以下、好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図3を参照して、第1実施形態における鉄道車両10の構成について説明する。図1は、第1実施形態における鉄道車両10の斜視図である。図2は、鉄道車両10の車内側から見た部分拡大図である。図3(a)は、図2のIIIa-IIIa線における鉄道車両10の断面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb部における鉄道車両10の部分拡大断面図である。
なお、図1中の矢印F-B,矢印U-D及び矢印L-Rは、鉄道車両10の前後方向(車両長手方向)、上下方向(車両上下方向)及び左右方向(車幅方向)をそれぞれ表しており、図2から図7においても同様とする。また、図1は、模式的に図示され、図2以降においても同様であるので、その説明は省略する。また、図2では、左方側(矢印L方向側)に配設される側構体11を車内側から見た図が図示され、図4以降においても同様であるので、その説明は省略する。
図1に示すように、鉄道車両10は、側構体11、屋根構体12、妻構体13及び台枠(図示せず)から構成される。図2及び図3に示すように、側構体11は、外板20と、外板20の車内側に溶接により接合される骨部材30とを主に備えて構成される。
外板20は、鉄道車両10の前後方向(矢印F-B方向)に延びる腰板21と、腰板21の上方(矢印U方向)に配設される幕板22と、腰板21及び幕板22の車内側(矢印R方向側)に配設されるシアプレート23と、を主に備えて構成される。
腰板21、幕板22及びシアプレート23は、金属材料の板材から形成される。腰板21と幕板22とは、互いに向き合う前後方向に沿った長辺21a,22a(図4(b)参照)が所定の間隔(本実施形態では、略4mm)だけ隔てて突き合わされて同一面上に並べて配設される。本実施形態では、外板20(腰板21、幕板22及びシアプレート23)の板厚は、略2mmに設定される。
また、腰板21、幕板22には、前後方向において同一となる位置に複数の切欠きが形成され、それらの切欠きにより窓となる開口部24a,24bや乗降口となる開口部25が形成される。なお、開口部24aは、開口部24bよりも前後方向において長く形成され、本実施形態では、開口部24aは略1610mmに、開口部24bは略810mmに、それぞれ設定される。
また、腰板21には、車内側へ向けて傾斜される傾斜部26が形成され、傾斜部26は、腰板21の下方側(矢印D方向側)に配設される。また、傾斜部26の上方側には、上下方向(矢印U-D方向)に延びる平面部27が形成され、傾斜部26及び平面部27の間には、車外側(矢印L方向側)へ向けて凸となる円弧状に湾曲して形成される湾曲部28が形成される。
湾曲部28は、傾斜部26及び平面部27を接続(連結)する部位であり、本実施形態では、湾曲部28の車内側の面における曲率半径は、略100mm(湾曲部28の曲率半径が外板20の板厚の略50倍)に設定される。湾曲部28の曲率半径が外板20(湾曲部28)の板厚の30倍以上に設定されるので、湾曲部の加工性を確保できる。
シアプレート23は、外板20の強度を向上させるためのものであり、開口部24a,24bを取り囲んで配設される。本実施形態では、腰板21と幕板22との隙間が略4mmに設定されるため、シアプレート23が車外側(矢印L方向側)から視認され難い。これにより、シアプレート23の車外側の面に塗装を施すことやベルトグラインド加工を施すことを不要とでき、製造コストを低減できる。
ここで、図4を参照して、腰板21及び幕板22とシアプレート23との接合構造について説明する。図4(a)は、鉄道車両10の車内側から見た部分拡大図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb-IVb線における鉄道車両10の部分拡大断面図である。なお、図4では、外板20及び骨部材30の一部(横骨部材31)のみが図示され、図5以降においても同様であるので、その説明は省略する。
図4に示すように、シアプレート23は、腰板21及び幕板22の長辺21a,22aを跨ぎつつ前後方向(矢印F-B方向)に沿って腰板21及び幕板22の車内側(矢印R方向側)の面に重ねられる。腰板21及び幕板22とシアプレート23とは、レーザ溶接により形成される第1の接合部41及び第2の接合部42により接合される。
第1の接合部41及び第2の接合部42は、腰板21及び幕板22とシアプレート23とが連続して接合される部位である。第1の接合部41は、長辺21a,22aから所定の距離(本実施形態では、10mm)だけ離れた位置に前後方向に沿って部分溶け込み溶接により形成され、第2の接合部42は、シアプレート23の上下方向両端部となる位置に、その両端部(前後方向)に沿って隅肉溶接により形成される。第1の接合部41に加え第2の接合部42が形成されることで、腰板21及び幕板22とシアプレート23との接合強度が大きくされる。
なお、部分溶け込み溶接とは、第1の接合部41が所定の溶融深さに形成される一定のレーザビーム(図示せず)の出力および移動速度で行われる溶接であり、所定の深さとは、腰板21及び幕板22の車外側(矢印L方向側)の面が溶融されない(腰板21及び幕板22を貫通しない)深さに設定される。
本実施形態では、シアプレート23側から腰板21及び幕板22側(車内側から車外側)へ向けてレーザビーム(図示せず)が照射されるため、腰板21及び幕板22の車外側の面に第1の接合部41が露呈しない。また、第2の接合部42は、腰板21及び幕板22の車内側の面に形成される。これらにより、鉄道車両10の見栄えが悪化することを抑制できる。
また、腰板21及び幕板22とシアプレート23との接合工程において、レーザビーム(図示せず)が車内側から車外側へ向けて照射されることで第1の接合部41及び第2の接合部42が形成される。従って、外板20の接合工程に続けて外板20の車内側の面に骨部材30を接合させることができ、外板20を反転させることを不要とできる。その結果、製造コストを低減できる。
ここで、腰板21、幕板22又はシアプレート23の製作精度等により腰板21又は幕板22とシアプレート23との間に隙間が生じることや、レーザビームの照射機の性能等により第1の接合部41が腰板21又は幕板22に達しない(溶接欠陥が生じる)虞がある。この場合、腰板21又は幕板22とシアプレート23とは接合されず、水密性が確保されない。また、第1の接合部41の先端(車外側の端部)は視認不能であり、第1の接合部41が腰板21又は幕板22に達していることが確認できず、水密性が確保されているか確認できない。
これに対し、本実施形態では、第2の接合部42により腰板21又は幕板22とシアプレート23との接合が行われるため、水密性を確保できる。また、第2の接合部42は、シアプレート23の上下方向両端部であって、腰板21又は幕板22の車内側の面に形成されるため視認可能であり、溶接欠陥が生じた場合、その溶接欠陥を作業者は視認できる。このように、第2の接合部42が視認可能とされることで、水密性の検査を容易に行うことができ、水密性をより確実に確保できる。
ここで、第2の接合部42が形成された後に第1の接合部41が形成される場合では、第1の接合部41が形成された後に第2の接合部42が形成される場合と比較して腰板21、幕板22又はシアプレート23に生じるひずみが大きくなる虞がある。これに対し、本実施形態では、第1の接合部41が形成された後に第2の接合部42が形成される。これにより、腰板21又は幕板22とシアプレート23との間の隙間が小さい状態で後に行われる溶接(隅肉溶接)を行う(第2の接合部42が形成される)ことができるため、第2の接合部42に溶接欠陥が生じることを低減できる。
また、シアプレート23を介して腰板21と幕板22とが接合されるため、腰板21又は幕板22の一方の端部にせぎり加工を施すことを不要とでき、製造コストを低減できる。また、外板20の強度を向上させる機能と、腰板21と幕板22とを接合する機能とにシアプレート23を兼用させることで、部品種別を削減でき、製造コストを低減できる。
図1から図3に戻って説明する。骨部材30は、鉄道車両10(側構体11)の強度を確保するためのものであり、前後方向(矢印F-B方向)に沿った姿勢で外板20の車内側(矢印R方向側)の面に接合される横骨部材31と、上下方向(矢印U-D方向)に沿った姿勢で横骨部材31の車内側の面に接合される吹寄せ柱32、窓下縦骨33及び窓上縦骨34と、を主に備えて構成される。これら骨部材30の各部材は、金属材料の板材からハット状に形成される。なお、骨部材30の各部材の車内側の面とは、骨部材30の最も車内側に形成される面と定義する。
横骨部材31は、前後方向に沿った姿勢、言い換えると、外板20の第1の接合部41及び第2の接合部42に沿った姿勢で接合される。また、横骨部材31は、第1の接合部41及び第2の接合部42とは異なる位置において外板20に接合される。これらにより、外板20及び横骨部材31の接合部と第1の接合部41及び第2の接合部42とが重なることを抑制できる。その結果、接合部が重なることに起因する接合強度の低下を抑制できる。また、外板20の接合工程に続けて外板20の車内側の面に骨部材30を接合させることができ、外板20を反転させることを不要とできる。これにより、製造コストを低減できる。
横骨部材31は、前後方向に沿った姿勢で外板20の一端から他端にかけて形成され、腰板21の平面部27又は幕板22に接合される第1の横骨部材35aと、腰板21の傾斜部26に接合される第2の横骨部材35bと、シアプレート23に接合される第3の横骨部材35cとから構成される。第1の横骨部材35a、第2の横骨部材35b及び第3の横骨部材35cは、上下方向に所定の距離を隔ててそれぞれ配設され、本実施形態では、第1の横骨部材35a及び第2の横骨部材35bは3箇所に、第3の横骨部材35cは2箇所に、それぞれ配設される。
なお、開口部24a,24bの間に配設される第3の横骨部材35cと、開口部25と開口部24bとの間に配設される第3の横骨部材35cとは、前後方向における長さが異なる以外は同一であるため、同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、外板20(腰板21、幕板22又はシアプレート23)の車内側の面から横骨部材31の車内側の面までの高さを横骨部材31の高さと定義し、第1の横骨部材35aの高さ(以下「第1の高さH1」と称す)は、第2の横骨部材35bの高さ(以下「第2の高さH2」と称す)よりも高く形成される。言い換えると、第2の高さH2は、第1の高さH1よりも低く形成される。
これにより、鉄道車両10の床面積を拡大でき、その分、乗車定員を増加することができる。このように、第1の高さH1と第2の高さH2とが異なる高さとされるので、平面部27と傾斜部26とにおいて、それぞれの部位に適した構造を採用し易くできる。
なお、本実施形態では、第1の高さH1は、略19mmに設定され、第2の高さH2は、略15mmに設定される。第3の横骨部材35cの高さは、第1の高さH1よりもシアプレート23の板厚だけ低く形成される。これにより、外板20の車内側の面から第1の横骨部材35a及び第3の横骨部材35cの車内側の面までの高さは略同一に形成され、第1の横骨部材35a及び第3の横骨部材35cの車内側の面は、略同一面上に形成される。その結果、横骨部材31に吹寄せ柱32を接合するための吹寄せ柱32の切削加工を不要とでき、製造コストを低減できる。
上述したように、腰板21の湾曲部28の曲率半径が外板20の板厚の略50倍に設定される、即ち、湾曲部28の曲率半径が外板20(湾曲部28)の板厚の200倍以下に設定されるので、外板20(腰板21)における湾曲した領域を少なくでき、その分、傾斜部26に接合できる第2の横骨部材35bの本数を確保できる。よって、第2の高さH2を低くして、乗車定員の増加を図りつつ、傾斜部26の強度を確保できる。
ここで、例えば、腰板21の平面部27の下端に曲率半径が略1500mmである湾曲部が接続される場合、腰板21における傾斜部の割合が小さくなり傾斜部に接合される第2の横骨部材35bの本数が少なくなる。若しくは、傾斜部に加え、湾曲部に第2の横骨部材35bが接合される。
傾斜部に接合される第2の横骨部材35bが少ない場合、傾斜部の強度を確保するために第2の横骨部材35bの高さが高く形成され、鉄道車両10の床面積が縮小し、乗車定員が減少する虞がある。
傾斜部に加え、湾曲部に第2の横骨部材35bが接合される場合、湾曲部と第2の横骨部材35bとの接合面に隙間が生じ、溶接欠陥が生じ易くなる虞がある。
また、湾曲部に第2の横骨部材35bが接合される場合、湾曲部に接合される第2の横骨部材35bの車内側の面は、第1の横骨部材35a(第3の横骨部材35c)及び傾斜部に接合される第2の横骨部材35bの車内側の面と非同一面とされるため、湾曲部に接合される第2の横骨部材35bと吹寄せ柱32及び窓下縦骨33との接合が困難となる。このような接合を回避するため、湾曲部に接合される第2の横骨部材35bの高さを低くし、湾曲部に接合される第2の横骨部材35bと吹寄せ柱32及び窓下縦骨33とを非接合とする場合、鉄道車両10の強度が低下する虞がある。
これに対し、本実施形態では、湾曲部28の曲率半径が外板20の板厚の略50倍に設定されるため、外板20(腰板21)における湾曲部28の領域を少なくでき、その分、傾斜部26に接合できる第2の横骨部材35bの本数を確保できる。
また、第2の横骨部材35bが湾曲部28に接合されることを抑制でき、溶接欠陥が生じ易くなることを抑制できる。また、外板20の面外方向への強度を確保でき、外板20の座屈や波打ち形状を抑制でき、鉄道車両10の見栄えを向上できる。なお、湾曲部28の曲率半径は、外板20の板厚の200倍以下に設定されることが望ましい。
吹寄せ柱32は、前後方向において開口部24a,24bの間や開口部24bと開口部25との間に配設され、上下方向において外板20の上端から下端にかけて形成される。窓下縦骨33は開口部24aの下方側(矢印D方向側)に、窓上縦骨34は開口部24aの上方側(矢印U方向側)に、それぞれ配設される。
このように、外板20に開口部24aが形成されることで、吹寄せ柱32が前後方向において開口部24aの外形(略1610mm)だけ隔てて配設される場合であっても、吹寄せ柱32の間に窓下縦骨33及び窓上縦骨34が配設されることで側構体11の強度の低下を抑制(強度を確保)できる。
また、前後方向における側構体11の強度を吹寄せ柱32、窓下縦骨33及び窓上縦骨34により確保する構造とすることで、第1の高さH1及び第2の高さH2を横骨部材31の車内側の面から吹寄せ柱32、窓下縦骨33及び窓上縦骨34の車内側の面までの高さよりもそれぞれ低くできる。
本実施形態では、横骨部材31の車内側の面から吹寄せ柱32、窓下縦骨33及び窓上縦骨34の車内側の面までの高さをそれぞれ吹寄せ柱32の高さ、窓下縦骨33の高さ及び窓上縦骨34の高さとそれぞれ定義する。吹寄せ柱32の高さ、窓下縦骨33の高さ及び窓上縦骨34の高さは略同一に形成され、それらの高さ(以下「第3の高さH3」と称す)は、略60mmに設定される。
横骨部材31は、前後方向に沿って延設され、側構体11の重量に占める横骨部材31の割合が大きい。かかる横骨部材31の高さ(第1の高さH1及び第2の高さH2)が低く形成されることで、側構体11の重量の低減を効果的に行うことができる。
一方、第3の高さH3が高く形成されることで、側構体11の強度の低下を抑制できる。これらにより、側構体11の重量の低減と強度の確保との両立を図ることができる。
また、外板20と内装パネル(図示せず)との間に形成される空間を活用し易くできる。窓下縦骨33及び窓上縦骨34は、開口部24bの上方側および下方側にはそれぞれ非配設とされ、吹寄せ柱32が前後方向において開口部24bの外形(略810mm)だけ隔てて配設される場合、開口部24bの上方側または下方側において、外板20と内装パネル(図示せず)との間に形成される空間を利用することで、例えば、開口部24bに配設される窓(図示せず)を側構体11の厚さを増大させること無く落とし窓構造(上下方向に開閉できる開閉式窓)とすることができる。
また、窓上縦骨34は、窓下縦骨33よりも少なく配設され、本実施形態では、窓上縦骨34は2箇所配設され、窓下縦骨33は3箇所配設される。これにより、開口部24aが形成され、吹寄せ柱32が配設されない部位であっても窓下縦骨33又は窓上縦骨34が配設されることで、側構体11の強度を確保しつつ第1の高さH1及び第2の高さH2を低くでき、側構体11の重量を低減できる。
また、開口部24aの上方と下方とで側構体11の強度に差をつけることができる(開口部24aの上方よりも下方において側構体11の強度を大きくできる)。これにより、側構体11の部位(開口部24aの上方と下方)に応じた強度を確保しつつ、側構体11の重量を低減できる。
ここで、例えば、腰板21の平面部27及び幕板22において、開口部24aの上方に配設される横骨部材の高さと開口部24aの下方に配設される横骨部材の高さとに差をつけることで、側構体11の重量を低減させると共に、上下方向における側構体11の強度に差をつけることが考えられる。
この場合、横骨部材と吹寄せ柱32との干渉を抑制するために、吹寄せ柱32に切削加工を施すことで作業者が被災する虞がある。これに対し、本実施形態では、平面部27に接合される第1の横骨部材35aの高さ及びシアプレート23に接合される第3の横骨部材35cの高さが第1の高さH1に設定され、傾斜部26に接合される第2の横骨部材35bの高さが第2の高さH2に設定される(横骨部材31の高さが、平面部27及び傾斜部26においてそれぞれ同一に設定される)ので、上述した切削加工を不要とでき、作業者の被災の虞を低減できる。
吹寄せ柱32及び窓下縦骨33は、腰板21の傾斜部26(第2の横骨部材35b)に配設される基礎骨部材37aと、その基礎骨部材37aの上方において、腰板21の平面部27、幕板22又はシアプレート23(第1の横骨部材35a又は第3の横骨部材35c)に配設される基礎骨部材37bと、それら基礎骨部材37a,37bに接合(連結)される繋ぎ金38とを主に備えて構成される。
腰板21の平面部27と傾斜部26との境界(湾曲部28)には基礎骨部材37a,37bが非配設とされるので、吹寄せ柱32及び窓下縦骨33に曲げ加工を施すことを不要とでき、製造コストを低減できる。また、屈曲部が形成されること(曲げ加工)により、吹寄せ柱32や窓下縦骨33の強度が低下されることを防ぐことができる。
なお、窓上縦骨34は、単一の基礎骨部材37bから構成される。また、吹寄せ柱32、窓下縦骨33及び窓上縦骨34を構成する各基礎骨部材37aは、上下方向における長さが異なる以外は同一であるため、同一の符号を付して説明する。このように、基礎骨部材37a,37bを接合(連結)することで吹寄せ柱32及び窓下縦骨33を構成するため、部品種別を削減でき、製造コストを低減できる。
繋ぎ金38は、吹寄せ柱32や窓下縦骨33の基礎骨部材37a,37bどうしを連結するためのものであり、断面コ字状に形成される。上下方向に沿って並設される一対の基礎骨部材37a,37bに繋ぎ金38がスポット溶接によりそれぞれ接合されることで、一方の基礎骨部材37a(37b)に荷重が作用した場合、その荷重を一方および他方の基礎骨部材37b(37a)にて支持できる(一方の基礎骨部材37a(37b)のみで荷重を支持することを抑制できる)。
なお、繋ぎ金38の断面コ字状の対向する部位である一対の側板部に孔が形成され、その孔を塞ぐようにして溶接が行われることで繋ぎ金38と基礎骨部材37a,37bとが接合されても良い。
次いで、図5を参照して、第2実施形態における鉄道車両210の構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。図5(a)は、第2実施形態における鉄道車両210の部分拡大図であり、図5(b)は、図5(a)のVb-Vb線における鉄道車両210の部分拡大断面図である。なお、図5(a)は、鉄道車両210の車内側から見た部分拡大図である。
図5に示すように、第2実施形態における鉄道車両210では、第1実施形態におけるシアプレート23(図2参照)が省略され、腰板221の平面部27の上端縁にはせぎり加工が施され、せぎり部221bが形成される。なお、腰板221には窓となる開口部が非形成とされ、幕板222に開口部224a,224bが形成される。従って、せぎり部221bは、開口部224a,224bよりも下方側(矢印D方向側)に形成される。本実施形態では、せぎり加工により形成される傾斜部および平面部のうちの平面部をせぎり部221bと定義する。
せぎり加工は、車内側(矢印R方向側)へ向けて施され、せぎり部221bの深さ(板厚方向における腰板221の車外側の面とせぎり部221bの車外側の面との距離)は、幕板222の板厚と同一に形成される。これにより、腰板221と幕板222とは、車外側(矢印L方向側)の面が同一面上に並べて配設される。その結果、外板220の車外側の面に段差が生じることを抑制でき、鉄道車両210の見栄えが悪化することを抑制できる。
また、第1実施形態におけるシアプレート23(図2参照)を省略することで、横骨部材231を第1の横骨部材35a及び第2の横骨部材35bから構成できる(第1実施形態における第3の横骨部材35cを不要とできる)。これにより、横骨部材231を構成する部品種別を削減でき、製造コストを低減できる。
次いで、腰板221と幕板222との接合構造について説明する。幕板222の下端縁における車内側の面に腰板221のせぎり部221bの車外側の面が重ねられる。腰板221のせぎり部221b側から幕板222側(車内側から車外側)へ向けてレーザビーム(図示せず)が照射され、第1の接合部241及び第2の接合部42がそれぞれ形成されることで腰板221と幕板222とが接合される。
第1の接合部241は、せぎり部221bの上端から所定の距離(本実施形態では、10mm)だけ離れた位置に前後方向(矢印F-B方向)に沿って部分溶け込み溶接により形成され、第2の接合部42は、せぎり部221bの上端部に、その上端部(前後方向)に沿って隅肉溶接により形成される。
ここで、第1の接合部241は、前後方向において断続的に形成される。本実施形態では、第1の接合部241は略300mmの長さに形成され、第1の接合部241の間に形成される間欠部は略50mmの長さに形成される。
これにより、第1の接合部241が形成される領域を小さくでき、入熱によって生じる腰板221又は幕板222のひずみを低減できる。その結果、腰板221と幕板222との接合工程において、腰板221と幕板222との間の隙間を小さくでき、第2の接合部42に溶接欠陥が生じることを低減できる(第2の接合部42による接合を行い易くできる)。また、ひずみによる鉄道車両210の見栄えが悪化することを抑制できる。
次いで、図6を参照して、第3実施形態における鉄道車両310の構成について説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。図6(a)は、第3実施形態における鉄道車両310の部分拡大図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb-VIb線における鉄道車両310の部分拡大断面図である。なお、図6(a)は、鉄道車両310の車内側から見た部分拡大図である。
図6に示すように、第3実施形態における鉄道車両310では、腰板221のせぎり部221bに第1の接合部241が上下方向(矢印U-D方向)に所定の距離だけ隔てて複数(本実施形態では、3箇所)形成される。これにより、腰板221と幕板222との接合強度を大きくできる。
また、各第1の接合部241の前後方向(矢印F-B方向)における両端部は、上下方向に互いに重なるように千鳥状にそれぞれ配置される。従って、前後方向において、せぎり部221bには第1の接合部241が非配設となる領域が発生することが抑制される。これにより、腰板221と幕板222との接合強度が低下する領域が生じることを抑制できる。なお、各第1の接合部241は、前後方向において同一となる位置に形成されても良い。
次いで、図7(a)を参照して、第4実施形態における鉄道車両410の構成について説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。図7(a)は、第4実施形態における鉄道車両410の部分拡大断面図である。なお、図7(a)は、図5(a)のVb-Vb線における断面に対応する。
図7(a)に示すように、第4実施形態における鉄道車両410では、腰板421の平面部27と幕板422とは、互いに向き合う前後方向(矢印F-B方向)に沿った長辺421a,422aが所定の間隔(本実施形態では、略4mm)だけ隔てて突き合わされて同一面上に並べて配設され、接続部材427を介して腰板421と幕板422とが接合される。接続部材427は、金属材料の板材から形成され、前後方向において、外板420の一端から他端にかけて配設される。
次いで、腰板421と幕板422との接合構造について説明する。接続部材427は、腰板421の平面部27及び幕板422の長辺421a,422aを跨ぎつつ前後方向に沿って腰板421の平面部27及び幕板422の車内側(矢印R方向側)の面に重ねられる。接続部材427側から腰板421及び幕板422側(車内側から車外側)へ向けてレーザビーム(図示せず)が照射され、第1の接合部241及び第2の接合部42がそれぞれ形成されることで腰板421と幕板422とが接合される。
第1の接合部241は、長辺421a,422aから所定の距離(本実施形態では、10mm)だけ離れた位置に前後方向に沿って部分溶け込み溶接により形成され、第2の接合部42は、接続部材427の上下方向両端部となる位置に、その両端部(前後方向)に沿って隅肉溶接により形成される。このように、接続部材427を介することで、腰板421の平面部27又は幕板422の一方の端部にせぎり加工を施すことを不要とでき、製造コストを低減できる。
なお、本実施形態では、腰板421の平面部27と幕板422との隙間が略4mmに設定されるため、接続部材427が視認され難い。これにより、接続部材427の車外側(矢印L方向側)の面に塗装を施すことやベルトグラインド加工を施すことを不要とでき、製造コストを低減できる。
また、第1実施形態におけるシアプレート23(図2参照)を省略することで、横骨部材231を第1の横骨部材35a及び第2の横骨部材35bから構成できる(第1実施形態における第3の横骨部材35cを不要とできる)。これにより、横骨部材231を構成する部品種別を削減でき、製造コストを低減できる。
次いで、図7(b)を参照して、第5実施形態における鉄道車両510の構成について説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。図7(b)は、第5実施形態における鉄道車両510の部分拡大断面図である。なお、図7(b)は、図3(a)のIIIb部における断面に対応する。
図7(b)に示すように、第5実施形態における鉄道車両510では、腰板221のせぎり部221bが、上下方向(矢印U-D方向)において第1の横骨部材35aの一対のフランジの間に配設される。これにより、第1の接合部241及び第2の接合部42に加え、第1の横骨部材35aを介して腰板221と幕板222とを接合でき、腰板221と幕板222との接合強度を大きくできる。
以上、上記実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施形態において、腰板21,221,421、幕板22,222,422、シアプレート23、接続部材427、第1の横骨部材35a、第2の横骨部材35b、第3の横骨部材35c、基礎骨部材37a,37b及び繋ぎ金38は、ステンレスやアルミニウム等の金属材料から適宜選択される。なお、これらの各部材は、溶接を考慮して同種の材質から形成されることが好ましい。
上記各実施形態において、平面部27は、上下方向に対し傾斜して形成されても良い。この場合、傾斜部26は、平面部27に対し、車内側へ向けて傾斜されれば良い。
上記各実施形態において、腰板21又は幕板22とシアプレート23との隙間、腰板221と幕板222との隙間、又は、腰板421又は幕板422と接続部材427との隙間にシール材またはパテを充填しても良い。
上記各実施形態において、開口部24b,224bの上方又は下方に窓下縦骨33又は窓上縦骨34を配設しても良い。これにより、鉄道車両10,210,310,410,510の強度を増大できる。
上記各実施形態では、第1の接合部41,241が前後方向に沿って形成される、即ち、直線状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、曲線状に形成されても良い。また、直線と曲線とを組み合わせた形状に形成されても良い。
上記各実施形態では、第2の接合部42がレーザ溶接により形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、アーク溶接や摩擦撹拌接合により形成されても良い。
上記各実施形態では、第2の高さH2が第1の高さH1よりも低く形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2の高さH2が第1の高さH1以上に高く形成されても良い。これにより、腰板21の傾斜部26における鉄道車両10の強度を確保できると共に、鉄道車両10の低重心化を図ることができる。
上記各実施形態では、外板20の車内側の面に横骨部材31が接合され、横骨部材31の車内側の面に吹寄せ柱32、窓下縦骨33及び窓上縦骨34が接合される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、外板20の車内側の面に吹寄せ柱32、窓下縦骨33及び窓上縦骨34が接合され、吹寄せ柱32、窓下縦骨33及び窓上縦骨34の車内側の面に横骨部材31が接合されても良い。
上記各実施形態では、吹寄せ柱32及び窓下縦骨33が基礎骨部材37a,37bと、それら基礎骨部材37a,37bに接合される繋ぎ金38とのように複数の部材を組み合わせて構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、曲げ加工が施される単一の基礎骨部材37aから構成されても良い。
上記第1実施形態では、横骨部材31(第3の横骨部材35c)が上下方向において、外板20の第1の接合部41及び第2の接合部42とは異なる位置に接合される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、同一の位置に形成されても良い。この場合、第1の接合部41又は第2の接合部42に外板20と横骨部材31とを接合させる機能を兼用させることで、製造コストを低減できる。
上記第2から第3実施形態および第5実施形態では、腰板221の上下方向に沿った平面部の上端縁にせぎり部221bが形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、腰板221の傾斜部26にせぎり部221bが形成されても良い。また、幕板222にせぎり部221bが形成されても良い。
上記第2から第3実施形態および第5実施形態では、せぎり部221bが車内側へ向けて形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、せぎり部221bが車外側へ向けて形成されても良い。
上記第2から第3実施形態および第5実施形態では、せぎり部221bが開口部224a,224bよりも下方側に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、開口部224a,224bよりも上方側にせぎり部221bが形成されても良い。また、上下方向において開口部224a,224bの上端と下端との間にせぎり部221bが形成されても良い。
上記第2から第3実施形態および第5実施形態では、第1の接合部241が前後方向において断続的に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1の接合部241が前後方向において連続的に形成されても良い。
上記第2から第3実施形態および第5実施形態では、第2の接合部42が外板220(腰板221及び幕板222)の車内側の面に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2の接合部42が外板220の車外側の面に形成されても良い。これにより、腰板221及び幕板222の当接面に水が浸入することを抑制でき、かかる当接面に錆が生じることを抑制できる。
上記第3実施形態では、第1の接合部241が上下方向において3箇所形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2箇所、若しくは、4箇所以上形成されても良い。
上記第4実施形態では、接続部材427が腰板421及び幕板422の車内側の面に重ねられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、腰板421及び幕板422の車外側の面に重ねられても良い。