JP6816418B2 - ホイップクリーム - Google Patents

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Description

本発明は、呈味、風味、食感、保形性、及び、冷凍/解凍耐性に優れたホイップクリームを製造するためのクリーム及び当該クリームを用いて製造されたホイップクリーム等に関する。
ホイップクリームは、食品としての呈味、風味、及び食感等が重要であるだけでなく、ケーキなどのデコレーションに使用される場合には、その保形性が非常に重要となる。保形性の良いホイップクリームを用いれば、美しい装飾が可能となるだけでなく、デコレーション時の作業効率も向上するためである。
さらに、ホイップクリームには、冷解凍後も品質が落ちないとの特性(本明細書において、「冷凍/解凍耐性」と称することがある)も求められている。例えば、品質の劣化なくホイップクリームが冷解凍可能であれば、製造者が予めホイップして冷凍したホイップクリームをユーザーに提供することができる。これにより、ユーザー自らがクリームをホイップする必要がなくなり、解凍するだけで直ぐに品質の維持されたホイップクリームを使用できる。
これらを背景として、ホイップクリームの呈味、風味、食感、保形性、冷凍/解凍耐性といった特性を改良しようと試みる数多くの試みが報告されている。しかし、複数の特性を一挙に改善する手段を構築することは容易ではない。例えば、融点の低い油脂を用いた場合、ホイップクリームの口溶けを改善できるものの、保形性に問題が生じる(特許文献1)。反対に、融点の高い油脂を用いればホイップクリームの保形性は向上するが、口溶けを低下させてしまう(特許文献2)。また、糖質を多量に配合することで、冷凍/解凍耐性を向上させることができるが、一方で、甘すぎるため、呈味や風味を損なってしまう(特許文献3)。さらに、クリームに不活性ガスを通気することにより液中溶存酸素を低下させた後に脱泡処理を行い、さらに加熱殺菌することを特徴とする、風味が良く、流通時や保存時における乳化安定性に優れたクリームの製造方法も提案されてはいるものの、不活性ガス通気装置や脱泡処理工程を伴うため、特殊な装置や煩雑な作業工程の導入が必要となり、簡便に実施できないとの問題もある(特許文献4)。
特開平8−154612号公報 特開昭61−100167号公報 特開平10−201442号公報 特開2004−201601号公報
これらの事情に鑑み、本発明の課題は、呈味、風味、食感、保形性、及び冷凍/解凍耐性等の特性が一挙に改善されたホイップクリームの原料となるクリーム(以下、「クリーム」と略する)、及び、当該クリームを起泡することによって得られるホイップクリームを提供することにある。さらに、本発明の課題は、本発明のクリーム及び/又はホイップクリームを簡便に製造することができる方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、クリームに、トランスグルタミナーゼと、でん粉又はオキシダーゼのいずれかとを併用することにより、クリーム及びホイップクリームの物性や呈味等を改良し得る事実を見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](1)トランスグルタミナーゼ(TG)、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、を含むクリーム。
[2]でん粉が、コーンスターチ、小麦でん粉、米でん粉、馬鈴薯でん粉、甘藷でん粉、タピオカでん粉、緑豆でん粉、クズでん粉、カタクリでん粉、ワラビでん粉、及び、サゴでん粉からなる群から選択される1又は2以上である、[1]のクリーム。
[3]オキシダーゼが、グルコースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、パーオキシダーゼ、ラクトパーオキシダーゼ、及び、ポリフェノールオキシダーゼからなる群から選択される1又は2以上である、[1]のクリーム。
[4](1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、を含むホイップクリーム。
[5]でん粉が、コーンスターチ、小麦でん粉、米でん粉、馬鈴薯でん粉、甘藷でん粉、タピオカでん粉、緑豆でん粉、クズでん粉、カタクリでん粉、ワラビでん粉、及び、サゴでん粉からなる群から選択される1又は2以上である、[4]のホイップクリーム。
[6]オキシダーゼが、グルコースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、パーオキシダーゼ、ラクトパーオキシダーゼ、及び、ポリフェノールオキシダーゼからなる群から選択される1又は2以上である、[4]のホイップクリーム。
[7](1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合することを含む、クリームの製造方法。
[8]以下の工程を含む、ホイップクリームの製造方法:
工程A)
(1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合すること;及び
工程B)工程A)で調製したクリームを起泡すること。
[9](1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合することを含む、クリーム又はホイップクリームの改質方法。
[10](1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、を含んでなるクリーム又はホイップクリーム改質組成物。
[11][1]〜[3]のいずれかのクリーム、及び、[4]〜[6]のいずれかのホイップクリームからなる群から選択される1又は2以上を用いた食品。
本発明のクリームは、呈味、風味、及び、食感に優れ、本発明のホイップクリームは、呈味、風味、食感、及び、保形性に優れる。また、本発明のホイップクリームは、冷解凍後であっても、優れた呈味、風味、食感、及び、保形性を維持することができる。さらに、本発明によれば、本発明のクリーム及びホイップクリームを簡便な方法により製造することができる。
表1に示される配合量で各成分を含有するクリームを起泡することによって得られたホイップクリームの保形性を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、(1)トランスグルタミナーゼ(TG)、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、を含む、クリーム及びホイップクリーム(以下、それぞれ、「本発明のクリーム」又は「本発明のホイップクリーム」と称することがある)を提供する。
本明細書における「クリーム」とは、水、油脂、及び、タンパク質を主成分として含有し、起泡させることによりホイップクリームを調製することができる、液状の水中油型乳化組成物を指す。具体的には、乳脂のみからなる「生クリーム」、乳脂及び植物性油脂の混合物である「コンパウンドクリーム」、又は、植物性油脂のみからなる「植物性(ノンデイリー)クリーム」のいずれも用いることができ、好ましくは、植物性クリームが用いられる。また、本発明における「ホイップクリーム」とは、液状の水中油型乳化組成物(乃ち、クリーム)を、当技術分野において公知の方法により起泡したものを指す。また、本発明のホイップクリームは、クリームを起泡させることにより調製した後に、チルドのままで使用してもよく、また、調製後に冷凍して保存し、その後、喫食時や使用時に解凍してもよい。本発明のホイップクリームは、チルドの状態、及び冷解凍後のいずれの状態であっても、呈味、風味、食感、及び、保形性に優れていることを特徴とする。
本発明のクリーム又はホイップクリームに含まれる油脂は、食用可能な油脂である限り特に限定はなく、例えば、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、及び、パーム油等の植物油脂、牛脂、ラード、魚油、及び、乳脂等の動物油脂、これらの油脂を水素添加又はエステル交換等により修飾したもの、並びに、これらの油脂の1又はそれ以上を混合したもの等が含まれる。
本発明のクリーム又はホイップクリーム中の油脂の含有量は、本発明の所望の効果が得られる限りにおいて限定されないが、例えば、本発明のクリーム又はホイップクリーム100重量%中、18重量%〜60重量%であり、より好ましくは、35重量%〜50重量%であり、さらに好ましくは、35重量%〜45重量%である。
また、本発明のクリーム又はホイップクリームに含まれるタンパク質は、食用可能なタンパク質である限り特に限定はなく、例えば、カゼイン及びホエイ等の乳タンパク質、及び、大豆、小麦、トウモロコシ等由来の植物タンパク質を用いることができる。
本発明のクリーム又はホイップクリーム中のタンパク質の含有量は、本発明の所望の効果が得られる限りにおいて限定されないが、例えば、本発明のクリーム又はホイップクリーム100重量%中、0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは、1重量%〜10重量%であり、さらに好ましくは、1.5重量%〜8重量%である。
本発明のクリーム又はホイップクリームは、水、油脂、及び、タンパク質以外にも、例えば、グルコース、スクロース及びマルトース等の炭水化物、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、キサンタンガム及びグアーガム等の安定剤、カリウム、ナトリウム及びカルシウム等の無機物、ビタミンB、アスコルビン酸及びパントテン酸等の水溶性ビタミン類、メタリン酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ金属塩及びリン酸のアルカリ金属塩等の塩類、香料、及び、デキストリン等をさらに含んでもよい。これらの他の成分は、本発明のクリーム又はホイップクリームの所望の特性を損なわない範囲で含有させることができる。
本発明において用いられるクリームの製法は特に限定されず、当技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、クリームは、油脂及び疎水性の成分を含む油相と親水性の成分を含む水相とをそれぞれ調製した後、油相と水相を混合し、得られる乳化物を均質化処理することにより製造することができる。また、必要に応じて、得られた乳化物を殺菌処理することもできる。均質化処理は、殺菌処理の前に行う前均質、若しくは殺菌処理の後に行う後均質であってもよく、或いは両者を組み合わせてもよい。
また、本発明に用いられるクリームとして、市販されるホイップクリーム用乳化組成物を使用することもできる。市販品のクリームの例としては、高梨乳業株式会社の「セブンプレミアム 北海道純生クリーム」(乳脂肪分:36.0%)、又は、森永乳業株式会社の「ホイップ」(無脂乳固形分:2.4%/植物性脂肪分:44.0%、原材料名:植物油脂、乳製品、乳化剤、カゼインNa、香料、リン酸塩(Na)、安定剤(増粘多糖類)、カロチン色素)が挙げられる。
本発明において用いられる「トランスグルタミナーゼ(TG)」は、タンパク質やペプチド中のグルタミン残基を供与体とし、リジン残基を受容体とするアシル転移反応を触媒する活性を有する酵素であり、例えば、哺乳動物由来のもの、魚類由来のもの、微生物由来のもの等、種々の起源のものが知られている。本発明において用いられるTGは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のTGであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるTGは市販品であってもよく、具体例としては、味の素株式会社より「アクティバ」TGという商品名で市販されている微生物由来のTGを用いることができる。
本発明のクリーム又はホイップクリームへのTGの配合量は、本発明の所望の効果が得られる限りにおいて限定されないが、例えば、本発明のクリーム又はホイップクリーム中のタンパク質1gあたり、0.00001U〜1000Uであり、より好ましくは、0.00001U〜10Uであり、さらに好ましくは、0.001〜5Uである。
なお、本発明においてTGの活性単位は、次のように測定され、かつ、定義される。すなわち、温度37℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミルグリシン及びヒドロキシルアミンを基質とする反応系で、トランスグルタミナーゼを作用せしめ、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525nmにおける吸光度を測定し、ヒドロキサム酸量を検量線により求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成せしめる酵素量を1ユニット(1U)とする(特開昭64-27471号公報参照)。
本発明において用いられる「でん粉」は、食用可能である限りにおいて特に限定されず、例えば、コーンスターチ、小麦でん粉、米でん粉、馬鈴薯でん粉、甘藷でん粉、タピオカでん粉、緑豆でん粉、クズでん粉、カタクリでん粉、ワラビでん粉、及び、サゴでん粉等を用いることができる。好ましくは、でん粉は、タピオカでん粉である。
本発明のクリーム又はホイップクリームへのでん粉の配合量は、本発明の所望の効果が得られる限りにおいて限定されないが、例えば、本発明のクリーム又はホイップクリーム100重量%中、0.01重量%〜1重量%であり、より好ましくは、0.05重量%〜0.75重量%であり、さらに好ましくは、0.1重量%〜0.5重量%である。
本発明において用いられる「オキシダーゼ」は、食品に添加可能なものであり、且つ、直接的又は間接的に、食品原料の酸化を触媒できるものであれば特に限定されない。本発明に用いられるオキシダーゼは、例えば、グルコースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、パーオキシダーゼ、ラクトパーオキシダーゼ、及び、ポリフェノールオキシダーゼ等を用いることができる。好ましくは、グルコースオキシダーゼ(GO)である。本発明に用いられるグルコースオキシダーゼの由来は、食品原料を酸化することができる限り特に限定されるものではなく、例えば、動物由来、植物由来、又は、微生物由来のグルコースオキシダーゼを用いることができる。また、遺伝子組換えにより調製されたグルコースオキシダーゼを用いることもできる。本発明に用いられるGOの具体例としては、例えば、天野エンザイム株式会社の「ハイデラーゼ15」が例示される。
本発明のクリーム又はホイップクリームへのオキシダーゼの配合量は、本発明の所望の効果が得られる限りにおいて限定されないが、例えば、本発明のクリーム又はホイップクリーム1gあたり、0.0001U〜100Uであり、より好ましくは、0.0001U〜10Uであり、さらに好ましくは、0.001U〜1Uである。また、特に、オキシダーゼがグルコースオキシダーゼである場合は、グルコースオキシダーゼの配合量は、例えば、本発明のクリーム又はホイップクリームに含まれるグルコース1gあたり、0.00001U〜10000Uであり、より好ましくは、0.0001U〜7000Uであり、さらに好ましくは、0.001U〜4000Uである。
GO等のオキシダーゼの活性は、常法に従って測定することができる。例えば、GO活性の測定法としては、以下の方法が例示できる。グルコースを基質として、酸素存在下でGOを作用させることで過酸化水素を生成させる。生成した過酸化水素にアミノアンチピリン及びフェノール存在下でパーオキシダーゼを作用させることでキノンイミン色素を生成させる。生成したキノンイミン色素を波長500nmで測定し、1分間に1μmolのグルコースを酸化するのに必要な酵素量を1U(ユニット)と定義する。より具体的には、以下の通りである。GOを0.1mol/Lリン酸塩緩衝液(リン酸二水素カリウム、水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整)に攪拌溶解させ、0.1mol/Lリン酸塩緩衝液で50倍希釈し、GO溶液とする。分析セルに、フェノール含有緩衝液(超純水、リン酸二水素カリウム1.36g、5%フェノール試液3mL、5%トリトンX―100溶液3mLを混合して水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0、100mLに調整)を2.0mL、10%グルコース溶液を500μL、0.01%パーオキシダーゼ溶液(PO”amano”3 (1250U±250U)を使用)を500μL、0.4% 4―アミノアンチピリン溶液を100μL、それぞれ順番に添加、転倒混合し、37±0.1℃に10分保持する。上記分析セルにGO溶液を100μL入れ、5分間、30秒毎に11点自動測定し、120秒と300秒の間の増分(傾き)からGO活性値を測定する。尚、ブランク区は上記にてGO溶液の代わりに0.1mol/Lリン酸塩緩衝液を入れて測定した値を用い、GO試験区から差し引く。GO以外のオキシダーゼについても、1分間に1μmolの基質を酸化するのに必要な酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明の一態様において、本発明のクリーム及び/又はホイップクリームは、グルコースをさらに含む。本発明のクリームに含まれるグルコースは、クリームを調製する際に使用する原料に由来するものであってよく、又は、別途外部から添加されたものであってもよい。本発明のクリームに含まれるグルコースの含有量は、呈味を調節する目的等において適宜変更することが可能であるが、例えば、クリーム100重量%あたり、0.000001重量%〜10重量%であり、好ましくは、0.00001重量%〜10重量%であり、より好ましくは、0.0001重量%〜10重量%である。
また、本発明は、(1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合することを含む、クリームの製造方法(以下、「本発明のクリームの製造方法」と称することがある)を提供する。
本発明のクリームは、自体公知の方法により調製したクリームに、TG、及び、でん粉又はオキシダーゼのいずれかを配合し、0℃〜30℃の温度条件下において、クリームが泡立たない程度で撹拌し、均質化することにより製造することができる。
また、本発明は、以下の工程を含む、ホイップクリームの製造方法(以下、本発明のホイップクリームの製造方法と称することがある)を提供する:
工程A)
(1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合すること;及び
工程B)工程A)で調製したクリームを起泡すること。
本発明のホイップクリームの製造方法におけるクリームの起泡には、当技術分野に公知の手段を用いることができる。クリームの起泡には、例えば、「キッチンエイド スタンドミキサー」(株式会社エフ・エム・アイ)などを用いることができるが、これに限定されない。上述の通り、本発明のホイップクリームの製造方法は、特殊な装置や複雑な工程を導入する必要がなく、極めて簡便に実施することができる。
本発明の一態様において、本発明のホイップクリームの製造方法は、工程C)として、工程B)で調製されたホイップクリームを冷凍することをさらに含んでもよい。この冷凍工程は、緩慢冷凍又は急速冷凍のいずれであってもよく、当技術分野に公知の手段を利用することができる。例えば、冷凍された本発明のホイップクリームは、本発明のクリームをホイップすることにより得た本発明のホイップクリームを密閉可能な容器へ充填した後に、−196℃〜−10℃、好ましくは、−50℃〜−18℃で、30分〜24時間静置することによって得ることができる。なお、冷凍した本発明のホイップクリームは、当技術分野に公知の手段を用いて解凍することができ、例えば、4℃、1時間静置することにより解凍することができる。
また、本発明は、(1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合することを含む、クリーム又はホイップクリームの改質方法(以下、本発明の改質方法と称することがある)を提供する。さらに、本発明は、(1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、を含んでなるクリーム又はホイップクリーム改質組成物(以下、本発明の改質組成物と称することがある)を提供する。
本発明の改質方法又は改質組成物により改質されるクリーム及びホイップクリームの特性としては、クリーム及びホイップクリームの呈味、風味、及び、食感等が挙げられる。特にホイップクリームにおいては、これらの特性の改質に加えて、保形性、及び、冷凍/解凍耐性の改質も挙げられる。
本発明の改質方法においてクリームに配合されるTG、でん粉、又はオキシダーゼの量は、本発明の改質方法を使用する状況において適宜変更可能であるが、例えば、上述した本発明のクリーム又はホイップクリームに含まれるTG、でん粉、又はオキシダーゼの配合量と同等量とすることができる。また、本発明の改質組成物に含まれるTG、でん粉、又はオキシダーゼの量は、本発明の改質組成物をクリーム又はホイップクリームへ添加する量に応じて適宜設定することができる。例えば、本発明の改質組成物の、クリーム等への添加量を低減させたい場合には、高濃度でTG等の各成分を改質組成物中へ含有させておくこともできる。さらに、本発明の改質組成物は、固体状、液体状、又は、ペースト状等のいずれの形態であってもよく、使用態様や保存条件等に合わせて適宜選択され得る。
また、本発明は、本発明のクリーム、及び/又は、本発明のホイップクリームの1又は2以上を用いた食品(以下、「本発明の食品」と称することがある)を提供する。
本発明の食品は、本発明のクリーム、及び/又は、本発明のホイップクリームを用いること以外に特に制限はない。本発明のクリームを用いた食品の例としては、例えば、シチュー、カレー、アイスクリーム、及びホワイトソース等の食品にクリームを材料の一つとして配合した食品が含まれるが、これらに限定されない。また、本発明のホイップクリームを用いた食品の例としては、例えば、デコレーションケーキやデコレーションアイスなどのホイップクリームをナッペした食品、シュークリームやクリームサンドなどのホイップクリームを充填した食品等が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のホイップクリームは優れた冷凍/解凍耐性を有するため、本発明のホイップクリームを用いて食品を調製した後に、これを冷凍し、喫食時等に解凍しても、優れた呈味、風味、及び食感を維持している。従って、本発明の一態様において、本発明の食品は冷凍されていてもよい。さらに、本発明の食品は、冷凍後、解凍されていてもよい。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[1.クリームの調製]
クリームとして、市販の植物性クリーム「森永ホイップ」(乳固形分2.4%、植物性脂肪分44.0%の植物性クリーム、森永乳業株式会社)を用いた。以下の表1に示される量にて各成分を計量した。計量した各成分をクリームに添加し、6℃の条件下、スタンドミキサー「キッチンエイド」を用いて2分20秒間、高速攪拌することにより混合し、これにより各成分が均一に混合されたクリームを調製した。なお、各成分は、クリーム(200g)に対して各成分の配合量の合計が8.7%となるように設定した。また、グラニュー糖(8%、16g)は、伊藤忠製糖株式会社の「グラニューCIG2」を使用した。デキストリンは松谷化学工業株式会社の「パインデックス#1」を賦形剤として使用した。タピオカでん粉は、松谷化学工業株式会社の「松谷乾燥タピオカでん粉」を使用した。TGは、味の素株式会社のアクティバTG(1000U/g)を使用した。グルコースオキシダーゼ(GO)は、天野エンザイム株式会社の「ハイデラーゼ15」(1500U/g)」を使用した。
[2.ホイップクリームの調製]
上述のクリームを、液温6℃(室温20℃)の条件下で、キッチンエイド(株式会社エフ・エム・アイ)を用いて、クリームの比重が0.35g/ml前後(10部立て相当)となるまで撹拌した。
[3.ホイップクリームの評価]
調製したホイップクリームを、保形性、滑らかさ、及び濃厚感の3つの特性に関して評価した。保形性の評価は、調製したホイップクリームを星形の絞り口を付けた絞り袋に入れ、これを絞ることによってホイップクリームで直線を描き、その「ツノ立ち」を目視により確認することによって行った。ホイップクリームの滑らかさ及び濃厚感は、専門パネラー4人による官能評価を行った。各特性は、以下の5段階の評価基準を用いて評価し、結果は4人の評価の平均値で示した。賦形剤としてデキストリンのみを配合したクリームを起泡して得られたホイップクリームの保形性、滑らかさ、及び、濃厚感を基準(3点)とした。

[保形性の評価基準]
5点:対照に比べ、ツノ立ちが著しく維持されている
4点:対照に比べ、ツノ立ちが維持されている
3点:対照と同等
2点:対照に比べ、ツノ立ちが弱い
1点:対照に比べ、ツノ立ちが著しく弱い

[滑らかさの評価基準]
5点:対照に比べ、滑らかである
4点:対照に比べ、やや滑らかである
3点:対照と同等
2点:対照に比べ、やや滑らかでない
1点:対照に比べ、滑らかでない

[濃厚感の評価基準]
5点:対照に比べ、強い
4点:対照に比べ、やや強い
3点:対照と同等
2点:対照に比べ、やや弱い
1点:対照に比べ、弱い
なお、チルド状態のホイップクリームは、クリームをホイップ後1時間冷蔵(4℃)したものを評価した。また、冷解凍を経たホイップクリームは、クリームをホイップした後に、−18℃で一昼夜(18時間)緩慢凍結させることにより冷凍し、その後、冷蔵(4℃)で1時間静置することにより解凍したものを評価した。結果を以下の表2(チルド)、表3(冷解凍後)、及び、図1に示す。
表2に示される通り、チルド品において、TG及びタピオカでん粉を配合したクリーム(実施例1)、又は、TG及びグルコースオキシダーゼを配合したクリーム(実施例2)を起泡することにより調製したホイップクリームでは、保形性、滑らかさ、及び濃厚感のいずれの指標においても、対照又は比較例に比べて非常に良好な結果を得た。これより、本発明のホイップクリームが、呈味、風味、食感、及び、保形性の全てにおいて優れていることを示す。
さらに、表3に示される通り、実施例1及び実施例2のクリームを起泡することにより調製したホイップクリームは、冷解凍後においても、保形性、滑らかさ、及び、濃厚感のいずれの指標においても良好な結果を示し、これは本発明のホイップクリームが、呈味、風味、食感のみならず、良好な冷凍/解凍耐性をも同時に有することを示している。
本発明のホイップクリームは、呈味、風味、食感、及び、保形性に優れる。また、本発明のホイップクリームは、冷解凍後であっても、優れた呈味、風味、食感、及び、保形性を維持することができる。さらに、本発明によれば、本発明のクリーム及びホイップクリームを、特殊な装置又は煩雑な工程を用いることなく、簡便な方法により製造することができるため、非常に有用である。

Claims (11)

  1. (1)トランスグルタミナーゼ(TG)、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、を含む、ホイップクリーム調製用液状水中油型乳化組成物
  2. でん粉が、コーンスターチ、小麦でん粉、米でん粉、馬鈴薯でん粉、甘藷でん粉、タピオカでん粉、緑豆でん粉、クズでん粉、カタクリでん粉、ワラビでん粉、及び、サゴでん粉からなる群から選択される1又は2以上である、請求項1記載の組成物
  3. オキシダーゼが、グルコースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、パーオキシダーゼ、ラクトパーオキシダーゼ、及び、ポリフェノールオキシダーゼからなる群から選択される1又は2以上である、請求項1記載の組成物
  4. (1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、を含むホイップクリーム。
  5. でん粉が、コーンスターチ、小麦でん粉、米でん粉、馬鈴薯でん粉、甘藷でん粉、タピオカでん粉、緑豆でん粉、クズでん粉、カタクリでん粉、ワラビでん粉、及び、サゴでん粉からなる群から選択される1又は2以上である、請求項4記載のホイップクリーム。
  6. オキシダーゼが、グルコースオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、パーオキシダーゼ、ラクトパーオキシダーゼ、及び、ポリフェノールオキシダーゼからなる群から選択される1又は2以上である、請求項4記載のホイップクリーム。
  7. (1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合することを含む、ホイップクリーム調製用液状水中油型乳化組成物の製造方法。
  8. 以下の工程を含む、ホイップクリームの製造方法:
    工程A)
    (1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合すること;及び
    工程B)工程A)で調製したクリームを起泡すること。
  9. (1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、をクリームに配合することを含む、ホイップクリーム調製用液状水中油型乳化組成物又はホイップクリームの改質方法。
  10. (1)TG、及び、(2)でん粉又はオキシダーゼのいずれか、を含んでなるホイップクリーム調製用液状水中油型乳化組成物又はホイップクリーム改質組成物。
  11. 請求項1〜3のいずれか一項に記載される組成物、及び、請求項4〜6のいずれか一項に記載されるホイップクリームからなる群から選択される1又は2以上を用いた食品。
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