JP7347718B1 - 積層フィルム及び包装袋 - Google Patents

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Abstract

バリア層と、バリア層に隣接する少なくとも1つの隣接層とを含む積層フィルムであって、バリア層が、バリア基材と、バリア基材の一面上に、隣接層に対向するように設けられるコート層とを有し、コート層が、アルミニウム粒子からなるアルミニウム粒子層と、アルミニウム粒子層の隙間に充填される樹脂組成物とからなり、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂を含む、積層フィルム。

Description

本開示は、積層フィルム及び包装袋に関する。
環境対応の一環として、プラスチック製包装袋のリサイクルを促進すべく、プラスチック製包装袋を単一の素材により構成する(モノマテリアル化)取り組みが広がっている。例えば下記特許文献1には、延伸ポリエチレンフィルムと、蒸着膜を含むポリエチレン層と、ヒートシール性ポリエチレン層とをこの順に備える包装材料用ポリエチレン積層体が提案されている。
特開2019-166810号公報
このような包装袋の中でも、ポリエステルフィルムにより構成された包装袋が、リサイクル性の観点から注目されている。このような包装袋に用いられる二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムは、基材層としての強靭性及びバリア性、並びにシーラント層としての低吸着性に優れている。そのため、二軸延伸PETフィルムにより構成された包装袋には、トイレタリー製品、食品及び化粧品等を内容物として好適に収容できる。
また、包装袋には、遮光性及びバリア性を付与するためにアルミニウム蒸着によってアルミニウム粒子層が設けられる場合がある。
しかし、ポリエステルフィルムにより構成され、蒸着層としてアルミニウム粒子層を備える積層フィルムを形成した場合には、積層フィルムは、以下の課題を有していることが本発明者らの検討により明らかになった。すなわち、積層フィルムは、これを用いて得られる包装袋内に、アルカリ性又は酸性の内容物を充填して長期保存するとアルミニウム粒子層が溶解する。アルミニウム粒子層が溶解することで、バリア性、遮光性及びラミネート強度の低下、並びに外観不良が懸念される。
本開示は、良好なリサイクル性を維持しつつ、酸性又はアルカリ性の材料と長期間接触することで生じうるアルミニウム粒子層の溶解を抑制することができる積層フィルム及び包装袋を提供することを目的とする。
本開示の一側面は、バリア層と、バリア層に隣接する少なくとも1つの隣接層とを含む積層フィルムであって、バリア層が、バリア基材と、バリア基材の一面上に、隣接層に対向するように設けられるコート層とを有し、コート層が、アルミニウム粒子からなるアルミニウム粒子層と、アルミニウム粒子層の隙間に充填される充填物とからなり、充填物が、水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物であり、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂を含む、積層フィルムである。
本開示の積層フィルムによれば、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂を含むため、良好なリサイクル性を維持することができる。また、本開示の積層フィルムを用いた包装袋は、酸性又はアルカリ性の材料(内容物)と長期間接触することで生じうるアルミニウム粒子層の溶解を抑制することができる。
アルミニウム粒子層の溶解が抑制される理由について、本発明者らは以下のように推察している。すなわち、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂を含む積層フィルムと、酸性又はアルカリ性の材料(内容物)とが長時間にわたって接触すると、内容物が積層フィルムに浸透し、やがてコート層に接触する。このとき、仮にコート層がアルミニウム粒子層のみで構成されていると、内容物がアルミニウム粒子層に直接接触し、アルミニウム粒子層を溶解することがある。一般に蒸着プロセスによりアルミニウム粒子層を形成する場合、アルミニウム粒子層の蒸着過程で生じうる、アルミニウム原子や結晶粒の粗密部分や、結晶粒同士の間の微細な空隙、さらには蒸着過程で同様に発生した微細なクラックなどの欠陥が生じる。これらが、積層フィルムに浸透した内容物成分をアルミニウム粒子層内で拡散する毛細管として働き、アルミニウムと内容物成分との接触面積が増大することで溶解現象が発生、促進されていると考えられる。このため、アルミニウム粒子層とバリア基材との界面の剥離を内容物が誘発することがある。これに対し、本開示の積層フィルムでは、コート層が、アルミニウム粒子層と、アルミニウム粒子層の隙間に充填される充填物とからなる。そして、充填物が、水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物である。そのため、アルミニウム粒子層が充填物により内容物から保護される。このため、酸性又はアルカリ性の材料(内容物)が積層フィルムに浸透してコート層に接触しても、当該材料(内容物)によるアルミニウム粒子層の溶解が抑制される。
本開示の他の一側面は、バリア層と、バリア層に隣接する少なくとも1つの隣接層とを含む積層フィルムであって、バリア層が、バリア基材と、バリア基材の一面上に、隣接層に対向するように設けられるコート層とを有し、コート層が、アルミニウム粒子からなるアルミニウム粒子層と、アルミニウム粒子層の隙間に充填される樹脂組成物とからなり、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂を含む、積層フィルムである。
本開示の積層フィルムでは、コート層が、アルミニウム粒子層と、アルミニウム粒子層の隙間に充填される樹脂組成物とからなる。そのため、アルミニウム粒子層が樹脂組成物により内容物から保護される。このため、酸性又はアルカリ性の材料(内容物)が積層フィルムに浸透してコート層に接触しても、当該材料(内容物)によるアルミニウム粒子層の溶解が抑制される。
上記積層フィルムにおいては、樹脂組成物が、不飽和カルボン酸、そのエステル及びその酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物により変性されたポリオレフィン樹脂を含んでいてよい。
上記積層フィルムにおいては、上記コート層が、コート層の長手方向に沿って延在し且つアルミニウム粒子を含まない領域を含んでいてよい。
上記積層フィルムにおいては、少なくとも1つの隣接層が、バリア層の両側に設けられる基材層及びシーラント層であってよい。
上記積層フィルムにおいては、コート層の厚さが0.1μm以上であることが好ましい。この積層フィルムは、酸性又はアルカリ性の材料(内容物)と長期間接触させても、アルミニウム粒子層の溶解を効果的に抑制することができる。
上記積層フィルムにおいては、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂としてポリエステル樹脂を含み、ポリエステル樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上であってよい。
上記積層フィルムにおいては、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂としてポリオレフィン樹脂を含み、ポリオレフィン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上であってよい。
上記積層フィルムにおいては、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂としてポリプロピレン樹脂を含み、ポリプロピレン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上であってよい。
上記積層フィルムにおいては、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂としてポリエチレン樹脂を含み、ポリエチレン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上であってよい。
上記積層フィルムの水蒸気透過度は、5g/m・day以下であってよい。
上記積層フィルムの酸素透過度は、1cc/m・day・atm以下であってよい。
上記積層フィルムにおいては、バリア基材が、ポリエステル樹脂を含み、バリア基材に含まれるポリエステル樹脂の質量平均分子量が、1万~100万であってよい。
本開示の別の側面は、上述した積層フィルムを用いてなる、包装袋である。本開示の包装袋によれば、積層フィルムにおいて、バリア基材及び隣接層が同一の樹脂を含むため、良好なリサイクル性を維持することができる。
また、上記積層フィルムは、既に述べたとおり、酸性又はアルカリ性の材料と長期間接触させても、アルミニウム粒子層の溶解を抑制することができる。
本開示によれば、良好なリサイクル性を維持しつつ、酸性又はアルカリ性の材料と長期間接触することで生じうるアルミニウム粒子層の溶解を抑制することができる積層フィルム及び包装袋が提供される。
本開示の積層フィルムの一実施形態を示す断面図である。 図1のバリア層を模式的に示す部分断面図である。 図1のバリア層を模式的に示す部分断面図である。 本開示の包装体の一実施形態を示す正面図である。 図4のIV-IV線に沿った断面図である。 本開示の積層フィルムの別の実施形態を示す断面図である。 本開示の積層フィルムの別の実施形態を示す断面図である。 本開示の積層フィルムの別の実施形態を示す断面図である。
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<積層フィルム>
図1は、本開示の積層フィルムの一実施形態を示す断面図、図2及び図3は、図1のバリア層を模式的に示す部分断面図である。図1、図2及び図3に示すように、積層フィルム100は、隣接層である基材層10、接着層20、バリア層30、接着層40、及び、隣接層であるシーラント層50をこの順に備えている。バリア層30は、バリア基材31と、バリア基材31の基材層10側の面上に、基材層10に対向するように設けられるコート層32とを有する。コート層32は、アルミニウム粒子からなるアルミニウム粒子層33と、アルミニウム粒子層33の隙間に充填される充填物34とからなる。充填物34は、水酸基含有高分子化合物と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物である。また、基材層10、バリア基材31及びシーラント層50は同一の樹脂を含む。「同一の樹脂」とは、ポリオレフィン樹脂であればポリオレフィン樹脂同士の組み合わせ、ポリエステル樹脂であればポリエステル樹脂同士の組み合わせのことをいう。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエステル系であるポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及び共重合ポリエステルが挙げられる。同一の樹脂は、ポリオレフィン樹脂同士、ポリエステル樹脂同士の組み合わせが好ましい。同一の樹脂がポリオレフィン樹脂である場合、当該同一の樹脂は、ポリプロピレン樹脂同士による組み合わせ、ポリエチレン樹脂同士による組合せが好ましい。同一の樹脂がポリエステル樹脂である場合、当該同一の樹脂は、ポリエチレンテレフタレート同士による組合せが好ましい。
積層フィルム100によれば、基材層10、バリア基材31及びシーラント層50が同一の樹脂を含むため、良好なリサイクル性を維持することができる。
また、積層フィルム100によれば、酸性又はアルカリ性の材料と長期間接触させても、アルミニウム粒子層33の溶解を抑制することができる。
以下、積層フィルム100について詳細に説明する。
積層フィルム100全体に占める同一の樹脂の合計含有率は特に制限されるものではないが、積層フィルム100のリサイクル性を向上させる観点からは、好ましくは90質量%以上である。積層フィルム100全体に占める同一の樹脂の合計含有率は、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。
但し、積層フィルム100全体に占める同一の樹脂の合計含有率は通常、100質量%未満である。
(基材層)
基材層10は、バリア基材31及びシーラント層50に含まれる樹脂と同一の樹脂を含んでいればよい。このような樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。二種以上のポリオレフィン樹脂を組み合わせる方法としては、二種のポリオレフィン樹脂以上を溶融してブレンドして用いてもよく、インフレーション成膜やTダイ成膜による多層共押成膜により多層化してもよい。
なお、LLDPEの密度は通常、0.910~0.940g/cmであり、HDPEの密度は通常、0.940g/cmより大きく0.980g/cm以下である。
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられ、汎用性や加工適性の観点から、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。これらはそれぞれ単独で、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。二種以上のポリエステル樹脂を組み合わせる方法としては、二種以上のポリエステル樹脂を溶融してブレンドして用いてもよく、インフレーション成膜やTダイ成膜による多層共押成膜により多層化してもよい。
上記樹脂は、化石燃料から得られる原料(モノマー)を用いて得られる樹脂でも、バイオマス由来の原料(モノマー)を用いて得られる樹脂でもよいが、環境負荷を低減する観点からは、バイオマス由来の原料を用いて得られる樹脂であることが好ましい。あるいは、上記樹脂は、リサイクル樹脂であってもよい。リサイクル樹脂は、メカニカルリサイクル樹脂でもケミカルリサイクル樹脂でもよい。
基材層10の厚さは、特に制限されず、例えば、10μm以上でも20μm以上でもよい。基材層10の厚さは、40μm以下でも25μm以下であってもよい。基材層10の厚さは、用途又は求められる特性に応じて適宜調整される。
基材層10は、必要に応じて、フィラー、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、及び酸化防止剤等から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含有してもよい。
基材層10は、同種のものを複数積層することによって構成されてもよい。基材層10は、延伸及び未延伸のフィルムのどちらで構成されてもよい。少なくとも一つの延伸フィルムと少なくとも一つの未延伸フィルムとが積層されているものであってもよい。基材層10は、二軸方向に任意に延伸されたフィルムを有することによって、機械強度及び寸法安定性を向上することができる。基材層10が積層体である場合には、基材層10は、耐熱性を有する樹脂からなる耐熱層を有していてもよい。耐熱性を有する樹脂は、基材層10の耐熱層以外の層に用いられている樹脂よりも融点が高い樹脂であってよく、例えば、200℃以上の融点を有する樹脂であってよい。あるいは、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、主剤と硬化剤からなる耐熱性の高いコーティング組成物によってウレタン樹脂やアクリル樹脂などの熱硬化性のコーティング被膜を設けてもよい。また、基材層10の表面の光反射を抑えたり、滑り止め機能を付与するためにマット感のある層を設けてもよい。
(接着層)
接着層20は、基材層10とバリア層30とを接着する機能を有する層であり、接着層40は、バリア層30とシーラント層50とを接着する機能を有する層である。積層フィルム100が接着層20を有することで、基材層10とバリア層30との密着性をより高めることができる。また、積層フィルム100が接着層40を有することで、バリア層30とシーラント層50との密着性をより高めることができる。
接着層20,40は、例えばポリオレフィン系樹脂で構成される。このようなポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、LDPE、LLDPE、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン樹脂以外の樹脂を含む場合、当該樹脂は、ポリオレフィン系樹脂全体に対して10質量%以内に抑えることが望ましい。接着層20,40がポリオレフィン樹脂で構成される場合、押出ラミネート法により積層してもよい。また、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解または分散させ、必要に応じて硬化剤や添加剤を配合したコーティング組成物を調整し、これを既知のコーティング法により基材層、バリア層、シーラント層に積層してもよい。接着強度を高めるために、基材層10、バリア層30、シーラント層50の表面に、コロナ処理、オゾン処理、アンカーコート等が行われてもよい。接着層20,40の厚さは、特に制限されるものではないが、2μm以上50μm以下が好ましい。接着層20,40の厚さを2μm以上とすることで、十分な接着強度を得ることができる。
接着層20、40としては、ポリオレフィン系樹脂で構成される層の代わりに、ドライラミネート接着剤等を含有する接着剤組成物を用いた接着層であってもよい。
ドライラミネート接着剤としては、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤、及びイソシアネート系接着剤などの公知の接着剤が挙げられる。これらのうち、ハンドリング性を向上させる観点から、ウレタン系接着剤が好ましい。
また、接着層20、40は、バイオマス成分を含んでも含まなくてもよいが、環境負荷を低減する観点から、バイオマス成分を含むことが好ましい。バイオマス成分としては、具体的にはDIC株式会社製の「ディックドライ BMシリーズ」、及び東洋インキ株式会社製の「ECOADシリーズ」が挙げられる。なお、バイオマス成分は、ポリオレフィン系樹脂若しくはポリオレフィン系樹脂以外の成分として、又は、接着剤若しくは接着剤以外の成分として含まれてよい。あるいは、バイオマス成分は、ポリオレフィン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂以外の成分として、又は、接着剤及び接着剤以外の成分として含まれてもよい。
接着剤組成物は、有機溶剤をさらに含む接着剤組成物でも、有機溶剤を含まない接着剤組成物でもよいが、環境負荷を低減する観点から、有機溶剤を含まない接着剤組成物(無溶剤型接着剤組成物)であることが好ましい。接着剤組成物は、酸素バリア性のあるバリア接着剤を用いてもよい。具体的にはDIC株式会社製の「PASLIM」や三菱ガス化学社製の「マクシーブ」などが挙げられる。
接着層20、40の厚さは特に制限されないが、基材層10とバリア層30、又は、バリア層30とシーラント層50との剥離を抑制しつつ積層フィルム100が厚くなり過ぎることを抑制する観点から、1~5μmであることが好ましく、2~3μmであることがより好ましい。
(バリア層)
バリア層30は、酸素及び水蒸気などのガスに対してバリア性を有する層である。バリア基材31は、基材層10及びシーラント層50に含まれる樹脂と同一の樹脂を含んでいればよい。例えば基材層10及びシーラント層50がポリエステル樹脂を含む場合には、バリア基材31もポリエステル樹脂を含めばよい。したがって、例えば、基材層10及びシーラント層50に含まれるポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合には、バリア基材31に含まれるポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレートでもよく、ポリエチレンナフタレートでもよい。ポリエステル樹脂を構成するモノマー成分のうち、エチレンテレフタレート及びエチレンナフタレートの割合は、80モル%以上であってよい。
バリア層30に含まれる樹脂の質量平均分子量は、アルミニウム粒子層33の溶解を一層抑制できる傾向にあることから、1万~100万であることが好ましく、5万~50万であることがより好ましく、15~50万であることが更に好ましい。
基材層10に含まれるポリエステル樹脂が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートである場合には、バリア基材31に含まれるポリエステル樹脂も二軸延伸ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。この場合、基材層10及びバリア基材31の少なくとも一方が湾曲して基材層10がバリア層30から剥離したり、バリア層30がシーラント層50から剥離したりすることを抑制することができる。
バリア基材31の厚さは、バリア基材31の材質、及び積層フィルム100の用途に応じて、適宜調整される。
コート層32に含まれるアルミニウム粒子層33はアルミニウム粒子の集合体からなるものであり、アルミニウム粒子同士は互いに接触している。アルミニウム粒子は、アルミニウム原子の堆積物であってよく、アルミニウム原子が結晶成長して形成される結晶粒であってもよい。アルミニウム粒子層33は、アルミニウムをバリア基材31の一面上に蒸着させることにより得られる。アルミニウム粒子層33の隙間とは、アルミニウム粒子層の蒸着過程で生じうる、アルミニウム原子や結晶粒の粗密部分や、結晶粒同士の間の微細な空隙、さらには蒸着過程で同様に発生した微細なクラックなどの欠陥であり、またアルミニウム原子とアルミニウム原子との隙間であってよく、結晶粒と結晶粒との隙間であってもよい。
アルミニウム粒子層33の隙間に充填される充填物34は、水酸基含有高分子化合物と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物(以下、充填物形成用組成物ともいう)の加熱乾燥物である。
アルミニウム粒子の密度は、図3に示すように、バリア基材31側から接着層20側にかけて低下していってよい。コート層32は、長手方向に沿って延在し且つアルミニウム粒子を含む領域Aと、長手方向に沿って延在し且つアルミニウム粒子を含まない領域Bとを含んでいてよい。コート層32は、領域Bを含んでいなくてもよい。コート層32は、アルミニウム粒子層の溶解を一層抑制することから、領域Bを含んでいることが好ましい。
充填物形成用組成物は、例えば、水溶性高分子である水酸基含有高分子化合物を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液と、金属アルコキシド及び/又はシランカップリング剤とを直接、或いは予めこれらを加水分解させるなどの処理を行ったものとを混合して調製することができる。
水酸基含有高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール(PVA)を充填物形成用組成物に用いた場合、ガスバリア性が特に優れるので好ましい。
金属アルコキシドとしては、下記一般式(I)で表わされる化合物が挙げられる。
M(OR(Rn-m …(I)
上記一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~8の1価の有機基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましい。MはSi、Ti、Al、Zr等のn価の金属原子を示す。mは1~nの整数である。なお、R又はRが複数存在する場合、R同士又はR同士は同一でも異なっていてもよい。
金属アルコキシドとしては、具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-2’-C〕などが挙げられる。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
シランカップリング剤としては、下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
Si(OR11(R123-p13 …(II)
上記一般式(II)中、R11はメチル基、エチル基等のアルキル基を示し、R12はアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アクリロキシ基で置換されたアルキル基、又は、メタクリロキシ基で置換されたアルキル基等の1価の有機基を示し、R13は1価の有機官能基を示し、pは1~3の整数を示す。なお、R11又はR12が複数存在する場合、R11同士又はR12同士は同一でも異なっていてもよい。R13で示される1価の有機官能基としては、グリシジルオキシ基、エポキシ基、メルカプト基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、又は、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が挙げられる。
シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。
また、シランカップリング剤は、上記一般式(II)で表される化合物が重合した多量体であってもよい。多量体としては三量体が好ましく、より好ましくは1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮重合体である。この1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシア部には化学的反応性はなくなるが、ヌレート部の極性により反応性は確保されることが知られている。一般的には、3-イソシアネートアルキルアルコキシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートを、水酸基含有高分子化合物に添加することにより、水素結合によりガスバリア性被覆層の耐水性を向上させることができる。3-イソシアネートアルキルアルコキシランは反応性が高く、液安定性が低いのに対し、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系溶液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができる。また、耐水性能は3-イソシアネートアルキルアルコキシランと1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートとは同等である。
1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3-イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもあり、原料の3-イソシアネートプロピルアルコキシシランが含まれる場合もあるが、特に問題はない。さらに好ましくは、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、より好ましくは1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。このメトキシ基は加水分解速度が速く、またプロピル基を含むものは比較的安価に入手し得ることから1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートは実用上有利である。
充填物形成用組成物における金属アルコキシドの量は、香料の透過抑制性、無機蒸着層との密着性及びガスバリア性維持の観点から、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して1~4質量部とすることができ、2~3質量部であってよい。同様に、シランカップリング剤の量は、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して0.01~1質量部とすることができ、0.1~0.5質量部であってよい。金属アルコキシドとしてシラン化合物(アルコキシシラン)を用いる場合、充填物形成用組成物におけるシラン化合物(金属アルコキシドとシランカップリング剤)の量は、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して1~4質量部とすることができ、2~3質量部であってよい。
充填物形成用組成物には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、あるいは、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
充填物形成用組成物は、例えば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布することができる。充填物形成用組成物を塗布してなる塗膜は、例えば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、又はそれらの組み合わせにより乾燥させることができる。
上記塗膜を乾燥させる際の温度は、例えば、温度50~150℃とすることができ、温度70~100℃とすることが好ましい。乾燥時の温度を上記範囲内とすることで、充填物34にクラックが発生することをより一層抑制でき、優れたバリア性を発現することができる。
充填物34は、水酸基含有高分子化合物(例えばポリビニルアルコール系樹脂)及びシラン化合物を含む充填物形成用組成物を用いて形成されてよい。充填物形成用組成物には、必要に応じて酸触媒、アルカリ触媒、光重開始剤等を加えてよい。
シラン化合物としては、シランカップリング剤、ポリシラザン、シロキサン等が挙げられ、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
コート層32の厚さは特に制限されるものではないが、0.1μm以上であることが好ましく、1μmより大きいことがより好ましく、2μmより大きいことがより一層好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。コート層32の厚さが0.1μm以上であることで、積層フィルム100は、酸性又はアルカリ性の材料と長期間接触させても、バリア層と基材層又はシーラント層との間の密着性の低下を効果的に抑制することができる。
バリア層30は、バリア基材31とコート層32との間に水酸基含有樹脂層をさらに備えてもよい。この場合、水酸基含有樹脂層中の水酸基とコート層32中のアルミニウム粒子層33とが強固に結合することが可能となる。また、水酸基含有樹脂層中の水酸基とコート層32中の充填物34とが強固に結合することも可能となる。このため、コート層32がバリア基材31から剥離することが十分に抑制される。
水酸基含有樹脂層は、水酸基含有高分子化合物を含む。水酸基含有高分子化合物としては、充填物34を形成するために用いられるものと同様のものを用いることができる。
水酸基含有樹脂層の厚さは特に制限されるものではないが、成膜性及びバリア性の向上の観点からは、1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましい。但し、水酸基含有樹脂層の厚さは、密着性を向上させる観点からは、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
(シーラント層)
シーラント層50は、基材層10及びバリア基材31に含まれる樹脂と同一の樹脂を含んでいればよい。このような樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂が挙げられる。ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂としては、基材層10で用いられるポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂と同様のものを用いることができる。例えば基材層10及びバリア基材31がポリエステル樹脂を含む場合には、シーラント層50もポリエステル樹脂を含めばよい。したがって、例えば、基材層10及びバリア基材31に含まれるポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合には、バリア基材31に含まれるポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレートでもよく、ポリエチレンナフタレートでもよい。
但し、シーラント層50は、ヒートシール性を向上させる観点から、基材層10及びバリア基材31の融点よりも低い融点を有することが好ましい。
シーラント層50は、例えばポリエステル樹脂を含むシートを接着層40に貼り合わせることにより形成することができる。
シーラント層50の厚さは、特に制限されず、例えば10μm以上でも50μm以上でもよい。シーラント層50の厚さは、200μm以下でも100μm以下であってもよい。
シーラント層50には、着色剤を必要に応じて加えてもよい。
積層フィルム100は、必要に応じて印刷層をさらに含んでいてもよい。
印刷層は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、又はゴム系などのバインダー樹脂に、各種顔料、可塑剤、乾燥剤、及び安定剤などを添加してなるインキを用いて形成される層である。この印刷層によって、文字、絵柄などを表示することができる。
インキは、水性インキであっても油性インキであってもよいが、水性インキであることが好ましい。水性インキは、水又はアルコールを溶剤に使用するため、環境負荷をより低減することができる。特に、接着剤組成物が無溶剤型接着剤組成物である場合には、インキとして水性インキを使用すると、環境負荷を大幅に低減することができる。また、インキは、バイオマスインキであってもバイオマスインキでなくてもよいが、環境負荷を低減する観点からは、バイオマスインキであることが好ましい。ここで、バイオマスインキとは、綿、パルプ、米ぬか、植物油、被子植物の種などの生物由来の資源(バイオマス)から得られた成分を含むインキをいう。
印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。印刷方法は、フレキソ印刷であることが好ましい。またシーラント層50の表面に、予め前処理としてコロナ処理又はオゾン処理を施すことにより、シーラント層50に対する印刷層の密着性を向上させることができる。
積層フィルム100の水蒸気透過度は、5g/m・day以下とすることができる。また、積層体の酸素透過度は1cc/m・day以下とすることができる。これにより内容物を水蒸気や酸素による劣化から保護し、長期的に品質を保持し易くなる。この観点から、水蒸気透過度は、1g/m・day以下であってよく、0.5g/m・day以下であってよい。また、酸素透過度は、0.5cc/m・day以下であってよく、0.2cc/m・day以下であってよい。酸素透過度は、JIS K7126-2準拠に準拠して測定される。水蒸気透過度は、JIS K7129B準拠に準拠して測定される。
<包装体>
次に、本開示の包装体の実施形態について図4及び図5を参照して説明する。図4は、本開示の包装体の一実施形態を示す正面図であり、図5は、図4のIV-IV線に沿った断面図である。
図4及び図5に示すように、包装体500は、包装袋400と、包装袋400内に収容される内容物Cとを備える。包装袋400は、一対の積層フィルム100を用いて形成されたものである。ここで、積層フィルム100のシーラント層50が内側に向けられ、基材層10が外側に向けられている。包装袋400は、内容物Cを収容する収容部と、収容部の周囲に設けられる接着部501とで構成されている。接着部501は、対向する積層フィルム100のシーラント層50同士を接着してなる部分であり、収容部は、対向する積層フィルム100のシーラント層50同士を接着していない部分である。
包装体500によれば、包装袋400を構成する積層フィルム100において、基材層10、バリア基材31及びシーラント層50が同一の樹脂を含むため、良好なリサイクル性を維持することができる。
また、積層フィルム100は、既に述べたとおり、酸性又はアルカリ性の材料と長期間接触させても、アルミニウム粒子層33の溶解を抑制することができる。このため、包装体500によれば、酸性又はアルカリ性の材料を含む内容物Cと積層フィルム100とが長時間にわたって接触されても、アルミニウム粒子層33の溶解を抑制することができる。
(内容物)
内容物Cは、特に制限されるものではなく包装袋400の用途に応じて適宜選択すればよい。ただし、包装体500は、内容物Cが酸性又はアルカリ性の材料からなる場合に特に有効である。このような内容物Cとしては、例えば、トイレタリー製品、ドライフラワー、香料、化粧品及び食品が挙げられる。
(包装袋)
包装袋400を構成する一対の積層フィルム100が、同じ層構成を備えることは必須ではなく、異なる層構成を有していてもよい。
包装袋400は、ハーフカット線を備えてもよく、ハーフカット線の両端又は片端に易開封加工部をさらに備えていてもよい。易開封加工部としては、傷痕群、V字状、U字状又はI字状等のノッチが挙げられる。
包装袋400の接着部501においては、一対の積層フィルム100のシーラント層50同士が熱融着により直接接着されてもよく(図5参照)、接着剤によって互いに接着されてもよい。
(包装体の製造方法)
次に、積層フィルム100を用いて包装体500を製造する方法について説明する。
まず一対の積層フィルム100を準備する。そして、一対の積層フィルム100のシーラント層50同士を対向させて積層体を用意し、シーラント層50同士を接着する。このとき、積層体の周縁部の一部を、コの字状をなすように接着させて接着部501を形成するとともに、接着されていない部分(未接着部)を形成する。このようにして、未接着部を有する包装袋が得られる。
次に、未接着部を有する包装袋の未接着部から内容物Cを充填する。その後、未接着部において積層フィルム100のシーラント層50同士を接着させて、未接着部も接着部501とする。このようにして、包装袋400とその中に収容された内容物Cとを備える包装体500を製造することができる。
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、充填物34は、水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物であってもよい。当該組成物に含まれる水溶性高分子は、必ずしも水酸基を有していなくてもよく、例えば、ポリビニルピロリドン、水酸基の全てがメチル基に置換されたメチルセルロース、水酸基の全てがカルボキシメチル基に置換されたカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
充填物34が、水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物である場合、バリア層30は、バリア基材31とコート層32との間に水溶性高分子樹脂層をさらに備えてもよい。水溶性高分子樹脂層は、水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物であってよい。
また、例えば、上記実施形態においては、充填物34は、充填物形成用組成物の加熱乾燥物であるが、充填物34は、樹脂組成物であってよい。
樹脂組成物は、例えば、ポリオレフィン樹脂が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、アルミニウム粒子層の溶解を一層抑制することから、不飽和カルボン酸、そのエステル及びその酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物により変性されたポリオレフィン樹脂(以下、「ポリオレフィン共重合樹脂」ともいう。)であることが好ましい。ポリオレフィン共重合樹脂は、エチレンなどのオレフィンと、不飽和カルボン酸、そのエステル及びその無水物とを含むモノマーの共重合体である。言い換えると、ポリオレフィン共重合樹脂は、エチレンなどのオレフィンに由来する構成単位と、不飽和カルボン、そのエステル及びその無水物に由来する構成単位とを含む共重合体である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸及び不飽和トリカルボン酸が挙げられる。不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸及びフマル酸が挙げられる。不飽和トリカルボン酸としては、例えば、アコニット酸が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えば、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル及びグリセリン不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。グリセリン不飽和脂肪酸エステルは、不飽和部分をエポキシ化したエポキシ化植物油であってもよい。不飽和カルボン酸の酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の変性方法としては、ポリオレフィン樹脂の重合段階でこれらの化合物をコモノマーとし主鎖中に共重合させる方法、及びポリオレフィン樹脂に過酸化物存在下などの環境でグラフト反応により側鎖にグラフト化させる方法が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸、そのエステル及びその酸無水物に加えてそれら以外の化合物により変性されていてもよい。このような化合物としては、例えば、水酸基及びアミノ基などの種々の官能基を有する化合物が挙げられる。
ポリオレフィン共重合樹脂中の不飽和カルボン酸、そのエステル及びその酸無水物の含有率は、特に制限されるものではないが、0.01~5質量%であることが好ましく、1~4質量%であることがより好ましい。当該含有率が0.01質量%以上であることで、ポリオレフィン共重合樹脂の、アルミニウム粒子への接着性を担保できる。
ポリオレフィン共重合樹脂のオレフィンとして、エチレンを単独で用いてよく、プロピレンを単独で用いてよく、エチレン及びプロピレンを併用してもよい。
また、上記実施形態においては、バリア層30において、コート層32がバリア基材31のうち基材層10側に設けられているが、図6に示す積層フィルム300のように、バリア層30において、コート層32がバリア基材31のうちシーラント層50側に設けられていてもよい。
上記実施形態においては、積層フィルム100は、基材層10とバリア層30とを別々に有しているが、図7に示す積層フィルム600のように、バリア層30が基材層10を兼ねていてもよい。この場合、シーラント層50が隣接層となる。また、図7に示す積層フィルム600においては、図6に示す積層フィルム300のように、バリア層30において、コート層32がバリア基材31のうちシーラント層50側に設けられていてもよい。
さらに上記実施形態では、積層フィルム100は、バリア層30とシーラント層50を別々に有しているが、図8に示す積層フィルム700のように、バリア層30はシーラント層50を兼ねていてもよい。この場合、基材層10が隣接層となる。
また、上記実施形態においては、積層フィルム100,300が接着層20を備えているが、接着層20を省略して基材層10とバリア層30とを直接接着させることも可能である。また、上記実施形態においては、積層フィルム100,300が接着層40を備えているが、接着層40を省略してバリア層30とシーラント層50とを直接接着させることも可能である。
上記実施形態において、包装袋400の形状は、図4に示すような四方袋に限られるものではなく、スタンディングパウチ形状の包装袋、二方袋、三方袋、合掌袋又はガゼット袋でもよい。包装袋400の形状は、サシェ(小容量平パウチ)又はラミネートチューブであってもよい。包装袋400は、口栓、又は帯状の突起部と帯状の溝部が嵌合することによって繰り返し密封することが可能な合成樹脂製のファスナーを備えていてもよい。
さらに、上記実施形態において、包装袋400は一対の積層フィルム100を用いて形成されているが、積層フィルム100に代えて積層フィルム300を用いてもよい。また、一枚の積層フィルム100,300を、シーラント層50を内側にして折り畳み、重なり合う周縁部同士を接着させて包装袋を製造してもよい。
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
<充填物形成用組成物の調整>
下記のA液及びB液をそれぞれ70/30の質量比(A液/B液)で混合することで、第1の充填物形成用組成物を調製した。
A液:テトラエトキシシラン(Si(OC)17.9gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加えて30分間攪拌して加水分解させた固形分5質量%(SiO換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの5質量%水/メタノール溶液(水:メタノールの質量比は95:5)。
ポリオレフィン共重合樹脂(不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水素との共重合体)からなる粒子を含むポリオレフィン共重合樹脂エマルジョンからなる樹脂組成物(ユニチカ株式会社製、商品名:アローベースSD5200、粒子の数平均粒径:1μm以下、以下「第1の樹脂組成物」)を用意した。
<積層フィルムの製造>
(実施例1-1)
シリカ蒸着PETフィルム(基材厚さ:12μm)を基材層として準備した。
他方、PETフィルムの上にアルミニウム粒子層(アルミニウム蒸着層)を蒸着により形成してなるVM-PETフィルム(東レインターナショナル株式会社製、商品名:BR-PET1312、基材厚さ:12μm、基材を構成する樹脂の質量平均分子量:20万前後)を用意し、VM-PETフィルムのアルミニウム粒子層の上に第1の充填物形成用組成物を塗布し60℃で1分間加熱乾燥して、厚さ0.5μmのコート層を形成し、バリア層を作製した。
そして、基材層のシリカ蒸着形成面上に、ドライラミネーション機を用いてウレタン系接着剤(三井化学株式会社製、商品名:A626/A50)を塗工し、上記のようにして得られたバリア層を、コート層を基材層に対向するようにして貼り付けて積層体を得た。続いて、積層体のバリア基材の面上に、ドライラミネーション機を用いてウレタン系接着剤(三井化学株式会社製、商品名:A626/A50)を塗工し、HS-PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名:DE046、厚さ:30μm)からなるシーラント層を貼り合わせて積層フィルムを作製した。こうして、図1に示すような積層構造を有する積層フィルムを作製した。
(実施例1-2)
VM-PETフィルム(東レインターナショナル株式会社製、商品名:BR-PET1312、基材厚さ:12μm)に代えて、VM-PETフィルム(尾池パックマテリアル株式会社製、商品名:テトライトEX-R、基材厚さ:12μm、基材を構成する樹脂の質量平均分子量:10万前後)を用いてバリア層を作製したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
(実施例1-3)
シリカ蒸着PETフィルムに代えてPETフィルム(商品名:FE2001、厚さ:12μm、フタムラ化学株式会社製)を基材層として用いたこと以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
(実施例1-4)
VM-PETフィルム(東レインターナショナル株式会社製、商品名:BR-PET1312、基材厚さ:12μm、基材を構成する樹脂の質量平均分子量:20万前後)のアルミニウム粒子層の上に、第1の充填物形成用組成物に代えて、第1の樹脂組成物を塗布し90℃で1分間加熱乾燥して、厚さ0.5μmのコート層を有するバリア層を形成した以外は、実施例1-1と同様にして積層フィルムを作製した。
(実施例1-5)
VM-PETフィルムのアルミニウム粒子層の上に第1の充填物形成用組成物を塗布し60℃で1分間加熱乾燥して、厚さ0.1μmのコート層を有するバリア層を形成した以外は、実施例1-1と同様にして積層フィルムを作製した。
(比較例1-1)
VM-PETフィルムに第1の充填物形成用組成物を塗布せずそのままをバリア層として用いたこと以外は実施例1-1と同様にして積層フィルムを作製した。
(比較例1-2)
VM-PETフィルムに第1の充填物形成用組成物を塗布せずそのままをバリア層として用いたこと以外は実施例1-2と同様にして積層フィルムを作製した。
<パウチの作製>
各実施例及び比較例の積層フィルム(サイズ:100mm×100mm)を2枚用意し、2枚の積層フィルムのシーラント層同士を対向させて積層体を用意し、シーラント層同士を接着させた。このとき、積層体の周縁部の一部を、コの字状をなすように接着させて接着部を形成するとともに、接着されていない部分(未接着部)を形成した。こうして、未接着部を有する包装袋としてのパウチを作製した。
<アルミニウム粒子層の溶解抑制の評価>
未接着部を有するパウチの未接着部から、内容物としてシャンプー(pH=4.0~5.0)を20g程度封入した。そしてパウチを45℃湿度フリー条件下にて4週間保存した。保存後、パウチから内容物を取り出し、パウチ表面の外観を光学顕微鏡で観察した。観察倍率は1500倍とした。単位面積(10mm×10mm)あたりのアルミニウムの溶解が確認された領域の数を確認した。観察はそれぞれ任意の3箇所について行った。結果を表1に示した。また、アルミニウムが溶解した領域の大きさを表1に示した。
Figure 0007347718000001
実施例1-1、1-3、1-4は、観察した3箇所全てにおいてアルミニウム溶解が確認されなかった。実施例1-2は、観察した3箇所のうち2箇所では5つの領域でアルミニウムの溶解が確認され、観察した3箇所のうち1箇所では10の領域でアルミニウムの溶解が確認された。実施例1-5は、観察した3箇所について3つの領域、4つの領域、8つの領域でそれぞれアルミニウムの溶解が確認された。比較例1-1は、観察した3箇所全てにおいてそれぞれ10以上の領域でアルミニウムの溶解が確認された。比較例1-2は、観察した3箇所全てにおいてそれぞれ20以上の領域でアルミニウムの溶解が確認された。充填物形成用組成物をアルミニウム粒子層に塗布していない比較例1-1及び1-2ではアルミニウムの溶解が顕著に観察された。他方、アルミニウム粒子層のアルミニウムの隙間に充填物形成用組成物の加熱乾燥物又は樹脂組成物が充填された実施例1-1~1-5では、アルミニウムの溶解が抑制されていた。
(実施例2-1)
厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンからなる基材層(三井化学東セロ株式会社製、商品名:U-1)を用意した。
一方、ポリプロピレンとEVOHとの共押出二軸延伸ポリプロピレンフィルムのEVOH層上にアルミニウム粒子層(アルミニウム蒸着層)を蒸着により形成してなるVM-OPP(MAX speciality Films社製、商品名:M15SL6、厚さ:15μm)を用意し、VM-OPPのアルミニウム粒子層の上に、ポリオレフィン共重合樹脂(不飽和カルボン酸またはその無水物とエチレン系炭化水素との共重合体)からなる粒子を含むポリオレフィン共重合樹脂エマルジョンからなる樹脂組成物(ユニチカ株式会社製、商品名:アローベースSD5200、粒子の数平均粒径:1μm以下、以下「第2の樹脂組成物」ともいう)を塗布し90℃で1分間加熱乾燥して、厚さ0.5μmのコート層を有するバリア層を形成した。
そして、基材層の上に、ドライラミネーション機を用いてウレタン系接着剤(DIC株式会社製、商品名:LX500/KW-75)を塗工し、上記のようにして得られたバリア層を、コート層を基材層に対向するようにして貼り付けて積層体を得た。続いて、積層体のバリア基材の上に、ドライラミネーション機を用いてウレタン系接着剤(DIC株式会社製、商品名:LX500/KW-75)を塗工し、厚さ100μmのLLDPE(タマポリ株式会社製、商品名:LK410L)からなるシーラント層を貼り合わせて積層フィルムを作製した。こうして、図1に示すような積層構造を有する積層フィルムを作製した。
(実施例2-2)
VM-OPPのアルミニウム粒子層の上に、第2の樹脂組成物に代えて、以下の第2の充填物形成用組成物を塗布し60℃で1分間加熱乾燥して、厚さ0.5μmのコート層を形成し、バリア層を作製したほかは実施例2-1と同様にして積層フィルムを作製した。
<第2の充填物形成用組成物の調整>
下記のA液及びB液をそれぞれ70/30の質量比(A液/B液)で混合することで、第2の充填物形成用組成物を調製した。
A液:テトラエトキシシラン(Si(OC)17.9gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加えて30分間攪拌して加水分解させた固形分5質量%(SiO換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの5質量%水/メタノール溶液(水:メタノールの質量比は95:5)。
(実施例2-3)
VM-OPPフィルム(MAX speciality Films社製、商品名:M15SL6、厚さ:15μm)に代えてVM-OPP(三井化学東セロ社製、商品名:ML-OP102、厚さ:25μm)を用いたほかは実施例2―1と同様にして積層フィルムを作製した。
(実施例2-4)
ポリエチレンフィルム(シーラント層)の上にアルミニウム粒子層(アルミニウム蒸着層)を蒸着により形成してなるVM-PE(三井化学東セロ社製、商品名:TUX-F、厚さ:50μm)を用意し、アルミニウム粒子層の上に実施例2-1と同様にして第2の樹脂組成物を塗布し0.5μmのコート層を形成して積層体を得た。当該積層体のコート層側の表面に、ドライラミネーション機を用いてウレタン系接着剤(DIC株式会社製、商品名:LX500/KW-75)を塗工し、HDPEからなるバリア基材層(タマポリ株式会社製、商品名:HS31、厚み30μm)を貼り付けて積層フィルムを作製した。
(実施例2-5)
シーラント層としてLLDPE(タマポリ株式会社製、商品名:LK410L)に代えてCPP(三井化学東セロ社製、商品名:GLE、厚さ:60μm)を用いたほかは実施例2―1と同様にして積層フィルムを作製した。
(実施例2-6)
VM-OPPのアルミニウム粒子層の上に第2の樹脂組成物を塗布し0.1μmのコート層を形成したほかは実施例2-1と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例2-1)
VM-OPPに第2の樹脂組成物を塗布せずバリア層として用いたこと以外は実施例2-1と同様にして積層フィルムを作製した。
(比較例2-2)
VM-PEに第2の樹脂組成物を塗布せずバリア層として用いたこと以外は実施例2-4と同様にして積層フィルムを作製した。
<パウチの作製>
実施例2-1から2-6及び比較例2-1、2-2の積層フィルム(サイズ:100mm×100mm)を2枚用意し、2枚の積層フィルムのシーラント層同士を対向させて積層体を用意し、シーラント層同士を接着させた。このとき、積層体の周縁部の一部を、コの字状をなすように接着させて接着部を形成するとともに、接着されていない部分(未接着部)を形成した。こうして、未接着部を有する包装袋としてのパウチを作製した。
次に、未接着部を有するパウチの未接着部から、内容物としてボディソープ(pH=8.5~9.1)を充填した。その後、未接着部において積層フィルムのシーラント層同士を接着させて、未接着部も接着部とした。こうして、包装袋を作製した。
<基材層とバリア層との間の密着性の評価及びアルミニウム粒子層の溶解抑制の評価>
上記のようにして得た包装袋を実施例2-1及び比較例2-1について2個用意した。そして、1個の包装袋については、直ぐに包装袋サンプルから、80mm×15mmの試験片を3個切り取り、3個の試験片についてT型剥離による引張試験を行い、基材層とバリア層との間のラミネート強度(単位:N/15mm)を初期のラミネート強度として測定した。このとき、引張試験は、300mm/minの速度で行った。結果を表2に示す。
一方、実施例2-1及び比較例2-1のもう1個の包装袋と、実施例2-2から2-6,比較例2-2の包装袋については、45℃、常湿の条件下に置いて促進試験を行い、1か月保存した。促進試験後、包装袋から、80mm×15mmの試験片を3個切り取り、3個の試験片について上記と同様にして引張試験を行い、基材層とバリア層との間のラミネート強度(単位:N/15mm)を1か月後のラミネート強度として測定した。結果を表2に示す。そして、初期のラミネート強度と1か月後のラミネート強度から、下記式に基づいて、ラミネート強度の低下率を算出した。

ラミネート強度の低下率(%)=100×(A0-A1)/A0
(上記式中、A0は、初期のラミネート強度を表し、A1は1か月後のラミネート強度を表す。)
Figure 0007347718000002
表2に示す結果より、実施例2-1の積層フィルムは、比較例2-1の積層フィルムに比べて、促進試験前から促進試験後1か月経過までのラミネート強度の低下率が十分に小さく抑えられていることが分かった。
また、促進試験後の包装袋について、保存後、パウチから内容物を取り出し、パウチ表面の外観を光学顕微鏡で観察した。観察倍率は1500倍とした。単位面積(10mm×10mm)あたりのアルミニウムの溶解が確認された領域の数を確認した。観察はそれぞれ任意の3箇所について行った。結果を表3に示した。また、アルミニウムが溶解した領域の大きさを表3に示した。
Figure 0007347718000003
実施例2-1、2-2、2-5は、観察した3箇所全てにおいてアルミニウム溶解が確認されなかった。実施例2-3は、観察した3箇所について、5つの領域、7つの領域、10の領域でそれぞれアルミニウムの溶解が確認された。実施例2-4は、観察した3箇所について8つの領域、10の領域、15の領域でそれぞれアルミニウムの溶解が確認された。実施例2-6は、観察した2箇所について4つの領域、残り1箇所について8つの領域でアルミニウムの溶解が確認された。比較例2-1は、観察した3箇所全てにおいてそれぞれ10以上の領域でアルミニウムの溶解が確認された。比較例2-2は、観察した3箇所全てにおいてそれぞれ20以上の領域でアルミニウムの溶解が確認された。充填物形成用組成物をアルミニウム粒子層に塗布していない比較例2-1及び2-2ではアルミニウムの溶解が顕著に観察された。他方、アルミニウム粒子層のアルミニウムの隙間に充填物形成用組成物の加熱乾燥物又は樹脂組成物が充填された実施例2-1~2-6では、アルミニウムの溶解が抑制されていた。
以上のことから、本開示の積層フィルムによれば、良好なリサイクル性を維持しつつ、酸性又はアルカリ性の液体を含む材料と長期間接触させても、アルミニウム粒子層の溶解を抑制できることが確認された。
本開示の要旨は以下の[1]~[11]に存する。
[1]バリア層と、バリア層に隣接する少なくとも1つの隣接層とを含む積層フィルムであって、
バリア層が、バリア基材と、バリア基材の一面上に、隣接層に対向するように設けられるコート層とを有し、
コート層が、アルミニウム粒子からなるアルミニウム粒子層と、アルミニウム粒子層の隙間に充填される樹脂組成物とからなり、
バリア基材及び隣接層が同一の樹脂を含む、積層フィルム。
[2]樹脂組成物が、水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物である、[1]に記載の積層フィルム。
[3]樹脂組成物が、不飽和カルボン酸、そのエステル及びその酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物により変性されたポリオレフィン樹脂を含む、[1]に記載の積層フィルム。
[4]コート層が、コート層の長手方向に沿って延在し且つアルミニウム粒子を含まない領域を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]少なくとも1つの隣接層が、バリア層の両側にそれぞれ設けられる基材層及びシーラント層である、[1]~[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]コート層の厚さが0.1μm以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7]バリア基材及び隣接層が同一の樹脂としてポリエステル樹脂を含み、
ポリエステル樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の積層フィルム。
[8]バリア基材及び隣接層が同一の樹脂としてポリオレフィン樹脂を含み、
ポリオレフィン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の積層フィルム。
[9]バリア基材及び隣接層が同一の樹脂としてポリプロピレン樹脂を含み、
ポリプロピレン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の積層フィルム。
[10]バリア基材及び隣接層が同一の樹脂としてポリエチレン樹脂を含み、
ポリエチレン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の積層フィルム。
[11]バリア基材が、ポリエステル樹脂を含み、
バリア基材に含まれるポリエステル樹脂の質量平均分子量が、1万~100万である、[1]~[7]のいずれかに記載の積層フィルム。
[12]水蒸気透過度が5g/m・day以下である、[1]~[11]のいずれかに記載の積層フィルム。
[13]酸素透過度が1cc/m・day・atm以下である、[1]~[12]のいずれかに記載の積層フィルム。
[14][1]~[13]のいずれかに記載の積層フィルムを用いてなる、包装袋。
100,300,600,700…積層フィルム、10…基材層(隣接層)、50…シーラント層(隣接層)、20,40…接着層、30…バリア層、400…包装袋、500…包装体、C…内容物。

Claims (14)

  1. バリア層と、前記バリア層に隣接する少なくとも1つの隣接層とを含む積層フィルムであって、
    前記バリア層が、バリア基材と、前記バリア基材の一面上に、前記隣接層に対向するように設けられるコート層とを有し、
    前記コート層が、アルミニウム粒子からなるアルミニウム粒子層と、前記アルミニウム粒子層の隙間に充填される樹脂組成物とからなり、
    前記バリア基材及び前記隣接層が同一の樹脂を含む、積層フィルム。
  2. 前記樹脂組成物が、水溶性高分子と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記樹脂組成物が、不飽和カルボン酸、そのエステル及びその酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物により変性されたポリオレフィン樹脂を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  4. 前記コート層が、前記コート層の長手方向に沿って延在し且つアルミニウム粒子を含まない領域を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  5. 前記少なくとも1つの隣接層が、前記バリア層の両側にそれぞれ設けられる基材層及びシーラント層である、請求項1に記載の積層フィルム。
  6. 前記コート層の厚さが0.1μm以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
  7. 前記バリア基材及び前記隣接層が同一の樹脂としてポリエステル樹脂を含み、
    前記ポリエステル樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
  8. 前記バリア基材及び前記隣接層が同一の樹脂としてポリオレフィン樹脂を含み、
    前記ポリオレフィン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
  9. 前記バリア基材及び前記隣接層が同一の樹脂としてポリプロピレン樹脂を含み、
    前記ポリプロピレン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
  10. 前記バリア基材及び前記隣接層が同一の樹脂としてポリエチレン樹脂を含み、
    前記ポリエチレン樹脂の合計質量が、積層フィルムの全量を基準として、90質量%以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
  11. 水蒸気透過度が5g/m・day以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  12. 酸素透過度が1cc/m・day・atm以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  13. 前記バリア基材が、ポリエステル樹脂を含み、
    前記バリア基材に含まれる前記ポリエステル樹脂の質量平均分子量が、1万~100万である、請求項1に記載の積層フィルム。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の積層フィルムを用いてなる、包装袋。

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