JP7352739B2 - 振動型ジャイロ素子及びこれを備えた角速度センサ - Google Patents

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Description

本開示は、振動型ジャイロ素子及びこれを備えた角速度センサに関する。
従来、角速度センサに用いられるジャイロ素子として振動型ジャイロ素子が知られている。例えば、環状の振動子の表面に複数の電極を設け、電極の表面と交差する方向に磁場を印加する構造の電磁式ジャイロ素子が良く知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
電磁式ジャイロ素子では、磁場が印加された状態で、一部の電極(以下、一次駆動電極(Primary Driving Electrode)という)に振動子の共振周波数に相当する周波数の電流を流して、振動子を共振振動(以下、一次振動ともいう)させる。振動子にコリオリ力が加わり、角速度が発生した場合、別の電極(以下、二次検出電極(Secondary Pickoff Electrode)という)に発生する電圧を、角速度を算出するための信号として検出する。なお、一次振動を検出して、一次振動の振幅や周波数を安定させるための電極(以下、一次検出電極(Primary Pickoff Electrode)という)や、二次検出電極で検出された信号に基づいて、二次振動を打ち消すように、振動子20を駆動する電極(以下、二次駆動電極(Secondary Driving Electrode)という)が設けられることが多い。
一方、振動型ジャイロ素子を有する角速度センサでは、出力信号にバイアス成分が重畳することがある。バイアス成分は、ゼロ点出力、またはオフセット等とも呼ばれ、振動型ジャイロ素子に設けられた複数の電極間の角度ずれや、電磁式ジャイロ素子の場合は、印加される磁場の不均一等によって生じる。
このようなバイアス成分を除去するために、例えば、特許文献3には、一次駆動電極及び一次検出電極(以下、この組を一次側と呼ぶことがある)と二次駆動電極及び二次検出電極(以下、この組を二次側と呼ぶことがある)とを周期的に入れ替えるように駆動制御を行う構成が開示されている。この場合、入れ替え前後での出力信号の差分を取ることでバイアス成分をキャンセルしている。
特許第5410518号公報 特開2019-032302号公報 特開2009-115559号公報
しかし、前述した角度ずれは、主にジャイロ素子作製時のマスクのアライメントずれやレジストパターンのゆがみ等によって生じており、複数の電極のぞれぞれで、角度ずれは一般に対称とはならない。
したがって、特許文献3に開示された方法を用いても、キャンセルできないバイアス成分が出力信号に残存し、角速度の検出値に誤差が生じてしまう。特に、高精度で角速度を求めることが要求される場合、このようなバイアス成分の残存が問題になっていた。
本開示はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、出力信号に含まれるバイアス成分を低減可能な振動型ジャイロ素子及びこれを備えた角速度センサを提供することにある。
上記目的を達成するため、本開示に係る振動型ジャイロ素子は、固定部と、振動子と、前記振動子を前記固定部に接続して、前記振動子を振動可能に支持する支持部と、前記振動子の面内に形成された電極と、を少なくとも備え、前記振動子がcosNθ(Nは2以上の自然数)の振動モードを有するとき、前記振動子の外周方向に前記電極の軸が等角度間隔に並ぶ4N個の方位に前記電極がそれぞれ配置されており、複数の前記電極には、前記振動子にcosNθモードの一次振動を励起させる一次駆動電極と、前記一次振動を検出する一次検出電極と、前記振動子の二次振動を検出する二次検出電極と、前記二次振動を打ち消すように前記振動子を駆動する二次駆動電極と、が含まれ、前記一次検出電極は、前記一次駆動電極と同じ方位に配置され、前記二次駆動電極は、前記二次検出電極と同じ方位に配置される。
本開示に係る角速度センサは、前記振動型ジャイロ素子と、前記一次駆動電極に所定の周波数の交流電力を印加する一次交流電源と、前記一次検出電極に発生する電圧信号を検出する一次検出部と、前記二次駆動電極に交流電力を印加する二次交流電源と、前記二次検出電極に発生する電圧信号を検出する二次検出部と、前記二次交流電源の出力信号に基づいて、角速度を算出する演算部と、を少なくとも備えている。
本開示の振動型ジャイロ素子によれば、出力信号に含まれるバイアス成分を低減できる。本開示の角速度センサによれば、振動型ジャイロ素子の出力信号に含まれるバイアス成分を低減でき、角速度の検出精度を高められる。
実施形態1に係る振動型ジャイロ素子の平面図である。 図1のII-II線での断面図である。 図1の破線で囲まれた部分の拡大図である。 角速度センサの回路ブロックの概略構成図である。 一次振動を示す図である。 二次振動を示す図である。 一次側と二次側の入れ替え前の電極配列を示す平面図である。 一次側と二次側の入れ替え後の電極配列を示す平面図である。 動作時の二次検出電極の変位の時間変化を模式的に示す図である。 二次検出電極の実際の出力信号及びそれに含まれる各種信号の振動角依存性を模式的に示す図である。 比較のための電極配列を示す平面図である。 変形例1に係る電極配列を示す平面図である。 変形例2に係る電極配列を示す平面図である。 変形例3に係る電極配列を示す平面図である。 変形例4に係る電極配列を示す平面図である。 実施形態2に係る角速度センサの概略構成図である。 圧電式の振動型ジャイロ素子の平面図である。 図15のXVI-XVI線での断面図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
[振動型ジャイロ素子の構成]
図1は、本実施形態1に係る振動型ジャイロ素子の平面図を、図2は、図1のII-II線での断面図を、図3は、図1の破線で囲まれた部分の拡大図をそれぞれ示す。
なお、説明の便宜上、図1,3において、磁場印加部60の図示を省略している。また、図1~3は、振動型ジャイロ素子100の構造を模式的に示したものであり、各部材間の実際の寸法関係を正しく表したものではないことに留意する必要がある。
なお、以降の説明において、振動子20の半径方向を径方向と、振動子20の外周方向を周方向と、径方向及び周方向とそれぞれ交差する方向を軸方向とそれぞれ呼ぶことがある。また、径方向において、振動子20の中心側を内または内側と、外周側を外または外側と呼ぶことがある。軸方向において、上部ヨーク61(図2参照)が設けられた側を上または上側と、下部ヨーク63(図2参照)が設けられた側を下または下側と呼ぶことがある。なお、以降に示す各部材の上面を表面と、下面を裏面とそれぞれ呼ぶことがある。
また、1または複数の一次駆動電極を総称して、一次駆動電極PDと呼び、1または複数の一次検出電極を総称して、一次検出電極PPOと呼ぶことがある。また、1または複数の二次駆動電極を総称して、二次駆動電極SDと呼び、1または複数の二次検出電極を総称して、二次検出電極SPOと呼ぶことがある。
図1,2に示すように、振動型ジャイロ素子100は、固定部10と振動子20と複数の支持部30と複数の電極40a~40pと磁場印加部60とを有している。
図1に示すように、固定部10は、中央に開口10aを有し、開口10aの内側に振動子20と複数の支持部30と複数の電極40a~40pと磁場印加部60とが配置されている。また、図2に示すように、固定部10は、第1シリコン層51とシリコン酸化層(絶縁層)52と第2シリコン層53とがこの順で積層された積層構造を有する部材である。また、第2シリコン層53の表面にはシリコン酸化膜54が形成されている。
振動子20は、第2シリコン層53を加工して得られる円環状の部材であり、cos2θの振動モードを有している。
支持部30は、第2シリコン層53を加工して得られる部材であり、振動子20と一体的に形成される。また、支持部30は、振動子20を固定部10に接続して、振動子20を片持ち状に、別の見方をすれば、振動子20を振動可能に支持している。
図3に示すように、複数の支持部30のそれぞれは、第1脚部31と第2脚部32とを有している。第1脚部31及び第2脚部32は、それぞれ第1端部30aと第2端部30bとを有している。第1端部30aは、第1間隔をあけて振動子20の異なる位置にそれぞれ接続されている。第2端部30bは、第1間隔よりも狭い第2間隔をあけて固定部10の異なる位置にそれぞれ接続されている。
また、第1脚部31は、第1端部30aから振動子20の径方向外側に延びる第1部分31aと、第1部分31aの一端である第1変曲部31bで変曲されて、振動子20の外周と平行に延びる第2部分31cと、を有している。また、第1脚部31は、第2部分31cの一端である第2変曲部31dで変曲されて、振動子20の半径方向外側に延びて第2端部30bに達する第3部分31eを有している。
同様に、第2脚部32は、第1端部30aから振動子20の径方向外側に延びる第1部分32aと、第1部分32aの一端である第1変曲部32bで変曲されて、振動子20の外周と平行に延びる第2部分32cと、を有している。また、第2脚部32は、第2部分32cの一端である第2変曲部32dで変曲されて、振動子20の半径方向外側に延びて第2端部30bに達する第3部分32eを有している。
第1脚部31の第2部分31cと第2脚部32の第2部分32cは、互いに近づくように第2変曲部31d,32dまでそれぞれ延びている。また、第1脚部31の第3部分31eと第2脚部32の第3部分32eは、所定の間隔をあけながら、並列して第2変曲部31d,32dから第2端部30bまでそれぞれ延びている。また、第1脚部31と第2脚部32とは、振動子20の中心と互いの第3部分31e,32eの間とを通る仮想線に関して対称に配置されている。
電極40a~40pのそれぞれは、振動子20の面内にループ状に形成された導電部材である。また、電極40a~40pのそれぞれは、支持部30及び固定部10の表面にかけて延びるように形成されている。例えば、図3に示すように、電極40dは、第1脚部31の第2端部30bから第1脚部31と第1端部30aの間の振動子20と第2脚部32とを経由して、第2脚部32の第2端部30bまで延びている。また、電極40dは、シリコン酸化膜54の表面に形成されている。なお、以降の説明において、電極の配置方位や機能に特に着目しない場合、電極40a~40pを総称して、電極40と呼ぶことがある。なお、異なる方位に配置された同じ機能の電極40のうち、一部または全てが、固定部10内に設けられた配線(図示せず)で接続される。なお、本願明細書における「方位」は、電極40が配置される「領域」に対応し、当該領域が隣接している場合、これらは連続している。また、電極40は、1つの方位をまたがって配置されてもよい。また、電極40のサイズは、1つの方位(領域)のサイズよりも小さくてもよい。電極40は、同じ方位内に複数配置されていてもよい。
また、図1,3に示すように、2つの電極40が、支持部30及び振動子20の面内で、互いに間隔をあけて並列に延びるように形成されている。また、支持部30及び振動子20の面内で、2つの電極40e,40mが、互いに間隔をあけて並列に延びるように形成されている。なお、本願明細書において、「並列」とは、2つの部材が互いに平行に配置されている場合だけでなく、2つの部材が互いに接触したり、交差したりしない程度に間隔をあけて配置されている場合も含まれる。
図3において、一方の支持部30の表面に設けられ、ループ状に並列する2つの電極40d、40lのうち、外側に配置された電極40dが一次駆動電極PDで、内側に配置された電極40lが一次検出電極PPOである。また、他方の支持部30の表面に設けられ、ループ状に並列する2つの電極40e,40mのうち、外側に配置された電極40eが二次駆動電極SDで、内側に配置された電極40mが二次検出電極SPOである。つまり、一次検出電極PPOは、一次駆動電極PDと同じ方位に配置され、二次駆動電極SDは、二次検出電極SPOと同じ方位に配置されている。
図1に示すように、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と、二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とが、周方向に亘って交互に配置されている。また、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と、二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組は、同数ずつ設けられている。
一の一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と、これに最も近い一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組とは、互いに90度離れた位置に配置されている。一の二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組と、これに最も近い二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とは、互いに90度離れた位置に配置されている。一の一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と、これに最も近い二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とは、互いに45度離れた位置に配置されている。
なお、複数の電極40a~40pのそれぞれには、両端部に電極パッド(図示せず)が設けられている。4つの一次検出電極PPOは、電極パッドを介して直列に接続されている。同様に、4つの二次検出電極SPOは、電極パッドを介して直列に接続されている。
図2に示すように、磁場印加部60は、上部ヨーク61と磁石62と下部ヨーク63とを有している。上部ヨーク61及び下部ヨーク63は、それぞれ鉄等の磁性体からなる有底筒状の部材である。上部ヨーク61の筒状の部分と下部ヨーク63の筒状の部分とが軸方向に間隔をあけて対向するように、上部ヨーク61及び下部ヨーク63が配置されている。また、上部ヨーク61の筒状の部分と下部ヨーク63の筒状の部分との間に振動子20が配置されている。振動子20は、上部ヨーク61の筒状の部分と下部ヨーク63の筒状の部分との間に、それぞれと軸方向に間隔をあけて配置されている。
磁石62は、上部及び下部の一方がN極で、他方がS極となっている。磁石62は、上部ヨーク61または下部ヨーク63、あるいはその両方に保持されて、振動子20の内側に固定配置されている。
磁石62の一方の磁極から流れる磁束が、上部ヨーク61及び下部ヨーク63の一方を通過して、振動子20及びその表面に形成された電極40a~40pに達する。さらに、磁束は、振動子20及び電極40a~40pを通過して、上部ヨーク61及び下部ヨーク63の他方を介して、磁石62の他方の磁極に流れ込む。
このように、磁場印加部60は、複数の電極40a~40pに対して、振動子20の表面と交差する方向、この場合は軸方向に磁場を印加している。なお、磁場印加部60は、図示しない支持基板に支持されることで、振動子20との径方向及び軸方向の位置を保っている。
磁場印加部60を除く振動型ジャイロ素子100は、例えば、半導体微細加工技術を応用したマイクロマシニング技術を用いて、公知のSOI(Silicon On Insulator)基板を加工して得られるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子である。
このMEMS素子は、例えば、以下のように製造される。第1シリコン層51とシリコン酸化層52と第2シリコン層53とを有するSOI基板を熱酸化して、第2シリコン層53の表面にシリコン酸化膜54を形成する。
次に、シリコン酸化膜54の表面に、マスクパターン(図示せず)を用いて、複数の電極40a~40pを形成する。例えば、マスクパターンを通して、金属膜をシリコン酸化膜54の表面に被着させることで、複数の電極40a~40pを形成する。
別のマスクパターン(図示せず)を用いて、シリコン酸化膜54及び第2シリコン層53をシリコン酸化層52に至るまでエッチング、除去する。この工程を経て、支持部30及び振動子20の原形が形成される。
次に、電極40a~40pと支持部30と振動子20の表面をワックス等により保護した状態で、固定部10の開口10aに相当するマスクパターン(図示せず)を用いて、支持部30及び振動子20の下方に位置する第1シリコン層51をエッチング、除去する。さらに、同じマスクパターンを用いて、シリコン酸化層52をエッチング除去し、前述のMEMS素子を得る。
なお、第1シリコン層51及びシリコン酸化層52のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。ただし、いずれの場合も、エッチング層の下地となる層とのエッチング選択性が高いエッチャントを用いるのがよい。
[角速度センサの構成及び動作]
図4は、角速度センサの回路ブロックの概略構成図を示す。なお、説明の便宜上、図4において、振動型ジャイロ素子100のうち、一次駆動電極PDと一次検出電極PPOと二次駆動電極SDと二次検出電極SPOのみを簡略化して図示している。
図4に示すように、角速度センサ1000は、振動型ジャイロ素子100と一次交流電源200と一次検出部210と二次交流電源220と二次検出部230と演算部240と切替部250と複数のスイッチ260とを有している。
4つの一次駆動電極PDに一次交流電源200が接続される。直列接続された4つの一次検出電極PPOに一次検出部210が接続される。4つの二次駆動電極SDに二次交流電源220が接続される。直列接続された4つの二次検出電極SPOに二次検出部230が接続される。また、二次交流電源220に演算部240が接続される。
以下、角速度センサ1000の動作について説明する。
一次交流電源200から交流電流Ipが一次駆動電極PDに供給されると、一次駆動電極PDには磁場印加部60から印加された磁場の方向と、交流電流Ipが流れる方向とにそれぞれ交差する方向にローレンツ力が加わる。つまり、ローレンツ力は、振動子20の表面と平行な方向に作用する。一次駆動電極PDが設けられた振動子20は、このローレンツ力を受けて変形する。また、交流電流Ipの周波数に応じて、ローレンツ力の向きは周期的に反転するため、振動子20は、同じ周波数で振動する。この場合、振動子20は、その表面と平行な方向に振動する。
振動子20の共振周波数に合わせるように交流電流Ipの周波数を設定することで、振動子20にはcos2θモードの一次振動が励起される。
また、振動子20にこのような一次振動を発生させるように、4つの一次駆動電極PDのそれぞれに交流電流Ipを流す必要がある。具体的には、90度離れた位置にある2つの一次駆動電極PDの間で、交流電流Ipが流れる向きが互いに逆向き、つまり、上から見て時計回り方向と反時計回り方向となるように設定される。また、4つの一次駆動電極PDと一次交流電源200との接続関係は、前述の設定を満たせるようにすればよく、4つの一次駆動電極PDが直列接続されていても、一次交流電源200に対してそれぞれ並列に接続されていてもよい。
一次検出電極PPOは、一次振動を検出して、その振幅に対応した大きさの電圧信号を発生させ、この電圧信号は、一次検出部210にフィードバックされる。一次検出部210は、一次検出電極PPOで発生した電圧信号に基づいて、出力信号を一次交流電源200に出力する。一次検出部210の出力信号に基づいて、振動子20の振動周波数及び振幅が一定となるように、一次交流電源200、具体的には、交流電流Ipの振幅と周波数を制御する。
図5Aは、振動子の一次振動状態を模式的に示したものであり、図5Bは、振動子の二次振動状態を模式的に示したものである。
図5Aに示すように、円環状の振動子20は、周期的に、互いに直交する主軸を有する楕円形となるように一次振動する。一方、振動子20にコリオリ力が加わり、軸方向回りに角速度が発生した場合、前述した楕円の主軸の方向が変化する。図1に示す本実施形態の振動型ジャイロ素子100の場合、図5Bに示すように、一次振動の場合に対して、楕円の主軸が45度回転した位置に変化し、振動子20が二次振動状態となる。
二次検出電極SPOにも、その表面と交差する方向に磁場が印加されている。また、振動子20の振動に応じて、二次検出電極SPOも、その表面と平行な方向に振動する。これらのことにより、二次検出電極SPOには、磁場の強度と振動時の移動速度とに応じた正弦波状の交流電圧が発生する。また、振動子20が一次振動状態の場合と二次振動状態の場合とで、二次検出電極SPOの移動速度が異なるため、それぞれの状態で発生する電圧もまた異なる。
二次検出部230は、二次検出電極SPOに発生した電圧を検出して、当該電圧の大きさに応じた信号を二次交流電源220に出力する。
二次交流電源220には、二次検出部230の出力信号が入力される。二次交流電源220は、この出力信号に基づいて、振動子20に発生した二次振動を打ち消すように、二次駆動電極SDに電流を供給して、振動子20を駆動する。また、二次交流電源220は、出力電流に基づいた出力信号を演算部240に入力する。
演算部240は、二次交流電源220の出力信号に基づいて、振動子20が一次振動状態であるか二次振動状態であるかを判定する。さらに、振動子20が二次振動状態であると判定した場合、演算部240は、二次交流電源220の出力信号に基づいて、角速度を算出する。
さらに、角速度センサ1000は、所定のタイミングで一次側と二次側とを入れ替えて、振動型ジャイロ素子100からの出力信号を取得し、この出力信号に基づいて角速度を算出する。例えば、入れ替え前後での出力信号の差分に基づいて、角速度を算出する。この入れ替え動作は、図4に示すスイッチ260及び切替部250により、内部の結線を切り替えて行われる。なお、「所定のタイミング」として、振動型ジャイロ素子100が静止状態であるときや等速運動状態であるとき等が選択される。
図6Aは、一次側と二次側の入れ替え前の電極配列を示し、図6Bは、一次側と二次側の入れ替え後の電極配列を示す。
図6Aに示す電極配列は、図1に示すのと同様である。よって、電極40b,40d,40f,40hが一次駆動電極PDとして機能し、電極40j,40l,40n,40pが一次検出電極PPOとして機能する。また、電極40a,40c,40e,40gが二次駆動電極SDとして機能し、電極40i,40k,40m,40oが二次検出電極SPOとして機能する。
所定のタイミングで、切替部250から4つのスイッチ260に制御信号を送ることで、角速度センサ1000の内部結線が切り替わる。その結果、電極40b,40d,40f,40hが二次交流電源220に接続され、図6Bに示すように二次駆動電極SDとして機能する。同様に、電極40j,40l,40n,40pが二次検出部230に接続され、二次検出電極SPOとして機能する。電極40a,40c,40e,40gが一次交流電源200に接続され、一次駆動電極PDとして機能する。電極40i,40k,40m,40oが一次検出部210に接続され、一次検出電極PPOとして機能する。
なお、振動型ジャイロ素子100と一次交流電源200と一次検出部210と二次交流電源220と二次検出部230と演算部240とがそれぞれ別の基板に実装されていてもよいし、同じ基板上に実装されていてもよい。振動型ジャイロ素子100と一次交流電源200と一次検出部210と二次交流電源220と二次検出部230と演算部240とが、それぞれ別のパッケージ(図示せず)に収容されていてもよい。また、振動型ジャイロ素子100とそれ以外の構成要素とが別の基板に実装されるか、または別のパッケージに収容されていてもよい。その場合、一次交流電源200や二次交流電源220は、さらに別の基板に実装されるか、または別のパッケージに収容されていてもよい。
[二次検出電極の出力信号に含まれる2倍波成分について]
図7は、動作時の二次検出電極の変位の時間変化を模式的に示し、図8は、二次検出電極の実際の出力信号及びそれに含まれる各種信号の振動角依存性を模式的に示す。
なお、図7の(a)図に示す二次検出電極SPOと図7の(b)図に示す二次検出電極SPOとは、周方向に互いに90度離れた位置にある。つまり、これら2つの二次検出電極SPOは、互いに直交した位置にある。また、図7の(a)図、(b)図のそれぞれに示す白抜きの矢印は、二次検出電極SPOに発生する電圧の起電力の方向を示す。
なお、図8に示す振動角は、二次検出電極SPOに発生する交流電圧の周波数と時間との積に相当する。また、図8において、後述するSPO(L)とSPO(R)のそれぞれに関する実際の出力信号及びそれに含まれる各種信号を示している。
前述したように、交流電流Ipが流れると、磁場と交流電流Ipにより、一次駆動電極PDにローレンツ力が作用する。振動子20にもこのローレンツ力が加わり、振動子20が周期的に変形して振動する。
また、図示しないが、振動子20にcos2θモードの一次振動を励起させるため、4つの一次駆動電極PDに流れる交流電流Ipの向きは、交互に反転している。つまり、時計回り方向に交流電流Ipが流れる一次駆動電極PDと反時計回り方向に交流電流Ipが流れる一次駆動電極PDが、交互に配置されている。
このため、一次駆動電極PDに挟まれた二次検出電極SPOのうち、振動子20の面内に形成された部分の両端には、径方向に関して逆向きの力がそれぞれ作用する。また、力が作用する向きが周期的に変転する。
また、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組に隣接する二次検出電極SPOは、電極PD,PPOに対して周方向に45度離れた位置にある。
したがって、図7の(a)図、(b)図にそれぞれ示すように、二次検出電極SPOの振動子20の面内に形成された部分は、その周方向の中央部分を通り、径方向に延びる軸を仮想的な中心軸として、振動子20の表面と平行な面内を対称に変形する。つまり、一方の端部が動作前の位置から径方向の内側に変位した場合は、他方の端部が径方向の外側に変位する。一方の端部が動作前の位置から径方向の外側に変位した場合は、他方の端部が径方向の内側に変位する。また、この変形が所定の周期で繰り返されることは言うまでもない。
なお、以降の説明において、二次検出電極SPOのうち、中心軸に対し、紙面の左側にある部分をSPO(L)と呼び、紙面の右側にある部分をSPO(R)と呼ぶことがある。
また、図7の(a)図に示す二次検出電極SPOは、(b)図に示す二次検出電極SPOと時間に関して対称に変位する。つまり、(a)図に示す例では、動作前の時刻t0から時刻t1に時間が進むと、SPO(L)は径方向外側に変位し、SPO(R)は径方向内側に変位する。一方、(b)図に示す例では、SPO(L)は径方向内側に変位し、SPO(R)は径方向外側に変位する。時刻t2で、(a)図、(b)図に示す両方とも、SPOは、時刻t0の場合と同じ位置に戻る。時刻t3に時間が進むと、(a)図に示す例では、SPO(L)は径方向内側に変位し、SPO(R)は径方向外側に変位する。一方、(b)図に示す例では、SPO(L)は径方向外側に変位し、SPO(R)は径方向内側に変位する。さらに時刻t4に時間が進むと、(a)図、(b)図に示す両方とも、SPOは、時刻t0の場合と同じ位置に戻る。
図7の(a)図、(b)図に示す二次検出電極SPO及びその直下の振動子20は、それぞれ、以上に説明した変形を周期的に繰り返す。また、二次検出電極SPOの直下の振動子20において、変形量がゼロとなる位置では、移動速度が最大かまたは最小となるため、二次検出電極SPOに発生する電圧の振幅も最大かまたは最小となる。また、変形量が最大かまたは最小となる位置では、移動速度がゼロとなるため、二次検出電極SPOに発生する電圧の振幅もゼロとなる。
また、前述したように、二次検出電極SPOが変形する場合、径方向外側と内側とで変形量にわずかな差が生じ、これに応じて、図8に示すように、二次検出電極SPOに発生する電圧は、基本的な正弦波(以下、基本波信号と呼ぶことがある)に対し、歪み成分が重畳する。この歪み成分は、二次検出電極SPOの実際の出力信号と基本波信号との差分(以下、差分信号)に相当する。
図8は、二次検出電極SPOの実際の出力信号及びそれに含まれる基本波信号と差分信号とを示している。また、図8に示すt0~t4は、図7で説明した時刻t0~t4に対応している。
1つの二次検出電極SPOに着目してみると、SPO(L)とSPO(R)とでは、基本波の向きが逆、つまり、一方が正の値を取るとき、他方は負の値を取ると考えられる。差分信号がゼロの理想的な出力信号の場合、SPO(L)とSPO(R)を合わせた1つのSPOの信号はゼロになる。しかし、前述した歪み成分の重畳により、基本波に対する差分信号の方向がSPO(L)とSPO(R)で同方向となり、基本波に対する正負が2倍の周波数で変化する。このことを考慮すると、1つの二次検出電極SPOには、基本波信号の周波数、言い換えると、交流電流Ipの周波数に対し、2倍の周波数を有する信号が発生しているといえる。これを、以下、2倍波成分と呼ぶことがある。
2倍波成分は、二次検出電極SPOの出力信号に対する誤差成分となるため、角速度の検出値のバイアス成分となりえる。高精度で角速度を求めることが要求される場合に問題となる。
また、図8に示すように、この2倍波成分は、SPO(L)とSPO(R)のそれぞれで発生する同位相の差分信号が重ね合わされたものであるから、その振幅も概ね2倍となる。よって、角速度の検出値に与える影響も大きくなる。
一方、図7に示すように、周方向に90度離れた位置にある2つの二次検出電極SPOは、時間に関して対称に変位する。このため、それぞれの二次検出電極SPOの出力信号に含まれる2倍波成分は、逆位相となる。よって、2つの二次検出電極SPOの出力信号を加算すると、2倍波成分が打ち消しあってほぼゼロとなる。
本実施形態に示す振動型ジャイロ素子100では、図1に示すように、4つの二次検出電極SPOが周方向に互いに90度離れた位置に配置されている。また、4つの二次検出電極SPOのそれぞれで発生した電圧が加算されて出力信号となるため、最終的に、二次検出部230に入力される二次検出電極SPOの出力信号には、2倍波成分がほぼ含まれておらず、誤差成分が低減されている。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係る振動型ジャイロ素子100は、固定部10と、振動子20と、振動子20を固定部10に接続して、振動子20を振動可能に支持する支持部30と、振動子20の面内にそれぞれループ状に形成された電極40a~40pと、を少なくとも備えている。
振動子20がcos2θの振動モードを有するとき、振動子20の外周方向に等角度間隔、この場合は45度間隔に並ぶ8つの方位に、電極40a~40pがそれぞれ配置されている。
16個の電極40a~40pには、振動子20にcos2θモードの一次振動を励起させる一次駆動電極PDと、一次振動を検出する一次検出電極PPOと、が含まれる。また、振動子20に角速度が与えられたときに発生する二次振動を検出する二次検出電極SPOと、二次振動を打ち消すように振動子20を駆動する二次駆動電極SDと、が含まれる。
一次検出電極PPOは、一次駆動電極PDと同じ方位に配置され、二次駆動電極SDは、二次検出電極SPOと同じ方位に配置される。また、8つの方位に対して、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とが交互に配置されている。
また、振動型ジャイロ素子100は、16個の電極40a~40pに対して、振動子20の表面と交差する方向、この場合は軸方向に磁場を印加する磁場印加部60をさらに備えている。
振動型ジャイロ素子100をこのように構成することで、角速度センサ1000で一次側と二次側との入れ替え動作を行った場合に、振動型ジャイロ素子100の出力信号に含まれるバイアス成分を低減できる。このことについて、図面を用いてさらに説明する。
図9は、比較のための電極40配列を示す。図9に示す振動型ジャイロ素子110は、例えば、特許文献1に開示されたのと同様の構成である。
図9に示す振動型ジャイロ素子110では、8つの支持部30に対して電極40a~40hがそれぞれ配置されている。また、8つの方位に対して、周方向に沿って、一次駆動電極PDと二次駆動電極SDと一次検出電極PPOと二次検出電極SPOとが、時計回り方向にこの順で配置されている。また、各種類の電極PD,SD,PPO,SPOとも2つずつ配置され、同じ種類の電極は、周方向に180度離れた位置に配置されている。
ところで、振動型ジャイロ素子100,110では、動作中に各電極40a~40pに力が作用しており、これに応じた力学的な運動軸が仮想的に想定される。例えば、一次駆動電極PDに関する当該軸をPD軸とすると、各電極の配置関係に応じて、二次駆動電極SD、一次検出電極PPO及び二次検出電極SPOのそれぞれに関する運動軸であるSD軸、PPO軸及びSPO軸とPD軸とは、所定の角度関係が一義的に定められる。
一方、振動子20も一次振動や二次振動に関し仮想的な運動軸を有している。理想的には、一次振動の運動軸とPD軸とが重なり合っている。この場合は、二次振動の運動軸とSD軸も重なり合う。
しかし、前述したように、通常、振動型ジャイロ素子110には、電極40a~40p間の角度ずれや、印加される磁場の不均一等が生じる。これらに起因して、一次振動の運動軸とPD軸との間に角度ずれが生じる。さらに、電極40a~40p間の角度ずれは、PD軸とSD軸との角度関係にもずれを生じさせる。同様に、PPO軸及びSPO軸とPD軸との角度関係にもそれぞれずれを生じさせる。前述のバイアス成分は、この角度ずれによって発生する。
本願発明者等は、PD軸とそれ以外の電極SD,PPO,SPOの運動軸との角度ずれに起因したノイズ成分が、バイアス成分に重畳され、特許文献3に開示されるように、一次側と二次側を入れ替えて角速度センサ1000を動作させて、出力信号の差分を取ってもキャンセルされないことを見出した。
そこで、本願発明者等は、各電極PD,SD,PPO,SPOの配列関係に着目し、図1に示す位置に各電極PD,SD,PPO,SPOを配置することで、PD軸と、それ以外の運動軸であるSD軸、PPO軸及びSPO軸との角度ずれを低減できることを見出した。このようにすることで、一次側と二次側の入れ替え動作によって、出力信号の差分を取ることでバイアス成分を概ねキャンセルすることができる。
また、支持部30から振動子20にかけて、2つの電極40が、互いに間隔をあけて並列に延びるように形成されている。一の支持部30に設けられた一方の電極40は、一次駆動電極PDで、他方の電極40は一次検出電極PPOである。他の支持部30に設けられた一方の電極40は、二次駆動電極SDで、他方の電極40は二次検出電極SPOである。
8つの支持部30に対して、電極40a~40pをそれぞれ前述のように配置することで、一次検出電極PPOと一次駆動電極PDとを同じ方位に容易に配置できる。また、二次駆動電極SDと二次検出電極SPOとを同じ方位に容易に配置できる。このことにより、PD軸と、それ以外の運動軸であるSD軸、PPO軸及びSPO軸との角度ずれを低減でき、ひいては、振動型ジャイロ素子100の出力信号に含まれるバイアス成分を大きく低減できる。また、振動型ジャイロ素子100が不必要に大型化するのを抑制できる。
また、このことに鑑みれば、電極40a~40pのそれぞれに力学的な運動軸が仮想的に想定されていると言える。したがって、電極40a~40pの配置方位は、それぞれに仮想的な運動軸(以下、電極40の軸と呼ぶことがある)が振動子20の外周方向に等角度間隔に配置された方位であるとも言える。
4つの二次検出電極SPOは、互いに直列接続されていることが好ましい。
このようにすることで、二次振動を検出するための電圧信号を大きく取れる。このことにより、二次検出部230の出力信号のS/N比を大きくでき、演算部240で算出される角速度の検出精度を高められる。
また、同様の理由から、4つの一次検出電極PPOは、直列接続されるのが好ましい。
4つの二次検出電極SPOは、周方向に互いに90度離れた位置に配置されていることが好ましい。このようにすることで、二次検出電極SPOの出力信号に含まれる誤差成分である2倍波成分を低減できる。
また、電極40が配置された支持部30は、それぞれ前述の第1~第3部分31a,31c,31eを有する第1脚部31と第1~第3部分32a,32c,32eを有する第2脚部32とで構成されるのが好ましい。また、第1脚部31と第2脚部32とは、振動子20の中心と互いの第3部分31e,32eの間とを通る仮想線に関して対称に配置されているのが、より好ましい。
支持部30をこのように構成することで、振動子20を一次振動させた場合に、その振動に影響を大きく与えることなく、振動子20を支持することができる。また、支持部30が、周方向に等角度間隔で設けられるとともに、第1脚部31と第2脚部32とが前述の仮想線に関して対称に設けられることで、振動子20を均等なバランスで固定部10に接続できる。このことにより、振動子20を安定して一次振動させることができる。
また、本実施形態の振動型ジャイロ素子100によれば、二次検出電極SPOに発生する電圧に含まれるクロストーク電圧を低減することができる。このことについてさらに説明する。
一次駆動電極PDと二次検出電極SPOが近接する場合、一次駆動電極PDに流れる交流電流によって、二次検出電極SPOに相互誘導が生じ、クロストーク電圧が誘起される。このクロストーク電圧も、振動型ジャイロ素子100に誤差成分として重畳される。
一方、本実施形態の振動型ジャイロ素子100では、図1に示すように、二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組の両側に、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組がそれぞれ配置されている。
前述したように、振動子20にcos2θモードの一次振動を励起させるため、時計回り方向に交流電流Ipが流れる一次駆動電極PDと反時計回り方向に交流電流Ipが流れる一次駆動電極PDが、交互に配置されている。
この場合、2つの一次駆動電極PDの間に配置された二次検出電極SPOには、大きさが同じでかつ起電力の方向が異なるクロストーク電圧がそれぞれ誘起され、結果として打ち消しあって、クロストーク電圧は、ほぼゼロとなる。このように、クロストーク電圧が低減されることで、角速度の検出精度を高められる。
また、図3に示すように、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが最も近接する部分、つまり、支持部30の第1部分31a,32aにおいて、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとの間に、二次駆動電極SDが配置される。このため、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとの間の相互インダクタンスが減少し、クロストーク電圧の大きさを低減できる。
なお、後で述べる変形例2~4に示す構成においても、二次検出電極SPOに発生する電圧に含まれるクロストーク電圧を図9に示す構成に比べて低減することができ、ひいては、角速度の検出精度を高められる。
なお、一次駆動電極PDの配置方位や個数によっては、振動子20は、cosNθ(Nは2以上の自然数)の振動モードを取りうる。この場合、電極40の軸の配置方位は、4N個となる。
つまり、本実施形態の振動型ジャイロ素子100は、振動子20がcosNθの振動モードを有するとき、電極40の軸が振動子20の外周方向に等角度間隔に並ぶ4N個の方位に支持部30及び電極40がそれぞれ配置されている。
また、一の支持部30は、他の支持部30から(360/4N)度離れた位置に配置されている。つまり、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と、これに隣接する二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とは、互いに(360/4N)度離れた位置に配置されている。
また、振動型ジャイロ素子100に含まれる複数の二次検出電極SPOは、周方向に互いに(360/2N+360×(M/N))度離れた位置に配置されていることが好ましい。ここで、Mは整数であり、かつ0≦M≦N-1の関係を満たす。このようにすることで、二次検出電極SPOの出力信号に含まれる誤差成分である2倍波成分を低減できる。
本実施形態の角速度センサ1000は、振動型ジャイロ素子100と、一次駆動電極PDに所定の周波数の交流電流を流すための一次交流電源200と、一次検出電極PPOに発生する電圧信号を検出する一次検出部210と、二次駆動電極SDに交流電流を流すための二次交流電源220と、二次検出電極SPOに発生する電圧信号を検出する二次検出部230と、二次交流電源220の出力信号に基づいて、角速度を算出する演算部240と、を少なくとも備えている。
また、角速度センサ1000は、所定のタイミングで、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と、二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とを入れ替えて動作させる切替部250をさらに備えている。演算部240は、入れ替え動作の前後での二次交流電源220の出力信号に基づいて、角速度を算出する。
本実施形態の角速度センサ1000によれば、振動型ジャイロ素子100の出力信号に含まれるバイアス成分を低減でき、角速度の検出精度を高められる。
また、本実施形態によれば、一次検出電極PPOで発生した電圧を、一次検出部210で検出し、一次検出部210の出力信号を一次交流電源200にフィードバックすることで、振動子20で発生する一次振動を安定化することができる。
また、二次検出電極SPOで発生した電圧を、二次検出部230で検出し、二次検出部230の出力信号に基づいて、二次交流電源220の出力を制御し、振動子20で発生する二次振動を打ち消すようにしている。このようにすることで、振動子20の振動状態を安定化させることができる。また、このことにより、二次交流電源220の出力信号に含まれるノイズ成分が低減でき、角速度の検出精度を高めることができる。
なお、前述の説明では、角速度センサ1000を動作させる場合、所定のタイミングで、一次駆動電極PDを二次駆動電極SDと入れ替えて動作させるとともに、一次検出電極PPOを二次検出電極SPOと入れ替えて動作させている。しかし、入れ替える電極40の組み合わせは、これに限られない。角速度センサ1000を動作させる場合、所定のタイミングで、一次駆動電極PDを二次検出電極SPOと入れ替えて動作させるとともに、一次検出電極PPOを二次駆動電極SDと入れ替えて動作させてもよい。
<変形例1>
図10は、本変形例に係る電極配列を示す平面図を示す。なお、図10及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示す構成は、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組がそれぞれ3組ずつ設けられている点で、実施形態1に示す構成と異なる。
図10に示す構成では、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組が、連続して周方向に交互に配置されている。
なお、電極40a,40h,40i,40pには、電極40の種類、例えば、一次駆動電極PDであるか二次検出電極SPOであるかが明示されていない。このように、種類が明示されていない電極40は、振動子20の質量バランスを均等にするために設けられた、いわばダミー電極であり、振動子20の一次振動や二次振動の検出に寄与しない。以降に示す各図面においても、種類が明示されていない電極40は、同様にダミー電極である。
本変形例に示す振動型ジャイロ素子100は、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏する。つまり、角速度センサ1000で一次側と二次側との入れ替え動作を行った場合に、振動型ジャイロ素子100の出力信号に含まれるバイアス成分を低減できる。
また、本変形例の振動型ジャイロ素子100を搭載した角速度センサ1000によれば、実施形態1に示すのと同様に、角速度の検出精度を高められる。
<変形例2>
図11は、本変形例に係る電極配列を示す平面図を示し、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組がそれぞれ2組ずつ設けられている点で、実施形態1に示す構成と異なる。
図11に示す構成では、1組の一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOと1組の二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とが、周方向に互いに(360/4N)度離れた位置に、この場合は、45度離れた位置に配置されている。また、2組の一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOは、周方向に互いに(360/N)度離れた位置に、この場合は、180度離れた位置に配置されている。同様に、2組の二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOは、周方向に180度離れた位置に配置されている。
本変形例に示す振動型ジャイロ素子100は、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏する。つまり、角速度センサ1000で一次側と二次側との入れ替え動作を行った場合に、振動型ジャイロ素子100の出力信号に含まれるバイアス成分を低減できる。
また、本変形例の振動型ジャイロ素子100を搭載した角速度センサ1000によれば、実施形態1に示すのと同様に、角速度の検出精度を高められる。
<変形例3>
図12は、本変形例に係る電極配列を示す平面図を示し、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組がそれぞれ2組ずつ設けられている点で、実施形態1に示す構成と異なる。
図12に示す構成では、1組の一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOと1組の二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とが、周方向に互いに(360/4N)度離れた位置に、この場合は、45度離れた位置に配置されている。また、2組の一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOは、周方向に互いに(360/2N+360×(M/N))度離れた位置に配置されている。この場合は、M=0及びN=2であり、2組の一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOは、周方向に互いに90度離れた位置に配置されている。同様に、2組の二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOは、周方向に90度離れた位置に配置されている。
本変形例に示す振動型ジャイロ素子100は、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏する。つまり、角速度センサ1000で一次側と二次側との入れ替え動作を行った場合に、振動型ジャイロ素子100の出力信号に含まれるバイアス成分を低減できる。
また、本変形例では、2つの二次検出電極SPOが、周方向に互いに90度離れた位置、つまり、互いに直交した位置に配置されている。したがって、実施形態1で説明したように、二次検出電極SPOの出力信号に含まれる誤差成分である2倍波成分を低減できる。
また、本変形例の振動型ジャイロ素子100を搭載した角速度センサ1000によれば、実施形態1に示すのと同様に、角速度の検出精度を高められる。
<変形例4>
図13は、本変形例に係る電極配列を示す平面図を示し、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組がそれぞれ1組ずつ設けられている点で、実施形態1に示す構成と異なる。
図13に示す構成では、1組の一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOと1組の二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組とが、周方向に互いに(360/4N)度離れた位置に、この場合は、45度離れた位置に配置されている。
本変形例に示す振動型ジャイロ素子100は、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏する。つまり、角速度センサ1000で一次側と二次側との入れ替え動作を行った場合に、振動型ジャイロ素子100の出力信号に含まれるバイアス成分を低減できる。
また、本変形例の振動型ジャイロ素子100を搭載した角速度センサ1000によれば、実施形態1に示すのと同様に、角速度の検出精度を高められる。
(実施形態2)
図14は、本実施形態に係る角速度センサの概略構成図を示し、この角速度センサ2000は、一対の角速度センサ1000,1100と演算部300とで構成されている。
一対の角速度センサ1000,1100のそれぞれは、同じ構造及びサイズの振動型ジャイロ素子100を有している。この振動型ジャイロ素子100は、実施形態1に示すのと同じ構造である。また、電気信号を処理する部分の構成は、図4に示すのと同様であり、各部の構造や特性は、2つの角速度センサ1000,1100でそれぞれ同じである。また、2つの角速度センサ1000,1100、特に、それぞれに設けられた振動型ジャイロ素子100は、互いに近い場所、例えば、同じ基板上に設けられている。あるいは、異なる基板上に設けられている場合でも、同じパッケージまたは同じケース内に配置されている。
一方、一対の角速度センサ1000,1100は、動作方式がそれぞれ異なっている。角速度センサ1000は、所定の周期で一次側と二次側を入れ替えて動作する。つまり、実施形態1に示す角速度センサ1000と同様に動作する。ただし、この角速度センサ1000では、動作の入れ替え周期が一定となっている。
一方、角速度センサ1100は、一次側と二次側を固定した状態で動作する。つまり、一次側と二次側の入れ替え動作を行わない。このため、角速度センサ1100では、図4に示す切替部250とスイッチ260を省略してもよい。
演算部300は、角速度センサ1000の出力信号と角速度センサ1100の出力信号がそれぞれ入力される。
演算部300は、角速度センサ1000の出力信号に基づいて、角速度センサ1100の出力信号を補正し、補正された信号に基づいて、角速度を算出する。具体的には、角速度センサ1000の出力信号からバイアス成分を抽出し、抽出されたバイアス成分を角速度センサ1100の出力信号から差し引くようにしてもよい。なお、バイアス成分は、角速度センサ1000における一次側と二次側の入れ替え動作時の出力信号をそれぞれ加算した値から得ることができる。あるいは、実施形態1に示すように、バイアス成分が予めキャンセルされた角速度センサ1000の出力信号と角速度センサ1100の出力信号とを比較して、角速度センサ1100の出力信号に含まれるバイアス成分を算出し、これを減算する補正を行ってもよい。
実施形態1に示す角速度センサ1000において、角速度センサ1000が移動体に搭載される場合、一次側と二次側の入れ替えタイミングを適切に設定できない場合がある。また、角速度センサ1000が搭載された機器の運転状態によっては、常に角速度センサ1000から角速度を出力し続けねばならない場合もある。これらの場合、バイアス成分のキャンセルを適切に行うことができず、角速度の検出精度が低下するおそれがある。
一方、本実施形態によれば、一定の周期で一次側と二次側の入れ替え動作を行う角速度センサ1000の出力信号を用いて、入れ替え動作を行わない角速度センサ1100の出力信号を補正している。
このようにすることで、角速度センサ1100の搭載状況や機器の運転状況によらず、角速度センサ1100の出力信号に含まれるバイアス成分を把握でき、これを適切かつ確実に低減することができる。また、角速度の検出精度を高めることができる。
なお、図14には、2つの角速度センサ1000,1100の外部に演算部300を設ける例を示したが、演算部300の機能を角速度センサ1000の内部に設けられた演算部240に組み込むようにしてもよい。このようにすることで、角速度センサ2000の構成が簡素化される。また、角速度センサ2000のコストを低減できる。
なお、前述の説明では、角速度センサ1000を動作させる場合、所定の周期で、一次駆動電極PDを二次駆動電極SDと入れ替えて動作させるとともに、一次検出電極PPOを二次検出電極SPOと入れ替えて動作させている。しかし、入れ替える電極40の組み合わせは、これに限られない。角速度センサ1000を動作させる場合、所定の周期で、一次駆動電極PDを二次検出電極SPOと入れ替えて動作させるとともに、一次検出電極PPOを二次駆動電極SDと入れ替えて動作させてもよい。
(その他の実施形態)
実施形態1,2及び各変形例に示した各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。例えば、実施形態2に示す角速度センサ1000,1100において、それぞれに搭載された振動型ジャイロ素子100を、変形例1~4のいずれかに示す振動型ジャイロ素子100としてもよい。ただし、その場合も、2つの振動型ジャイロ素子100は、同じ構造及びサイズであるのが好ましい。
また、実施形態1,2及び各変形例では、電磁式の振動型ジャイロ素子100を例に取って説明したが、特にこれに限定されず、例えば、圧電式の振動型ジャイロ素子にも、本開示の構造を適用できる。
図15は、圧電式の振動型ジャイロ素子の平面図を、図16は、図15のXVI-XVI線での断面図をそれぞれ示す。
図15に示す振動型ジャイロ素子120は、固定部10や振動子20や支持部30の構成や配置関係は、実施形態1に示す振動型ジャイロ素子100と同様である。一次駆動電極PDと一次検出電極PPOと二次駆動電極SDと二次検出電極SPOの配置関係も実施形態1と同様である。
一方、図15,16に示す振動型ジャイロ素子120は、磁場印加部60が省略されている点、及び複数の電極70a~70pのそれぞれが、下部電極層83と圧電体層82と上部電極層81とがこの順で積層された圧電構造体80である点で、実施形態1に示す振動型ジャイロ素子100と異なる。
図15に示す振動型ジャイロ素子120は、以下に示すように動作する。まず、一次駆動電極PDにおいて、上部電極層81と下部電極層83との間に交流電圧を印加すると、圧電体層82が周期的に伸縮する。この伸縮に応じて、振動子20が振動する。交流電圧の周波数を振動子20の共振周波数に合わせることで、振動子20にcos2θモードの一次振動が励起されることは、実施形態1と同様である。また、一次検出部210の出力信号を一次交流電源200にフィードバックして、一次振動を安定化させることも、実施形態1と同様である。
また、振動子20の振動に応じて、二次検出電極SPO及びこれに含まれる圧電体層82が伸縮する。この伸縮に応じて、二次検出電極SPOに含まれる上部電極層81と下部電極層83との間に交流電圧が発生する。
振動子20に角速度が発生し二次振動が生じたとき、二次検出電極SPOに発生した電圧信号が二次検出部230に入力され、二次検出部230の出力信号に基づいて、二次振動を打ち消すように二次交流電源220の出力が制御される。二次交流電源220の出力信号に基づいて、演算部240で角速度が算出されることも、実施形態1と同様である。
図15に示す振動型ジャイロ素子120においても、実施形態1に示すのと同様に、二次検出電極SPOに発生する電圧に含まれるバイアス成分を低減できることは明らかである。また、この振動型ジャイロ素子120を搭載した角速度センサ1000において、角速度の検出精度を高められることも実施形態1に示すのと同様である。
また、図15に示す例も含めて考えると、本願明細書に示す一次交流電源200は、一次駆動電極PDに所定の周波数の交流電力を印加していると言える。また、二次交流電源220は、二次駆動電極SDに交流電力を印加している。
なお、振動子20は、一次振動が励起されるとともに、角速度が発生した場合に振動状態が変化するような形状であればよく、特に円環状に限定されない。例えば、正多角形の環状や円盤状の形状でもよい。また、半球状の形状でもよい。
また、支持部30は、振動子20の振動を妨げることなく、振動子20を固定部10に接続できればよく、その形状は、図1,3に示した形状に限定されない。
また、実施形態1,2及び各変形例において、一次駆動電極PDと一次検出電極PPOとが、振動子20及び支持部30の表面で並列して配置される例を示した。しかし、特にこれに限定されず、例えば、振動子20及び支持部30の厚さ方向で互いに間隔をあけて並列して配置されていてもよい。具体的には、一次駆動電極PDと一次検出電極PPOのうち、一方が振動子20及び支持部30の表面に設けられ、他方が振動子20及び支持部30の裏面に設けられてもよい。同様に、二次駆動電極SDと二次検出電極SPOとが、振動子20及び支持部30の厚さ方向で互いに間隔をあけて並列して配置されていてもよい。つまり、二次駆動電極SDと二次検出電極SPOのうち、一方が振動子20及び支持部30の表面に設けられ、他方が振動子20及び支持部30の裏面に設けられてもよい。これ以外にも、振動子20及び支持部30の内部にこれらの電極が配置されていてもよい。
本開示の振動型ジャイロ素子によれば、出力信号に含まれるバイアス成分を低減できるため、高精度の角速度センサに適用する上で有用である。
10 固定部
20 振動子
30 支持部
40a~40p 電極
51 第1シリコン層
52 シリコン酸化層
53 第2シリコン層
54 シリコン酸化膜
60 磁場印加部
61 上部ヨーク
62 磁石
63 下部ヨーク
70a~70p 電極
80 圧電構造体
81 上部電極層
82 圧電体層
83 下部電極層
100,110,120 振動型ジャイロ素子
200 一次交流電源
210 一次検出部
220 二次交流電源
230 二次検出部
240 演算部
250 切替部
260 スイッチ
300 演算部
1000 角速度センサ
1100 角速度センサ
2000 角速度センサ

Claims (9)

  1. 固定部と、
    振動子と、
    前記振動子を前記固定部に接続して、前記振動子を振動可能に支持する支持部と、
    前記振動子の面内に形成された電極と、を少なくとも備え、
    前記振動子がcosNθ(Nは2以上の自然数)の振動モードを有するとき、
    前記振動子の外周方向に前記電極の軸が等角度間隔に並ぶ4N個の方位に前記電極がそれぞれ配置されており、
    複数の前記電極には、
    前記振動子にcosNθモードの一次振動を励起させる一次駆動電極と、
    前記一次振動を検出する一次検出電極と、
    前記振動子の二次振動を検出する二次検出電極と、
    前記二次振動を打ち消すように前記振動子を駆動する二次駆動電極と、が含まれ、
    前記一次検出電極は、前記一次駆動電極と同じ方位に配置され、
    前記二次駆動電極は、前記二次検出電極と同じ方位に配置され
    複数の前記電極には、前記一次駆動電極及び前記一次検出電極の組と、前記二次駆動電極及び前記二次検出電極の組とが、同数ずつ含まれる、振動型ジャイロ素子。
  2. 2つの前記電極が、前記支持部から前記振動子にかけて、互いに間隔をあけて並列に延びるように形成されており、
    一の前記支持部に設けられた一方の前記電極は、前記一次駆動電極で、他方は前記一次検出電極であり、
    他の前記支持部に設けられた一方の前記電極は、前記二次駆動電極で、他方は前記二次検出電極である、請求項1に記載の振動型ジャイロ素子。
  3. 前記振動子の外周方向に互いに(360/2N+360×(M/N))度(Mは整数でかつ0≦M≦N-1)離れた位置に配置された前記二次検出電極の組が、1ないし複数組設けられている、請求項1または2に記載の振動型ジャイロ素子。
  4. 複数の前記電極に対して、前記振動子の表面と交差する方向に磁場を印加する磁場印加部をさらに備えた、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動型ジャイロ素子。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の振動型ジャイロ素子と、
    前記一次駆動電極に所定の周波数の交流電力を印加する一次交流電源と、
    前記一次検出電極に発生する電圧信号を検出する一次検出部と、
    前記二次駆動電極に交流電力を印加する二次交流電源と、
    前記二次検出電極に発生する電圧信号を検出する二次検出部と、
    前記二次交流電源の出力信号に基づいて、角速度を算出する演算部と、を少なくとも備えた角速度センサ。
  6. 前記一次検出部の出力信号を前記一次交流電源にフィードバックすることで、前記振動子で発生する前記一次振動を安定化させ、
    前記二次検出部の出力信号に基づいて、前記振動子で発生する前記二次振動を打ち消すように前記二次交流電源の出力を制御し、
    前記演算部は、前記二次交流電源の出力信号に基づいて、角速度を算出する、請求項5に記載の角速度センサ。
  7. 所定のタイミングで、前記一次駆動電極を前記二次駆動電極または前記二次検出電極と入れ替えて動作させるとともに、前記一次検出電極を前記二次検出電極または前記二次駆動電極と入れ替えて動作させる切替部をさらに備え、
    前記演算部は、入れ替え動作の前後での前記二次交流電源の出力信号に基づいて、角速度を算出する、請求項5に記載の角速度センサ。
  8. 一対の角速度センサを備え、
    一方の角速度センサは、請求項7に記載の角速度センサであり、所定の周期で、前記一次駆動電極を前記二次駆動電極または前記二次検出電極と入れ替えて動作させるとともに、前記一次検出電極を前記二次検出電極または前記二次駆動電極と入れ替えて動作させ、
    他方の角速度センサは、入れ替え動作を行わず、
    前記一方の角速度センサの出力信号に含まれるバイアス成分を用いて、前記他方の角速度センサの出力信号を補正し、角速度を算出する角速度センサ。
  9. (削除)
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