JP5858857B2 - 車両用シートパッドの製造方法 - Google Patents
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Description
こうした解決課題以外に、従来のシートパッドspにはクッションパッドcとバックパッドbの合せ面c1,b1間へ、図9(イ)の中黒矢印のごとく指を差し込むと、図9(ロ)のように合せ面の奥まで比較的容易に入り込んでしまう問題がある。合せ面c1,b1間へ差し込む指の力に応じて、クッションパッドcさらにバックパッドbが撓んで、合せ面c1,b1間の隙間εが簡単に広がってしまう不具合がある。特許文献1に係るクッションパッドの硬度を上げて撓み難くする対策も考えられるが、硬度,密度にバラつきがあるため、管理し難く確実性がない。
特許文献2の異硬度材を使用し、クッションパッドに係る座部表面を硬くする対策も考えられる。しかし、クッションパッドの座部が低密度の軟質ポリウレタンフォームであるため、対策を講ずること自体難しくなっている。また、クッションパッドcとバックパッドbの合せ面c1,b1にまでワイヤを延長させ、剛性を出す対策が考えられるが、ワイヤ周囲に成形不良を起こす虞れがある。加えて、ワイヤ寸法が大きくなるため、セット性が悪くなる問題を引き起こす。
型開状態下、該帯状板片(3)の長手方向を前記厚み壁面(22)の車幅方向になるようにし且つ帯幅(W3)を圧縮して、前記開口寄り突部(65)と前記底部寄り突部(66)とで該帯状板片(3)を挟着,セットし、その後、発泡原料(g)の注入及び型閉じを経て、クッションパッド本体(2)の発泡成形で、該帯状板片(3)が一体化されるクッションパッド(CP)を製造することを特徴とする車両用シートパッドの製造方法にある。
シートパッドSPは、着座した乗員の下半身を受け支え、車両用シートパッドの座部を構成するクッションパッドCPと、別体の背もたれ用バックパッドbとからなる(図1〜図7)。ここでは、乗用車等の三人掛け後部座席のリアシートパッドSPに適用する。クッションパッドCPの車両後部上面2dにバックパッドbを起立配設させると、シートパッドSPの形になり(図1)、さらに表皮を被せ、汎用ヘッドレストを取付ければ、後部座席シートを形成する。
本シートパッドSPは、バックパッドbに図9の従来品を採用していることから、クッションパッドCPについて詳述する。
ここで、本発明でいう車両前方,車両進行方向とは、シートパッドSPが車両に設置姿態にある図8で、紙面左方を指し、車両後方は紙面右方を指す。また、車幅方向は紙面垂直方向を指し、車両上方は紙面上方を指す。符号2aは座部に着座した乗員下半身の臀部及び大腿部を支えるメイン部、符号2bはメイン部の両側又は片側で臀部及び大腿部の側部を支えるサイド部、また符号23,24は区分け溝、符号27はシートベルト取付け用段部、符号28,29は表皮セット用の縦溝,横溝を示す。
クッションパッド本体2は、ポリウレタン材料等の発泡樹脂原料を用いて、車両後方側の厚み壁面22に帯状板片3をインサートし、一体発泡成形してなる軟質ポリウレタンフォーム等の発泡成形品である(図1〜図3)。クッションパッド本体2は、厚み壁面22に帯状板片3を、その長手方向が厚み壁面22の車幅方向になるようにインサートして一体発泡成形される。該クッションパッド本体2の発泡成形で、その車両後方側の厚み壁面22たる立壁面に、帯状板片3が一体化される。図1のごとく車幅方向左右に在る一般座席用クッションパッド本体2A,2Bの車両後方側厚み壁面22に、帯状板片3が設けられる。
前記間隔W6に対応する部位の帯幅W3を該間隔W6よりも若干大きめに設定した帯状板片3が、その長手方向を前記厚み壁面22の車幅方向になるように配設される。帯状板片3の帯幅W3を圧縮して、前記開口寄り突部65と前記底部寄り突部66とで挟着,セットされ、発泡成形により、帯状板片3をインサートして、クッションパッド本体2が一体発泡成形されてなるクッションパッドCPが出来上がる。図中、符号tは帯状板片3の厚みを示す。
プレスフェルトやチップウレタンで作製される帯状板片3は、これを一体化するクッションパッド本体2の発泡成形過程で、発泡原料gがクッションパッド本体2との接合面にとどまるか、発泡原料gが含浸,浸透したとしてもその接合面のごく近傍にしか侵入できないため、クッションパッドCPに一体化される帯状板片3が所望の硬度,密度に保たれる。クッションパッドCPとバックパッドbに係る両合せ面2d1,82間への指入り対策を円滑且つ確実に実施でき、品質向上,生産性向上を果たす。
さらに、プレスフェルトは、強固なシート状体になっているので、該プレスフェルトの帯状板片3をインサートしてクッションパッド本体2を一体発泡成形しても、発泡原料gの侵入が該帯状板片3の接触面若しくはその接触面付近にとどまる。プレスフェルトが本来有する硬度,密度をそのまま保つようになる。クッションパッドCPに埋設一体化される該帯状板片3の硬さ,密度を設計仕様値に合わせ易く、設計のし易さ、品質安定に貢献する。また地厚でほつれにくいことから、帯状板片3に好都合となっている。さらにいえば、帯状板片3に求められる硬さ(又は密度)を有し、且つ帯状板片3に裁断してそのまま使用できる所定厚みのプレスフェルトが市販されているので、一層好ましくなっている。本実施形態はプレスフェルト製帯状板片3とする。
本実施形態は、クッションパッド用発泡型5の凹型6たる下型に、上下逆置きになる図5のクッションパッドCPが図6,図7のごとく成形されるようにしており、開口寄り突部65と底部寄り突部66との間隔W6に、これよりも帯幅W3が少し大きめの帯状板片3が圧縮変形,弾性変形させられて挟着,セットされる。下型6で、車両後方側の厚み壁面22を形成する型面61から突出する底部寄り突部66は、前記切欠部31にそれぞれ嵌合する大きさになっている。一方、開口部寄り突部65は、厚み壁面22の長手方向で、配設された帯状板片3に係る上縁の両サイド寄りと、上縁中央の計三箇所に設けられる。
両帯状板片3が、それぞれ底部寄り突部66の二箇所と開口寄り突部65の三箇所に挟まれて、凹型6の車両後方側厚み壁面22を形成する起立型面61にセットされ、発泡成形で、クッションパッド本体2と両帯状板片3が一体化する所望のクッションパッドCPが出来上がる。クッションパッドCPには底部寄り突部66の跡26と開口寄り突部65の跡25の窪みが現れるが、車両搭載で隠れる部分で、また表皮に被着されるので特に問題ない。
図9(ロ)に示すように、バックパッドbとクッションパッドcの両合せ面b1,c1の間に指を差し込むと、クッションパッドc側だけでなく、時にバックパッドb側も変形し、指入りを許容させてしまう。そこで、図1〜図7の帯状板片3付きクッションパッドCPに加え、板状部材9を一体化したバックパッドBPを採用し、指入り防止強化したシートパッドSPにする。
シートパッドSPの製造方法は、帯状板片3とクッションパッドCP用発泡型5とを具備して、発泡型5に帯状板片3をセットした後、発泡原料gの注入及び型閉じを経て、図1〜図5のようなクッションパッドCPを成形する。その後、別体の公知のバックパッドbを組み付けて図1ごとくのシートパッドSPを造る。 まず、クッションパッドCPの製造方法について詳述する。
凹型6側で、クッションパッド本体2に係る車両後方側の厚み壁面22に対応する型面61に、開口寄り突部65と底部寄り突部66とが、キャビティ深さ方向に間隔W6をあけて設けられる。下型6の帯状板片3がセットされる型面61は立面になって、図6のごとく、上下方向に両突部65,66が設けられており、帯状板片3を挟着保持できる。両突部間W6に帯状板片3を挟着,セットし、ヒンジ51を支点にして図7(ロ)のごとく型閉じすると、下型6の型面6aと上型7の型面7aとで、帯状板片3が埋設一体化されるクッションパッドCPのキャビティCAをつくる。図6,図7に示す本製法では、下型の型面6aでクッションパッドCPの表面20側が成形され、上型の型面7aでクッションパッドCPの裏面21側が成形される。
帯状板片3は、(1)のシートパッドSPで述べたものと同じで、その詳細を省く。
まず、発泡型5を型開状態とする。次いで、この型開状態の下型6へ帯状板片3をセットする(図6)。帯状板片3の長手方向を前記厚み壁面22の車幅方向になるようにし且つ帯幅W3を圧縮して、前記開口寄り突部65と前記底部寄り突部66とで該帯状板片3を挟着,セットする。厚み壁面22用の下型立面61から上方突部65と下方突部66を張出し、両突部間W6よりも帯幅W3が少し大きめの帯状板片3を圧縮状態で挟み込む。両突部65,66による挟着で、帯状板片3の確かな位置決めが図られる。帯状板片3がセットされる型面61は立面になっていて、セットしづらいが、帯幅W3を圧縮し、その弾性復元で両突部間W6の凹所67に帯状板片3を保持できる。尚、図6にのみ図示するが、帯状板片3の長手方向の板面にフェライトシート片4を所定ピッチで複数貼着するとより好ましくなる。両突部65,66に帯状板片3が挟着される際、該フェライトシート片4が対向する厚み壁面22の下型6に磁石69を埋め込むことで、帯状板片3を両突部65,66による挟着に加え、さらに磁力吸着させて下型6により確実にセットできるからである。また、図示を省略するが、帯状板片3の挟着セットと相前後して、裏当て部材が上型型面に取着セットされる。
その後、上型7を作動させ型閉じする。この型閉じで帯状板片3がインサートされたクッションパッドCP用キャビティCAができる。型閉じの後、クッションパッド本体2の発泡成形へと進む。型閉じ状態を所定時間維持し、帯状板片3が埋設一体化されるクッションパッド本体2を発泡成形して、クッションパッドCPが造られる(図7のロ)。
その後、該クッションパッドCPに公知のバックパッドbを組付け、所望のシートパッドSPになる。帯状板片3が、厚み壁面22に板面を露出させ車幅方向に埋め込まれており、その車幅方向領域で指入り防止対策部材の役目を果たす。
尚、公知の上記バックパッドbに代えて、前記板状部材9をインサート成形したバックパッドBPを発泡成形し、これを上記クッションパッドCPに組付けてシートパッドSPを造ると(図8)、帯状板片3だけでなく板状部材9も指入り防止対策部材として機能するより好ましいシートパッドSPが出来上がる。
このように構成したシートパッドの製造方法は、クッションパッド本体2の硬度又は密度よりも高い硬度又は密度を有し、さらに圧縮変形可能な帯状板片3が、クッションパッド本体2に係る車両後方側の厚み壁面22に、組み込まれて一体化するので、クッションパッド後部上面2d周りの剛性が高まり、指入り防止対策が図られる。
クッションパッド後部上面2dとバックパッドbの下端側合せ面82との間に指を入れようとしても、高硬度(高密度)の帯状板片3が抵抗,阻止し、クッションパッド後部上面2dを鉛直方向に押し沈めるのが難しく、指入り対策が講じられたシートパッドになる。クッションパッドCPの後部上面2dとバックパッドbの下端側合せ面82との間への指入りが困難になり、品質向上につながる。指入りが困難なのが直ぐに判かる。
それでいて、車両後方側厚み壁面22にのみ帯状板片3を一体化するので、帯状板片3を一体化させる前のシートパッドSPの座り心地,乗り心地を維持できる。
加えて、板状部材9がインサート成形されたバックパッドBPを用いたシートパッドSPにすると(図8)、クッションパッドCPの後部上面2dとバックパッドBPの下端側合せ面82との間への指入りが一層困難になり、更なる品質向上,安全性向上を確保できる。
2d 後部上面
22 厚み壁面
3 帯状板片
5 発泡型
6 凹型(下型)
61 厚み壁面を形成する型面(立壁面)
65 開口寄り突部(突部)
66 底部寄り突部(突部)
8 バックパッド本体
82 下端側合せ面
82d 後方部位
9 板状部材
90 板面
BP バックパッド
CP クッションパッド
SP シートパッド
W3 帯幅
W6 間隔
g 発泡原料
Claims (1)
- 凹型(6)側で、クッションパッド本体(2)に係る車両後方側の厚み壁面(22)に対応する型面(61)に、開口寄り突部(65)と底部寄り突部(66)とをキャビティ深さ方向に間隔(W6)をあけて設けた発泡型(5)を用い、且つクッションパッド本体(2)の硬度又は密度よりも高い硬度又は密度を有し、更に前記間隔(W6)に対応する部位の帯幅(W3)をその間隔(W6)よりも大きめに設定した圧縮変形可能な横長の帯状板片(3)を用い、
型開状態下、該帯状板片(3)の長手方向が前記厚み壁面(22)の車幅方向になるようにし且つ帯幅(W3)を圧縮して、前記開口寄り突部(65)と前記底部寄り突部(66)とで該帯状板片(3)を挟着,セットし、その後、発泡原料(g)の注入及び型閉じを経て、クッションパッド本体(2)の発泡成形で、該帯状板片(3)が一体化されるクッションパッド(CP)を製造することを特徴とする車両用シートパッドの製造方法。
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