JP5471592B2 - 常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、製菓、製パン分野にてホイップ後にフィリングとして用いられ、常温にて流通、保管される低油分の起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。
近年、製菓、製パン分野においては、流通網が発展しコンビニエンスストアなどの小売店が多くなったことにより、常温と言われる20〜30℃で日持ちする製品であっても、よりおいしい製品が求められる傾向にあった。
これまでホイップ後にパン、菓子などにフィリングクリームとして用いられ常温にて流通及び保管されるクリームには、その保型性の高さから油中水型乳化油脂組成物であるバタークリームなどが利用されてきた。しかし連続層が油脂であるために、食した際の油っぽさと口溶けが重たいという食感の悪さがあり、10℃以下で流通、保存される生クリームに代表される連続層が水である水中油型乳化油脂組成物をホイップしたクリームが常温でも使用できないかという要求が出てきている。
ところが通常の水中油型のホイップクリームでは、ホイップ後に常温で流通、保管した際に、そのホイップ構造が維持できずに保型性が悪化しやすく、商品性が失われる場合が多いものであった。そこで、口溶けが良くて油っぽさがなく且つ常温での保型性を付与させるために、これまでに様々な検討がなされてきた。
例えば、特許文献1、2ではヤシ硬化油、パーム核硬化油などのラウリン系硬化油脂が主に用いられている。しかしこれらの油脂は、硬化工程で生じる高融点部により食感が悪化すると共に、ホイップ以降に経時的に硬くなる「しまり」と呼ばれる現象が起き、パンなどに加工する際に作業性も口溶け感も悪いものであった。
一方、しまりを解決するために、特許文献3のように、分別パーム硬化油を使用することも提案されているが、しまりは改善されるものの食感が悪いものであった。又、特許文献4にはパーム分別油脂を配合することも例示されているが、常温での保型性が劣り、食感も重く、改善効果の低いものであった。
最近、特許文献5ではラウリン系油脂のパーム核油分別高融点部を使用する方法も開示されているが、パーム核油分別高融点部を主とした配合では、ホイップ前の乳化原液の安定性が非常に低いために、原液が冷蔵での輸送、保存時に固化する「ボテ」現象が生じる。従って、原液を製造後直ぐにホイップして冷凍するタイプのものであれば使用可能であるが、通常の原液で流通させるタイプにはボテが生じるために使用できないものであった。
特許文献6では、ヤシ油極度硬化油に炭素数16以上の飽和脂肪酸量が20質量%以上75質量%未満、炭素数16以上の不飽和脂肪酸含量が25質量%以上70質量%未満であるエステル交換油を配合することで、原液の安定性が向上することが提案されているが、この方法では高融点のトリ飽和トリグリセリドが多く、舌の上に残る油感が不快であり、食感が悪いものであった。
特許文献7には、水分55〜73重量%であり、且つ特定のラウリン系油脂を55重量%以上含有した油脂を25〜43重量%用いることで乳化安定性、保型性が向上したホイップドクリームが記載されているが、水分量が多く、冷凍での流通は可能であっても、衛生上常温での流通に耐えられるものではなかった。
また特許文献8では、特定のエステル交換油脂と澱粉分解物及び/又は加工澱粉を用いることで乳化安定性、保型性、食感が向上したホイップドクリームが記載されているが、冷凍耐性を付与することが主目的になっているために澱粉分解物や加工澱粉が必須であり、常温流通用としての風味や食感、原液安定性及びホイップ後の物性は全く考慮されていない。
以上のように、従来技術では、常温にて流通、保管される起泡性水中油型乳化油脂組成物であって、食感や保型性、ボテ及びしまりなどの起泡性水中油型乳化油脂組成物の物性を満足させるものではなかった。
特公昭58−47152号公報 特開平10−155448号公報 特開平10−75729号公報 特開平5−219887号公報 特開2006−304713号公報 特開2008−228610号公報 特開2009−50235号公報 特開2010−22305号公報
本発明の目的は、製菓、製パン分野にてホイップ後に常温にて流通、保管され、油っぽさが少ない嗜好性の高い食感であり、原液安定性及びホイップ後の物性(常温保型性、経時的硬さ変化など)が優れている常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドを60重量%以上含有する特定の油脂(A)と、C16〜C18の飽和脂肪酸が25〜40重量%であり、C4〜C14の脂肪酸とC18以上の不飽和脂肪酸の比が3:1〜1:3であり且つ融点が35℃以下である特定の油脂(B)を、(A)と(B)の混合比が(A):(B)=60:40〜90:10で混合した特定の油脂組成物を用いることにより、油っぽさ及び口溶けなどの食感が良好であり、ホイップ後に硬さが変化しにくく、原液の安定性を確保しながら、ホイップ後の常温での保管、輸送に耐えうる保型性を維持できる物性を有する起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、水分含量が水中油型乳化油脂組成物全体中15〜45重量%であり、構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドを油脂全体中60重量%以上含有する油脂(A)と、構成脂肪酸全体中C16〜C18の飽和脂肪酸が25〜40重量%であり、C4〜C14の脂肪酸とC18以上の不飽和脂肪酸の重量比が3:1〜1:3であり且つ融点が35℃以下である油脂(B)からなり、油脂(A)と油脂(B)の重量比が油脂(A):油脂(B)=60:40〜90:10であり、25℃のSFCが25重量%以上、35℃のSFCが5重量%以下である油脂組成物を、起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中15〜40重量%含有することを特徴とする常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、前記油脂(A)と油脂(B)からなる油脂組成物全体中、構成脂肪酸がC16以上の飽和脂肪酸のみであるトリグリセリドが2.0重量%以下である上記記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。より好ましくは、油脂(A)がパーム核ステアリン及び/又はパーム核ステアリン硬化油である上記記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物、更に好ましくは、油脂(B)が乳脂肪である上記記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物、特に好ましくは、総油分が25〜35重量%である上記記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物、極めて好ましくは、さらにタンパク質1gあたりのタンパク還元価が6以下の乳原料を含有する上記記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物、に関する。
本発明に従えば、製菓、製パン分野において、ホイップ後に常温にて流通、保管され、油っぽさが少ない嗜好性の高い食感であり、原液安定性及びホイップ後の物性が優れている起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明における油脂(A)は、構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドを油脂全体中60重量%以上含有する油脂のことである。具体例としては、パーム核ステアリン、パーム核ステアリン硬化油及びヤシ油、ヤシ硬化油などのラウリン系油脂、あるいは前記4種の油脂以外のラウリン系油脂にラウリン酸をエステル交換により導入した油脂などが挙げられる。これらは単独で油脂(A)として使用してもよいし、2種以上を混合して油脂(A)として使用してもよい。中でも、構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライド含量が高いため、パーム核ステアリン、パーム核ステアリン硬化油が特に好ましい。各種油脂中の構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドの含有量を表1に示す。
Figure 0005471592
油脂(A)が、構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドの含有量が油脂全体中60重量%未満の油脂の場合、ホイップ後の常温での起泡性水中油型乳化油脂組成物の十分な保型性が得られず、保型性を得ようと融点を上げるために、特にトランス酸を含まない程度までに硬化すると、著しく食感が低下する。なお、構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドが油脂全体中60重量%以上となるのであれば、パーム核ステアリン、パーム核ステアリン硬化油にその他ラウリン系油脂及びそれらの硬化油脂を混合しても良く、構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドが油脂(A)全体中60重量%以上の範囲内であれば保型性及び口溶け感などは低下しないことから、混合して使用しても何ら問題はない。
本発明の油脂(B)は、構成脂肪酸全体中C16〜C18の飽和脂肪酸が25〜40重量%であり、C4〜C14の脂肪酸とC18以上の不飽和脂肪酸の重量比が3:1〜1:3であり且つ融点が35℃以下の油脂である。具体例としては、パーム油、パーム油の分別油及びそれらの硬化油脂と、ラウリン系油脂、ラウリン系油脂の分別油及び硬化油とのエステル交換油脂や、乳脂肪などが挙げられる。これらは単独で油脂(B)として使用してもよいし、2種以上を混合して油脂(B)として使用してもよい。C16〜C18の飽和脂肪酸が25重量%未満の場合は、ホイップ後の常温での起泡性水中油型乳化油脂組成物の保型性が低下するため好ましくない場合があり、C16〜C18の飽和脂肪酸が40重量%を超える場合は、融点が35℃を超えるためにホイップ後の起泡性水中油型乳化油脂組成物の口溶け感が低下する場合がある。又、C4〜C14の脂肪酸とC18以上の不飽和脂肪酸の比は3:1〜1:3が好ましく、C4〜C14の脂肪酸が多い場合は、原液の乳化安定性が低下し、ホイップする前の原液がボテているために良好なホイップができない場合がある。又、C4〜C14の脂肪酸とC18以上の不飽和脂肪酸の比が1:3より大きい場合、ホイップ後、常温での保型性維持が難くなる場合がある。
ここで言う融点とは、試料を規定の方法に基づき加熱した場合、軟化して上昇を始める温度である上昇融点を示し、以下の方法で求めることができる。
<融点(上昇融点)測定法>
融点の測定は、基準油脂分析試験法2.2.4.2融点に準じて測定を実施した。
油脂組成物中の油脂(A)と油脂(B)の重量比は、油脂(A):油脂(B)=60:40〜90:10であることが好ましく、より好ましくは70:30〜80:20である。油脂(A)の重量比が60%未満の場合、食感が良好で保型性が高い組成物を得ることが難しい場合がある。油脂(A)の重量比が90%を超える場合には、ホイップする前に原液が保管、輸送時にボテてしまう場合がある。
また、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物における油脂は、油脂(A)と油脂(B)のみであり、特にその他油脂を混合する必要はない。油脂(A)、(B)の効果が維持できる量があれば、他の油脂を混合することに特に制限はないが、油脂(A)、(B)のみで十分に本願の目的は達成可能である。
また、本発明の油脂(A)と油脂(B)を混合した油脂組成物の25℃のSFCは、25重量%以上であることが好ましい。25重量%未満の場合、ホイップ後の常温での保型性が十分に維持できない場合がある。また35℃のSFCは、5重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0重量%であることが好ましい。35℃のSFCが低いほど、食感は向上する。
また、本発明における、油脂(A)と油脂(B)からなる油脂組成物中のC16以上の飽和脂肪酸のみからなるトリ飽和トリグリセリドは2.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下がより好ましい。2.0重量%を超える場合は、ホイップクリームを食した際に油っぽく感じられ、口溶けも含め食感が低下する場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の総油分は、15〜40重量%が好ましく、25〜35重量%がより好ましい。15重量%未満の場合、ホイップしない場合があり、40重量%以上の場合は、原液安定性が低下する場合があり、また食感が重たく感じられる場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の水分は、15〜45重量%が好ましく、25〜35重量%がより好ましい。15重量%未満の場合、原液安定性が低下する場合があり、45重量%を超える場合、常温での保型性及び衛生面が維持できない場合がある。
本発明において、エステル交換油脂を用いる場合は、その製法については特に限定なく、常法を用いて製造することができる。例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートを用いて原料油脂に対して0.01〜1.0重量%添加することでランダムエステル交換反応を起こす化学法、リパーゼなどの酵素を用いてエステル交換を行なう酵素法などがそれに相当する。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造例を以下に例示する。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物については、油分として上記油脂(A)と油脂(B)からなる油脂組成物を用いれば、それ以外の配合には特に限定は無く、通常のホイップクリームの組成、例えば、乳原料、乳化剤、塩類、糖類、増粘剤、香料、着色料などを使用して常法を用いて製造することができる。また、製法についても特に限定は無く、例えば、60℃に加熱した水相に水溶性原材料を溶解し、同様に60℃に加熱した油相に油溶性原材料を溶解、混合し、予備乳化を行なった後に、UHT殺菌などを用いて殺菌後、均質化を行い、5〜10℃に冷却を実施して目的の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いる乳原料としては、特に限定はなく、通常使用する乳原料でよい、例えば、生乳、牛乳、脱脂乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルク、バターミルクパウダー、濃縮ホエイ、ホエイパウダー、生クリーム、加糖練乳、無糖練乳、バター、チーズ、カゼイン蛋白質、ホエイ蛋白質、カゼインナトリウム、UF膜やイオン交換樹脂処理などにより分離、分画した乳蛋白質などが例示される。そして、原液安定性やホイップ後のしまりをさらに良くするためには、それらの中でもタンパク質1gあたりのタンパク還元価(PRS)が6以下の乳原料の使用が好ましく、入手のし易さではタンパク質1gあたりのタンパク還元価が6以下の生乳、牛乳、脱脂乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、ローヒート脱脂粉乳などが挙げられる。
なお、ここでいうタンパク還元価とは、タンパク質1gが、フェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6;赤血塩)を還元して生ずるフェロシアン化カリウム(K4Fe(CN)6;黄血塩)のmg数のことで、タンパク質1gがフェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6)を還元して生じるフェロシアン化カリウム(K4Fe(CN)6)のmg数を求めるには、タンパク還元価を試料のタンパク質重量%で除すればよく、文献(衛生試験法・注解,金原出版(株),262頁,1980)に準拠して、以下のようにして求めることができる(特開2002−262769も参照)。
<タンパク質1gあたりのタンパク還元価の測定>
起泡性水中油型乳化油脂組成物の場合はケンミックス「MODEL:KM300(株式会社愛工舎製作所製)」などのミキサーを用いて過度にホイップを行い、油相と水相を転相(チャーニング)させ、油分を除去する。残った水相を試料とする。牛乳などの油分の低い試料はこの操作は必要ない。粉乳などは水に溶解させ試料とする。
50ml容のキャップ付き遠沈管に水15mlと試料15mlを入れた後、5%酢酸3mlを加え、密栓して振り混ぜる。その後、2500rpmで5分間遠心分離を行い、上層液を捨て、15mlの水で洗浄し、再び遠心分離したのち洗液を捨てる。さらに水15mlを加えて洗浄操作を繰り返す。洗浄後に残った沈殿に飽和尿素溶液3mlを加えて溶解し、水を加えて全容を15mlとする。フタル酸緩衝液(pH5.6)5mlと1%K3Fe(CN)6溶液5mlを添加した後、70℃で20分間加熱する。加熱後ただちに25℃以下に氷冷し、10%トリクロロ酢酸5mlを加え、しばらく放置した後、ろ紙(5種C)を用いてろ過する。水5mlを予め入れた試験管に、ろ液30mlの内5mlを加え、0.1%FeCl3溶液1mlを加える。10分間放置後、波長610nmで吸光度を測定する。検量線を用いて得られたK4Fe(CN)6(無水塩)の濃度と波長610nmにおける吸光度の関係から試料中のK4Fe(CN)6量(mg)を求め、それを40倍して試料100ml相当中のK4Fe(CN)6量(mg)、即ち蛋白還元価を算出する(下記式1)。得られたタンパク還元価を試料のタンパク質含量(重量%)で除することでタンパク質1gあたりのタンパク還元価を得る。起泡性水中油型乳化油脂組成物中に脱脂粉乳を5重量%含有し下記に記載した方法で起泡性水中油型乳化油脂組成物を得ると、タンパク質1gあたりのタンパク還元価は13〜14になる。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物中に牛乳を39.24重量%含有し下記に記載した方法で起泡性水中油型乳化油脂組成物を得ると、タンパク質1gあたりのタンパク還元価は6.5になる。
タンパク還元価=吸光度×f×40 (式1)
(f:標準曲線(検量線)を用いて、吸光度×f=無水黄血カリ(mg)から求める値)
<検量線の作成>
まず、0.05735mg/mlのK4Fe(CN)6・3H2O水溶液(0.05mg/mlの無水K4Fe(CN)6を含む)を調製する。直ちに調製したK4Fe(CN)6標準水溶液を0〜5.0mlまで0.5ml刻みで試験管に取り、水を加えて全容を5mlとする。各試験管に試薬混液5mlを混和し、0.1%FeCl3溶液1mlを加え、20分間放置後、610nmの吸光度を測定し、検量線を得ることができる。ここで前記試薬混液とは、飽和尿素溶液3ml、水12ml、フタル酸緩衝液5ml、1%K3Fe(CN)6水溶液5ml、10%トリクロロ酢酸5mlを混和して得たものである。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いる乳化剤としては、食品用の乳化剤であれば特に限定はないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、レシチン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステルとその誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種類以上が用いられる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いる塩類としては、食品用途に用いられるものであれば特に限定はないが、リン酸のナトリウム塩、カリウム塩、又はクエン酸のナトリウム塩などを挙げることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いる糖類としては、例えば、上白糖、三温糖、グラニュー糖、ざらめ糖、加工糖、液糖などの砂糖類、水あめ、ブドウ糖、異性化糖、果糖、麦芽糖、乳糖などの糖類、還元水あめ、還元麦芽糖水あめなどの糖アルコール類などを例示することができる。常温での衛生面の問題から、通常は上記糖類を起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中10〜50重量%配合することが好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いる増粘剤としては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、寒天、ペクチン類、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、CMCなどを挙げることができ、それらの群より選ばれた少なくとも1種類以上を使用することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いる香料、着色料としては、適宜使用され、通常食品用途に使用されるものであれば特に限定はない。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、特にことわらない限り、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<原液安定性の評価方法>
原液安定性は、実施例と比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を、100ccビーカーに60g入れて20℃に保持し、それを直径4cmの攪拌ペラで120rpmの条件で攪拌し、流動性が無くなるまでに要する時間とした。20分以上は商品性があり、20分未満は商品性がないので、下記判定基準に従い評価した。
◎:60分以上、
○:30分以上且つ60分未満、
△:20分以上且つ30分未満、
×:20分未満。
<ホイップ方法>
実施例と比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物1000gをボールに入れ、ケンミックス「MODEL:KM300(株式会社愛工舎製作所製)」を用いて目盛り3にて、まずは全体的に硬さを増して皺が入るまでホイップをし、スパチュラで掬ったときに崩れるか確認し、必要に応じてさらにホイップをし、スパチュラで掬ったときに崩れなくなるまでホイップを行なった。
<保型性評価方法>
保型性は、ホイップした起泡性水中油型乳化油脂組成物を、絞り袋に詰め、出口が星型の口金(切り込みの個数8個)を用いて透明なポリカップ容器に高さ6cm程度、底辺の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら三角錐状に30g絞り、その高さ(初期の高さ)を測定した後、25℃で48時間保持した時の高さを測定し、初期の高さが何%残っているかで評価を実施した。70%以上は商品性があり、70%未満は商品性がないので、下記判定基準に従い評価した。
◎:90%〜100%、
○:80%〜90%未満、
△:70%〜80%未満、
×:70%未満。
<食感の評価方法>
食感の官能評価は、実施例と比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物をホイップしたものを熟練した専門パネラー10名に試食をしてもらい、下記評価基準より評価した。
◎:全く油っぽくなく、口溶けも非常に良好、
○:油っぽくなく、口溶けも良好、
△:やや油っぽく、口溶けが悪い、
×:非常に油っぽく、口溶けが非常に悪い。
<しまりの評価>
ホイップ後のサンプルを容器に入れた後、クリープメーター「RE2−33005S(株式会社山電製)」にて直径16mmの円柱状のプランジャーにて、ホイップ直後と室温20℃放置した30分後の硬さの変化の測定を実施した。その際、以下の基準で評価した。
◎:±0.02N未満(最良)、
○:±0.02N以上0.05N未満(良)、
△:±0.05N以上0.07N未満(可)、
×:±0.07N以上(不可)。
(製造例1)油脂B1のランダムエステル交換油脂の作製
油脂B1のランダムエステル交換油脂は、下記の方法で作製を行なった。表2に示す油脂B1の原料油脂をランダム反応器に仕込み、減圧下で攪拌しながら加熱を行い、90℃、30mmHgに達するまで脱水を行なった。次に、ナトリウムメチラートを原料油脂100重量部に対して0.1重量部加え、攪拌下窒素気流中、90℃で30分間反応を行なった。その後、油脂原料と同量の温水を加えて洗浄を実施した。洗浄した水のpHが8になるまで繰り返し温水で洗浄を実施した後、減圧下攪拌しながら加熱し90℃、30mmHgに達するまで脱水を行なった。次に活性白土を原料油脂100重量部に対して2重量部加え、減圧下攪拌して30分間脱色反応を行なった後に全量ろ過を行い、活性白土の除去を行なった。最後に250℃、2mmHgで60分間脱臭を行い、当該ランダムエステル交換油脂として油脂B1を得た。
<構成脂肪酸組成の測定法>
構成脂肪酸組成は、基準油脂分析試験法2.4.2.1脂肪酸組成に準じてガスクロマトグラフィー「6890N Network GS System(Agilent Technologies社製)」にて測定を実施した。
<構成脂肪酸の総炭素数の測定法>
構成脂肪酸の総炭素数は、基準油脂分析試験法2.4.6.1トリアシルグリセリン組成に準じてガスクロマトグラフィー「6890N Network GS System(Agilent Technologies社製)」にて測定を実施した。
(製造例2)油脂B2のランダムエステル交換油脂の作製
表2の配合に示す原料油脂の配合以外は、製造例1と同様にしてランダムエステル交換油脂として油脂B2を得た。
(製造例3)油脂B3のランダムエステル交換油脂の作製
表2の配合に示す原料油脂の配合以外は、製造例1と同様にしてランダムエステル交換油脂として油脂B3を得た。
(製造例4)油脂B4のランダムエステル交換油脂の作製
表2の配合に示す原料油脂の配合以外は、製造例1と同様にしてランダムエステル交換油脂として油脂B4を得た。
Figure 0005471592
(実施例1)油脂組成物1を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物1
表3の配合に示す油脂組成物1を用い、表4に示す起泡性水中油型乳化油脂組成物配合組成(I)に従って起泡性水中油型乳化油脂組成物1を作製した。具体的には、油脂組成物1を60℃に加温後、大豆レシチン0.2重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB2)0.25重量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB1)0.05重量%を溶解して油相部とした。一方、60℃の温水34.24重量%にキサンタンガム0.05重量%、グアーガム0.01重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB10)0.15重量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB10)0.05重量%を溶解、更に脱脂粉乳5.0重量%、マルトースシロップ8重量%、オリゴトース8重量%、トレハロース4重量%、グラニュー糖8重量%を溶解して水相部とした。上記、水相と油相を混合、60℃、20分間攪拌し予備乳化液とした。この乳化液を直接蒸気注入式滅菌機にて、142℃、4秒間滅菌処理を行なった後、均質化圧6.0MPaにて処理した後に冷却装置にて10℃まで冷却し、容器に充填して起泡性水中油型乳化油脂組成物1を得た。
さらにホイップを行い、上記記載の方法にて、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物1の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は十分に商品性があるレベルであり、保型性も85%と良好であった。またホイップ後のしまりは見られず、食感もかなり良好であり、十分に商品性のあるものであった。
Figure 0005471592
Figure 0005471592
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(実施例2)油脂組成物2を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物2
表3の配合に示す油脂組成物2を用いた以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物2を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物2の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は十分に商品性があるレベルであり、保型性は75%とやや劣るものの商品性のあるレベルであった。またホイップ後のしまりも見られず、口溶けもかなり良好であり、商品性のあるものであった。
(実施例3)油脂組成物4を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物3
表3の配合に示す油脂組成物4を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物3を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物3の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性がやや劣るが商品性のあるレベルであった。保型性は91%と高く、ホイップ後のしまりは見られず、食感も良好であり、商品性のあるものであった。
(実施例4)油脂組成物6を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物4
表3の配合に示す油脂組成物6を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物4を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物4の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は非常に高く、良好であった。保型性は86%と良好であり、またホイップ後のしまりは全く見られなかった。食感も非常に良好であり、商品性のあるものであった。
(実施例5)油脂組成物7を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物5
表3の配合に示す油脂組成物7を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物5を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物5の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は非常に高く、良好であった。保型性は71%とやや低かったが、商品性のあるレベルであった。またホイップ後のしまりはほとんど見られず、食感は口溶け良好であり、やや油っぽく感じられたが、商品性のあるものであった。
(実施例6)油脂組成物10を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物6
表3の配合に示す油脂組成物10を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物6を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物6の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は良好であり、保型性も93%と非常に高く良好であった。またホイップ後のしまりはほとんど見られず、食感も良好であり、商品性のあるものであった。
(実施例7)油脂組成物12を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物7
表3の配合に示す油脂組成物12を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物7を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物7の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は良好であり、保型性は93%と非常に高く良好であった。ホイップ後のしまりは見られず、食感も良好であり、商品性のあるものであった。
(実施例8)油脂組成物1を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物8
表3に示す油脂組成物1を用い、表6に示す起泡性水中油型乳化油脂組成物配合組成(II)に従って起泡性水中油型乳化油脂組成物8を作製した。具体的には、油脂組成物1を60℃に加温後、大豆レシチン0.2重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB2)0.25重量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB1)0.05重量%を溶解して油相部とした。一方、60℃に加温した牛乳39.24重量%にキサンタンガム0.05重量%、グアーガム0.01重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB10)0.15重量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB10)0.05重量%を溶解、マルトースシロップ8重量%、オリゴトース8重量%、トレハロース4重量%、グラニュー糖8重量%を溶解して水相部とした。上記、水相と油相を混合、60℃、20分間攪拌し予備乳化液とした。この乳化液を直接蒸気注入式滅菌機にて、142℃、4秒間滅菌処理を行なった後、均質化圧6.0MPaにて処理した後に冷却装置にて10℃まで冷却し、容器に充填して起泡性水中油型乳化油脂組成物8を得た。
得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物8の原液安定性を評価し、その結果を表5にまとめた。
さらにホイップを行い、上記記載の方法にて保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。その結果、原液安定性は非常に高く、保型性も86%と良好であった。またホイップ後のしまりは全く見られず、食感もかなり良好であり、十分に商品性のあるものであった。
Figure 0005471592
(比較例1)油脂組成物3を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物9
表3の配合に示す油脂組成物3を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物9を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物9の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は非常に良好であったが、油脂組成物3における油脂(A)の比率が低く、25℃のSFCが25%未満と低いため、保型性は67%と劣り商品性のあるレベルではなかった。なお、この起泡性水中油型乳化油脂組成物9は、ホイップ後のしまりは全く見られず、食感もかなり良好であったが、前記のように保型性が低いために商品性はないものであった。
(比較例2)油脂組成物5を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物10
表3の配合に示す油脂組成物5を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物10を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物10の原液安定性も併せて評価した。その結果、油脂組成物5における油脂(A)の比率が高すぎるため、原液安定性が低く商品性のあるレベルではなかった。なお、この起泡性水中油型乳化油脂組成物10は、保型性は96%と高く、またホイップ後のしまりはほとんど見られなかった。食感は口溶けがやや重たいが商品性のあるレベルであったが、前記のように原液安定性が低いために商品性のないものであった。
(比較例3)油脂組成物8を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物11
表3の配合に示す油脂組成物8を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物11を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物11の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は高く、保型性は94%と非常に良好であった。しかし、油脂組成物8は油脂(B)における構成脂肪酸全体中C16〜C18の飽和脂肪酸が57.5重量%と多く、融点も高いため、起泡性水中油型乳化油脂組成物11は、ややホイップ後のしまりが見られ、食感は口溶けが重たく、かなり油っぽく感じられ、商品性のあるものではなかった。
(比較例4)油脂組成物9を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物12
表3の配合に示す油脂組成物9を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物12を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物12の原液安定性も併せて評価した。その結果、この起泡性水中油型乳化油脂組成物12は、原液安定性は非常に高く、ホイップ後のしまりは見られなかったが、油脂組成物9は、油脂(B)におけるC4〜C14の脂肪酸に対するC18以上の不飽和脂肪酸の重量比が1:35.5と大きく保型性が69%と低く、またC16以上のトリ飽和グリセライド量が多いため、食感はやや口溶けが重たく、油っぽく感じられ、商品性のあるものではなかった。
(比較例5)油脂組成物11を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物13
表3の配合に示す油脂組成物11を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物13を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物13の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は非常に良好であったが、油脂組成物11は、油脂(A)における構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドの含有量が60重量%未満で25℃におけるSFCが低いため、ホイップ後の保型性は51%と非常に低く、商品性のあるレベルではなかった。なお、この起泡性水中油型乳化油脂組成物13は、ホイップ後のしまりは全く見られず、食感も非常に良好であったが、前記のように保型性が低く、商品性がないものであった。
(比較例6)油脂組成物13を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物14
表3の配合に示す油脂組成物13を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物14を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物14の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は非常に良好であり、保型性も97%と非常に高く良好であった。しかし、油脂組成物13は、油脂(A)における構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドの含有量が60重量%未満で35℃におけるSFCが高く、C16以上のトリ飽和グリセライド量も多いため、起泡性水中油型乳化油脂組成物14は、ホイップ後のしまりが大きく作業性の悪いものであり、また食感も非常口溶けが重たく、油っぽいことから商品性のないものであった。
(比較例7)油脂組成物14を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物15
表3の配合に示す油脂組成物14を用いて、それ以外は実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物15を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物15の原液安定性も併せて評価した。その結果、原液安定性は非常に良好であったが、保型性は48%と非常に低く、商品性のあるレベルではなかった。なお、この起泡性水中油型乳化油脂組成物15は、ホイップ後のしまりは全く見られず、また口溶けも非常に良好であったが、前記のように保型性が低いことから商品性のないものであった。
(比較例8)油脂組成物1を用いた起泡性水中油型乳化油脂組成物16
表3の配合に示す油脂組成物1を用い、表4に示す起泡性水中油型乳化油脂組成物配合(I)において油脂組成物(油脂(A)+油脂(B))の配合量を42重量%とし、添加水が24.24重量%になった以外は、実施例1と同様に起泡性水中油型乳化油脂組成物16を作製し、さらにホイップを行い、保型性、食感、しまりの評価を実施し、その結果を表5にまとめた。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物16の原液安定性も併せて評価した。その結果、起泡性水中油型乳化油脂組成物中における油脂組成物(油脂(A)+油脂(B))が多く総油分が高いことから、原液安定性が非常に低く商品性のあるレベルではなかった。なお、この起泡性水中油型乳化油脂組成物16は、保型性は92%と非常に高く、良好で、ホイップ後のしまりも全く見られなかった。しかし、口溶けは重く、原液安定性が低いことから商品性のないものであった。

Claims (6)

  1. 水分含量が水中油型乳化油脂組成物全体中15〜45重量%であり、構成脂肪酸の総炭素数が34〜40のトリグリセライドを油脂全体中60重量%以上含有する油脂(A)と、構成脂肪酸全体中C16〜C18の飽和脂肪酸が25〜40重量%であり、C4〜C14の脂肪酸とC18以上の不飽和脂肪酸の重量比が3:1〜1:3であり且つ融点が35℃以下である油脂(B)からなり、油脂(A)と油脂(B)の重量比が油脂(A):油脂(B)=60:40〜90:10であり且つ25℃のSFCが25重量%以上、35℃のSFCが5重量%以下である油脂組成物を、起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中15〜40重量%含有することを特徴とする常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  2. 油脂(A)と油脂(B)からなる油脂組成物全体中、構成脂肪酸がC16以上の飽和脂肪酸のみであるトリグリセリドが2.0重量%以下である請求項1に記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  3. 油脂(A)がパーム核ステアリン及び/又はパーム核ステアリン硬化油である請求項1又は2に記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  4. 油脂(B)が乳脂肪である請求項1〜3何れか1項に記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  5. 総油分が25〜35重量%である請求項1〜4何れか1項に記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  6. さらにタンパク質1gあたりのタンパク還元価が6以下の乳原料を含有する請求項1〜5何れか1項に記載の常温用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
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