JP7347017B2 - 起泡性油脂食品用改質剤 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
[2]起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、0.04~5重量%となるように、起泡性油脂食品に添加される、[1]記載の剤。
[3]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[1]又は[2]記載の剤。
[4]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を含有する、起泡性油脂食品。
[5]遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の含有量が、起泡性油脂食品に対して、0.04~5重量%である、[4]記載の起泡性油脂食品。
[6]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[4]又は[5]記載の起泡性油脂食品。
[7]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を添加することを含む、起泡性油脂食品の製造方法。
[8]起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、0.04~5重量%である、起泡性油脂食品に添加される、[7]記載の方法。
[9]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[7]又は[8]記載の方法。
[10]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を添加することを含む、起泡性油脂食品の改質方法。
[11]起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、0.04~5重量%である、起泡性油脂食品に添加される、[10]記載の方法。
[12]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[10]又は[11]記載の方法。
[13]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を含有する、ホイップド油脂食品。
[14]遊離又は塩形態の、アルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸を添加した起泡性油脂食品を、起泡することを含む、ホイップド油脂食品の製造方法。
[15]起泡性油脂食品が、起泡性乳化物である、[14]記載の方法。
本発明によれば、起泡性油脂食品を改質し、起泡性油脂食品が過剰に起泡されることによって起こる、ホイップド油脂食品の品質劣化を抑制するために好適に用いられ得る、起泡性油脂食品用改質剤及び起泡性油脂食品の改質方法を提供できる。
本発明によれば、起泡性油脂食品が過剰に起泡されることによって起こる品質劣化が抑制された、品質(食感、外観)の高いホイップド油脂食品及びその製造方法を提供できる。
本発明の剤の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロース及びグルコース等の各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、及びそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
また本発明の剤は、起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニン及びリジンからなる群より選択される少なくとも一つの塩基性アミノ酸の量が、起泡性油脂食品に対して、好ましくは、5重量%以下、より好ましくは、3重量%以下、特に好ましくは、2.5重量%以下となるように、起泡性油脂食品に添加され得る。
ホイップド油脂食品の品質(食感、外観)の評価方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行えばよいが、例えば、ホイップド油脂食品の食感は、専門パネルによる官能評価により、なめらかさ、口どけの良さ、油っぽさを評点付けすること等によって、評価し得る。ここで「なめらかさ」とは、口の中や舌で感じるざらつきの少なさをいい、「口どけの良さ」とは、口の中への広がりやすさ(固体又は半固体から液体への変化のしやすさ)をいい、「油っぽさ」とは、口の中や舌で感じるべたつきをいう。なめらかさ及び口どけの良さは、強いことが好ましく、油っぽさは、弱いこと(油っぽくないこと)が好ましい。
ホイップド油脂食品の外観は、例えば、色彩色差計(例、コニカミノルタジャパン株式会社製「CR-400」等)を用いて、色度(例、L*a*b*表色系のb*値等)を測定すること等によって、評価し得る。また専門パネルの目視による官能評価によっても評価し得る。
尚、以下の実施例において用いられた原料(例えば、アルギニン等)は、特にことわりのない限り、いずれも食品用として市販されているものである。
<ホイップドクリームの調製>
(コントロール)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から2分10秒後の時点で撹拌を終了して、ホイップドクリームを得、次いで、スタンドミキサーの速度調節レバーを「1」(回転数:55×3.3rpm)にセットして20秒間撹拌し(すなわち、撹拌時間の合計は、2分30秒間)、得られたホイップドクリームのキメを整えた(以下、当該ホイップドクリームを「コントロールのホイップドクリーム」と称する場合がある)。
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から2分10秒後の時点で、粉体のアルギニンを、植物性クリームに対して0.5重量%添加し、そのまま撹拌を続けて起泡させた。
撹拌開始から3分後の時点で、撹拌を終了し(すなわち、撹拌時間は3分間)、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例1のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例2のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
撹拌を、撹拌開始から10分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は10分間)以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例3のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
アルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例1のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例2のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から10分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は10分間)以外は、実施例1と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例3のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
市販のコンパウンドクリーム(中沢乳業株式会社製、商品名「ナイスホイップG」、乳脂肪分:18%、植物性脂肪分:27%、無脂乳固形分:4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から2分10秒後の時点で、粉体のアルギニンを、コンパウンドクリームに対して0.5重量%添加し、そのまま撹拌を続けて起泡させた。
撹拌開始から3分後の時点で、撹拌を終了し(すなわち、撹拌時間は3分間)、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例4のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例5のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
撹拌を、撹拌開始から10分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は10分間)以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例6のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
アルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例4のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例5のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から10分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は10分間)以外は、実施例4と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例6のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
市販の生クリーム(中沢乳業株式会社製、商品名「フレッシュクリーム42%」、乳脂肪分:42%、植物性脂肪分:0%、無脂乳固形分:5.2%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から2分10秒後の時点で、粉体のアルギニンを、生クリームに対して0.5重量%添加し、そのまま撹拌を続けて起泡させた。
撹拌開始から3分後の時点で、撹拌を終了し(すなわち、撹拌時間は3分間)、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例7のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例7と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例8のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
アルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例7と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例7のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
アルギニンを添加しなかったこと及び撹拌を、撹拌開始から5分後の時点で終了したこと(すなわち、撹拌時間は5分間)以外は、実施例7と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例8のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(食感の官能評価)
実施例1~8、比較例1~8及びコントロールのホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により官能評価を実施した。
官能評価は、各パネルが、ホイップドクリームの「なめらかさ」、「口どけの良さ」及び「油っぽさ」について、下記の基準に基づき、0.5点刻みで評点付けした後、5名のパネルの平均点を算出することにより行った。
実施例1~3、比較例1~3及びコントロールのホイップドクリームの評点付けは、比較例1を3点とする下記の基準に基づいて行い、実施例4~6及び比較例4~6のホイップドクリームの評点付けは、比較例4を3点とする下記の基準に基づいて行い、実施例7、8及び比較例7、8のホイップドクリームの評点付けは、比較例7を3点とする下記の基準に基づいて行った。
また5名のパネルは、ホイップドクリームの「なめらかさ」、「口どけの良さ」及び「油っぽさ」の各評価基準について、評点が0.5点変動するには、なめらかさ、口どけの良さ、油っぽさがどの程度変動すればよいのか等をパネル間で共通となるよう予め訓練された。
(実施例1~3、比較例1~3及びコントロールのホイップドクリームの評価基準)
[なめらかさ、口どけの良さ]
5点:比較例1のホイップドクリームに比べて、とても強い
4点:比較例1のホイップドクリームに比べて、強い
3点:比較例1のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例1のホイップドクリームに比べて、弱い
1点:比較例1のホイップドクリームに比べて、とても弱い
[油っぽさ]
5点:比較例1のホイップドクリームに比べて、とても油っぽくない(べたつきがない)
4点:比較例1のホイップドクリームに比べて、油っぽくない(べたつきが少ない)
3点:比較例1のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例1のホイップドクリームに比べて、油っぽい
1点:比較例1のホイップドクリームに比べて、とても油っぽい(べたつく)
(実施例4~6及び比較例4~6のホイップドクリームの評価基準)
[なめらかさ、口どけの良さ]
5点:比較例4のホイップドクリームに比べて、とても強い
4点:比較例4のホイップドクリームに比べて、強い
3点:比較例4のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例4のホイップドクリームに比べて、弱い
1点:比較例4のホイップドクリームに比べて、とても弱い
[油っぽさ]
5点:比較例4のホイップドクリームに比べて、とても油っぽくない(べたつきがない)
4点:比較例4のホイップドクリームに比べて、油っぽくない(べたつきが少ない)
3点:比較例4のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例4のホイップドクリームに比べて、油っぽい
1点:比較例4のホイップドクリームに比べて、とても油っぽい(べたつく)
(実施例7、8及び比較例7、8のホイップドクリームの評価基準)
[なめらかさ、口どけの良さ]
5点:比較例7のホイップドクリームに比べて、とても強い
4点:比較例7のホイップドクリームに比べて、強い
3点:比較例7のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例7のホイップドクリームに比べて、弱い
1点:比較例7のホイップドクリームに比べて、とても弱い
[油っぽさ]
5点:比較例7のホイップドクリームに比べて、とても油っぽくない(べたつきがない)
4点:比較例7のホイップドクリームに比べて、油っぽくない(べたつきが少ない)
3点:比較例7のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例7のホイップドクリームに比べて、油っぽい
1点:比較例7のホイップドクリームに比べて、とても油っぽい(べたつく)
実施例1~8、比較例1~8及びコントロールのホイップドクリームを、調製後直ちに、30gずつ紙コップに気泡を潰さないようそれぞれ充填し、訓練されたパネルが目視にて外観を評価した。
また実施例1~8、比較例1~8及びコントロールのホイップドクリームを、調製後直ちに、30gずつ紙コップに気泡を潰さないようそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネルが目視にて外観を評価した。
その結果、いずれのホイップドクリームにおいても、アルギニンを添加することよって、なめらかで白い外観が維持される傾向にあった。
実施例1~8及び比較例1~8のホイップドクリームを、調製後直ちに、5オンス紙コップに充填し、擦り切りにした後、上からラップをかけ、色彩色差計(コニカミノルタジャパン株式会社製「CR-400」)を使用して、b*値を測定した。ここでb*値は、青から黄にかけての色味の強さを表し、プラスの値は、高いほど黄色味が強いことを示し、マイナスの値は、高いほど青色味が強いことを示す。尚、b*値=0の場合は、青でも黄でもない色味である。
また表2に示される結果から明らかなように、いずれの起泡性油脂食品(植物性クリーム、コンパウンドクリーム、生クリーム)においても、アルギニンを添加することよって、プラスのb*値が低くなり、なめらかで白い外観が維持される傾向にあった。
外観の官能評価でも、いずれの起泡性油脂食品においても、アルギニンを添加することよって、なめらかで白い外観が維持される傾向にあった。
これらの結果から、塩基性アミノ酸(アルギニン)を添加することよって起泡性油脂食品を改質し得、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる、ホイップド油脂食品の品質劣化を抑制し得ることが確認された。
<ホイップドクリームの調製>
(実施例9)
(1)市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。撹拌開始から2分10秒後の時点で撹拌を終了して、ホイップドクリームを得た。
(2)得られたホイップドクリームに、植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを粉体のまま添加した。
(3)スタンドミキサーの速度調節レバーを「1」(回転数:55×3.3rpm)にセットして20秒間撹拌し(すなわち、撹拌時間の合計は2分30秒間)、当該ホイップドクリームのキメを整えた(以下、当該ホイップドクリームを「実施例9のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
ホイップドクリームにアルギニンを添加しなかったこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例9のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して8.0重量%のグラニュー糖を粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例10のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のメタリン酸ナトリウムを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例11のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のクエン酸ナトリウムを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例12のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.25重量%のリン酸三ナトリウムを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例13のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
ゼラチン1.8重量部を、水9重量部に溶き、湯せんで80℃まで達温させた後、52~60℃まで放冷し、得られた溶液を、実施例9(1)と同様の手順で得られたホイップドクリーム350重量部に、ヘラを使用してよく混合(手混合)した(以下、当該ホイップドクリームを「比較例14のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
グアガム0.7重量部を、水8重量部に溶き、湯せんで80℃まで達温させた後、52~60℃まで放冷し、得られた溶液を、実施例9(1)と同様の手順で得られたホイップドクリーム350重量部に、ヘラを使用してよく混合(手混合)した(以下、当該ホイップドクリームを「比較例15のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
ローカストビーンガム1.1重量部を、水46重量部に溶き、湯せんで80℃まで達温させた後、52~60℃まで放冷し、得られた溶液を、実施例9(1)と同様の手順で得られたホイップドクリーム350重量部に、ヘラを使用してよく混合(手混合)した(以下、当該ホイップドクリームを「比較例16のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のグルタミンを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例17のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のグルタミン酸ナトリウムを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例18のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のヒスチジンを粉体のまま添加したこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例19のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
ホイップドクリームにアルギニンを添加しなかったこと及び12本組ワイヤーホイップに代えて、6本組ワイヤーホイップを用いたこと以外は、実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例20のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(食感の官能評価)
実施例9及び比較例9~20のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により官能評価を実施した。
官能評価は、各パネルが、ホイップドクリームの「なめらかさ」、「口どけの良さ」及び「油っぽさ」について、比較例9を3点とする下記の基準に基づき、0.5点刻みで評点付けした後、5名のパネルの平均点を算出することにより行った。
5名のパネルは、ホイップドクリームの「なめらかさ」、「口どけの良さ」及び「油っぽさ」の各評価基準について、評点が0.5点変動するには、なめらかさ、口どけの良さ、油っぽさがどの程度変動すればよいのか等をパネル間で共通となるよう予め訓練された。
[なめらかさ、口どけの良さ]
5点:比較例9のホイップドクリームに比べて、とても強い
4点:比較例9のホイップドクリームに比べて、強い
3点:比較例9のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例9のホイップドクリームに比べて、弱い
1点:比較例9のホイップドクリームに比べて、とても弱い
[油っぽさ]
5点:比較例9のホイップドクリームに比べて、とても油っぽくない(べたつきがない)
4点:比較例9のホイップドクリームに比べて、油っぽくない(べたつきが少ない)
3点:比較例9のホイップドクリームと変わらない
2点:比較例9のホイップドクリームに比べて、油っぽい
1点:比較例9のホイップドクリームに比べて、とても油っぽい(べたつく)
<ホイップドクリームの調製>
(実施例10)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニン塩酸塩を粉体のまま添加したこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例10のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームにアルギニンを添加することに加えて、植物性クリームに対して0.2重量%の無水クエン酸を粉体のまま添加したこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例11のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、植物性クリームに対して0.5重量%のリジン塩酸塩を粉体のまま添加したこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例12のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(食感の官能評価)
実施例10~12のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により、試験例2と同様の手順で官能評価を実施した。
実施例10~12のホイップドクリームのpHを、突き刺し型のpHメーター(HACH社製、ISFET電極pHメーター Hシリーズ「H160」)を用いて、それぞれ測定した。
また試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームのpHも同様に測定した。
<ホイップドクリームの調製>
(実施例13)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを粉体のまま添加し、市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。撹拌開始から2分10秒後の時点で撹拌を終了して、ホイップドクリームを得た。
スタンドミキサーの速度調節レバーを「1」(回転数:55×3.3rpm)にセットして20秒間撹拌し(すなわち、撹拌時間の合計は2分30秒間)、当該ホイップドクリームのキメを整えた(以下、当該ホイップドクリームを「実施例13のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)を、冷蔵庫から出し400g秤量した後(品温:約4℃)、直ちに市販のスタンドミキサー(株式会社エフ・エム・アイ販売、製品名「キッチンエイドKSM5」)、並びに、当該スタンドミキサーに付属のステンレスボウル及び12本組ワイヤーホイップを用いて撹拌を開始した。スタンドミキサーの速度調節レバーは、「3」(回転数:135×3.3rpm)にセットした。
撹拌開始から1分後の時点で、粉体のアルギニンを、植物性クリームに対して0.5重量%添加し、そのまま撹拌を続けて起泡させた。
撹拌開始から2分10秒後の時点で撹拌を終了して、ホイップドクリームを得た。
スタンドミキサーの速度調節レバーを「1」(回転数:55×3.3rpm)にセットして20秒間撹拌し(すなわち、撹拌時間の合計は2分30秒間)、当該ホイップドクリームのキメを整えた(以下、当該ホイップドクリームを「実施例14のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(食感の官能評価)
実施例13及び14のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により、試験例2と同様の手順で官能評価を実施した。
結果を、下表5に示す。尚、当該表には、試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームの官能評価の結果も併記した。
<ホイップドクリームの調製>
(実施例15~20)
植物性クリームに対して0.5重量%のアルギニンを添加することに代えて、下表6に示す量(植物性クリームに対して0.05~1.5重量%)でアルギニンを粉体のまま添加したこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例15~20のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(食感の官能評価)
実施例15~20のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により、試験例2と同様の手順で官能評価を実施した。
結果を、下表6に示す。尚、当該表には、試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームの官能評価の結果も併記した。
<ホイップドクリームの調製>
(実施例21~26)
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)に代えて、下表7に示す市販の起泡性油脂食品を用いたこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「実施例21~26のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
市販の植物性クリーム(森永乳業株式会社製、商品名「森永ホイップ 植物性脂肪」、乳脂肪分:0%、植物性脂肪分:44%、無脂乳固形分:2.4%)に代えて、下表7に示す市販の起泡性油脂食品を用いたこと及びホイップドクリームにアルギニンを添加しなかったこと以外は、試験例2の実施例9と同様の手順で、ホイップドクリームを得た(以下、当該ホイップドクリームを「比較例21~26のホイップドクリーム」と称する場合がある)。
(食感の官能評価)
実施例21~26及び比較例21~26のホイップドクリームを、調製後直ちに耐水耐油処理された紙カップにそれぞれ充填し、-30℃にて急速凍結させた。
凍結した各ホイップドクリームを、常温(25℃)に120分間静置して自然解凍した後、訓練されたパネル5名により官能評価を実施した。
官能評価は、比較例9を3点とする基準に代えて、評価されるホイップドクリームと同じ起泡性油脂食品を用いて調製された比較例を3点とする基準に基づいて評点付けした以外は、試験例2と同様の手順で実施した。例えば、実施例21及び比較例21の官能評価は、比較例21を3点とする基準に基づいて評点付けした。
結果を、下表8に示す。尚、当該表には、試験例2の実施例9及び比較例9のホイップドクリームの官能評価の結果も併記した。
本発明によれば、起泡性油脂食品を改質し、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる、ホイップド油脂食品の品質劣化を抑制するために好適に用いられ得る、起泡性油脂食品用改質剤及び起泡性油脂食品の改質方法を提供できる。
本発明によれば、起泡性油脂食品が過剰に起泡されること(すなわち、泡立てすぎ)によって起こる品質劣化が抑制された、品質(食感、外観)の高いホイップド油脂食品及びその製造方法を提供できる。
Claims (6)
- 遊離又は塩形態のアルギニンを含有する、起泡性油脂食品用改質剤であって、
起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニンの量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%となるように、起泡性油脂食品に添加される剤。 - 遊離又は塩形態のアルギニンを含有する、起泡性油脂食品であって、
遊離又は塩形態のアルギニンの含有量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、起泡性油脂食品。 - 遊離又は塩形態のアルギニンを添加することを含む、起泡性油脂食品の製造方法であって、
起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニンの量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、方法。 - 遊離又は塩形態のアルギニンを添加することを含む、起泡性油脂食品の改質方法であって、
起泡性油脂食品に添加される遊離又は塩形態のアルギニンの量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、方法。 - 遊離又は塩形態のアルギニンを含有する、ホイップド油脂食品であって、
遊離又は塩形態のアルギニンの含有量が、前記ホイップド油脂食品を得るために起泡される起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、ホイップド油脂食品。 - 遊離又は塩形態のアルギニンを添加した起泡性油脂食品を、起泡することを含む、ホイップド油脂食品の製造方法であって、
前記起泡性油脂食品における遊離又は塩形態のアルギニンの含有量が、起泡性油脂食品に対して0.04~5重量%である、方法。
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