JP2016008907A - 温度特性に優れた振動型ジャイロ - Google Patents

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Abstract

【課題】温度特性に優れた振動型ジャイロの提供。
【解決手段】検出支持梁16の一端は検出質量体14に接続されるが、他端はアンカー18に直接接続されず、検出質量体16とアンカー18との間に、応力緩和梁54が設けられる。1つの検出支持梁16に対して2つのアンカー18が設けられ、応力緩和梁54は、検出支持梁16に略直交するように延びる直線状の梁であり、その両端がアンカー18に接続され、応力緩和梁54の略中央部に検出支持梁16が接続されている。応力緩和梁54は、検出質量体14の回転方向56と直交する方向の剛性が、該直交する方向以外の方向と比べて低く構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動型ジャイロに関し、特には、MEMS技術によって製造され、温度特性に優れた振動型ジャイロに関する。
1990年代から急速に発展したいわゆるマイクロマシニング技術によって、例えば、絶縁膜を有するシリコン基板やガラス基板上に接合されたバルクシリコンウェハを、湿式エッチングやドライエッチング等の化学的なエッチングにより処理し、メカニカルなセンサ構造体を形成して、一度のプロセスで大量のセンサ構造を製造する手法が確立されている。このような微小電気機械システム(MEMS)技術によるセンサとしては、加速度センサ及び振動型ジャイロ等があり、例えば自動車、慣性ナビゲーション、デジタルカメラ、ゲーム機他、多くの分野において利用されている。
中でも振動型ジャイロは、一方向に振動する可動物体が回転運動を受けるときに発生するコリオリ加速度を利用している。振動する可動質量体が回転運動を伴うとき、該可動質量体は振動方向及び回転軸方向の双方に直交する方向に作用するコリオリ力を受け、この結果該可動質量体はコリオリ力の作用方向に変位する。該可動質量体は、この方向の変位を可能にするばねにより支持され、該可動質量体の変位量からコリオリ力及びそれを生じさせる角速度の値を検出することができる。可動質量体の変位は、例えば、一方が固定されかつ他方が可動質量体と共に変位可能な一対の平行平板構造又は櫛歯構造を備えた、平行平板型コンデンサ又は櫛歯型コンデンサを使用し、その容量変化から求めることができる。
振動型ジャイロの出力安定性を向上させるための1つの手段として、発生応力を緩和又は排除する手段を設けることが挙げられる。以下に示す先行技術文献には、振動型ジャイロのバイアス安定性改善のために、発生した応力を緩和させる手段を備えた振動型ジャイロが開示されている。
特許文献1には、左右の駆動質量体の駆動振動により検出質量体が直接駆動されない構造において、構造的アンバランスによる検出質量体の検出方向の回転変位を相殺する補正用電極を設けることにより、製造ばらつき等に起因する構造的非対称性により発生する漏れ出力(クワドラチャーエラー)を排除又は抑制することを企図した振動型ジャイロが記載されている。当該振動型ジャイロでは、支持基板にアンカーが接合され、該アンカーには、検出質量体を可動に支持する第2の支持梁が接続されている。
特許文献2には、アンカー8b〜11bと駆動用梁7a〜7dとの間に、該駆動用梁7a〜7dと平行する折り返し部8a〜11aを設け、駆動用梁7a〜7dの応力の温度変化に基づいて駆動共振周波数を変化させて、温度変化による検出感度のレベルの変動分を補償して素子感度のレベルを一定に保持することを企図したジャイロスコープが記載されている。
特許文献3には、Y軸方向に延びる第1の支持梁25の基端側が、基板22から離間した支持辺24A1に支持され、枠状体24が、周囲温度が変化したとき、基板22の熱膨張と可動部23の熱膨張の差を緩和して第1の支持梁25に加わる応力を低減し、各第1の支持梁25のばね定数を温度変化に拘らず一定にすることを企図した角速度センサが記載されている。
さらに特許文献4には、配線7を空中配線とし、バネ状の部位7Sを設け、温度変化に伴って枠1に生じる応力変化をバネ状の部位7Sに吸収させ、温度変化に対するセンサ回路のインピーダンス変化を抑止することを企図した慣性力センサが記載されている。
特開2013−253958号公報 特開2000−292174号公報 特開平11−325915号公報 特開2006−349563号公報
特許文献1に記載の構造では、支持基板と第2の支持梁とで線膨張係数が異なる場合、温度変化によって第2の支持梁の内部応力が変化し、第2の支持梁が変形することがある。このような変形は、モードの共振周波数を変化させる要因となり得る。
特許文献2〜4はいずれも、温度変化に伴う検出精度の悪化を防止するための手段を提供するものである。しかし、特許文献1に記載のような、左右の駆動質量体の駆動振動により検出質量体が直接駆動されない構造において、温度変化に伴う不都合を防止するための、より簡易かつコンパクトな手段を備えたジャイロが望まれている。
そこで本発明は、左右の駆動質量体の駆動振動により検出質量体が直接駆動されない構造を有し、温度特性に優れた振動型ジャイロを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本願第1の発明は、検出支持梁と接続されたアンカーで支持基板に固定され、角速度により発生するコリオリ力よって平面に直交する軸線回りに回転励振されるように構成された検出質量体と、前記平面内の一方向に駆動振動できるように、前記検出質量体の内側に駆動支持梁によって懸垂支持された左右の駆動質量体と、を備えた振動型ジャイロであって、前記左右の駆動質量体は、互いに逆相で振動する逆相振動モードを有するように、前記駆動振動の方向に弾性を有する連結ばねによって互いに連結され、前記検出質量体は、前記左右の駆動質量体の駆動振動によっては前記駆動振動の方向に励振されないように構成され、前記検出支持梁に発生した応力を緩和するために、前記検出質量体の回転方向と直交する方向の剛性が、該直交する方向以外の方向と比べて低く構成された応力緩和梁を、検出支持梁に接続して設けた、振動型ジャイロを提供する。
第2の発明は、第1の発明において、前記応力緩和梁が、前記検出支持梁と前記アンカーとの間に設けられた、振動型ジャイロを提供する。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記応力緩和梁が、前記検出支持梁と前記検出質量体との間に設けられた、振動型ジャイロを提供する。
第4の発明は、第1の発明において、前記応力緩和梁が、前記検出支持梁の中間部分に設けられた、振動型ジャイロを提供する。
本発明によれば、検出質量体の可動方向と直交する方向に変形しやすい応力緩和梁が設けられるので、温度変化に伴う応力が発生しても該応力緩和梁が変位し、検出支持梁には応力がたまらない。また応力緩和梁が変位しても、その変位方向は検出支持梁の可動方向と直交しているので、検出支持梁の変位(測定精度)には影響しない。また応力緩和梁の存在によってはジャイロの大きさは実質変化しないので、簡易かつコンパクトでありながら温度特性に優れた振動型ジャイロが提供される。
(a)本発明の好適な実施形態に係る振動型ジャイロの基本構造の一例を示す平面図であり、(b)(a)のII−II線に沿った切断面を示す断面図であり、(c)(a)のIII−III線に沿った切断面を示す断面図である。 応力緩和梁の第1の構成例を示す部分拡大図である。 応力緩和梁の第2の構成例を示す部分拡大図である。 応力緩和梁の第3の構成例を示す部分拡大図である。 応力緩和梁の第4の構成例を示す部分拡大図である。
図1(a)は、本発明に係る振動型ジャイロ(MEMSジャイロ素子)1の基本構造の一例を示す平面図であり、図1(b)及び図1(c)はそれぞれ、図1(a)のII−II線及びIII−III線に沿った切断面を示す断面図である。
図1において、参照符号2はガラス等の絶縁材料からなる支持基板を示しており、振動型ジャイロ1の他の構造部材はシリコンの単結晶から作製される。図1に示す振動型ジャイロにおいて、支持基板2の上に、シリコンの単結晶からなる左右の駆動質量体4及び6(左側を4とする)の各々が、Y方向に延びる少なくとも1つ(図示例では4つ)の駆動支持梁8及び10に支持される。駆動支持梁8及び10は、駆動質量体4及び6が基板2の面内方向かつ左右方向である駆動方向(X方向)に可動となるように、その剛性が他方向の剛性に比べ低くなるように構成されている。また左右の駆動質量体4及び6は、弾性結合要素である中央連結ばね12により互いに結合されている。
駆動質量体4及び6に接続されていない駆動支持梁8及び10の他端は、駆動質量体4及び6を囲繞するように設けられた略リング形状の検出質量体14に接続されている。検出質量体14は、少なくとも1つ(図示例では4つ)の検出支持梁16に支持され、各支持梁16の他端は基板2に接合された周辺部アンカー18に直接的又は間接的に接続されている。なお図中において、黒く塗り潰した部分は基板2に固定されている部分(不動部分)を示し、他の部分(斜線等)は基板に固定されていない又は可動部分を示す。また検出支持梁16には、検出支持梁16が変形し難い(剛性が高い)方向に変形し易い応力緩和梁54が接続されるが、これについては後述する。
検出質量体14を支持する検出支持梁16は、基板2の面に垂直なZ方向回りに回転振動が可能となるように、その回転方向の剛性が他方向の剛性に比べ低くなるように構成されている。なお、断面図1(b)及び(c)に示すように、駆動質量体4及び6、駆動支持梁8及び10、中央連結梁12、検出質量体14、並びに検出支持梁16は、基板2と所定の間隔を有して対向配置されている。
図1(a)に示すように、左側の駆動質量体4は、略矩形の枠状部材であり、その外側寄りの側(中央に遠い側)から中央側に向けて延びる櫛歯状の電極22を有し、これに対向する左側駆動用櫛歯固定電極24が基板2に固定配置されており、これにより左側の質量駆動体4を左右方向(X方向)に駆動振動させることができる。同様に、右側の駆動質量体6は、略矩形の枠状部材であり、その外側寄りの側(中央に遠い側)から中央側に向けて延びる櫛歯状の電極26を有し、これに対向する右側駆動用櫛歯固定電極28が基板2に固定配置されており、これにより右側の質量駆動体6を左右方向(X方向)に駆動振動させることができる。
左側の駆動質量体4は、その中央寄りの側から反中央側に向けて延びる櫛歯状の電極30を有し、これに対向する左側駆動モニタ用櫛歯固定電極32が基板2に固定配置されており、これにより左側の駆動質量体4の変位量を測定できる。また右側の駆動質量体4は、その中央寄りの側に設けられたフレーム34の反中央側から中央側に向けて延びる櫛歯状の電極36を有し、これに対向する右側駆動モニタ用櫛歯固定電極38が基板2に固定配置されており、これにより右側の駆動質量体6の変位量を測定できる。
ここで、振動型ジャイロ1にZ軸回りの角速度が入力された場合、検出質量体14とともに左右の駆動質量体も回転振動するため、左右の駆動質量体に設けた櫛歯電極30及び36も回転変位し、駆動モニタ用櫛歯電極32及び38との位置関係が変化し、それに伴い対向する櫛歯間の容量も変化してモニタ出力に影響する。従って上述の左右駆動質量体のモニタ機構(すなわち櫛歯電極30、32、36及び38)は、検出質量体14の中央に可能な限り近い位置に設けることが好ましい。
また図1(a)からわかるように、左側の駆動質量体4におけるモニタ機構すなわち櫛歯電極30及び32と、右側の駆動質量体6におけるモニタ機構すなわち櫛歯電極36及び38とは、左右対称(Y軸に関して対称)とはなっていない。これは、左右のモニタ機構をいわゆる差動式とするためであり、具体的に言えば、左右の駆動質量体が中央側に移動したときは左側のモニタ機構では対向する櫛歯間の距離が拡大し、逆に右側のモニタ機構では対向する櫛歯間の距離が縮小する。駆動用櫛歯固定電極24及び28に駆動AC電圧が印加されると、周囲に存在する浮遊容量(寄生容量)によってカップリング電流としてモニタ用櫛歯電極に流れ、不要なモニタ出力として現れることがあるが、このような影響を上記差動式の構成によって排除又は抑制することができる。
また上述のように左右のモニタ電極を左右対称の構造としなかったことにより、左右の駆動質量体のモーメントに差異が生じるので、図1(a)に示すように、左側の質量駆動体4にもフレーム34と左右対称となるフレーム40を設け、さらに左右の駆動質量体が左右対称構造となるように、電圧印加されないダミー櫛歯電極42を設けることが好ましい。
図1(a)に示すように、検出質量体14は径方向外側に延びる櫛歯状の電極44を有し、これに対向する検出モニタ用櫛歯固定電極46及び48が基板2に固定配置されている。詳細には、X−Y平面の第1象限及び第4象限に跨る右側領域に、該右側領域内の櫛歯電極44に対向する検出モニタ用櫛歯固定電極46が固定配置され、X−Y平面の第2象限及び第3象限(図1の左部)に跨る左側領域に、該左側領域内の櫛歯電極44に対向する検出モニタ用櫛歯固定電極48が固定配置される。さらに、検出モニタ用櫛歯固定電極46及び48は、差動式モニタ機構を構成しており、具体的に言えば、検出質量体14がZ軸回りに時計方向に回転したときは、右側領域内では対向する櫛歯間の距離が拡大し、逆に左側領域内では対向する櫛歯間の距離が縮小する。これら2つの櫛歯間の容量変化の差を利用する差動構成により、検出質量体自体に発生している同相のノイズを相殺することができ、より高精度の測定を行うことができる。
またX−Y平面の第3象限(図1の左下部)内及び第4象限(図1の右下部)内には、それぞれ、検出質量体14の櫛歯電極44に対向する第1の補正用櫛歯電極50及び第2の補正用櫛歯電極52が基板2に固定配置される。該補正用櫛歯電極の形状自体は上述の検出モニタ用櫛歯固定電極と同等でよいが、その機能はクワドラチャーエラー(クワドラチャー変位)の相殺である。
図1に示す振動型ジャイロ1は、以下のようなマイクロマシニングプロセスを適用して作製することができる。
先ず、ガラス支持基板2とジャイロの可動部材との間に所定の間隙(図1(b)、(c)参照)が形成されるように、フッ酸等を利用したウェットエッチング処理をガラス基板に施す。但し、エッチングされてはいけない領域として、間隙を形成する部分以外については、半導体フォトリソグラフィ技術等を適用して、例えばレジストマスクを予め形成しておく。
次に、ガラス支持基板とシリコン基板とを陽極接合手法等により接合する。この段階で、シリコン基板側から研磨を行い、該シリコン基板を所定の厚さにするとともに、ボンディング用パッドとして必要とされる領域に、Cr&Au等の導電性メタルのスパッタリング等を行い、電極パッド(図示せず)を形成する。
さらに、接合されたシリコン基板の表面側(研磨側)に、フォトレジスト等のマスク材料を利用して、図1(a)の平面図で示されるレジストパターンを、フォトリソグラフィ技術を利用して作製する。この場合も、エッチングされてはいけない領域がレジストマスクにより保護される。
次に、RIE装置等を利用したドライエッチングにより、シリコン基板の厚さ方向に貫通エッチングを行う。以上のようなマイクロマシニング技術を適用した製造プロセスにより、振動型ジャイロの基本構造を作製することができる。
このようにジャイロを構成する材料として必要なものはシリコン基板及びガラス基板のみである。
次に、振動型ジャイロの動作について説明する。例えば、X軸方向に速度Vxで振動する質量Mの検出質量体にZ軸回りの回転(回転角速度Ωz)が加わった場合に生じるY軸方向のコリオリ力Fyの絶対量は、
Fy=2ΩzMVx
で表される。このため、コリオリ力Fyによる該検出質量体の変位を検出することで角速度を検出する振動型ジャイロでは、駆動質量体を速度Vxで励振させる必要がある。このための方式として、例えば静電力によるコームドライブ方式が利用される。
左側駆動質量体4と左側駆動用櫛歯電極24との間、及び右側駆動質量体6と右側駆動用櫛歯電極28との間に、DC電圧VDCとAC電圧VACとの和を印加すると、VACの電圧周期と等しい駆動力が発生する。一方、左右の駆動質量体4及び6は弾性の中央連結ばね12により互いに連結されているので、互いにX方向に近づき又は離れる、いわゆる逆相振動の共振モードを有する。従って、VACの周波数をこの逆相振動モードの共振周波数と一致させて振動させることで、駆動質量体4及び6は、互いに接離する逆相振動を呈する。この振動の速度Vxは、左右の駆動モニタ用櫛歯電極32及び38により、静電容量変化として電気回路を通じて検出され、駆動振動振幅を一定にするためのAGC制御(Auto Gain Control)に利用される。
左右の駆動質量体4及び6が上記のようにX方向に逆相振動する場合、角速度Ωzが図1(a)の紙面に垂直な方向(Z方向)に作用すると、左右の駆動質量体には逆相のコリオリ力FyがY方向に生じる。このコリオリ力によって検出質量体14にはZ軸回りの回転トルクが作用し、検出質量体14はZ軸回りに回転変位振動する。この結果、検出質量体14に設けた櫛歯電極44と第1及び第2の検出モニタ用固定櫛歯電極46及び48との間の静電容量が差動で変化し、その差動容量変化を電気的に読み出す。
以下、図2〜図5を参照して、検出支持梁16にて発生する応力を緩和する構成について説明する。先ず図2は、図1に示す振動型ジャイロ1の検出支持梁16近傍の拡大図であり、応力緩和梁の第1の構成例を示す。図2の例では、検出支持梁16の一端は検出質量体14に接続されるが、他端はアンカー18に直接接続されず、検出質量体16とアンカー18との間に、応力緩和梁54が設けられる。
より具体的には、1つの検出支持梁16に対して2つのアンカー18が設けられ、応力緩和梁54は、検出支持梁16に略直交するように延びる直線状の梁であり、その両端がアンカー18に接続され、応力緩和梁54の略中央部に検出支持梁16が接続されている。換言すれば、応力緩和梁54は、検出質量体14の回転方向(矢印56で図示)と直交する方向(上下方向)の剛性が、該直交する方向以外の方向と比べて低く構成されている。
上述のように、ジャイロを構成する材料として必要なものはシリコン基板及びガラス基板であるが、これら材料の線膨張係数が異なる場合、温度変化により検出支持梁16に応力が発生し、温度変化前と比べて検出支持梁16の内部応力が変化する。その結果、検出支持梁16が変形するモード(検出モード)の共振周波数が変化し、正確な角速度測定が難しくなる虞がある。そこで本発明では、発生応力を吸収(緩和)する応力緩和梁を利用する。
図2の例では、検出支持梁16はその延在方向(すなわち検出質量体14の回転方向56に直交する方向)については剛性が高いので、該延在方向については応力を適切に緩和することが難しい。そこで、該延在方向に直交する方向に延びる(すなわち該延在方向についての剛性が他の方向より低い)応力緩和梁54を設けることにより、温度変化により検出支持梁16に応力が発生した際、応力緩和梁54が弾性変形する(上下方向に撓む)ことにより、検出支持梁16の応力を応力緩和梁54が吸収することができる。その結果、検出支持梁16の内部応力は温度変化前と比べて変化しないか、もしくは微小の変化に抑えることができる。
さらに、検出支持梁16に接続されている応力緩和梁54は、検出支持梁16が回転振動可動になるように剛性が低く構成されている方向と垂直な方向の剛性が他方向と比べて低くなるように構成されているため、検出支持梁16は内部応力によっては回転方向に変形しない。従って、本発明に係る振動型ジャイロでは、温度変化に伴う検出出力(バイアス値)への影響が極めて小さく、正確な角速度測定が可能となる。
図3は、応力緩和梁の第2の構成例を示す。図3の例では、検出支持梁16の一端が接続される検出質量体14の部分において、検出支持梁16の延在方向に略直交する方向(すなわち検出質量体14の回転方向56に平行な方向)に延びる空隙58が設けられており、換言すれば、検出支持梁16の一端が接続される検出質量体14の部分60は、検出支持梁16の延在方向について他の部分より厚さが小さい薄肉部となっている。
従って図3の第2の例では、検出質量体14と検出支持梁16との間の薄肉部60が、検出質量体14の回転方向と直交する方向の剛性が、該直交する方向以外の方向と比べて低く構成された応力緩和梁に相当する。薄肉部60の作用効果については、図2の第1の例における応力緩和梁54とほぼ同様である。
図4は、応力緩和梁の第3の構成例を示す。図4の例では、図2に示した応力緩和梁54と図3に示した薄肉部60の双方が設けられており、これらが応力緩和梁として作用する。図4の応力緩和梁の作用効果も、第1の例における応力緩和梁54や第2の例における薄肉部60と同様であるが、図4の例はその双方を具備しているので、図2又は図3の例より大きな応力緩和効果が期待できる。
図5は、応力緩和梁の第4の構成例を示す。図5の例では、検出支持梁16の、その延在方向についての略中間部に応力緩和梁62が設けられている。応力緩和梁62は、検出質量体14の回転方向について検出支持梁16よりも大きい寸法(図示例では長方形形状)を有し、その内部に、検出支持梁16の延在方向に略直交する方向(すなわち検出質量体14の回転方向に平行な方向)に延在する梁状部材であり、該延在方向と同方向に延びる空隙64を内部に有する。従って応力緩和梁62も、検出質量体14の回転方向と直交する方向の剛性が、該直交する方向以外の方向と比べて低く構成されており、温度変化に伴う検出支持梁16の内部応力を、検出質量体14の回転方向と直交する方向に弾性変形することによって適切に吸収(緩和)することができる。
図2〜図5は、いずれも応力緩和梁が検出支持梁16に接続された形態となっているが、図2では応力緩和梁54が検出支持梁16とアンカー18との間に接続され、図3では応力緩和梁60が検出支持梁16と検出質量体14との間に接続され、図5では応力緩和梁62が検出支持梁16の中間部分に接続され、また図4は図2の応力緩和梁54と図3の応力緩和梁60の双方を具備する形態を図示している。いずれの形態でも、ジャイロを構成する材料の線膨張係数の差異により発生する応力を、応力緩和梁の弾性変形(弾性変位)によって吸収することができ、これにより共振周波数変化が抑制され、温度特性に優れた振動型ジャイロが提供される。
なお図1では、4つの検出支持梁16の全てにおいて図2の応力緩和梁54が設けられているが、これらの全てを図3〜図5のいずれかの応力緩和梁に置換してもよいし、4つの検出支持梁において異なる応力緩和梁を設けてもよい。例えば、4つの応力緩和梁を全て、図4の応力緩和梁54及び60を有する構成としてもよいし、4つのうち2つを図3の応力緩和梁60とし、他の2つを図5の応力緩和梁62としてもよい。或いは、4つの検出支持梁の全てに応力緩和梁を接続しなくても、少なくとも1つの検出支持梁に応力緩和梁を接続すれば、一定の効果は得られる。また、図2〜図5に示したもの以外にも、検出支持梁の剛性が低い方向と直交する方向の剛性が他の方向と比べて低く構成された構成が、本願発明に係る応力緩和梁として使用可能である。
1 振動型ジャイロ
2 基板
4、6 駆動質量体
12 中央連結ばね
14 検出質量体
24、28 駆動用櫛歯固定電極
32、38 駆動モニタ用櫛歯固定電極
46、48 検出モニタ用櫛歯固定電極
54、60、62 応力緩和梁
58、64 空隙

Claims (4)

  1. 検出支持梁と接続されたアンカーで支持基板に固定され、角速度により発生するコリオリ力よって平面に直交する軸線回りに回転励振されるように構成された検出質量体と、前記平面内の一方向に駆動振動できるように、前記検出質量体の内側に駆動支持梁によって懸垂支持された左右の駆動質量体と、を備えた振動型ジャイロであって、
    前記左右の駆動質量体は、互いに逆相で振動する逆相振動モードを有するように、前記駆動振動の方向に弾性を有する連結ばねによって互いに連結され、前記検出質量体は、前記左右の駆動質量体の駆動振動によっては前記駆動振動の方向に励振されないように構成され、
    前記検出支持梁に発生した応力を緩和するために、前記検出質量体の回転方向と直交する方向の剛性が、該直交する方向以外の方向と比べて低く構成された応力緩和梁を、検出支持梁に接続して設けた、振動型ジャイロ。
  2. 前記応力緩和梁が、前記検出支持梁と前記アンカーとの間に設けられた、請求項1に記載の振動型ジャイロ。
  3. 前記応力緩和梁が、前記検出支持梁と前記検出質量体との間に設けられた、請求項1又は2に記載の振動型ジャイロ。
  4. 前記応力緩和梁が、前記検出支持梁の中間部分に設けられた、請求項1に記載の振動型ジャイロ。
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