JP2000157282A - 酵素配列複合体及び固定化酵素配列複合体とそれらの製造方法、担体分子及び酵素 - Google Patents

酵素配列複合体及び固定化酵素配列複合体とそれらの製造方法、担体分子及び酵素

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JP2000157282A JP10338671A JP33867198A JP2000157282A JP 2000157282 A JP2000157282 A JP 2000157282A JP 10338671 A JP10338671 A JP 10338671A JP 33867198 A JP33867198 A JP 33867198A JP 2000157282 A JP2000157282 A JP 2000157282A
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勉 梶野
Haruo Takahashi
治雄 高橋
Kunio Omiya
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高活性の酵素複合体を提供する。 【構成】 セルロース結合蛋白質に由来する蛋白質担体
上に、コヘシン−ドッケリン間の特異的結合性を利用し
て、逐次反応に関与する酵素群をワンセットで結合させ
た酵素配列複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、任意の特定逐次反
応に関与する酵素群からなる複合酵素であってこれらの
酵素群をミクロな蛋白質担体分子上に線状に配列させた
酵素配列複合体及びその製造方法と、該酵素配列複合体
を固定化担体上に固定した固定化酵素配列複合体及びセ
ルロース結合ドメインを利用したその製造方法と、これ
らの製造に利用可能なように構成された蛋白質担体分子
及び酵素に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素による触媒反応は、常温,常圧と言
う緩やかな条件で進行し、公害等の心配が少なく、しか
も基質特異性が優れていて反応効率が良い、等の理由か
ら、食品工業,医薬品工業,各種の検査もしくは診断技
術等に多用されている処であるが、基本的に「一酵素一
反応」と言う大きな制約を持っていた。
【0003】そこで近年、例えば特開昭57−1205
25号公報に開示された「固定化複合酵素製剤」の発明
や、特開昭59−48080号公報に開示された「固定
化複合酵素」の発明のように、一連の逐次反応に関与す
る酵素群を、その酵素活性を損なわない何らかの手段に
よって一体化することにより、逐次反応を連続的に遂行
させ得るようにした複合酵素が注目されている。
【0004】前記した逐次反応は、食品加工プロセス,
医薬品の製造プロセス,ヒトを含む各種生物体内での正
常もしくは異常な生化学反応等に限らず、自然界のあら
ゆる有機物質変化の場において広汎に見られるものであ
るため、もし実際的に有効な複合酵素が提供された場
合、その技術的意義は極めて大きく、かつ、その用途に
は殆ど限界がない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
例示したような従来の複合酵素には、2,3の大きな不
具合があった。
【0006】例えば前記特開昭57−120525号公
報に係る発明では、生体内逐次反応の一種であるオルニ
チンサイクルに関与する酵素群を、フィブリン重合物中
に混合状態で埋没又は結合させている。このような複合
酵素系の一体化形態は、要するに各酵素をランダムに混
合させているに過ぎないため、分子レベルでは各酵素が
非常に不均一な(過不足の多い)分散状態となることが
避けられない。しかも、各酵素間の空間距離も、混合さ
れる酵素の濃度によって調節するしかないために、極め
て大雑把で、しかも平均的な調節しかできない。これら
の点から、拡散抵抗が大きく、反応効率の低い反応系と
なる。
【0007】次に、前記特開昭59−48080号公報
に係る発明では、逐次反応に関与する各酵素群を、金属
に被覆した樹脂等の担体表面において順次膜状に積層固
定している。この場合、各酵素はそれぞれ特定の順序で
膜状に偏在して固定されているため、全体として基質と
の接触効率が非常に悪い。又、この積層体を所定の方向
に(即ち、各積層膜を所定の順序で)通過する基質以外
は逐次反応が円滑に進行しない。これらの点から、やは
り拡散抵抗が大きく、反応効率の低い反応系となる。
【0008】なお、上記いずれの従来技術においても、
酵素の複合化手段がそのまま酵素の固定化手段となって
おり、従って若し可溶性の複合酵素が望まれる場合、こ
れに応えることはできない。
【0009】そこで本発明は、これらの不具合のない複
合酵素を提供することを、解決すべき課題とする。
【0010】
【着眼点】本願発明者は、逐次反応に関与する一連の酵
素を、蛋白質分子と言うミクロな担体上において正確に
1個ずつ配列させた酵素配列複合体であって、容易に可
溶性状態又は不溶性の担体固定化状態とできるものを提
供することにより、上記課題を解決した。
【0011】
【課題を解決するための手段】(第1発明の構成)上記
課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の
発明)の構成は、セルロース分解酵素の対担体分子結合
ドメイン(D)に対して結合力を示す対酵素結合ドメイ
ン(C)の複数の繰返しを有するセルロース結合蛋白質
に構造的に由来する蛋白質担体分子であって、前記セル
ロース結合蛋白質が本来有するセルロース結合ドメイン
(CBD)をそのまま含み、あるいはこのセルロース結
合ドメインを除外したもとで、前記複数の対酵素結合ド
メイン(C)のそれぞれを、互いに結合特異性の異なる
複数種類の対酵素結合ドメイン(C1,C2,・・・)に置
換えた構造を有する、担体分子である。
【0012】なお、以下のイ)〜ニ)の事項は、例えば
「分子生物学的アプローチが明らかにしたセルラーゼの
姿(大宮邦雄ら、三重大学生物資源紀要第19号、71
〜96頁.平成9年12月1日)」等の文献によって公
知である。
【0013】イ)C. cellulovorans由来のCbpAと呼
ばれるセルロース結合蛋白質や、C.josui由来のCip
Aと呼ばれるセルロース結合蛋白質が存在し、これらの
セルロース結合蛋白質は、複数のコヘシン( Cohesin)
と呼ばれる酵素との結合用のドメイン(アミノ酸配列)
と、CBDと呼ばれるセルロースとの結合用のドメイン
(アミノ酸配列)とを有する。そしてセルロース結合蛋
白質はCBDによって基質としてのセルロースに結合す
る。
【0014】ロ)同上微生物由来のセルラーゼ即ちセル
ロース分解酵素には、ドッケリン又はドックリン(Dock
erin)と呼ばれる、セルロース結合蛋白質との結合用の
1個のドメイン(アミノ酸配列)が備わっており、この
ドッケリンと前記コヘシンとの結合によってセルロース
分解酵素がセルロース結合蛋白質と結合する。
【0015】ハ)C. thermocellum においては、セルロ
ース結合蛋白質が、複数のコヘシンと共にドッケリンを
も備えており、このドッケリンはやはりコヘシンに対す
る結合性を持つと考えられる。
【0016】ニ)コヘシン/ドッケリンにはそれぞれ複
数種類のものがあり、互いに相手のドメイン(ドッケリ
ン/コヘシン)に対する結合特異性が異なる。
【0017】(第2発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、
任意の逐次反応に関与する酵素であって、その酵素のア
ミノ酸配列中の適宜な位置に、第1発明に係る対担体分
子結合ドメイン(D)のうち、第1発明に記載の複数種
類の対酵素結合ドメイン(C1,C2,・・・)に対してそ
れぞれ特異的に結合する複数種類の対担体分子結合ドメ
イン(D1,D2,・・・)のいずれかを付加した、酵素で
ある。
【0018】(第3発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、
第1発明に係る担体分子に対して、任意の特定逐次反応
に順次関与する複数の酵素が任意の順序で配列されて結
合している、酵素配列複合体である。
【0019】(第4発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、
前記第3発明に係る複数の酵素の配列順序が前記逐次反
応に関与する順序に従う、酵素配列複合体である。
【0020】(第5発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、
任意の特定逐次反応に順次関与する複数の酵素であって
第2発明に係る複数種類の対担体分子結合ドメイン(D
1,D2,・・・)の内の互いに異なる1のドメインをそ
れぞれ付加されたものと、第1発明に係る担体分子であ
って前記複数種類の対酵素結合ドメイン(C1,C2,・・
・)を任意の配列順序又は前記逐次反応に関与する順序
に従う配列順序で備えたものとを用いて、前記対担体分
子結合ドメイン(D1,D2,・・・)と前記対酵素結合ド
メイン(C1,C2,・・・)との間の特異的結合を利用す
ることにより、第3発明又は第4発明のいずれかに係る
酵素配列複合体を構成する、酵素配列複合体の製造方法
である。
【0021】(第6発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、
第3発明又は第4発明のいずれかに係る酵素配列複合体
が固定化担体の表面に固定されている、固定化酵素配列
複合体である。
【0022】(第7発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成は、
第3発明又は第4発明のいずれかに係る酵素配列複合体
における担体分子が第1発明に記載のセルロース結合ド
メインをそのまま含む場合において、第5発明に係る酵
素配列複合体を構成する工程と、該酵素配列複合体の担
体分子をセルロース結合ドメインの機能を利用してセル
ロース質の固定化担体の表面に固定する工程とを、同時
に又は任意の順序で行う、固定化酵素配列複合体の製造
方法である。
【0023】
【発明の作用・効果】(第1発明の作用・効果)第1発
明に係る担体分子は、公知のセルロース結合蛋白質に構
造的に由来すると共に、その複数の対酵素結合ドメイン
(C)のそれぞれを、互いに結合特異性の異なる複数種
類の対酵素結合ドメイン(C1,C2,・・・)に置換えて
いるので、これらの個々の対酵素結合ドメイン(C1,C
2,・・・)に結合する酵素の種類を選択的に決定可能
な複合酵素用担体分子として利用できる。
【0024】(第2発明の作用・効果)第2発明に係る
酵素は、その酵素のアミノ酸配列中の適宜な位置に、上
記の対酵素結合ドメイン(C1,C2,・・・)に対してそ
れぞれ特異的に結合する複数種類の対担体分子結合ドメ
イン(D1,D2,・・・)のいずれかを付加したので、任
意の逐次反応に関与する酵素を、上記蛋白質担体分子に
おける所定の対酵素結合ドメイン(C1,C2,・・・)に
対して選択的に結合させることができる。
【0025】(第3発明〜第5発明の作用・効果)第5
発明において、複数種類の対酵素結合ドメイン(C1,C
2,・・・)を備えた上記担体分子に対して、任意の特
定逐次反応に順次関与する複数の酵素(1セットの酵素
群)であってそれぞれ付加された対担体分子結合ドメイ
ン(D1,D2,・・・)によって担体分子に対する結合位
置を特異的に決定されたものを結合させるので、蛋白質
分子と言うミクロな担体上において逐次反応に関与する
一連の酵素を正確に1個ずつ配列させた酵素配列複合体
を構成することができる。
【0026】かかる酵素配列複合体は、逐次反応の遂行
に必要な一連の酵素が分子レベルにおいて全く過不足な
く配列しているので、ミクロに見て基質との接触効率が
最高であり、マクロに見て各酵素の完全に均一な分散系
を提供できる。更に蛋白質分子と言うミクロな担体上に
おいて各酵素の空間距離を極めて小さく設定することが
でき、かつその空間距離を厳密に制御することができ
る。これらの理由から、拡散抵抗が極小である反応効率
の高い逐次反応系を提供できる。
【0027】又、この酵素配列複合体は蛋白質としての
変性を受けない環境において可溶性であり、酵素の複合
化手段がそのまま酵素の固定化手段とはなっていない。
従って可溶性の複合酵素としても提供できるし、第6発
明又は第7発明のように固定化担体の表面に固定された
不溶性の複合酵素としても提供できる。
【0028】なお、各酵素に付加する対担体分子結合ド
メイン(D1,D2,・・・)の選択により、第3発明のよ
うに特定逐次反応に順次関与する複数の酵素が任意の順
序で配列された酵素配列複合体とすることもできるし、
第4発明のように各酵素が逐次反応に関与する順序に従
って配列された酵素配列複合体とすることもできるが、
一般的に拡散抵抗は後者の方が更に小さいと考えられ
る。
【0029】(第6発明の作用・効果)第6発明のよう
に適当な手段によって酵素配列複合体を固定化担体の表
面に固定することにより、酵素の固定化の一般的なメリ
ット、即ち、酵素の回収・再利用や、酵素の安定性の増
大等の効果を期待できる。
【0030】(第7発明の作用・効果)第7発明におい
ては、酵素配列複合体の担体分子に含まれるセルロース
結合ドメインをそのまま利用してセルロース質の固定化
担体に固定するので、複合酵素の固定化操作が簡易化さ
れる他、セロビオース等の脱離剤と組合わせることによ
り酵素複合体の精製を容易に行うことができる等の効果
も期待できる。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、第1発明〜第6発明の実施
の形態について説明する。以下において単に「本発明」
と言う時は、第1発明〜第7発明を一括して指してい
る。
【0032】〔担体分子〕本発明に係る担体分子は、例
えば前記公知文献に記載されたような各種のセルロース
結合蛋白質に構造的に由来する蛋白質分子であって、少
なくとも対酵素結合ドメインであるアミノ酸配列部分の
複数の繰返しを有すると共に、これらの対酵素結合ドメ
インが、互いに対担体分子結合ドメインに対する結合特
異性の異なる複数種類の対酵素結合ドメインからなって
いる。
【0033】一般的に、同一微生物等に由来する対酵素
結合ドメインと対担体分子結合ドメインとは特異的に結
合し、微生物等の由来の異なる対酵素結合ドメイン同
士、対担体分子結合ドメイン同士は、異なる結合特異性
を示す傾向がある。
【0034】これらの対酵素結合ドメインは、代表的に
はコヘシンと総称されるドメインの各一種であるが、コ
ヘシンと称されないアミノ酸配列であって機能的にコヘ
シンと同等のものであっても良い。又、これらの対酵素
結合ドメインはドッケリン又はドックリンと総称される
ドメインの各一種であっても良い。
【0035】コヘシン又はこれに機能的に同等なドメイ
ンのアミノ酸配列を例示すれば、後述の配列表1〜配列
表4に挙げるものの他、0. Shoseyov ら、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 89, 3483-3487(1992) 、U.T. Gerngro
ssら、Molecular Microbiology, 8, 325-334(1993)、E.
Leibovitzら、J. Bacteriol., 178, 3077-3084(1996)
、M. Kakiuchi ら、J. Bacteriol., 180, 4303-4308(1
998) 、P. Beguin ら、Crit. Rev. Biochem. Mol. Bio
l., 31, 201-236(1996) 等で公知のコヘッシン配列を利
用することができる。
【0036】次に、ドッケリン又はこれに機能的に同等
なドメインのアミノ酸配列を例示すれば、後述の配列表
5〜配列表9に挙げるものの他、K.Ohmiyaら、Biotechn
ol.Genet. Engineer. Rev., 14, 365-413(1997)、P. Be
guin ら、Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol., 31, 201-2
36(1996) 等で公知のドッケリン配列を利用することが
できる。
【0037】担体分子は、天然の各種のセルロース結合
蛋白質に構造的に由来すれば足りるのであって、取得源
がこれらのセルロース結合蛋白質である必要はなく、任
意の合成手段、例えば遺伝子工学的手段により作製すれ
ば足りる。又その際、天然のセルロース結合蛋白質が本
来備えているセルロース結合ドメイン(CBD)を含ま
せても良く、これを除外しても良い。
【0038】〔酵素〕本発明に係る酵素は、任意の特定
逐次反応に関与する酵素である。逐次反応とは、複数の
素反応が連鎖的に進行する反応を言うが、その種類もし
くは内容には全く限定がない。
【0039】又、本発明に係る酵素は、その本来のアミ
ノ酸配列中の適宜な位置に、対酵素結合ドメインに対す
る特異的な結合性の異なる複数種類の対担体分子結合ド
メインの内のいずれかが付加されたアミノ酸配列を有す
る。ここに「適宜な位置」とは、ドメインの付加によっ
て酵素活性を阻害しない任意の位置を言い、その限りに
おいて酵素の元々のアミノ酸配列のアミノ基末端(N末
端)やカルボキシル基末端(C末端)に付加しても良
く、酵素の元々のアミノ酸配列の任意部分に割り込む状
態で付加しても構わない。
【0040】酵素に対担体分子結合ドメインを付加する
に当たり、必ずしも天然の酵素に付加する必要はなく、
任意の合成手段、例えば遺伝子工学的手段により対担体
分子結合ドメインの付加された酵素を一体的に作製して
も良い。
【0041】上記の対担体分子結合ドメインは、担体分
子の対酵素結合ドメインがコヘシンや機能的にコヘシン
と同等のものである場合には、ドッケリン又は機能的に
ドッケリンと同等のものの一種であるが、担体分子の対
酵素結合ドメインドッケリン又は機能的にドッケリンと
同等のものである場合には、コヘシンや機能的にコヘシ
ンと同等のものの一種である。
【0042】〔酵素配列複合体及びその製造方法〕酵素
配列複合体は、上記の担体分子に対して、任意の特定逐
次反応に順次関与する一揃いの酵素群が配列して結合さ
れた複合酵素である。逐次反応に順次関与する一揃いの
酵素群が完全に一個ずつ結合されていることが最も好ま
しいが、各酵素が少なくとも一個ずつ結合されている限
りにおいて、任意の酵素が例えば2,3個重複して結合
していても良い。
【0043】特定の逐次反応に順次関与する一揃いの酵
素群としては、必ずしも当該逐次反応として通常認識さ
れる全てのプロセスに関与する酵素が揃っている必要は
ない。なぜなら、例えば、アンモニアから尿素に至るオ
ルニチンサイクルに関連して、一例としてアンモニアか
らアルギニンに至るまでの、あるいはシトルリンから尿
素に至るまでの生化学変化に関与する酵素群が揃えば、
特定の検査や診断等の目的を達する場合があるからであ
る。
【0044】酵素配列複合体の製造方法は限定されない
が、好ましくは第5発明の方法によって製造され、この
場合には担体分子と上記酵素群との結合手段として両者
に備わる対酵素結合ドメイン−対担体分子結合ドメイン
間の結合が利用される。
【0045】そして担体分子における複数種類の対酵素
結合ドメインの配列順序とこれらに結合する複数の酵素
の対担体分子結合ドメインとを選択することにより、複
数の酵素が任意の順序で配列されて結合した酵素配列複
合体としたり、複数の酵素が逐次反応に関与する順序に
従う配列で結合した酵素配列複合体とすることができる
が、後者がより好ましい。
【0046】なお、担体分子における複数の酵素の配列
は担体分子の高分子鎖に従う線状の配列となるが、担体
分子の立体構造次第で必ずしも空間的に直線状の配列に
なるとは限らない。
【0047】〔固定化酵素配列複合体及びその製造方
法〕第6発明における固定化担体の種類や、これに対し
て酵素配列複合体を固定化する方法には限定がなく、公
知の任意の実施形態、例えば有機ポリマー樹脂,多孔質
ガラス,セラミックス等を固定化担体とし、これらの表
面に物理吸着,架橋試薬等を利用した共有結合,表面電
荷を利用したイオン結合等の方法によって固定化する方
法等を任意に採用することができる。
【0048】第7発明においては、酵素配列複合体にお
ける担体分子にセルロース結合ドメインをそのまま含ま
せておき、このドメインの機能を利用してセファセル,
セファロース等のセルロース質の固定化担体の表面に酵
素配列複合体を固定的に形成することができる。
【0049】その際、上記の酵素配列複合体を構成する
工程と、担体分子をセルロース質の固定化担体の表面に
固定する工程とは、同時に又は任意の順序で行うことが
できる。即ち、固定化担体の表面に担体分子を固定した
後に、これに所定の酵素群を結合させても良く、所定の
酵素群を結合させた後の担体分子を固定化担体の表面に
固定しても良く、更に双方のプロセスを同時進行させて
も良い。
【0050】
【実施例】(実施例1:担体分子の合成) C. josui由来のセルロース結合蛋白質であるCipAの
構造を参考にして、酵素配列複合体の蛋白質担体分子を
組換え遺伝子技術により合成した。この担体分子は、図
1(a)に示すように、C. josui由来のCipAの内、
セルロース結合ドメイン1と一つのコヘシン2が含まれ
ているN末端から428番目までのアミノ酸の下流に、
C. thermocellum 由来のコヘシン3と、C. cellulovora
ns由来のコヘシン4とを各一つずつ順次連結した構造を
有している。
【0051】担体分子の合成に当たり、C. josui由来の
CipAの蛋白質をコードする遺伝子をテンプレートと
して、プライマーA( 5'-CCCATGGCTTTCGCAGCTGATACTGG
CGTCATATCAGTT-3')及びプライマーB(5'-CGAGGCTTTAT
CAGGATCTGGACTTATAACTACACT-3')によりCipAのうち
セルロース結合ドメインと一つのコヘシンをコードする
遺伝子を合成した。
【0052】次に、同様にして、C. thermocellum 由来
のセルロース結合蛋白質であるCipA及びC. cellulo
vorans由来のセルロース結合蛋白質であるCbpAをコ
ードする遺伝子をテンプレートとして、前者については
プライマーC(5'-AGTCCAGATCCTGATAAAGCCTCGAGCATTGAG
CTT-3')及びプライマーD(5'-AAAGCCTACTTGATCCGGCTG
TATTACCTCATATCC-3')により、後者についてはプライマ
ーE(5'-ATACAGCCGGATAAAACTGTAACAGCTACAGTTGGA-3')
及びプライマーF( 5'-GGAAGCTTTTAAACAGGTTGACTTGGTT
CTATTGT-3')により、それぞれのコヘシンをコードする
遺伝子を合成した。上記において使用したプライマーの
末端には、前あるいは後ろに連結される遺伝子の末端部
の配列を付加した。
【0053】上記3種の合成遺伝子をテンプレートと
し、前記プライマーA,Fを用いて、リコンビナントP
CRの手法により担体分子の全長をコードする遺伝子を
合成した。
【0054】この合成遺伝子を制限酵素NcoI,Hi
ndIII で切断した後、大腸菌の蛋白質発現ベクターp
Trc99A(ファルマシア製)のNcoI,Hind
IIIサイト間に挿入した。
【0055】この発現ベクターをE. coli JM105株
に導入し、得られた形質転換体のうち、目的とする2.
4kbp程度のDNA断片を有するクローンをLB培地
中で37°Cにて振とう培養した。培養液のOD660
0.6までに達したところで、終濃度1mMとなるよう
にIPTGを添加し、更に培養を続けた。培養液から遠
心分離により菌体を回収した後、超音波により菌体を破
砕して、菌体抽出液を得た。菌体抽出液中には、約80
kDaの特異的な蛋白質が検出された。菌体抽出液をセ
ルロースカラムに通してこの蛋白質を吸着させ、溶出液
〔50mMリン酸緩衝液(pH7.5)、1%セロビオ
ース〕により溶出させて単一品に精製した。得られた蛋
白質のN末端,C末端のアミノ酸配列は設計配列と一致
した。
【0056】なお、実施例1aとして、実施例1と同様
の手法により、図1(b)に示すように、上記セルロー
ス結合ドメイン1と一つのコヘシン2が含まれているア
ミノ酸配列の下流に、上記コヘシン4とコヘシン3とを
実施例1とは逆の順序に連結した構造の担体分子を合成
した。
【0057】(実施例2:酵素へのドッケリンの連結) 本実施例においては、特定の逐次反応に関与する酵素群
に対して担体上における所定の配列を与えるために、そ
れぞれの酵素のC末端にコヘシンに対する結合特異性の
異なるドッケリンを連結したキメラ酵素を作製した。
【0058】まず、B. amyloliquefaciens由来のα−ア
ミラーゼ遺伝子の末端(アミノ酸配列におけるC末端に
相当する末端)にインフレムでC. josui由来のドッケリ
ンをコードする遺伝子をリコンビナントPCRの手法に
より連結し、図2(a)に示すようなα−アミラーゼ5
とC. josui由来のドッケリン6を連結したキメラ酵素7
をコードする遺伝子を合成した。
【0059】同様の手法で、図2(b)に示すようなSa
ccaromyces murinus由来のグルコースイソメラーゼ8の
C末端にC. cellulovorans由来のドッケリン9を連結し
たキメラ酵素10をコードする遺伝子と、図2(c)に
示すようなCandida albians由来のマルターゼ11のC
末端にC. thermocellum 由来のドッケリン12を連結し
たキメラ酵素13をコードする遺伝子とを合成した。
【0060】これらの合成遺伝子を大腸菌の蛋白質発現
ベクターpTrc99Aに挿入し、キメラ酵素の発現ベ
クターを構築した。そしてこれらの発現ベクターを大腸
菌JM105株にエレクトロポレーション法により導入
し、得られた形質転換体をLB培地中で37°Cにて振
とう培養した。実施例1で示した担体分子の発現を同様
の方法でキメラ酵素を大腸菌により発現させた。
【0061】ドッケリンに対する抗体を用いたウエスタ
ンブロット解析により、各菌体抽出液中に、図2(a)
〜図2(c)に示す、目的とするキメラ酵素が発現され
ていることを確認した。
【0062】(実施例3:酵素配列複合体の作製) 実施例1で得られた担体分子と、実施例2で得られた3
種類のキメラ酵素とを、上記の各種コヘシンとドッケリ
ンとの特異的結合を利用して自己会合させることによ
り、酵素配列複合体を作製した。
【0063】即ち、担体分子をセルロースカラム上に固
定し、実施例2に係るキメラ酵素を含有する各培養上清
液をこのカラムに順次添加して、各キメラ酵素を担体分
子に結合させた。そしてこのカラムにカラム体積の20
倍量のリン酸緩衝液(50mM,pH7.5)を添加し
て洗浄した後、溶出液〔50mMリン酸緩衝液(pH
7.5)、1%セロビオース〕により酵素配列複合体を
溶出させた。
【0064】なお、実施例3aとして、前記実施例1a
に係る担体分子と、実施例2で得られた3種類のキメラ
酵素とを、同上の手法によってで結合させた酵素配列複
合体を作製した。
【0065】(実施例4:酵素配列複合体による反応) 実施例3に係る酵素配列複合体、実施例3aに係る酵素
配列複合体、及び比較例としてこれらの酵素配列複合体
に含まれる酵素群と同一由来で同活性量のα−アミラー
ゼ,グルコースイソメラーゼ及びマルターゼの酵素混合
物を、それぞれリン酸緩衝液(50mM,pH7.5)
にけん濁あるいは溶解した後、等量の基質液(10g/
Lデンプン、0.5M硫酸マグネシウム、1mM塩化コ
バルト)と混合して、45°Cで攪拌した。そして1時
間後に各例の反応液中のデンプン,グルコース,フルク
トース濃度を測定した。
【0066】その結果、デンプンの消化速度は各例にお
いてほぼ同様であったが、単糖(グルコース+フルクト
ース)の生成速度においては、比較例に対して実施例3
及び実施例3aが約5倍高かった。
【0067】実施例3と実施例3aとを比較した時、実
施例3aでは中間産物であるグルコースの若干の蓄積が
認められるものの、フルクトース変換率(フルクトース
/グルコース+フルクトース)は71.6%とかなり高
く、更に実施例3では中間産物が殆ど蓄積しておらず、
96.6%の極めて高い変換率を達成した。
【0068】
【配列表】SEQUENCE LISTING <110> KABUSIKI KAISHA TOYOTA CHUO KENKYUSHO <120> Multienzyme Complex, Immobilized Body of the Same, Method of Producing the Same, and Carrier and Enzyme used for the Same <130> POK-98-060 <160> 2 <210> 1 <211> 138 <212> PRT <213> Clostridium thermocellum <400> 1 Val Val Val Glu Ile Gly Arg Val Thr Gly Ser Val Gly Thr Thr Val 10 Glu Ile Pro Val Tyr Phe Arg Gly Val Pro Ser Lys Gly Ile Ala Asn 20 30 Cys Asp Phe Val Phe Arg Tyr Asp Pro Asn Val Leu Glu Ile Ile Gly 40 Ile Asp Pro Gly Asp Ile Ile Val Asp Pro Asn Pro Thr Lys Ser Phe 50 60 Asp Thr Ala Ile Tyr Pro Asp Arg Lys Ile Ile Val Phe Leu Phe Ala 70 80 Glu Asp Ser Gly Thr Gly Ala Tyr Ala Ile Thr Lys Asp Gly Val Phe 90 Ala Lys Ile Arg Ala Thr Val Lys Ser Ser Ala Pro Gly Tyr Ile Thr 100 110 Phe Asp Glu Val Gly Gly Phe Ala Asp Asn Asp Leu Val Glu Gln Lys 120 Val Ser Phe Ile Asp Gly Gly Val Asn Val 130 138 <210> 2 <211> 164 <212> PRT <213> Clostridium thermocellum <400> 2 Asp Lys Ala Ser Ser Ile Glu Leu Lys Phe Asp Arg Arg Asn Lys Gly 10 Glu Val Gly Asp Ile Leu Ile Gly Thr Val Arg Ile Asn Asn Ile Lys 20 30 Asn Phe Ala Gly Phe Gln Val Asn Ile Val Tyr Asp Pro Lys Val Leu 40 Met Ala Val Asp Pro Glu Thr Gly Lys Glu Phe Thr Ser Ser Thr Phe 50 60 Pro Pro Gly Arg Thr Val Leu Lys Asn Asn Ala Tyr Gly Pro Ile Gln 70 80 Ile Ala Asp Asn Asp Pro Glu Lys Gly Ile Leu Asn Phe Ala Leu Ala 90 Tyr Ser Tyr Ile Ala Gly Tyr Lys Glu Thr Gly Val Ala Glu Glu Ser 100 110 Gly Ile Ile Ala Lys Ile Gly Phe Lys Ile Leu Gln Lys Lys Ser Thr 120 Ala Val Lys Phe Gln Asp Thr Leu Ser Met Pro Gly Ala Ile Ser Gly 130 140 Thr Gln Leu Phe Asp Trp Asp Gly Glu Val Ile Thr Gly Tyr Glu Val 150 160 Ile Gln Pro Asp 164 <210> 3 <211> 145 <212> PRT <213> Clostridium josui <400> 3 Thr Asn Gly Leu Lys Val Ser Val Gly Thr Ala Val Gly Ala Pro Gly 10 Asp Thr Val Thr Val Pro Val Thr Phe Ala Asp Val Ala Lys Val Asn 20 30 Asn Val Gly Thr Cys Asn Phe Tyr Leu Gly Tyr Asp Ala Ser Leu Leu 40 Asp Val Val Ser Val Asp Ala Gly Pro Ile Val Lys Asn Ala Ala Val 50 60 Asn Phe Ser Ser Ser Ala Ser Asn Gly Thr Ile Ser Phe Leu Phe Leu 70 80 Asp Asn Thr Ile Thr Asp Glu Leu Ile Thr Ser Asp Gly Val Phe Ala 90 Asn Ile Thr Phe Lys Ile Lys Ser Thr Ala Thr Gln Gly Thr Thr Pro 100 110 Ile Thr Phe Lys Asp Gly Gly Ala Phe Gly Asp Gly Thr Met Ser Lys 120 Ile Ala Ser Val Ile Lys Thr Ser Gly Ser Val Val Ile Ser Pro Asp 130 140 Pro 145 <210> 4 <211> 142 <212> PRT <213> Clostridium cellulovorans <400> 4 Lys Thr Val Thr Ala Thr Val Gly Thr Ala Thr Asn Lys Ser Gly Glu 10 Thr Val Ala Val Pro Val Thr Leu Ser Asn Val Pro Gly Ile Ala Thr 20 30 Ala Glu Leu Gln Val Gly Phe Asp Ala Thr Leu Leu Glu Val Ala Ser 40 Ile Thr Val Gly Asp Ile Val Leu Asn Pro Ser Val Asn Phe Ser Ser 50 60 Val Val Asn Gly Ser Thr Ile Lys Leu Leu Phe Leu Asp Asp Thr Leu 70 80 Gly Ser Gln Leu Ile Ser Lys Asp Gly Val Leu Ala Thr Ile Asn Phe 90 Lys Ala Lys Thr Val Thr Ser Lys Val Thr Thr Pro Val Ala Val Ser 100 110 Gly Thr Pro Val Phe Ala Asp Gly Thr Leu Ala Glu Leu Asn Met Lys 120 Thr Val Ala Gly Ser Val Thr Ile Glu Pro Ser Gln Pro Val 130 140 142 <210> 5 <211> 69 <212> PRT <213> Clostridium thermocellum <400> 5 Val Leu Tyr Gly Asp Val Asn Asp Asp Gly Lys Val Asn Ser Thr Asp 10 Leu Thr Leu Leu Lys Arg Tyr Val Leu Lys Ala Val Ser Thr Leu Pro 20 30 Ser Ser Lys Ala Glu Lys Ala Ala Asp Val Asn Arg Asp Gly Arg Val 40 Asn Ser Ser Asp Val Thr Ile Leu Ser Arg Tyr Leu Ile Arg Val Ile 50 60 Glu Lys Leu Pro Ile 69 <210> 6 <211> 67 <212> PRT <213> Clostridium thermocellum <400> 6 Lys Leu Tyr Gly Asp Val Asn Asp Asp Gly Lys Val Asn Ser Thr Asp 10 Ala Val Ala Leu Lys Arg Tyr Val Leu Arg Ser Gly Ile Ser Ile Asn 20 30 Thr Asp Asn Ala Asp Leu Asn Glu Asp Gly Arg Val Asn Ser Thr Asp 40 Leu Gly Ile Leu Lys Arg Tyr Ile Leu Lys Glu Ile Asp Thr Leu Pro 50 60 Tyr Lys Asn 67 <210> 7 <211> 66 <212> PRT <213> Clostridium thermocellum <400> 7 Thr Gly Leu Gly Asp Val Asn Gly Asp Gly Asn Ile Asn Ser Ser Asp 10 Leu Gln Ala Leu Lys Arg His Leu Leu Gly Ile Ser Pro Leu Gly Glu 20 30 Ala Leu Leu Arg Ala Asp Val Asn Arg Ser Gly Lys Val Asp Ser Thr 40 Asp Tyr Ser Val Leu Lys Arg Tyr Ile Leu Arg Ile Ile Thr Glu Glu 50 60 Pro Gly 66 <210> 8 <211> 67 <212> PRT <213> Clostridium thermocellum <400> 8 Met Trp Val Gly Asp Ile Val Lys Asp Asn Ser Ile Asn Leu Leu Asp 10 Val Ala Glu Val Ile Arg Cys Phe Asn Ala Thr Lys Gly Ser Ala Asn 20 30 Tyr Val Glu Glu Glu Asp Ile Asn Arg Asn Gly Ala Ile Asn Met Gln 40 Asp Ile Met Ile Val His Lys His Phe Gly Ala Thr Ser Ser Asp Tyr 50 60 Asp Ala Gln 67 <210> 9 <211> 64 <212> PRT <213> Clostridium thermocellum <400> 9 Val Val Tyr Gly Asp Leu Asn Asn Asp Ser Lys Val Asn Ala Val Asp 10 Ile Met Met Leu Lys Arg Tyr Ile Leu Gly Ile Ile Asp Asn Ile Asn 20 30 Leu Thr Ala Ala Asp Ile Tyr Phe Asp Gly Val Val Asn Ser Ser Asp 40 Tyr Asn Ile Lys Arg Tyr Leu Leu Lys Ala Ile Glu Asp Ile Pro Tyr 50 60 64
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る担体分子の構造を概念的に示す図
である。
【図2】本発明に係る酵素(キメラ酵素)の構造を概念
的に示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:19) (72)発明者 大宮 邦雄 三重県津市鳥居町191番地の2 Fターム(参考) 4B024 BA12 CA05 CA07 DA06 EA04 GA14 GA19 HA01 4B033 NA02 NA22 NB02 NB45 NB57 NC02 NC13 ND01 4H045 AA10 AA20 BA10 BA41 BA61 CA11 DA89 FA72 FA74 GA01 GA21

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース分解酵素の対担体分子結合ド
    メイン(D)に対して結合力を示す対酵素結合ドメイン
    (C)の複数の繰返しを有するセルロース結合蛋白質に
    構造的に由来する蛋白質担体分子であって、 前記セルロース結合蛋白質が本来有するセルロース結合
    ドメイン(CBD)をそのまま含み、あるいはこのセル
    ロース結合ドメインを除外したもとで、前記複数の対酵
    素結合ドメイン(C)のそれぞれを、互いに結合特異性
    の異なる複数種類の対酵素結合ドメイン(C1,C2,・・
    ・)に置換えた構造を有することを特徴とする担体分
    子。
  2. 【請求項2】 任意の逐次反応に関与する酵素であっ
    て、その酵素のアミノ酸配列中の適宜な位置に、請求項
    1に記載の対担体分子結合ドメイン(D)のうち、請求
    項1に記載の複数種類の対酵素結合ドメイン(C1,C2,
    ・・・)に対してそれぞれ特異的に結合する複数種類の
    対担体分子結合ドメイン(D1,D2,・・・)のいずれか
    を付加したことを特徴とする酵素。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の担体分子に対して、任
    意の特定逐次反応に順次関与する複数の酵素が任意の順
    序で配列されて結合していることを特徴とする酵素配列
    複合体。
  4. 【請求項4】 前記複数の酵素の配列順序が前記逐次反
    応に関与する順序に従うことを特徴とする請求項3に記
    載の酵素配列複合体。
  5. 【請求項5】 任意の特定逐次反応に順次関与する複数
    の酵素であって請求項2に記載の複数種類の対担体分子
    結合ドメイン(D1,D2,・・・)の内の互いに異なる1
    のドメインをそれぞれ付加されたものと、請求項1に記
    載の担体分子であって前記複数種類の対酵素結合ドメイ
    ン(C1,C2,・・・)を任意の配列順序又は前記逐次反
    応に関与する順序に従う配列順序で備えたものとを用い
    て、前記対担体分子結合ドメイン(D1,D2,・・・)と
    前記対酵素結合ドメイン(C1,C2,・・・)との間の特
    異的結合を利用することにより、請求項3又は請求項4
    のいずれかに記載の酵素配列複合体を構成することを特
    徴とする酵素配列複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3又は請求項4のいずれかに記載
    の酵素配列複合体が固定化担体の表面に固定されている
    ことを特徴とする固定化酵素配列複合体。
  7. 【請求項7】 請求項3又は請求項4のいずれかに記載
    の酵素配列複合体における担体分子が請求項1に記載の
    セルロース結合ドメインをそのまま含む場合において、 請求項5に記載の酵素配列複合体を構成する工程と、該
    酵素配列複合体の前記担体分子を前記セルロース結合ド
    メインの機能を利用してセルロース質の固定化担体の表
    面に固定する工程とを、同時に又は任意の順序で行うこ
    とを特徴とする固定化酵素配列複合体の製造方法。
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