JP7347017B2 - 起泡性油脂食品用改質剤 - Google Patents

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Description

本発明は、起泡性油脂食品用改質剤に関する。また本発明は、起泡性油脂食品、並びに、その製造方法及び改質方法に関する。さらに本発明は、ホイップド油脂食品及びその製造方法に関する。
ホイップクリーム等のホイップド油脂食品は、生クリーム等の起泡性油脂食品を起泡することによって調製し得る。ホイップド油脂食品は、なめらかで口どけの良い食感等を求められ、また、ホイップド油脂食品はケーキ等の装飾にも用いられることが多く、外観に優れること等も求められる。しかし、起泡性油脂食品の起泡時間が長すぎ、過剰に起泡されると(すなわち、泡立てすぎると)、ホイップド油脂食品の食感、外観等が低下するという問題があった。
一方、ソースにアルギニンを添加することにより、なめらかさやボテつき等の食感を改善し得ることが報告されているが(特許文献1)、アルギニンを添加することにより、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる品質劣化を抑制し得ることは、これまで全く報告されていない。
特開2017-209105号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる品質劣化が抑制され、品質(食感、外観)の高いホイップド油脂食品を安定して調製し得る起泡性油脂食品を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の塩基性アミノ酸を添加することよって起泡性油脂食品を改質し得、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる、ホイップド油脂食品の品質劣化を抑制し得ることを見出し、さらに研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を含有する、起泡性油脂食品用改質剤。
[2]起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、0.04~5重量%となるように、起泡性油脂食品に添加される、[1]記載の剤。
[3]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[1]又は[2]記載の剤。
[4]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を含有する、起泡性油脂食品。
[5]遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の含有量が、起泡性油脂食品に対して、0.04~5重量%である、[4]記載の起泡性油脂食品。
[6]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[4]又は[5]記載の起泡性油脂食品。
[7]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を添加することを含む、起泡性油脂食品の製造方法。
[8]起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、0.04~5重量%である、起泡性油脂食品に添加される、[7]記載の方法。
[9]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[7]又は[8]記載の方法。
[10]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を添加することを含む、起泡性油脂食品の改質方法。
[11]起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、0.04~5重量%である、起泡性油脂食品に添加される、[10]記載の方法。
[12]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[10]又は[11]記載の方法。
[13]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を含有する、ホイップド油脂食品。
[14]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を添加した起泡性油脂食品を、起泡することを含む、ホイップド油脂食品の製造方法。
[15]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[14]記載の方法。
本発明によれば、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる品質劣化が抑制され、品質(食感、外観)の高いホイップド油脂食品を安定して調製し得る起泡性油脂食品及びその製造方法を提供できる。
本発明によれば、起泡性油脂食品を改質し、起泡性油脂食品が過剰に起泡されることによって起こる、ホイップド油脂食品の品質劣化を抑制するために好適に用いられ得る、起泡性油脂食品用改質剤及び起泡性油脂食品の改質方法を提供できる。
本発明によれば、起泡性油脂食品が過剰に起泡されることによって起こる品質劣化が抑制された、品質(食感、外観)の高いホイップド油脂食品及びその製造方法を提供できる。
本発明の起泡性油脂食品用改質剤(本明細書において、単に「本発明の剤」と称する場合がある)は、塩基性アミノ酸を含有することを、特徴の一つとする。
本発明において用いられ得る塩基性アミノ酸は、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つであり、好ましくは、アルギニンである。
本発明において用いられ得る塩基性アミノ酸は、L-体、D-体、DL-体のいずれも使用可能であるが、好ましくは、L-体、DL-体であり、さらに好ましくは、L-体である。
本発明において用いられ得る塩基性アミノ酸は、遊離又は塩形態であることが好ましい。
本発明において「遊離形態」の塩基性アミノ酸とは、他のアミノ酸と結合してタンパク質やペプチド等を形成せず、遊離の状態で存在しているものをいう。
塩基性アミノ酸の「塩形態」は、食品上許容され得るものであれば特に制限されないが、例えば、無機酸(例、塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等)との塩;有機酸(例、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチル硫酸等)との塩;無機塩基(例、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニア等)との塩;有機塩基(例、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)との塩等の形態が挙げられる。また塩基性アミノ酸の塩形態は、水和物(含水塩)の形態であってもよく、かかる水和物としては、例えば1~6水和物等が挙げられる。
本発明において用いられ得る塩基性アミノ酸は、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、或いは、化学合成法、発酵法、酵素法又は遺伝子組換え法によって得られるもののいずれを使用してもよい。
本発明において塩基性アミノ酸は単独で用いてよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
本発明の剤における、遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の含有量は、本発明の剤に対して、好ましくは、0.01重量%以上であり、より好ましくは、0.1重量%以上であり、特に好ましくは1重量%以上である。また当該含有量は、本発明の剤に対して、好ましくは、100重量%以下であり、より好ましくは、99.9重量%以下であり、特に好ましくは、99重量%以下である。本発明において塩形態の塩基性アミノ酸の量は、遊離形態に換算して算出される。
本発明の剤の形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等が挙げられる。
本発明の剤は、塩基性アミノ酸のみからなるものであってよいが、塩基性アミノ酸に加えて、本発明の剤の形態等に応じた慣用の基剤をさらに含有してもよい。
本発明の剤の形態が液体状の場合の基剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。
本発明の剤の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロース及びグルコース等の各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、及びそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
本発明の剤は、本発明の目的を損なわない限り、塩基性アミノ酸に加えて、例えば、賦形剤、pH調整剤、酸化防止剤、増粘安定剤、甘味料(例、糖類等)、酸味料、香辛料、着色料等を更に含有してよい。
本発明の剤の製造は、自体公知の手法により行い得る。本発明の剤は、例えば、濃縮処理、乾燥処理、脱色処理等を、単独で又は組み合わせて施されてもよい。
本発明の剤は、起泡性油脂食品に添加して用いられ得る。本発明において「起泡性油脂食品」とは、油脂(例、動物油脂、植物油脂等)を少なくとも含有し、起泡性を有する食品をいう。ここで「起泡性」とは、起泡処理(例えば、高速撹拌処理等)を施すことによって泡立ち得る性質をいう。また、一般に「油」は、常温で流動性を有するものを指し、「脂肪」は、常温で流動性を有しないものを指す場合があるが、本発明における「油脂」は、それらの両方を包含する概念である。また、起泡性油脂食品を起泡して得られる、気泡を有する食品(例、ホイップドクリーム等)を、本発明において「ホイップド油脂食品」といい、これは、起泡前の起泡性油脂食品とは区別される概念である。
起泡性油脂食品が含有し得る油脂は特に制限されないが、例えば、キャノーラ油、大豆油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ゴマ油、アマニ油、ヒマワリ油、落花生油、綿実油、オリーブ油、コメ油、パーム油、糠油、荏油、グレープシード油等の植物油脂;乳脂、豚脂、牛脂、鶏油、羊脂、馬脂、魚油、鯨油の動物油脂等が挙げられる。また、これらの油脂をエステル交換したエステル交換油脂や、これらの油に水素添加した硬化油脂等であってもよい。
本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品は、油脂として実質的に植物油脂のみを含有してよく、又は、油脂として実質的に動物油脂(例、乳脂等)のみを含有してもよい。あるいは、本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品は、油脂として植物油脂及び動物油脂(例、乳脂等)を組み合わせて含有してもよい。本明細書において、起泡性油脂食品が「油脂として実質的に植物油脂のみを含有する」とは、起泡性油脂食品に含有される油脂の95重量%以上(好ましくは99重量%以上)が、植物油脂であることを意味する。また、起泡性油脂食品が「油脂として実質的に動物油脂のみを含有する」等も、これと同様のことを意味する。
本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品は、油脂に加えて、他の成分を任意で含有し得る。そのような任意成分としては、例えば、水、乳化剤(例、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン等)、糖類(例、砂糖、ブドウ糖、果糖、異性化糖、液糖、澱粉糖化物、デキストリン、澱粉、糖アルコール等)、タンパク質(例、大豆タンパク質等の植物タンパク質;乳タンパク質等)、安定剤(ジェランガム、グアガム、キサンタンガム、寒天、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、結晶セルロース、微結晶セルロース等)、pH調整剤、酸化防止剤、ビタミン類、ミネラル類、着色料、香料等が挙げられる。これらの任意成分は一種単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
起泡性油脂食品における油脂の含有量は特に制限されないが、起泡性油脂食品に対して、通常10~60重量%であり、好ましくは、15~50重量%である。
本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品のpHは特に制限されないが、通常3~12であり、好ましくは、5~10であり、より好ましくは、6.5~8である。
本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品は、乳化構造を有するものであってよい。乳化の形態は、起泡性を示し得るものであれば特に制限されないが、例えば、水中油型(O/W型)、水中油中水型(W/O/W型)等が挙げられる。すなわち本発明において、起泡性油脂食品は、起泡性水中油型乳化物、起泡性水中油中水型乳化物等の起泡性乳化物を包含する概念であり、一態様として、起泡性水中油型乳化物、起泡性水中油中水型乳化物等であってよい。
本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品の具体例としては、生クリーム、植物性クリーム、コンパウンドクリーム等が挙げられる。本発明において「生クリーム」とは、油脂として実質的に乳脂肪のみを含有する起泡性油脂食品をいい、典型的には、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で規定される「クリーム」(生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分を18.0%以上にしたもの)等が挙げられる。「植物性クリーム」とは、油脂として実質的に植物油脂のみを含有する起泡性油脂食品をいい、「コンパウンドクリーム」とは、油脂として乳脂肪及び植物油脂を含有する起泡性油脂食品をいう。
起泡性油脂食品の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造し得る。起泡性油脂食品は、市販品を用いてもよく、簡便であることから好ましい。起泡性油脂食品の市販品としては、例えば、「森永ホイップ 植物性脂肪」(森永乳業株式会社)、「ホイップ 植物性脂肪」(雪印メグミルク株式会社)、「ホイップ低脂肪 植物性脂肪」(雪印メグミルク株式会社)、「ナイスホイップG」(中沢乳業株式会社)、「ナイスホイップA」(中沢乳業株式会社)、「フレッシュクリーム42%」(中沢乳業株式会社)、「濃久里夢ほいっぷくれーる」(不二製油株式会社)等が挙げられる。
本発明の剤は、起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、好ましくは、0.04重量%以上、より好ましくは、0.08重量%以上、更に好ましくは、0.2重量%以上、特に好ましくは、0.4重量%以上となるように、起泡性油脂食品に添加され得る。
また本発明の剤は、起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、好ましくは、5重量%以下、より好ましくは、3重量%以下、特に好ましくは、2.5重量%以下となるように、起泡性油脂食品に添加され得る。
本発明の剤を、起泡性油脂食品に添加し得る時期は、塩基性アミノ酸が偏ることなく起泡性油脂食品(又は、起泡性油脂食品を起泡して得られるホイップド油脂食品)の全体に含有されれば特に制限されず、例えば、起泡前の起泡性油脂食品に添加してよく、又は、起泡中(例、撹拌中等)の起泡性油脂食品に添加してもよい。あるいは、例えば、起泡性油脂食品を高速で撹拌すること等によって起泡してホイップド油脂食品を調製し、その後、当該ホイップド油脂食品のキメを整えること等のために低速で撹拌する場合、ホイップド油脂食品の低速での撹拌前又は撹拌中に、本発明の剤を添加してもよい。
本発明の剤を添加した起泡性油脂食品の起泡方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行えばよいが、例えば、ホイッパー、ホイップマシン、ハンドミキサー等を用いて、起泡性油脂食品を撹拌すること等により起泡し得る。起泡時間は、起泡性油脂食品の種類及び起泡時の温度、起泡方法、並びに、ホイップド油脂食品の用途等に応じて適宜設定すればよい。例えば、起泡性油脂食品を撹拌することにより起泡する場合、その起泡時間(撹拌時間)は、撹拌速度等に応じて適宜調整すればよいが、通常30秒以上であり、好ましくは60秒以上であり、特に好ましくは90秒以上である。起泡時間の上限も、起泡性油脂食品の種類及び起泡時の温度、起泡方法、並びに、ホイップド油脂食品の用途等に応じて適宜調整すればよいが、本発明は、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(例えば、起泡性油脂食品の起泡時間が長すぎること等)によって起こるホイップド油脂食品の品質劣化を抑制し得ることから、例えば、起泡性油脂食品を撹拌することにより起泡する場合、起泡時間(撹拌時間)の上限は、15分(好ましくは12分、特に好ましくは10分)であってよい。
本発明の剤によれば、起泡性油脂食品を改質し、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(例えば、起泡性油脂食品の起泡時間が長すぎること等)によって起こる、ホイップド油脂食品(例、ホイップドクリーム等)の品質劣化を抑制し得る。
ホイップド油脂食品の品質(食感、外観)の評価方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行えばよいが、例えば、ホイップド油脂食品の食感は、専門パネルによる官能評価により、なめらかさ、口どけの良さ、油っぽさを評点付けすること等によって、評価し得る。ここで「なめらかさ」とは、口の中や舌で感じるざらつきの少なさをいい、「口どけの良さ」とは、口の中への広がりやすさ(固体又は半固体から液体への変化のしやすさ)をいい、「油っぽさ」とは、口の中や舌で感じるべたつきをいう。なめらかさ及び口どけの良さは、強いことが好ましく、油っぽさは、弱いこと(油っぽくないこと)が好ましい。
ホイップド油脂食品の外観は、例えば、色彩色差計(例、コニカミノルタジャパン株式会社製「CR-400」等)を用いて、色度(例、L表色系のb値等)を測定すること等によって、評価し得る。また専門パネルの目視による官能評価によっても評価し得る。
本発明の剤は、起泡性油脂食品の起泡処理に伴う、ホイップド油脂食品の品質(食感、外観)劣化の抑制用として、好ましく用いられ得る。
本発明の剤は、ホイップド油脂食品の食感の向上(例えば、なめらかさの向上、口どけの向上、油っぽさの改善等)にも用いられ得る。
本発明は、起泡性油脂食品も提供する。本発明の起泡性油脂食品は、塩基性アミノ酸を含有することを特徴の一つとする。
本発明の起泡性油脂食品が含有する塩基性アミノ酸は、上述の本発明の剤が含有する塩基性アミノ酸と同様のものであり、好適な態様も同様である。
本発明の起泡性油脂食品における、遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の含有量は、起泡性油脂食品に対して、好ましくは、0.04重量%以上、より好ましくは、0.08重量%以上、更に好ましくは、0.2重量%以上、特に好ましくは、0.4重量%以上である。また当該含有量は、起泡性油脂食品に対して、好ましくは、5重量%以下、より好ましくは、3重量%以下、特に好ましくは、2.5重量%以下である。
本発明の起泡性油脂食品が含有する油脂は特に制限されないが、例えば、本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品が含有し得る油脂(上述)と同様のものが挙げられる。
本発明の起泡性油脂食品は、油脂として実質的に植物油脂のみを含有してよく、又は、油脂として実質的に動物油脂(例、乳脂等)のみを含有してもよい。あるいは、本発明の起泡性油脂食品は、油脂として植物油脂及び動物油脂(例、乳脂等)を含有してもよい。
本発明の起泡性油脂食品は、塩基性アミノ酸及び油脂に加えて、他の成分を任意で含有し得る。そのような任意成分としては、例えば、本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品が含有し得る任意成分(上述)と同様のものが挙げられる。
本発明の起泡性油脂食品における油脂の含有量は特に制限されないが、起泡性油脂食品に対して、通常10~60重量%であり、好ましくは、15~50重量%である。
本発明の起泡性油脂食品のpHは特に制限されないが、通常3~12であり、好ましくは、5~11であり、より好ましくは、6.5~10である。
本発明の起泡性油脂食品は、乳化構造を有するものであってよい。乳化の形態は、本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品が有し得る乳化構造(上述)と同様である。本発明の起泡性油脂食品は、一態様として、起泡性水中油型乳化物、起泡性水中油中水型乳化物等であってよい。
本発明の起泡性油脂食品の具体例としては、本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品の具体例(上述)と同様のものが挙げられる。
本発明の起泡性油脂食品の製造方法は、塩基性アミノ酸を添加することを含む。本発明の起泡性油脂食品の製造方法において用いられ得る塩基性アミノ酸は、上述の本発明の剤が含有する塩基性アミノ酸と同様のものであり、好適な態様も同様である。
本発明の起泡性油脂食品の製造方法において、塩基性アミノ酸を添加し得る起泡性油脂食品は、上述の本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品と同様のものであり、好適な態様も同様である。本発明の起泡性油脂食品は、例えば、市販の起泡性油脂食品に、塩基性アミノ酸を添加すること等によって製造し得る。起泡性油脂食品の市販品としては、例えば、本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品の市販品(上述)と同様のものが挙げられる。
本発明の起泡性油脂食品の製造方法は、塩基性アミノ酸を添加すること以外は、通常の起泡性油脂食品の製造方法と同様に行い得る。塩基性アミノ酸を添加する時期は特に制限されず、例えば、起泡性油脂食品の調製前又は調製中において、他の原材料に添加してよく、あるいは、調製後の起泡性油脂食品に添加してもよい。
本発明の起泡性油脂食品の起泡方法は特に制限されず、例えば、本発明の剤を添加した起泡性油脂食品の起泡方法(上述)と同様に行い得、好ましい態様も同様である。
本発明の起泡性油脂食品は、過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる品質劣化が抑制されているため扱いやすく、品質(食感、外観)の高いホイップド油脂食品(例、ホイップドクリーム等)を安定して調製し得る。
本発明の起泡性油脂食品によれば、食感の向上(例、なめらかさの向上、口どけの向上、油っぽさの改善等)がなされた、好ましい食感を有するホイップド油脂食品も調製し得る。
本発明は、起泡性油脂食品の改質方法(本明細書において、単に「本発明の改質方法」と称する場合がある)も提供する。本発明の改質方法は、塩基性アミノ酸を添加することを含むことを、特徴の一つとする。
本発明の改質方法は、上述の本発明の起泡性油脂食品の製造方法と同様に行い得、好適な態様も同様である。
本発明の改質方法によれば、起泡性油脂食品を改質し、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(例えば、起泡性油脂食品の起泡時間が長すぎること等)によって起こる、ホイップド油脂食品の品質劣化を抑制し得る。
本発明の改質方法は、起泡性油脂食品の起泡処理に伴う、ホイップド油脂食品の品質(食感、外観)劣化を抑制するために、好ましく用いられ得る。
本発明の改質方法によれば、ホイップド油脂食品の食感向上(例、なめらかさの向上、口どけの向上、油っぽさの改善等)もなし得る。
本発明は、ホイップド油脂食品(例、ホイップドクリーム等)も提供する。本発明のホイップド油脂食品は、塩基性アミノ酸を含有することを、特徴の一つとする。
本発明のホイップド油脂食品が含有する塩基性アミノ酸は、上述の本発明の剤が含有する塩基性アミノ酸と同様のものであり、好適な態様も同様である。
本発明のホイップド油脂食品が含有し得る油脂は特に制限されないが、例えば、本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品が含有し得る油脂(上述)と同様のものが挙げられる。
本発明のホイップド油脂食品は、塩基性アミノ酸及び油脂に加えて、他の成分を任意で含有し得る。そのような任意成分としては、例えば、本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品が含有し得る任意成分(上述)と同様のものが挙げられる。
本発明のホイップド油脂食品の製造方法は、塩基性アミノ酸を添加した起泡性油脂食品を、起泡することを含む。本発明のホイップド油脂食品の製造方法において用いられ得る塩基性アミノ酸は、上述の本発明の剤が含有する塩基性アミノ酸と同様のものであり、好適な態様も同様である。
本発明のホイップド油脂食品の製造方法において、塩基性アミノ酸を添加し得る起泡性油脂食品は、上述の本発明の剤が用いられ得る起泡性油脂食品と同様のものであり、好適な態様も同様である。
本発明のホイップド油脂食品は、例えば、上述の本発明の起泡性油脂食品を起泡すること、又は、上述の本発明の剤を添加した起泡性油脂食品を起泡すること等によっても製造し得る。あるいは、ホイップド油脂食品に、上述の本発明の剤を添加し、適宜撹拌すること等によっても製造し得る。
本発明のホイップド油脂食品の製造方法において、起泡性油脂食品の起泡方法は特に制限されず、例えば、本発明の剤を添加した起泡性油脂食品の起泡方法(上述)と同様に行い得、好ましい態様も同様である。
本発明のホイップド油脂食品は、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(例えば、起泡性油脂食品の起泡時間が長すぎること等)によって起こる品質劣化が抑制され、品質(食感、外観)に優れ得る。
本発明のホイップド油脂食品は、食感が向上(例、なめらかさの向上、口どけの向上、油っぽさの改善等)し、好ましい食感を有し得る。
本発明のホイップド油脂食品の用途は特に制限されず、ホイップドクリーム等が通常用いられ得る食品(例、ケーキ、デザートパイ、シュー、パン、クッキー、ビスケット、コーヒー等の飲料等)において、例えば、トッピング用、ナッペ用、サンド用、フィリング用等として使用され得る。また、本発明のホイップド油脂食品は、一般にホイップドクリーム等と混合して用いられ得る食品素材(例、カスタードクリーム、果汁、メレンゲ、ゼラチン液、ムース等)と混合して使用されてもよい。
本発明のホイップド油脂食品は、凍結させて流通、販売等されてよく、本発明のホイップド油脂食品には、その冷凍品も包含される。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、以下の実施例において用いられた原料(例えば、アルギニン等)は、特にことわりのない限り、いずれも食品用として市販されているものである。
試験例1
<ホイップドクリームの調製>
(コントロール)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から2分10秒後の時点で撹拌を終了して、ホイップドクリームを得、次いで、スタンドミキサーの速度調節レバーを「1」(回転数:55×3.3rpm)にセットして20秒間撹拌し(すなわち、撹拌時間の合計は、2分30秒間)、得られたホイップドクリームのキメを整えた(以下、当該ホイップドクリームを「コントロールのホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例1)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から2分10秒後の時点で、粉体のアルギニンを、植物性クリームに対して0.5重量%添加し、そのまま撹拌を続けて起泡させた。
撹拌開始から3分後の時点で、撹拌を終了し(すなわち、撹拌時間は3分間)、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例1のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例2)
撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例2のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例3)
撹拌を、撹拌開始から10分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は10分間)以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例3のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例1)
アルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例1のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例2)
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例2のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例3)
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から10分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は10分間)以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例3のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例4)
市販のコンパウンドクリーム(中沢乳業株式会社製、商品名「ナイスホイップG」、乳脂肪分:18%、植物性脂肪分:27%、無脂乳固形分:4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から2分10秒後の時点で、粉体のアルギニンを、コンパウンドクリームに対して0.5重量%添加し、そのまま撹拌を続けて起泡させた。
撹拌開始から3分後の時点で、撹拌を終了し(すなわち、撹拌時間は3分間)、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例4のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例5)
撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例5のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例6)
撹拌を、撹拌開始から10分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は10分間)以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例6のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例4)
アルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例4のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例5)
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例5のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例6)
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から10分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は10分間)以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例6のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例7)
市販の生クリーム(中沢乳業株式会社製、商品名「フレッシュクリーム42%」、乳脂肪分:42%、植物性脂肪分:0%、無脂乳固形分:5.2%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から2分10秒後の時点で、粉体のアルギニンを、生クリームに対して0.5重量%添加し、そのまま撹拌を続けて起泡させた。
撹拌開始から3分後の時点で、撹拌を終了し(すなわち、撹拌時間は3分間)、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例7のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例8)
撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例7と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例8のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例7)
アルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例7と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例7のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例8)
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例7と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例8のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
<官能評価>
(食感の官能評価)
実施例1~8、比較例1~8及びコントロールのホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により官能評価を実施した。
官能評価は、各パネルが、ホイップドクリームの「なめらかさ」、「口どけの良さ」及び「油っぽさ」について、下記の基準に基づき、0.5点刻みで評点付けした後、5名のパネルの平均点を算出することにより行った。
実施例1~3、比較例1~3及びコントロールのホイップドクリームの評点付けは、比較例1を3点とする下記の基準に基づいて行い、実施例4~6及び比較例4~6のホイップドクリームの評点付けは、比較例4を3点とする下記の基準に基づいて行い、実施例7、8及び比較例7、8のホイップドクリームの評点付けは、比較例7を3点とする下記の基準に基づいて行った。
また5名のパネルは、ホイップドクリームの「なめらかさ」、「口どけの良さ」及び「油っぽさ」の各評価基準について、評点が0.5点変動するには、なめらかさ、口どけの良さ、油っぽさがどの程度変動すればよいのか等をパネル間で共通となるよう予め訓練された。
(実施例1~3、比較例1~3及びコントロールのホイップドクリームの評価基準)
[なめらかさ、口どけの良さ]
5点:比較例1のホイップドクリームに比べて、とても強い
4点:比較例1のホイップドクリームに比べて、強い
3点:比較例1のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例1のホイップドクリームに比べて、弱い
1点:比較例1のホイップドクリームに比べて、とても弱い
[油っぽさ]
5点:比較例1のホイップドクリームに比べて、とても油っぽくない(べたつきがない)
4点:比較例1のホイップドクリームに比べて、油っぽくない(べたつきが少ない)
3点:比較例1のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例1のホイップドクリームに比べて、油っぽい
1点:比較例1のホイップドクリームに比べて、とても油っぽい(べたつく)
(実施例4~6及び比較例4~6のホイップドクリームの評価基準)
[なめらかさ、口どけの良さ]
5点:比較例4のホイップドクリームに比べて、とても強い
4点:比較例4のホイップドクリームに比べて、強い
3点:比較例4のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例4のホイップドクリームに比べて、弱い
1点:比較例4のホイップドクリームに比べて、とても弱い
[油っぽさ]
5点:比較例4のホイップドクリームに比べて、とても油っぽくない(べたつきがない)
4点:比較例4のホイップドクリームに比べて、油っぽくない(べたつきが少ない)
3点:比較例4のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例4のホイップドクリームに比べて、油っぽい
1点:比較例4のホイップドクリームに比べて、とても油っぽい(べたつく)
(実施例7、8及び比較例7、8のホイップドクリームの評価基準)
[なめらかさ、口どけの良さ]
5点:比較例7のホイップドクリームに比べて、とても強い
4点:比較例7のホイップドクリームに比べて、強い
3点:比較例7のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例7のホイップドクリームに比べて、弱い
1点:比較例7のホイップドクリームに比べて、とても弱い
[油っぽさ]
5点:比較例7のホイップドクリームに比べて、とても油っぽくない(べたつきがない)
4点:比較例7のホイップドクリームに比べて、油っぽくない(べたつきが少ない)
3点:比較例7のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例7のホイップドクリームに比べて、油っぽい
1点:比較例7のホイップドクリームに比べて、とても油っぽい(べたつく)
(外観の官能評価)
実施例1~8、比較例1~8及びコントロールのホイップドクリームを、調製後直ちに、30gずつ紙コップに気泡を潰さないようそれぞれ充填し、訓練されたパネルが目視にて外観を評価した。
また実施例1~8、比較例1~8及びコントロールのホイップドクリームを、調製後直ちに、30gずつ紙コップに気泡を潰さないようそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネルが目視にて外観を評価した。
その結果、いずれのホイップドクリームにおいても、アルギニンを添加することよって、なめらかで白い外観が維持される傾向にあった。
<理化学的評価>
実施例1~8及び比較例1~8のホイップドクリームを、調製後直ちに、5オンス紙コップに充填し、擦り切りにした後、上からラップをかけ、色彩色差計(コニカミノルタジャパン株式会社製「CR-400」)を使用して、b値を測定した。ここでb値は、青から黄にかけての色味の強さを表し、プラスの値は、高いほど黄色味が強いことを示し、マイナスの値は、高いほど青色味が強いことを示す。尚、b値=0の場合は、青でも黄でもない色味である。
食感の官能評価を下表1に、理化学的評価の結果(b値)を下表2に、それぞれ示す。
表1に示される結果から明らかなように、いずれの起泡性油脂食品(植物性クリーム、コンパウンドクリーム、生クリーム)においても、アルギニンを添加することよって、起泡性油脂食品の起泡時間が長すぎることによって起こる、ホイップド油脂食品(ホイップドクリーム)の食感の低下が抑制された。植物性クリーム、コンパウンドクリームでは、起泡時間(撹拌時間)が長くなることに伴い、油っぽさが目立つようになったが、アルギニン添加により改善された。また、生クリームでは、起泡時間(撹拌時間)が長くなることに伴い、分離が進んだが、アルギニン添加により分離が抑制され、なめらかでざらつきのない、良好な舌触りとなった。
また表2に示される結果から明らかなように、いずれの起泡性油脂食品(植物性クリーム、コンパウンドクリーム、生クリーム)においても、アルギニンを添加することよって、プラスのb値が低くなり、なめらかで白い外観が維持される傾向にあった。
外観の官能評価でも、いずれの起泡性油脂食品においても、アルギニンを添加することよって、なめらかで白い外観が維持される傾向にあった。
これらの結果から、塩基性アミノ酸(アルギニン)を添加することよって起泡性油脂食品を改質し得、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる、ホイップド油脂食品の品質劣化を抑制し得ることが確認された。
試験例2
<ホイップドクリームの調製>
(実施例9)
(1)市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。撹拌開始から2分10秒後の時点で撹拌を終了して、ホイップドクリームを得た。
(2)得られたホイップドクリームに、植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを粉体のまま添加した。
(3)スタンドミキサーの速度調節レバーを「1」(回転数:55×3.3rpm)にセットして20秒間撹拌し(すなわち、撹拌時間の合計は2分30秒間)、当該ホイップドクリームのキメを整えた(以下、当該ホイップドクリームを「実施例9のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例9)
ホイップドクリームにアルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例9のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例10)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して8.0重量%のグラニュー糖を粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例10のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例11)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のメタリン酸ナトリウムを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例11のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例12)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のクエン酸ナトリウムを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例12のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例13)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.25重量%のリン酸三ナトリウムを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例13のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例14)
ゼラチン1.8重量部を、水9重量部に溶き、湯せんで80℃まで達温させた後、52~60℃まで放冷し、得られた溶液を、実施例9(1)と同様の手順で得られたホイップドクリーム350重量部に、ヘラを使用してよく混合(手混合)した(以下、当該ホイップドクリームを「比較例14のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例15)
グアガム0.7重量部を、水8重量部に溶き、湯せんで80℃まで達温させた後、52~60℃まで放冷し、得られた溶液を、実施例9(1)と同様の手順で得られたホイップドクリーム350重量部に、ヘラを使用してよく混合(手混合)した(以下、当該ホイップドクリームを「比較例15のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例16)
ローカストビーンガム1.1重量部を、水46重量部に溶き、湯せんで80℃まで達温させた後、52~60℃まで放冷し、得られた溶液を、実施例9(1)と同様の手順で得られたホイップドクリーム350重量部に、ヘラを使用してよく混合(手混合)した(以下、当該ホイップドクリームを「比較例16のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例17)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のグルタミンを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例17のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例18)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のグルタミン酸ナトリウムを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例18のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例19)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のヒスチジンを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例19のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例20)
ホイップドクリームにアルギニンを添加しなかったこと及び12本組ワイヤーホイップに代えて、6本組ワイヤーホイップを用いたこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例20のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
<官能評価>
(食感の官能評価)
実施例9及び比較例9~20のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により官能評価を実施した。
官能評価は、各パネルが、ホイップドクリームの「なめらかさ」、「口どけの良さ」及び「油っぽさ」について、比較例9を3点とする下記の基準に基づき、0.5点刻みで評点付けした後、5名のパネルの平均点を算出することにより行った。
5名のパネルは、ホイップドクリームの「なめらかさ」、「口どけの良さ」及び「油っぽさ」の各評価基準について、評点が0.5点変動するには、なめらかさ、口どけの良さ、油っぽさがどの程度変動すればよいのか等をパネル間で共通となるよう予め訓練された。
[なめらかさ、口どけの良さ]
5点:比較例9のホイップドクリームに比べて、とても強い
4点:比較例9のホイップドクリームに比べて、強い
3点:比較例9のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例9のホイップドクリームに比べて、弱い
1点:比較例9のホイップドクリームに比べて、とても弱い
[油っぽさ]
5点:比較例9のホイップドクリームに比べて、とても油っぽくない(べたつきがない)
4点:比較例9のホイップドクリームに比べて、油っぽくない(べたつきが少ない)
3点:比較例9のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例9のホイップドクリームに比べて、油っぽい
1点:比較例9のホイップドクリームに比べて、とても油っぽい(べたつく)
結果を、下表3に示す。
表3に示される結果から明らかなように、アルギニンを用いた実施例9のホイップドクリームは、良好な食感及び物性を有していた。一方、比較例9~20のホイップドクリームには、実施例9のように、良好な食感及び物性を両立し得るものはなかった。
試験例3
<ホイップドクリームの調製>
(実施例10)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニン塩酸塩を粉体のまま添加したこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例10のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例11)
植物性クリームにアルギニンを添加することに加えて、植物性クリームに対して0.2重量%の無水クエン酸を粉体のまま添加したこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例11のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例12)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のリジン塩酸塩を粉体のまま添加したこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例12のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
<官能評価>
(食感の官能評価)
実施例10~12のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により、試験例2と同様の手順で官能評価を実施した。
<pHの測定>
実施例10~12のホイップドクリームのpHを、突き刺し型のpHメーター(HACH社製、ISFET電極pHメーター Hシリーズ「H160」)を用いて、それぞれ測定した。
また試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームのpHも同様に測定した。
結果を、下表4に示す。尚、当該表には、試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームの官能評価の結果も併記した。
表4に示される結果から明らかなように、アルギニン塩酸塩を用いた実施例10のホイップドクリーム、リジン塩酸塩を用いた実施例12のホイップドクリームは、良好な食感を有していた。またホイップドクリームのpHにかかわらず、良好な食感が得られた。
試験例4
<ホイップドクリームの調製>
(実施例13)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを粉体のまま添加し、市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。撹拌開始から2分10秒後の時点で撹拌を終了して、ホイップドクリームを得た。
スタンドミキサーの速度調節レバーを「1」(回転数:55×3.3rpm)にセットして20秒間撹拌し(すなわち、撹拌時間の合計は2分30秒間)、当該ホイップドクリームのキメを整えた(以下、当該ホイップドクリームを「実施例13のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(実施例14)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から1分後の時点で、粉体のアルギニンを、植物性クリームに対して0.5重量%添加し、そのまま撹拌を続けて起泡させた。
撹拌開始から2分10秒後の時点で撹拌を終了して、ホイップドクリームを得た。
スタンドミキサーの速度調節レバーを「1」(回転数:55×3.3rpm)にセットして20秒間撹拌し(すなわち、撹拌時間の合計は2分30秒間)、当該ホイップドクリームのキメを整えた(以下、当該ホイップドクリームを「実施例14のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
<官能評価>
(食感の官能評価)
実施例13及び14のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により、試験例2と同様の手順で官能評価を実施した。
結果を、下表5に示す。尚、当該表には、試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームの官能評価の結果も併記した。
表5に示される結果から明らかなように、アルギニンを起泡性油脂食品に添加した時期にかかわらず、ホイップドクリームの食感が向上したが、添加の時期を遅くするほど、なめらかさが向上する傾向がみられた。
試験例5
<ホイップドクリームの調製>
(実施例15~20)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、下表6に示す量(植物性クリームに対して0.05~1.5重量%)でアルギニンを粉体のまま添加したこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例15~20のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
<官能評価>
(食感の官能評価)
実施例15~20のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により、試験例2と同様の手順で官能評価を実施した。
結果を、下表6に示す。尚、当該表には、試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームの官能評価の結果も併記した。
表6に示される結果から明らかなように、植物性クリームに対して0.05~1.5重量%のアルギニンを添加することによって、ホイップドクリームの食感が向上した。中でも、植物性クリームに対して0.1~1重量%のアルギニンを添加した実施例9及び16~19のホイップドクリームが好ましく、植物性クリームに対して0.3~0.8重量%のアルギニンを添加した実施例9、17及び18のホイップドクリームが好ましかった。
試験例6
<ホイップドクリームの調製>
(実施例21~26)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)に代えて、下表7に示す市販の起泡性油脂食品を用いたこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例21~26のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(比較例21~26)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)に代えて、下表7に示す市販の起泡性油脂食品を用いたこと及びホイップドクリームにアルギニンを添加しなかったこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例21~26のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
<官能評価>
(食感の官能評価)
実施例21~26及び比較例21~26のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により官能評価を実施した。
官能評価は、比較例9を3点とする基準に代えて、評価されるホイップドクリームと同じ起泡性油脂食品を用いて調製された比較例を3点とする基準に基づいて評点付けした以外は、試験例2と同様の手順で実施した。例えば、実施例21及び比較例21の官能評価は、比較例21を3点とする基準に基づいて評点付けした。
結果を、下表8に示す。尚、当該表には、試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームの官能評価の結果も併記した。
表8に示される結果から明らかなように、起泡性油脂食品の種類によらず、アルギニンを添加することによって、ホイップドクリームの食感が向上した。
本発明によれば、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる品質劣化が抑制され、品質(食感、外観)の高いホイップド油脂食品を安定して調製し得る起泡性油脂食品及びその製造方法を提供できる。
本発明によれば、起泡性油脂食品を改質し、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる、ホイップド油脂食品の品質劣化を抑制するために好適に用いられ得る、起泡性油脂食品用改質剤及び起泡性油脂食品の改質方法を提供できる。
本発明によれば、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる品質劣化が抑制された、品質(食感、外観)の高いホイップド油脂食品及びその製造方法を提供できる。

Claims (6)

  1. 遊離又は塩形態のアルギニンを含有する、起泡性油脂食品用改質剤であって、
    起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニンの量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%となるように、起泡性油脂食品に添加される剤
  2. 遊離又は塩形態のアルギニンを含有する、起泡性油脂食品であって、
    遊離又は塩形態のアルギニンの含有量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、起泡性油脂食品
  3. 遊離又は塩形態のアルギニンを添加することを含む、起泡性油脂食品の製造方法であって、
    起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニンの量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、方法
  4. 遊離又は塩形態のアルギニンを添加することを含む、起泡性油脂食品の改質方法であって、
    起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニンの量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、方法
  5. 遊離又は塩形態のアルギニンを含有する、ホイップド油脂食品であって、
    遊離又は塩形態のアルギニンの含有量が、前記ホイップド油脂食品を得るために起泡される起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、ホイップド油脂食品
  6. 遊離又は塩形態のアルギニンを添加した起泡性油脂食品を、起泡することを含む、ホイップド油脂食品の製造方法であって、
    前記起泡性油脂食品における遊離又は塩形態のアルギニンの含有量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、方法
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