JP7402341B2 - 振動型ジャイロ素子及びこれを備えた角速度センサ - Google Patents

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Description

本開示は、振動型ジャイロ素子及びこれを備えた角速度センサに関する。
従来、角速度センサに用いられるジャイロ素子として振動型ジャイロ素子が知られている。例えば、環状の振動子の表面に複数の電極を設け、電極の表面と交差する方向に磁場を印加する構造の電磁式ジャイロ素子が良く知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
電磁式ジャイロ素子では、磁場が印加された状態で、一部の電極(以下、一次駆動電極(Primary Driving Electrode)という)に振動子の共振周波数に相当する周波数の電流を流して、振動子を共振振動(以下、一次振動ともいう)させる。振動子にコリオリ力が加わり、角速度が発生した場合、別の電極(以下、二次検出電極(Secondary Pickoff Electrode)という)に発生する電圧を、角速度を算出するための信号として検出する。
特許第5410518号公報 特開2019-032302号公報
ところで、一次駆動電極と二次検出電極との距離が近い場合、一次駆動電極に流れる交流電流によって、二次検出電極に相互誘導が生じ、電圧が誘起されることがある(以下、クロストーク電圧と呼ぶことがある)。
このようなクロストーク電圧は、出力信号に誤差成分として重畳され、角速度の検出値の誤差要因となることがあった。
本開示は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、二次検出電極で発生した電圧に含まれるクロストーク電圧を低減可能な振動型ジャイロ素子及びこれを備えた角速度センサを提供することにある。
上記目的を達成するため、本開示に係る振動型ジャイロ素子は、固定部と、振動子と、前記振動子を前記固定部に接続して、前記振動子を振動可能に支持する支持部と、前記振動子の面内に形成された電極と、を少なくとも備え、前記振動子がcosNθ(Nは2以上の自然数)の振動モードを有するとき、前記振動子の外周方向に前記電極の軸が等角度間隔に並ぶ4N個の方位に前記電極がそれぞれ配置されており、複数の前記電極には、前記振動子にcosNθモードの一次振動を励起させる一次駆動電極と、前記振動子の二次振動を検出する二次検出電極とがそれぞれ含まれており、前記二次検出電極に対して前記一次駆動電極が時計回り側に隣接した方位に配置される場合の数をS1とし、前記二次検出電極に対して前記一次駆動電極が反時計回り側に隣接した方位に配置される場合の数をS2とし、前記一次駆動電極が時計回り側に隣接する方位及び反時計回り側に隣接する方位のいずれにも配置されない前記二次検出電極の個数をUと、それぞれするとき、U≧1、または、(S1+S2)-2≧|S1-S2|の関係を満たす。
本開示に係る角速度センサは、前記振動型ジャイロ素子と、前記一次駆動電極に所定の周波数の交流電力を印加する一次交流電源と、前記二次検出電極に発生する電圧信号を検出する二次検出部と、前記二次検出部の出力信号に基づいて、角速度を算出する演算部と、を少なくとも備えている。
本開示の振動型ジャイロ素子によれば、二次検出電極で発生した電圧に含まれるクロストーク電圧を低減できる。本開示の角速度センサによれば、振動型ジャイロ素子の出力信号に含まれるクロストーク電圧を低減でき、角速度の検出精度を高められる。
実施形態1に係る振動型ジャイロ素子の平面図である。 図1のII-II線での断面図である。 図1の破線で囲まれた部分の拡大図である。 角速度センサの回路ブロックの概略構成図である。 振動子の一次振動状態を示す模式図である。 振動子の二次振動状態を示す模式図である。 振動型ジャイロ素子が動作中のクロストーク電圧発生箇所を示す平面図である。 比較のための振動型ジャイロ素子が動作中のクロストーク電圧発生箇所を示す平面図である。 変形例1に係る振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例1に係る別の振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例1に係るさらなる別の振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例2に係る振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例2に係る別の振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例3に係る振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例3に係る別の振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例4に係る振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例4に係る別の振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例5に係る振動型ジャイロ素子の平面図である。 変形例5に係る別の振動型ジャイロ素子の平面図である。 一次駆動電極及び二次検出電極の配置関係とクロストーク電圧の低減条件との関係を示す図である。 実施形態2に係る振動型ジャイロ素子の平面図である。 図14の破線で囲まれた部分の拡大図である。 角速度センサの回路ブロックの概略構成図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
[振動型ジャイロ素子の構成]
図1は、本実施形態1に係る振動型ジャイロ素子の平面図を、図2は、図1のII-II線での断面図を、図3は、図1の破線で囲まれた部分の拡大図をそれぞれ示す。
なお、説明の便宜上、図1,3において、磁場印加部60の図示を省略している。また、図1~3は、振動型ジャイロ素子100の構造を模式的に示したものであり、各部材間の実際の寸法関係を正しく表したものではないことに留意する必要がある。
なお、以降の説明において、振動子20の半径方向を径方向と、振動子20の外周方向を周方向と、径方向及び周方向とそれぞれ交差する方向を軸方向とそれぞれ呼ぶことがある。また、径方向において、振動子20の中心側を内または内側と、外周側を外または外側と呼ぶことがある。軸方向において、上部ヨーク61(図2参照)が設けられた側を上または上側と、下部ヨーク63(図2参照)が設けられた側を下または下側と呼ぶことがある。なお、以降に示す各部材の上面を表面と、下面を裏面とそれぞれ呼ぶことがある。
また、1または複数の一次駆動電極を総称して、一次駆動電極PDと呼び、1または複数の二次検出電極を総称して、二次検出電極SPOと呼ぶことがある。
図1,2に示すように、振動型ジャイロ素子100は、固定部10と振動子20と複数の支持部30と複数の電極40a~40hと磁場印加部60とを有している。
図1に示すように、固定部10は、中央に開口10aを有し、開口10aの内側に振動子20と複数の支持部30と複数の電極40a~40hと磁場印加部60とが配置されている。また、図2に示すように、固定部10は、第1シリコン層51とシリコン酸化層(絶縁層)52と第2シリコン層53とがこの順で積層された積層構造を有する部材である。また、第2シリコン層53の表面にはシリコン酸化膜54が形成されている。
振動子20は、第2シリコン層53を加工して得られる円環状の部材であり、cos2θの振動モードを有している。
支持部30は、第2シリコン層53を加工して得られる部材であり、振動子20と一体的に形成される。また、支持部30は、振動子20を固定部10に接続して、振動子20を片持ち状に、別の見方をすれば、振動子20を振動可能に支持している。
図3に示すように、複数の支持部30のそれぞれは、第1脚部31と第2脚部32とを有している。第1脚部31及び第2脚部32は、それぞれ第1端部30aと第2端部30bとを有している。第1端部30aは、第1間隔をあけて振動子20の異なる位置にそれぞれ接続されている。第2端部30bは、第1間隔よりも狭い第2間隔をあけて固定部10の異なる位置にそれぞれ接続されている。
また、第1脚部31は、第1端部30aから振動子20の径方向外側に延びる第1部分31aと、第1部分31aの一端である第1変曲部31bで変曲されて、振動子20の外周と平行に延びる第2部分31cと、を有している。また、第1脚部31は、第2部分31cの一端である第2変曲部31dで変曲されて、振動子20の半径方向外側に延びて第2端部30bに達する第3部分31eを有している。
同様に、第2脚部32は、第1端部30aから振動子20の径方向外側に延びる第1部分32aと、第1部分32aの一端である第1変曲部32bで変曲されて、振動子20の外周と平行に延びる第2部分32cと、を有している。また、第2脚部32は、第2部分32cの一端である第2変曲部32dで変曲されて、振動子20の半径方向外側に延びて第2端部30bに達する第3部分32eを有している。
第1脚部31の第2部分31cと第2脚部32の第2部分32cは、互いに近づくように第2変曲部31d,32dまでそれぞれ延びている。また、第1脚部31の第3部分31eと第2脚部32の第3部分32eは、所定の間隔をあけながら、並列して第2変曲部31d,32dから第2端部30bまでそれぞれ延びている。また、第1脚部31と第2脚部32とは、振動子20の中心と互いの第3部分31e,32eの間とを通る仮想線に関して対称に配置されている。
電極40a~40hのそれぞれは、振動子20の面内にループ状に形成された導電部材である。また、電極40a~40hのそれぞれは、支持部30及び固定部10の表面にかけて延びるように形成されている。例えば、図3に示すように、電極40dは、第1脚部31の第2端部30bから第1脚部31と第1端部30a間の振動子20と第2脚部32とを経由して、第2脚部32の第2端部30bまで延びている。また、電極40dは、シリコン酸化膜54の表面に形成されている。なお、以降の説明において、電極40a~40hの配置方位や機能に特に着目しない場合、電極40a~40hを総称して、電極40と呼ぶことがある。また後で示す電極40a~40p(図14参照)についても同様に、電極40と呼ぶことがある。なお、異なる方位に配置された同じ機能の電極40のうち、一部または全てが、固定部10内に設けられた配線(図示せず)で接続される。なお、本願明細書における「方位」は、電極40が配置される「領域」に対応し、当該領域が隣接している場合、これらは連続している。また、電極40は、1つの方位をまたがって配置されてもよい。また、電極40のサイズは、1つの方位(領域)のサイズよりも小さくてもよい。電極40は、同じ方位内に複数配置されていてもよい。
図1に示すように、4つの一次駆動電極PDと4つの二次検出電極SPOとが、周方向に亘って交互に配置されている。一の一次駆動電極PDと、これに最も近い一次駆動電極PDとは、互いに90度離れた位置に配置されている。一の二次検出電極SPOと、これに最も近い二次検出電極SPOとは、互いに90度離れた位置に配置されている。隣接する一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとは、互いに45度離れた位置に配置されている。
なお、複数の電極40a~40hのそれぞれの両端部には、電極パッド(図示せず)が設けられている。4つの二次検出電極SPOは、電極パッドを介して直列に接続されている。
図2に示すように、磁場印加部60は、上部ヨーク61と磁石62と下部ヨーク63とを有している。上部ヨーク61及び下部ヨーク63は、それぞれ鉄等の磁性体からなる有底筒状の部材である。上部ヨーク61の筒状の部分と下部ヨーク63の筒状の部分とが軸方向に間隔をあけて対向するように、上部ヨーク61及び下部ヨーク63が配置されている。また、上部ヨーク61の筒状の部分と下部ヨーク63の筒状の部分との間に振動子20が配置されている。振動子20は、上部ヨーク61の筒状の部分と下部ヨーク63の筒状の部分との間に、それぞれと軸方向に間隔をあけて配置されている。
磁石62は、上部及び下部の一方がN極で、他方がS極となっている。磁石62は、上部ヨーク61または下部ヨーク63、あるいはその両方に保持されて、振動子20の内側に固定配置されている。
磁石62の一方の磁極から流れる磁束が、上部ヨーク61及び下部ヨーク63の一方を通過して、振動子20及びその面内に形成された電極40a~40hに達する。さらに、磁束は、振動子20及び電極40a~40hを通過して、上部ヨーク61及び下部ヨーク63の他方を介して、磁石62の他方の磁極に流れ込む。
このように、磁場印加部60は、複数の電極40a~40hに対して、振動子20の表面と交差する方向、この場合は軸方向に磁場を印加している。なお、磁場印加部60は、図示しない支持基板に支持されることで、振動子20との径方向及び軸方向の位置を保っている。
磁場印加部60を除く振動型ジャイロ素子100は、例えば、半導体微細加工技術を応用したマイクロマシニング技術を用いて、公知のSOI(Slicon On Insulator)基板を加工して得られるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子である。
このMEMS素子は、例えば、以下のように製造される。第1シリコン層51とシリコン酸化層52と第2シリコン層53とを有するSOI基板を熱酸化して、第2シリコン層53の表面にシリコン酸化膜54を形成する。
次に、シリコン酸化膜54の表面に、マスクパターン(図示せず)を用いて、複数の電極40a~40hを形成する。例えば、マスクパターンを通して、金属膜をシリコン酸化膜54の表面に被着させることで、複数の電極40a~40hを形成する。
別のマスクパターン(図示せず)を用いて、シリコン酸化膜54及び第2シリコン層53をシリコン酸化層52に至るまでエッチング、除去する。この工程を経て、支持部30及び振動子20の原形が形成される。
次に、電極40a~40hと支持部30と振動子20の表面をワックス等により保護した状態で、固定部10の開口10aに相当するマスクパターン(図示せず)を用いて、支持部30及び振動子20の下方に位置する第1シリコン層51をエッチング、除去する。さらに、同じマスクパターンを用いて、シリコン酸化層52をエッチング除去し、前述のMEMS素子を得る。
なお、第1シリコン層51及びシリコン酸化層52のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。ただし、いずれの場合も、エッチング層の下地となる層とのエッチング選択性が高いエッチャントを用いるのがよい。
[角速度センサの構成及び動作]
図4は、角速度センサの回路ブロックの概略構成図を示す。なお、説明の便宜上、図4において、振動型ジャイロ素子100のうち、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOのみを簡略化して図示している。
図4に示すように、角速度センサ1000は、振動型ジャイロ素子100と一次交流電源200と二次検出部230と演算部240とを少なくとも有している。
4つの一次駆動電極PDに一次交流電源200が接続される。直列接続された4つの二次検出電極SPOに二次検出部230が接続される。また、二次検出部230に演算部240が接続される。
以下、角速度センサ1000の動作について説明する。
一次交流電源200から交流電流Ipが一次駆動電極PDに供給されると、一次駆動電極PDには磁場印加部60から印加された磁場の方向と、交流電流Ipが流れる方向とにそれぞれ交差する方向にローレンツ力が加わる。つまり、ローレンツ力は、振動子20の表面と平行な方向に作用する。一次駆動電極PDが設けられた振動子20は、このローレンツ力を受けて変形する。また、交流電流Ipの周波数に応じて、ローレンツ力の向きは周期的に反転するため、振動子20は、同じ周波数で振動する。この場合、振動子20は、その表面と平行な方向に振動する。
振動子20の共振周波数に合わせるように交流電流Ipの周波数を設定することで、振動子20にはcos2θモードの一次振動が励起される。
また、振動子20にこのような一次振動を発生させるように、4つの一次駆動電極PDのそれぞれに交流電流Ipを流す必要がある。具体的には、4つの一次駆動電極PDのそれぞれに流れる交流電流Ipが交互に逆向きになるようにする。さらに拡張して言うと、上から見て時計回り方向に交流電流Ipが流れる一次駆動電極PDと反時計回り方向に交流電流Ipが流れる一次駆動電極PDとが交互に配置されるようにする。本実施形態に示す例では、周方向に90度離れた位置にある2つの一次駆動電極PDの間で、交流電流Ipが流れる向きが互いに逆向き、つまり、上から見て時計回り方向と反時計回り方向となるように設定される(図6参照)。また、4つの一次駆動電極PDと一次交流電源200との接続関係は、前述の設定を満たせるようにすればよく、4つの一次駆動電極PDが直列接続されていても、一次交流電源200に対してそれぞれ並列に接続されていてもよい。
図5Aは、振動子の一次振動状態を模式的に示したものであり、図5Bは、振動子の二次振動状態を模式的に示したものである。
図5Aに示すように、円環状の振動子20は、周期的に、互いに直交する主軸を有する楕円形となるように一次振動する。一方、振動子20にコリオリ力が加わり、軸方向回りに角速度が発生した場合、前述した楕円の主軸の方向が変化する。図1に示す本実施形態の振動型ジャイロ素子100の場合、図5Bに示すように、一次振動の場合に対して、楕円の主軸が45度回転した位置に変化し、振動子20が二次振動状態となる。
二次検出電極SPOにも、その表面と交差する方向に磁場が印加されている。また、振動子20の振動に応じて、二次検出電極SPOも、その表面と平行な方向に振動する。これらのことにより、二次検出電極SPOには、磁場の強度と振動時の移動速度とに応じた電圧が発生する。また、振動子20が一次振動状態の場合と二次振動状態の場合とで、二次検出電極SPOの移動速度が異なるため、それぞれの状態で発生する電圧もまた異なる。
二次検出部230は、二次検出電極SPOに発生した電圧を検出して、当該電圧の大きさに応じた信号を演算部240に出力する。
また、以上説明したように、角速度センサ1000の動作中に各電極40に力が作用しており、これに応じた力学的な運動軸が仮想的に想定される。このことに鑑みれば、電極40の配置方位は、それぞれに想定された運動軸(以下、電極40の軸と呼ぶことがある)が振動子20の外周方向に等角度間隔に配置された方位であるとも言える。
演算部240は、二次検出部230の出力信号に基づいて、振動子20が一次振動状態であるか二次振動状態であるかを判定する。さらに、振動子20が二次振動状態であると判定した場合、演算部240は、二次検出部230の出力信号に基づいて、角速度を算出する。
なお、振動型ジャイロ素子100と一次交流電源200と二次検出部230と演算部240とがそれぞれ別の基板に実装されていてもよいし、同じ基板上に実装されていてもよい。振動型ジャイロ素子100と一次交流電源200と二次検出部230と演算部240とが、それぞれ別のパッケージ(図示せず)に収容されていてもよい。また、振動型ジャイロ素子100とそれ以外の構成要素とが別の基板に実装されるか、または別のパッケージに収容されていてもよい。その場合、一次交流電源200は、さらに別の基板に実装されるか、または別のパッケージに収容されていてもよい。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係る振動型ジャイロ素子100は、固定部10と、振動子20と、振動子20を固定部10に接続して、振動子20を振動可能に支持する支持部30と、振動子20の面内にそれぞれループ状に形成された電極40a~40hと、を少なくとも備えている。
振動子20がcos2θの振動モードを有するとき、電極40の軸が振動子20の外周方向に等角度間隔、この場合は45度間隔に並ぶ8つの方位に、電極40がそれぞれ配置されている。また、8つの方位に対して、4つの一次駆動電極PDと4つの二次検出電極SPOが交互に配置されている。
また、振動型ジャイロ素子100は、8つの電極40a~40hに対して、振動子20の表面と交差する方向、この場合は軸方向に磁場を印加する磁場印加部60をさらに備えている。
振動型ジャイロ素子100をこのように構成することで、振動型ジャイロ素子100の動作中に、二次検出電極SPOで発生した電圧に含まれるクロストーク電圧を低減できる。このことについて、図面を用いてさらに説明する。
図6は、本実施形態の振動型ジャイロ素子が動作中のクロストーク電圧発生箇所を示し、図7は、比較のための振動型ジャイロ素子が動作中のクロストーク電圧発生箇所を示す。なお、図6,7において、ローマ数字i~viiiは、電極40a~40hが配置された方位の順番を示している。また、時計回り方向に順番が決められている。ただし、反時計回り方向で決めてもよい。また、どこを1番目の方位とするかは、適宜変更できる。
また、図6及び以降に示す各図面において、一次駆動電極PDの内側に付した矢印は、交流電流Ipの流れる向きを示す。また、二次検出電極SPOの内側に付した白抜きの矢印は、クロストーク電圧の発生箇所及びその起電力の方向を示す。
図7に示す振動型ジャイロ素子110は、例えば、特許文献1に開示されたのと同様の構成である。また、この振動型ジャイロ素子110には、一次駆動電極PDと二次検出電極SPO以外に2種類の電極が設けられている。1種類は、一次検出電極(Primary Pickoff Electrode)PPOであり、振動子20の一次振動を検出する。もう1種類は、二次駆動電極(Secondary Driving Electrode)SDであり、振動子20に発生した二次振動を打ち消すように振動子20を駆動する。
図7に示すように、8つの方位に対して、上から見て時計回り方向に、一次駆動電極PDと二次駆動電極SDと一次検出電極PPOと二次検出電極SPOとがこの順で配置されている。また、各種類の電極とも2つずつ配置され、同じ種類の電極は、周方向に180度離れた位置に配置されている。
なお、これら4種類の電極PD,PPD,SD,SPOを有する振動型ジャイロ素子120と角速度センサ1100(図14~16参照)の構成及び動作については、後で示す実施形態2で詳述する。
振動型ジャイロ素子110では、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが隣接して配置されている。また、2つの一次駆動電極PDに流れる交流電流Ipの向きは、それぞれ同じであり、図7に示す例では、上から見て時計回り方向である。
一次駆動電極PDに交流電流Ipを流して振動子20を一次振動させる場合、二次検出電極SPOのうち、一次駆動電極PDとの距離が近い部分で相互誘導によりクロストーク電圧が誘起される。なお、図1,3から明らかなように、互いに隣接する電極40においては、一方の第2脚部32の第1部分32aに形成された部分と、他方の第1脚部31の第1部分31aに形成された部分との距離が最も近い。
図7から明らかなように、2つの二次検出電極SPOのそれぞれにおいて、片側のみに、具体的には、時計回り側にのみに一次駆動電極PDが隣接して配置されている。また、2つの二次検出電極SPOのそれぞれで発生する、大きさがVspoのクロストーク電圧は、起電力の向き(以下、極性と呼ぶことがある)が同じである。このため、これら2つの二次検出電極SPOを直列接続した場合、それぞれで発生するクロストーク電圧は互いに打ち消しあわず、二次検出部230で検出される電圧には、大きさが2Vspoのクロストーク電圧が重畳する。このクロストーク電圧が、二次検出部230の出力信号、ひいては演算部240で算出される角速度に誤差として重畳されてしまう。
特に、振動子20を一次振動させるため、交流電流Ipの振幅は所定以上に設定される。よって、クロストーク電圧の大きさ2Vspoも増加してしまい、クロストーク電圧による角速度の誤差成分は無視できなくなる。
一方、本実施形態の振動型ジャイロ素子100では、図6に示すように、二次検出電極SPOの両側に、つまり、時計回り側にも反時計回り側にも一次駆動電極PDが隣接して配置されている。また、前述したように、二次検出電極SPOに隣接する2つの一次駆動電極PDに流れる交流電流Ipの向きは、互いに逆向きである。したがって、1つの二次検出電極SPOにおいて、一次駆動電極PDが時計回り側に隣接された領域で誘起されたクロストーク電圧と、一次駆動電極PDが反時計回り側に隣接された領域で誘起されたクロストーク電圧とは、極性が逆となる。よって、これらのクロストーク電圧は、互いに打ち消しあって相殺される。つまり、1つの二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧の大きさは、ほぼゼロとなる。このことは、振動型ジャイロ素子100に含まれる4つの二次検出電極SPOのそれぞれに当てはまるため、振動型ジャイロ素子100で発生するクロストーク電圧の大きさは、ほぼゼロとなる。その結果、二次検出部230の出力信号、ひいては角速度に重畳される誤差成分を大きく低減することができる。
4つの二次検出電極SPOは、互いに直列接続されていることが好ましい。
このようにすることで、4つの二次検出電極SPOのそれぞれで発生した電圧信号が加算され、二次振動を検出するための電圧信号を大きく取れる。このことにより、二次検出部230の出力信号のS/N比を大きくでき、演算部240で算出される角速度の検出精度を高められる。
また、電極40が配置された支持部30は、それぞれ前述の第1~第3部分31a,31c,31eを有する第1脚部31と第1~第3部分32a,32c,32eを有する第2脚部32とで構成されるのが好ましい。また、第1脚部31と第2脚部32とは、振動子20の中心と互いの第3部分31e,32eの間とを通る仮想線に関して対称に配置されているのが、より好ましい。
支持部30をこのように構成することで、振動子20を一次振動させた場合に、その振動に影響を大きく与えることなく、振動子20を支持することができる。また、支持部30が、周方向に等角度間隔で設けられるとともに、第1脚部31と第2脚部32とが前述の仮想線に関して対称に設けられることで、振動子20を均等なバランスで固定部10に接続できる。このことにより、振動子20を安定して一次振動させることができる。
本実施形態の角速度センサ1000は、振動型ジャイロ素子100と、一次駆動電極PDに所定の周波数の交流電流を流すための一次交流電源200と、二次検出電極SPOに発生する電圧信号を検出する二次検出部230と、二次検出部230の出力信号に基づいて、角速度を算出する演算部240と、を少なくとも備えている。
本実施形態の角速度センサ1000によれば、振動型ジャイロ素子100の出力信号に含まれるクロストーク電圧を低減でき、角速度の検出精度を高められる。
<変形例1>
図8Aは、本変形例に係る振動型ジャイロ素子の平面図を、図8Bは、別の振動型ジャイロ素子の平面図を、図8Cは、さらなる別の振動型ジャイロ素子の平面図をそれぞれ示す。なお、図8A~8C及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8A~8Cに示す構成は、一次駆動電極PDが3つ設けられている点で、実施形態1に示す構成と異なる。3つの一次駆動電極PDのそれぞれに流れる交流電流Ipの向きは、図6に示すのと同様である。
図8Aに示す構成では、3つの一次駆動電極PDと4つの二次検出電極SPOとが、周方向に交互に配置されている。具体的には、二次検出電極SPOが、1番目、3番目、5番目、7番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、4番目、6番目の方位に配置されている。
なお、8番目の方位に配置された電極40hには、電極40の種類、例えば、一次駆動電極PDであるか二次検出電極SPOであるかが明示されていない。電極40hは、振動子20の質量バランスを均等にするために設けられた、いわばダミー電極であり、振動子20の一次振動や二次振動の検出に寄与しない。以降に示す各図面においても、種類が明示されていない電極40は、同様にダミー電極である。ただし、これらのダミー電極に別の機能を付与してもよい。例えば、前述の一次検出電極PPOや二次駆動電極SDとしてもよい。
図8Aに示す構成では、3番目と5番目の方位に配置される二次検出電極SPOの両側には、それぞれ一次駆動電極PDが配置されている。よって、この2つの二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ほぼゼロである。
一方、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、時計回り側に一次駆動電極PDが隣接して配置されている。7番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、反時計回り側に一次駆動電極PDが隣接している。図8Aに示すように、これら2つの二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、大きさが同じVspoである一方、極性は互いに逆向きである。したがって、1番目と7番目の方位に配置される二次検出電極SPOの間で、クロストーク電圧は、互いに打ち消しあって相殺され、ほぼゼロになる。つまり、直列接続された4つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、クロストーク電圧は、ほぼ含まれていない。
図8Bに示す構成では、3つの一次駆動電極PDと3つの二次検出電極SPOとが設けられている。具体的には、二次検出電極SPOが、1番目、3番目、7番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、4番目、6番目の方位に配置されている。5番目と8番目の方位に配置された電極40e,40hは、ともにダミー電極である。
この場合、3番目の方位に配置される二次検出電極SPOの両側には、それぞれ一次駆動電極PDが配置されている。よって、この二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ほぼゼロである。
一方、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、時計回り側に一次駆動電極PDが隣接して配置されている。7番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、反時計回り側に一次駆動電極PDが隣接している。図8Bに示すように、これら2つの二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、大きさが同じVspoである一方、極性は互いに逆向きである。したがって、1番目と7番目の方位に配置される二次検出電極SPOの間で、クロストーク電圧は、互いに打ち消しあって相殺され、ほぼゼロになる。つまり、直列接続された3つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、クロストーク電圧は、ほぼ含まれていない。
一方、図8Cに示す構成では、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOの個数は、図8Bに示すのと同じである。ただし、これらの配置は異なっており、二次検出電極SPOが、1番目、3番目、5番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、4番目、6番目の方位に配置されている。7番目と8番目の方位に配置された電極40g,40hは、ともにダミー電極である。
この場合、3番目と5番目の方位に配置される二次検出電極SPOの両側には、それぞれ一次駆動電極PDが配置されている。よって、これら2つの二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ほぼゼロである。
一方、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、時計回り側に一次駆動電極PDが隣接して配置されている。この場合、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ゼロにならず、大きさがVspoの電圧が残る。つまり、直列接続された3つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、大きさがVspoのクロストーク電圧が含まれることになる。
<変形例2>
図9Aは、本変形例に係る振動型ジャイロ素子の平面図を、図9Bは、別の振動型ジャイロ素子の平面図をそれぞれ示す。
図9A及び図9Bに示す構成は、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが2つずつ設けられている点で、実施形態1に示す構成と異なる。2つの一次駆動電極PDのそれぞれに流れる交流電流Ipの向きは、図6に示すのと同様である。
図9Aに示す構成では、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが隣接した電極40の組が、周方向に2組配置されている。具体的には、二次検出電極SPOが、1番目、5番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、4番目の方位に配置されている。3番目と6~8番目の方位にそれぞれ配置された電極40c,40f,40g,40hは、ダミー電極である。
図9Aに示す構成では、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、時計回り側に一次駆動電極PDが隣接して配置されている。5番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、反時計回り側に一次駆動電極PDが隣接している。一方、図9Aに示すように、これら2つの二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、大きさが同じVspoである一方、極性は互いに逆向きである。したがって、1番目と5番目の方位に配置される二次検出電極SPOの間で、クロストーク電圧は、互いに打ち消しあって相殺され、ほぼゼロになる。つまり、直列接続された2つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、クロストーク電圧は、ほぼ含まれていない。
図9Bに示す構成では、二次検出電極SPOが、3番目、7番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、4番目の方位に配置されている。1番目と5,6番目と8番目の方位にそれぞれ配置された電極40a,40e,40f,40hは、ダミー電極である。
この場合、3番目の方位に配置される二次検出電極SPOの両側には、それぞれ一次駆動電極PDが配置されている。よって、この二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ほぼゼロである。
一方、7番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対しては、両側とも一次駆動電極PDが隣接して配置されていない。よって、この二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧も、ほぼゼロである。つまり、直列接続された2つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、クロストーク電圧はほぼ含まれていない。
<変形例3>
図10Aは、本変形例に係る振動型ジャイロ素子の平面図を、図10Bは、別の振動型ジャイロ素子の平面図をそれぞれ示す。
図10A及び図10Bに示す構成は、変形例2に示す構成と同様に、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが2つずつ設けられている。2つの一次駆動電極PDのそれぞれに流れる交流電流Ipの向きは、図6に示すのと同様である。
図10Aに示す構成では、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが隣接した電極の組が、周方向に2組配置されている。具体的には、二次検出電極SPOが、1番目、7番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、6番目の方位に配置されている。3~5番目と8番目の方位にそれぞれ配置された電極40c,40d,40e,40hは、ダミー電極である。
図10Aに示す構成では、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、時計回り側に一次駆動電極PDが隣接して配置されている。7番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、反時計回り側に一次駆動電極PDが隣接している。一方、図10Aに示すように、これら2つの二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、大きさが同じVspoである一方、極性は互いに逆向きである。したがって、1番目と7番目の方位に配置される二次検出電極SPOの間で、クロストーク電圧は、互いに打ち消しあって相殺され、ほぼゼロになる。つまり、直列接続された2つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、クロストーク電圧は、ほぼ含まれていない。
図10Bに示す構成では、二次検出電極SPOが、1番目、3番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、6番目の方位に配置されている。4,5番目と7,8番目の方位にそれぞれ配置された電極40d,40e,40g,40hは、ダミー電極である。
図10Bに示す構成では、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、時計回り側に一次駆動電極PDが隣接して配置されている。3番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、反時計回り側に一次駆動電極PDが隣接している。一方、図10Bに示すように、これら2つの二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、大きさが同じVspoである一方、極性は互いに逆向きである。したがって、1番目と3番目の方位に配置される二次検出電極SPOの間で、クロストーク電圧は、互いに打ち消しあって相殺され、ほぼゼロになる。つまり、直列接続された2つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、クロストーク電圧は、ほぼ含まれていない。
<変形例4>
図11Aは、本変形例に係る振動型ジャイロ素子の平面図を、図11Bは、別の振動型ジャイロ素子の平面図をそれぞれ示す。
図11A及び図11Bに示す構成は、変形例2に示す構成と同様に、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが2つずつ設けられている。2つの一次駆動電極PDのそれぞれに流れる交流電流Ipの向きは、図6に示すのと同様である。
図11Aに示す構成では、二次検出電極SPOが、1番目、7番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、4番目の方位に配置されている。3番目と5,6番目と8番目の方位にそれぞれ配置された電極40c,40e,40f,40hは、ダミー電極である。
7番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対しては、両側とも一次駆動電極PDが隣接して配置されていない。よって、この二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ほぼゼロである。
一方、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、時計回り側に一次駆動電極PDが隣接して配置されている。この場合、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ゼロにならず、大きさがVspoの電圧が残る。つまり、直列接続された2つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、大きさがVspoのクロストーク電圧が含まれることになる。
図11Bに示す構成では、二次検出電極SPOが、1番目、3番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、2番目、4番目の方位に配置されている。5~8番目の方位にそれぞれ配置された電極40e,40f,40g,40hは、ダミー電極である。
図11Bに示す構成では、3番目の方位に配置される二次検出電極SPOの両側には、それぞれ一次駆動電極PDが配置されている。よって、この二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ほぼゼロである。
一方、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに対して、時計回り側に一次駆動電極PDが隣接して配置されている。この場合、1番目の方位に配置される二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ゼロにならず、大きさがVspoの電圧が残る。つまり、直列接続された2つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、大きさがVspoのクロストーク電圧が含まれることになる。
<変形例5>
図12Aは、本変形例に係る振動型ジャイロ素子の平面図を、図12Bは、別の振動型ジャイロ素子の平面図をそれぞれ示す。
図12A及び図12Bに示す構成は、変形例2に示す構成と同様に、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが2つずつ設けられている。2つの一次駆動電極PDのそれぞれに流れる交流電流Ipの向きは、図6に示すのと同様である。
図12Aに示す構成では、二次検出電極SPOが、1番目、5番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、3番目、7番目の方位に配置されている。2,4,6,8番目の方位にそれぞれ配置された電極40b,40d,40f,40hは、ダミー電極である。
つまり、2つの一次駆動電極PDが対向して周方向に180度離れた位置に配置されている。同様に、2つの二次検出電極SPOが対向して周方向に180度離れた位置に配置されている。一次駆動電極PDに対して、二次検出電極SPOは周方向に90度離れた位置に配置されている。
1,5番目の方位に配置される二次検出電極SPOのいずれに対しても、両側に一次駆動電極PDが隣接して配置されていない。よって、この二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ほぼゼロである。つまり、直列接続された2つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、クロストーク電圧は、ほぼ含まれていない。
図12Bに示す構成では、二次検出電極SPOが、1番目、3番目の方位に配置され、一次駆動電極PDが、5番目、7番目の方位に配置されている。2,4,6,8番目の方位にそれぞれ配置された電極40b,40d,40f,40hは、ダミー電極である。
つまり、2つの一次駆動電極PDは、周方向に90度離れた位置に配置されている。同様に、2つの二次検出電極SPOは、周方向に90度離れた位置に配置されている。一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとは、対向して周方向に180度離れた位置に配置されている。
1,3番目の方位に配置される二次検出電極SPOのいずれに対しても、両側に一次駆動電極PDが隣接して配置されていない。よって、この二次検出電極SPOに誘起されるクロストーク電圧は、ほぼゼロである。つまり、直列接続された2つの二次検出電極SPOに発生した電圧に、クロストーク電圧は、ほぼ含まれていない。
(実施形態1及び変形例1~5のまとめ)
一次駆動電極PDの配置方位や個数によっては、振動子20は、cosNθ(Nは2以上の自然数)の振動モードを取りうる。この場合、各電極40に割り当てられる配置方位は4N個となる。実施形態1及び変形例1~5に示す例は、いずれもN=2の場合に相当する。
N≧3の場合も含めて、前述の実施形態1及び変形例1~5に示す例を類型化して考えてみると、クロストーク電圧を低減するための一次駆動電極PD及び二次検出電極SPOの配置は、以下に示す式(1)または式(2)のいずれかを満たすことになる。
U≧1 ・・・(1)
(S1+S2)-2≧|S1-S2| ・・・(2)
ここで、S1は、二次検出電極SPOに対して一次駆動電極PDが時計回り側に隣接した方位に配置される場合の数である。S2は、二次検出電極SPOに対して一次駆動電極PDが反時計回り側に隣接した方位に配置される場合の数である。以降の説明において、単に場合の数S1、場合の数S2と呼ぶことがある。また、Uは、一次駆動電極PDが時計回り側に隣接する方位及び反時計回り側に隣接する方位のいずれにも配置されない二次検出電極SPOの個数である。
なお、本願明細書では、1つの二次検出電極SPOの両側に一次駆動電極PDが隣接する場合、場合の数S1及びS2のいずれも「1」とカウントする。この場合、二次検出電極SPOに対し、一次駆動電極PDが時計回り側に隣接されているため、場合の数S1は「1」である。また、同じ二次検出電極SPOに対し、一次駆動電極PDが反時計回り側にも隣接されているため、場合の数S2も「1」である。
以上を踏まえて、式(1)、(2)についてさらに説明する。
まず、変形例2,4,5で説明したように、一次駆動電極PDが時計回り側に隣接する方位及び反時計回り側に隣接する方位のいずれにも配置されない二次検出電極SPOには、クロストーク電圧は発生しない。つまり、振動型ジャイロ素子100に含まれる複数の二次検出電極SPOのうち、この条件に該当する二次検出電極SPOが1個以上あれば、トータルのクロストーク電圧は低減される。つまり、前述の式(1)を満たせば、二次検出電極SPOで発生した電圧の合計に含まれるクロストーク電圧は低減される。
一方、前述したように、複数の二次検出電極SPOのそれぞれで発生した電圧は加算される。よって、二次検出電極SPOに対して一次駆動電極PDが時計回り側に隣接した方位に配置される場合に、当該二次検出電極SPOで発生したクロストーク電圧と、反時計回り側に隣接した方位に配置される場合に、当該二次検出電極SPOでクロストーク電圧との和が、二次検出電極SPOで発生した電圧の合計に含まれるクロストーク電圧の総和となる。
このことを踏まえると、(S1+S2)は、二次検出電極SPOで発生した電圧の合計に含まれるクロストーク電圧の最大値に対応していると言える。
ここで、前述したように、二次検出電極SPOに対して一次駆動電極PDが時計回り側に隣接して配置される場合と反時計回り側に隣接して配置される場合とでは、それぞれで発生するクロストーク電圧の極性が逆向きになる。
よって、式(2)に示す((S1+S2)-2)は、クロストーク電圧の相殺が1回起こっている場合、つまり、クロストーク電圧が相殺される二次検出電極SPOが1組あるということを意味している。また、言い換えると、式(2)に示す((S1+S2)-2)は、1回の相殺が発生してクロストーク電圧が低減された場合の、二次検出電極SPOで発生した電圧の合計に含まれるクロストーク電圧の大きさに対応している。
一方、式(2)に示す|S1-S2|は、実際の相殺分が除かれた後に、二次検出電極SPOで発生した電圧の合計に含まれる正味のクロストーク電圧の大きさに対応している。
以上を踏まえると、式(2)は、複数の二次検出電極SPOにおいて、クロストーク電圧の相殺が発生している二次検出電極SPOが1つ以上存在しているということを意味している。つまり、前述の式(2)を満たせば、二次検出電極SPOで発生した電圧の合計に含まれるクロストーク電圧は低減される。
図13に、一次駆動電極及び二次検出電極の配置関係とクロストーク電圧の低減条件との関係を示す。
図13から明らかなように、実施形態1及び変形例1~5に示した大半の例では、式(2)に示す関係を満たす。つまり、場合の数S1,S2が、それぞれ1以上であり、相殺が発生してクロストーク電圧が低減される場合にあたる。
一方、変形例4の図11Aや変形例5の図12A及び図12Bに示す例は、式(2)に示す関係を満たさない一方、式(1)に示す関係を満たす。これらの場合でも、図7に示す比較例に対して、クロストーク電圧が低減されることは、図13より明らかである。
なお、式(2)の説明から明らかなように、場合の数S1と場合の数S2が同じ値、つまり、S1=S2であれば、二次検出電極SPOで発生した電圧の合計に含まれる正味のクロストーク電圧がゼロとなり、クロストーク電圧は最も低減される。
図13から明らかなように、図6、図8A,8B、図9A,9B、図10A,10Bに示す例が、この条件(S1=S2)に当てはまる。また、S1=S2=0も含めれば、図12A,12Bに示す例も、この条件に当てはまる。
また、実施形態1及び変形例1~5に示した振動型ジャイロ素子100に関し整理すると、さらに一次駆動電極PD及び二次検出電極SPOの配置関係に関し、以下のことが言える。
<条件A>
1番目からK番目(Kは奇数でかつ3≦K≦4N-1)まで連続した方位において、1番目の方位とK番目の方位とに配置される電極40が、一次駆動電極PDか、または、二次検出電極SPOのいずれかである。1番目からK番目までの電極40において、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが交互に隣接して配置される領域が、時計回り方向及び反時計回り方向のいずれからみても少なくとも1つ以上設けられている。
条件Aは、クロストーク電圧が相殺される二次検出電極SPOが1つ以上あることを意味している。よって、この条件を満たせば、前述の式(2)に示す関係を満たすことは明らかである。
なお、図6、図8A~8C、図9A,図10A,10B及び図11Bに示す例が、条件Aを満足する。なお、図9Bにおいて、図6に示すもとの1番目の方位に位置する二次検出電極SPOに対して、反時計回り方向で隣接する一次駆動電極PDの方位を1番目とすると、図9Bに示す構成も、条件Aを満足する。
条件Aを満足する一次駆動電極PDと二次検出電極SPOの配置関係は、さらに以下のように分類される。ただし、条件A1,A2の両方とも満足する一次駆動電極PDと二次検出電極SPOの配置関係もありうる。
<条件A1>
以下の条件を満たす一次駆動電極PDと片側のみに隣接する二次検出電極SPOの組が2組以上存在する。まず、当該電極の組において、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが隣接している。また、この場合、各組に含まれる二次検出電極SPOは、互いに(360/2N+360×(M/2N))度離れた方位に配置され、かつ一次駆動電極PDは、互いに(360/N+360×(M/2N))度または(360×(M/2N))度離れた方位に配置されている(図8A、8B、図10A参照)。ただし、二次検出電極SPO間は、0度よりも大きく360度未満となる角度範囲で離れた方位に配置されている。同様に、一次駆動電極PD間は、0度よりも大きく360度未満となる角度範囲で離れた方位に配置されている。なお、ここで、Mは0以上の整数である。
<条件A2>
以下の条件を満たす一次駆動電極PDと片側のみに隣接する二次検出電極SPOの組が2組以上存在する。まず、当該電極の組において、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとが隣接している。また、この場合、各組に含まれる一次駆動電極PDは、互いに(360/2N+360×(M/2N))度離れた方位に配置され、かつ二次検出電極SPOは、互いに(360/N+360×(M/2N))度または(360×(M/2N))度離れた方位に配置されている(図9A参照)。ただし、一次駆動電極PD間は、0度よりも大きく360度未満となる角度範囲で離れた方位に配置されている。同様に、二次検出電極SPO間は、0度よりも大きく360度未満となる角度範囲で離れた方位に配置されている。
<条件A3>
少なくとも1つの二次検出電極SPOに対して、一次駆動電極PDが時計回り側に隣接する方位及び反時計回り側に隣接する方位のいずれにも配置される。(図6、図8A~8C、図9B、図11B参照)。なお、図6に示す例は、N=2の場合であって、4N個の方位に対して、2N個の一次駆動電極PDと2N個の二次検出電極SPOが交互に配置された例である。
(実施形態2)
図14は、本実施形態に係る振動型ジャイロ素子の平面図を示し、図15は、図14の破線で囲まれた部分の拡大図を示す。図16は、角速度センサの回路ブロックの概略構成図を示す。なお、説明の便宜上、図4と同様に、図16においても、振動型ジャイロ素子120のうち、電極PD,PPO,SD,SPOのみを簡略化して図示している。
図14,15に示す本実施形態の振動型ジャイロ素子120は、前述した二次駆動電極SDと一次検出電極PPOが設けられている点で、実施形態1に示す振動型ジャイロ素子100と異なる。なお、一次駆動電極PD及び二次検出電極SPOの個数及び配置方位は、実施形態1に示した構成と同じである。このため、振動型ジャイロ素子120は、16個の電極40a~40pを有している。
また、振動型ジャイロ素子120では、一次検出電極PPOは、一次駆動電極PDと同じ方位に配置され、二次駆動電極SDは、二次検出電極SPOと同じ方位に配置されている。この点についてさらに説明する。
図15に示すように、2つの電極40d,40lが、支持部30及び振動子20の面内で、互いに間隔をあけて並列に延びるように形成されている。同様に、2つの電極40e,40mが、支持部30及び振動子20の面内で、互いに間隔をあけて並列に延びるように形成されている。なお、本願明細書において、「並列」とは、2つの部材が互いに平行に配置されている場合だけでなく、2つの部材が互いに接触したり、交差したりしない程度に間隔をあけて配置されている場合も含まれる。
図15において、一方の支持部30の表面に設けられ、ループ状に並列する2つの電極40d,40lのうち、外側に配置された電極40dが一次駆動電極PDで、内側に配置された電極40lが一次検出電極PPOである。また、他方の支持部30の表面に設けられ、ループ状に並列する2つの電極40e,40mのうち、外側に配置された電極40eが二次駆動電極SDで、内側に配置された電極40mが二次検出電極SPOである。この振動型ジャイロ素子120では、一次駆動電極PD及び一次検出電極PPOの組と、二次駆動電極SD及び二次検出電極SPOの組は、同数ずつ設けられている。
また、図16に示す本実施形態の角速度センサ1100は、一次検出部210と二次交流電源220とをさらに有している点で、実施形態1に示す角速度センサ1000と異なる。つまり、本実施形態の角速度センサ1100は、振動型ジャイロ素子120と一次交流電源200と一次検出部210と二次交流電源220と二次検出部230と演算部240とを少なくとも有している。
4つの一次駆動電極PDに一次交流電源200が接続される。直列接続された4つの一次検出電極PPOに一次検出部210が接続される。4つの二次駆動電極SDに二次交流電源220が接続される。直列接続された4つの二次検出電極SPOに二次検出部230が接続される。また、二次交流電源220に演算部240が接続される。
以下、角速度センサ1100の動作について説明する。
一次駆動電極PDに交流電流Ipを流して、振動子20にcos2θモードの一次振動を励起させること、及び振動子20に角速度が発生して二次振動が生じた場合、二次検出電極SPOに二次振動に対応した大きさの電圧信号が発生することは、実施形態1と同様である。
一次検出電極PPOは、一次振動を検出して、その振幅に対応した大きさの電圧信号を発生させ、この電圧信号は、一次検出部210にフィードバックされる。一次検出部210は、一次検出電極PPOで発生した電圧信号に基づいて、出力信号を一次交流電源200に出力する。一次検出部210の出力信号に基づいて、振動子20の振動周波数及び振幅が一定となるように、一次交流電源200、具体的には、交流電流Ipの振幅と周波数を制御する。
二次交流電源220には、二次検出部230の出力信号が入力される。二次交流電源220は、この出力信号に基づいて、振動子20に発生した二次振動を打ち消すように、二次駆動電極SDに交流電流を供給して、振動子20を駆動する。また、二次交流電源220は、出力電流に基づいた出力信号を演算部240に入力する。
演算部240は、二次交流電源220の出力信号に基づいて、角速度を算出する。
本実施形態によれば、一次検出電極PPOで発生した電圧を、一次検出部210で検出し、一次検出部210の出力信号を一次交流電源200にフィードバックすることで、振動子20で発生する一次振動を安定化することができる。
また二次検出電極SPOで発生した電圧を、二次検出部230で検出し、二次検出部230の出力信号に基づいて、二次交流電源220の出力を制御し、振動子20で発生する二次振動を打ち消すようにしている。このようにすることで、振動子20の振動状態を安定化させることができる。また、このことにより、二次交流電源220の出力信号に含まれるノイズ成分が低減でき、角速度の検出精度を高めることができる。
また、本実施形態の振動型ジャイロ素子120は、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOの配置及びそれぞれの接続関係が、実施形態1に示す振動型ジャイロ素子100と同じである。つまり、本実施形態の振動型ジャイロ素子120及び角速度センサ1100においても、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、振動型ジャイロ素子120の動作中に、二次検出電極SPOで発生した電圧に含まれるクロストーク電圧を低減できる。また、振動型ジャイロ素子120の出力信号に含まれるクロストーク電圧を低減でき、角速度の検出精度を高められる。
また、本実施形態の振動型ジャイロ素子120では、図15に示すように、一次駆動電極PDが配置された方位と二次検出電極SPOが配置された方位との間に位置する方位に、二次駆動電極SDが配置される。このことにより、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとの間の相互インダクタンスを低減でき、二次検出電極SPOに発生するクロストーク電圧の大きさを低減できる。
なお、各支持部30に設けられた電極PD,PPO,SD,SPOの配置関係は、図14,15に示した例に特に限定されない。図示しないが、例えば、一次検出電極PPOを外側に配置し、一次駆動電極PDを内側に配置してもよい。このようにすることで、一次駆動電極PDと二次検出電極SPOとの間に、一次検出電極PPOと二次駆動電極SDが配置され、二次検出電極SPOに発生するクロストーク電圧の大きさをさらに低減できる。
なお、4つの二次検出電極SPOを直列接続することで、二次検出部230の出力信号のS/N比を大きくでき、演算部240で算出される角速度の検出精度を高められることは、実施形態1に示したのと同様である。
また、同様の理由から、4つの一次検出電極PPOは、直列接続されるのが好ましい。
(その他の実施形態)
実施形態1,2及び各変形例に示した各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。
例えば、実施形態2に示す一次検出電極PPO及び二次駆動電極SDを、変形例1~5に示す振動型ジャイロ素子100に適用してもよい。その場合は、一次駆動電極PDと一次検出電極PPOが、支持部30及び振動子20の面内で、互いに間隔をあけて並列に延びるように形成されることは言うまでもない。同様に、二次駆動電極SDと二次検出電極SPOが、支持部30及び振動子20の面内で、互いに間隔をあけて並列に延びるように形成される。
なお、実施形態2において、一次駆動電極PDと一次検出電極PPOとが、振動子20及び支持部30の表面で並列して配置される例を示した。しかし、特にこれに限定されず、例えば、振動子20及び支持部30の厚さ方向で互いに間隔をあけて並列して配置されていてもよい。具体的には、一次駆動電極PDと一次検出電極PPOのうち、一方が振動子20及び支持部30の表面に設けられ、他方が振動子20及び支持部30の裏面に設けられてもよい。同様に、二次駆動電極SDと二次検出電極SPOとが、振動子20及び支持部30の厚さ方向で互いに間隔をあけて並列して配置されていてもよい。つまり、二次駆動電極SDと二次検出電極SPOのうち、一方が振動子20及び支持部30の表面に設けられ、他方が振動子20及び支持部30の裏面に設けられてもよい。これ以外にも、振動子20及び支持部30の内部にこれらの電極が配置されていてもよい。
なお、振動子20は、一次振動が励起されるとともに、角速度が発生した場合に振動状態が変化するような形状であればよく、特に円環状に限定されない。例えば、正多角形の環状や円盤状の形状でもよい。また、半球状の形状でもよい。
また、支持部30は、振動子20の振動を妨げることなく、振動子20を固定部10に接続できればよく、その形状は、図1,3に示した形状に限定されない。
なお、複数の二次検出電極SPOを直列接続せずに、それぞれで発生した電圧を演算部240に入力し、演算部240の内部で加算処理を行うようにしてもよい。同様に、複数の一次検出電極PPOを直列接続せずに、それぞれで発生した電圧を図示しない演算部240に入力し、当該演算部240の内部で加算処理を行って、一次交流電源200に入力するようにしてもよい。
本開示の振動型ジャイロ素子によれば、動作中に二次検出電極に発生するクロストーク電圧を低減できるため、高精度の角速度センサに適用する上で有用である。
10 固定部
20 振動子
30 支持部
40a~40p 電極
51 第1シリコン層
52 シリコン酸化層
53 第2シリコン層
54 シリコン酸化膜
60 磁場印加部
61 上部ヨーク
62 磁石
63 下部ヨーク
100,110,120 振動型ジャイロ素子
200 一次交流電源
210 一次検出部
220 二次交流電源
230 二次検出部
240 演算部
1000 角速度センサ
1100 角速度センサ

Claims (7)

  1. 固定部と、
    振動子と、
    前記振動子を前記固定部に接続して、前記振動子を振動可能に支持する支持部と、
    前記振動子の面内に形成された電極と、
    複数の前記電極に対して、前記振動子の表面と交差する方向に磁場を印加する磁場印加部と、を少なくとも備え、
    前記振動子がcosNθ(Nは2以上の自然数)の振動モードを有するとき、
    前記振動子の外周方向に前記電極の軸が等角度間隔に並ぶ4N個の方位に前記電極がそれぞれ配置されており、
    複数の前記電極には、前記振動子にcosNθモードの一次振動を励起させる一次駆動電極と、前記振動子の二次振動を検出する二次検出電極とがそれぞれ含まれており、
    前記二次検出電極に対して前記一次駆動電極が時計回り側に隣接した方位に配置される場合の数をS1とし、前記二次検出電極に対して前記一次駆動電極が反時計回り側に隣接した方位に配置される場合の数をS2とし、前記一次駆動電極が時計回り側に隣接する方位及び反時計回り側に隣接する方位のいずれにも配置されない前記二次検出電極の個数をUと、それぞれするとき、
    U≧1 (1)
    または、
    (S1+S2)-2≧|S1-S2| (2)
    の関係を満たす、振動型ジャイロ素子。
  2. S1=S2の関係を満たす、請求項1に記載の振動型ジャイロ素子。
  3. 複数の前記電極は、
    前記一次振動を検出する一次検出電極と、
    前記二次振動を打ち消すように前記振動子を駆動する二次駆動電極と、をさらに含み、
    前記一次検出電極は、前記一次駆動電極と同じ方位に配置され、
    前記二次駆動電極は、前記二次検出電極と同じ方位に配置される、請求項1または2に記載の振動型ジャイロ素子。
  4. 請求項1または2に記載の振動型ジャイロ素子と、
    前記一次駆動電極に所定の周波数の交流電流を印加する一次交流電源と、
    前記二次検出電極に発生する電圧信号を検出する二次検出部と、
    前記二次検出部の出力信号に基づいて、角速度を算出する演算部と、を少なくとも備えた角速度センサ。
  5. 請求項3に記載の振動型ジャイロ素子と、
    前記一次駆動電極に所定の周波数の交流電流を印加する一次交流電源と、
    前記一次検出電極に発生する電圧信号を検出する一次検出部と、
    前記二次駆動電極に交流電流を印加する二次交流電源と、
    前記二次検出電極に発生する電圧信号を検出する二次検出部と、
    前記二次交流電源の出力信号に基づいて、角速度を算出する演算部と、を少なくとも備えた角速度センサ。
  6. 前記一次検出部の出力信号を前記一次交流電源にフィードバックすることで、前記振動子で発生する前記一次振動を安定化させ、
    前記二次検出部の出力信号に基づいて、前記振動子で発生する前記二次振動を打ち消すように前記二次交流電源の出力を制御し、
    前記演算部は、前記二次交流電源の出力信号に基づいて、角速度を算出する、請求項5に記載の角速度センサ。
  7. (削除)
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