JP2018102313A - Seo−f融合タンパク質を含む人工フォリソーム体、このタンパク質をコードするベクターを含む植物細胞又は酵母細胞、及びseo−f融合タンパク質をコードするベクター - Google Patents
Seo−f融合タンパク質を含む人工フォリソーム体、このタンパク質をコードするベクターを含む植物細胞又は酵母細胞、及びseo−f融合タンパク質をコードするベクター Download PDFInfo
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Abstract
Description
工フォリソーム体の細胞内での形成及び分離を可能にするベクターの組み合わせを含む植
物細胞及び酵母細胞と、SEO−F融合タンパク質をコードするベクターとに関する。
れる植物タンパク質体(機械的タンパク質)である。フォリソームは、維管束組織の篩部
に位置する。篩部が損傷を受けると、フォリソームは、カルシウム依存性の構造変調の
影響を受け、この構造変調において、フォリソームは、液化状態から凝縮・拡散状態に移
行し、この凝縮・拡散状態によって、フォリソームは篩管を閉塞し、これによって、貴重
な糖分子の流出が防止される。フォリソームは、サイズの大きいコンパクトな束から成る
繊維状の基礎構造の中に位置する。フォリソームは、in vitroでは、ATPに応
じて、二価カチオン、pHの変化又は電気刺激によって励起され、交互に発生する収縮及
び拡張の複数回反復可能なサイクルを引き起こすことが可能である。
、その機能に応じて「フォリソームによる篩部閉塞」(“Sieve Element O
cclusion by Forisomes”=SEO−F)と呼ばれる同族タンパク質
である。細菌発現ベクターを用いて、上記の同族タンパク質をコードしたいくつかの遺伝
子を発現させる手順は、非特許文献1に記載されている。メディカーゴ・トルンクラータ
(Medicago trunculata)には少なくとも4つのサブユニット(SE
O−F1〜SEO−F4)が存在することは、確実視された(非特許文献2、非特許文献
3)。これら4つのサブユニットは全て、現在では配列されており、これらのサブユニッ
トの配列(SEQ ID No:1〜4)を、図1〜4に示した。トンカマメ(Dipte
ryx panamensis)、ミヤコグサ、エンドウ及びソラマメの各種植物のSE
O−F1タンパク質の配列(SEQ ID No:5〜8)を、図9〜12に示した。植物
においては、異なるSEO−Fタンパク質が凝集して、フォリソームタンパク質体を成す
。外部組織(タバコ植物体、酵素)にそれぞれ遺伝子を発現させることで、タルウマゴヤ
シにおいて、上記のサブユニットのうち2つのみ、すなわちSEO−F1及びSEO−F
4が、それぞれその他のサブユニットの不在時であっても合成されて、ホモマーから成る
人工フォリソームをなすことが示された。非特許文献4、非特許文献5参照。これに反し
て、サブユニットSEO−F2は、ホモマーから成る人工フォリソームに自己組織化され
ることはないが、サブユニットSEO−F1ともサブユニットSEO−F4と共に凝集し
得る。
ノルは、非特許文献1によれば、大腸菌における抗体生成の目的で、フォリソーム遺伝子
酵素結合を行った。しかし、ここでは、フォリソーム体の生成は認められなかった。H・
C・ペリシエ(H・C・Pelissier)他は、非特許文献3において、フォリソー
ムサブユニットと緑色蛍光タンパク質(GFP)とから成る融合タンパク質について説明
し、この緑色蛍光タンパク質を用いて、融合タンパク質が移植されるトランスジェニック
植物において、上記サブユニットとフォリソーム体との関連性を確認することが可能とな
った。B・ミュラー他は、非特許文献6において、タルウマゴヤシから得られた遺伝子M
tSEO1〜MtSEO4の一方と、ビーナス遺伝子とから成る融合タンパク質と、黄色
蛍光タンパク質とをコードした4つのベクターについて説明している。融合タンパク質は
、ベンサミアナタバコの上皮細胞に発現することが可能である。それぞれMtSEO遺伝
子も同時に発現し、MtSEO−F1とMtSEO−F4の場合には、フォリソーム体に
類似しているが、異なる表現型を有するタンパク質複合体が生成される。MtSEO−F
2とMtSEO−F3の場合には、同一の実験手法で、細胞質局在性のタンパク質のみが
検出される。更に、このような人工フォリソーム体が大量に生成可能であることを証明す
るために、MtSEO−F1/MtSEO−F1venusとMtSEO−F4/MtS
EO−F1venusの同時発現が酵素中で行われた。加えて、大量の人工フォリソーム
体は、MtSEO−F1又はMtSEO−F4の単独発現によって生成可能である。
パク質の精製は、極めて困難であった。このような状況は、たとえば、膜結合タンパク質
又は毒性タンパク質に当てはまる。まさに、酵素の場合には、酵素の量及び/又は活性が
所望の範囲にないという状況がしばしば見られるため、必要な量が原因となって、アッセ
イその他の費用が並外れて高額になる。組換えタンパク質の発現についても、それ自体と
しては、問題となり得る。それゆえ、これらのタンパク質の多くは、発現生物内で正しく
折り畳まれないか、又は不活性の形態の封止体として細胞内で析出される。生成のもう1
つの要件は、多くの場合担体(アガロース、ナイロン)への固定化によって実現される酵
素の再利用可能性である。多くの場合、かかる固定化は、酵素活性の大幅な低下を引き起
こすため、アッセイその他の費用が並外れて高額になる。特に、ポリクローナル抗体の精
製は、通常クロマトグラフ法を用いて行われ、依然として改善が必要な状況である。
費用で製造することが可能であり、他方、上記の目的で、上のタンパク質の使用を容易に
するか、又は、従来公知で同様の目的で使用されてきたタンパク質その他の材料の使用の
際の結果との比較で、上のタンパク質の使用の際の結果を改善する構造又は形状を有する
タンパク質を提供するという課題を設定した。
する。このフォリソームは、タンパク質化学の多くの点で、特に、このフォリソームに融
合タンパク質の形態で含有される生化学活性を有する構造の形態で、改善及び簡略化をも
たらすことを可能にする。融合を介して酵素の機能がフォリソームに導入される場合には
、フォリソームが担体として使用可能となり、この担体に酵素が固着されることで、外部
マトリックスとの結合が不必要になる。しかし、フォリソームは、たとえば、その精製が
容易となる組換えタンパク質の生成との関連で、結合される外来タンパク質の保護機能も
有する。外来タンパク質は、フォリソームの形態で容易に分離され、次いで、必要に応じ
て、適合したプロテアーゼ切断部位及び対応するタンパク質分解酵素を用いて、フォリソ
ームから分離することが可能となる。融合を介して抗原性の構造をフォリソームに導入し
た場合には、フォリソームそのものが抗体の精製に利用可能となる。更に、本発明の物体
は、その接合特性又は構造変調特性の意図的な改変によって、マイクロ工学で役割を果た
すことが可能である。
析との関連での文献において、SEO−F1又はSEO−F4タンパク質から成る融合タ
ンパク質に蛍光タグを施したものは、対応する天然タンパク質と共に、フォリソーム体を
なす。しかし、本発明の発明者は、任意のタンパク質を含む任意のSEO−Fユニットを
含む融合タンパク質から、又はこの融合タンパク質を用いて、フォリソームを生成するこ
とは不可能であることを確認する必要があった。にもかかわらず、発明者は、外来タンパ
ク質を用いて、本発明の使用目的に適した人工フォリソーム体を生成するのに成功した。
かかるフォリソーム体は、酵素内で発現可能であり、このため、大量のフォリソーム体が
提供可能となる。特に、SEO−Fタンパク質又はそのセグメント、更には、C末端及び
N末端が、多数のタンパク質、場合によってはペプチドと結合可能であり、ここで、以下
の条件の1つが満たされる限りにおいて、フォリソーム体をなすことが証明された。
0のアミノ酸を含むSEO−Fタンパク質の少なくとも1つのセグメントと、少なくとも
1つの他のタンパク質又はペプチドとから成る融合タンパク質を含む人工フォリソーム体
の提供によって解決され、ここで、
(a)他のタンパク質又はペプチドが、最大30kDa、好ましくは25kDaの質量
を有する、及び/又は
(b)フォリソーム体が、更に、非融合の、多くの場合天然のSEO−Fタンパク質、
又は、C末端側でアミノ酸最大約50個分、特に最大約45個分、好ましくは最大43個
分が欠失した、及び/又は、N末端側でアミノ酸最大13個分が欠失した、上記のタンパ
ク質の形態を含み、非融合SEO−Fタンパク質が、他のSEO−Fタンパク質の不在時
に、ホモマーフォリソーム体を形成する特性を有するか、又は
(c)他のタンパク質又はペプチドが、第2のSEO−Fタンパク質のセグメントであ
り、その条件として、2つのSEO−Fタンパク質のうちの1つが、非融合の形態では、
ホモマーフォリソーム体を形成することが可能であり、融合タンパク質が、N末端タンパ
ク質セグメントとC末端タンパク質セグメントとから成り、2つのタンパク質セグメント
の融合が、2つのSEO−Fタンパク質において同一又は略同一な領域に位置し、タンパ
ク質の機能に関連する領域について見ると、同一又は略同一な部位に位置することで、融
合タンパク質が、完全なSEO−Fタンパク質となるが、融合タンパク質は、必要に応じ
て、C末端側でアミノ酸最大約50個分、最大約45個分、好ましくは最大43個分及び
/又は、N末端側でアミノ酸最大13個分が欠失することが可能である。
、本発明に含まれる。
usと、それぞれの天然タンパク質MtSEO−F1/MtSEO−F1venus及び
MtSEO−F4/MtSEO−F4venusとの組み合わせから成るフォリソーム体
は、先行技術から公知である。かかるフォリソーム体は、本特許の保護の範囲から除外さ
れるべきである。このフォリソーム体は、フォリソーム検出の目的で生成されているが、
本発明はこれを目的としておらず、タンパク質化学で発生する特定の問題の解決を目的と
している。それゆえ、必要に応じて励起光下で、融合タンパク質が蛍光体である限りにお
いて、SEO−Fタンパク質又はペプチドが、GFPタンパク質(図13及びSEQ I
D No.9参照)又はビーナスタンパク質(図14及びSEQ ID No.10参照)
、若しくは、そのセグメント又はその(人工の)修飾体に融合する、融合タンパク質から
成るか又はこれを用いて生成されるフォリソーム体は、本特許の保護の範囲には含まれな
い。融合タンパク質を組み込んだ際に、蛍光性を有するか、又は、化学発光タンパク質の
ように、その他の方法で視認可能なペプチドを含む構造を有するフォリソーム体も、少な
くともこのフォリソーム体が、以下に規定の意味で生化学活性又は生化学活性化能を有す
る限りにおいて、本発明に含まれることにはならない。最も広義では、必要があれば、こ
の条件は、そのSEO−F分子に由来しないタンパク質部分が、所望の融合の存在の確認
以外の目的を達成することができないか、又は通常その必要もない融合タンパク質から成
るか又はこれを含む全てのフォリソーム体に該当する。もちろん、上記の例外は、上記の
フォリソーム体を含有するか、又はかかるフォリソーム体を用いて、本発明の生成物又は
対応する融合タンパク質が生成される全ての本発明の生成物にも適用される。
学活性又は活性化能又は変化を加えた機械的特性を付与するフォリソームを対象とする。
それゆえ、他のタンパク質又はペプチドは、人工的な生化学活性又は活性化能を有するタ
ンパク質又はペプチドか、或いは、第2のSEO−Fタンパク質のセグメントから選択さ
れる。
記載は、特に、その生体触媒作用のゆえに、酵素のように、物質転換に使用される全ての
タンパク質、免疫反応を引き起こすことが可能であるか、特に抗体及び抗原と同様の薬学
的効能を有する全てのタンパク質、外来タンパク質又は外部ペプチドとの結合部位を有す
る全てのタンパク質又はペプチド、更に、その他のバイオ技術の観点から利用価値のある
タンパク質又はペプチドを含む。本発明によれば、「バイオ技術の観点から利用価値のあ
る」とされるのは、たとえば、その合成が医療用の用途又は診断方法の目的で、重要性を
帯びることがある全てのタンパク質又はペプチドである。多くのタンパク質又はペプチド
が、基質に結合された生物材料又は生化学的に生成された材料との親和反応が原因で、基
質に固定化されることで、再利用可能性を達成する。これらのタンパク質又はペプチドも
、本発明によれば、「バイオ技術の観点から利用価値のある」ものに該当する。これに反
して、視認可能であり、特に蛍光タンパク質のように、生体触媒作用又は上記の特性のう
ち、生体触媒作用以外のものが、問題のタンパク質又はペプチドに欠けている場合に、(
もっぱら)融合タンパク質の形成の確認に使用されるタンパク質又はペプチドは、上の記
載には含まれない。
フォリソーム体を形成する特性を有する限りにおいて、融合タンパク質が非融合の、たと
えば天然のSEO−Fタンパク質と同時発現する場合には常に、フォリソーム体が酵素内
で形成されることを確認できた。これに関しては条件(b)参照。これは、ホモマーを形
成するSEO−Fが存在することで、組立に関連する構造の数と相違が比較的大きくなる
ことに起因するとすることが可能である。
Fタンパク質の存在がなくとも、外来タンパク質部分が一定の大きさを超えなければ、フ
ォリソーム体に自己組織化することを確認できた。発明者は、上記の目的で、非SEO−
F部分が、最大30kDaの質量を有することになることを確認した。上記の限界を約2
5kDaに設定する(条件(a))と一層有利である。上記の方法で得られるフォリソー
ム体は、若干薄手で繊維質であるが、それでも精製される。
全て有するSEO−F融合生成物が、人工的に生成可能であることが確認されたことはす
でに述べた。この前提条件は、融合タンパク質の少なくとも一部が、ホモマーフォリソー
ム体を形成することが可能であるSEO−Fタンパク質に由来することにある。かかるタ
ンパク質においては、構造はいっそう顕著に特徴的なものとなり、この構造が自己組織化
、更にはフォリソーム形成に役立つと想定される。ある程度の欠失が、N末端領域よりも
C末端領域で際立って発生している可能性があるという上記の可能性は、発明者としては
必ずしも固執するつもりはないが、発明者の今のところの見解としては、自己組織化に関
連する構造がN末端領域には存在しないことに起因する。
して、すなわち、他の、たとえば非融合タンパク質の存在がなくとも、フォリソームに自
己組織化する人工的なSEO−Fタンパク質に想到する可能性によって、その自己組織化
能が目的に応じて制御される、たとえばこの能力を高めることが可能なフォリソームの生
成が開始される。このようにして、かかるフォリソームの機械的特性が、所望の用途に適
応可能となる。たとえば、構造変調のために条件(Ca2+含量及び/又はpH値及び/
又は電気刺激)を変動させることが可能になり、もってフォリソームが、天然のフォリソ
ームでは構造変調を引き起こすことのない条件でも使用可能となる。
「アップストリーム」領域でのDNA読み取りとの関係で、又は、N末端をなす、すなわ
ち、クローニングベクター及び「ダウンストリーム」領域でのDNA読み取りとの関係で
、他のタンパク質を含む。
a)酵素の固定化は、工業分野で使用される酵素において利用される。というのは、酵
素の固定化は、酵素の再利用可能性という利点と、酵素生成物の不純物の低減をもたらす
からである。しかし、酵素の安定性及び酵素活性は、可溶性の酵素の形態と比較した場合
、通常は使用される担体によって低減される。従来、酵素の固定化は、多くの場合、酵素
の担体への吸着、組み込み、架橋結合又は共有結合によって行われる。固定化法の不都合
は、たとえば、吸着及び組み込みの場合には不十分な酵素の固定であり、架橋結合の場合
には毒性を有する化学物質の使用であり、共有結合の場合にはアミノ酸の本質をなす官能
基の阻害である。担体としては、アクリル樹脂、ハイドロゲル及び珪藻土のような合成ポ
リマー、PNIPAMのようなスマートポリマー、又は、アガロース、セルロース、スタ
ーチ及びキトサンのようなバイオポリマーが従来使用されてきた。それゆえ、たとえば、
アガロース1g当たり1000〜1750単位の活性を有するアガロース粒子に固定化さ
れたグルコース−6−リン酸脱水素酵素が商用に供給されている。酵素の精製、その後の
酵素の担体への結合は、2つの別々の作業ステップであり、酵素活性は、固定化の後に、
著しく低下させられる。
b)組換えタンパク質の発現は、タンパク質の特性に応じて、問題となることがある。
たとえば、毒性タンパク質は、発現生物の生活力に影響を及ぼし、組換えタンパク質の生
成量を低下させる。その他のタンパク質は、正しく折り畳まれないか、又は非活性の形態
の封止体として、細胞内で析出される。これ以外の問題が、組換えタンパク質の精製の際
に発生することがある。それゆえ、たとえば、膜タンパク質の分離が、膜成分との相互作
用によって困難となるか、又は、タンパク質が、精製プロセス中に分解される。更に、精
製プロセスは、通常極めて費用がかさみ、多くの場合、大量の環境に有害な化学物質の使
用なしではすませられない。実際には、精製は、工業的な製法においては、複数のステッ
プに区分される。ここで、作業ステップには、沈殿、ろ過又はクロマトグラフィー法が含
まれる。上記の方法において最重要の基準は、精製効率、費用効率、かかる方法の生体内
持続性である。たとえば、沈殿は、非常に安価であるが、低い純度しか得られず、大量の
化学物質の使用を前提とするが、ろ過又はクロマトグラフィー法は著しく費用がかさむ。
この理由から、生成物の一体性を高め、費用を削減し、化学物質の使用を低減する新規の
精製方法の開発は、高まる業界の関心の的である。
c)ポリクローナル抗体の獲得は、それぞれの抗原(タンパク質又はペプチド)の動物
への注射によって行われる。数週間経つと、ポリクローナル血清が動物の血管から採取可
能となる。モノクローナル抗体の獲得のために、形質細胞が脾臓又はリンパ節から分離さ
れ、がん細胞と融合され、無菌培養で培養される。複数回分離を行った後、ハイブリドー
マ培養に成功し、このハイブリドーマ培養は、単一の細胞に由来し、所望のモノクローナ
ル抗体を分泌する。特に、ポリクローナル抗体においては、モノクローナル抗体の場合よ
りもまれに、所望の抗体以外にも、有害な抗体(たとえばケラチン抗体)及び/又は検出
を妨害する物質(たとえば、使用された抗原に類似するタンパク質又は凝集し検出方法を
妨害するタンパク質)が血清中に含まれる。このような物質は、所望の抗体から分離する
必要がある。これは、従来クロマトグラフィー法によって実施されてきた。この目的で、
抗原は、コラムマトリックスに結合される。その後、マトリックスは、「不純物を含む」
抗体溶液でインキュベートされ、こうして、特異的な抗体が抗原更にはマトリックスに結
合することが可能となる。マトリックスが洗浄された後に、抗体がコラムから溶離される
(たとえば、酸性を示すpH値の溶液によって)。この手間のかかる方法の単純化と、効
率の向上は、大いに必要とされる。
d)しかし、本発明の利点は、外来タンパク質の生成及び特性にとどまらない。フォリ
ソームそのものの分野でも、かかる利点は、有利に利用可能である。上述した通り、フォ
リソームは、カルシウムに起因するか、又はpH依存性の構造変調のために、制御モジュ
ールとしてマイクロ流体システム内で使用可能である機械的タンパク質である。それゆえ
、A. Q. Shen et al., Smart Structures and Syste
ms)』2(2006),225−235及びK. Uhlig et al., Journ
al of Microelectromechanical Systems 17(20
08),1322−1328は、マイクロ流路中の蛍光粒子の流れが、一体化されたフォ
リソームによって制御されることを証明した。しかし、意図的且つ持続的なフォリソーム
の固定は、従来はもっぱら手動で、マイクロ操作技術を用いて、且つ極めて大量の時間及
び労力の消費のもとで可能であった。それゆえ、シェン他及びウルリッヒ他(上掲論文)
によって、天然のガラスの接着力が利用された。ここで、フォリソームは、表面に押しつ
けられた場合には、この表面に固定される。しかし、かかる接着力は、液体の流れ中での
フォリソームの固定を保証するものではない。更に、フォリソームが表面に接着した場合
には、フォリソームの反応強度が低下する(G.Noll et al., Bioengi
neered Bugs,2:2(2011),111−114)。
は異なるCa2+濃度における、液化状態から拡散状態、又はその逆への移行によって)
フォリソームの提供も期待される。
ことに成功した。ここで、多くの場合、融合タンパク質の発現は、他のタンパク質サブユ
ニットの存在とは無関係にホモマーを形成可能であるフォリソームタンパク質の同時発現
が、同一の細胞内で発生した場合に、可能となる。これに反して、融合タンパク質の発現
は、小型の外来タンパク質の使用時に、利用価値のある生成物をもたらすが、他方、その
他の場合には、フォリソーム体が全く形成されず、可溶性の形態のタンパク質が存在する
か、又は「封止体」が細胞内に堆積する。
が行われる、及び/又は融合タンパク質が、小型の外来タンパク質サブユニットを伴って
発現した場合には、植物又は酵素において、安定したフォリソーム体が発現され、このフ
ォリソーム体は、外来タンパク質又はペプチドの存在にもかかわらず、略天然フォリソー
ムの形状を有する。それゆえ、本発明は、個別にモジュール化可能で、機能性の人工フォ
リソームを生成する可能性をもたらす。この点が驚くべきであるのみならず、特に、ここ
で、フォリソーム体の自己組織化が、外来タンパク質の機能効果を妨害しないという確認
も、驚くべきである。酵素と融合したSEO−Fサブユニットを例に、フォリソーム体が
、商用の固定化担体と比較して、外来タンパク質の活性を、低い強度で低下させることが
証明可能となったが、この点は、全ての融合タンパク質について想定可能ではあったが、
一連のそれ以外のタンパク質においては、定量的な比較の可能性がないことから、確認さ
れてはいなかった。
来のSEO−Fサブユニットも同様に使用される。
とが確認可能であった。これに代えて、SEO−Fサブユニットの鎖の、必要に応じて比
較的小さい一部分でも、たとえば、約60〜250の長さの領域でも十分であることが、
発明者が蛍光タンパク質との融合を用いて確認可能となった。この点は、SEO−F1又
はSEO−F4のように、ホモマーをなすタンパク質の存在が、外来タンパク質が一定量
を上回った場合にフォリソームが形成されるか否か決定する。
ことが可能である。好ましくはSEO−F1、SEO−F2及びSEO−F4に由来し、
特に、MtSEO−F1、MtSEO−F2及びMtSEO−F4に由来する。
形成を確保するために、略完全又は少なくともその大部分が完全なものとなる必要がある
。しかし、発明者は、それぞれのサブユニットの鎖全体が存在する必要があることについ
ては確認していない。N末端の少なくとも最大13のアミノ酸及び/又はC末端の少なく
とも最大43のアミノ酸、必要に応じて最大45のアミノ酸、可能であれば、最大50の
アミノ酸の欠失が、本発明のフォリソーム体が影響を受けない範囲で、許容可能である。
合タンパク質1種との組み合わせでの非融合SEO−Fサブユニット1種か、又は、融合
タンパク質の外来タンパク質部が上記の大きさを上回らなければ、融合タンパク質1種の
みでも十分である。フォリソーム体は、通常、約106〜107の個別のタンパク質鎖か
ら成り、必要に応じて、非融合SEO−Fサブユニットの数と融合タンパク質の数の比が
、外来タンパク質の種類と大きさに応じて、約4:1〜1:1の範囲となる。
、このフォリソーム体は、複数の異なる融合タンパク質を含むことがある。この点につい
ての特異的且つ特に好適な例は、以下の第1)項において説明される。
持たない。本発明のフォリソーム体は、トンカマメ(Dipteryx panamen
sis)、エンドウ、ソラマメ、ナタマメ及びミヤコグサに由来するSEO−F遺伝子を
用いて生成される。ここから、本発明によれば、マメ科の全ての植物の対応する遺伝子が
使用可能であることが推論される。更に、遺伝子組換え又は合成SEO−F遺伝子又はフ
ォリソームサブユニットも、少なくとも、上記の植物の属する科で保存されている領域が
維持されているか又は存在している限りにおいては、使用可能である。
かかるフォリソームサブユニットの構造及び安定性に、多大な影響を及ぼすと、長きにわ
たって仮定されてきた。上記のシステインは、3つのフォリソームサブユニット全てにお
いて、アミノ酸配列のC末端部(600位以降)、特に、CPNPXCGRVMEVXS
XXYKCC(Xは、変更可能なアミノ酸を示す)という高度保存モチーフに位置する。
このモチーフは、全てのSEO−F遺伝子において(すなわち、他の植物の科におけるS
EO−F遺伝子においても)、高度に保存される。対応するシークエンスロゴは、図5に
示した。しかし、発明者は、この部位の存在がフォリソーム形成に本質的ではないことを
証明することが可能であった。というのは、同時発現した非融合SEO−F又は2つのS
EO−F成分から成る融合タンパク質として、SEO−Fタンパク質を使用することが可
能であり、C末端が最大43のアミノ酸、必要に応じて最大45のアミノ酸、又は、最大
50のアミノ酸分だけ短縮され、ここで本発明のタンパク質鎖の自己組織化特性は失われ
ない。SEO−F1又はSEO−F4が、全長にわたって、又は、上記の保存モチーフの
一部又は全体が存在する配列長で使用される場合には、上記のシステインが、明らかに無
視できない役割を帯びる。特に、上記のシステインが、「部位特異的突然変異」を用いて
、一部又は全体が、ジスルフィド架橋形成を実現しないアミノ酸に置換され、このアミノ
酸は、たとえばグリシン又はアラニンのように、上記のシステインのうち最後の2つ(シ
ークエンスロゴではシステインC21及びC22)が変異した場合、タンパク質フィブリ
ルが他の場合にはフォリソーム体に自己組織化しないような形で、フォリソーム体の構造
状態を変化させることが証明された。それゆえ、理論の制約を受けようとするのでない限
り、2つのフォリソームサブユニットの上記のシステインの間のジスルフィド架橋がタン
パク質フィブリルの秩序立った自己組織化に起因することは想定できない。これに反して
、上記のシステインのうち最初の2つ(シークエンスロゴではシステインC3及びC8)
のうち、少なくとも1つが変異した場合、そのシステインの発現の後、典型的なフォリソ
ーム体が形成されるが、このフォリソーム体は、カルシウムイオン及びNaHSO3の添
加後に完全に溶解する。カルシウムがタンパク質フィブリルの反発作用を引き起こし、N
aHSO3の添加が、その後も残存するジスルフィド架橋を溶解する。それゆえ、システ
インC3及びC8が、個々のサブユニットの結合による繊維形成に関与していると想定さ
れ、それゆえ、タンパク質が、その変異後に、その可溶性の形状に転移することが可能に
なる。
フォリソーム」という表現は、本発明で使用される場合には、本発明の少なくとも1つの
実施形態において、上記のファイバーネットワークも含める。
ーム体によって、以下の例に示した通り、タンパク質の精製が容易になるためである。
酵母細胞の使用が特に有利である。というのは、酵母細胞の使用が大量の人工フォリソー
ム体の生成を可能にするからである。それゆえ、本発明は、これに応じて形質転換された
細胞を対象とする。そして最後に、本発明は、これを用いて本発明のフォリソーム体が生
成可能となる、新規のベクター構造体を含む。
明の適用可能性の範囲を示し、他方では、これを用いれば当業者が本発明を実施すること
が可能になる、個々の措置を具体的に示している。それゆえ、上記の例が限定的なものと
理解されてはならないことは明白であるはずである。
酵素とSEO−Fタンパク質との結合によって、人工フォリソームに、酵素の担体とし
て使用されるという形で機能が加えられる。酵素は、このようにして固定化することが可
能になる。ここで、酵素結合されたフォリソームは、酵素と融合された、必要に応じて短
縮された第1のSEO−Fサブユニットと、必要に応じて、必要があれば又は要請に応じ
て、上記のとおり欠失することが可能であるSEO−F1とSEO−F4とのうちから選
択される第2のSEO−Fユニットとから成る。融合タンパク質は、C末端又はN末端側
で、融合酵素を担持することが可能である。酵素結合されたフォリソームは、酵素(たと
えばサッカロマイセス・セレビシエ)、細菌(たとえば大腸菌)又は植物(たとえばタバ
コ)のような、目的に適した発現生物における同時発現によって生成される。酵素におけ
る(同時)発現が特に好ましい。発生した酵素結合されたフォリソームは、高い安定性で
際立っている。このフォリソームは、発現生物から単離され(たとえば酵母細胞の分解に
よって)、たとえば、遠心分離法/密度勾配遠心分離法によって、細胞成分から分離され
る。グルコース−6−リン酸脱水素酵素をフォリソームサブユニットのN末端に融合され
る酵素とすると、市販品として入手可能な固定化された酵素と比較して明らかに高い酵素
活性が測定可能となる(フォリソーム1g当たり2700単位に対して、アガロース1g
当たり1000〜1750単位。図4参照)。ここで、酵素が、直接固定化された形態で
、生成生物から単離可能となり、これによって、担体結合ステップの分だけ、酵素生成が
減少する。これは、作業の簡素化に相当するのみならず、明白且つ驚くべき形で外的要因
による活性の上昇をもたらす。ヘキソキナーゼとホスホグルコイソメラーゼとを用いて同
様の方法で生成された融合タンパク質は、同様の結果をもたらした。
ートナーが、第1の酵素の反応生成物が、第2の酵素の基質として使用され、第2の酵素
の反応生成物が、必要に応じて第3の酵素の基質として使用されるか、又は反応複合体が
生成され、この反応複合体上で、一定の反応連鎖が発生する。
在することが可能である。
上述の通り、本発明の人工フォリソーム体は、組換えタンパク質の精製系として利用さ
れる。ここで、組換えタンパク質は、SEO−Fサブユニットに結合され、融合タンパク
質は、必要に応じて、第2のSEO−Fサブユニットと同時発現し、第2のSEO−Fサ
ブユニットは、上述の通り、たとえば酵母細胞又は植物細胞において、他のサブユニット
の不在時にホモマーを成すことが可能である。組換えタンパク質は、融合タンパク質のC
末端又はN末端側に存在し、必要があれば、プロテアーゼ制限部位を備えることで、精製
に続いて、外来タンパク質のフォリソーム体からの分離を確保することが可能である。得
られた人工フォリソーム体の単離と精製は、細胞分解更には、たとえば遠心分離法/密度
勾配遠心分離法を用いて行われる。この代わりに、タンパク質ポリマーが、特に、上記の
C末端側に保存されたシステインの一又は複数の変異の後に、高いCa2+濃度(<2m
M)又は高いCa2+濃度(<2mM)と還元条件(>18.5μMのNaHSO3)と
の組み合わせを用いて、ポリマーの固体状態から可溶状態に転移することが可能となる。
こうして、フォリソーム技術が、沈殿、ろ過及びクロマトグラフィー法という従来の方法
と完全に決別し、この代わりに遠心分離法及びタンパク質の構造状態に依拠した完全に新
規の精製系を提供する。この技術に基づいて、多数のタンパク質のタンパク質精製が容易
になり、且つ安価となることが可能となった。更に、上記の精製系は、精製されるタンパ
ク質の毒性作用又は膜相互作用が、フォリソーム結合によって軽減されるか又は阻止され
るという利点を有する。それゆえ、たとえばマラリア抗原MSP119については、その
精製がその強力な膜相互作用によって、他の方法では極めて困難であったが、このマラリ
ア抗原も本発明を用いて、首尾よく精製された。この点は、図7に示す抗原の免疫学的検
出を用いて証明された。
本発明は、人工フォリソームを用いてポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の精
製を実施し、もって従来のクロマトグラフィー法による分離ステップを回避することを可
能にする。この目的で、抗原は、上記の方法を用いて、フォリソーム遺伝子(上に定義さ
れた通り、MtSEO−F1、MtSEO−F2又はMtSEO−F4又はそのセグメン
ト)のアップストリーム又はダウンストリーム領域でクローニングされる。次いで、抗原
・MtSEO−F間の融合が、必要に応じてC末端側及び/又はN末端側で最大13個の
アミノ酸が欠失したMtSEO−F1及びMtSEO−F4と共に、酵素において発現す
る。ここで、酵素内で、抗原を含む人工フォリソームが形成される。
ムは、遊離した状態で溶液中に存在し、以下において、ポリクローナル抗体又はモノクロ
ーナル抗体の精製に利用可能となる。
異的な抗体が人工フォリソームに結合される。フォリソームは遠心分離され、洗浄され、
次いで、抗体がpHシフトを用いて溶離される。その後、抗体溶液は中和され、さまざま
な用途(ウェスタンブロット、ELISA免疫沈降、抗体療法その他)に利用可能となる
。
本発明を用いて、フォリソームは、新規の、技術的に有益な特性を獲得するように改変
される。たとえば、フォリソームの表面への接着力は、フォリソームがタンパク質又は(
タンパク質又はペプチドの)タグと融合されたSEO−Fサブユニットを含有するとする
ことで改善される。こうして、フォリソームは、マイクロ流路内に配置され、固定化され
る。この例となるのは、黄色ブドウ球菌タンパク質A由来Bドメイン、グルタチオン−S
−転移酵素ビオチン又はビオチンとの融合であって、これらによって、生成生物内で生成
され、次いで単離された人工フォリソームの表面機能の獲得が、かかる人工フォリソーム
が、共有結合を介して、IgG、グルタチオン又はストレプトアビジンでコーティングさ
れた表面に結合することが可能となるような形で実現される。更に、他のサブユニットの
不在時にはホモマーを形成可能であるSEO−Fサブユニットと、融合タンパク質との同
時発現が行われるか、又は発現産物中の外来タンパク質部が過度に大きくない場合に、安
定したフォリソームが得られる。こうして、機械的タンパク質体として利用されるフォリ
ソームの表面上又はマイクロ流路中の配置に関連する問題が排除される。外来タンパク質
との融合に代えて他のSEO−Fタンパク質との融合が行われれば、その構造変調特性が
、Ca2+濃度及びpH値の影響下で変動する機械的タンパク質体が得られる。
I. フォリソーム遺伝子MtSEO−F1、MtSEO−F2又はMtSEO−F4は
、翻訳終止コドンの有無にかかわらず、以下のオリゴヌクレオチドを有するタルウマゴヤ
シcDNAに基づいて増幅された(制限部位には下線を引いた)。
MtSEO-F1 fw NcoI: 5’-AGA ACC ATG GGA TCA TTG TCC AAT GGA ACT AAA C-3’
MtSEO-F1 rev XhoI with stop codon: 5’-AGA CTC GAG TCA TAT CTT GCC ATT CTG TG
G AGC-3’
MtSEO-F1 rev XhoI without stop codon: 5’-AGA CTC GAG CAT ATC TTG CCA TTC TGT
GGA GC-3’
MtSEO-F2 fw NcoI: 5’-AGA ACC ATG GGA TCC ACT GCA TTG TCC TAT AAT G-3’
MtSEO-F2 rev XhoI with stop codon: 5’-AGA CTC GAG TCA AAT GCA GCA ACT ATC TG
G-3’
MtSEO-F2 rev XhoI without stop codon: 5’-AGA CTC GAG ATG CAG CAA CTA TCT GGA
-3’
MtSEO-F4 fw NcoI: 5’- AGA ACC ATG GGA TCC CTT TCC AAC TTA GGA AG-3’
MtSEO-F4 rev XhoI with stop codon: 5’-AGA CTC GAG TCA AAC ACC AAG ATT GTT TG
G-3’
MtSEO-F4 rev XhoI without stop codon: 5’- AGA CTC GAG ACA CCA AGA TTG TTT GG
T TC-3’
ンビトロジェン社、独国)の対応する切断部位にクローニングされた。こうして、pEN
TR4TM−MtSEO−Fベクターが、翻訳終止コドンの有無にかかわらず生成された
。
ホグルコイソメラーゼ(PGI)及びグルコース−6−リン酸脱水素酵素(G6PDH)
の遺伝子は、以下のオリゴヌクレオチドを有するcDNAに基づいて増幅された(制限部
位には下線を引いた)。
G6PDH fw XhoI: 5’-AGA CTC GAG AAT GAG TGA AGG CCC CGT C-3’
G6PDH rev XhoI: 5’- AGACTCGAGCTAATTATCCTTCGTATCTTC
HXK2 fw XhoI: 5’-AGACTCGAGAATGGTTCATTTAGGTCCAAA
HXK2 bw XhoI: 5’-AGACTCGAGTTAAGCACCGATGATACCA
PGI XhoI fw: 5’-AGACTCGAGAATGTCCAATAACTCATTCAC
PGI XhoI rev: 5’- AGACTCGAGATCACATCCATTCCTTGAATTG
Invertase XhoI fw: 5’-AGACTCGAGAGCATCAATGACAAACGAAAC
Invertase XhoI rev: 5’- AGACTCGAGCTATTTTACTTCCCTTACTTGG
R4−MtSEO−Fベクターの対応する切断部位にクローニングした(a)I.参照)
。こうして、pENTR4−MtSEO−F1−G6PDH、pENTR4−MtSEO
−F2−G6PDH、pENTR4−MtSEO−F4−G6PDH、pENTR4−M
tSEO−F1−HXK2、pENTR4−MtSEO−F2−HXK2、pENTR4
−MtSEO−F4−HXK2、pENTR4−MtSEO−F1−PGI、pENTR
4−MtSEO−F2−PGI及びpENTR4−MtSEO−F4−PGIの各ベクタ
ーが得られた。
を有するpENTR4−MtSEO−F4の各ベクターは、酵母ベクター425GPD−
ccdB(アドジーン、米国)に組み換えられた。結果として得られた発現構築物425
GPD−MtSEO−F1及び425GPD−MtSEO−F4が、酵母株InvSc1
(インビトロジェン社、独国)に形質転換された。選択のために、酵母株のロイシン栄養
要求性の相補が利用された。結果として得られた酵母が、MtSEO−F1又はMtSE
O−F4から人工フォリソームを生成し、この人工フォリソームが、酵素結合の基礎とし
て使用される。
ターは、酵母ベクター425GPD−ccdB(アドジーン、米国)によって組み換えら
れた。結果として得られたベクター(424GPD−MtSEO−F1−G6PDH、4
24GPD−MtSEO−F2−G6PDH、424GPD−MtSEO−F4−G6P
DH、424GPD−MtSEO−F1−HXK2、424GPD-MtSEO−F2−
HXK2、424GPD -MtSEO−F4−HXK2、424GPD−MtSEO−F
1−PGI、424GPD−MtSEO−F2−PGI、424GPD−MtSEO−F
4−PGI)は、酵母に形質転換され、この酵母は、MtSEO−F1又はMtSEO−
F4から成る人工フォリソームの生成のために、プラスミドを得ている(a)III参照
)。それゆえ、結果として得られた二重変異体(たとえば、425GPD−MtSEO−
F1/424GPD−MtSEO−F2−G6PDH)は、ロイシン栄養要求性又はトリ
プトファン栄養要求性との関連で相補される。
mが5〜7の範囲までは、50mLの規模で培養され、遠心分離(1000×g、10分
間)を用いて回収される。酵母ペレットは、50mLのV培地(10 mMのTRIS、
10 mMのEDTA、 100 mMのKCl、 pH 7.4)で洗浄され、再度遠心分
離(1000×g、10分間)を行った後、−20℃で凍結される。凍結された酵母ペレ
ットは、1mLのV培地で再懸濁され、約500mg(425〜600μm)のガラスビ
ーズで移し替える。細胞の分解は、1.5mLの容器中で、ミキサーミルMM400(レ
ッチ、独国)内で30Hzの周波数で行われる。次いで、人工フォリソームが、不溶性の
細胞成分と共に遠心分離され、0.5mLのV培地で再懸濁される。次いでこの溶液が、
スクロース又はナイコデンツによる密度勾配にかけられ、ここで、スクロース又はナイコ
デンツの濃度は、40%〜70%の勾配で増加する。この勾配が、ベックマン超遠心分離
機を用いて、163,000×g、4℃の条件で、3時間遠心分離された。
1:2に希釈され、2つの等量のアリコートに分けられる。アリコートは10分間100
×gで遠心分離され、上清が除去された。第1のアリコートのフォリソームは、次いで5
0μLのV培地に加えられ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PA
GE)を用いた酵素結合した人工フォリソームの質量・濃度測定に使用された。第2のア
リコートは、50μLの酵素緩衝液に加えられた(G6PDHに結合したフォリソーム用
:250mMグリシルグリシン緩衝液、pH7.4;HXK2に結合したフォリソーム用
:13.3mMのMgCl2を加えた0.05Mtris−HCl緩衝液、pH8;PG
Iに結合したフォリソーム用:250mMグリシルグリシン緩衝液、pH7.4)。この
アリコートは、特異的酵素アッセイを用いた、フォリソームに結合した酵素の活性の測定
に使用された。
、SDS−PAGEを用いて検証された。ここで、酵素結合した人工フォリソームが構成
される元となるフォリソームタンパク質(たとえば、MtSEO−F1及びMtSEO−
F2酵素融合タンパク質)が分離された。個々のタンパク質の存在は、生物情報から予測
された質量(たとえば、MtSEO−F2−G6PDH=124.7キロダルトン)と、
ゲル中の実際の質量(MtSEO−F2−G6PDH=約130kDa)と比較すること
で確認される。タンパク質の濃度測定は、規定されたタンパク質の量の標準系列を追加で
加えたものを用いるか、又はタンパク質マーカ、プレシジョンPlusプロテイン未着色
スタンダード(バイオラッド社)を用いて行われる。50mLの発現培養物から、選択さ
れたフォリソームタンパク質及び酵素融合に応じて、タンパク質の総量(個々のMtSE
O−Fタンパク質+MtSEO−F酵素融合)56〜124μg分の酵素結合した人工フ
ォリソームが得られる。ここで、タンパク質の総含有量に占めるMtSEO−F酵素融合
の割合は、融合パートナーに応じて、10%〜50%となる。タンパク質総量(50mL
の発現培養物当たり124μg)においても、酵素融合タンパク質(50mLの発現培養
物当たり37μg)においても、最大量は、PGIに結合した酵素フォリソーム(MtS
EO−F1/MtSEO−F2−PGI)の生成時に得られた。
を用いて測定された。グルコース−6−リン酸脱水素酵素については、シグマ・アルトリ
ッチ社(独国)の推奨プロトコルが使用された。アッセイは、G6PDHに触媒された、
グルコース−6−リン酸の6−ホスホグルコノラクトンへの変換に依拠している。この反
応の際に、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)が、以下の通り、
NADPHに還元される。
り、この消失を用いて、酵素活性が計算可能となる。アッセイのために、第2のアリコー
ト(a)V参照)から精製された酵素フォリソームが使用される。酵素結合されたフォリ
ソームの算出された濃度を用いて、人工フォリソーム1グラム当たりで測定された酵素活
性が計算可能である。構造物(a)III参照)に応じて、フォリソームによって固定化
されたグルコース−6−リン酸脱水素酵素については、人工フォリソーム1グラム当たり
2000〜2700単位の活性が得られた。これに比較して、シグマ・アルトリッチ社(
独国)によって市販品として入手可能となった固定化されたグルコース−6−リン酸脱水
素酵素では、アガロース1グラム当たり1000〜1750単位の活性しか得られなかっ
た。それゆえ、本発明のグルコース−6−リン酸脱水素酵素は、明らかにより高い特異的
酵素活性(担体の量に対する酵素活性)を有する。図6は、SEO−F1及びSEO−F
2に由来する本発明のフォリソーム体に結合されるグルコース−6−リン酸脱水素酵素の
酵素活性試験を示す。
活性も、同様のアッセイ原理に基づいて測定された。ここでは、340nmにおけるNA
DPHの吸光増加を用いて酵素活性を測定するために、相前後して推移する2つの酵素反
応のみが利用された。ヘキソキナーゼ2については、ワーシントン社(レークウッド、ニ
ュージャージー州、米国)の推奨プロトコルが使用され、このプロトコルの基礎は、以下
に示す反応である。
ローチに、市販品として入手可能な、可溶性の酵素として所定の活性を有するものの形で
添加された。構造物(a)III参照)に応じて、フォリソームによって固定化されたヘ
キソキナーゼ2については、人工フォリソーム1グラム当たり6000〜8000単位の
活性が得られた。これに対して、シグマ・アルトリッチ社の提供するアガロースによって
固定化されたヘキソキナーゼについては、わずか50〜75単位の活性しか得られなかっ
た。
コルが使用され、このプロトコルの基礎は、以下に示す反応である。
イソメラーゼについては、人工フォリソーム1グラム当たり6000〜8000単位の活
性が得られた。これに対して、シグマ・アルトリッチ社の提供するアガロースによって固
定化されたヘキソキナーゼについては、わずか300〜600単位の活性しか得られなか
った。
2.1a 未変異のフォリソーム遺伝子を用いるか、又は未変異のフォリソーム遺伝子
の不在時の組換えタンパク質の精製
I. マラリア表面抗原MSPの断片(MSP119)のコードされた配列は、以下のオ
リゴヌクレオチドを有するベクターに基づいて増幅された(制限部位には下線を引いた)
。
MSP119 NcoI fw: 5’- AGACCATGGACCTGCGTATTTCTCAG-3’
MSP119 NcoI FaXa rev: 5’- AGACCATGGTACGACCTTCGATCCTGCATATAGAAATGCC-3’
MSP119 XhoI FaXa fw: 5’- AGACTCGAGAATCGAAGGTCGTGACCTGCGTATTTCTCAG-3’
MSP119 XbaI rev: 5’- AGATCTAGATCACCTGCATATAGAAATG-3’
a fwは、遺伝子特異的な配列に加えて、プロテアーゼ因子Xaの認識部位(斜体にて
表記)を含んでいる。第1の増幅産物は、制限酵素NcoIで処理され、終止コドンを有
するベクターpENTR4−MtSEO−F1、終止コドンを有するベクターpENTR
4−MtSEO−F2及び終止コドンを有するベクターpENTR4−MtSEO−F4
それぞれのNcoI切断部位においてクローニングされる(a)I参照)ことで、ベクタ
ーpENTR4− MSP119−MtSEO−F1、 pENTR4− MSP119−
MtSEO−F2及びpENTR4− MSP119−MtSEO−F4を得る。第2の
増幅産物−Mtは、制限酵素XhoI及びXbaIで処理され、終止コドンなしのベクタ
ーpENTR4−MtSEO−F1、終止コドンなしのベクターpENTR4−MtSE
O−F2及び終止コドンなしのベクターpENTR4−MtSEO−F4それぞれのXh
oI/XbaI切断部位においてクローニングされる(a)I参照)ことで、ベクターp
ENTR4SEO−F1− MSP119、 pENTR4−MtSEO−F2− MSP
119及びpENTR4−MtSEO−F4− MSP119を得る。発現ベクター42
4GPD−MSP119−MtSEO−F1、424GPD−MSP119−MtSEO
−F2、424GPD−MSP119−MtSEO−F4、424GPD−MtSEO−
F1−MSP119、424GPD−MtSEO−F2−MSP119及び424GPD
−MtSEO−F4−MSP119の生成のために、生成されたベクターは、酵母ベクタ
ー424GPD−ccdB(アドジーン、米国)によって組み換えられた。
tSEO−F4−MSP119が、酵母株InvSc1(インビトロジェン社、独国)に
形質転換された。選択のために、酵母株のトリプトファン栄養要求性の相補が利用された
。MSP119及びMtSEO−F4から成る融合タンパク質が、他のMtSEO−Fタ
ンパク質のこれ以上の発現を伴わずに、フォリソームを形成する。
−MtSEO−F2、 424GPD−MtSEO−F1−MSP119及び424GP
D−MtSEO−F2−MSP119は、酵母に形質転換され、この酵母は、MtSEO
−F1から成る人工フォリソームの生成のために、プラスミド(425GPD−MtSE
O−F1)を得ている(a)III参照)。それゆえ、結果として得られた酵母(たとえ
ば、425GPD−MtSEO−F1/424GPD−MSP119−MtSEO−F1
)は、ロイシン栄養要求性又はトリプトファン栄養要求性との関連で相補され、MSP1
19タンパク質と融合する人工フォリソームを生成する。
−PAGE及びウェスタンブロット法を用いて検証され、定量化された。全ての構造物は
精製に利用可能であった。細胞培養物1L当たりの0.49mgのMSP119の最適な
精製については、発明者は、424GPD−MSP119−MtSEO−F4構造物でも
達成した。培養と精製の適応による最適化は、将来、より大量のタンパク質量の精製をも
たらすことになる。更に、プロテアーゼ因子Xaを用いたインキュベーションによって、
MSP119タンパク質が、人工タンパク質から分離可能になる。加えて、発明者は、い
くつかの還元性を有し、カルシウムを含有するという緩衝条件が、人工フォリソームの溶
解をもたらす可能性がある(特に、MtSEO−F1タンパク質の615位及び620位
におけるシステインの変異の場合)ことを認めた。この不溶相から可溶相への転移は、タ
ンパク質精製に利用可能である。図7は、フォリソーム体SEO−F1及びSEO−F4
を用いたMSP119の精製を示す。MSP119の免疫学的検出が図示されている。
の精製
MtSEO−F1遺伝子において、シークエンスロゴでシステインNo.3及び8(図
5)は、アジレントテクノロジー社(カリフォルニア州、米国)のQuickChang
eII部位特異的突然変異誘発キットを用いて、製造者の注意事項に従い、セリンに変異
させた。出発物質として使用されたのは、ベクターpENTR4−MtSEO−F1とし
て、終止コドンを有するものと終止コドンなしのもの(例1)である。システインNo.
3及び8は、MtSEO−F1タンパク質のアミノ酸の615位及び620位に相当する
。それゆえ、結果として得られた変異MtSEO−F1遺伝子は、以下においてMtSE
O−F1(C615S/C620S)と言う。
記載された通り、pENTR4TMベクター(インビトロジェン社、独国)のベクターに
おいては、MtSEO−F1(C615S/C620S)のアップストリーム領域及びダ
ウンストリーム領域でクローニングされる。
4−MtSEO−F1(C615S/C620S)の組換え及び酵母ベクター424GP
D−ccdB(アドジーン、米国)によるベクターpENTR4−MSP119−MtS
EO−F1(C615S/C620S)及びpENTR4−MtSEO−F1(C615
S/C620S)−MSP119の組換えを用いて、発現ベクター425GPD− MtS
EO−F1 (C615S/C620S)、424GPD−MSP119−MtSEO−
F1(C615S/C620S)、 424GPD−MtSEO−F1(C615S/C
620S)−MSP119が生成される。
で、酵母株InvSc1(インビトロジェン社、独国)に形質変換される。選択のため
に、酵母株のロイシン栄養要求性及びトリプトファン栄養要求性の相補が利用された。結
果として得られた酵母は、MSP119タンパク質を含有するMtSEO−F1(C61
5S/C620S)由来の人工フォリソームを生成する。
mMのCaCl、200μMのNaHSO3、10mMのTRIS、100mMのKCl
、pH 7.2)によって約100%可溶性の形状に転移され、変異なしのバージョンで
は、わずかな部分しか可溶性の形状に転移しない。
る酵母細胞は分解され、人工フォリソーム及び酵母破片は、遠心分離によって可溶性部分
から分離し、次いで、タンパク質・フォリソーム融合が可溶相に転移することが可能とな
る。
I. ゴム小粒子結合蛋白質3(SRRP3)のコードされた配列は、以下のオリゴヌク
レオチドを有するベクターに基づいて増幅された(制限部位には下線を引いた)。
SRPP3 XhoI fw: 5‘-AGA CTCGAGA ATGACCGACGCTGCTTC-3‘
SRPP 3 XhoI rev: 5‘-AGA CTCGAG TCATGTTTCCTCCACAATC-3‘
SEO−F1ベクターのXhoI切断部位にクローニングされる(a)I.参照)ことで
、ベクターpENTR4−MtSEO−F1−SRPP3を得る。発現ベクター424G
PD−MtSEO−F1−SRPP3の生成のために、生成されたベクターは、酵母ベク
ター424GPD−ccdB(アドジーン、米国)によって組み換えられた。
、この酵母は、MtSEO−F1から成る人工フォリソームの生成のために、すでにプラ
スミド(425GPD−MtSEO−F1)を含んでいる(1.III参照)。結果とし
て得られた酵母(たとえば、425GPD−MtSEO−F1/424GPD−MtSE
O−F1−SRPP3)は、ロイシン栄養要求性及びトリプトファン栄養要求性との関連
で相補され、SRPP3タンパク質と融合する人工フォリソームを生成する。酵母は、O
D600nmまでは、50mLの規模で培養され、遠心分離され、1mLのV培地(10
mMのTRIS、 10mMのEDTA、 100mMのKCl、pH7.4)で、ボール
ミルを用いて分解される。ここで、抗原を担持する人工フォリソームは、遊離した状態で
溶液中に存在し、以下において、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の精製に利
用可能となる。
て、ウサギにおいて生成されたSRPP3との比較で、30分間インキュベートされる。
ここで、特異的抗体は、人工フォリソームに結合する。フォリソームは遠心分離(400
0×g、4分間)され、1mLのPBS(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、
10mMのNa2HPO4、2 mMのKH2PO4、pH7.4)で三度洗浄された。
次いで、抗体は、450μLの0.1Mグリシン・HCl溶液(pH2.7)で5分間溶
離される。その後、抗体は、450μLの0.1Mtris−HCl溶液(pH8.5)
で中和される。以下のブロットにおいては、精製される抗体(血清不純物のない状態)の
高い特異性が確認される。フォリソームを用いて精製された抗体は、さまざまな用途(ウ
ェスタンブロット、ELISA免疫沈降、抗体療法その他)に利用可能となる。このよう
な精製の原理は、図7に示している。図8は、人工フォリソームの固定化のための、Ig
G抗体とBドメインとの相互作用の利用を示している。Bドメインと結合されたSEO−
F1サブユニットから成る人工フォリソームは、蛍光IgG抗体を形成する。
I. グルタチオンS−転移酵素(GST)のコードされた配列は、以下のオリゴヌクレ
オチドを有するpGex−3Xベクター(GEヘルスケア社、米国)に基づいて増幅され
た(制限部位には下線を引いた)。
GST fw NcoI XhoI fw: 5’-AGACCA TGG GAC TCG AGA ATG TCC CCT ATA CTA GGT TA-3’
GST SalI rev: 5’-AGA GTC GAC TTA ACG ACC TTC GAT CAG ATC-3’
たベクターpENTR4TMでクローニングされ、この結果、ベクターpENTR4−G
STが生成される。以下において、終止コドンを有するMtSEO−F1遺伝子の増幅産
物(1.I参照)が、結果として生成されるベクターのNcoI/XhoI部位でクロー
ニングされることで、ベクターpENTR4−GST−MtSEO−F1を得る。発現ベ
クター424GPD−GST−MtSEO−F1の生成のために、ベクターpENTR4
−GST−MtSEO−F1は、酵母ベクター424GPD−ccdB(アドジーン、米
国)によって組み換えられた。発現ベクターは、酵母に形質転換され、この酵母は、Mt
SEO−F1から成る人工フォリソームの生成のために、すでにプラスミド(425GP
D−MtSEO−F1)を含んでいる(a)III参照)。結果として得られた酵母(4
25GPD−MtSEO−F1/424GPD−GST−MtSEO−F1)は、ロイシ
ン栄養要求性及びトリプトファン栄養要求性との関連で相補され、GSTタグを有する人
工フォリソームを生成する。この酵母は、a)Vに記載の通り精製され、SDS−PAG
Eを用いて、それぞれのタンパク質(MtSEO−F1及びGST−MtSEO−F1)
の存在が検証可能となった。更に、結果として得られた人工のGST結合されたフォリソ
ームが、グルタチオン結合されたマトリックス(グルタチオンセファロース4B、アマシ
ャムバイオサイエンス社、米国)に接着することも証明された。
ゴヌクレオチドを有する424GPD−ccdB−TAPベクター(GEヘルスケア社、
米国)に基づいて増幅された(制限部位には下線を引いた)。
B-Domain NcoI fw: 5’- AGACCATGGCGGATAACAAATTCAACA-3’
B-Domain NcoI rev: 5’-AGACCATGGCTTTTGGTGCTTGAGCATC-3’
B-Domain XhoI fw: 5’- AGACTCGAGAGCGGATAACAAATTCAAC-3’
B-Domain XhoI rev: 5’- AGACTCGAGTCATTTTGGTGCTTGAGCATC-3’
TR4−MtSEO−F1及び終止コドンを有するベクターpENTR4−MtSEO−
F4のNcoI切断部位でクローニングされる(a)I.参照)ことで、ベクターpEN
TR4−B−domain−MtSEO−F1及びpENTR4−B−domain−M
tSEO−F4を得る。第2の増幅産物は、制限酵素XhoIで処理され、終止コドンな
しのベクターpENTR4−MtSEO−F1及び終止コドンなしのベクターpENTR
4−MtSEO−F4のXhoI切断部位でクローニングされる(a)I.参照)ことで
、ベクターpENTR4− MtSEO−F1−B−domain及びpENTR4−M
tSEO−F4−B−domainを得る。発現ベクター424GPD−B−domai
n−MtSEO−F1、424GPD−B−domain−MtSEO−F4、424G
PD−MtSEO−F1−B−domain、424GPD−MtSEO−F4−B−d
omainの生成のために、生成されたベクターは、酵母ベクター424GPD−ccd
B(アドジーン、米国)によって組み換えられた。
SEO−F4−B−domainは、酵母株InvSc1(インビトロジェン社、独国)
に形質変換された。選択のために、酵母株のトリプトファン栄養要求性の相補が利用され
た。Bドメイン及びMtSEO−F4から成る融合タンパク質が、他のMtSEO−Fタ
ンパク質のこれ以上の発現を伴わずに、フォリソーム構造を形成する。
SEO−F1−B−domainは、酵母に形質転換され、この酵母は、MtSEO−F
1から成る人工フォリソームの生成のために、すでにプラスミド(425GPD−MtS
EO−F1)を含んでいる(1.III参照)。結果として得られた酵母(たとえば、4
25GPD−MtSEO−F1/424GPD−B−domain−MtSEO−F1)
は、ロイシン栄養要求性及びトリプトファン栄養要求性との関連で相補され、Bドメイン
と融合する人工フォリソームを生成する。以上生成されたBドメインを含む人工フォリソ
ームは全て、IgGに結合されたセファロース(GEヘルスケア社、米国)に固定化され
る。
精製
2.3.1 MtSEO−F4のアミノ酸1〜96とMtSEO−F1のアミノ酸73
〜648との融合
N末端側のMtSEO−F4断片及びC末端側のMtSEO−F1断片は、以下のオリ
ゴヌクレオチド、すなわち
MtSEO-F4 MSLSN NcoI fw 5’-AGACCATGGGATCCCTTTCCAACTTAGGAAGTG -3’
MtSEO-F4 LISCQ NcoI rev 5‘-AGACCATGGCCTGACAAGAAATCAGCTT-3‘
MtSEO-F1 MITTR NcoI fw 5‘-AGACCATGGGAATGATAACCACCCCTC-3’
MtSEO-F1 QNGKI XhoI rev 5'-AGACTCGAGGTCATATCTTGCCATTCTGTGGAG-3'
によって増幅され、NcoI/XhoIによって制限されたpENTR4ベクターII
クローニングされた。その後、生成されたベクターpENTR4−MtSEO−F4(1
−288bp)/MtSEO−F1(219−1944bp)は、植物発現ベクターpB
atTL及び酵母発現ベクター425GPD−ccdBによって組み換えられた。生成さ
れたpBatTL−MtSEO−F4(1−288bp)/MtSEO−F1(219−
1944bp)は、アグロバクテリウムに形質転換され、このアグロバクテリウムで、ベ
ンサミアナタバコ植物体が浸透を受けた(ミュラー他、2010)。生成されたベクター
425GPD−MtSEO−F4(1−288bp)/MtSEO−F1(219−19
44bp)は、酵母株InvSc1に形質転換された。2つの系ではいずれも、人工フォ
リソームの形成が顕微鏡で観察可能であった。精製は、上の例1.Vに記載した通り実施
された。
20−670との融合
N末端側のMtSEO−F1断片及びC末端側のMtSEO−F2断片は、以下のオリ
ゴヌクレオチド、すなわち
MtSEO-F1 MSLNS NcoI fw 5'-AGACCATGGGATCATTGTCCAATGGAACTA-3'
MtSEO-F1 FKEYY XhoI rev 5‘-AGACTCGAGTGATAGTATTCTTTGAATGCAAT-3‘
MtSEO-F2 DTKLS XhoI fw 5‘-AGACTCGAGTGATACTAAGCTTTCAGAGAT-3‘
MtSEO-F2 DSCCI XhoI bw 5'-AAACTCGAGTCAAATGCAGCAACTATCTGGATCATC-3'
によって増幅され、NcoI/XhoIによって制限されたpENTR4ベクターII
クローニングされた。その後、生成されたベクターpENTR4−MtSEO−F4(1
−288bp)/MtSEO−F1(219−1944bp)は、植物発現ベクターpB
atTL及び酵母発現ベクター425GPD−ccdBによって組み換えられた。生成さ
れたpBatTL−MtSEO−F1(1−1749bp)/MtSEO−F2(186
0−2010bp)は、アグロバクテリウムに形質転換され、このアグロバクテリウムで
、ベンサミアナタバコ植物体が浸透を受けた(ミュラー他、2010)。生成されたベク
ター425GPD−MtSEO−F1(1−1749bp)/MtSEO−F2(186
0−2010bp)は、酵母株InvSc1に形質転換された。2つの系ではいずれも、
人工フォリソームの形成が顕微鏡で観察可能であった。精製は、上の例1.Vに記載した
通り実施された。
Claims (23)
- 少なくとも1つのSEO−Fタンパク質又は少なくとも50のアミノ酸を含む前記SEO−Fタンパク質の少なくとも1つのセグメントと、GFPタンパク質及びビーナスタンパク質を例外として、少なくとも1つの他のタンパク質又はペプチドとから成る融合タンパク質を含む人工フォリソーム体であって、
(a)前記他のタンパク質又はペプチドは、最大30kDaの質量を有するか、
(b)フォリソーム体が、更に、非融合の、多くの場合天然のSEO−Fタンパク質、又は、C末端側でアミノ酸最大約45個分が欠失した、及び/又はN末端側でアミノ酸最大13個分が欠失した、前記タンパク質の形態を含み、前記非融合SEO−Fタンパク質が、他のSEO−Fタンパク質の不在時に、ホモマーフォリソーム体を形成することが可能となる特性を有するタンパク質から選択されるか、又は
(c)前記他のタンパク質又はペプチドは、第2のSEO−Fタンパク質のセグメントであり、その条件として、2つのSEO−Fタンパク質のうちの1つが、非融合の形態では、ホモマーフォリソーム体を形成することが可能であり、前記融合タンパク質が、N末端側のタンパク質セグメントとC末端側のタンパク質セグメントとから成り、前記セグメントが、1つのSEO−Fタンパク質をなし、該SEO−Fタンパク質は、完全であるか又はC末端側でアミノ酸最大約50個分及び/又はアミノ酸最大13個分のN末端が欠失し、
その条件として、必要に応じて、4つのシステインのうちの任意の数で、前記天然のSEO−Fタンパク質において、C末端側の部分の、AS600とAS670との間に存在し、S−S架橋結合を形成できないアミノ酸と交換可能である、人工フォリソーム体。 - 全体又は一部が、GFPタンパク質又はビーナスタンパク質の人工の蛍光修飾体又は蛍光セグメントを含む融合タンパク質から構成されたフォリソーム体を例外とし、好ましくは、全体又は一部が、蛍光性を有する融合タンパク質から構成されたフォリソーム体を例外とする、請求項1記載の人工フォリソーム体。
- SEO−F1タンパク質、好ましくはMtSEO−F1タンパク質のセグメントを含む、請求項1記載の人工フォリソーム体、変更形態(c)。
- 前記他のタンパク質又はペプチドは、物質転換に使用されるタンパク質と、免疫反応を引き起こすことが可能である及び/又は薬学的効能を有するタンパク質と、バイオ技術の観点から利用価値のあるタンパク質又はペプチドと、のうちから選択される、請求項1記載の人工フォリソーム体。
- 前記他のタンパク質又はペプチドは、酵素と、抗体と、抗原と、基質に結合された生物材料又は生化学的に生成された材料との親和反応が原因で、前記基質に固定化されるその他のタンパク質又はペプチドと、のうちから選択される、請求項4記載の人工フォリソーム体。
- 前記融合タンパク質は、前記SEO−Fタンパク質又は該SEO−Fタンパク質のセグメントのN末端側の端部に融合される酵素を含むか、又は、前記融合タンパク質は、薬学的効能を有するか、又はバイオ技術の観点から利用価値があり、前記SEO−Fタンパク質又は該SEO−Fタンパク質のセグメントのC末端側の端部に融合されるタンパク質を含む、請求項4又は5記載の人工フォリソーム体。
- 少なくとも2つの融合タンパク質を含み、該融合タンパク質が、それぞれ酵素を含むことで、該酵素のうち第1の酵素を用いた基質の転換による生成物が、前記酵素のうち第2の酵素の基質として使用可能である、請求項4乃至6のいずれか一項記載の人工フォリソーム体。
- 前記SEO−Fタンパク質又は、該SEO−Fタンパク質の少なくとも50個のアミノ酸を有するセグメントが、SEQ ID No.1乃至8の配列のうちいずれか1つを有するタンパク質か、又は該タンパク質の少なくとも50個のアミノ酸を有するセグメントのうちから選択される、先行する請求項のいずれか一項記載の人工フォリソーム体。
- 非融合SEO−Fタンパク質又は、請求項1の変更形態(b)に規定の通り、C末端側でアミノ酸最大約45個分が欠失した、及び/又はN末端側でアミノ酸最大13個分が欠失した、前記タンパク質の形態が、SEQ ID No.1、4、5、6、7及び8の配列のうちいずれか1つを有するタンパク質のうちから選択される、先行する請求項のいずれか一項記載の人工フォリソーム体。
- 少なくとも1つのSEO−Fタンパク質又は、該SEO−Fタンパク質の少なくとも50個のアミノ酸を有するセグメントから成る融合タンパク質と、少なくとも1つの他のタンパク質又はペプチドであり、GFPタンパク質及びビーナスタンパク質、GFPタンパク質又はビーナスタンパク質の蛍光修飾体又は蛍光セグメントを除いたものとをコードした第1のベクターと、選択的に、
SEO−Fタンパク質、又は、C末端側でアミノ酸最大約45個分が欠失した、及び/又はN末端側でアミノ酸最大13個分が欠失した、前記タンパク質の形態をコードした第2のベクターとを含み、その条件として、必要に応じて、4つのシステインのうちの任意の数で、前記天然のSEO−Fタンパク質において、C末端側の部分の、AS600とAS670との間に存在し、S−S架橋結合を形成できないアミノ酸と交換可能である、
植物細胞又は酵母細胞。 - 前記他のタンパク質又はペプチドは、最大30kDaの質量を有する、請求項10記載の植物細胞又は酵母細胞。
- 前記他のタンパク質又はペプチドは、第2のSEO−Fタンパク質のセグメントであり、その条件として、2つのSEO−Fタンパク質のうちの1つが、非融合の形態では、ホモマーフォリソーム体を形成することが可能であり、前記融合タンパク質が、N末端側のタンパク質セグメントとC末端側のタンパク質セグメントとから成り、前記セグメントが、1つのSEO−Fタンパク質をなし、該SEO−Fタンパク質は、完全であるか又はC末端側でアミノ酸最大約50個分及び/又はアミノ酸最大13個分のN末端が欠失する、請求項10又は11記載の植物細胞又は酵母細胞。
- 前記他のタンパク質又はペプチドは、物質転換に使用されるタンパク質と、免疫反応を引き起こすことが可能である及び/又は薬学的効能を有するタンパク質と、バイオ技術の観点から利用価値のあるタンパク質又はペプチドと、のうちから選択される、請求項10乃至12のいずれか一項記載の植物細胞又は酵母細胞。
- 前記他のタンパク質又はペプチドは、酵素と、抗体と、抗原と、基質に結合された生物材料又は生化学的に生成された材料との親和反応が原因で、前記基質に固定化されるその他のタンパク質又はペプチドと、のうちから選択される、請求項13記載の植物細胞又は酵母細胞。
- 前記融合タンパク質は、前記SEO−Fタンパク質又は該SEO−Fタンパク質のセグメントのN末端側の端部に融合される酵素を含むか、又は、前記融合タンパク質は、薬学的効能を有するか、又はバイオ技術の観点から利用価値があり、前記SEO−Fタンパク質又は該SEO−Fタンパク質のセグメントのC末端側の端部に融合されるタンパク質を含む、請求項10乃至14のいずれか一項記載の植物細胞又は酵母細胞。
- (a)に記載のベクターは、第1の酵素のアミノ酸配列を有する融合タンパク質をコードし、前記細胞が、第2の酵素のアミノ酸配列を有する融合タンパク質をコードする少なくとも1つの他のベクターを含み、前記第1の酵素を用いた基質の転換による生成物は、前記第2の酵素の基質に適していることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか一項記載の植物細胞又は酵母細胞。
- 少なくとも1つのSEO−Fタンパク質又は、該SEO−Fタンパク質の少なくとも50個のアミノ酸を有するセグメントから成る融合タンパク質と、GFPタンパク質及びビーナスタンパク質を除く、他のタンパク質又はペプチドとをコードした部分を含む、酵母細胞で複製可能なベクター。
- 前記他のタンパク質又はペプチドは、物質転換に使用されるタンパク質と、免疫反応を引き起こすことが可能である及び/又は薬学的効能を有するタンパク質と、バイオ技術の観点から利用価値のあるタンパク質又はペプチドと、のうちから選択される、請求項17記載のベクター。
- 前記他のタンパク質又はペプチドは、酵素と、抗体と、抗原と、基質に結合された生物材料又は生化学的に生成された材料との親和反応が原因で、前記基質に固定化されるその他のタンパク質又はペプチドと、のうちから選択される、請求項18記載のベクター。
- 前記融合タンパク質は、前記SEO−Fタンパク質又は該SEO−Fタンパク質のセグメントのN末端側の端部に融合される酵素を含むか、又は、前記融合タンパク質は、薬学的効能を有するか、又はバイオ技術の観点から利用価値があり、前記SEO−Fタンパク質又は該SEO−Fタンパク質のセグメントのC末端側の端部に融合されるタンパク質を含む、請求項17乃至19のいずれか一項記載のベクター。
- 人工フォリソーム体の生成のための、少なくとも1つのSEO−Fタンパク質又は、該SEO−Fタンパク質の少なくとも50個のアミノ酸を有するセグメントから成る融合タンパク質と、GFPタンパク質及びビーナスタンパク質を除く、他のタンパク質又はペプチドとから成る融合タンパク質の使用。
- 前記融合タンパク質は、GFPタンパク質又はビーナスタンパク質の人工の蛍光修飾体又は蛍光セグメントと、更に、好ましくは、蛍光性を有するタンパク質部を含んでいない、請求項21記載の使用。
- 少なくとも1つのSEO−Fタンパク質又は少なくとも50のアミノ酸を含む前記SEO−Fタンパク質の少なくとも1つのセグメントと、GFPタンパク質及びビーナスタンパク質を例外として、少なくとも1つの他のタンパク質又はペプチドとから成る融合タンパク質を含む人工フォリソーム体の使用であって、
(a)前記他のタンパク質又はペプチドは、最大30kDaの質量を有するか、
(b)フォリソーム体が、更に、非融合の、多くの場合天然のSEO−Fタンパク質、又は、C末端側でアミノ酸最大約45個分が欠失した、及び/又はN末端側でアミノ酸最大13個分が欠失した、前記タンパク質の形態を含み、前記非融合SEO−Fタンパク質が、他のSEO−Fタンパク質の不在時に、ホモマーフォリソーム体を形成することが可能となる特性を有するタンパク質から選択されるか、又は
(c)前記他のタンパク質又はペプチドは、第2のSEO−Fタンパク質のセグメントであり、その条件として、2つのSEO−Fタンパク質のうちの1つが、非融合の形態では、ホモマーフォリソーム体を形成することが可能であり、前記融合タンパク質が、N末端側のタンパク質セグメントとC末端側のタンパク質セグメントとから成り、前記セグメントが、1つのSEO−Fタンパク質をなし、該SEO−Fタンパク質は、完全であるか又はC末端側でアミノ酸最大約50個分及び/又はアミノ酸最大13個分のN末端が欠失し、
その条件として、必要に応じて、4つのシステインのうちの任意の数で、前記天然のSEO−Fタンパク質において、C末端側の部分の、AS600とAS670との間に存在し、S−S架橋結合を形成できないアミノ酸と交換可能であり、
タンパク質化学の目的のため、特に、固定化された酵素、抗体、抗原、又は、基質に結合された生物材料又は生化学的に生成された材料との親和反応が原因で、前記基質に固定化されるその他のタンパク質又はペプチドの提供のため、又は機械的タンパク質体としての使用。
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