップの第1係合部は、Z軸方向における基部およびフック部の並びから外れるように配置される。また、クリップのフック部は、クリップ係止部材の収容空間形成面との間にワイヤを保持するため、ワイヤを保持するための他の余分な部位を必要としない。このような構成によれば、Z軸方向、すなわちクッション材の厚み方向におけるクリップの寸法を小さくできる。これにより、本発明に係る表皮材取付具は、薄型のクッション材に採用される場合であっても、クリップに対する着席者の異物感を減少させることができる。
本発明に係る表皮材取付具は、上述したように、テープ部材に対するY軸方向正側に係合構造を有する片持ちタイプの表皮材取付具を構成している。このため、クリップがワイヤに係合した際、クリップには、第1係合部を中心として、Y軸方向およびZ軸方向に成分を有する回転モーメントが生じ易い。そこで、本発明では、クリップの第1係合部とクリップ係止部材の第1被係合部とによる係合構造よりもZ軸方向正側において、クリップの第2係合部がクリップ係止部材の第2被係合部に係合することにより、当該モーメントによるクリップの回転を抑制できる。これにより、クリップ係止部材に対してクリップをより強固に取り付けることができる。
本発明に係る表皮材取付具によれば、上述のクリップの回転を簡易な構成によって抑制できる。
本発明に係る表皮材取付具によれば、ワイヤがフック部から脱落することを抑制することができる。
本発明に係る表皮材取付具によれば、ワイヤがフック部から脱落することを抑制することができる。
本発明に係る表皮材取付具によれば、ガイド面に当接したワイヤをクリップのフック部に向かって案内することができるため、ワイヤに対するクリップの取り付け操作が容易になる。
また、本発明に係る表皮材取付具において、前記第1被係合部は、前記Y軸方向正側に面する底部と、前記底部から前記Y軸方向正側に突出しつつ前記X軸方向の一方側またはZ軸方向の一方側に向かって湾曲し、前記X軸方向に並んで形成された複数の第1凸部と、前記第1凸部よりも前記Z軸方向負側に配置され、前記底部から前記Y軸方向正側に突出しつつ前記X軸方向の他方側または前記Z軸方向の他方側に向かって湾曲し、前記X軸方向に並んで形成された複数の第2凸部と、を有し、前記第1係合部は、前記基部から前記Y軸方向正側に突出しつつ前記X軸方向の前記他方側または前記Z軸方向の前記他方側に向かって湾曲し、任意の前記第1凸部に係合する1以上のクリップ側第1凸部と、前記クリップ側第1凸部よりも前記Z軸方向負側に配置され、前記基部から前記Y軸方向正側に突出しつつ前記X軸方向の前記一方側または前記Z軸方向の前記一方側に向かって湾曲し、任意の前記第2凸部に係合する1以上のクリップ側第2凸部と、を有してもよい。
このような構成によれば、X軸方向における任意の位置において、第1被係合部と第1係合部とを好適に係合させることができる。
本発明の第1実施形態について図1~図6に基づいて説明する。
図1において、第1実施形態に係る表皮材取付具10は、自動車等の車両用の座席のクッション材2に対して表皮材3を取り付けるものであり、表皮材3に固定されるテープ部材30と、テープ部材30に装着されたクリップ係止部材40と、クッション材2に設置されたワイヤ20を保持しかつクリップ係止部材40に係合するクリップ50とを有する。
クッション材2の溝2A内には、溝2Aの長さ方向に沿って、ワイヤ20が設置されている。ワイヤ20は、例えば金属製の線状体であり、円形状の断面を有する。このワイヤ20は、クッション材2の成型時にインサート方式でクッション材2に組み込むことができる。
また、テープ部材30は、表裏関係である一対の面を有しており、当該一対の面のうち、一方を第1面31(図1,図2参照)と称し、他方を第2面32(図3参照)と称する。
また、表皮材取付具10が表皮材3をクッション材2に取り付けた状態では、クッション材2の溝2Aの長さ方向(ワイヤ20の延伸方向)がX軸方向に対応し、クッション材2の溝2Aの幅方向がY軸方向に対応し、クッション材2の溝2Aの深さ方向(クッション材2の厚み方向)がZ軸方向に対応する。
換言すると、第1被係合部41は、Y軸方向正側に面する端面415に対して、Y軸方向に深さを有する複数の溝部416がX軸方向に所定間隔をあけて設けられた構造を有する。溝部416においてX軸方向の両側の壁面には、当該壁面から突出した被係合片414A,414Bが設けられている。
なお、ガイド面43には、X軸方向に沿って所定間隔をあけて複数の肉抜き穴431が設けられていてもよい。
収容空間形成面44は、複数の凸部412のZ軸方向負側の面を含み、かつ、当該面からY軸方向負側に延びており、Y軸方向負側に向かうほどZ軸方向負側に向かうように湾曲している。この収容空間形成面44は、後述するクリップ50のフック部54と共に、ワイヤ20の収容空間21(図6参照)を形成する。
ワイヤ止部45は、ガイド面43と収容空間形成面44との間に形成され、Z軸方向負側に向かって突出した形状を有する。
なお、図4および図5は、クリップ50を単独で示しているが、以下の説明ならびに図4および図5では、クリップ係止部材40に係合した状態のクリップ50の姿勢を基準としてXYZ座標を適用している。
また、フック部54には、ワイヤ止部542からフック部54の先端部分であるフック先端部543にかけて、ガイド面544が形成されている。このガイド面544は、Z軸方向正側に面し、かつ、Y軸方向負側に向かうほどZ軸方向負側に向かうように形成されている。
以上により、ワイヤ20をクリップ50に留めることができ、その結果として、表皮材3をクッション材2に止着することができる。
本実施形態の比較例として、従来の表皮材取付具110を図13に示す。この表皮材取付具110において、クリップ100は、テープ部材101に装着されたクリップ係止部材102を把持する把持部103と、ワイヤ20に係合するフック部104とを備えており、把持部103およびフック部104は、基部105を挟んで互いに反対側に配置されている。仮に、本実施形態のXYZ座標系を適用した場合、把持部103、基部105およびフック部104がZ軸方向に沿って並んでいる。また、クリップ100のフック部104は、ガイド片106との間に形成される空間にワイヤ20を保持する。このような構成では、基部105やガイド片106がクリップ100のZ軸方向の寸法Hに含まれるため、この寸法Hを小さくすることは困難である。
一方、本実施形態の表皮材取付具10は、片持ちタイプの係合構造を有するものであり、クリップ50は、クリップ係止部材40のY軸方向片側に係合した状態で、クリップ係止部材40のZ軸方向負側の面である収容空間形成面44との間にワイヤ20を保持する。このため、クリップ50のZ軸方向の寸法Hを従来よりも小さくすることができる(図6参照)。これにより、本実施形態の表皮材取付具10は、薄型のクッション材2に採用される場合であっても、クリップ50に対する着席者の異物感を減少させることができる。
本発明の第2実施形態について図7~図12に基づいて説明する。
図7に示すように、第2実施形態に係る表皮材取付具10Aは、表皮材3に固定されるテープ部材30と、テープ部材30に装着されたクリップ係止部材60と、クッション材2に設置されたワイヤ20に係合しかつクリップ係止部材60に係合するクリップ70とを有する。この第2実施形態は、クリップ係止部材60およびクリップ70の各形状以外について、第1実施形態と略同様である。以下、第1実施形態と異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同様の構成につては省略する場合がある。
複数の第1凸部612および複数の第2凸部613は、それぞれX軸方向に所定間隔をあけつつ、互いに等しいピッチで配置されている。
また、第1凸部612は、底部611からY軸方向正側に突出しつつ、X軸方向の他方側(X軸方向負側)に向かって湾曲している。一方、第2凸部613は、底部611からY軸方向正側に突出しつつ、X軸方向の一方側(X軸方向正側)に向かって湾曲している。
収容空間形成面64は、複数の第2凸部613のZ軸方向負側の面を含んでいる。この収容空間形成面64は、後述するクリップ70のフック部74と共に、ワイヤ20の収容空間21を形成する。
ワイヤ止部65は、背面部63と収容空間形成面64との間に形成され、Z軸方向負側に向かって突出した形状を有する。
なお、図10および図11は、クリップ70を単独で示しているが、以下の説明ならびに図10および図11では、クリップ係止部材60に係合した状態のクリップ70の姿勢を基準としてXYZ座標を適用している。
第1係合部72は、基部71からY軸方向負側に突出した1つ以上(本実施形態では3つ)の第1凸部721と、第1凸部721よりZ軸方向負側に配置されかつ基部71からY軸方向負側に突出した1つ以上(本実施形態では3つ)の第2凸部722とを有する。複数の第1凸部721および複数の第2凸部722は、それぞれX軸方向に所定間隔をあけつつ、互いに等しいピッチで配置されている。
クリップ70の第1凸部721および第2凸部722は、本発明のクリップ側第1凸部およびクリップ側第2凸部に相当するものであり、クリップ係止部材60の第1凸部612および複数の第2凸部613に噛み合うように形成されている。具体的には、第1凸部721は、基部71からY軸方向負側に突出しつつ、X軸方向の一方側(X軸方向正側)に向かって湾曲している。一方、第2凸部722は、基部71からY軸方向負側に突出しつつ、X軸方向の他方側(X軸方向負側)に向かって湾曲している。
なお、本実施形態の係合片732には、クリップ70の取り付け時に突出部622を乗り越えるための傾斜面732Aと、クリップ70の取り外し時に突出部622を乗り越えるための傾斜面732Bとが形成されている。
まず、作業者は、図12に示すように、クリップ70の基部71をクリップ係止部材60の第1被係合部61に対向配置させ、クリップ70をY軸方向負側に押しつける。これにより、第1係合部72を第1被係合部61に係合させると共に、第2係合部73を第2被係合部62に係合させる。
なお、ワイヤ止部65,742は、互いに対向配置されており、ワイヤ止部65,742間の隙間は、ワイヤ20の直径よりも小さい。このため、フック部74は、ワイヤ20に加わる押圧を受けることにより、フック先端部743がZ軸方向負側に変位するように変形し、ワイヤ止部65,742間の隙間が拡げられる。ワイヤ止部65,742間の隙間がワイヤ20の直径以上になったとき、ワイヤ20は、当該隙間を通過し、フック部74の湾曲面741とクリップ係止部材60の収容空間形成面64との間の収容空間21に収容される。その後、フック部74が元の形状に戻ることにより、ワイヤ止部65,742が収容空間21からのワイヤ20の脱落を抑止する。
以上により、ワイヤ20をクリップ70に留めることができ、その結果として、表皮材3をクッション材2に止着することができる。
また、第2実施形態では、第1被係合部61および第1係合部72の各形状を、第1実施形態に比べて単純化しつつ、互いに共通化することができる。このため、第2実施形態のクリップ係止部材60およびクリップ70を容易に製造することができる。
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は、本発明に含まれるものである。
例えば、Z軸方向正側に向かって湾曲する第1凸部612と、Z軸方向負側に向かって湾曲する第1凸部721とが係合し、Z軸方向負側に向かって湾曲する第2凸部613と、Z軸方向正側に向かって湾曲する第2凸部722とが係合してもよい。
このような変形例によっても、前記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
Claims (8)
- クッション材(2)に設けられたワイヤ(20)に表皮材(3)を取り付ける表皮材取付具(10)であって、
前記表皮材(3)の縁部(3A)に対して直交座標系XYZのX軸方向に沿って固定されるテープ部材(30)と、前記テープ部材(30)のZ軸方向負側の側縁部(301B)に対して前記X軸方向に沿って装着されたクリップ係止部材(40,60)と、前記クリップ係止部材(40,60)に取り付けられると共に前記ワイヤ(20)を保持するクリップ(50,70)と、を備え、
前記クリップ係止部材(40,60)は、
前記テープ部材(30)に対してY軸方向正側に設けられた第1被係合部(41,61)と、
前記Z軸方向負側に面する収容空間形成面(44,64)と、を有し、
前記クリップ(50,70)は、
Y軸方向において前記第1被係合部(41,61)に対向配置される基部(51,71)と、
前記基部(51,71)から前記Z軸方向負側に延びつつY軸方向負側に向かって湾曲することで前記収容空間形成面(44,64)との間に収容空間(21)を形成し、当該収容空間(21)に収容された前記ワイヤ(20)を保持するフック部(54,74)と、
前記基部(51,71)のうちの前記第1被係合部(41,61)に対向する部位に設けられ、前記第1被係合部(41,61)に係合する第1係合部(52,72)と、を有する
ことを特徴とする表皮材取付具。 - 前記クリップ係止部材(40,60)は、前記テープ部材(30)に対して前記Y軸方向正側、かつ、前記第1被係合部(41,61)に対してZ軸方向正側に配置された第2被係合部(42,62)をさらに有し、
前記クリップ(50,70)は、前記基部(51,71)に対して前記第1係合部(52,72)よりも前記Z軸方向正側に設けられ、前記第2被係合部(42,62)に係合する第2係合部(53,73)をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の表皮材取付具。 - 前記第2被係合部(42,62)は、前記Z軸方向正側に突出する突出部(422,622)を有し、
前記第2係合部(53,73)は、前記基部(51,71)から前記Y軸方向負側に延伸する延伸部(531,731)と、前記延伸部(531,731)から前記Z軸方向負側に突出して前記突出部(422,622)に対して前記Y軸方向に係合する係合片(532,732)とを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の表皮材取付具。 - 前記クリップ係止部材(40,60)は、前記収容空間形成面(44,64)から前記Z軸方向負側に突出するワイヤ止部(45,65)をさらに有し、当該ワイヤ止部(45,65)は、前記収容空間(21)に収容された前記ワイヤ(20)に当接可能に配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表皮材取付具。 - 前記フック部(54,74)は、前記収容空間形成面(44,64)に対向する湾曲面(541,741)と、前記湾曲面(541,741)から前記Z軸方向負側に突出するワイヤ止部(542,742)とを有し、当該ワイヤ止部(542,742)は、前記収容空間(21)に収容された前記ワイヤ(20)に当接可能に配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表皮材取付具。 - 前記クリップ係止部材(40)は、前記テープ部材(30)に対して前記Y軸方向負側に設けられ、前記Z軸方向負側に面するガイド面(43)を有し、
前記ガイド面(43)は、前記Z軸方向負側に向かうに従って前記Y軸方向正側に向かうように形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表皮材取付具。 - 前記第1被係合部(41)には、前記X軸方向に並んで複数の溝部(416)が設けられており、
前記第1係合部(52)は、任意の前記溝部(416)に挿入されることにより、当該溝部(416)に係合する一対の弾性爪部(52A,52B)を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表皮材取付具。 - 前記第1被係合部(61)は、
前記Y軸方向正側に面する底部(611)と、
前記底部(611)から前記Y軸方向正側に突出しつつ前記X軸方向の一方側またはZ軸方向の一方側に向かって湾曲し、前記X軸方向に並んで形成された複数の第1凸部(612)と、
前記第1凸部(612)よりも前記Z軸方向負側に配置され、前記底部(611)から前記Y軸方向正側に突出しつつ前記X軸方向の他方側または前記Z軸方向の他方側に向かって湾曲し、前記X軸方向に並んで形成された複数の第2凸部(613)と、を有し、
前記第1係合部(72)は、
前記基部(71)から前記Y軸方向正側に突出しつつ前記X軸方向の前記他方側または前記Z軸方向の前記他方側に向かって湾曲し、任意の前記第1凸部(612)に係合する1以上のクリップ側第1凸部(721)と、
前記クリップ側第1凸部(721)よりも前記Z軸方向負側に配置され、前記基部(71)から前記Y軸方向正側に突出しつつ前記X軸方向の前記一方側または前記Z軸方向の前記一方側に向かって湾曲し、任意の前記第2凸部(613)に係合する1以上のクリップ側第2凸部(722)と、を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表皮材取付具。
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