JP7349136B2 - 機能性ペプチドの絹糸への結合法 - Google Patents
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Description
本発明は、機能性ペプチドを絹糸へ結合させる方法を提供することを課題とする。
(1)(a)シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのコヒーシンを含む融合ペプチドI、並びに
融合ペプチドI中のコヒーシンと結合する少なくとも一つのドッカリン、及び機能性ペプチドを含む融合ペプチドIIの組み合わせ、又は
(b)シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのドッカリンを含む融合ペプチドI'、並びに
融合ペプチドI'中のドッカリンと結合する少なくとも一つのコヒーシン、及び機能性ペプチドを含む融合ペプチドII''の組み合わせ。
(2)前記(a)の組み合わせである、(1)に記載の組み合わせ。
(3)シルク結合ペプチドが、
(i)SYTFHWHQSWSS(配列番号1)、
(ii)QSWSWHWTSHVT(配列番号2)、
(iii)WTWRWAHVTNTR(配列番号3)、
(iv)QDVHLTQQSRYT(配列番号4)、
(v)HKAHEYDPWISP(配列番号5)、
(vi)SYSQHYGIPNPW(配列番号6)、
(vii)SSWQMSWSWMGS(配列番号7)、
(viii)(i)~(vii)のいずれかのアミノ酸配列において、1又は2個のアミノ酸が付加、欠失及び/又は置換されたアミノ酸配列、及び
(ix)QSWS(配列番号8)のアミノ酸配列を含む10~14のアミノ長のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、(1)又は(2)に記載の組み合わせ。(4)コヒーシンが、
配列番号9又は25のアミノ酸配列、
配列番号9又は25のアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び
配列番号9又は25のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の組み合わせ。
(5)ドッカリンが、
配列番号11又は27のアミノ酸配列、
配列番号11又は27のアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び
配列番号11又は27のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の組み合わせ。
(6)融合ペプチドI又はI'がカイコの絹糸腺で組換え発現され、カイコ絹糸に結合している、(1)~(5)のいずれかに記載の組み合わせ。
(7)機能性ペプチドが酵素である、(1)~(6)のいずれかに記載の組み合わせ。
(8)(1)~(7)のいずれかに規定される融合ペプチドI及び融合ペプチドII、又は融合ペプチドI'及び融合ペプチドII'が結合したカイコ絹糸であって、
融合ペプチドI又はI'は、シルク結合ペプチドの絹糸、又は絹糸の成分であるフィブロインへの結合によって、カイコ絹糸に結合しており、
融合ペプチドII又はII'は、コヒーシンとドッカリンの結合によって融合ペプチドI又はI'に結合している、
カイコ絹糸。
(9)(8)に記載のカイコ絹糸の生産方法であって、
カルシウムイオンの存在下で、(1)~(7)のいずれかに規定される融合ペプチドI又はI'が結合した絹糸を、(1)~(7)のいずれかに規定される融合ペプチドII又はII'と接触させることによって、融合ペプチドI又はI'と融合ペプチドII又はII'を結合させる工程
を含む、カイコ絹糸の生産方法。
(10)結合工程の前に、前記融合ペプチドI又はI'が結合した絹糸をブロッキング剤でブロッキングする工程をさらに含む、(9)に記載の方法。
(11)ブロッキング剤が1%~10%スキムミルクを含む、(10)に記載の方法。
(12)結合工程の後に、キレート剤により融合ペプチドI又はI'と融合ペプチドII又はII'の結合を解離させる工程、及び
カルシウムイオンの存在下で、前記絹糸を融合ペプチドII又はII'と接触させることによって、融合ペプチドI又はI'と融合ペプチドII又はII'を再結合させる工程、
をさらに含む、(9)~(11)のいずれかに記載の方法。
(13)(7)に従属する(8)に記載のカイコ絹糸を用いることを含む、前記酵素により産生される物質の生産方法。
(14)(7)に従属する(8)に記載のカイコ絹糸を含むバイオリアクター。
(15)絹糸がぼか繭に含まれる、(6)又は(7)に記載の組み合わせ、(8)に記載のカイコ絹糸、(9)~(13)のいずれかに記載の方法、又は(14)に記載のバイオリアクター。
一態様において、本発明は、シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのコヒーシンを含む融合ペプチドI、並びに融合ペプチドI中のコヒーシンと結合する少なくとも一つのドッカリン、及び機能性ペプチドを含む融合ペプチドIIの組み合わせ又は組み合わせ物に関する。
本発明の融合ペプチドの組み合わせによれば、シルク結合ペプチドの絹糸への結合、及びドッカリンとコヒーシンの結合を介して、機能性ペプチドを絹糸へ固定化し得る。本発明は、ドッカリンとコヒーシンの結合を利用した生化学的特異結合法を利用するため、機能性ペプチドにダメージを与える可能性が低い。また、ドッカリンとコヒーシンの結合は、通常Ca2+依存性であるから、キレート剤により自由に着脱が可能である。さらに、異なる属や種の菌に由来するコヒーシンとドッカリンを組み合わせて使用するなどすれば、一つの融合ペプチドIに複数の異なる融合ペプチドIIを結合させることも可能である。
一態様において、本発明は、カルシウムイオンの存在下で、本明細書に記載の融合ペプチドI又はI'が結合した絹糸を、本明細書に記載の融合ペプチドII又はII'と接触させることによって、融合ペプチドI又はI'と融合ペプチドII又はII'を結合させる結合工程を含む、カイコ絹糸の生産方法に関する。
一態様において、本発明は、(機能性ペプチドが酵素である場合の)本明細書に記載のカイコ絹糸を用いることを含む、前記酵素により産生される物質の生産方法に関する。例えば、酵素がグリコシダーゼであれば糖類の生産方法に、プロテアーゼであればタンパク質、ペプチド又はアミノ酸の生産方法に、リパーゼであれば脂質の生産方法に、ヌクレアーゼであれば核酸の生産方法に用いることができる。
(材料と方法)
スキャフォルディンシルク系統樹立のための形質転換ベクターの作製
以下の通り、スキャフォルディンシルクをカイコに発現させるためのベクターを構築した(図1Aにベクターの模式図を示す)。シルク繊維表層にスキャフォルディンを配置するため、シルク結合ペプチドであるYN42を融合したスキャフォルディン遺伝子(アミノ酸の配列:配列番号13、ヌクレオチドの配列:配列番号14。Ruminiclostridium thermocellum由来の配列番号9のアミノ酸配列を含むコヒーシン、及びClostridium cellulovorans由来の配列番号25のアミノ酸配列を含むコヒーシンの計2つのコヒーシン分子をタンデムに有する)をpiggyBac遺伝子組換えベクターに組込んで、プラスミドベクターを構築した。YN42を融合したスキャフォルディン遺伝子(YN42-cohesin)は、遺伝子合成により作製した。pBac [UAS-SV40, 3×P3-GFP]ベクター(Sakudoh, T., et al., 2007, Proc Natl. Acad. Sci. U.S.A., 104: 8941-8946)のBlnIサイトに前述の(YN42-cohesin)遺伝子を導入し、pBac [UAS- YN42-cohesin-SV40, 3×P3-GFP]を得た。
スキャフォルディンシルク系統化のため、カイコ胚に上記ベクターを顕微注入した。遺伝子組換えカイコの作出は、Tamura et al.(2000, Nature Biotechnology, 18 81-84)の方法に基づいて以下の条件で行った。まず、pBac [UAS- YN42-cohesin -SV40, 3×P3-GFP]、ヘルパープラスミドpHA3PIG及びトランスポゼースmRNAを最終濃度がそれぞれ0.4μg/μL、0.1μg/μL、及び0.2 μg/μLになるようにinjection Buffer(0.5 mM phosphate buffer, KCl 5 mM, pH 7.0)に溶解して、注入溶液を調製した。産卵後6時間以内のカイコw1-pnd系統(白眼・白卵・非休眠系統)の胚に前記注入溶液をタングステン針とガラスのキャピラリーを用いて顕微注入した。孵化した幼虫を飼育し、兄妹交配を行った。得られた胚を3xP3-GFPの発現の有無で選抜し、組換え系統を獲得した。
上記ベクターを注入した個体の兄妹交配によって得られた遺伝子組換えG1個体をスクリーニングし、3系統の単離に成功した(Sumi40系統)。それぞれを継代飼育し、G2世代の個体からゲノムDNAを抽出してサザンブロットを行い、コヒーシン遺伝子の挿入とコピー数を確認した。3系統のそれぞれ挿入断片の数は1コピーであった(データ示さず)。
A18-D(C末側ドッカリン付加シロアリ型セルラーゼ)をプラスミドベクターpQE30に組み込んだベクター(pQE30-A18-D)を、以下の通り調製した。まず、pQE30のBamHI-HindIII間に改変シロアリセルラーゼA18-11(アミノ酸の配列:配列番号19、ヌクレオチドの配列:配列番号20)の配列を挿入したpQE30-A18-11を作製した。続いて、以下の通りpQE30-A18-11の3'末端側に放線菌Ruminiclostridium thermocellumのDockerin Iアミノ酸配列(RtDocI、配列番号11)に基づく合成塩基配列(配列番号12)を挿入することによって、pQE30-A18-Dを作製した。
スピンカラム(MicroSpin Empty Columns GE-Healthcare、#27356501)に、実施例1で得たスキャフォルディンシルク(Sumi 40-2)又は通常のシルク(Normal Silk、diapausing strain w-c)を5mgずつピンセットで繊維を引き抜きながら詰めた。これに20 mMリン酸バッファ(pH6.8)を300μLずつ加えフタおよび下部栓をしてボルテックスし、その後フタ、栓を外して遠心し(10,000g、1分)、廃液した。これを5回繰り返し、シルク繊維を洗浄した。続いて、スピンカラムに下栓をして実施例2で調製したA18-D(C末側ドッカリン付加シロアリ型セルラーゼ)又はA18-11(通常のシロアリ型セルラーゼ)の0.4 U(ユニット)/mL溶液(pH6.8、20mMリン酸バッファ)300 μLをスピンカラムに添加しフタをした。この状態で一晩(おおよそ12時間)4℃で静置した。なお、リン酸バッファに1mMの塩化カルシウム(CaCl2)を添加する区としない区を5本ずつ用意した。次に、添加した酵素液を遠心で廃液し、塩化カルシウム添加リン酸バッファで、上記シルク線維の洗浄と同様に5回洗浄した。洗浄したスピンカラムのフタを開け250μLの1% CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、Sigma-Aldrich)溶液(0.1M酢酸ナトリウムバッファ、pH5.5)を加えフタをして1000ストローク/分の振動を加えながら37℃で1時間加温し、酵素反応を行った。1時間の反応後、CMC溶液を遠心し回収した。回収したCMC溶液から50μLを取り800μLのTZB試薬(テトラゾリウムブルークロライド還元糖測定溶液(0.5 g/Lのテトラゾリウムブルークロライド、50 mM NaOH、0.5 M酒石酸カリウムナトリウムの水溶液))を加えて95℃で10分間加熱し、発色した溶液の660nmの吸光度を測定することにより、セルラーゼ活性を測定した(Jue and Lipke, 1985, J. Biochem. Biophys. Methods, 11:109-115)。この時、同容量のミリQ水、0.5 mMグルコーススタンダードと1%CMC溶液も同様に同時に吸光度を測定し、ミリQ水反応液を吸光度ゼロとして他を測定した。各スピンカラムから回収したCMC溶液の吸光度の値から1%CMC溶液の吸光度の値を差し引き、0.5 mMグルコーススタンダード反応液の吸光度の値に対する比率から酵素活性(U、1Uは1分間に1μmolの還元糖を生成する酵素量)を計算した。
結果を図3に示す。カルシウムイオンの非存在下では、結合はほとんど生じなかった。これは、リン酸バッファにおいて、溶液内のカルシウムイオンがリン酸カルシウムとして不溶化して除去され、結合が阻害されるためであると考えられる。
(材料と方法)
SWB(シルク洗浄バッファ:10mM TrisHCl+1mM CaCl2、pH7.6)、SWB+1%BSA、SWB+0.1%(w/v)Triton-X 100、SWB+0.1%(w/v)Triton-X 100+5%スキムミルク溶液(不溶物は遠心で除去)、SWB+5%スキムミルクの4種のブロッキング溶液を用意した。10 mLの各ブロッキング溶液に50mgのノーマルシルク繊維(真綿)を2時間浸漬した。これに2Uの実施例2で調製したA18-D酵素を添加し4℃で一晩静置した。続いて、真綿を取り出し、ティッシュペーパーで挟んで脱水し、2.5 mLの新しいSWBに浸漬、振とうし再びティッシュペーパーで脱水した。これを5回繰り返し、最後にティッシュペーパーで完全に脱水した。得られた処理済み真綿からシルク繊維を5mgずつ抜き取り、スピンカラムに充填した。実施例3と同様に、CMC溶液と真綿を反応させてセルラーゼ活性を測定した。ただし反応時間は10分間とした。酵素活性は、実施例3と同様に計算した。
結果を図4に示す。図4Aに示す通り、ノーマルシルクに対するA18-Dの吸着は、BSAでは低減されなかった。一方、図4Bに示す通り、ノーマルシルクに対するA18-Dの吸着は、スキムミルクでも低減され、またスキムミルク+Triton-X100溶液でほぼ完全に抑えられていることから、このような条件でブロッキングを行うことで非特異的吸着を抑え、ドッカリンとコヒーシン間の特異的結合によりA18-Dをシルク表面に固定できると考えられた。
スキャフォルディンシルクを用いて実施例4と同様の操作を行い、セルラーゼ活性を測定した。ただし、酵素溶液としてはSWB+0.1%(w/v)Triton-X 100に実施例2で調製したA18-Dを添加したもののみ使用した。
セルラーゼ活性測定後のスピンカラムに100μLの10mM Tris HCl 1mM EDTA、pH7.6を添加し、室温で30分間振とうした後、溶液を遠心により廃液した。250μLのSWBをカラムに添加し、下栓、フタをして5分間振とうした後、遠心により廃液した。これを5回繰り返した。続いて、実施例2と同様に、CMC溶液と真綿を反応させてセルラーゼ活性を測定した。 活性測定後、スピンカラムを上記と同様に、SWBを用いて洗浄した。上記で使用したA18-Dをカラムに充填(500μL)し、4℃で一晩静置した。続いて、実施例2と同様に、CMC溶液と真綿を反応させてセルラーゼ活性を測定した。
結果を図5に示す。図5は、スキャフォルディンシルクからドッカリン融合酵素(A18-D)をEDTA溶液を使って除去できること、及びその後再びドッカリン融合酵素を再結合できることを示す。なお、再結合させた場合の方が多くのA18-Dが結合しているが、これは実験操作中にシルク繊維表面のセリシンが剥離し、より多くのコヒーシンが露出したためと考えられる。
(材料と方法)
実施例5で得られたA18-D添加スキャフォルディンシルク(剥離及び再結合の前)50mgを10mLディスポーザブル注射筒に詰めた。これに2 mLの1 mM EDTA溶液(10 mM Tris HCl)を添加し、10分間室温で静置した。その後、注射筒のピストンを押して溶液を回収した。回収液50μLに1%CMC溶液(0.1 M 酢酸Naバッファ、pH5.5)200μLを添加し37℃で60分間反応させた。反応液にTZB試薬800μLを添加し95℃で10分間加熱し660nmの吸光度を測定した。得られた値から、同じ系で反応時間ゼロ分の反応から得られた計測値を差し引き、反応系と同容量の0.5 mMグルコースから得られる値との比率からmL当たり酵素活性(μmol生成還元糖/分/mL)を計算した。
結果を図6に示す。図6は、EDTAで溶出したドッカリン融合酵素に活性があることを示している。酵素を添加していないスキャフォルディンシルクであるコントロールでも多少の活性が認められ、還元力をもつ水溶性タンパクなどが溶出していることがわかる。したがって、A18-D添加区とコントロールの差分を実際に回収された酵素活性と考えることができる。
(材料と方法)
実施例1で得られたスキャフォルディンシルク生産系統であるSumi40-2(♂)と通常のぼか繭系統であるMN500(♀)の交配で得られたF1系統から、常法に従ってぼか繭(SS Boka)を得た。また、コントロールとしてMN500から得られたぼか繭を、以下の反応に供した。
結果を図7に示す。図7に示す通り、Sumi40-2とMN500の交配で得られたF1系統から得られたぼか繭(SS Boka)では、A18-Dに起因するセルラーゼ活性が認められた。
これらの結果は、スキャフォルディンシルク生産系統をぼか繭系統と交配することによって簡便にスキャフォルディンシルクをぼか繭化できること、及びぼか繭化されたスキャフォルディンシルクは、繭をほぐす操作を必要とせずにそのまま機能性ペプチドとの結合等に用い得ることを示している。
Claims (15)
- 以下の(a)又は(b)に示す融合ペプチドが結合した、ぼか繭系統由来のカイコ絹糸
(a)シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのコヒーシンを含む融合ペプチドI、並びに
融合ペプチドI中のコヒーシンと結合する少なくとも一つのドッカリン、及び機能性ペプチドを含む融合ペプチドIIの組み合わせ、又は
(b)シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのドッカリンを含む融合ペプチドI'、並びに
融合ペプチドI'中のドッカリンと結合する少なくとも一つのコヒーシン、及び機能性ペプチドを含む融合ペプチドII''の組み合わせ。 - 前記(a)が結合した、請求項1に記載のカイコ絹糸。
- 前記シルク結合ペプチドが、
(i)SYTFHWHQSWSS(配列番号1)、
(ii)QSWSWHWTSHVT(配列番号2)、
(iii)WTWRWAHVTNTR(配列番号3)、
(iv)QDVHLTQQSRYT(配列番号4)、
(v)HKAHEYDPWISP(配列番号5)、
(vi)SYSQHYGIPNPW(配列番号6)、
(vii)SSWQMSWSWMGS(配列番号7)、
(viii)(i)~(vii)のいずれかのアミノ酸配列において、1又は2個のアミノ酸が付加、欠失及び/又は置換されたアミノ酸配列、及び
(ix)QSWS(配列番号8)のアミノ酸配列を含む10~14のアミノ長のアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載のカイコ絹糸。 - コヒーシンが、
配列番号9又は25のアミノ酸配列、
配列番号9又は25のアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び
配列番号9又は25のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカイコ絹糸。 - ドッカリンが、
配列番号11又は27のアミノ酸配列、
配列番号11又は27のアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び
配列番号11又は27のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のカイコ絹糸。 - 前記機能性ペプチドが酵素である、請求項1~5のいずれか一項に記載のカイコ絹糸。
- 前記融合ペプチドI又はI'は、シルク結合ペプチドの絹糸、又は絹糸の成分であるフィブロインへの結合によって、カイコ絹糸に結合しており、
融合ペプチドII又はII'は、コヒーシンとドッカリンの結合によって融合ペプチドI又はI'に結合している、
請求項1~6のいずれか一項に記載のカイコ絹糸。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載のカイコ絹糸の生産方法であって、
ぼか繭系統のカイコの絹糸腺で組換え発現され、請求項1~7のいずれか一項において(a)で規定される融合ペプチドI又はI'が結合したカイコ絹糸を、請求項1~7のいずれか一項において(b)で規定される融合ペプチドII又はII'と、カルシウムイオンの存在下で接触させることによって、融合ペプチドI又はI'と融合ペプチドII又はII'を結合させる工程
を含む、カイコ絹糸の生産方法。 - 結合工程の前に、前記融合ペプチドI又はI'が結合した絹糸をブロッキング剤でブロッキングする工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
- ブロッキング剤が1%~10%スキムミルクを含む、請求項9に記載の方法。
- 結合工程の後に、キレート剤により融合ペプチドI又はI'と融合ペプチドII又はII'の結合を解離させる工程、及び
カルシウムイオンの存在下で、前記融合ペプチドI又はI'が結合した絹糸を融合ペプチドII又はII'と接触させることによって、融合ペプチドI又はI'と融合ペプチドII又はII'を再結合させる工程、
をさらに含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。 - 請求項6に従属する請求項7に記載のカイコ絹糸を用いることを含む、前記酵素により産生される物質の生産方法。
- 請求項6に従属する請求項7に記載のカイコ絹糸を含むバイオリアクター。
- 絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に連結した以下の(c)又は(d)で示す融合ペプチドをコードするDNAを含むぼか繭系統のトランスジェニックカイコ
(c)シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのコヒーシンを含む融合ペプチドI、又は
(d)シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのドッカリンを含む融合ペプチドI'。 - 以下の(c)又は(d)に示す融合ペプチドが結合した、ぼか繭系統由来のカイコ絹糸 (c)シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのコヒーシンを含む融合ペプチドI、又は
(d)シルク結合ペプチド、及び少なくとも一つのドッカリンを含む融合ペプチドI'。
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