JP2023502335A - スプリットインテインシステムを使用したタンパク質精製 - Google Patents

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Abstract

本発明は、主にクロマトグラフィーの分野におけるタンパク質精製に関する。より厳密には、本発明は向上したC-インテインタグ及びN-インテインリガンドによるスプリットインテインシステムを使用した親和性クロマトグラフィーに関し、ここで、標的タンパク質は天然のN末端を有するタグなしの最終生成物として精製することができる。

Description

本発明は、主にクロマトグラフィーの分野におけるタンパク質精製に関する。より厳密には、本発明は向上したC-インテインタグ及びN-インテインリガンドによるスプリットインテインシステムを使用した親和性クロマトグラフィーに関し、ここで、標的タンパク質は天然のN末端を有するタグなしの最終生成物として精製することができる。
インテインは、酵素配列を中断し、それら自身の切り出し及び2つの隣接ポリペプチドのライゲーションを触媒して活性タンパク質を生成する、インフレーム挿入物として発現されるタンパク質エレメントである。遺伝子的に、インテインは、2つの隣接エクステイン配列を中断する無傷のインテインとしてか、又は各エクステイン及びインテインの一部が2つの異なる遺伝子によってコードされるスプリットインテインとしての、2つの異なる様式でコードされる。それらには生物工学及びタンパク質精製ツールとして大きな将来性があるが、天然に見出される急速動態特性を有するスプリットインテインはインテイン-エクステイン接合部での特異的アミノ酸に依存し、天然タンパク質配列の親和性精製及び回収のためにインテインへ融合させることができるタンパク質を厳しく制限する。特に、ネンジュモ(Nostoc punctiforme)からの典型的なスプリットインテインDNAEは、タンパク質精製への適用のために好適な動態特性を示す。しかし、その活性は、C-エクステインの+2位のフェニルアラニンに依存する。この依存性は、その一般的な適用性を厳しく制限し、損なう。
インテインは、組換えタンパク質精製のための自己切断タンパク質としての適用を含む、バイオテクノロジーにおけるいくつかの重要な機能を達成するように工学操作されている。スプリットインテインは親和性リガンド及び自己切断特性を同時に提供することができるので、この点に関して特に有望である。タンパク質精製では、精製の対象である標的タンパク質をいずれかのエクステインで置換することができる。今日まで、DNAEファミリーのスプリットインテインがC末端切断タンパク質精製アプローチで最も大きな将来性を示している。
WO2014/004336は、支持体に結合させることができるスプリットインテインのN断片及びスプリットインテインのC断片に融合されるタンパク質を記載する。固体支持体は、粒子、ビーズ、樹脂又はスライドであってよい。
WO2014/110393は、スプリットインテインのN断片及び精製タグと接触させるスプリットインテインC断片に融合される目的のタンパク質を記載する。N断片は精製タグを介して固体相に結合することができ、親和性精製の方法が議論される。
米国特許仮出願第10 066027号は、タンパク質精製システム及びこのシステムを使用する方法を記載する。固定化することができるN末端インテインセグメント、及び自己切断する特性を有し、目的のタンパク質に結合することができるC末端のインテインセグメントを含むスプリットインテインが開示される。N末端のインテインセグメントは、それを外因性の状態により感受性にする感受性増強モチーフが提供される。
米国特許仮出願第10 308 679号は、N-インテインポリペプチド及びN-インテイン可溶化パートナーを含む融合タンパク質、並びにそのような融合タンパク質を含む親和性マトリックスを記載する。
WO 2018/091424は、アミノ末端基(N末端)、親和性リガンドとしてのスプリットインテイン断片を含む親和性クロマトグラフィー樹脂の生成方法であって、以下の工程を含む方法を記載する: a)細菌細胞、好ましくは大腸菌(E.coli)の封入体の中での不溶性タンパク質としてのN末端スプリットインテイン断片タンパク質の発現、b)前記封入体を採取すること; c)前記封入体を可溶化して発現されるタンパク質を放出させること; d)前記タンパク質を固体支持体の上に結合させること; e)前記タンパク質をリフォールディングさせること; f)前記タンパク質を固体支持体から放出させること;及びg)クロマトグラフィー樹脂の上に前記タンパク質をリガンドとして固定化して親和性クロマトグラフィー樹脂を形成すること。この手順は、2~10mg/ml樹脂のリガンド密度の固定化を可能にする。
上記の通り、スプリットインテインは、複合的親和性タグ及びタグ切断機構を使用したタンパク質精製のために使用されている。しかし、そのようなシステムの有用性はいくつかの因子によって制限される。第1に、タグなしのタンパク質の切断を実行し、精製を達成するために、目的の生成物のスプライス接合部でのアミノ酸要件、すなわちC-エクステインの+2位におけるPheの必要性がある。N末端に無関係なアミノ酸のない組換えタンパク質の生成が非常に望ましい。第2に、タンパク質を放出する切断は十分に速く、許容される収量を提供しなければならない。第3に、固体支持体へのその結合のためにスプリットインテインのN-又はC-断片の溶解性要件がある。第4に、タグなしのタンパク質の大規模精製に好適である利用可能なスプリットインテインシステムは、これまでのところ存在しない。
WO2014/004336 WO2014/110393 米国特許仮出願第10 066027号 米国特許仮出願第10 308 679号 WO 2018/091424
Proteins-Structure and Molecular Properties 2版、T. E. Creighton、W.H. Freeman及びCompany、New York (1993) Posttranslational Covalent Modification of Proteins、B. C. Johnson編、Academic Press、New York、1~12頁 (1983) Merck Index(第14版)、Physicians' Desk Reference(第64版) The Pharmacological Basis of Therapeutics(第1版) Myers等(1988) CABIOS 4:11~17 Altschul等Nucl. Acids Res. 25:3389~3402 Wilbur及びLipman algorithm。(1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726 Needleman等(1970) J. Mol. Biol. 48:444~453 Smith等(1983) Advances App. Math. 2:482~489 Smith等(1981) Nuc. Acids Res. 11:2205~2220 Feng等(1987) J. Molec. Evol. 25:351~360 Higgins等(1989) CABIOS 5:151~153 Thompson等(1994) Nuc. Acids Res. 22:4673~480 Devereux等(1984) 12:387~395 Sambrook、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual」第2版、CSH Press社、Cold Spring Harbor、1989 「Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach」、Hames及びHiggins編、IRL Press社、Oxford、1985
本発明は先行技術の欠点を克服し、スプリットインテインシステムを使用したわずか1つの急速親和性クロマトグラフィー工程でタグなし/天然のタンパク質の一般的な精製を可能にする。
本発明は、天然のスプリットインテイン又は天然のインテイン及びスプリットインテインに由来する共通配列のN-インテインタンパク質変異体配列を提供し、ここで、N-インテイン変異体は天然配列又は共通配列と比較して配列に存在する全てのアスパラギン(N)アミノ酸残基を排除するように改変される。好ましくは、全てのそのようなN-インテイン変異体配列は、1位のシステイン(C)をシステインでない任意の他のアミノ酸で置換するように更に改変される。
本発明は、天然のスプリットインテイン又はインテイン/スプリットインテインに由来する共通配列のN-インテインタンパク質変異体を提供し、ここで、N-インテインタンパク質変異体は変異体配列の36位にアスパラギン(N)を含まない。この位置は、番号が1である最初の触媒性システインから開始する天然のスプリットインテインによる従来のクラスタルアラインメントにより計算される。この位置は先行技術及び天然のN-インテイン配列ではNに保存されているが、本発明者は、この位置を脱アミド化に対する感受性がより低い他のアミノ酸、例えばヒスチジン(H又はHis)又はグルタミン(Q又はGln)に突然変異させ、それによって増加したアルカリ安定性を達成できることを見出したが、このことは、例えばクロマトグラフィー手順の間の増加するpH値への耐性を与えることから重要である。少なくとも36位のNは突然変異していなければならないが、N-インテイン配列ではより多くのNが好ましくはH又はQへ突然変異させることができることも考えられる。
本発明は、目的の標的タンパク質(POI)の+2位のフェニルアラニンの絶対的要件を克服するN-及びC-インテインも提供する。本発明のN-及びC-インテインは、任意の組換えタンパク質の生成のために使用することができる。本発明のN-及びC-インテインを使用することによって、タグ切断がタグインテイン及びPOIの正確な接合部で起こるが、このことは、親和性タグによってコードされる無関係なアミノ酸のないその天然の形でPOIが発現されることを意味する。更に、本発明のインテイン配列により、POIは高い収率及び速い切断動態で生成される。N-インテインは、アルカリ条件下で再生することができる固相へカップリングされる。
本発明は、N-インテイン、C-インテイン、スプリットインテインシステム、及びそれを添付の特許請求の範囲で規定される通りに使用する方法を提供する。
SPRバイオセンサーチップにカップリングされた本発明によるN-インテインリガンド(A40、A41及びA48)への相対的結合能力を示すグラフである。 SPRセンサーチップにカップリングされた本発明によるN-インテインリガンド(B72、B22、A48)及び比較リガンド(A53)への相対的結合能力を示すステープルダイアグラムである。 本発明のN-インテインリガンドの静的結合能力を示す。アミノ酸分析(AAA)を従来の方法によって実行する。A48プロトタイプは、エポキシ化学反応によって多孔性アガロース粒子にカップリングされる。 実験6の精製結果のクロマトグラムである。 実験6からのSDS PAGE結果を示す図である。 SPRバイオセンサーチップにカップリングされた本発明によるN-インテインリガンド(A40及びA48)への相対的結合能力を示すグラフである。
定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、内容が別途明らかに指図しない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数形を含む。したがって、例えば「官能基」、「アルキル」又は「残基」への言及は、2つ以上のそのような官能基、アルキル又は残基等の混合物を含む。
本明細書で、範囲は、「およその」1つの特定の値から及び/又は「およその」別の特定の値までと表すことができる。そのような範囲が表される場合、さらなる態様は1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用によって値が近似値で表される場合、特定の値がさらなる態様を形成することが理解される。範囲の各々のエンドポイントは、他のエンドポイントに対して、及び他のエンドポイントから独立して有意であることが更に理解される。本明細書で開示されるいくつかの値があり、各値は本明細書でその値自体に加えて「およその」その特定の値としても開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合には、「約10」も開示される。2つの特定の単位の間の各単位も開示されることも理解される。例えば、10及び15が開示される場合には、11、12、13及び14も開示される。
それとは反対に具体的に明記されていなければ、成分の質量%(質量%)はその成分が含まれる製剤又は組成物の総質量に基づく。
本明細書で使用される場合、用語「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記載される事象又は状況が起きても起きなくてもよいこと、並びにその記載が前記事象又は状況が起きる例及び起きない例を含むことを意味する。
本明細書で使用される「接触させる」という用語は、2つの生物学的実体を、その化合物が標的の活性に直接的に、すなわち標的自体と相互作用させることによって、又は間接的に、すなわち標的の活性が依存する別の分子、補因子、因子若しくはタンパク質と相互作用させることによって影響を及ぼすことができるように一緒にすることを指す。「接触させる」は、共有結合で又は他の方法で結合するように、ペプチド等の2つの生物学的実体の相互作用を促進することを意味することもできる。
本明細書で使用される場合、「キット」は、キットを構成する少なくとも2つの成分の集合を意味する。合同で、これらの成分は所与の目的のための機能的単位を構成する。個々のメンバー成分は、一緒に又は別々に物理的にパッケージすることができる。例えば、キットを使用するための説明書を含むキットは、説明書を他の個々のメンバー成分と一緒に物理的に含んでも含まなくてもよい。代わりに、説明書は紙の形の、若しくはコンピュータ可読メモリー装置で提供することができるかインターネットウェブサイトからダウンロードすることができる電子形式の別個のメンバー成分として、又は記録された提示物として提供することができる。
本明細書で使用される場合、「説明書」は、キットに関連する関連材料又は方法を記載する文書を意味する。これらの材料は、以下の任意の組合せを含むことができる:背景情報、成分のリスト及びそれらの入手情報(購入情報等)、キットを使用するための簡単な又は詳細なプロトコール、トラブルシューティング、参考文献、技術的サポート及び任意の他の関連文書。説明書はキットと一緒に、又は紙の形の、若しくはコンピュータ可読メモリー装置で提供することができるかインターネットウェブサイトからダウンロードすることができる電子形式の別個のメンバー成分として、又は記録された提示物として提供することができる。説明書は1つ又は複数の文書を含むことができ、将来の最新版を含むはずである。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は本明細書で互換的に使用され、タンパク質及びその断片を含む。ポリペプチドは本明細書でアミノ酸残基配列として開示される。それらの配列は、左から右にアミノからカルボキシ末端の方向で書かれる。標準の命名法により、アミノ酸残基配列は以下の通りに示すように3文字又は1文字表記によって命名される:アラニン(Ala、A)、アルギニン(Arg、R)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、システイン(Cys、C)、グルタミン(Gln、Q)、グルタミン酸(Glu、E)、グリシン(Gly、G)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、ロイシン(Leu、L)、リシン(Lys、K)、メチオニン(Met、M)、フェニルアラニン(Phe、F)、プロリン(Pro、P)、セリン(Ser、S)、トレオニン(Thr、T)、トリプトファン(Trp、W)、チロシン(Tyr、Y)及びバリン(Val、V)。ペプチドは、任意のオリゴペプチド、ポリペプチド、遺伝子産物、発現生成物又はタンパク質を含む。ペプチドは連続したアミノ酸で構成され、天然に存在するか合成の分子を包含する。
更に、本明細書で使用される場合、用語「ペプチド」は、ペプチド結合又は改変ペプチド結合、例えばペプチドアイソスター等によって互いに連結されるアミノ酸を指し、20個の遺伝子によってコードされるアミノ酸以外の改変されたアミノ酸を含有することができる。ペプチドは翻訳後プロセシング等の天然のプロセスによって、又は当技術分野で周知である化学的改変技術によって改変することができる。改変は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖及びアミノ又はカルボキシル末端を含むペプチドのどこでも起こることができる。所与のポリペプチドのいくつかの部位で、同じ種類の改変が同じか又は様々な程度で存在することができる。更に、所与のペプチドは多くの種類の改変を有することができる。改変には、限定されずに、異なるドメイン又はモチーフの連結、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、共有結合性架橋又は環化、フラビンの共有結合性結合、ヘム部分の共有結合性結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合性結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合性結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合性結合、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、システイン又はピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、PEG化、タンパク分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレン化、硫酸化及びアルギニル化等のタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介付加が含まれる。(Proteins-Structure and Molecular Properties 2版、T. E. Creighton、W.H. Freeman及びCompany、New York (1993); Posttranslational Covalent Modification of Proteins、B. C. Johnson編、Academic Press、New York、1~12頁(1983)を参照)。
本明細書で使用される場合、「変異体」は、元の配列のそれと同じであるか又は実質的に類似している生物学的活性を保持する分子を指す。変異体は同じか異なる種に由来することができるか、又は天然若しくは前の分子に基づく合成配列であってよい。更に、本明細書で使用される場合、「変異体」は、親分子(例えば、本明細書に開示されるタンパク質又はペプチド)の構造から得られる構造を有し、その構造又は配列が本明細書に開示されるそれらに十分に類似しているので、その類似性に基づき、親分子と比較して同じか類似した活性及び有用性を示すと当業者が予想するだろう分子を指す。例えば、所与のペプチド中の特異的アミノ酸を置換することは、親と類似した活性を有する変異体ペプチドを与えることができる。
本発明との関連で、変異体タンパク質中の置換は[元のアミノ酸/配列中の位置/置換アミノ酸]と示される。例えば、ヒスチジン(H)に突然変異させたアミノ酸配列の36位のアスパラギン(N)は、「N36H」又は「N36からH」と互換的に示される。
本明細書で使用される場合、用語「目的のタンパク質(POI)」は、任意の合成の又は天然に存在するタンパク質又はペプチドを含む。したがって、本用語は、薬物、ワクチン及びタンパク質、ペプチド等の分子を含むバイオ医薬品と伝統的にみなされる化合物を包含する。治療剤の例は周知の参考文献、例えばMerck Index(第14版)、Physicians' Desk Reference(第64版)及びThe Pharmacological Basis of Therapeutics(第1版)に記載され、それらには、限定されずに、医薬;疾患若しくは病気の処置、予防、診断、治癒若しくは軽減のために使用される物質;体の構造若しくは機能に影響を及ぼす物質、又は、生理的環境に置かれた後に生物学的に活性若しくはより活性になるプロドラッグが含まれる。
本明細書で使用される場合、「単離されたペプチド」又は「精製されたペプチド」は、そのペプチドが通常は天然に関連している物質、又は、そのペプチドが、発現宿主細胞溶解物、増殖培地成分、緩衝液成分、細胞培養上清若しくは合成in vitro翻訳系の成分を限定されずに含む人工的発現若しくは生成系において関連している物質を実質的に含有していないペプチド(又は、その断片)を意味するものである。本明細書で開示されるペプチド又はその断片は、例えば、天然の供与源(例えば、哺乳動物細胞)からの抽出によって、ペプチドをコードする組換え核酸の発現(例えば、細胞中又は無細胞翻訳系の中)によって、又はペプチドの化学合成によって得ることができる。更に、ペプチド断片はこれらの方法のいずれかによって、又は完全長タンパク質及び/若しくはペプチドを切断することによって得ることができる。
本明細書で使用される単語「又は」は、特定のリストの任意の1メンバーを意味し、そのリストのメンバーの任意の組合せも含む。
本明細書で使用される語句「核酸」は、ワトソン-クリック型の塩基対合によって相補的核酸へのハイブリダイゼーションが可能である、DNA又はRNA又はDNA-RNAハイブリッドの、一本鎖又は二本鎖の、センス又はアンチセンスの、天然に存在するか又は合成のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを指す。本発明の核酸は、ヌクレオチド類似体(例えば、BrdU)及び非ホスホジエステルヌクレオシド間連結(例えば、ペプチド核酸(PNA)又はチオジエステル連結)を含むこともできる。特に、核酸はDNA、RNA、cDNA、gDNA、ssDNA、dsDNA又はその任意の組合せを限定されずに含むことができる。
本明細書で使用される場合、「単離された核酸」又は「精製された核酸」は、本発明のDNAが由来する生物体の天然に存在するゲノムの中でその遺伝子に連なる遺伝子を含有しないDNAを意味するものである。したがって、本用語は、例えば、自己複製プラスミド若しくはウイルス等のベクターに組み込まれるか;又は、原核生物若しくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれるか(例えば、導入遺伝子);又は別々の分子(例えば、PCR、制限酵素消化又は化学的若しくはin vitro合成によって生成されるcDNA又はゲノム若しくはcDNA断片)として存在する組換えDNAを含む。それは、さらなるポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含む。用語「単離された核酸」は、単離されたDNA分子によってコードされるか、化学的に合成されるか、又は少なくとも一部の細胞成分、例えば他のタイプのRNA分子若しくはペプチド分子から分離されているか若しくはそれを実質的に含有しないRNA、例えばmRNA分子も指す。
本明細書で使用される場合、「エクステイン」は、インテインの切り出しの後にスプライシング若しくは切断することができる、インテインの一部でないインテイン改変タンパク質の一部を指す。
「インテイン」は、タンパク質中のインフレーム介在配列を指す。インテインは翻訳後のタンパク質スプライシングプロセスによってそれ自身のタンパク質からの切り出しを触媒し、遊離インテイン及び成熟タンパク質を与えることができる。インテインは、インテインN末端又はインテインC末端、又はインテイン-エクステイン末端の両方でインテイン-エクステイン結合の切断を触媒することもできる。本明細書で使用される場合、「インテイン」はミニインテイン、改変された又は突然変異したインテイン及びスプリットインテインを包含する。
本明細書で使用される場合、用語「スプリットインテイン」は、N末端インテインセグメントとC末端インテインセグメントの間に1つ又は複数のペプチド結合切断が存在し、そのためN末端及びC末端のインテインセグメントが、スプライシング又は切断反応のために機能的であるインテインに非共有結合的に再結合又は再構成させることができる別々の分子になるような任意のインテインを指す。本明細書に開示される系及び方法で使用するためのスプリットインテインを誘導するために、任意の触媒活性インテイン又はその断片を使用することができる。例えば、一態様では、スプリットインテインは、真核生物のインテインに由来することができる。別の態様では、スプリットインテインは、細菌のインテインに由来することができる。別の態様では、スプリットインテインは、古細菌のインテインに由来することができる。好ましくは、このように導かれたスプリットインテインは、スプライシング反応を触媒するために必須であるアミノ酸配列だけを有する。
本明細書で使用される場合、「N末端インテインセグメント」又は「N-インテイン」は、対応するC末端インテインセグメントと組み合わせたとき、スプライシング及び/又は切断反応のために機能的であるN末端アミノ酸配列を含む任意のインテイン配列を指す。したがって、N末端インテインセグメントは、スプライシングが起こるときにスプライシングアウトされる配列も含む。N末端インテインセグメントは、天然に存在する(天然の)インテイン配列のN末端部分の改変形である配列を含むことができる。親和性精製されるか又は共有結合で固定化される能力等のさらなる機能を提供するために、非インテイン残基をインテインセグメントに遺伝子的に融合させることもできる。
本明細書で使用される場合、「C末端インテインセグメント」又は「C-インテイン」は、対応するN末端インテインセグメントと組み合わせたとき、スプライシング又は切断反応のために機能的であるC末端アミノ酸配列を含む任意のインテイン配列を指す。一態様では、C末端インテインセグメントは、スプライシングが起こるときにスプライシングアウトされる配列を含む。別の態様では、C末端のインテインセグメントは、そのC末端に融合されているペプチド配列から切断される。C末端インテインのC末端から切断される配列は、本明細書では「目的のタンパク質POI」と呼ばれ、それは更に詳細に下で議論される。C末端インテインセグメントは、天然に存在する(天然の)インテイン配列のC末端部分の改変形である配列を含むことができる。例えば、C末端のインテインセグメントは、さらなる及び/又は突然変異した残基の組入れがC末端のインテインセグメントをスプライシング又は切断のために非機能的にしない限り、そのようなさらなるアミノ酸残基及び/又は突然変異した残基を含むことができる。
共通配列は、整列した、関連した配列を表すDNA、RNA又はタンパク質の配列である。関連した配列の共通配列は異なる方法で規定することができるが、通常は各位置で最も共通するヌクレオチド又はアミノ酸残基によって規定される。本発明の共通配列の例は、配列番号6のN-インテイン共通配列である。
本明細書で使用される場合、用語「スプライシング」又は「スプライシングする」は、ポリペプチドの中央部分を切り出して2つ以上のより小さいポリペプチド分子を形成することを意味する。一部の場合には、スプライシングは、より小さいポリペプチドの2つ以上を融合させて新規のポリペプチドを形成する工程も含む。スプライシングは、スプリットインテインの作用を通して2つの別々の遺伝子産物の上でコードされる2つのポリペプチドを連結することを指すこともできる。
本明細書で使用される場合、用語「切断」又は「切断する」は、単一のポリペプチドを分割して2つ以上のより小さいポリペプチド分子を形成することを意味する。一部の場合には、切断は外因性のエンドペプチダーゼの添加によって媒介され、それは「タンパク分解性切断」としばしば呼ばれる。他の場合には、切断することは切断されるペプチド配列の一方又は両方の内因性活性によって媒介されてもよく、それは「自己切断」としばしば呼ばれる。切断は、本明細書に記載されるスプリットインテイン系の作用の場合のように、非タンパク分解性の第3のペプチドの添加によって誘導される、2つのポリペプチドの自己切断を指すこともできる。
用語「融合した」は、共有結合していることを意味する。例えば、その2つのペプチドが(例えば、ペプチド結合を介して)互いに共有結合している場合、第1のペプチドは第2のペプチドに融合している。
本明細書で使用される場合、「単離された」又は「実質的に純粋な」物質は、天然にそれに付随する成分から分離されたものである。一般的に、ポリペプチドは、それが他のタンパク質及びそれが天然に関連している天然に存在する有機分子を少なくとも50質量%(例えば、60%、70%、80%、90%、95%及び99%)含有しないとき、実質的に純粋である。
本明細書では、「結合」又は「結合する」は、1つの分子が試料中の別の分子を認識して付着するが、試料中の他の分子を実質的に認識せず、付着もしないことを意味する。1つの分子は、それが他の分子に対して約105~106リットル/モルより大きい結合親和性を有する場合、別の分子に「特異的に結合する」。
本明細書で言及する核酸、ヌクレオチド配列、タンパク質又はアミノ酸配列は、単離すること、精製すること、化学的に合成すること又は組換えDNA技術によって生成することができる。これらの方法の全ては、当技術分野で周知である。
本明細書で使用される場合、「改変されたインテイン」又は「突然変異したインテイン」におけるような用語「改変された」又は「突然変異した」は、天然の又は天然に存在する構造と比較したときの、インテイン等の言及されている核酸又はアミノ酸配列中の1つ又は複数の改変を指す。そのような改変は、置換、付加又は欠失であってよい。改変は、インテイン等の言及されている構造の1つ若しくは複数のアミノ酸残基又は1つ若しくは複数のヌクレオチドにおけるものであってよい。
本明細書で使用される場合、用語「改変されたペプチド」、「改変されたタンパク質」又は「改変された目的のタンパク質」又は「改変された標的タンパク質」は、改変されたタンパク質を指す。
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」は、構成中の2つ以上の生体分子の、その生体分子の正常な機能を発揮させることができるようなお互いへの結合を指す。ヌクレオチド配列に関して、「作動可能に連結された」は、構成中の2つ以上の核酸配列の酵素的ライゲーション又はその他による、その配列の正常な機能を発揮させることができるようなお互いへの結合を指す。例えば、先行配列又は分泌リーダーをコードするヌクレオチド配列は、ポリペプチドの分泌に関与する前タンパク質としてそれが発現される場合はそのポリペプチドのヌクレオチド配列に作動可能に連結され;それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合はプロモーター又はエンハンサーがそのコード配列に作動可能に連結され;それがコード配列の翻訳を促進するように置かれる場合はリボソーム結合部位がそのコード配列に作動可能に連結される。
「配列相同性」は、核酸又はタンパク質配列が共通の進化起源を有するのでそれらが類似している状況を指すことができる。「配列相同性」は、配列が非常に類似していることを示すことができる。配列類似性は観察可能である;相同性は、観察に基づくことができる。「非常に類似している」は、少なくとも70%の同一性、相同性又は類似性;少なくとも75%の同一性、相同性又は類似性;少なくとも80%の同一性、相同性又は類似性;少なくとも85%の同一性、相同性又は類似性;少なくとも90%の同一性、相同性又は類似性;例えば少なくとも93%又は少なくとも95%、又は少なくとも97%の同一性、相同性又は類似性でさえも意味することができる。ヌクレオチド配列の類似性又は相同性又は同一性は、Myers等(1988) CABIOS 4:11~17の「Align」プログラムを使用して決定することができ、及びNCBIで入手可能である。更に、又は代わりに、アミノ酸配列の類似性又は同一性又は相同性は、BlastPプログラム(Altschul等Nucl. Acids Res. 25:3389~3402)を使用して決定することができ、及びNCBIで入手可能である。代わりに、又は更に、例えばヌクレオチド配列に関して用語「類似性」又は「同一性」又は「相同性」は、2つの配列の間の相同性の定量的尺度を示すものである。
代わりに、又は更に、配列に関する「類似性」は、同一のヌクレオチドを有する位置の数を2つの配列の短い方のヌクレオチドの数によって割り算したものを指し、ここで、2つの配列のアラインメントは、Wilbur及びLipman algorithm。(1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726によって決定することができる。例えば、20ヌクレオチドのウィンドウサイズ、4ヌクレオチドのワードレンス及び4のギャップペナルティを使用して、市販プログラム(例えば、Intelligenetics(商標) Suite、Intelligenetics社、CA)を使用してアラインメントを含む配列データのコンピュータを利用した分析及び解釈を都合よく実行することができる。RNA配列が類似しているか又はDNA配列と一定程度の配列同一性を有すると言われる場合、DNA配列中のチミジン(T)はRNA配列中のウラシル(U)と同等であるとみなされる。以下の参考文献は、2つのタンパク質のアミノ酸残基の相対的な同一性又は相同性又は類似性を比較するためのアルゴリズムも提供し、上述のものに関して更に、又は代わりに、これらの参考文献は相同性又は同一性又は類似性のパーセントを決定するために使用することができる。Needleman等(1970) J. Mol. Biol. 48:444~453; Smith等(1983) Advances App. Math. 2:482~489; Smith等(1981) Nuc. Acids Res. 11:2205~2220; Feng等(1987) J. Molec. Evol. 25:351~360; Higgins等(1989) CABIOS 5:151~153; Thompson等(1994) Nuc. Acids Res. 22:4673~480;及びDevereux等(1984) 12:387~395。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、当技術分野で周知の用語である;例えば、Sambrook、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual」第2版、CSH Press社、Cold Spring Harbor、1989;「Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach」、Hames及びHiggins編、IRL Press社、Oxford、1985を参照する;配列比較がある図2及び本明細書中のその記載も参照する。
用語「プラスミド」及び「ベクター」及び「カセット」は、細胞の中心的代謝の一部でなく、通常は環状二本鎖DNA分子の形である、遺伝子をしばしば運ぶ染色体外エレメントを指す。そのようなエレメントは、いくつかのヌクレオチド配列が、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片及びDNA配列を適当な3'非翻訳配列とともに細胞に導入することが可能である特異な構築に連結又は組み換えられている、任意の供与源に由来する一本鎖又は二本鎖DNA又はRNAの直鎖状又は環状の自己複製配列、ゲノム組入れ配列、ファージ又はヌクレオチド配列であってよい。一般的に、「ベクター」は、クローニングのためのさらなる複数の挿入部位、及び宿主細胞での発現のための選択された遺伝子産物のためのDNA配列(すなわち、導入遺伝子)を含有する「発現カセット」を含有する改変されたプラスミドである。この「発現カセット」は5'プロモーター領域、導入遺伝子ORF及び3'ターミネーター領域を一般的に含み、ORFの転写及び翻訳のために全ての必要な調節配列が必要とされる。したがって、宿主への発現カセットの組入れは、カセット中の導入遺伝子ORFの発現を許す。
用語「緩衝液」又は「緩衝溶液」は、その共役酸塩基範囲の作用によってpHの変化に耐える溶液を指す。
用語「ローディングバッファー」又は「平衡緩衝液」は、カラムの上へタンパク質調製物をロードするためにタンパク質調製物と混合される、塩又は複数の塩を含有する緩衝液を指す。投入の前にカラムを平衡させるために、及びタンパク質をロードした後にカラムを洗浄するためにも、この緩衝液が使用される。
用語「洗浄緩衝液」は、本明細書において(例えば)目的のタンパク質(例えば、C末端のインテイン断片にカップリングされたもの)をロードした後に、及び目的のタンパク質の溶出の前にカラムの上に流される緩衝液を指すために使用される。洗浄緩衝液は所望のタンパク質の溶出が実質的になしで1つ又は複数の混入物を除去する役目をすることができる。
用語「溶出緩衝液」は、カラムから所望のタンパク質を溶出させるために使用される緩衝液を指す。本明細書で使用される場合、用語「溶液」は、水を含む緩衝されたか又は緩衝されていない溶液を指す。
用語「洗浄」は、クロマトグラフィー樹脂等の固体支持体を通して、又はその上に適当な緩衝液を流すことを意味する。
固体支持体から分子(例えば、所望のタンパク質又は混入物)を「溶出させる」という用語は、そのような材料から分子を取り出すことを意味する。
用語「混入物」又は「不純物」は、精製されるタンパク質の試料中に存在する、精製されるタンパク質以外の任意の外来の又は好ましくない分子、特にDNA、RNA又はタンパク質等の生物学的高分子を指す。混入物には、例えば、精製されるタンパク質を発現及び/又は分泌する細胞からの他のタンパク質が含まれる。
タンパク質精製との関連で使用される用語「分離する」又は「単離する」は、第2のタンパク質の分子の少なくとも大半又は他の混入物又は不純物の混合物を含む混合物のその部分から所望のタンパク質の分子の少なくとも大半が取り出されるような、所望のタンパク質及び第2のタンパク質又は他の混入物若しくは不純物の混合物を含む混合物中の第2のタンパク質又は他の混入物又は不純物の混合物からの所望のタンパク質の分離を指す。
所望のタンパク質及び1つ又は複数の混入物を含む組成物又は溶液から所望のタンパク質を「精製する」又は「精製すること」という用語は、組成物又は溶液から少なくとも1つの混入物を除去する(完全に又は部分的に)ことによって組成物又は溶液中の所望のタンパク質の純度を増加させることを意味する。
N-インテインタンパク質変異体
本発明は、幅広いアミノ酸耐性で切断して最終生成物としてタグなしの目的のタンパク質(POI)を生成する、本発明によるスプリットインテイン系を使用した単一工程の親和性クロマトグラフィー及び親和性タグ切断機構に関する。インテインの2つの半分は親和性リガンド(N-インテイン)及び親和性タグ(C-インテイン)であり、それらは速やかに結合する。クロマトグラフィー樹脂の上に1つの半分(N-インテイン)を固定化することは、溶液からのPOIにカップリングした他の半分(C-インテイン)の捕捉を可能にする。Zn2+イオンの存在下で切断反応は阻害され、不純物が洗浄される間に安定複合体の形成を可能にする。不純物が排除された後、キレーター又は還元剤が加えられると切断反応が進行し、POIの収集を可能にするが、その間インテインタグはクロマトグラフィー樹脂に連結されている同族のインテインに非共有結合的に結合したままである。
好ましくは、本発明は、天然のスプリットインテイン又は天然のインテイン及びスプリットインテインに由来する共通配列のN-インテインタンパク質変異体配列を提供し、ここで、N-インテイン変異体は天然配列又は共通配列と比較して配列に存在する全てのアスパラギン(N)アミノ酸残基を排除するように改変される。好ましくは、全てのそのような配列がN-インテイン変異体配列の1位にシステイン(C)を含むとは限らない。
好ましくは、本発明は、変異体配列の36位にアスパラギン(N)を含まないN-インテインタンパク質変異体配列を提供する。この位置は、番号が1である最初の触媒性システインから開始する天然のスプリットインテインによる従来のクラスタルアラインメントにより計算される。この位置は先行技術及び天然のN-インテイン配列ではNに保存されるが、本発明者はこの位置が天然のN-インテインタンパク質配列と比較して増加したアルカリ安定性を提供するアミノ酸に突然変異させることができることを見出し、このことは、例えばクロマトグラフィー手順の間の増加するpH値への耐性を与えることから重要である。好ましくは、増加したアルカリ安定性を提供するアミノ酸は、ヒスチジン(H又はHis)又はグルタミン(Q又はGln)である。
天然のインテインは、当技術分野で公知である。インテインのリストは、下のTable 1(表1)に見出される。全てのインテインはスプリットインテインにすることが可能であるが、一部のインテインはスプリット形で天然に存在する。表に見出されるインテインの全てはスプリットインテインとして存在するか、又は保存されたNがH若しくはQ等のアルカリ安定性を付与する別のアミノ酸で置き換えられるように36位で本発明により改変されたスプリットインテインにすることが可能である。
Figure 2023502335000002
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開示される組成物の又は開示される方法で使用することができるスプリットインテインは、改変されたか又は突然変異したインテインであってよい。改変されたインテインは、N末端インテインセグメント、C末端インテインセグメント又は両方への改変を含むことができる。改変は、スプリットインテインのいずれかの部分のN末端、C末端にさらなるアミノ酸を含むことができるか、又はスプリットインテインのいずれかの部分の中にあることができる。Table 2(表2)は、アミノ酸、それらの略記号、極性及び電荷のリストを示す。
Figure 2023502335000039
好ましくは、本発明はノストック・プンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)(Npu)の天然のN-インテインドメインのN-インテインタンパク質変異体を提供し、ここで天然のN-インテインドメインは以下の配列を有する:
CLSYETEILTVEYGLLPIGKIVEKRIECTVYSVDNNGNIYTQPVAQWHDRGEQEVFEYCLEDGSLIRATKDHKFMTVDGQMLPIDEIFERELDLMRV(配列番号1)
ここで、配列番号1の天然のN-インテインのアルカリ安定性と比較してN-インテインタンパク質変異体のアルカリ安定性を増加させるアミノ酸によるタンパク質変異体は配列番号1の36位のアスパラギン(N)のアミノ酸置換を含む。
好ましくは、本発明は配列番号1のN-インテインタンパク質変異体を提供し、ここで、タンパク質変異体は、配列番号1の天然のN-インテインのアルカリ安定性と比較してN-インテインタンパク質変異体のアルカリ安定性を増加させるアミノ酸による配列番号1の36位のアスパラギン(N)のアミノ酸置換に加えて、システインでない任意の他のアミノ酸への配列番号1の1位のシステイン(C)のアミノ酸置換を含む。
本発明は、参照タンパク質のN-インテインタンパク質変異体も提供し、ここで、参照タンパク質は配列番号1と少なくとも約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有し、好ましくは、参照タンパク質は配列番号1と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有し、ここで、本発明のN-インテインタンパク質変異体は、配列番号1の天然のN-インテインのアルカリ安定性と比較してN-インテインタンパク質変異体のアルカリ安定性を増加させるアミノ酸による参照タンパク質の36位のアスパラギン(N)のアミノ酸置換を含む。
別の実施形態では、N-インテインは、N-インテインコンセンサス由来の配列である配列番号2のアミノ酸配列を含む。配列番号2に基づくN-インテイン変異体配列も配列番号1の天然のN-インテインのアルカリ安定性と比較して、N-インテインタンパク質変異体のアルカリ安定性を増加させる、N以外のアミノ酸を36位に含む。好ましくは、アルカリ安定性を増加させるアミノ酸は、アスパラギン(N)と比較して脱アミド化に対する感受性がより低いアミノ酸である。配列番号2のアミノ酸配列は以下の通りである:
ALSYDTEILTVEYGFLPIGXIVEEXIEXTVYSVDXXGFVYTQPIAQWHNRGEQEVFEYXLEDGSIIRATXDHXFMTTDGXMLPIDEIFEXGLDLXQV(配列番号2)
式中
20、35、70、73及び95位のXは各々K、R又はAから独立して選択され;
28位のXはC、A又はSであり;
36位のXはN、H又はQであり;
25位のXはN又はRであり;
59位のXはD又はCであり;
80位のXはE又はQであり;
90位のXはQ、R又はKである。
本発明によるN-インテインの好ましい実施形態は、A48、B22、B72及びA41と本明細書で呼ばれるN-インテイン変異体の群から選択され、ここで:
A48は配列番号2の配列を有し、式中:
20、35、70、73及び95位のXはRであり;
28位のXはAであり;
36位のXはHであり;
25位のXはNであり;
59位のXはDであり;
80位のXはEであり;
90位のXはQであり;
B22は配列番号2の配列を有し、式中:
20、35、70、73及び95位のXはAであり;
28位のXはAであり;
36位のXはHであり;
25位のXはNであり;
59位のXはDであり;
80位のXはEであり;
90位のXはQであり;
B72は配列番号2の配列を有し、式中:
20、35、70、73及び95位のXはKであり;
28位のXはCであり;
36位のXはHであり;
25位のXはNであり;
59位のXはDであり;
80位のXはEであり;
90位のXはQであり;
A40は配列番号2の配列を有し、式中:
20、35、70、73及び95位のXはRであり;
28位のXはAであり;
36位のXはNであり;
25位のXはNであり;
59位のXはDであり;
80位のXはEであり;
90位のXはQである。
A41は配列番号2の配列を有し、式中:
20、35、70、73及び95位のXはKであり;
28位のXはAであり;
36位のXはNであり;
25位のXはNであり;
59位のXはDであり;
80位のXはEであり;
90位のXはQであり;
比較リガンドA53は配列番号2の配列を有し、式中:
20、35、70、73及び95位のXはKであり;
28位のXはCであり;
36位のXはNであり;
25位のXはNであり;
59位のXはDであり;
80位のXはEであり;
90位のXはQである。
本発明のN-インテインは固相、例えば膜、繊維、粒子、ビーズ又はチップにカップリングさせることができる。固相は、天然又は合成起源のクロマトグラフィー樹脂、例えば天然又は合成樹脂、好ましくはアガロース等の多糖であってよい。クロマトグラフィー樹脂等の固相は、包埋された磁気粒子を伴う形で提供することができる。別の実施形態では、固相は、非拡散制限樹脂/繊維材料である。
この場合には、固相はエレクトロスパンポリマーナノファイバー等の1つ又は複数のポリマーナノファイバー基質から形成することができる。本発明で使用するためのポリマーナノファイバーは、10nm~1000nmの平均直径を一般的に有する。ポリマーナノファイバーの長さは、特に制限されない。ポリマーナノファイバーは、好適にはモノフィラメントナノファイバーであってよく、例えば環状、楕円体又は事実上環状/楕円体の断面を有することができる。一般的に、1つ又は複数のポリマーナノファイバーは1つ又は複数の不織布のシートの形で提供され、各々は1つ又は複数のポリマーナノファイバーを含んでいる。1つ又は複数のポリマーナノファイバーを含む不織布のシートは、前記1つ又は複数のポリマーナノファイバーのマットであり、各々のナノファイバーは本質的にランダムに配向している、すなわち、それはナノファイバー又は複数のナノファイバーが特定のパターンを採用するようには製作されていない。不織布のシートは、1~40g/m2の面積密度を一般的に有する。不織布のシートは、5~120μmの厚さを一般的に有する。ポリマーは、クロマトグラフィー方法のクロマトグラフィー媒体、すなわち吸着剤として好適なポリマーであるべきである。好適なポリマーには、ポリアミド、例えばナイロン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリスルホン、例えばポリエーテルスルホン(PES)、ポリカプロラクトン、コラーゲン、キトサン、酸化ポリエチレン、アガロース、酢酸アガロース、セルロース、酢酸セルロース及びその組合せが含まれる。
本発明によるN-インテインは固体支持体の上に非常に高い程度で固定化することができ、樹脂1ml(腫脹したゲル)あたり0.2~2μモル/ml N-インテインがカップリングされる。
本発明によるN-インテインは、C末端に1つ又は複数のLys、例えば少なくとも2つを含むLysテールを介して固相にカップリングすることができる。或いは、N-インテインはC末端の上のCysテールを介して固相にカップリングされる。
C-インテインタンパク質変異体
好ましくは、本発明は、以下の通りに以下の配列番号3:
VKIVSRKSLGVQNVYDIGVEKDHNFLLANGLIASN(配列番号3)
又は、それと少なくとも50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する配列、及び好ましくはそれと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する配列を含むC-インテインも提供する。
N-インテイン及びC-インテインの選択は、同じ野生型スプリットインテイン(例えば、両方ともNpuから)又はN-若しくはC-インテインの変異体からのものであってよく、或いは、N-断片の異なるC-断片への親和性(例えば、Ssp C-断片又はその変異体とNpu N-断片又はその変異体)が、開示された方法で使用するための十分な結合親和性をなお維持することが発見されたので、異なる野生型スプリットインテイン若しくはコンセンサススプリットインテイン配列から選択することができることが理解される。
本発明のインテイン変異体を含むベクター
第3の態様では、本発明は配列番号3の上記のC-インテイン及び目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子を含むベクターに関する。C末端のインテインセグメントをコードする核酸を含むベクター、並びに前記ベクターを含む細胞系も本明細書で開示される。本明細書で使用される場合、プラスミド又はウイルスベクターは、開示される核酸、例えばC末端インテインセグメント及び目的のペプチドをコードするものを分解なしで細胞に運搬する因子であり、それらを送達することができる細胞中で遺伝子の発現をもたらすプロモーターを含む。一例では、C末端インテインセグメント及び目的のペプチドは、ウイルス又はレトロウイルスに由来する。レトロウイルスベクターは他のウイルスベクターより大きな遺伝子ペイロード、すなわち導入遺伝子又はマーカー遺伝子を運ぶことができ、この理由のために一般的に使用されるベクターである。しかし、それらは非増殖細胞では有益なものではない。アデノウイルスベクターは比較的安定で扱いが容易であり、高い力価を有し、エアロゾル製剤で送達することができ、非分裂細胞にトランスフェクトさせることができる。ポックスウイルスベクターは大きく、遺伝子を挿入するためのいくつかの部位を有する;それらは耐熱性であり、室温で保存することができる。
スプリットインテインシステム
好ましくは、本発明は前記のようにN-インテイン及びC-インテインを含む、目的のタンパク質(POI)の親和性精製のためのスプリットインテインシステムを提供する。
好ましくは、N-インテインは、増加するアルカリ安定性のためにN36H突然変異を含む。
好ましくは、N-インテインは固相に結合し、C-インテインはPOIと同時に発現され、POIの親和性精製のためのタグとして使用される。その逆、すなわちC-インテインを固相に結合させてN-インテインをタグとして使用することも可能であるが、前者が好ましい。
本発明によるスプリットインテインシステム中のN-インテインリガンドのアルカリ安定性は、0.05~0.5M NaOH等のアルカリ性条件下で固相からのPOIの切断の後の再生を可能にする。固相は、最高100回再生させることができる。
一実施形態では、C-インテイン及びさらなるタグは、POIと同時発現される。さらなるタグは、任意の従来のクロマトグラフィータグ、例えばIEXタグ又は親和性タグであってよい。
目的のタンパク質(POI)を精製する方法
第5の態様では、本発明は本発明によるスプリットインテインシステムを使用して目的のタンパク質(POI)を精製する方法であって、6~8等の中性pH、及び二価カチオン(自発的切断を損なう)の存在下でのC-インテイン及びN-インテインの結合;二価カチオンの存在下での前記固相の洗浄; C-インテインとPOIの間の自発的切断を可能にするキレーターの追加;タグなしPOIの収集;及び0.5M NaOH等のアルカリ性条件下の前記固相の再生を含む方法に関する。
このプロトコールは、Znに非感受性のタンパク質に好適である。利点は、樹脂及び大きな試料量の添加で長い接触時間が可能なことである。試料投入は長い時間、例えば最高1.5時間行うことができる。
本発明により、POIの30%を超える収率、好ましくは50%、最も好ましくは80%を超える収率が4時間未満の切断で達成される。
N-インテインが固相に固定化されるとき、本発明は高いリガンド密度を可能にする。好ましくは、N-インテインは、クロマトグラフィー樹脂、例えばアガロース又はタンパク質精製のための任意の他の好適な樹脂に結合される。本発明により、静置した1mlの樹脂当たり0.2~2μモル/ml C-インテイン結合POIの静的結合能力を達成することが可能である。
親和性タグ
本発明は目的のタンパク質(POI)の精製のための方法であって、POIを本発明によるC-インテイン及びさらなるタグと同時発現させる工程;前記さらなるタグを固相上のその結合パートナーに結合させる工程; POI及びC-インテインを切断する工程;前記C-インテインを中性pHで固相に結合しているN-インテインに結合させる工程、及び結合している前記C-インテイン及びN-インテインを前記POIから切断する工程;並びに0.5M NaOH等のアルカリ性条件下の前記固相を再生する工程を含む方法にも関する。このツインタグの目的:増加する純度(二重親和性精製を可能にする)、溶解性、検出性。
親和性タグは、タンパク質の挙動を変更するタンパク質コード配列とインフレームでクローニングされるペプチド又はタンパク質配列であってよい。親和性タグは、細胞からタンパク質を精製する方法で使用することができるタンパク質のN末端又はC末端に付加することができる。親和性タグを含むペプチドを発現する細胞は、上清/細胞培地においてシグナル配列で発現させることができる。親和性タグを含むペプチドを発現する細胞は、ペレットにすることも、溶解することもでき、細胞溶解物は、親和性タグにリガンドを提示するカラム、樹脂又は他の固体支持体に塗布することができる。親和性タグ及び任意の融合ペプチドは固体支持体に結合され、それは未結合の(混入)タンパク質を排除するために緩衝液で数回洗浄することもできる。目的のタンパク質は、親和性タグに結合している場合、親和性タグをリガンドから解離させて、精製されたタンパク質をもたらす緩衝液によって、固体支持体から溶出させることができるか、又は、可溶性プロテアーゼを使用して、結合している親和性タグから切断することができる。本明細書に開示されるように、親和性タグは、活性インテイン複合体中のC-インテインセグメントの自己切断機構によって切断される。
親和性の例には、限定されずに、融合標的タンパク質の精製を容易にするために固定化麦芽糖に結合することができる麦芽糖結合性タンパク質;固定化キチンに結合することができるキチン結合性タンパク質;固定化グルタチオンに結合することができるグルタチオンS転移酵素;固定化キレート化金属に結合することができるポリヒスチジン;固定化抗FLAG抗体に結合することができるFLAGオクタペプチドが含まれる。
親和性タグは、選択的沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、沈殿可能なリガンドへの結合、透析(標的タンパク質のサイズ及び/又は電荷を変更することによって)及び他の高度に選択的な分離方法を限定されずに含む、様々な方法によって開示された改変されたペプチドを使用して目的のタンパク質の精製を容易にするために使用することもできる。
一部の態様では、リガンドに実際には結合しないが、代わりに選択的に沈殿するか又は固定化された対応する結合性ドメインのためのリガンドとして作用する親和性タグを使用することができる。これらの場合には、タグはより一般的に精製タグと呼ばれる。例えば、ELPタグは特異的な塩及び温度条件下で選択的に沈殿し、遠心分離による融合ペプチドの精製を可能にする。別の例は抗体Fcドメインであり、それは固定化されたプロテインA又はプロテインG結合性ドメインのためのリガンドの役目をする。
目的のタンパク質
全てのプロトコールのための標的タンパク質は以下の通りである:任意の組換えタンパク質、特に天然若しくは天然に近いN末端配列を必要とするタンパク質、例えば治療的タンパク質候補、バイオ医薬品、抗体断片、抗体模倣体、タンパク質骨格、酵素、組換えタンパク質又はペプチド、例えば増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、抗原(ウイルス、細菌、酵母、哺乳動物)生産、ワクチン生産、細胞表面受容体、融合タンパク質。
本発明は、以下で一部の非限定的実施例及び添付図に関連してより詳細に記載される。
(実験1:本発明のN-インテインリガンドのアルカリ安定性)
本発明によるN-インテインリガンドA40、A41及びA48を、約450応答単位(RU)以上の固定化レベルを与えるのに十分な量でBiacore(商標) CM5センサーチップ(Cytiva社、Sweden)の上に固定化した。固定化された表面へのC-インテイン標識POIの相対的結合能力を追跡するために、20μg/mlのC-インテイン(配列番号3)標識緑色蛍光タンパク質(GFP)をチップの上に1分間流し、シグナル強度を書きとめた。表面を次にその場で洗浄し(CIP)、すなわち室温22±3℃で100mM NaOH、4Mグアニジン-HClにより10分間洗い流した。これを50サイクル繰り返し、各サイクルの後に固定化リガンドアルカリ安定性を相対的なC-インテイン標識GFP結合能力(シグナル強度)の相対的損失として追跡した。
結果は図1に示され、リガンドA48(N36H突然変異を有する)がリガンドA41及びA40と比較して向上したアルカリ安定性を有することを示す。アルカリ安定性は、天然配列と比較して更に向上していた。更に、N36H突然変異は、野生型Npu N-インテイン配列(配列番号1と比較してC1A突然変異があるA52)と比較してアルカリ安定性を有意に向上させた。50CIPサイクルの後の相対的残留結合能力(%)はA40及びA41で55%であったが、A48では69%であった。0.5M NaOHを使用したアルカリ安定性は、図5に示す。図5は、20サイクルの間のA40及びA48の結果を示す。相対的残留結合能力(%)
CIP:2分間の100mM NaOH、4M Gdn-HCl、続いて2分間の0.5M NaOH。
(実験2:本発明のN-インテインリガンドのアルカリ安定性)
精製したN-インテインリガンドA53、B72、B22及びA48を、約450応答単位(RU)以上の固定化レベルを与えるのに十分な量でBiacore(商標) CM5センサーチップ(Cytiva社、Sweden)の上に固定化した。固定化された表面への切断不能C-インテイン標識POIの相対的結合能力を追跡するために、20μg/mlの切断不能C-インテイン(配列番号3)標識IL-1bをチップの上に1分間流し、シグナル強度を書きとめた。表面を次にその場で洗浄し(CIP)、すなわち室温22±3℃で100mM NaOH、4Mグアニジン-HClにより10分間洗い流した。これを50サイクル繰り返し、各サイクルの後に固定化リガンドアルカリ安定性を切断不能C-インテイン標識IL-1b結合能力(シグナル強度)の相対的損失として追跡した。
結果は図2に示され、N36H突然変異を有する全ての3つのリガンド(A48、B22及びB72)がリガンドA53と比較して向上したアルカリ安定性を有することを示す。A53の50CIPサイクルの後の相対的残留結合能力(%)はわずか20%であったが、B72では28%、B22では30%及びA48では35%であった。
(実験3:アガロースゲル樹脂へのN-インテインリガンドA48の固定化)
5ミリリットルのエポキシ活性化架橋活性化ゲル樹脂を、ポリプロピレン試験管に加えた。リン酸緩衝液中のC末端Lysテールを有するN-インテインリガンドA48の135ミリグラムに対応する2.7ミリリットルを管に加え、続いてアガロース樹脂スラリーを約50%に調整するために1.3ミリリットルのリン酸緩衝液(pH12.1)を加え、次に、2グラムの硫酸ナトリウムを加えた。生じた反応混合物のpHを11.5に調整した。振盪盤の中で反応混合物を33℃まで加温し、33℃で4時間振盪を続けた。次に、スラリーをガラスフィルターに移し、10ミリリットルの蒸留水で3回洗浄した。洗浄の後、ゲルを三つ首丸底フラスコ(RBF)に移し、5ミリリットルのトリスバッファー(pH8.6)を375マイクロリットルのチオグリセロールと加えた。反応混合物は、45℃で2時間振盪盤にあった。反応の後、スラリーをガラスフィルターに移した。ゲルを5ミリリットルの塩基性洗浄緩衝液で3回、次に5ミリリットルの酸性洗浄緩衝液で3回洗浄した。この塩基/酸洗浄を更に2回繰り返し、この工程では合計18回の洗浄であった。次に、ゲル樹脂を5ミリリットルの蒸留水で10回洗浄した。分析の前に、洗浄し、排水したゲルを冷蔵庫の中の20%エタノール中に保った。
1ミリリットルのゲルの質量を測定することによって、ゲル樹脂の乾燥質量を決定した。試料調製では、2グラムの排水したゲル樹脂を2グラムの水と十分に混合して約50%の樹脂スラリーを与え、次にスラリーを1mLのテフロン(登録商標)キューブに加えた。次にキューブ中のゲルを排水するために真空を適用し、このように1mLのゲルが得られた。ゲルを乾燥質量バランスの上へ移す。乾燥温度を105℃に設定して、35分後に質量を決定した。
乾燥質量決定の後にアミノ酸分析を測定した。タンパク質の対応する乾燥質量並びにサイズ及び一次アミノ配列の情報により、リガンド密度をゲル樹脂1mLあたりのmgで導くことができた。カップリングされたアガロース樹脂の結果は、90.6mg/mlの乾燥質量、及び1.38μモル/mlに相当する18.4mg/mlのリガンド含有量であった。
(実験4:リガンド密度に関する静的結合能力)
本明細書に示される提案された能力方法は、試験管中の樹脂の結合能力を測定することができる。
反応セットアップ
簡潔には、様々なリガンド密度を有する固定化A48リガンドによるプロトタイプ樹脂及び二重標識試験タンパク質A43(配列番号5)を、それぞれ2.5%樹脂スラリー及び0.4mg/mLにアッセイ緩衝液(2×PBS)で別々に希釈した。2.5%樹脂スラリーの50μLをILLUSTRA(商標)マイクロスピンカラムに加え、続いて150μLの希釈されたA43(配列番号5)を加えた。22℃で2時間の固定された時間、1450rpmの振盪で反応をインキュベートさせた後、3000rcfで1分間遠心分離した。
SDS-PAGE
遠心分離した試料(切断されたタンパク質及び未結合の非切断タンパク質を含有する)を2×SDS-PAGE還元試料緩衝液と1:1に混合し、95℃で5分間沸騰させ、SDS-PAGE(18μLをロードした)にかけた。濃度測定量から濃度を計算することができるように、C-インテイン標識試験タンパク質、A43(配列番号5)標準を加えた(通常18.75~300μg/mLの間の五点標準)。ゲルを60分間クーマシー染色し(約100mL/ゲル)、続いて弱い撹拌の下、室温で120~180分間脱色した(バックグラウンドが完全に透明になるまで)。未切断/未結合の及び切断された試験タンパク質の濃度測定数量化を、IQ TLソフトウェアで実行した。濃度測定生データは、次にMicrosoft Excelにエクスポートした。
SBC計算
反応へ投入される試験タンパク質は既知であるので、以下の式によって静的結合能力(SBC)を間接的に計算することができる:
Figure 2023502335000040
図3は、本発明のN-インテインリガンドの静的結合能力を示す。従来の方法によって実行されたアミノ酸分析(AAA)。A48プロトタイプは、エポキシ化学反応によって多孔性アガロース粒子にカップリングさせた。
(実験5: Znプロトコールなしの及びZnプロトコールによる伸長因子Gの精製)
サーモアネロバクター・テングコンゲンシス(Thermoanaerobacter tengcongensis)からの伸長因子G(Ef-G)を、固定化リガンドA48による樹脂プロトタイプを使用してこの実施例で精製した。C-インテイン(配列番号3)標識EfGを、大腸菌(E.coli)株BL21(DE3)で細胞内に発現させた。
発酵後採取凍結細胞ペレットを解凍し、磁気撹拌によって抽出緩衝液(20mMトリス-HCl、pH8.0)で再懸濁させた。DNアーゼI(ウシ膵臓)及び1mM MgSO4を加え、続いてリゾチーム(雌鶏卵)を加えた。室温で30分間撹拌した後に、再懸濁させ、リゾチーム処理をした細胞懸濁液を水浴上で70~75℃に加温し、この温度で5分間保った。抽出物を氷上で短時間冷却した後に、抽出物を遠心分離によって清澄化させた。
無Znプロトコールを使用した精製を、試料投入及び洗浄の間は2ml/分で、その後は1ml/分でAKTA(商標) Avantシステムで実行した。固定化A48リガンドを含有する1ml HiTrap(商標)カラムを使用した。C-インテイン標識標的タンパク質の平衡化及び結合は、pH6.3の100mM NaClを追加した20mM MES緩衝液中で実行し、試料は2M酢酸を使用してpH6.3に調整した。試料適用後のカラム洗浄及び以降の溶出は、pH8.0の400mM NaClを追加した20mMトリス-HCl緩衝液で実行した。カラム洗浄後、室温で4時間のインキュベーションの間フローを停止し、その後切断されたEfGを溶出させた。フローの第2の停止を加えて第2の溶出を可能にし、それはさらなる16時間のインキュベーションの後に実行した。
17.8mgの純粋なタグなしのEfGを、4時間のインキュベーションの後にHiTrap(商標)カラムで溶出させた。溶出させたタンパク質とCIPedタンパク質の間の質量差は、質量分析によるC-インテインタグの質量と等しかった。SDS-PAGEによる純度は、Superdex(商標) 200 IncreaseでのSEC分析におけるのと同様に高かった。全タンパク質量は、希釈された溶出及びCIP分画における280nmでの理論的紫外吸収係数及びUVシグナルから計算された。
平衡化緩衝液にZnイオンを含ませたプロトコール及び清澄化した試料を使用して、精製を繰り返した。最終Zn濃度は、1.6mMであった。試料適用の間の流速は0.5ml/分に低減させ、その後洗浄及び溶出の間は1ml/分に増加させた。洗浄及び溶出は50mMトリス-HCl、20mMイミダゾール緩衝液pH7.5で実行した。この精製では1つの溶出ピークだけを収集し、それはカラム洗浄後の4時間のインキュベーションの後であった。
16.6mgの純粋なタグなしのEfGを、4時間のインキュベーションの後にHiTrap(商標)カラムで溶出させた。Superdex(商標) 200 IncreaseでのSEC分析による純度は、92%であった。全タンパク質量は、希釈された溶出分画における280nmでの理論的紫外吸収係数及びUVシグナルから計算された。
(実験6: IL-1βの精製)
大腸菌BL21(DE3)で細胞内に発現され、超音波処理によって溶解されたC-インテイン標識標的タンパク質IL-1β(配列番号5)の精製のために、固定化A48リガンドを含有するHiTrap(商標)カラム1mlを使用した。可溶性タンパク質を遠心分離によって採取し、A48リガンドを固定化した1mLのHiTrap(商標)カラムにロードした。試料投入及び洗浄の間、AKTA(商標) Avantシステムで無Znプロトコール(実験4におけるように)を4ml/分(600cm/時間の線形流速)で使用した。流れを次に4時間停止させた後、フローを再び1mL/分で開始して、切断されたタンパク質(4時間切断分画)を溶出させた。流れを次に再び更に12時間停止させた後、フローを1mL/分で開始して、4時間後に切断されていないタンパク質を溶出させた。洗浄及び溶出の平衡化及び結合は、単一の緩衝液で実行した。精製からのクロマトグラムは、図4Aに示す。出発材料、フロースルー、洗浄分画、4時間及び16時間溶出分画は、SDS-PAGE及びクーマシー染色及びIQTLソフトウェアを使用した以降の分析にかけた(図4B)。
9.4mgの切断されたIL-1βを、4時間のインキュベーションの後にHiTrap(商標)カラムで溶出させ、続いて16時間後にさらなる1.1mgを溶出させた。純度はSDS-PAGE分析により99.5%(4時間)及び99.8%(16時間)であった。全タンパク質量は、切断されたタンパク質の280nmでの理論的紫外吸収係数から計算された。
(実験7: SARS-COV-2の受容体結合ドメインの精製)
C-インテインで標識したSARS-COV-2 NCBIの受容体結合ドメイン(RBD)はExpiHEK細胞で発現させ、細胞培地に分泌させた。AKTA(商標) Avant FPLCシステムを使用して細胞培養上清へいかなる塩も他の添加剤も添加せずに、概ね210mLの上清を固定化A48リガンドを有する1mLのHiTrapカラムにロードした。試料適用及び洗浄を4mL/分(ロード時間約52.5分(600cm/時間の直線流速))で実行し、その後6カラム容量の洗浄と、4時間の休止/保持工程が続いた。溶出相は、1mL/分で実行した。カラムを更に68時間放置し、その後第2の溶出が続いた。300mM NaClを追加した単一の40mMリン酸緩衝pH7.4緩衝液を、全てのクロマトグラフィー工程のために使用した。
タンパク質濃度及び収量を決定するために、理論的吸光度0.1%係数をUnicorn(商標)ソフトウェア(Cytiva社 Sweden)の中で使用した。純度は、濃度測定SDS-PAGE分析によって決定した。この実験のために、合計14.1mgの切断されたタンパク質を96%を超える純度で得た。理論的分子量は約25kDaであったが、実験的SDS-PAGE分析は33kDaの分子量を示し、それは2つのグリコシル化によって説明され、同じく質量分析によって決定された。
CCT-RBDタンパク質は、以下の配列を有する:
Figure 2023502335000041
シグナル配列-太字の下線。
CCTタグ-点線下線。
RBDドメインは二重下線である。
Hisタグ-破線の下線
切断されたタンパク質からの純度結果は、Table 3(表3)に見出される。
Figure 2023502335000042
(実験8: 2つのカラムの上でのタンデム標識付け及び親和性精製)
大腸菌BL21(DE3)をA43発現プラスミドTwinStrep(商標)及びC-インテイン(配列番号3)標識IL-1bで形質転換し、50μg/mlカナマイシン含有寒天プレートの上で平板培養した。翌日、単一のコロニーを選び出し、5mlのLuria-Bertani(LB)培養液で0.6のOD600まで増殖させた。同じ抗生物質を含有する200mlのLB培養液へ培養を移し、OD600が0.6になるまで37℃で増殖させた。イソプロピルb-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、0.5mM)の添加によって、タンパク質発現を22℃で16時間誘導した。発現の後、4,000×gで15分間の遠心分離によって細胞を採取し、使用時まで-80℃で保存した。
精製のために、1グラムの湿質量当たり10mlで細胞ペレットを緩衝液A1(100mMトリス-HCl、150mM NaCl、1mM EDTA、pH8.0)に再懸濁させ、超音波処理(Sonics Vibracell、微小チップ、30%振幅、2秒間オン、4秒間オフ、合計3分間)によって破壊した。
4℃で20分間の40,000×gでの遠心分離の後に、可溶性分画を含有する上清を収集し、5mlのHiTrap(商標)カラム、Streptactin(商標) XT(GE Healthcare社、Sweden)の中を通過させた。280nmのUV吸光度が20mAU未満になるまで、カラムを同じ緩衝液A1で洗浄した。結合したC-インテイン標識IL-1bは、緩衝液B1(100mMトリス-HCl、150mM NaCl、1mM EDTA、50mMビオチン、pH8.0)で溶出させ、収集した。
精製されたタンパク質は、阻害剤ZnCl2を加えることなく固定化N-インテインリガンドA48を含有する樹脂を詰めた1mlのHiTrap(商標)カラムに直ちに加えた。切断された無タグのIL-1bは、フロースルーで収集した。
Figure 2023502335000043
TwinStrep-点線の下線
CCT-太字の下線
IL1b(試験タンパク質)-下線
本明細書で言及される特許及び科学文献は、当業者に利用可能である知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許及び公開されたか未公開の米国特許出願は、参照により組み込まれる。本明細書に引用される全ての公開外国特許及び特許出願は、ここに参照により組み込まれる。本明細書に引用される全ての他の公開参考文献、文書、原稿及び科学文献は、ここに参照により組み込まれる。
本発明は、その好ましい実施形態を参照して詳細に示され、記載されているが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲を逸脱しない範囲で、形及び詳細の様々な変更をその中に加えることができることを当業者は理解する。本明細書に記載される実施形態は排他的でないこと、及び様々な実施形態からの特徴を本発明により全部又は一部を組み合わせることができることも理解すべきである。

Claims (39)

  1. 天然のスプリットインテインの少なくとも1つのアミノ酸置換を含むN-インテイン変異体であって、最初の触媒システインから測定したときN-インテインタンパク質変異体配列は少なくとも36位にアスパラギン(N)を含まず、置換アミノ酸は天然のN-インテインタンパク質配列又は共通N-インテイン配列と比較して増加したアルカリ安定性を提供する、N-インテイン変異体。
  2. 増加したアルカリ安定性を提供する置換アミノ酸がH又はQである、請求項1に記載のN-インテイン変異体。
  3. ノストック・プンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)(Npu)の野生型N-インテインドメインのN-インテインタンパク質変異体であって、野生型Npu N-インテインドメインは以下の配列: CLSYETEILTVEYGLLPIGKIVEKRIECTVYSVDNNGNIYTQPVAQWHDRGEQEVFEYCLEDGSLIRATKDHKFMTVDGQMLPIDEIFERELDLMRV(配列番号1)を含み、タンパク質変異体は、野生型N-インテインドメイン及び野生型N-インテインドメインの変異体のアルカリ安定性と比較して、N-インテインタンパク質変異体のアルカリ安定性を増加させるアミノ酸による配列番号1の少なくとも36位のアスパラギン(N)のアミノ酸置換を含む、N-インテインタンパク質変異体。
  4. アルカリ安定性を増加させるアミノ酸置換がヒスチジン(H)又はグルタミン(Q)である、請求項3に記載のN-インテインタンパク質変異体。
  5. アルカリ安定性を増加させるアミノ酸置換がヒスチジン(H)である、請求項4に記載のN-インテインタンパク質変異体。
  6. 以下を含むN-インテイン変異体配列であって、
    ALSYDTEILTVEYGFLPIGXIVEEXIEXTVYSVDXXGFVYTQPIAQWHNRGEQEVFEYXLEDGSIIRATXDHXFMTTDGXMLPIDEIFEXGLDLXQV(配列番号2)
    式中、
    20、35、70、73及び95位のXは各々K、R又はAから独立して選択され;
    28位のXはC、A又はSであり;
    36位のXはN、H又はQであり;
    25位のXはN又はRであり;
    59位のXはD又はCであり;
    80位のXはE又はQであり;
    90位のXはQ、R又はKであり;
    アルカリ安定性は配列番号1と比較して増加する、N-インテイン変異体配列。
  7. 20、35、70、73及び95位のXはRであり;
    28位のXはAであり;
    36位のXはHであり;
    25位のXはNであり;
    59位のXはDであり;
    80位のXはEであり;
    90位のXはQである、
    請求項6に記載のN-インテイン変異体配列。
  8. 20、35、70、73及び95位のXはAであり;
    28位のXはAであり;
    36位のXはHであり;
    25位のXはNであり;
    59位のXはDであり;
    80位のXはEであり;
    90位のXはQである、
    請求項6に記載のN-インテイン変異体配列。
  9. 20、35、70、73及び95位のXはKであり;
    28位のXはCであり;
    36位のXはHであり;
    25位のXはNであり;
    59位のXはDであり;
    80位のXはEであり;
    90位のXはQである、
    請求項6に記載のN-インテイン変異体配列。
  10. 20、35、70、73及び95位のXはRであり;
    28位のXはAであり;
    36位のXはNであり;
    25位のXはNであり;
    59位のXはDであり;
    80位のXはEであり;
    90位のXはQである、
    請求項6に記載のN-インテイン変異体配列。
  11. 20、35、70、73及び95位のXはKであり;
    28位のXはAであり;
    36位のXはNであり;
    25位のXはNであり;
    59位のXはDであり;
    80位のXはEであり;
    90位のXはQである、
    請求項6に記載のN-インテイン変異体配列。
  12. 膜、線維、粒子、ビーズ又はチップ等の固相にカップリングされている、前記請求項の1つ又は複数に記載のN-インテイン変異体配列。
  13. 固相が天然又は合成起源のクロマトグラフィー樹脂である、請求項12に記載のN-インテイン変異体配列。
  14. 固相が天然又は合成樹脂等のクロマトグラフィー樹脂、好ましくはアガロース等の多糖である、請求項12又は13に記載のN-インテイン変異体配列。
  15. 固相が包埋された磁気粒子を伴う形で提供される、請求項13に記載のN-インテイン変異体配列。
  16. 固相が非拡散制限樹脂/線維材料である、請求項12に記載のN-インテイン変異体配列。
  17. N-インテインが、C末端に1つ又は複数のLysを含むLysテールを介して固相にカップリングされている、請求項12又は13に記載のN-インテイン変異体配列。
  18. N-インテインがC末端のCysテールを介して固相にカップリングされている、請求項12又は13に記載のN-インテイン変異体配列。
  19. 1mlの固相、好ましくはクロマトグラフィー樹脂(1mlの膨張したゲル)当たり0.2~2μモル/mlのN-インテインがカップリングされている、前記請求項12~18の1つ又は複数に記載のN-インテイン変異体配列。
  20. N-インテインが0.05M~0.5M、好ましくは0.1~0.5M NaOHに対応するアルカリ性条件の下で安定している、前記請求項1~19の1つ又は複数に記載のN-インテイン配列。
  21. アミノ酸配列:
    VKIVSRKSLGVQNVYDIGVEKDHNFLLANGLIASN(配列番号3)
    又はそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むC-インテイン変異体配列。
  22. 請求項21に記載のC-インテイン及び目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子を含むベクター。
  23. 天然のN-インテインのN-インテイン変異体配列及びC-インテインを含む、目的のタンパク質(POI)の親和性精製のためのスプリットインテインシステムであって、N-インテイン変異体配列は天然のN-インテインと比較してN36H又はN36Q突然変異を有する、スプリットインテインシステム。
  24. 請求項1~20のいずれか一項に記載のN-インテイン配列変異体及び配列番号3のCインテイン変異体配列を含む、請求項23に記載のスプリットインテインシステム。
  25. C-インテイン及びさらなるタグがPOIと同時発現される、請求項23又は24に記載のスプリットインテインシステム。
  26. N-インテインが固相に固定化されており、固相が固相からのPOIの切断の後に再生される、請求項23、24又は25に記載のスプリットインテインシステム。
  27. 固相が0.05~0.5M NaOH等のアルカリ性条件下で再生される、請求項26に記載のスプリットインテインシステム。
  28. 固相が最高100サイクル、例えば最高50サイクル再生される、請求項26又は27に記載のスプリットインテインシステム。
  29. 1つ又は複数のN-インテイン変異体配列リガンドを含むクロマトグラフィー樹脂を含むクロマトグラフィーカラムであって、N-インテイン変異体配列は請求項1~20の1つ又は複数で規定される通りである、クロマトグラフィーカラム。
  30. N-インテインが固相に固定化されている、請求項23~29の1つ又は複数に記載のスプリットインテインシステムを使用する、C-インテインで標識した目的のタンパク質(POI)の精製のための方法であって、C-インテイン及びN-インテインを6~8等の中性pH、及び二価カチオンの存在下で接触させる工程;二価カチオンの存在下で前記固相を洗浄する工程; C-インテインとPOIの間の自発的切断を可能にするキレーターを添加する工程;タグなしPOIを収集する工程;及び0.05~0.5M NaOH等のアルカリ性条件下で前記固相を再生させる工程を含む方法。
  31. N-インテインが固相に固定化されている、請求項23~29の1つ又は複数に記載のスプリットインテインシステムを使用する、C-インテインで標識した目的のタンパク質(POI)の精製のための方法であって、C-インテイン及びN-インテインを6~8等の中性pHで、好ましくは高い流速で接触させる工程;前記固相を洗浄する工程; C-インテインとPOIの間の切断の後にタグなしのPOIを収集する工程;及び0.05~0.5M NaOH等のアルカリ性条件下で前記固相を再生させる工程を含む方法。
  32. 目的のタンパク質(POI)の精製のための方法であって、POIを配列番号3によるC-インテイン及びさらなるタグと同時発現させる工程;前記さらなるタグを第1の固相上のその結合パートナーに結合させる工程; POI及びC-インテインを切断する工程;前記C-インテインを中性pHで第2の固相に結合しているN-インテインに結合させる工程、及び結合している前記C-インテイン及びN-インテインを前記POIから切断する工程;並びに0.05~0.5M NaOH等のアルカリ性条件下で前記第2の固相を再生させる工程を含む方法。
  33. さらなるタグが親和性タグ、イオン交換、疎水性相互作用、溶解性、多モードである、請求項32に記載の方法。
  34. アルカリ性条件がカオトロープ剤、例えばグアニジン又は尿素と組み合わされ、固相は最高100回再生させることができる、請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. POIが天然若しくは天然に近いN末端配列を必要とするタンパク質、例えば治療的タンパク質候補、バイオ医薬品、抗体断片、抗体模倣体、酵素、組換えタンパク質又はペプチド、例えば増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、抗原(ウイルス、細菌、酵母、哺乳動物)生産、ワクチン生産、細胞表面受容体、融合タンパク質である、請求項30~34の1つ又は複数に記載の方法。
  36. POIの30%を超える収率、好ましくは50%を超える、最も好ましくは80%を超える収率が4時間未満の切断で達成される、請求項30~35の1つ又は複数に記載の方法。
  37. N-インテインがクロマトグラフィー樹脂の上に固定化されており、静的結合能力が、静置した1mlの樹脂当たり0.2~2μモル/ml C-インテイン結合POIである、請求項30~36のいずれか1つ又は複数に記載の方法。
  38. 全てのアスパラギン(N)アミノ酸残基が、天然のN-インテインタンパク質配列と比較して増加したアルカリ安定性を提供するアミノ酸残基で置換されている、請求項1~5の1つ又は複数に記載のN-インテイン変異体。
  39. 全てのアスパラギン(N)アミノ酸残基が、増加したアルカリ安定性を提供するアミノ酸残基で置換され、第1の残基のシステインが任意の他のアミノ酸で置換されている、請求項1~5の1つ又は複数に記載のN-インテイン変異体。
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